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JP7503786B2 - ヘテロ構造およびその作製方法 - Google Patents
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本発明は、層状物質からなるヘテロ構造およびその作製方法に関する。
さまざまな種類のヘテロ構造を実現するために、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質が用いられている。この層状物質を基板上に形成させる技術として、ファン・デル・ワールスエピタキシーがある(非特許文献1)。この技術では、例えば、半導体基板の最表面を化学的に終端し、不活性化させ、疑似的に層状物質の表面状態に近づけた上で層状物質を形成させる。
A. Koma, "Van der Waals epitaxy for highly lattice-mismatched systems", Journal of Crystal Growth, 201/202, pp. 236-241, 1999. N. V. Tarakina et al., "Suppressing Twin Formation in Bi2Se3 Thin Films", Advanced Materials Interfaces, vol. 1, 1400134, 2014.
しかしこの上述した技術では、基板に垂直方向には良好なヘテロ構造が形成できるが、基板表面が化学的に不活性であるため、層状物質の結晶が面内で60°回転してしまうもの(ドメイン)が出現し、単結晶を得ることが難しい。他方、基板表面を意図的に荒らし、この上に層状物質を形成することで、形成される層状物質の面内の回転を抑制する技術がある(非特許文献2)。しかしながらこの技術では、層状物質の利点である急峻なヘテロ界面を基板との間に形成することが不可能である。
このように、従来の技術では、基板の上に、面内および面直の両方に良好な結晶の状態で層状物質を形成することが容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、基板の上に、面内および面直の両方に良好な結晶の状態で層状物質が形成できるようにすることを目的とする。
本発明に係るヘテロ構造の作製方法は、基板の上に、ステップが周期的に形成された周期構造を形成する第1工程と、周期構造の上に、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層を形成する第2工程とを備え、第1工程は、周期構造を導入しない場合に結晶が60°回転する点と点を結んだ線に平行となる方向に、基板に周期構造を作製する
また、本発明に係るヘテロ構造は、基板と、基板の上にステップが周期的に形成された周期構造と、周期構造の上に形成された、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層とを備え、周期構造は、周期構造を導入しない場合に結晶が60°回転する点と点を結んだ線に平行となる方向に形成されている。
以上説明したように、本発明によれば、基板の上に所定の幅のステップが配置された構造を形成するので、基板の上に、面内および面直の両方に良好な結晶の状態で層状物質が形成できる。
図1は、本発明の実施の形態に係るヘテロ構造の作製方法を説明するフローチャートである。 図2は、基板の上に周期的に形成されたステップを示す構成図である。 図3は、GaAs(111)B面の0.5°の微傾斜面における表面の原子間力顕微鏡の観察による写真である。
以下、本発明の実施の形態に係るヘテロ構造の作製方法について図1を参照して説明する。
まず、第1工程S101で、基板の上に、ステップが配置された構造を形成する。例えば、第1工程は、基板の上に、複数のステップが周期的に配置された構造を形成する。なお、基板の上に、1つのステップを形成することもできる。ここで、構造におけるステップのテラス幅は、層状物質の層の積層方向の格子定数に対応した寸法とする。なお、上述した格子定数とは、層状物質の層の積層方向に隣り合う層間距離である。
ステップが配置された(備える)構造は、基板の表面を加工することで形成できる。また、基板の上に形成した所定の材料の層の表面を加工することで、ステップが配置された構造とすることもできる。ステップが配置された構造は、ガラス、サファイア、半導体、および金属のいずれかから構成することができる。
次に、第2工程S102で、上述した構造の上に、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層を形成する。例えば、層状物質の層は、結晶成長により形成することができる。また、層状物質の層は、他基板に形成されている層状物質の小片を貼り付けることで形成することもできる。
上述した作製方法により作製されたヘテロ構造は、図2に示すように、基板101の上に形成されたステップ121が配置された構造102と、構造102の上に形成された、積層方向に隣り合う単位層131の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層103とを備えるものとなる。構造102におけるステップ121のテラス122の幅は、層状物質の層103の積層方向の格子定数に対応した寸法とされている。
層状物質の単位層131は、面直方向の格子定数とステップ121の高さとの関係により、ステップ121を乗り越える場合もあれば乗り越えない場合もある。重要なポイントは、テラス122の幅と、構造102の表面での層状物質を形成する材料のマイグレーション距離の関係である。マイグレーション距離が、テラス122の幅よりも小さい場合、テラス122内で層状物質が島状成長し、層状物質の層103の回転が抑制できなくなる。層状物質の1番目の単位層131が、ステップ121を乗り越えない場合、構造102の表面の面内での回転抑制の効果は大きくなるが、乗り越える場合もステップ121のポテンシャルの影響で、層状物質の層103の回転は、ある程度抑制できる。
以下、より詳細に説明する。基板にステップが周期的に形成された構造(以下、単に周期構造とする)は、GaAsなどの半導体による基板上の、半導体からなるバッファー層の成長によって作製することもできる。バッファー層は、例えば、よく知られた分子線エピタキシー法や有機金属気相成長法による成長で、作製することができる。また、上記構造は、基板を加熱処理することで作製することもできる。
また、マスクパターンを用いたエッチングによるパターニングで、ステップを形成することで、周期構造を形成することもできる。例えば、基板の上(基板の表面)に、リソグラフィー技術によりマスクを形成し、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)エッチングなど物理的なエッチングによるプロセス加工で、周期構造を作製することもできる。また、基板の上(基板の表面)に、リソグラフィー技術によりマスクを形成し、化学的エッチングによるプロセス加工で、周期構造を作製することもできる。
例えば、主表面を(111)B面としたGaAs基板を用い、この表面に周期構造を作製することができる。また、このGaAs基板の上にバッファー層を成長させ、成長させたバッファー層の表面に周期構造を作製することができる。
この場合、テラス幅はGaAs基板の主表面を、(111)B面から微傾斜させ、この微傾斜の角度によって制御することが可能である。例えば、GaAsの(111)B面において、ファセット面より0.5度の微傾斜させた面(図3参照)では、GaAsの1分子層の高さは約0.33nmであるので、tan0.5°=0.33nm/(テラス幅)となり、テラス幅は約37nmとなる。ただし実際には、微傾斜基板の作製時に誤差が生じる。
上述したようにステップ(原子ステップ)による周期構造を形成する場合、周期構造を導入しない場合に結晶が60°回転する点と点を結んだ線に平行となる方向に、基板に周期構造を作製する。例えば、GaAs基板の(111)B面とされている主表面において、[1-10]方位に平行にステップを形成することで、周期構造を作製する。このような周期構造によれば、[1-10]方位に平行にステップに沿って、層状物質が形成される(成長する)ようになり層状物質の回転が抑制できる。
上述した周期構造は、基板の上に形成した一般的なデバイス構造の上に組み込むこともできる。例えば、基板の上に形成した電子デバイスのチャネル部に、周期構造を形成し、この上に、層状物質の層を形成して電子デバイスとすることができる。デバイスのチャネル部の平面視の寸法が、層状物質の積層方向の格子定数よりも大きい場合、チャネル部の上に周期構造を作製することで、層状物質の面内の回転を抑制することができる。
また、基板の上に形成した一般的なデバイス構造の平行するラインを、ステップの一つとすることも可能である。このデバイス構造のスケールが、層状物質の積層方向の格子定数よりも小さい場合、デバイス構造の上面に周期構造がなくても層状物質の回転を抑制することが可能である。この場合、デバイス構造の上面の端部(ライン)が、ステップと同様の働きをする。
次に、周期構造のテラス幅について説明する。層状物質の層の積層方向の格子定数に対応(適した)したテラス幅は、基板の上の周期構造の表面における、層状物質を構成する原子のマイグレーション距離による。このテラス幅は、所望の層状物質によって、上述した微傾斜角度を適宜に選択することで、制御することができる。
層状物質の形成においては、例えば、層状物質を結晶成長(気相成長)する場合、原料を交互に供給する、または原料の供給量の比を周期的に変調させて供給(参考文献1、参考文献2、参考文献3)することで、供給する周期構造の表面でのマイグレーション距離を変調することが可能であり、材料に固有の最適条件を広げることが可能となり、作製条件の幅を持たせることが可能である。
基板のホモエピタキシーによるバッファー層成長時や、基板の加熱処理によって、基板表面の分子層もしくは原子層によるステップ構造をバンチング(ステップバンチング)させ、1分子層もしくは1原子層ではなく数分子もしくは数原子層のステップを形成することが可能である。このバンチングは、バッファー層の成長温度や加熱温度を高温度にするほど進行し、高いステップとなる傾向となる。バンチングしない場合、ステップ高さは、基板の1分子層の厚さに相当する。周期構造の作製において、上述したバンチングを導入してステップ高さを制御することで、周期構造を、面直方向の格子定数が大きな層状物質にも適用できる。
ところで、周期構造(基板)を半導体や金属などの活性な物質から構成する場合、周期構造の最表面の第1原子を、第1原子とは異なる第2原子に置換して化学的に不活性とし(第3工程)、この後で、層状物質の層を形成することもできる。
例えば、GaAs基板の(111)面を用いた場合、最表面のAs原子(V族)を、セレン(Se)原子もしくは硫黄(S)原子での置き換える、つまり終端することで、周期構造の表面を化学的に不活性とすることができる。同様に、Si基板を用いる場合、最表面のSi原子を、水素(H)原子やフッ素(F)原子で終端することで、周期構造の表面を化学的に不活性とすることが可能である。このような化学的に不活性な表面に層状物質を形成することはファン・デル・ワールスエピタキシーと呼ばれるが(非特許文献1参照)、このような化学的に不活性化した基板表面において、周期構造のステップ幅やステップ高さを制御することで、面内にも面直にも良好な層状物質の結晶を形成することが可能である。
なお、バッファー層の作製、加熱処理、プロセス加工を組み合わせて周期構造を作製することもでき、同様にバッファー層の作製、加熱処理、プロセス加工を組み合わせて、所望のデバイス構造の内部に周期構造を形成することもできる。この場合、デバイス部以外をマスクで覆い層状物質を選択的に形成することができる。デバイス部以外のマスクで覆われている領域の上に形成される多結晶もしくは異なる相の他の結晶は、デバイス部形成後にエッチングにより除去することができる。また、デバイス部以外の領域をエッチングして除去した後、凸部となるデバイス部に層状物質を形成することもできる。この場合も、デバイス部を形成した後に、デバイス部以外の部分を再度エッチングすることもできる。
ところで、ガラス基板やサファイア基板では、終端をせずとも層状物質の形成が可能である。この場合においても、上述同様に周期構造を形成することで、周期構造の上に良質な層状物質を形成することが可能となる。
次に、金属を基板もしくは基板の一部として用いる場合、触媒作用として層状物質が形成できるが、この場合も周期構造によって良質な層状物質をえることが可能である。ここで、金属基板でもよいし、任意の基板の表面に金属の層を形成したものを用いてもよい。さらに、金属の表面を酸化、硫化、セレン化、水素パッシベーション、フッ素コーティングなどにより化学的に不活性とした表面であっても、周期構造を形成し、この周期構造の上に層状物質を形成すれば、良質な結晶を得ることができる。
層状物質は、例えば、MX2(Mは遷移金属、Xはカルコゲン原子)からなる遷移金属ダイカルコゲナイドである。また、層状物質は、GaS、GaSe、GaTe、InSe、GeS、SnS2、SnSe2、Bi2Se3、Bi2Te3などのカルコゲナイド層状物質である。また、層状物質は、MgBr2,CdCl2,CdI2,Ag2F,AsI3,AlCl3などのハロゲン化金属層状物質である。また、層状物質は、グラフェン、シリセン、h-BNである。
層状物質は、上述した例に限るものではなく、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している材料とすることができる。周期構造における最適なステップ高さ、ステップ幅は、形成しようとする層状物質よって異なるが、いずれも基板の上に周期構造が、良質な層状物質の結晶を得るために有効に作用することは言うまでもない。
以上に説明したように、本発明によれば、基板の上に所定の幅のステップが配置された構造を形成するので、基板の上に、面内および面直の両方に良好な結晶の状態で層状物質が形成できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
[参考文献]
[参考文献1]Y. Horikoshi et al., "Migration-Enhanced Epitaxy of GaAs and AlGaAs", Japanese Journal of Applied Physics, vol. 27, no. 2, pp. 169-179, 1988.
[参考文献2]特許2533501号公報
[参考文献3]特許2015117号公報
101…基板、102…構造、103…層状物質の層、121…ステップ、122…テラス、131…単位層。

Claims (8)

  1. 基板の上に、ステップが周期的に形成された周期構造を形成する第1工程と、
    前記周期構造の上に、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層を形成する第2工程と
    を備え、
    前記第1工程は、前記周期構造を導入しない場合に結晶が60°回転する点と点を結んだ線に平行となる方向に、前記基板に前記周期構造を作製する
    ことを特徴とするヘテロ構造の作製方法。
  2. 請求項1記載のヘテロ構造の作製方法において、
    前記第1工程は、マスクパターンを用いたエッチングによるパターニングで、前記ステップを形成することを特徴とするヘテロ構造の作製方法。
  3. 請求項1または2記載のヘテロ構造の作製方法において、
    前記第1工程は、バンチングさせることで前記ステップの高さを制御することを特徴とするヘテロ構造の作製方法。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載のヘテロ構造の作製方法において、
    前記周期構造は、ガラス、サファイア、半導体、および金属のいずれかから構成することを特徴とするヘテロ構造の作製方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のヘテロ構造の作製方法において、
    前記周期構造は、半導体または金属から構成され、
    前記第1工程の後の前記第2工程の前に、前記周期構造の最表面の第1原子を、前記第1原子とは異なる第2原子に置換して化学的に不活性とする第3工程をさらに備える
    ことを特徴とするヘテロ構造の作製方法。
  6. 基板と、
    基板の上にステップが周期的に形成された周期構造と、
    前記周期構造の上に形成された、積層方向に隣り合う単位層の間が、ファンデルワールス力により結合している層状物質の層と
    を備え、
    前記周期構造は、前記周期構造を導入しない場合に結晶が60°回転する点と点を結んだ線に平行となる方向に形成されていることを特徴とするヘテロ構造。
  7. 請求項記載のヘテロ構造において、
    前記周期構造は、ガラス、サファイア、半導体、および金属のいずれかから構成されていることを特徴とするヘテロ構造。
  8. 請求項記載のヘテロ構造において、
    前記周期構造は、半導体または金属から構成され、前記周期構造の最表面の第1原子は、前記第1原子とは異なる第2原子に置換されて化学的に不活性とされていることを特徴とするヘテロ構造。
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小野満恒二 他,2インチGaAsウエハー上に層数制御したMBE成長MoSe2,第77回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集,14p-A33-8,日本,2016年09月16日

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