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JP7512176B2 - 地下水環境自動予測システム、地下水環境自動予測方法 - Google Patents
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地下水環境自動予測システム、地下水環境自動予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、地下水環境自動予測システム、地下水環境自動予測方法に関する。
山岳トンネルに代表される地下空洞を構築する場合には、少なからず地下水環境に影響を与えることになる。このため工事着手前、および施工中には、構造物の重要性に応じて地下水環境を予測する数値解析(シミュレーション)を実施することが一般的である。例えば、トンネル施工では、切羽からの湧水量等の各種測定や岩盤(地盤)の状態等を計測を行うことでこれらの情報を得て、これらの情報も踏まえて上述の数値解析を行い、その現場において次に掘削を進める際の施工に役立てる建設手法(地下水情報化施工)が適用される。
特許文献1には、日々のトンネルを掘削する場合において地山の湧水量を自動的に推定する技術について開示されている。
特許第4196279号公報
しかしながら、地下水環境を予測することは、解析専門技術者の高度な知識・技能(たとえば、再現解析・予測解析結果の技術的評価、解析与条件の見直し方法など)を必要とし、さらには、多大な時間(例えば数日)を要する。特に、施工中において地下水環境予測を実施し、その予測結果を元に次の切羽の掘削を進める場合には、工事進捗に対し予測シミュレーションが追いつかない場合がある。そうすると、施工の進捗に影響が生じる場合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、トンネル施工中に速やかに地下水環境予測を行うことが可能な地下水環境自動予測システム、地下水環境自動予測方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システム(10)に対して、透水係数を含む再現条件を設定する再現条件設定部(301)と、前記浸透流解析システム(10)によって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得する推定湧水量取得部(302)と、前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得する湧水量測定値取得部(303)と、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定する判定部(304)と、異なる透水係数を生成する透水係数生成部(306)と、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、前記異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システム(10)に行わせる再現解析指示部(307)と、前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成する学習部(305)と、前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得る透水係数取得部(308)と、前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システム(10)に設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る予測解析部(309)とを有する。
また、本発明の一態様は、再現条件設定部(301)が、浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システム(10)に対して、透水係数を含む再現条件を設定し、推定湧水量取得部(302)が、前記浸透流解析システム(10)によって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得し、湧水量測定値取得部(303)が、前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得し、判定部(304)が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定し、再現解析指示部(307)が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システム(10)に行わせ、学習部(305)が、前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成し、透水係数取得部(308)が、前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得て、予測解析部(309)が、前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システム(10)に設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る地下水環境自動予測方法である。
以上説明したように、この発明によれば、トンネル施工中に速やかにかつ自動的に地下水環境予測を行うことが可能となる。
この発明の一実施形態による地下水環境予測の全体の流れを説明する図である。 地下水環境自動予測システム1の構成を示す概略ブロック図である。 再現解析ループを実行する場合における地下水環境自動予測システム1における動作を説明するフローチャートである。 予測解析ループを実行する場合における地下水環境自動予測システム1における動作を説明するフローチャートである。 施工対象の地山を三次元形状を表した三次元地質構造モデルに対し、予測解析ループによって得られた予測湧水量を考慮した全水頭の分布状況を示す図である。
以下、本発明の一実施形態による地下水環境自動予測システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による地下水環境予測の全体の流れを説明する図である。
本実施形態において、地下水環境予測は、浸透流解析システムを用いて、浸透流解析を行い、湧水量を求めることで、地下水環境を予測する。
本実施形態において浸透流解析システムを用いる場合、大きく分けて「再現解析ループ」と「予測解析ループ」との2つの処理(解析ループ)がある。
《再現解析ループ》
再現解析ループは、施工対象のトンネルの掘削状況をシミュレーション上において再現する処理である。再現解析ループでは、浸透流解析システムに対し、(1)岩盤(地盤)の浸透特性、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等のこれら4つに関する再現条件を入力する。浸透流解析システムは、この再現条件に基づいて浸透流解析を行う。再現条件に基づく浸透流解析を行うことで、施工対象のトンネルの切羽における湧水量を推定した湧水量の推定値を得ることができる。この再現解析ループでは、施工対象のトンネルの切羽において実際に測定された湧水量と概ね一致するような再現条件を求める。
再現条件を求めるにあたり、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等については、ある程度の事前調査や観測地等を用いる。(1)岩盤(地盤)の浸透特性については、切羽における岩盤(地盤)の種類、亀裂の大きさ、亀裂の方向等について、切羽の面においてどのような分布となっているかも考慮して決める必要があり、定めることが容易ではない。そのため、岩盤(地盤)の浸透特性を設定するためには、通常、解析専門技術者の高度な判断が求められる。この実施形態においては、岩盤(地盤)の浸透特性(特に透水係数)を地下水環境自動予測装置30を用いて求めることで、解析専門技術者が浸透特性を判断しなくてすむようになり、予測解析にかかる時間の短縮と解析専門技術者の労力を軽減することができる。
《予測解析ループ》
予測解析ループは、再現解析ループによって施工対象のトンネルについて一定の再現性が得られた再現条件(特に透水係数)を用いて、次に掘削を進めた場合(例えば10m掘削を行った場合)に生じる湧水量を浸透流解析システムを用いて予測する処理である。
このように、再現解析ループを実行することで再現性の高い透水係数を求め、この求められた透水係数を用いて予測解析ループを実行することで、予測対象の位置を掘削した場合における湧水量を精度よく予測することができる。
予測解析ループによって得られた湧水量の予測値は、現場事務所や詰所に設置された現場端末に表示される。この湧水量の予測値は、例えば、1日1回などのタイミングで計算され表示される。これにより、現場における技術者や作業者は、トンネルの掘削を進めることに応じて逐次更新された湧水量の予測値を、従来に比べて短い間隔で把握することができる。これにより危険予知活動(KY活動)や、排水計画の見直し等に活用することができる。
次に、図2は、地下水環境自動予測システム1の構成を示す概略ブロック図である。
地下水環境自動予測システム1は、浸透流解析システム10、再現条件記憶部20、地下水環境自動予測装置30、現場端末40を含む。
浸透流解析システム10は、浸透流解析を行うための数値解析モデルを記憶している。浸透流解析システム10は、この数値解析モデルに対し、上述した再現条件を入力し、施工対象のトンネルを掘削する際の地山について、トンネル掘削等による地下水の挙動を予測する浸透流解析を行うことで、湧水量を求める。ここで、上述の(3)地質構造については、三次元地質モデルによって表される。浸透流解析システム10は、この三次元地質モデルにおける各地層に相当する要素には、(1)岩盤(地盤)の浸透特性に基づいて、この地層に対応する物性値(例えば、透水係数など物性値)を割り当てる。
ここで、地層を構成する構成物には、その構成物の種類に応じた透水係数がある。このような透水係数は、構成物の種類毎に、典型的な値の範囲があることが知られている。浸透流解析システム10は、再現条件として入力された(1)岩盤(地盤)の浸透特性に基づいて、透水係数の典型的な値の範囲を基に、三次元地質モデルにおける各地層に相当する要素に対して透水係数を割り当てる。そして、浸透流解析システム10は、数値解析モデル上においてトンネルの掘削施工を行うことで、湧水量を求めることができる。この浸透流解析システム10は、浸透特性(特に透水係数)を適切に割り当てることで、高い精度で湧水量を求めることができる。この浸透流解析システム10は、一般に用いられている既存のシステム(ソフトウェア)を適用することができる。
再現条件記憶部20は、浸透流解析を行う対象の地山を表すモデルとして再現する再現条件データを記憶する。再現条件データに含まれる項目としては、上述したように、(1)岩盤(地盤)の浸透特性、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等がある。
(1)岩盤(地盤)の浸透特性は、岩盤(地盤)がその種類別に水をどの程度浸透するかの特性を表すデータである。一般には、解析を専門に行う技術者が、知識や技能等を基に岩盤(地盤)の浸透特性を設定するが、本実施形態においては、地下水環境自動予測装置30によって設定することが可能となっている。
(2)降雨量、地下水位等は、解析対象の領域にどの程度の降雨があるか、地下水位がどの程度の高さにあるか等を表すデータであり、技術者が設定する。(3)地質構造は、トンネルを施工する地域の地質構造が三次元的にどのように分布しているかを表す三次元地質モデルであり、トンネルの施工対象の領域について現地調査や、ボーリングによる詳細調査等を事前に行われた結果、トンネル掘削過程で得られる地質情報、および地質調査結果を基に、技術者が設定する。(4)止水・排水対策等は、トンネルの施工条件に基づくものであり、湧水が生じないような対策が行われている場合には、その対策の方法や条件等を表す。この止水・排水対策等は、技術者によって設定されるデータである。
再現条件記憶部20は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。この再現条件記憶部20は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
地下水環境自動予測装置30は、再現条件設定部301、推定湧水量取得部302、湧水量測定値取得部303、判定部304、学習部305、透水係数生成部306、再現解析指示部307、透水係数取得部308、予測解析部309、予測情報提供部310を有する。
再現条件設定部301は、再現条件記憶部20に記憶された、透水係数を含む再現条件データを読み出し、読み出した再現条件データを浸透流解析システム10に対して出力することで設定する。
推定湧水量取得部302は、再現条件設定部301によって設定された再現条件を基に浸透流解析システム10から得られる湧水量を推定湧水量として取得する。すなわち、推定湧水量取得部302は、再現解析ループにおいて浸透流解析システム10によって求められた湧水量を取得する。
湧水量測定値取得部303は、浸透流解析を行う対象の施工現場におけるトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得する。湧水量測定値取得部303は、キーボードやマウス等の入力装置を介して、オペレータの操作に基づいて入力される湧水量測定値を取得する。
また、湧水量測定値取得部303は、オペレータによる操作入力ではなく、センサ等によって測定された結果を取得することもできる。例えば、切羽で発生する湧水は、一度大きな容器(例えば釜等)に溜められた後、ポンプで坑外へ排出される。このときの排出量をセンサによって湧水量として測定し、この測定結果を、湧水量測定値取得部303が取得することができる。これにより、切羽における湧水量を自動的に取得することもできる。
判定部304は、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定する。所定範囲は、予め定められていてもよい。
推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある場合には、推定湧水量と実際の切羽において生じた湧水量とがほぼ一致している(類似度合いが高い)といえる。この場合、設定された再現条件データは、切羽周辺の領域の実際の状況に対する再現性が高いといえるため、予測解析ループに用いることができる。この場合、透水係数についても、再現性が高いと考えられる。
一方、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲にない場合には、推定湧水量と実際の切羽において生じた湧水量とが乖離している。この場合、後述する学習部305は推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるように学習することで、透水係数を再設定・変更する。
学習部305は、透水係数と推定湧水量とを教師データとして用い、透水係数と推定湧水量との関係を学習することで、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるような学習済みモデルを生成する。
例えば学習部305は、予め理想的なトンネルモデルを使って(1)岩盤(地盤)の浸透特性、(2)降雨量、地下水位、(3)地質構造、(4)止水・排水対策について学習済である。そして、学習部305は、予め学習された学習済モデルに加えて、施工対象のトンネルの施工過程で得られる教師データをもとに追加学習をする。学習部305は、追加学習を行うことで、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるような学習を進め、学習済みモデルを最適化していく。
学習済みモデルが最適化されることで、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数を得ることが可能な学習済みモデルが得られる。
なお、学習部305は、判定部304によって推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲にあると判定されるまで、繰り返して学習を行う。
学習部305が行う学習は、AI(artificial intelligence:人工知能)を用いた学習であり、機械学習、深層学習、深層強化学習のいずれであってもよい。また、エキスパートシステム等のルールベースAIであってもよい。
透水係数生成部306は、再現条件設定部301によって浸透流解析システム10に設定したことがある透水係数とは異なる透水係数を生成する。透水係数生成部306は、透水係数を生成する場合に、学習部305の学習状況に基づく推定湧水量と湧水量測定値との差分に応じて、推定湧水量が湧水量測定値に近くなると考えられる透水係数を生成するようにしてもよい。
再現解析指示部307は、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、透水係数生成部306によって生成された透水係数を再現条件として再現条件記憶部20に書き込むことで、浸透流解析システムに浸透流解析を行わせる。ここでは、再現条件設定部301によって新たな透水係数が再現条件記憶部20に書き込まれると、再現条件設定部301は、再現解析の指示があったとし、この新たな透水係数を含む再現条件データを浸透流解析システム10に入力することで、浸透流解析を行わせることができる。
透水係数取得部308は、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるように最適化された学習済みモデルに、湧水量を予測したい掘削位置(切羽周辺)あるいは坑外において測定された湧水量測定値を入力することで、予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得る。
ここでは、湧水量を予測したい位置は、現在の切羽から一定距離だけ掘削を進めた位置である。この距離は、例えば1回の掘削を行う施工過程において進む距離であり、岩盤(地盤)の状態がある程度同じであれば、現在の切羽における透水係数と、予測したい位置における岩盤(地盤)の透水係数は、概ね一致していると考えられる。
予測解析部309は、予測位置透水係数を含む予測条件を浸透流解析システム10に設定して浸透流解析を行わせることで、予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る。予測解析部309は、判定部304において、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲であると判定されるまで学習部305において学習された学習済みモデルを用いて、予測位置透水係数を取得し、この予測位置透水係数を予測条件として浸透流解析システム10に出力することで、浸透流解析を行わせる。
例えば、予測解析部309は、浸透流解析システム10に予測位置透水係数を出力し、施工現場における現在の切羽の位置よりも一定程度の距離まで掘削した場合(例えば10m掘削した場合)における湧水量を予測湧水量として得る。
予測情報提供部310は、予測解析部309が浸透流解析システム10から得た予測湧水量を現場端末40に出力する。
現場端末40は、トンネルを施工する現場の詰所や、現場事務所などのいずれかに設けられ、技術者および作業者等によって利用される。現場端末40は、複数台であってもよい。現場端末40は、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのうち少なくともいずれか1つが用いられてもよい。
次に、地下水環境自動予測システム1の動作を説明する。
図3は、再現解析ループを実行する場合における地下水環境自動予測システム1における動作を説明するフローチャートである。
まず地下水環境自動予測システム1は、再現解析ループ処理を行う。再現解析ループ処理では、山岳トンネルを掘削する岩盤(地盤)モデルを作成し(ステップS101)、作成された岩盤(地盤)モデルを(3)地質構造として再現条件記憶部20に記憶する。また、浸透特性に関するパラメータ(例えば、透水係数)を(1)岩盤(地盤)の浸透特性として再現条件記憶部20に記憶する(ステップS102)。この浸透特性に関するパラメータは、予め複数種類を準備して、それぞれ再現条件記憶部20に記憶しておくようにしてもよい。また、この他に、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等についても、再現条件記憶部20に記憶する。
再現条件記憶部20に各種パラメータが記憶されると、再現条件設定部301は、再現条件20に記憶された再現条件データを浸透流解析システム10に設定する。浸透流解析システム10は、再現条件データが設定されると、浸透流解析(順解析)を実施する(ステップS103)。
推定湧水量取得部302は、浸透流解析によって求められた湧水量を推定湧水量として取得する(ステップS104)。判定部304は、推定湧水量と、湧水量測定値取得部303によって取得された湧水量測定値とを比較する(ステップS105)。
学習部305は、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きい(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にない)場合、浸透流解析によって得られた推定湧水量と、透水係数とを教師データとして学習を行い(ステップS106)、学習済モデルを最適化していく。この学習は、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きくない(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある)と判定されるまで、ステップS102に移行し、異なる透水係数を用いて浸透流解析を行う。
一方、ステップS105において、判定部304によって、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きくない(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある)と判定されると、予測解析ループの実行に移行する(ステップS107)。
上述のような再現解析ループをトンネルの施工中に繰り返し行うことで学習をすることができ、その現場に対応した学習効果が蓄積され、掘削の進行にともなってより精度の高い判断ができる学習済みモデルを構築することができる。
ここで、トンネルの掘削を進めていくと、再現条件として記憶された(3)地質構造と、現在の切羽において観察される地質構造とが一致しない場合がある。このような場合には、現在の切羽を観察した結果、あるいは切羽前方探査等、トンネル施工中に得られた地質調査結果に基づいて、(3)地質構造を修正する。これにより、三次元地質モデルも更新される。そして、更新された地質構造を基に、再現解析ループを実行することができる。
図4は、予測解析ループを実行する場合における地下水環境自動予測システム1における動作を説明するフローチャートである。
予測解析ループにおいて、透水係数取得部308は、最適化された学習済みモデルに、切羽の現場において測定され湧水量測定値取得部303によって得られた湧水量測定値を入力し(ステップS201)、この湧水量測定値が得られるような岩盤(地盤)の浸透特性に応じた透水係数を取得する(ステップS202)。
予測解析部309は、得られた透水係数を浸透流解析システム10に入力することで浸透流解析を行わせ(ステップS203)、予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る(ステップS204)。
予測情報提供部310は、現場端末40に対して、予測湧水量を出力する(ステップS205)。
図5は、施工対象の地山の地形および地質構造を三次元的に表した三次元地質構造モデルに対し、予測解析ループによって得られた予測湧水量を考慮した全水頭の分布状況を示す図である。現場端末40には、例えば、この図に示すような結果が出力される。この図に示すような結果が得られた場合、例えば、トンネルを掘削したことで、切羽を基準にして掘削する進行方向において、地下水位が低下していることを把握することができる。このような解析を日々実施することで、近い将来発生する湧水量を予測し、安全に施工を行うことができる。
なお、上述した実施形態において、工事が始まる前(一回目の浸透流解析)の段階においては、掘削を行っていないため、湧水量測定値を得ることができない。すなわち、学習から得られる情報がない。このような場合には、予め岩種と透水係数との関係を対応付けて記憶した岩種・透水係数データベースをもとに、再現解析ループは実施せず、予測解析ループのみ実施し、地山の中の地下水環境を予測する。その上で、予測解析ループの結果から湧水量を得るようにしてもよい。
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(a)本来、解析専門技術者が透水係数に関して行う判断をルール化することができ、指標化し、AI技術としてシステムに実装することで再現解析および予測解析に必要とする解析的判断を自動化することができる。これにより、システム全体が完全に自動化するこができる。
(b)完全自動化されるため、解析専門技術者が通常作業ができない業務時間外であっても、シミュレーション作業に充てることができ、リアルタイムの予測が可能となる。
(c)「再現解析ループ」において、コア技術であるAIの判断により、解析与条件である(1)~(4)の再現条件(特に(1)岩盤(地盤)の浸透特性)を逐次更新する仕組みを導入する。これにより、精度の高い再現解析を実現するだけでなく、確度の高い予測結果を出力することが可能となる。
(d)完全自動化することで、予測解析など地下水情報化施工を運用する上での作業量を大幅に削減することができる。
(e)解析専門技術者の数を削減できるとともに、専門技術者はより専門性の高い業務に注力することができる。
(f)解析専門技術者が測定されている湧水量に則した最適な岩盤(地盤)の透水係数について、経験的な判断を行うこととなく、地下水環境自動予測装置30において定めることができるため、常時、予測することが可能となる。これにより、リアルタイム性を向上させることができ、近い将来発生する湧水に対して、速やかに対策工を計画・協議することができる。
(g)湧水に起因したトンネル切羽災害を削減できる。
(h)従来以上に合理的な排水設備の計画を実行できる。
上述した実施形態における地下水環境自動予測装置30をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…地下水環境自動予測システム、10…浸透流解析システム、20…再現条件記憶部、30…地下水環境自動予測装置、40…現場端末、301…再現条件設定部、302…推定湧水量取得部、303…湧水量測定値取得部、304…判定部、305…学習部、306…透水係数生成部、307…再現解析指示部、308…透水係数取得部、309…予測解析部、310…予測情報提供部

Claims (4)

  1. 浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システムに対して、透水係数を含む再現条件を設定する再現条件設定部と、
    前記浸透流解析システムによって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得する推定湧水量取得部と、
    前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得する湧水量測定値取得部と、
    前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定する判定部と、
    異なる透水係数を生成する透水係数生成部と、
    前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、前記異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システムに行わせる再現解析指示部と、
    前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成する学習部と、
    前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得る透水係数取得部と、
    前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システムに設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る予測解析部と
    を有する地下水環境自動予測システム。
  2. 前記学習部は、前記判定部によって前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあると判定されるまで、繰り返して学習を行う
    請求項1に記載の地下水環境自動予測システム。
  3. 前記予測解析部によって得られた予測湧水量を現場端末に出力する予測情報提供部
    を有する請求項1または請求項2に記載の地下水環境自動予測システム。
  4. 再現条件設定部が、浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システムに対して、透水係数を含む再現条件を設定し、
    推定湧水量取得部が、前記浸透流解析システムによって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得し、
    湧水量測定値取得部が、前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得し、
    判定部が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定し、
    再現解析指示部が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システムに行わせ、
    学習部が、前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成し、
    透水係数取得部が、前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得て、
    予測解析部が、前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システムに設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る
    地下水環境自動予測方法。
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