〔1.全体構成〕
図1は、津波避難戦略検討支援システム1の全体的な構成の例を示す図である。図2は、避難分析サーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。
図1に示す津波避難戦略検討支援システム1は、津波からの避難の戦略または方針の検討を支援するシステムであって、避難訓練のデータを様々な観点で分析して情報をユーザへ提示する。
津波避難戦略検討支援システム1は、避難分析サーバ2、1台または複数台のクライアント3、複数台のスマートフォン4、および通信回線10などによって構成される。避難分析サーバ2、各クライアント3、および各スマートフォン4は、通信回線10を介して互いにデータのやり取りを行うことができる。通信回線10として、インターネット、LAN(Local Area Network)回線、または公衆回線などが用いられる。
避難分析サーバ2は、避難に関する分析を行い、分析の結果をクライアント3へ提供する。避難分析サーバ2として、いわゆるサーバ装置またはクラウドサーバが用いられる。以下、サーバ装置が避難分析サーバ2として用いられる場合を例に説明する。
避難分析サーバ2は、図2に示すように、コンピュータ本体21、ディスプレイ22a、キーボード22b、およびポインティングデバイス22cなどによって構成される。コンピュータ本体21は、メインプロセッサ21a、RAM(Random Access Memory)21b、ROM(Read Only Memory)21c、補助記憶装置21d、ネットワークアダプタ21e、入出力インタフェース21f、およびグラフィックボード21gなどによって構成される。
メインプロセッサ21aは、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサであって、RAM21bにロードされたプログラムを実行する。
ROM21cまたは補助記憶装置21dには、オペレーティングシステムのほか分析サービス提供プログラム20(図3参照)がインストールされている。分析サービス提供プログラム20は、RAM21bにロードされ、メインプロセッサ21aによって実行される。他のプログラムも適宜、RAM21bにロードされ、メインプロセッサ21aによって実行される。補助記憶装置21dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。分析サービス提供プログラム20については、後に詳細に説明する。
ネットワークアダプタ21eは、通信回線10を介してクライアント3およびスマートフォン4と通信するためのNIC(Network Interface Card)などの通信装置である。入出力インタフェース21fは、USB(Universal Serial Bus)などの規格に対応した入出力ボードであって、キーボード22bおよびポインティングデバイス22cが接続される。
グラフィックボード21gは、画面を表示するための映像信号を生成しディスプレイ22aへ送信する。「ビデオボード」または「ビデオカード」などと呼ばれることもある。ディスプレイ22aは、グラフィックボード21gに繋がれており、グラフィックボード21gからの映像信号に基づいて画像を表示する。
ディスプレイ22aは、映像信号に基づいて、コマンドまたは情報を入力するための画面およびメインプロセッサ21aによる処理の実行結果を示す画面などを表示する。
キーボード22bおよびポインティングデバイス22cは、コマンドまたは情報を入力するために用いられる。
図1に戻って、クライアント3は、避難分析サーバ2が提供する分析等のサービスをユーザが受けるための端末装置である。行政機関または企業などの組織に所属する防災担当者、学術機関の研究者、およびコンサルティング企業の研究者など様々なユーザが津波からの避難の戦略または方針の検討するために、クライアント3を介して本サービスを受ける。クライアント3として、ウェブブラウザがインストールされたパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはスマートフォンなどが用いられる。
スマートフォン4は、避難訓練のデータを収集し避難分析サーバ2へ送信するために用いられる。スマートフォン4には、避難訓練アプリケーション40(図4参照)がインストールされている。避難訓練アプリケーション40については、後に詳細に説明する。
〔2.各部の機能的構成の概要〕
図3は、避難分析サーバ2の機能的構成の例を示す図である。図4は、スマートフォン4の機能的構成の例を示す図である。
分析サービス提供プログラム20によると、図3に示すメイン画面表示部201、分析用データ選出部202、地区登録部203、マッピング処理部204、経過更新部205、再評価部206、項目別分析部207、フィルタリング処理部208、地区分析部209、浸水領域表示部210、避難訓練データ記憶部211、浸水想定データ記憶部212、分析用データ記憶部213、および地区範囲データ記憶部214などの各機能が避難分析サーバ2に実現される。
避難訓練アプリケーション40によると、図4に示す避難訓練評価部401、ログデータ生成部402、訓練属性データ生成部403、避難訓練データ送信部404、および浸水想定データ記憶部411などの各機能がスマートフォン4に実現される。
以下、避難分析サーバ2の各部、クライアント3、およびスマートフォン4の各部の処理について、順次、説明する。
〔3.各部の詳細〕
〔3.1 サンプルの収集〕
図5は、避難訓練アプリケーション40による全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。図6は、避難訓練データ53および分析用データ54の例を示す図である。
後述するように避難分析サーバ2による分析は、様々なユーザ(個人)が行った避難訓練の結果に基づいて行われる。避難訓練の結果は、スマートフォン4によって取得され、避難分析サーバ2へ提供される。
ここで、あるユーザ43が自宅から避難先へ避難する避難訓練を行った場合を例に、避難分析サーバ2およびスマートフォン4それぞれにおける、避難訓練の結果の取得のための処理を説明する。
スマートフォン4の浸水想定データ記憶部411には、避難訓練用のデータとして、想定される複数の津波それぞれの浸水想定データ50が予め記憶されている。以下、発生頻度が極めて低いが規模が最大クラスである津波(L2津波)、L2津波よりも規模が小さいが比較的発生頻度の高い津波(L1津波)、および半割れ地震の後に続発する地震によって生じる津波(R津波)それぞれの浸水想定データ50が記憶されている場合を例に説明する。ただし、津波による浸水に関する新たな想定データが最新の津波浸水シミュレーションによって発行されるごとに、その想定データが浸水想定データ50として浸水想定データ記憶部411に記憶される。後述する浸水想定データ記憶部212においても同様である。
浸水想定データ50には、地震の発生時刻を基準とする所定の時刻ごとの、各位置または領域の、津波の高さを示す。以下、発生時刻の1分後、2分後、3分後、…のように所定の時刻が1分刻みである場合を例に説明する。
例えば、L2津波の浸水想定データ50には、所定の時刻ごとの、すなわち、地震の発生時刻の1分後、2分後、3分後、…それぞれの、各位置または領域におけるL2津波の高さが示される。
また、浸水想定データ50によると、各位置または領域への津波の到達時刻を想定することができる。例えば、ある位置における高さが発生時刻の18分後に初めて0メートルを超えることが浸水想定データ50に示されていれば、発生時刻の18分後に津波が到達すると想定することができる。
ユーザ43は、避難訓練を開始する前に、自分のスマートフォン4に避難訓練アプリケーション40を起動させておく。スマートフォン4へ、上記の3つの津波の中から今回の避難訓練において想定する津波を訓練想定津波として指定し、さらに、今回の避難訓練に係る仮想の地震の発生時刻から自宅を出発するまでに要する時間を準備時間Tpとして入力する。一般に、地震の発生直後に出発するのは危険であり、揺れが終わってから速やかに逃げるのが鉄則である。立っていられないほどの大地震の強い揺れの継続地震は2~3分であると言われている。そこで、準備時間Tpとして、例えば、3分くらいを入力してもよい。ただし、要介助者と一緒に避難したり、火の元の安全を確認したり、避難先へ持参する物を用意したり、ユーザごとに様々な事情がある。東日本大震災に関する調査によると、出発するまでに平均で15~20分程度かそれ以上の時間を要するという結果が得られたと言われている。そこで、ユーザ43は、自らの実際の事情または想定する地震の規模などに鑑みて準備時間Tpを入力する。また、様々なケースを想定し、複数回、準備時間Tpを変えながら訓練するのが望ましい。以下、分単位の時間が準備時間Tpとして入力される場合を例に説明する。
そして、ユーザ43は、スマートフォン4へスタートコマンドを入力し、スマートフォン4を持って自宅から避難先へ向かう。この際に、ユーザ43は、自治体等が予め指定し周知している複数の避難場所(特定の高台、公的施設、避難タワー、高層ビルなど)のうちのいずれか1つの避難場所を心の中で避難先として選ぶ。または、後述するように、これら以外の避難場所を臨機応変に選んでもよい。
以下、仮想の地震が発生した時刻を「仮想地震発生時刻」と記載する。仮想地震発生時刻は、「0秒」である。仮想地震発生時刻から準備時間Tpを経過した時点でユーザ43が避難先へ向かうと仮定されるので、スタートコマンドが入力された時刻は、仮想地震発生時刻から準備時間Tpだけ進んだ時刻である。また、避難場所ごとに、緯度経度、標高、種類、および名称が予め避難分析サーバ2に設定されている。
避難訓練評価部401は、スタートコマンドが入力されると、今回の避難訓練に関する評価を例えば図5に示す手順で行う。
避難訓練評価部401は、後述の避難完了報告が入力されるまでの間(#801でNo)、定期的に(#802でYes)、ユーザ43の避難訓練の途中経過を次のように評価する。なお、本実施形態では、1分ごとに評価するものとする。
避難訓練評価部401は、ユーザ43の現在地すなわちスマートフォン4の現在の緯度および経度を特定する(#803)。さらに、コマンドの入力前に指定された訓練想定津波が現在地に到達する時刻を、訓練想定津波の浸水想定データ50に基づいて想定する(#804)。以下、図5のフローチャートの説明において、この時刻を「到達想定時刻」と記載する。さらに、避難訓練評価部401は、到達想定時刻から現在の時刻を引いた値を接近時間Trとして算出する(#805)。
そして、接近時間Trが0以下であれば、つまり、現在の時刻が到達想定時刻に達していれば(#806でYes)、訓練想定津波が現在地に到達していると考えられるので、避難訓練評価部401は、「浸水」と評価する(#807)。両時刻は、仮想地震発生時刻を基準とする時刻である。後述する通り、1回でも「浸水」と評価されると避難に失敗したものとして取り扱われるが、シミュレーションのための情報を収集するために、ユーザ43は、避難先へ到着するまで避難訓練を継続する。
または、接近時間Trが正の所定の時間(例えば、5分)未満でありかつ正の値である場合、つまり、津波がこの所定の時間前まで迫っていると考えられる場合は(#806でNo、#808でYes)、避難訓練評価部401は、「危険」と評価する(#809)。一方、この所定の値以上である場合は(#806でNo、#808でNo)、「順調」と評価する(#810)。
ユーザ43は、避難先に到着したら、所定のボタンをタップすることによって避難完了報告をスマートフォン4へ入力する。この際に、避難タワーまたはビルなどの建築物が避難先である場合は、さらに、何階へ避難したのかを入力する。なお、避難先は、訓練の開始時に選択した避難場所でなくても構わない。ユーザ43は、訓練中の状況に鑑みながら適宜、避難先を変更してもよい。つまり、避難終了地点または終了場所が避難先である。
避難完了報告が入力されると(#801でYes)、避難訓練評価部401は、今回の避難訓練を総合的に次のように評価する。
避難訓練評価部401は、仮想地震発生時刻から所定の時間(例えば、2時間)が経過するまでの間に訓練想定津波が避難先に到達するか否かを、訓練想定津波の浸水想定データ50に基づいて判別する(#811)。この際に、避難先である階の高さが考慮される。すなわち、階の高さが終始、訓練想定津波の高さを上回る場合は、訓練想定津波が避難先に到達しないと判別し、訓練想定津波の高さが階の高さを超えることがある場合は、到達すると判別する。階の高さは、例えば、3メートル×(k-1)、などの式に基づいて算出すればよい。「k」は、階数である。
そして、訓練想定津波が到達すると判別した場合は(#812でYes)、避難訓練評価部401は、「失敗」と評価する(#813)。
または、訓練想定津波が到達しない判別した場合は(#812でNo)、避難訓練評価部401は、次のように評価する。途中経過の評価結果がすべて「順調」であれば(#814でYes)、「成功」と評価する(#815)。または、途中経過の評価結果の一部が「危険」であり残りがすべて「順調」である場合は(#814でNo、#816でYes)、「危機一髪」と評価する(#817)。または、途中経過の評価結果として「浸水」が1つでも含まれる場合は(#814でNo、#816でNo)、「失敗」と評価する(#813)。
なお、避難訓練評価部401による処理の全部分または一部分を、スマートフォン4ではなく避難分析サーバ2において実行してもよい。または、浸水想定データ記憶部411をスマートフォン4に設けず、避難分析サーバ2の浸水想定データ記憶部212を使用してもよい。この場合に、スマートフォン4は、評価を行う時刻ごとに(本実施形態では、1分おきに)現在地の緯度経度を避難分析サーバ2へ通知する。すると、避難分析サーバ2は、浸水想定データ記憶部212に記憶されている浸水想定データ50に基づいて、通知された現在地に訓練想定津波が到達する津波到達時刻を算出し、スマートフォン4へ返信する。そして、スマートフォン4は、返信された津波到達時刻に基づいて、ステップ#811~#817の処理を行う。
図4に戻って、ログデータ生成部402は、避難訓練評価部401による処理が終わると、ログデータ51を生成する。ログデータ51には、図6のように、仮想地震発生時刻、移動開始時刻(つまり、仮想地震発生時刻から準備時間Tpが経過した時刻)、および移動開始後の各所定の時刻におけるユーザ43の位置、接近時間Tr、および途中経過の評価結果と、準備時間Tpと、総合の評価結果と、今回指定された訓練想定津波と、今回の避難訓練を実施した実施地域と、今回の避難訓練を実施した実施日時と、最接近時間とが示される。実施日時は、スマートフォン4のオペレーティングシステムから取得することができる。実施地域は、ユーザ43の最初の位置に基づいて特定することができる。以下、地域の単位が市区町村である場合を例に説明する。最接近時間は、所定の時刻ごとに算出した接近時間Trのうち、最も小さい値である。
なお、避難訓練中、スマートフォン4のディスプレイには、途中経過の評価結果、ユーザ43の現在地および周辺を示すマップ(地図)、および出発場所(本例では、自宅)から現在地までの軌跡がスマートフォン4のディスプレイに表示される。また、避難訓練の終了後、総合の評価結果が表示される。
ログデータ生成部402を既存のアプリケーションによって実現してもよい。例えば、京都大学防災研究所 矢守研究室「逃げトレ」開発チームのアプリケーション「逃げトレ」(https://nigetore.jp/)によって実現してもよい。この場合は、このアプリケーションを、3つの津波それぞれに応じて上記のように途中経過の評価ができるように拡張すればよい。
訓練属性データ生成部403は、図6のような、今回の避難訓練の属性を示す属性データ52を、例えば次のように生成する。
訓練属性データ生成部403は、所定の入力画面をタッチパネルディスプレイに表示させ、ユーザ43に関する情報として、ユーザ43の年齢、性別、出発場所、避難先である避難場所、日常生活での介助の要否、避難の際の介助の要否、同行者の有無、公的な避難訓練への参加経験の有無、およびスマートフォン4を見ながら移動するか否かなどをユーザ43に入力させる。さらに、避難訓練時の環境の情報として、避難訓練時における自宅の天候および時間帯を入力させる。「時間帯」は、太陽が出ているか否か、すなわち、「日中」および「夜間」のいずれかであってもよい。ただし、ユーザ43は、避難先として、自治体等が指定する複数の避難場所のうちのいずれかを入力する。しかし、やむを得ず、それ以外の場所へ避難した場合は、その場所の名称および種類を入力する。
なお、訓練属性データ生成部403は、これらの情報のうちの一部をユーザ43に入力させる代わりに、住民基本台帳ネットワークシステム(いわゆる住基ネット)またはインターネット関連サービス(例えば、Google、Yahoo、またはFacebook)のシステムなど、既存のシステムから取得してもよい。現在の天候を、気象情報を配信するシステムなどから取得し、現在の時間帯を、スマートフォン4のオペレーティングシステムなどから取得してもよい。時間帯が「日中」および「夜間」のいずれかである場合は、現在の時刻ならびに当日の日出時刻および日没時刻に基づいて特定してもよい。避難先である避難場所を、避難完了報告が入力された時点での、スマートフォン4の位置情報に基づいて特定してもよい。例えば、スマートフォン4の位置に最も近い避難場所を避難先として特定してもよい。ただし、スマートフォン4の位置と最も近い避難場所との距離が所定以上である場合は、指定外の避難場所が避難先である可能性がある。そこで、その場合は、その避難場所の名称および種類をユーザ43に入力させる。
また、これらの情報は、避難訓練の終了後に入力されてもよいし、開始前に入力されてもよい。
避難訓練データ送信部404は、ログデータ51および属性データ52を含むデータを避難訓練データ53として避難分析サーバ2へ送信する。
すると、避難分析サーバ2において、避難訓練データ記憶部211は、避難訓練データ53を取得して記憶する。
様々なユーザが上述の通り避難訓練を行い、そのたびに避難分析サーバ2および各ユーザのスマートフォン4が上述の処理を行うことによって、多数のサンプルの避難訓練データ53が避難訓練データ記憶部211に蓄積される。
〔3.2 分析のための準備〕
図7は、メイン画面6の例を示す図である。図8は、対象設定ウィンドウ71および一般設定ウィンドウ73の例を示す図である。図9は、地区選択画面69の例を示す図である。
浸水想定データ記憶部212(図3参照)には、スマートフォン4の浸水想定データ記憶部411(図4参照)と同様に、L2津波、L1津波、およびR津波それぞれの浸水想定データ50が予め記憶されている。
避難分析サーバ2には、避難に関する分析のモードとして、実状モードおよびシミュレーションモードの2つが用意されている。「実状モード」は、上述のような実際の避難訓練のサンプルに基づいて避難の成否などを分析するモードである。一方、「シミュレーションモード」は、指定された条件に応じて避難訓練のサンプルを書き換えて避難訓練をシミュレーションし、その結果に基づいて避難の成否などを分析するモードである。デフォルトのモードは、実状モードである。
どちらのモードを使用する場合においても、以下の通り、準備のための作業および処理が行われる。
防災を担当するオペレータ33は、予めクライアント3にウェブブラウザを起動させておく。そして、避難分析サーバ2の所定のURL(Uniform Resource Locator)を指定する。
すると、メイン画面表示部201は、図7のようなメイン画面6をクライアント3のディスプレイに表示させる。メイン画面6は、分析のサービスのメインのウェブページである。
メイン画面表示部201は、メイン画面6のHTML(Hypertext Markup Language)ファイル、CSS(Cascading Style Sheets)ファイル、または画像ファイルなどをクライアント3へ配信し、クライアント3のウェブブラウザは、これらのファイルに基づいてメイン画面6をディスプレイに表示させる。後述する他のウェブページも同様の仕組みによって表示される。
メイン画面6は、マップ60ならびにマップ60の上に配置される対象設定ボタン61、サンプル数インジケータ62、一般設定ボタン63、シミュレーションボタン64、浸水領域ボタン65、切替ボタン66、拡大ボタン67a、縮小ボタン67b、および複数の項目ボタン68などによって構成される。
オペレータ33は、対象設定ボタン61ないし項目ボタン68の各オブジェクトを操作することによって、種々の条件を避難分析サーバ2に設定したり種々の処理を避難分析サーバ2に実行させたりすることができる。また、これらのオブジェクトをドラッグアンドドロップすることによってマップ60の上の任意の位置へ移動させることができる。
デフォルトでは、マップ60として真っ白な画像が表示される。または、前回、マップ60として表示していたマップが表示されてもよいし、日本全体のマップが表示されてもよい。また、マップ60には、避難場所(自治体等が指定する避難場所)ごとの位置がマーク604として示される。
分析用データ選出部202は、避難訓練データ記憶部211の中から今回使用する避難訓練データ53(図6参照)を、例えば次のように選出する。
対象設定ボタン61がクリックされると、分析用データ選出部202は、対象設定ボタン61に代えてマップ60の上に図8(A)のような対象設定ウィンドウ71を配置する。
ここで、オペレータ33は、分析の対象の地域(本実施形態では、市区町村)、期間、および津波を次のように選択する。地域リストボックス71aをクリックすると、地域の一覧がプルダウンで表示される。オペレータ33は、一覧の中から、分析の対象とする地域を選択する。また、始期ボックス71bをクリックするとカレンダーが表示されるので、オペレータ33は、カレンダーの中から、分析の対象とする期間の始期(開始日)を選択する。同様に、周期ボックス71cをクリックするとカレンダーが表示されるので、期間の終期(終了日)を選択する。これにより、期間が選択される。または、始期および終期をキーボードで直接入力してもよい。さらに、分析の対象の津波を、ラジオボタン群72dの中の、それに対応するラジオボタンをクリックすることによって選択する。そして、設定ボタン71eをクリックする。以下、選択された地域を「対象地域」と記載し、選択された期間を「対象期間」と記載し、選択された津波を「対象津波」と記載する。
すると、分析用データ選出部202は、避難訓練データ記憶部211に記憶されている避難訓練データ53のうちの、実施日時が対象期間に該当し、訓練想定津波が対象津波に一致し、かつ、実施地域が対象地域に該当するものを選出する。そして、選出した避難訓練データ53のコピーを分析用データ54として分析用データ記憶部213に記憶させる。さらに、対象地域のマップをマップ60としてメイン画面6に配置するとともに、分析用データ54の総数が示されるようにサンプル数インジケータ62を更新する。
また、設定ボタン71eがクリックされ、対象設定ウィンドウ71の右上の角の「<」ボタンがクリックされると、対象設定ウィンドウ71が閉じ、図7のように再び対象設定ボタン61がメイン画面6に配置される。
なお、マップ60すなわち対象地域の一部分しかメイン画面6に現われていないことがある。このような場合に、オペレータ33は、縮小ボタン67bによってマップ60を縮小させ、または、マップ60をドラッグすることによってメイン画面6に対するマップ60の位置を変えることによって、マップ60の全体を確認したり他の部分を確認したりすることができる。拡大ボタン67aによってマップ60を拡大さることもできる。
地区登録部203は、対象地域を複数の地区に分割して登録する処理を、例えば次のように実行する。
地区登録部203は、一般設定ボタン63がクリックされると、一般設定ボタン63に代えてマップ60の上に図8(B)のような一般設定ウィンドウ73を配置する。一般設定ウィンドウ73において、新規作成ボタン73aがクリックされると、メイン画面6に代えて、図9のような地区選択画面69をクライアント3のディスプレイに表示させる。
地区選択画面69は、マップ691ならびにマップ691の上に配置される描画ツールボタン群692、サンプル表示スイッチ693、および完了ボタン694などによって構成されるウェブページである。
マップ691は、マップ60と同様、対象地域のマップである。描画ツールボタン群692は、線を描画するツール、線を選択するツール、および線を移動させるツールなどを呼び出す複数のボタンを有する。オペレータ33は、これらのツールを使用しながら、対象地域の複数の地区それぞれの範囲を指定する。図9においては、4つの地区それぞれの範囲が太線で示されている。
オペレータ33は、各地区の範囲を指定し終えたら、完了ボタン694をクリックする。すると、地区登録部203は、テキストボックスおよび完了ボタンを有するダイアログボックスをクライアント3のディスプレイに表示させる。オペレータ33は、今回の分割の仕方の名称をテキストボックスへ入力し、完了ボタンをクリックする。
そして、地区登録部203は、入力された名称、各地区の指定された範囲、および対象地域の識別子を示す地区範囲データ55を生成して地区範囲データ記憶部214に記憶させる。
なお、後述するマッピング処理が既に行われた場合は、オペレータ33がサンプル表示スイッチ693をオンに切り換えると、直近のマッピング処理の結果に基づいて各サンプルのドットがマップ691に配置される。
また、ダイアログボックスの完了ボタンがクリックされると、地区選択画面69およびダイアログボックスが閉じる。そして、メイン画面6が再び、一般設定ウィンドウ73(図8(B)参照)が配置された状態で表示される。このとき、一般設定ウィンドウ73の分割リスト73bに、ダイアログボックスのテキストボックスに入力された名称が、追加される。
オペレータ33は、対象地域の分割の仕方を複数、登録しておくことができる。例えば、自治体が定める住所表示の区画ごとに分割したり、町内会ごとに分割したり、地形的な特徴を有する領域(海岸、河岸、窪地、丘陵など)ごとに分割したり、避難先からの距離ごとに分割したりしてもよい。分割の仕方ごとに地区範囲データ55が上述の方法で生成され地区範囲データ記憶部214に記憶される。
また、地区登録部203は、分割の仕方およびその名称を変更する機能および他のコンピュータまたは記録媒体から地区範囲データ55をインポートする機能などを備えている。なお、地域(市区町村)ごとに、上記の例のうちの少なくとも1つに係る地区範囲データ55をデフォルトで地区登録部203に用意しておいてもよい。
適用ボタン73cがクリックされると、一般設定ウィンドウ73が閉じ、図7のように再び一般設定ボタン63がメイン画面6に配置される。
一般設定ウィンドウ73は、対象地域の分割以外の事項に関する設定のためにも使用される。これについては、順次、説明する。
〔3.3 実状モード〕
図10は、メイン画面6にドット600が配置された様子の例を示す図である。図11は、個別情報ウィンドウ601の例を示す図である。
マッピング処理部204は、避難訓練のサンプルそれぞれの分析用データ54に基づいて、ドット600として、サンプルそれぞれのドットを次のようにマップ60の上に配置する。以下、このようにドット600をマップ60に配置する処理を「マッピング処理」と記載する。
シミュレーションモードが設定されている場合は、後述するように、オペレータ33によって指定された条件に応じて分析用データ54が書き換えられた後にマッピング処理が実行される。一方、実状モードが設定されている場合は、原則として、分析用データ54が書き換えられることなく実行される。
実状モードにおいて、マッピング処理部204は、分析用データ記憶部213の中から1つの分析用データ54を任意に選出する。選出した分析用データ54に含まれるログデータ51(図6参照)に示される、仮想地震発生時刻における位置(つまり、時刻が「0」のときの位置)を、メイン画面6のマップ60の中から特定する。例えば、仮想地震発生時刻における位置として(X_0,Y_0)という経度および緯度が示される場合は、マップ60における、この経度および緯度の位置を特定する。
そして、マッピング処理部204は、図10に示すように、マップ60の中の特定した位置にドット600を配置する。この際に、このログデータ51に示される総合の評価結果が「成功」であればドット600を緑色に着色し、「危機一髪」であれば黄色に着色し、「失敗」であれば赤色に着色しておく。または、ドットの形状によって評価結果を区別してもよい。例えば、「成功」であれば円のドットを用い、「危機一髪」であれば正三角形のドットを用い、「失敗」であれば正方形のドットを用いてもよい。なお、紙面の都合上、図10には、すべてのドット600のうちの代表的な幾つかのドット600にのみ符号を付している。他の図面においても、同様である。
マッピング処理部204は、分析用データ記憶部213に記憶されている残りの分析用データ54についても同様の方法で、総合の評価結果に応じた態様でドット600をマップ60に配置する。
これにより、マップ60には、分析用データ54それぞれに係るドット600が配置される。つまり、マッピング処理部204によると、対象地域のユーザそれぞれの出発場所の位置および避難訓練の総合の評価結果がマップ60に示される。
オペレータ33がいずれかのドット600をクリックすると、マッピング処理部204は、クリックされたドット600に対応するサンプルに関する情報を表示させる。具体的には、そのサンプルの分析用データ54のログデータ51および属性データ52それぞれに示される情報の全部または一部を、図11のような個別情報ウィンドウ601としてマップ60の上にポップアップ表示させる。移動距離は、隣り合う2つの時刻それぞれの位置同士の距離の総計であり、歩く速さは、総計を避難時間(避難開始から避難先への到着までの時間)で割ったものである。図11では歩く速さを分速で表わしているが、秒速または時速であってもよい。ただし、分単位で途中経過が評価されるので、オペレータ33にとって、分速が分かり易い。
なお、上述の通り実状モードがデフォルトで設定されているので、対象設定ウィンドウ71(図8(A)参照)において対象地域が選択され設定ボタン71eがクリックされたタイミングで、マッピング処理部204は、実状モードによるマッピング処理を実行すればよい。
また、対象地域の各地区の範囲を表わす境界線(例えば、点線または一点鎖線)をマップ60に配置してもよい。シミュレーションモードにおいても、同様である。
また、オペレータ33は、一般設定ウィンドウ73(図8(B)参照)のラジオボタン群73dによってドット600の大きさを調整することができる。マッピング処理部204は、ラジオボタン群73dにおいて指定されたサイズでマップ60へドット600を配置する。
〔3.4 シミュレーションモード〕
図12は、条件変更画面74の例を示す図である。図13は、ログ変更処理の流れの例を説明するフローチャートである。図14は、ログデータ51の遷移の様子の例を示す図である。図15は、再評価処理の流れの例を説明するフローチャートである。
シミュレーションモードにおけるマッピング処理は、概ね次の手順で行われる。オペレータ33が指定した条件に基づいて経過更新部205がサンプルの情報を更新し、サンプルを再評価部206が評価する。そして、評価の結果に基づいてマッピング処理部204がマッピング処理を行う。具体的には、次の通りである。
オペレータ33は、メイン画面6のシミュレーションボタン64をクリックする。すると、経過更新部205は、図12のような条件変更画面74をシミュレーションボタン64に代えてマップ60の上に配置する。
ここで、オペレータ33は、シミュレーションの際の条件を指定する。シミュレーションする津波をL2津波、L1津波、およびR津波の中から指定したい場合は、チェックボックス74aをオンにして、ラジオボタン群74bの中からそれに対応するラジオボタンをクリックする。
または、準備時間Tpを一律に指定したい場合は、オペレータ33は、チェックボックス74cおよびラジオボタン74dの両方をオンにして、準備時間Tpとして設定する時間をテキストボックス74eに入力する。または、準備時間Tpを一律の時間だけ増減させたい場合は、チェックボックス74cおよびラジオボタン74fの両方をオンにして、増減させたい時間をテキストボックス74eに入力する。例えば、準備時間Tpを一律に5分だけ増やしたい場合は「5」を入力し、7分だけ減らしたい場合は「-7」を入力する。
または、オペレータ33は、避難速度(避難訓練時の移動の速さ)を変更してシミュレーションさせた場合は、チェックボックス74gをオンにする。そして、避難速度として実際の避難訓練のときの0.8倍を指定したい場合はラジオボタン74hをオンにし、0.5倍を指定したい場合はラジオボタン74iをオンにし、高齢者の歩く速さを指定したい場合はラジオボタン74jをオンにする。
そして、完了ボタン74kがクリックされると、条件変更画面74が閉じ、図7のように再びシミュレーションボタン64がメイン画面6に配置される。
経過更新部205は、分析用データ記憶部213に記憶されている各分析用データ54(図6参照)を、条件変更画面74において指定された条件に基づいて書き換える。ここで、分析用データ54の書換えの処理を、図13に示すフローチャートおよび図14に示す遷移の例を参照しながら説明する。
準備時間Tpの一律化が指定された場合、すなわち、図12の条件変更画面74において、チェックボックス74cおよびラジオボタン74dがオンでありかつテキストボックス74eに時間が入力された場合は(図13の#821でYes)、経過更新部205は、分析用データ54それぞれのログデータ51を、この入力された時間が準備時間として示されるように更新する(#822)。
または、準備時間Tpを一律に増減させるように指定された場合、すなわち、チェックボックス74cおよびラジオボタン74fがオンでありかつテキストボックス74eに時間が入力された場合は(#821でNo、#823でYes)、経過更新部205は、各ログデータ51を、この入力された時間が準備時間と仮想地震発生時刻以外の各時刻とに加算されるように更新する(#824)。具体的には、正の値が入力された場合は、その値だけ準備時間と仮想地震発生時刻以外の各時刻とを増やし、負の値が入力された場合は、その絶対値だけ減らす。
例えば、あるログデータ51が図14(A)のような内容である場合において、準備時間Tpを「3分」増やすように指定された場合は、経過更新部205は、図14(B)のように、そのログデータ51に示される準備時間を「5分」から「8分」に更新し、「5分」、「6分」、…、「17分」の各時刻を「8分」、「9分」、…、「20分」に更新する。
また、実際の避難訓練のときの0.8倍が避難速度として指定された場合は(#825でYes)、経過更新部205は、実際の0.8倍の速さで移動したように各ログデータ51を更新する(#826)。具体的には、各ログデータ51に示されるi番目の時刻T_iを、Tp+(T_i-Tp)×(1/0.8)に更新する。ただし、i=3,4,5,…、である。または、0.5倍が指定された場合は(#825でNo、#827でYes)、実際の0.5倍の速さで移動したように各ログデータ51を更新する(#828)。具体的には、各ログデータ51に示される各時刻T_iを、Tp+(T_i-Tp)×(1/0.5)に更新する。
または、高齢者の歩く速さが指定された場合は(#825でNo、#827でNo、#829でYes)、経過更新部205は、高齢者の歩くときの一般的な速さP(例えば、秒速1メートル)で移動したように各ログデータ51を更新する(#830)。
具体的には、経過更新部205は、(i-1)番目の時刻とi番目の時刻との間に移動した距離Liを、それぞれの時刻における位置に基づいて算出する。または、GPS(Global Positioning System)機能によって位置をもっと細かい時間間隔(例えば、10秒間隔)で予め測定し、測定結果に基づいて距離Liを算出してもよい。距離Liを移動する時間Mi、すなわち、Mi=Li/P、を算出する。そして、i番目の時刻が次の(1)式のT’iになるように各ログデータ51を更新する。
例えば、あるログデータ51が図14(B)のような内容である場合において、避難速度として0.5倍が指定された場合は、経過更新部205は、そのログデータ51に示される3番目以降の時刻を(8+(9-8)×(1/0.5))分、(8+(10-8)×(1/0.5))分、…、(8+(20-8)×(1/0.5))分、つまり、図14(C)のように「10分」、「12分」、…、「32分」に更新する。
また、L2津波、L1津波、およびR津波のいずれかが想定津波として指定された場合は(#831でYes)、経過更新部205は、各ログデータ51に示される訓練想定津波を、指定された津波に更新する(#832)。
再評価部206は、経過更新部205によって更新された各ログデータ51に基づいて、各サンプルの各時刻における途中経過の評価および総合的な評価を行う。評価の仕組みは基本的に、スマートフォン4のログデータ生成部402(図4参照)による評価の仕組みと同様であって、図15に示す通りである。
すなわち、再評価部206は、各ログデータ51に示される訓練想定津波が各ログデータ51のu番目(u=1,2,…)の位置に到達する時刻を、その訓練想定津波の浸水想定データ50に基づいて想定する(図15で#842)。以下、図15のフローチャートの説明において、この時刻を「到達想定時刻」と記載する。さらに、再評価部206は、u番目の位置の到達想定時刻からu番目の時刻を引いた値を接近時間Tcとして算出する(#843)。
接近時間Tcが0以下であれば、つまり、u番目の時刻がu番目の位置の到達想定時刻に達していれば(#844でYes)、再評価部206は、u番目の途中経過を「浸水」と評価する(#845)。接近時間Tcが所定の時間(例えば、5分)未満でありかつ正の値である場合は(#844でNo、#846でYes)、「危険」と評価する(#847)。所定の値以上である場合は(#844でNo、#846でNo)、「順調」と評価する(#848)。
ログデータ51に示されるすべての時刻について途中経過を評価したら、再評価部206は、次のように総合の評価を行う。
再評価部206は、仮想地震発生時刻から所定の時間(例えば、2時間)が経過するまでの間に訓練想定津波が避難先に到達するか否かを、訓練想定津波の浸水想定データ50に基づいて判別する(#851)。この際に避難先である階の高さを考慮する点も、図5で説明した通りである。そして、訓練想定津波が到達すると判別した場合は(#852でYes)、「失敗」と評価する(#853)。
そうでない場合は(#852でNo)、再評価部206は、途中経過の評価結果に基づいて総合の評価を行う(#854~#857、#853)。評価の処理は、図5の#814~#817、#813で説明した処理と同様である。
そして、再評価部206は、途中経過および総合それぞれの評価の結果が示されるように各ログデータ51を更新する(#858)。この際に、各ログデータ51を、最接近時間として各時刻の接近時間Tcのうちの最小値が示されるように更新する。これにより、例えば、あるログデータ51が、図14(C)に示す状態から図14(D)に示す状態に更新される。
以上の処理によって、分析用データ記憶部213に記憶されている分析用データ54それぞれのログデータ51が、オペレータ33によって指定された条件に合わせて更新される。
マッピング処理部204は、これらの分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う。マッピング処理の方法は、更新されたログデータ51を使用する点以外、上述の実状モードでの方法と同様である。
〔3.5 項目別のチャートの表示〕
図16は、チャート画面78a~78dの例を示す図である。図17は、チャート画面78e~78hの例を示す図である。図18は、チャート画面78i~78nの例を示す図である。図19は、メイン画面6の複数のチャート画面78が開いた様子の例を示す図である。
オペレータ33は、実状モードまたはシミュレーションモードで得られた総合の評価結果を種々の項目ごとに避難分析サーバ2に分析させ、分析結果をチャートによって確認することができる。
項目別分析部207(図3参照)は、分析用データ記憶部213に記憶されている分析用データ54(図6参照)に基づいて、メイン画面6(図7参照)の中からオペレータ33がクリックした項目ボタン68に応じて、次のようにサンプルの分析の処理を行う。
項目ボタン68aがクリックされると、項目別分析部207は、総合的な評価結果を集計する。すなわち、各サンプルの分析用データ54のログデータ51に示される評価結果(総合)に基づいて、総合的な評価結果が「成功」であるサンプル、「危機一髪」であるサンプル、および「失敗」であるサンプルそれぞれの件数を計数し、さらに、全体に占める各件数の割合を算出する。そして、図16(A)のような、「成功」、「危機一髪」、および「失敗」それぞれの件数および割合を示すチャート画面78aを、項目ボタン68aに代えてマップ60の上に配置する。
なお、チャート画面78aの左上方にあるボタンがクリックされると、チャート画面78aが閉じて再び項目ボタン68aが配置される。他の項目ボタン68および他のチャート画面78においても同様である。すなわち、項目ボタン68がクリックされると、それに代えて、対応するチャート画面78が配置され、チャート画面78が閉じられると、それに対応する項目ボタン68が再び配置される。
または、項目ボタン68bがクリックされると、項目別分析部207は、最接近時間を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54のログデータ51に示される最接近時間に基づいて、最接近時間が「~4分」の範囲に該当するサンプル、「5~9分」の範囲に該当するサンプル、…、「30~34分」の範囲に該当するサンプル、および「35分以上」の範囲に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図16(B)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78bをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68cがクリックされると、項目別分析部207は、避難時間を集計する。ここでの「避難時間」は、仮想地震発生時刻から避難先に到着するまで(分析用データ54のログデータ51に示される最後の時刻)の時間である。例えば、各サンプルの分析用データ54のログデータ51に示される最後の時刻に基づいて、避難時間が「0~4分」の範囲に該当するサンプル、「5~9分」の範囲に該当するサンプル、…、「30~34分」の範囲に該当するサンプル、および「35分以上」の範囲に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図16(C)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78cをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68dがクリックされると、項目別分析部207は、準備時間を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54のログデータ51に示される準備時間に基づいて、準備時間が「1分以下」に該当するサンプル、「2分」であるサンプル、…、「7分」であるサンプル、および「8分以上」に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図16(D)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78dをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68eがクリックされると、項目別分析部207は、年齢を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される年齢に基づいて、年齢が「10歳以下」に該当するサンプル、「11~20歳」に該当するサンプル、…、「61~70歳」に該当するサンプル、および「71歳以上」に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図17(A)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78eをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68fがクリックされると、項目別分析部207は、避難速度を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54のログデータ51に示される移動の履歴に基づいて、各サンプルの、移動を開始してから避難先へ到着するまでの移動距離と移動時間とを算出する。そして、移動距離を移動時間で割ることによって避難速度を算出する。以下、小数第一位まで算出するものとする。さらに、項目別分析部207は、避難速度が「秒速0.9キロメートル以下」に該当するサンプル、「秒速1.0~1.9キロメートル」に該当するサンプル、…、「秒速6.0~6.9キロメートル」に該当するサンプル、および「秒速7.0キロメートル以上」に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図17(B)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78fをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68gがクリックされると、項目別分析部207は、出発場所を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される出発場所に基づいて、出発場所が「自宅」であるサンプル、「職場」であるサンプル、「学校」であるサンプル、およびこれら3つ以外すなわち「その他」であるサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図17(C)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78gをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68hがクリックされると、項目別分析部207は、実施時刻を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される実施時刻(実施日時のうちの時刻)に基づいて、実施時刻が「0時台~3時台」に該当するサンプル、「4時台~7時台」に該当するサンプル、…、「20時台~23時台」に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図17(D)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78hをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68iがクリックされると、項目別分析部207は、性別を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される性別に基づいて、性別が「男性」であるサンプルおよび「女性」であるサンプルそれぞれの件数を計数し、全体に対する男性の件数および女性の件数それぞれの割合を算出する。そして、図18(A)のような、それぞれの割合を示すチャート画面78iをマップ60の上に配置する。なお、男性および女性のそれぞれの件数が割合とともにチャート画面78iに示されるようにしてもよい。
または、項目ボタン68jがクリックされると、項目別分析部207は、避難先を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される避難先に基づいて、避難先が「避難タワー」であるサンプル、「避難ビル」であるサンプル、「避難広場」であるサンプル、避難タワーおよび避難ビル以外の建物すなわち「上記以外の屋内」であるサンプル、および避難広場以外の屋外すなわち「上記以外の屋外」であるサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図18(B)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78jをマップ60の上に配置する。なお、集計は、避難場所の種類ごとに行ってもよいし、「○○中学校」、「○○公民館」、または「○○避難タワー」などの個々の避難場所ごとに行ってもよい。
または、項目ボタン68kがクリックされると、項目別分析部207は、避難訓練を行ったのがスマートフォンを見ながらであるか否かを集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される「スマートフォン見ながら」の項目に基づいて、この項目の値が「Yes」であるサンプルおよび「No」であるサンプルそれぞれの件数を計数し、全体に対する「Yes」の件数および「No」の件数それぞれの割合を算出する。そして、図18(C)のような、「Yes」および「No」それぞれの割合を示すチャート画面78kをマップ60の上に配置する。なお、「Yes」および「No」のそれぞれの件数が割合とともにチャート画面78kに示されるようにしてもよい。
または、項目ボタン68mがクリックされると、項目別分析部207は、移動手段を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される移動手段に基づいて、移動手段が「徒歩」であるサンプル、「自転車」であるサンプル、「バイク」であるサンプル、「自動車」であるサンプル、「車いす」であるサンプル、および「シルバーカー」であるサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図18(D)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78mをマップ60の上に配置する。
または、項目ボタン68nがクリックされると、項目別分析部207は、移動距離を集計する。例えば、各サンプルの分析用データ54の属性データ52に示される各時刻の位置に基づいて、各サンプルの移動距離を算出する。以下、小数第一位まで算出するものとする。さらに、項目別分析部207は、移動距離が「1.0キロメートル以下」に該当するサンプル、「1.1~2.0キロメートル」に該当するサンプル、…、「7.1~8.0キロメートル」に該当するサンプル、および「8.1キロメートル以上」に該当するサンプルそれぞれの件数を計数する。そして、図18(E)のような、それぞれの件数を示すチャート画面78nをマップ60の上に配置する。
なお、図19に示すように、オペレータ33は、複数のチャート画面78を複数、同時期に開くことができる。また、チャート画面78を開くと、項目ボタン68およびチャート画面78がメイン画面6に納まり切らなくなることがある。このような場合に、オペレータ33は、これらをスクロールさせことによって一部分ずつ表示させることができる。
〔3.6 フィルタリング〕
図20は、チャート画面78において注目要素が選択された様子の例を示す図である。図21は、フィルタリング適用時におけるメイン画面6の様子の例を示す図である。
図16~図18に例示した通り、オペレータ33は、サンプルに関する情報を項目ごとに避難分析サーバ2に分析させ、分析結果をチャートとして確認することができる。オペレータ33は、さらに、次のように、実状モードまたはシミュレーションモードにおける総合の評価結果を、各項目の内訳ごとに避難分析サーバ2にフィルタリングさせて確認することができる。
図16~図18の各チャート画面78には、フィルタボタン781が1つずつ設けられている。オペレータ33は、フィルタボタン781をクリックする。すると、フィルタボタン781が適用ボタンに置き換わる。オペレータ33は、チャート画面78に配置されている棒グラフの中の任意の棒、円グラフの中の任意の扇形、または帯グラフの中の任意の長方形を1つまたは複数、注目要素として選択し、適用ボタンをクリックする。
すると、フィルタリング処理部208は、分析用データ記憶部213の中から、選択された注目要素(棒、扇形、または長方形)それぞれに対応する分析用データ54を選出する。
そして、マッピング処理部204は、選出された分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う。これにより、選出された分析用データ54に対応するサンプルのドット600がメイン画面6(図7参照)のマップ60に配置され、それ以外のドット600が配置されないように、メイン画面6が更新される。
例えば、チャート画面78eにおいてフィルタボタン781がオンにされた後、図20(A)のようにチャート画面78eの中の棒グラフの中から「11~20歳」および「21~30歳」それぞれの棒が選択された場合に、フィルタリング処理部208は、「11~20歳」の範囲または「21~30歳」の範囲に属する値を年齢として示す分析用データ54を選出する。そして、マッピング処理部204は、選出された分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う。
オペレータ33は、複数のチャート画面78を使用してフィルタリングを行うこともできる。
例えば、オペレータ33が、チャート画面78eにおいてフィルタボタン781をオンにした後、図20(A)のように「11~20歳」および「21~30歳」それぞれの棒を選択し、さらに、チャート画面78mにおいてフィルタボタン781をオンにした後、図20(B)のように「徒歩」および「自転車」それぞれの棒を選択する。すると、フィルタリング処理部208は、「11~20歳」の範囲または「21~30歳」の範囲に属する値を年齢として示しかつ「徒歩」または「自転車」を移動手段として示す分析用データ54を選出する。そしてマッピング処理部204は、選出された分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う。
なお、あるチャート画面78において注目要素が選択されてフィルタリングが行われると、項目別分析部207は、他のチャート画面78を、フィルタリングされたサンプルの分析結果に基づいて表示させる。例えば、チャート画面78gにおいて「自宅」の棒が注目要素として選択された後、オペレータ33がチャート画面78eを開く操作を行ったら、項目別分析部207は、分析用データ記憶部213に記憶されている分析用データ54のうち出発場所が「自宅」であるサンプルの分析用データ54のみに基づいて分析を行い、チャート画面78eを表示させる。
また、マーク604がクリックされると、フィルタリング処理部208は、図21のように、そのマーク604に対応する避難場所が避難先であるサンプルのドット600がマップ60に配置され、それ以外のドット600が配置されないように、メイン画面6を更新する。つまり、その避難場所へ避難したサンプルがフィルタリングされる。そして、その避難場所へ避難したサンプルの個数のほか、その避難場所の名称および標高が示されるように、サンプル数インジケータ62を更新する。フィルタリング後の、チャート画面78の表示の仕方は上述の通りであり、フィルタリングされたサンプルについての分析結果がチャート画面78に示される。
〔3.7 分布対象の切替および地区ごとの分析〕
図22は、切替ウィンドウ76の例を示す図である。図23は、最接近時間に基づいてドット600を配置した様子の例を示す図である。
上述の通り、メイン画面6(図7参照)のマップ60には、ドット600として、避難訓練の総合的な評価結果を表わすドットが配置されたが、オペレータ33は、他の事項に係るドットを配置させることができる。
オペレータ33がメイン画面6(図7参照)の切替ボタン66をクリックすると、地区分析部209は、図22のような切替ウィンドウ76を切替ボタン66に代えてメイン画面6に配置する。
ボタン76a、76b、76cは、三者択一であって、デフォルトではボタン76aが選択されている。ボタン76aは、避難訓練の総合的な評価結果を選択するためのボタンである。ボタン76bは、想定津波の最接近時間を選択するためのボタンである。ボタン76cは、避難時間を選択するためのボタンである。
オペレータ33がボタン76bを選択すると、マッピング処理部204は、分析用データ記憶部213に記憶されている分析用データ54それぞれに対応するサンプルを、それぞれのログデータ51に示される最接近時間に基づいて分類する。例えば、各サンプルを、「0分以下」、「0~4分」、「5~14分」、「15~19分」、「20分以上」の5つの範囲のうちの最接近時間が該当する範囲に分類する。そして、図23に示すように、各サンプルのドット600として、分類先である範囲に対応する態様のドットをマップ60に配置する。
または、オペレータ33がボタン76cを選択すると、マッピング処理部204は、分析用データ記憶部213に記憶されている分析用データ54それぞれに対応するサンプルを、それぞれのログデータ51に示される避難時間に基づいて分類する。例えば、各サンプルを、図16(C)に示した8つの範囲のうちの避難時間が該当する範囲に分類する。そして、各サンプルのドット600として、分類先である範囲に対応する態様のドットをマップ60に配置する。
その後、オペレータ33がボタン76aを選択すると、マッピング処理部204は、上述の方法で再び、避難訓練を行ったユーザそれぞれの総合の評価結果を表わすドットをドット600としてマップ60の上に配置する。
〔3.8 対象地域内の地区ごとの分析〕
図24は、地区分析処理の流れの例を説明するフローチャートである。図25は、地区ごとの色分けの様子の例を示す図である。
オペレータ33は、対象地域内の地区ごとの分析を避難分析サーバ2に次のように行わせることができる。
地区分析部209は、オペレータ33が切替ウィンドウ76(図22参照)のチェックボックス76gをクリックしてオンにすると、ボタン76a~76cのうちの現在選択されているボタンに応じて地区ごとの分析を行い、マップ60の中の各地区の範囲を色分けする。ここで、ボタン76aが選択されている場合を例に、地区分析部209による処理の手順を、図24を参照しながら説明する。
地区分析部209は、地区範囲データ記憶部214に記憶されている対象地域の地区範囲データ55に基づいて、各サンプルを、対象地域内の地区のうちの出発場所の位置が属する地区へ分類する(図24の#861)。出発場所の位置は、分析用データ54(図6参照)のログデータ51の最初の時刻に対応する位置である。ただし、チェックボックス76dおよびラジオボタン76fがともにオンである場合は、避難先の位置すなわちログデータ51の最後の時刻に対応する位置が属する地区へ分類してもよい。また、対象地域の地区範囲データ55が複数、地区範囲データ記憶部214に記憶されている場合は、オペレータ33が一般設定ウィンドウ73(図8(B)参照)の分割リスト73bの中から選択した分け方に対応する地区範囲データ55が用いられる。
地区分析部209は、地区ごとに、その地区に分類されたサンプルの総数と総合の評価結果が「失敗」であるサンプルの件数とを計数し、(#862)、総数に対する件数の割合(失敗割合)を算出する(#863)。
そして、地区分析部209は、図25のように、失敗割合が第一の閾値Ha未満である地区の範囲を第一の色(例えば、緑色)に着色し、第一の閾値Ha以上でありかつ第二の閾値Hb未満である地区の範囲を第二の色(例えば、黄色)に着色し、第二の閾値Hb以上である地区の範囲を第三の色(例えば、赤色)に着色した状態にマップ60を更新する(#864)。
なお、オペレータ33は、第一の閾値Haおよび第二の閾値Hbをそれぞれ一般設定ウィンドウ73のテキストボックス73eおよびテキストボックス73fによって任意に設定することができる。または、シークバーによって設定することもできる。また、地区分析部209は、失敗割合の代わりに、「成功」または「危機一髪」である割合すなわち成功割合を算出し、グラフ化してもよい。
または、ボタン76bが選択されている場合は、地区分析部209は、ステップ#862~#863の処理の代わりに、地区ごとに、その地区に分類されたサンプルの最接近時間の平均値を算出する。そして、ステップ#864において、平均値が第一の閾値Hc以上である地区の範囲を第一の色に着色し、第一の閾値Hc未満でありかつ第二の閾値Hd以上である地区の範囲を第二の色に着色し、第二の閾値Hd未満である地区の範囲を第三の色に着色した状態にマップ60を更新する。
同様に、ボタン76cが選択されている場合は、地区分析部209は、ステップ#862~#863の処理の代わりに、地区ごとに、その地区に分類されたサンプルの避難時間の平均値を算出する。そして、ステップ#864において、平均値が第一の閾値He未満である地区の範囲を第一の色に着色し、第一の閾値He以上でありかつ第二の閾値Hf未満である地区の範囲を第二の色に着色し、第二の閾値Hf以上である地区の範囲を第三の色に着色した状態にマップ60を更新する。
第一の閾値Hc、第二の閾値Hd、第一の閾値He、および第二の閾値Hfも、第一の閾値Haおよび第二の閾値Hbと同様に、オペレータ33が任意に指定することができる。
フィルタリング処理部208の機能によって対象地域のサンプルのうちの条件に合うサンプル(合致サンプル)のドット600のみがマップ60に配置されている状態でチェックボックス76gがオンにされた場合は、地区分析部209は、合致サンプルのみを対象に上述の方法で分析してもよい。
また、切替ウィンドウ76のチェックボタン76dがオフにされると、マッピング処理部204は、各サンプルのドット600の配置を中止する。図25に示す例においては、配置が中止されている。再びオンにされると、配置を再開する。
マッピング処理部204は、各サンプルのドット600を、マップ60における各サンプルの出発場所に配置したが、各サンプルの避難先に配置することがある。具体的には、切替ウィンドウ76のチェックボタン76dがオンの状態で、ラジオボタン76fが選択された場合に避難先に配置し、ラジオボタン76eが選択された場合に出発場所に配置する。
また、マッピング処理部204は、マップ60の中から1つまたは複数の地区が選択されると、選択された地区にドット600が属するサンプルのみを選出し、選出したサンプルの個数が示されるようにサンプル数インジケータ62を更新する。項目別分析部207は、選出したサンプルの分析用データ54(図6参照)に基づいて分析を行い、その分析結果をチャート画面78(図16~図18参照)として表示する。
〔3.9 浸水域の表示〕
図26は、津波設定ウィンドウ75の例を示す図である。図27は、浸水領域602の例を示す図である。
浸水領域表示部210は、想定津波によって浸水する領域をマップ60(図7参照)に表わす処理を、次のように実行する。
オペレータ33が浸水領域ボタン65をクリックすると、浸水領域表示部210は、図26のような津波設定ウィンドウ75を浸水領域ボタン65に代えてメイン画面6に配置する。ここで、オペレータ33は、スイッチ75aをオンに切り替える。L2津波、L1津波、およびR津波の中から確認したい津波を、ラジオボタン群75bの中からそれに対応する津波ラジオボタンをクリックして選択する。さらに、仮想地震発生時刻から経過した時間をテキストボックス75cに入力する。以下、選択された津波を「被選択想定津波」と記載する。また、仮想地震発生時刻から、入力された時間が経過した時刻を「指定時刻」と記載する。
すると、浸水領域表示部210は、避難訓練データ記憶部211に記憶されている、被選択想定津波の浸水想定データ50に基づいて、指定時刻において浸水していると想定される領域(つまり、指定時刻において津波の高さが0を超えている領域)を特定し、図27のように、マップ60の中の特定した領域を浸水領域602として着色する。
オペレータ33は、テキストボックス75cの時間を変えながら、選択想定津波の進行を確認することができる。なお、浸水領域表示部210は、テキストボックス75cの時間を自動的に徐々に増加させ、選択想定津波が進行する様子をアニメーションのように表示させてもよい。
〔4.全体的な処理の流れ〕
図28~図29は、避難分析サーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
次に、避難分析サーバ2における分析サービス提供プログラム20による全体的な処理の流れを、図28~図29のフローチャートなどを参照しながら説明する。
避難分析サーバ2は、分析サービス提供プログラム20に基づいて、図28~図29に示す手順で処理を実行する。
避難分析サーバ2は、分析サービス提供プログラム20の起動の直後または所定の操作の後、メイン画面6(図7参照)をクライアント3に表示させる(図28の#101)。
クライアント3において対象設定ボタン61がクリックされると(#102でYes)、避難分析サーバ2は、対象設定ウィンドウ71(図8(A)参照)をクライアント3に表示させ、対象地域、対象期間、および対象津波をクライアント3から受け付ける(#103)。そして、対象地域のマップをマップ60としてメイン画面6に配置するとともに(#104)、対象地域、対象期間、および対象津波に対応する避難訓練データ53を選出して分析用データ54として分析用データ記憶部213に保存する(#105)。
または、クライアント3において一般設定ボタン63がクリックされると(#106でYes)、避難分析サーバ2は、一般設定ウィンドウ73(図8(B)参照)をクライアント3に表示させ、ドット600のサイズ、第一の閾値Ha、第二の閾値Hb、または地区の範囲の分け方などを受け付ける(#107)。なお、新規作成ボタン73aがクリックされると(#108でYes)、地区選択画面69(図9参照)をクライアント3に表示させ、地区の範囲の新たな分け方を受け付け、地区範囲データ55として地区範囲データ記憶部214によって記憶する(#109)。
または、クライアント3においてシミュレーションボタン64がクリックされると(#110でYes)、避難分析サーバ2は、条件変更画面74(図12参照)をクライアント3に表示させ、想定津波、準備時間、または避難速度に関する条件を受け付け(#111)、図13に示した手順で、各サンプルのログを更新する(#112)。そして、更新後のログに基づいて、図15に示した手順で途中経過および総合それぞれの評価を行う(#113)。ステップ#112~#113の処理によって、各サンプルの分析用データ54が更新される。
また、避難分析サーバ2は、マッピング処理を次のように行う。マッピング処理のモードが実状モードである場合は(#114でYes)、更新前(初期状態)の分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う(#115)。デフォルトでは実状モードが設定されているので、分析サービス提供プログラム20の起動後、避難分析サーバ2は、対象地域、対象期間、および対象津波を受け付けると、更新前(初期状態)の分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う。
一方、想定津波、準備時間、または避難速度に関する条件をクライアント3から受け付けた場合は、マッピング処理のモードがシミュレーションモードに切り替わる。シミュレーションモードの場合は(#114でNo)避難分析サーバ2は、ステップ#112~#113で更新された分析用データ54に基づいてマッピング処理を行う(#116)。
または、クライアント3において複数の項目ボタン68のうちのいずれかがクリックされると(#117でYes)、避難分析サーバ2は、クリックされた項目ボタン68に対応する項目に関して、分析用データ54に基づいて分析を行い(#118)、分析結果をチャート画面78(図16~図18参照)としてクライアント3に表示させる(#119)。
クライアント3においてチャート画面78の棒グラフの中の任意の棒、円グラフの中の任意の扇形、または帯グラフの中の任意の長方形が注目要素として選択されると(図29の#120でYes)、避難分析サーバ2は、注目要素に係る条件に合致するサンプルを抽出し、マップ60に配置するドット600を、抽出したサンプルのドット600のみに限定する(#121)。つまり、フィルタリングを行う。
または、クライアント3において切替ボタン66がクリックされると(#122でYes)、避難分析サーバ2は、切替ウィンドウ76(図22参照)をクライアント3に表示させ、切替に関する条件を受け付ける(#123)。
チェックボックス76gがオンにされた場合は(#124でYes)、ボタン76a~76cのうちの選択されているボタンに対応する項目に関して地区ごとに分析を行い、分析結果に応じて、マップ60の中の各地区を色分けする(#125)。この処理は、前に図24で説明した通りである。例えば、ボタン76aが選択されている場合は、図25に例示したように、避難訓練の失敗の割合に応じて色分けする。
チェックボックス76dがオンにされた場合は(#126でYes)、避難分析サーバ2は、各サンプルのドット600を、ボタン76a~76cのうちの選択されているボタンに対応する項目の、各サンプルの値に応じた形態でマップ60へマッピングする(#127)。例えば、ボタン76bが選択されている場合は、図23に例示したように、各サンプルのドット600を、各サンプルの最接近時間に応じた形態でマッピングする。ただし、ラジオボタン76eが選択されている場合は、各サンプルの出発場所に配置し、ラジオボタン76fが選択されている場合は、各サンプルの避難先に配置する。
または、クライアント3において浸水領域ボタン65がクリックされると(#128でYes)、避難分析サーバ2は、津波設定ウィンドウ75(図26参照)をクライアント3に表示させ、津波に関する条件を受け付ける(#129)。そして、受け付けた条件に応じて、津波(被選択想定津波)によって浸水していると推定される領域を特定し、図27に例示したように、その領域を浸水領域602としてマップ60に配置する(#130)。
避難分析サーバ2は、分析サービス提供プログラム20の終了のコマンドが与えられるまでの間(#131でNo)、ステップ#102~#130の処理を適宜、実行する。
〔5.本実施形態の効果〕
本実施形態によると、避難に関する情報を様々な視点で分析し、分析結果を可視化してオペレータへ提供する。これにより、オペレータは、津波からの避難の戦略または方針を従来よりも容易に検討することができる。
すなわち、避難訓練データに表われる実際の人間行動と最新の津波浸水シミュレーションをベースとした科学的な知見とに基づく分析により、全国の自治体、企業、および教育機関などの団体の防災担当者は、よりリアルな避難訓練の行動の状況を把握することができるようになる。これにより、いわゆる「臨時情報」の発表時の事前の避難を含めて、南海トラフ地震に伴う津波に対する対策を従来よりも容易に講じることができるようになる。特に、避難困難地域および避難困難者などを、津波避難戦略検討支援システム1を使用することによって具体的に特定することがきるため、より実効性の高い対策を講じて推進し、計画策定に繋げることができる。また、防災担当者だけでなく住民および研究者なども、津波避難戦略検討支援システム1を使用することができる。これにより、より実効性の高い防災対策を個人単位で講じたり防災等の研究の資料を収集したりすることができる。
〔6.変形例〕
本実施形態では、L2津波、L1津波、およびR津波の中から想定津波が任意に選択されるように避難訓練アプリケーション40が構成されていたが、想定津波が所定の1つに予め決められていてもよい。この場合は、対象設定ウィンドウ71(図8参照)にラジオボタン群71dが配置されず、分析用データ選出部202(図3参照)は、対象設定ウィンドウ71で指定された対象地域および対象期間に対応する避難訓練データ53を避難訓練データ記憶部211から選出し、分析用データ54として分析用データ記憶部213に記憶させる。
本実施形態では、ログデータ51(図6参照)を生成するために、避難訓練中の各時刻における位置をスマートフォン4のGPS機能によって取得したが、他の方法によって取得してもよい。例えば、Google社の「Googleマップ」またはApple社の「マップ」などの経路探索アプリケーションによって取得してもよい。この場合は、実際に避難訓練を行う代わりに、経路探索アプリケーションに対して始点(出発場所)、終点(避難先)、および移動手段を指定すればよい。ただし、経路探索アプリケーションによると移動の速さおよび経路の高低の変化などが考慮されにくいので、実際に避難訓練を行って避難訓練中の各時刻における位置を取得するのが望ましい。
本実施形態では、項目別分析部207は、図16~図18に示した項目についてサンプルを分析したが、他の項目について分析してもよい。例えば、天候、同行者の有無、避難時の介助者の有無、日常生活の介助者の有無、公的な避難訓練の参加の有無、または日中/夜間について分析してもよい。または、複数の項目を組み合わせて多次元的に分析してもよい。例えば、移動手段と総合の評価結果とを組み合わせて分析してもよい。この場合は、移動手段の要素(徒歩、自転車、バイク、…、シルバーカー)ごとに各評価結果(成功、危機一髪、失敗)の件数を算出し、各件数を行列または二次元棒グラフなどによって表示させればよい。同様に、図16~図18(ただし、図16(A)および図18(D)を除く。)それぞれに示す各項目を総合の評価結果と組み合わせて分析してもよい。これにより、総合の評価結果の傾向を項目ごとに分析することができる。
本実施形態では、再評価部206および避難訓練評価部401(図4参照)は、1分間隔で途中経過を評価したが、もっと長い間隔で(例えば、3分ごとに)評価してもよいし、もっと短い間隔で(例えば、30秒ごとに)評価してもよい。そして、評価するタイミングに合わせて、位置情報等を取得するタイミングを変更すればよい。
本実施形態では、L1津波、L2津波、およびR津波の3つを想定したが、もっと多くのタイプの津波を想定してもよい。
本実施形態では、避難訓練の総合の評価値として「成功」、「危機一髪」、および「失敗」の3段階の値が用いられたが、「成功」および「失敗」の2段階であってもよいし、4段階以上であってもよい。
本実施形態では、経過更新部205は、シミュレーションモードのために、想定津波、準備時間、および避難速度のうちのいずれか1つまたは複数の条件を受け付けてログデータ51を更新したが、避難先の条件を受け付けてもよい。この場合は、経過更新部205は、出発場所から受け付けた避難先への経路を経路探索アプリケーションによって特定する。この際に、各時刻における位置も、特定する。そして、これらの特定した情報に合わせてログデータ51を更新する。
本実施形態では、スマートフォン4を、主に避難訓練データ53の収集に使用したが、他の用途にも使用することができる。例えば、ユーザ43のスマートフォン4へ他のユーザの避難訓練の情報(ログデータ51に示される各時刻における位置など)を提供してもよい。特に、ユーザ43との共通点が多い他のユーザの避難訓練の情報を提供すれば、ユーザ43にとって有益である。
本実施形態では、津波避難戦略検討支援システム1は、津波からの避難の戦略の検討の支援のために使用されたが、他の災害に対して応用してもよい。例えば、洪水または土砂崩れ、火山の噴火、大雪、山火事などの災害やCBRNE災害からの避難の戦略の検討の支援のために応用してもよい。
本実施形態では、属性データ52(図6参照)に、ユーザの年齢および性別などの情報が示されていたが、さらに、識別子が示されるようにしてもよい。例えば、自治体等が個人を特定するために予め各ユーザへ識別コードを発行して伝えておく。各ユーザは、自らに関する情報として自らの年齢および性別などとともに自らの識別コードを入力する。
これにより、津波避難戦略検討支援システム1によって取得された避難訓練に関するデータと自治体等が有する個人情報などのデータとが紐付けられるので、相互にデータを提供し合ったり、連携して応用的なサービスを実現したりすることができる。
本実施形態では、準備時間Tpをユーザに入力させたが、ユーザのスマートフォン4の位置情報に基づいてスマートフォン4が推定してもよい。この場合、ユーザは、スタートコマンドをスマートフォン4へ入力した後、火の元の安全の確認、避難先へ持参する物の用意、または要介助者の避難のサポートなど、避難先へ向かうための準備を始める。そして、準備が完了したら避難先へ出発する。スマートフォン4は、スタートコマンドが入力されたら、スマートフォン4自身の位置情報を監視し、スタートコマンドが入力された直後の位置から所定の距離(例えば、15メートル)以上離れたことを検知したら、避難先へユーザが出発したと判別する。そして、スタートコマンドが入力された時刻からユーザが出発したと判別した時刻までの時間を準備時間Tpとして推定する。または、準備が完了し避難先へ出発する前に、所定の操作(例えば、所定のボタンのタップ)をユーザに行わせる。すると、スマートフォン4は、スタートコマンドが入力されてから所定の操作が行われるまでの時間を準備時間Tpとして推定する。なお、推定は、スマートフォン4の代わりに避難分析サーバ2が行ってもよい。
図30は、マップ60にマーク605を配置する態様の例を示す図である。
本実施形態では、避難分析サーバ2によって提供される分析等のサービスを、ウェブブラウザを介してオペレータが受けることができるようにクライアント3を構成したが、このサービス専用のアプリケーションを介して受けることができるように構成してもよい。
各ユーザの、避難訓練の際の所定の時刻ごとの途中経過の評価結果をマップ60に示されるようにしてもよい。例えば、図30のように、マップ60の中の、ある1人のユーザの所定の時刻ごとの位置に、その時刻における途中経過の評価結果を表わすマーク605を配置する。マーク605として、途中経過の評価結果が「順調」であれば円の画像を配置し、「危険」であれば三角の画像を配置し、「浸水」であれば四角の画像を配置すればよい。各ユーザについて、マーク605を表示させてもよい。
また、出発時刻からの経過時間を指定するためのスライダ606をマップ60とともにクライアント3に表示させておき、これらのマーク605のうちの、スライダ606によって指定された経過時間に属する各所定の時刻のマーク605のみが配置されるようにしてもよい。これにより、オペレータは、スライダを左右にスライドさせながら、避難中の位置および評価結果の遷移を順送りにまたは逆送りに確認することができる。
例えば、あるユーザのログデータ51に示される情報が図14(A)に示す通りであり、経過時間として「7分」が指定された場合は、「0分」、「5分」、「6分」、および「7分」それぞれの時刻における位置(X_a,Y_a)、(X_a,Y_a)、(X_c,Y_c)、および(X_d,Y_d)に「順調」、「順調」、「危険」、および「危険」に対応するマーク605を配置する。または、シミュレーションモードによってログデータ51が図14(D)の通りに更新され、経過時間として「10分」が指定された場合は、「0分」、「8分」、および「10分」それぞれの時刻における位置(X_a,Y_a)、(X_a,Y_a)、および(X_c,Y_c)に「順調」、「危険」、および「危険」に対応するマーク605を配置する。
さらに、スライダによって指定された経過時間に属する各所定の時刻の途中経過の評価結果に基づいて、ここまでの一時的な総合の評価を行ってもよい。例えば、ここまでの途中経過の評価結果がすべて「順調」であれば「成功」であると評価し、1つでも「浸水」があれば「失敗」であると評価し、それ以外であれば「危機一髪」と評価する。そして、一時的な総合の評価の結果に基づいて、チャート画面78a~78n(図16~図18参照)をクライアント3に表示させる。
なお、再生ボタン607およびタイマを設けておき、再生ボタン607が押されたらタイマによって出発時刻からの経過時間を計時し、経過時間に属する各所定の時刻のマーク605のみが配置されるようにしてもよい。また、マーク605の代わりに、接近時間Trを表わす数字を円で囲った画像を配置してもよい。また、さらに、出発時刻から経過時間後に浸水していると想定される領域(浸水域)を特定し、その浸水域を浸水領域602として着色して表示してもよい(図27参照)。特定の方法は、「3.9 浸水域の表示」で説明した通りである。これにより、浸水域が経過時間に応じて広がっていく様子がユーザの移動の様子とともにアニメーションのように再現される。
その他、津波避難戦略検討支援システム1、避難分析サーバ2、クライアント3、スマートフォン4の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、データの構成、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。