JP7516092B2 - 薄膜形成原料、薄膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるリチウム化合物を含有する薄膜形成原料である。
R3は、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R4、R5及びR6は、各々独立して、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、リチウム化合物の炭素原子数は8以下である。但し、R4及びR5のうち一方はメチル基ではない。R1が、水素原子の一部を-NR4R5で置換した炭素原子数1~2のアルキル基である場合、R2は、炭素原子数1~3のアルキル基である。
本発明の薄膜の製造方法は、上記した薄膜形成原料を気化させて得られる原料ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入する工程と、原料ガス中のリチウム化合物を分解及び/又は化学反応させて基体の表面にリチウム原子を含有する薄膜を形成する工程とを有するものである。
原料ガス導入工程は、本発明の薄膜形成原料を気化させて原料ガスとし、該原料ガスを基体が設置された成膜チャンバーへ導入する工程である。
本発明の薄膜形成原料を気化させて原料ガスとする工程は、原料容器内で行ってもよく、気化室内で行ってもよい。いずれの場合においても、本発明の薄膜形成原料は0℃~200℃で気化させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で薄膜形成原料を気化させて原料ガスとする場合の原料容器内の圧力及び気化室内の圧力は、1Pa~10,000Paの範囲内であることが好ましい。
前駆体薄膜形成工程では、基体が設置された成膜チャンバー内に導入した原料ガス中の、上記一般式(1)で表されるリチウム化合物を基体の表面に堆積(吸着)させて、基体表面に前駆体薄膜を形成する。このとき、基体を加熱するか又は成膜チャンバー内を加熱して熱を加えてもよい。前駆体薄膜を形成する条件は、特に限定されず、例えば、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度等を薄膜形成原料の種類に応じて適宜決めることができる。反応温度は、0℃~400℃が好ましく、本発明の薄膜形成原料が充分に反応する温度である150℃~400℃がより好ましい。
前駆体薄膜を形成後、基体の表面に吸着しなかった原料ガスを成膜チャンバー内から排気する。この際、原料ガスが成膜チャンバー内から完全に排気されるのが理想であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法としては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスにより成膜チャンバー内の系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01Pa~300Paの範囲が好ましく、0.01Pa~100Paの範囲がより好ましい。
リチウム含有薄膜形成工程では、排気工程後、成膜チャンバー内に反応性ガスを導入して、反応性ガスの作用又は反応性ガスの作用と熱の作用とにより、先の前駆体薄膜工程で形成された前駆体薄膜から、リチウム含有薄膜を形成する。反応性ガスが酸化性ガスの場合、酸化リチウム薄膜が形成される。本工程において、熱を用いて作用させる場合の温度は、室温~500℃の範囲が好ましく、100℃~400℃の範囲がより好ましい。本工程が行われる際の系(成膜チャンバー内)の圧力は1Pa~10,000Paが好ましく、10Pa~1,000Paがより好ましい。本発明の薄膜形成原料は、水蒸気などの酸化性ガスとの反応性が良好であるため、残留炭素量が少ない高品質なリチウム含有薄膜を生産性よく製造することができる。
上記金属含有薄膜形成後、未反応の反応性ガス及び副生ガスを成膜チャンバー内から排気する。この際、反応性ガス及び副生ガスが成膜チャンバー内から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法及び減圧する場合の減圧度は、上述した前駆体薄膜形成工程後の排気工程と同様である。
アルゴンガス雰囲気下で、100mLの3つ口反応フラスコにn-ブチルリチウムのヘキサン溶液46.1mL(n-ブチルリチウムとして1.6mol/L)を入れ、室温下で撹拌した。そこへ2,4-ジメチル-3-ペンタノール9.38gを滴下して反応させた。滴下終了後、引き続き室温下で約2時間撹拌した。その後、ヘキサンを減圧下で留去し、淡黄色の固体残渣を得た。その固体残渣を、54Paの減圧下、バス温度200℃で蒸留し、塔頂温度142℃にて留出し白色固体の化合物を得た。収率は76%であった。元素分析及び1H-NMR分析の結果、得られた化合物は、リチウム化合物No.8と同定された。これらの分析結果を以下に示す。
Li:5.9質量%(理論値:5.68質量%)、C:68.9質量%(理論値:68.84質量%)、H:12.5質量%(理論値:12.38質量%)、O:12.7質量%(理論値:13.10質量%)
(0.95~0.97:d:12.14)(1.69:sep:2.05)(3.18:t:1.00)
アルゴンガス雰囲気下で、100mLの3つ口反応フラスコにn-ブチルリチウムのヘキサン溶液19.6mL(n-ブチルリチウムとして1.6mol/L)を入れ、室温下で撹拌した。そこへ1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを滴下して反応させた。滴下終了後、引き続き室温下で約1時間撹拌した。その後、ヘキサンを減圧下で留去し、白色固体を得た。収率は89%であった。元素分析及び1H-NMR分析の結果、得られた化合物は、リチウム化合物No.26と同定された。これらの分析結果を以下に示す。
Li:5.3質量%(理論値:5.06質量%)、C:61.0質量%(理論値:61.30質量%)、H:12.1質量%(理論値:11.76質量%)、N:10.6質量%(理論値:10.21質量%)、O:11.0重量%(理論値:11.67重量%)
(1.05:t:1.91)(1.35:s:6.00)(2.34~2.36:m:7.09)
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、2-ペンタノール3.15gに変更したこと以外は、製造例2と同様にしてリチウム化合物No.2を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、2-ヘキサノール3.65gに変更したこと以外は、製造例2と同様にしてリチウム化合物No.4を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、3-オクタノール4.65gに変更したこと以外は、製造例2と同様にしてリチウム化合物No.5を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール3.72gに変更したこと以外は、製造例2と同様にしてリチウム化合物No.16を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、1-ジエチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール5.19gに変更した以外は、製造例2と同様にしてリチウム化合物No.28を製造した。
アルゴンガス雰囲気下で、100mLの3つ口反応フラスコにn-ブチルリチウムのヘキサン溶液44.0mL(n-ブチルリチウムとして1.6mol/L)を入れ、室温下で撹拌した。そこへ融解したt-ブタノール5.70gを滴下して反応させた。滴下終了後、引き続き室温下で約1時間撹拌した。その後、ヘキサンを減圧下で留去し、固体残渣を得た。その固体残渣を、53Paの減圧下、バス温度200℃で蒸留し、塔頂温度51℃にて留出した化合物を得た。収率は75%であった。元素分析及び1H-NMR分析の結果、得られた化合物は、下記に示す比較化合物1と同定された。これらの分析結果を以下に示す。
Li:8.9質量%(理論値:8.67質量%)、C:60.2質量%(理論値:60.01質量%)、H:11.1質量%(理論値:11.33質量%)、O:19.8質量%(理論値:19.99質量%)
(1.28:s:9.00)
アルゴンガス雰囲気下で、100mLの3つ口反応フラスコにn-ブチルリチウムのヘキサン溶液25.2mL(n-ブチルリチウムとして1.6mol/L)を入れ、室温下で撹拌した。そこへ1-ジメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール5.03gを滴下して反応させた。滴下終了後、引き続き室温下で約3時間撹拌した。その後、ヘキサンを減圧下で留去し、白色固体を得た。収率は83%であった。元素分析及び1H-NMR分析の結果、得られた化合物は、下記に示す比較化合物3と同定された。これらの分析結果を以下に示す。
Li:5.5質量%(理論値:5.64質量%)、C:58.2質量%(理論値:58.53質量%)、H:11.4質量%(理論値:11.46質量%)、N:12.0質量%(理論値:11.38質量%)、O:12.9重量%(理論値:12.99重量%)
(1.32:s:6.03)(2.28:s:2.00)(2.32:s:5.97)
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、2-オクタノール4.65gに変更したこと以外は、製造例2と同様にして下記に示す比較化合物2を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、3,5-ジメチル-4-ヘプタノール5.16gに変更したこと以外は、製造例2と同様にして下記に示す比較化合物4を製造した。
製造例2において、1-エチルメチルアミノ-2-メチル-2-プロパノール4.69gを、1-ヘプタノール4.15gに変更したこと以外は、製造例2と同様にして下記に示す比較化合物5を製造した。
目視によって、常圧25℃におけるリチウム化合物の状態を観察し、固体化合物については、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、アルゴン流量20mL/分、昇温速度10℃/分、走査温度範囲を30℃~600℃として測定し、得られたチャートにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、吸熱反応を示すピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度を融点として評価した。結果を表1に示す。但し、吸熱反応を示すピークが確認できなかったリチウム化合物は、「融点なし」として評価した。
TG-DTAを用いて、760Torr、アルゴン流量100mL/分、昇温速度10℃/分、走査温度範囲を30℃~600℃として測定し、600℃に到達したときの質量を計測し、測定前の試料の質量に対する測定後の試料の質量の割合を残渣として算出した。残渣が少ないほど、蒸気性が良好で高品質な薄膜を製造することができる。
上記結果より、一般式(1)中のR1が炭素原子数5を超えるアルキル基である比較化合物2は、401.9℃まで加熱したところ分解が生じた。
上記結果より、一般式(1)中のR1が水素原子の一部を-NR4R5(R4及びR5の両方がメチル基である)で置換したアルキル基である比較化合物3は、融点が161.1℃と高く、残渣が0.3%であった。
上記結果より、化合物中の炭素原子数が8を超える比較化合物4は、吸熱反応を示すピークが確認できず、融点が極めて高いことが分かった。
上記結果より、一般式(1)中のR2及びR3の両方が水素原子である比較化合物5は、残渣が13.3%と多かった。
No.8のリチウム化合物を薄膜形成原料として用い、図1に示すALD装置を用い、下記の条件で、基体である二酸化ケイ素上に薄膜を製造した。X線光電子分光法を用いて薄膜の組成を分析したところ、薄膜は、リチウム原子を含有する薄膜であり、残留炭素量は、検出限界である0.01atom%よりも少ないことを確認した。また、X線反射率法を用いて薄膜の膜厚を測定したところ、基体上に形成された薄膜は、膜厚10nmの平滑な膜であり、1サイクル当たりに得られる膜厚は、約0.02nmであった。
製造方法:ALD法
反応温度(基体温度):200℃
反応性ガス:水蒸気
(工程)
下記(1)~(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返した。
(1)原料容器温度60℃、原料容器内圧力100Paの条件で薄膜形成原料を気化して得られる原料ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧100Paで10秒間、基体表面に原料ガスを堆積させて前駆体薄膜を形成する。
(2)15秒間のアルゴンパージにより、堆積しなかった原料ガスを系内から排気する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧力100Paで0.2秒間、前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させる。
(4)60秒間のアルゴンパージにより、未反応の反応性ガス及び副生ガスを系内から排気する。
比較化合物1(tert-ブトキシリチウム)を薄膜形成原料として用いたこと以外は実施例1と同一条件で、基体である二酸化ケイ素上に薄膜を製造した。X線電子分光法を用いて薄膜の組成を分析したところ、薄膜は、リチウム原子を含有する薄膜であったが、残留炭素が検出された。また、走査型電子顕微鏡法を用いて薄膜の状態を観察したところ、基体上に形成された薄膜は平滑ではなく、膜厚を計測できなかった。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されるリチウム化合物を含有する薄膜形成原料。
(式中、R1は、分岐を有する炭素原子数3~5のアルキル基、水素原子の一部を-NR4R5で置換した炭素原子数1~2のアルキル基又は水素原子の一部を-OR6で置換した炭素原子数1~2のアルキル基を表し、R2は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、
R3は、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R4、R5及びR6は、各々独立して、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、リチウム化合物の炭素原子数は8以下である。但し、R4及びR5のうち一方はメチル基ではない。R1が、水素原子の一部を-NR4R5で置換した炭素原子数1~2のアルキル基である場合、R2は、炭素原子数1~3のアルキル基である。) - R1が、分岐を有する炭素原子数3~5のアルキル基である請求項1に記載の薄膜形成原料。
- 請求項1又は2に記載の薄膜形成原料を気化させて得られる原料ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入する工程と、
前記原料ガス中の前記リチウム化合物を分解及び/又は化学反応させて前記基体の表面にリチウム原子を含有する薄膜を形成する工程と
を含む薄膜の製造方法。 - 前記原料ガス中の前記リチウム化合物を前記基体の表面に吸着させて前駆体薄膜を形成する工程と、
前記前駆体薄膜を反応性ガスと反応させて前記基体の表面にリチウム原子を含有する薄膜を形成する工程と
を含む請求項3に記載の薄膜の製造方法。 - 前記反応性ガスが、酸化性ガスであり、且つ前記薄膜が、酸化リチウムである請求項4に記載の薄膜の製造方法。
- 前記酸化性ガスが、酸素、オゾン又は水蒸気を含有するガスである請求項5に記載の薄膜の製造方法。
- 100℃~400℃の範囲で前記前駆体薄膜を前記反応性ガスと反応させる請求項4~6の何れか一項に記載の薄膜の製造方法。
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