JP7512176B2 - 地下水環境自動予測システム、地下水環境自動予測方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、日々のトンネルを掘削する場合において地山の湧水量を自動的に推定する技術について開示されている。
図1は、この発明の一実施形態による地下水環境予測の全体の流れを説明する図である。
本実施形態において、地下水環境予測は、浸透流解析システムを用いて、浸透流解析を行い、湧水量を求めることで、地下水環境を予測する。
本実施形態において浸透流解析システムを用いる場合、大きく分けて「再現解析ループ」と「予測解析ループ」との2つの処理(解析ループ)がある。
再現解析ループは、施工対象のトンネルの掘削状況をシミュレーション上において再現する処理である。再現解析ループでは、浸透流解析システムに対し、(1)岩盤(地盤)の浸透特性、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等のこれら4つに関する再現条件を入力する。浸透流解析システムは、この再現条件に基づいて浸透流解析を行う。再現条件に基づく浸透流解析を行うことで、施工対象のトンネルの切羽における湧水量を推定した湧水量の推定値を得ることができる。この再現解析ループでは、施工対象のトンネルの切羽において実際に測定された湧水量と概ね一致するような再現条件を求める。
再現条件を求めるにあたり、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等については、ある程度の事前調査や観測地等を用いる。(1)岩盤(地盤)の浸透特性については、切羽における岩盤(地盤)の種類、亀裂の大きさ、亀裂の方向等について、切羽の面においてどのような分布となっているかも考慮して決める必要があり、定めることが容易ではない。そのため、岩盤(地盤)の浸透特性を設定するためには、通常、解析専門技術者の高度な判断が求められる。この実施形態においては、岩盤(地盤)の浸透特性(特に透水係数)を地下水環境自動予測装置30を用いて求めることで、解析専門技術者が浸透特性を判断しなくてすむようになり、予測解析にかかる時間の短縮と解析専門技術者の労力を軽減することができる。
予測解析ループは、再現解析ループによって施工対象のトンネルについて一定の再現性が得られた再現条件(特に透水係数)を用いて、次に掘削を進めた場合(例えば10m掘削を行った場合)に生じる湧水量を浸透流解析システムを用いて予測する処理である。
このように、再現解析ループを実行することで再現性の高い透水係数を求め、この求められた透水係数を用いて予測解析ループを実行することで、予測対象の位置を掘削した場合における湧水量を精度よく予測することができる。
地下水環境自動予測システム1は、浸透流解析システム10、再現条件記憶部20、地下水環境自動予測装置30、現場端末40を含む。
ここで、地層を構成する構成物には、その構成物の種類に応じた透水係数がある。このような透水係数は、構成物の種類毎に、典型的な値の範囲があることが知られている。浸透流解析システム10は、再現条件として入力された(1)岩盤(地盤)の浸透特性に基づいて、透水係数の典型的な値の範囲を基に、三次元地質モデルにおける各地層に相当する要素に対して透水係数を割り当てる。そして、浸透流解析システム10は、数値解析モデル上においてトンネルの掘削施工を行うことで、湧水量を求めることができる。この浸透流解析システム10は、浸透特性(特に透水係数)を適切に割り当てることで、高い精度で湧水量を求めることができる。この浸透流解析システム10は、一般に用いられている既存のシステム(ソフトウェア)を適用することができる。
(1)岩盤(地盤)の浸透特性は、岩盤(地盤)がその種類別に水をどの程度浸透するかの特性を表すデータである。一般には、解析を専門に行う技術者が、知識や技能等を基に岩盤(地盤)の浸透特性を設定するが、本実施形態においては、地下水環境自動予測装置30によって設定することが可能となっている。
(2)降雨量、地下水位等は、解析対象の領域にどの程度の降雨があるか、地下水位がどの程度の高さにあるか等を表すデータであり、技術者が設定する。(3)地質構造は、トンネルを施工する地域の地質構造が三次元的にどのように分布しているかを表す三次元地質モデルであり、トンネルの施工対象の領域について現地調査や、ボーリングによる詳細調査等を事前に行われた結果、トンネル掘削過程で得られる地質情報、および地質調査結果を基に、技術者が設定する。(4)止水・排水対策等は、トンネルの施工条件に基づくものであり、湧水が生じないような対策が行われている場合には、その対策の方法や条件等を表す。この止水・排水対策等は、技術者によって設定されるデータである。
また、湧水量測定値取得部303は、オペレータによる操作入力ではなく、センサ等によって測定された結果を取得することもできる。例えば、切羽で発生する湧水は、一度大きな容器(例えば釜等)に溜められた後、ポンプで坑外へ排出される。このときの排出量をセンサによって湧水量として測定し、この測定結果を、湧水量測定値取得部303が取得することができる。これにより、切羽における湧水量を自動的に取得することもできる。
推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある場合には、推定湧水量と実際の切羽において生じた湧水量とがほぼ一致している(類似度合いが高い)といえる。この場合、設定された再現条件データは、切羽周辺の領域の実際の状況に対する再現性が高いといえるため、予測解析ループに用いることができる。この場合、透水係数についても、再現性が高いと考えられる。
一方、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲にない場合には、推定湧水量と実際の切羽において生じた湧水量とが乖離している。この場合、後述する学習部305は推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるように学習することで、透水係数を再設定・変更する。
例えば学習部305は、予め理想的なトンネルモデルを使って(1)岩盤(地盤)の浸透特性、(2)降雨量、地下水位、(3)地質構造、(4)止水・排水対策について学習済である。そして、学習部305は、予め学習された学習済モデルに加えて、施工対象のトンネルの施工過程で得られる教師データをもとに追加学習をする。学習部305は、追加学習を行うことで、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数が得られるような学習を進め、学習済みモデルを最適化していく。
学習済みモデルが最適化されることで、推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲に収まるような透水係数を得ることが可能な学習済みモデルが得られる。
ここでは、湧水量を予測したい位置は、現在の切羽から一定距離だけ掘削を進めた位置である。この距離は、例えば1回の掘削を行う施工過程において進む距離であり、岩盤(地盤)の状態がある程度同じであれば、現在の切羽における透水係数と、予測したい位置における岩盤(地盤)の透水係数は、概ね一致していると考えられる。
例えば、予測解析部309は、浸透流解析システム10に予測位置透水係数を出力し、施工現場における現在の切羽の位置よりも一定程度の距離まで掘削した場合(例えば10m掘削した場合)における湧水量を予測湧水量として得る。
図3は、再現解析ループを実行する場合における地下水環境自動予測システム1における動作を説明するフローチャートである。
まず地下水環境自動予測システム1は、再現解析ループ処理を行う。再現解析ループ処理では、山岳トンネルを掘削する岩盤(地盤)モデルを作成し(ステップS101)、作成された岩盤(地盤)モデルを(3)地質構造として再現条件記憶部20に記憶する。また、浸透特性に関するパラメータ(例えば、透水係数)を(1)岩盤(地盤)の浸透特性として再現条件記憶部20に記憶する(ステップS102)。この浸透特性に関するパラメータは、予め複数種類を準備して、それぞれ再現条件記憶部20に記憶しておくようにしてもよい。また、この他に、(2)降雨量、地下水位等、(3)地質構造、(4)止水・排水対策等についても、再現条件記憶部20に記憶する。
再現条件記憶部20に各種パラメータが記憶されると、再現条件設定部301は、再現条件20に記憶された再現条件データを浸透流解析システム10に設定する。浸透流解析システム10は、再現条件データが設定されると、浸透流解析(順解析)を実施する(ステップS103)。
学習部305は、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きい(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にない)場合、浸透流解析によって得られた推定湧水量と、透水係数とを教師データとして学習を行い(ステップS106)、学習済モデルを最適化していく。この学習は、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きくない(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある)と判定されるまで、ステップS102に移行し、異なる透水係数を用いて浸透流解析を行う。
一方、ステップS105において、判定部304によって、推定湧水量と湧水量測定値との乖離が大きくない(推定湧水量が湧水量測定値を基準とした所定範囲内にある)と判定されると、予測解析ループの実行に移行する(ステップS107)。
上述のような再現解析ループをトンネルの施工中に繰り返し行うことで学習をすることができ、その現場に対応した学習効果が蓄積され、掘削の進行にともなってより精度の高い判断ができる学習済みモデルを構築することができる。
予測解析ループにおいて、透水係数取得部308は、最適化された学習済みモデルに、切羽の現場において測定され湧水量測定値取得部303によって得られた湧水量測定値を入力し(ステップS201)、この湧水量測定値が得られるような岩盤(地盤)の浸透特性に応じた透水係数を取得する(ステップS202)。
予測解析部309は、得られた透水係数を浸透流解析システム10に入力することで浸透流解析を行わせ(ステップS203)、予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る(ステップS204)。
予測情報提供部310は、現場端末40に対して、予測湧水量を出力する(ステップS205)。
(a)本来、解析専門技術者が透水係数に関して行う判断をルール化することができ、指標化し、AI技術としてシステムに実装することで再現解析および予測解析に必要とする解析的判断を自動化することができる。これにより、システム全体が完全に自動化するこができる。
(b)完全自動化されるため、解析専門技術者が通常作業ができない業務時間外であっても、シミュレーション作業に充てることができ、リアルタイムの予測が可能となる。
(c)「再現解析ループ」において、コア技術であるAIの判断により、解析与条件である(1)~(4)の再現条件(特に(1)岩盤(地盤)の浸透特性)を逐次更新する仕組みを導入する。これにより、精度の高い再現解析を実現するだけでなく、確度の高い予測結果を出力することが可能となる。
(d)完全自動化することで、予測解析など地下水情報化施工を運用する上での作業量を大幅に削減することができる。
(e)解析専門技術者の数を削減できるとともに、専門技術者はより専門性の高い業務に注力することができる。
(f)解析専門技術者が測定されている湧水量に則した最適な岩盤(地盤)の透水係数について、経験的な判断を行うこととなく、地下水環境自動予測装置30において定めることができるため、常時、予測することが可能となる。これにより、リアルタイム性を向上させることができ、近い将来発生する湧水に対して、速やかに対策工を計画・協議することができる。
(g)湧水に起因したトンネル切羽災害を削減できる。
(h)従来以上に合理的な排水設備の計画を実行できる。
Claims (4)
- 浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システムに対して、透水係数を含む再現条件を設定する再現条件設定部と、
前記浸透流解析システムによって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得する推定湧水量取得部と、
前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得する湧水量測定値取得部と、
前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定する判定部と、
異なる透水係数を生成する透水係数生成部と、
前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、前記異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システムに行わせる再現解析指示部と、
前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成する学習部と、
前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得る透水係数取得部と、
前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システムに設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る予測解析部と
を有する地下水環境自動予測システム。 - 前記学習部は、前記判定部によって前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあると判定されるまで、繰り返して学習を行う
請求項1に記載の地下水環境自動予測システム。 - 前記予測解析部によって得られた予測湧水量を現場端末に出力する予測情報提供部
を有する請求項1または請求項2に記載の地下水環境自動予測システム。 - 再現条件設定部が、浸透流解析を行うことで推定された湧水量である推定湧水量を求める浸透流解析システムに対して、透水係数を含む再現条件を設定し、
推定湧水量取得部が、前記浸透流解析システムによって前記再現条件に基づいて算出される推定湧水量を取得し、
湧水量測定値取得部が、前記浸透流解析を行う対象のトンネルの切羽に生じる湧水量を測定した結果である湧水量測定値を取得し、
判定部が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲にあるか否かを判定し、
再現解析指示部が、前記推定湧水量が前記湧水量測定値を基準とした所定範囲ではない場合に、異なる透水係数を含む再現条件とした浸透流解析を前記浸透流解析システムに行わせ、
学習部が、前記再現条件として用いられた透水係数と、当該透水係数を用いて得られた推定湧水量とを教師データとして用い、前記透水係数と前記推定湧水量との関係を学習することで、学習済みモデルを生成し、
透水係数取得部が、前記学習済みモデルに、湧水量を予測したい予測対象の掘削位置よりも坑口側において測定された湧水量測定値を入力することで、前記予測対象の掘削位置における透水係数である予測位置透水係数を得て、
予測解析部が、前記予測対象の掘削位置における透水係数を含む予測条件を前記浸透流解析システムに設定して浸透流解析を行わせることで、前記予測対象の掘削位置において掘削を行った場合に生じる湧水量である予測湧水量を得る
地下水環境自動予測方法。
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