JP7514751B2 - 防汚構造体およびこれを有する自動車部品 - Google Patents
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Description
本発明の一形態は、表面粗さ(Rz)が0.30μm以上1.25μm以下である凹凸構造を有する基材と、前記基材の凹凸構造の表面に形成された、平均開口径が200nm以下の空孔を有する多孔質層と、前記多孔質層の表面に形成された改質層と、前記改質層の表面に保持された防汚液体とを有する、防汚構造体である。なお、本明細書では、多孔質層と、改質層と、防汚液体からなる防汚液膜とを合わせて「防汚層」とも称する。
基材は、防汚構造体の構造を維持する役割を有する。基材を構成する材料は、特に制限されず、ガラス、金属、プラスチック、セラミック、木材および石材、ならびにこれらを組み合わせた複合材料等を適宜採用することができる。中でも、基材の材料として、ガラス、透明プラスチックなどの透明基材を用いることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一形態に係る防汚構造体は、基材が透明基材である。このような防汚構造体は、ミラーや画像表示装置の表示画面等のへの防汚性の付与に好適に使用できる。なお、本明細書において、透明基材とは、基材の波長550nmにおける可視光透過率が80%以上であることを指す。
多孔質層は、複数の空孔が互いに連通して三次元にランダムに配置された、所謂、スポンジ状の構造体であり、空孔内および/または表面に防汚液体を保持する。
改質層は防汚液体の保持力を高める役割を有する。また、改質層はその表面に防汚液体からなる平滑面(防汚液膜)を形成することができる。また、指などの被接触物の押圧によって防汚液体が押し退けられた場合であっても、改質層が存在することにより皮脂の付着を回避できる。
防汚液体は、指が接触した際に皮脂の付着を抑制する役割を有する。防汚液体は、防汚構造体の最表面に防汚液膜として存在するとともに、多孔質層の空孔内や改質層の内部に存在しうる。
[表面粗さ(Rz)]
走査プローブ顕微鏡(JSPM-5200:JEOL社製)により、30μm×30μmの基材の表面粗さを測定し、データより、JIS B0601:2013に従い、Rz値を算出した。
多孔質層の上面から表面の開口部を走査型電子顕微鏡(SEM)により50,000倍の視野にて観察した。そして、画像解析によって、各開口部の面積と同面積の円の直径を算出し、その平均値を平均開口径とした。
防汚構造体を積層方向(厚さ方向)に切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。50,000倍の視野から、多孔質層の膜厚および改質層の膜厚を50か所にて測定した。そして、それぞれの平均値を算出し、多孔質層の平均膜厚および改質層の平均膜厚とした。
多孔質層および改質層からなる積層体の膜厚のばらつきを下記の方法により求めた。まず、防汚構造体を積層方向(厚さ方向)に切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。50,000倍の視野から、多孔質層および改質層からなる積層体の膜厚を50か所にて測定した。得られた値のうち、最大値を「最大膜厚」、最小値を「最小膜厚」とした。また、50個の値の平均値を「平均膜厚」とした。これらの値から、下記式に従って、膜厚のばらつきを算出した。
防汚液体の表面自由エネルギーは、懸滴法を使用し、協和界面科学株式会社製の接触角計DropMaster 700を用いて、25℃にて測定することにより求めた。
改質層のフッ素含有率は、下記の装置および条件にて、元素組成測定を行い、全元素に対するフッ素原子の割合を算出することにより求めた。
X線源:Monochromated Al Kα線(1486.6 eV) 40W
光電子取り出し角度:45° (測定深さ:約4nm)
測定エリア:200μmφ。
[実施例1]
(基材)
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=0.992μm)を基材として使用した。
純水1.16g、TEG(トリエチレングリコール)1.50g、IPA(イソプロピルアルコール)0.78g、濃硫酸(濃度96質量%)0.30gをこの順番で混合して溶液Aを調製した。また、Si5O4(OEt)12(コルコート社製、エチルシリケート40)8.04g、IPA 0.78gをこの順番で混合して溶液Bを調製した。溶液Aをマグネットスターラーにより1500rpmで撹拌しながら溶液Bを投入し、温度上昇が止まってから30分間撹拌した後、5倍に希釈されるようにIPAを投入し、さらに1500rpmで1分間撹拌して塗布液を得た。大気圧プラズマ処理した基材(5cm×10cm×0.5mm厚)に、塗布液を下記条件でスピンコートした後、すぐにスピナーから取り出して、2分間平面上に静置して風乾した。
スピンコートの条件:
塗布液の滴下量を1500μLとし、100rpmで3秒間塗布し、さらに500rpmで5秒間、1000rpmで15秒間塗布した。
その後、150℃の乾燥機内に1時間放置して仮焼成した後、乾燥機から取り出して、室温まで放置した。さらに、常温のマッフル炉に入れ、30~45分かけて400℃まで昇温させて1時間保持したのち加熱を停止し、マッフル炉内で150℃まで徐冷後、取り出して室温まで放置して平均開口径20nmの多孔質層を形成した。
多孔質層を形成した基材を清浄な蒸着槽に入れ、多孔質層にイオンビームを照射して表面を洗浄した。続けて蒸着槽内でSiO2を蒸着させる前処理を行った。SiO2を蒸着させた多孔質層に対し、過剰のパーフルオロポリエーテル系改質剤(ダイキン工業株式会社製、オプツールDSX)を蒸着させて平均膜厚が7nmの改質層を形成した。
多孔質層および改質層からなる積層体にパーフルオロポリエーテルオイル(デュポン社製、Krytox101、分子量:1780、表面自由エネルギー:16.6mJ/m2、動粘度:17.4cSt)を防汚液体として付与し、余剰の防汚液体を拭き取って、防汚液体の保持量が0.0013gの防汚構造体を得た。
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=0.77μm)を基材として使用したこと;溶液Aの調製において濃硫酸(濃度96質量%)を1.00g使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は100nmであり、防汚液体の保持量は0.0011gであった。
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=0.77μm)を基材として使用したこと;溶液Aの調製において濃硫酸(濃度96質量%)を1.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は180nmであり、防汚液体の保持量は0.0015gであった。
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=0.31μm)を基材として使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は20nmであり、防汚液体の保持量は0.0011gであった。
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=1.23μm)を基材として使用したこと;SiO2を蒸着させる前処理を行うことなしに、過剰のパーフルオロアルキル系改質剤(関東化学株式会社製、C10F21Si(OCH3)3)を蒸着させて平均膜厚が2nmの改質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は20nmであり、防汚液体の保持量は0.0012gであった。
ソーダライムガラス(Rz=0.002μm)を基材として使用したこと;SiO2を蒸着させる前処理を行うことなしに、過剰のパーフルオロアルキル系改質剤(関東化学株式会社製、C10F21Si(OCH3)3)を蒸着させて平均膜厚が2nmの改質層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は20nmであり、防汚液体の保持量は0.0011gであった。
株式会社NSC製のアンチグレアガラス(Rz=2.87μm)を基材として使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で防汚構造体を得た。なお、得られた防汚構造体において、多孔質層の平均開口径は20nmであり、防汚液体の保持量は0.0010gであった。
[ヘイズ]
防汚構造体のヘイズを、JIS K7136:2000に準拠して、ヘイズ・透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
模擬指紋を付着させた防汚構造体を晴天下のクルマのナビ液晶画面上に固定し、運転席に着座したパネラー10人により指紋の気になりやすさについて下記絶対評価にて評点をつけた。そして、パネラー全員の評点合計からその平均値を算出し、下記の4段階判定基準により判定した。○以上であれば、実用上許容できる。
(評点):(評価)
5点:全く気にならない
4点:ほとんど気にならない
3点:あまり気にならない
2点:やや気になる
1点:とても気になる
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点 :非常に良好
○ :3点以上5点未満:良好
△ :2点以上3点未満:やや不良
× :1点以上2点未満:不良。
高温高湿槽内(90℃、相対湿度90%RH)に防汚構造体を垂直に設置し、200時間放置した。耐熱試験後の防汚構造体を液体窒素を用いて冷凍し、積層方向(厚さ方向)に切断して、断面をSEMにより観察した。50,000倍の視野から、50か所の防汚液体の膜厚を測定し、その平均値を算出した。
2 防汚層、
3 多孔質層、
4 改質層、
5 防汚液膜、
6 皮脂、
10 防汚構造体。
Claims (7)
- 表面粗さ(Rz)が0.30μm以上1.25μm以下である凹凸構造を有する基材と、
前記基材の凹凸構造の表面に形成された、平均開口径が200nm以下の空孔を有する多孔質層と、
前記多孔質層の表面に形成された改質層と、
前記改質層の表面に保持された防汚液体と、
を有する、防汚構造体。 - 前記多孔質層の平均膜厚が100nm以上500nm以下であり、
前記改質層の平均膜厚が2nm以上20nm以下であり、
前記多孔質層および前記改質層からなる積層体の膜厚のばらつきが20%以下である、請求項1に記載の防汚構造体。 - 前記防汚液体の表面自由エネルギーが20mJ/m2以下である、請求項1または2に記載の防汚構造体。
- 前記改質層は、パーフルオロポリエーテル基含有化合物およびパーフルオロアルキル基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の改質剤の結合部が前記多孔質層に結合して形成され、
前記防汚液体は、パーフルオロポリエーテルオイルおよびパーフルオロアルキルオイルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の防汚構造体。 - 前記改質層のフッ素含有率が38mol%以上60mol%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の防汚構造体。
- 前記基材が透明基材であり、
ヘイズが5%未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の防汚構造体。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の防汚構造体を有する、自動車部品。
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