JP7516670B2 - 塗装された繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、繊維強化プラスチックの表面に絶縁層又は導電層を形成するために、インモールドコーティング法が利用されている。
特許文献2及び3では、シートモールディングコンパウンドや部品に塗膜を形成するために、オープンプレスコーティング法が利用されている。
特許文献4には、射出成形後にキャビティ型を交換して、加飾キャビティ型により成形品に加飾被膜を成形する成形方法が記載されている。
また、端面にバリが発生している部分とバリが無い部分とが偏在している場合、バリが無い部分は塗装されるが、その後、バリを除去するために端面をヤスリ等で削ると、必然的にバリが無い部分も削られるため、塗装が剥がれてしまう。
図11及び図12に、インモールドコーティング法による繊維強化プラスチックの塗装の一例を示す模式図を記載した。図11は、繊維強化プラスチック18を成形した直後であって、塗料を注入する直前の模式図である。図12は、繊維強化プラスチック18を成形した後、成形上型15及び成形下型16を少し開き塗料4を注入している様子を示す模式図である。図11及び図12の繊維強化プラスチック18は端面にバリ19が発生しており、バリ19によって塗料4の流れがせき止められるため、繊維強化プラスチック18の端面や、塗料4を注入(塗布)した面の裏面を塗装することができない。
特許文献2及び3に記載のオープンプレスコーティング法においても、繊維強化プラスチックの端面の塗装は検討されていない。
特許文献4の成形方法では、コア型を共用しているため、成形品の端面や、コーティング材を載せ置いた面の裏面を塗装することができない。また、特許文献4には繊維強化プラスチックは記載されていない。
そこで、本発明は、従来技術の有する問題点を鑑み、型内で繊維強化プラスチックの両面及び端面のいずれかへの塗装を行う、塗装された繊維強化プラスチックの製造方法を提供することを課題とする。
塗料と繊維強化プラスチックとを、雌雄一対の上型と下型を用いて加圧し、塗装された繊維強化プラスチックを製造する方法であって、
前記繊維強化プラスチックは、少なくとも、第一の面Aと、第二の面Bと、前記第一の面A及び前記第二の面Bに接続する端面Cとを含み、
前記第一の面Aと前記第二の面Bとは、前記繊維強化プラスチックを前記雌雄一対の上型と下型を用いて加圧する際に、それぞれ別々の型に面する面であり、
加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記第二の面B及び前記端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、前記繊維強化プラスチックが塗装される、
塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<2>
加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記端面Cの少なくとも一部に接触する、<1>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<3>
加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記第二の面Bの少なくとも一部及び前記端面Cの少なくとも一部に接触する、<1>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<4>
前記上型及び前記下型は、それぞれ塗装上型及び塗装下型であって、
前記繊維強化プラスチックは、成形上型及び成形下型を用いて成形された後、前記成形上型及び前記成形下型から取り外され、
その後、前記塗装上型と前記塗装下型を用いて加圧する、
<1>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<5>
前記成形上型及び前記成形下型から取り外された後、
前記繊維強化プラスチックが変形し、
その後、前記塗装上型と前記塗装下型を用いて加圧する、
<4>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<6>
前記繊維強化プラスチックが熱可塑性樹脂を含む、<5>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<7>
前記熱可塑性樹脂が結晶性の樹脂である、<6>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<8>
前記繊維強化プラスチックは、成形した後、バリを除去して得られたものである、<6>又は<7>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<9>
前記繊維強化プラスチックを前記下型に配置し、
前記繊維強化プラスチックの上に、前記塗料を塗布し、
前記加圧を開始する、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<10>
前記繊維強化プラスチックは、シートモールディングコンパウンドを成形した後、バリを除去して得られたものである、
<1>又は<2>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<11>
前記上型及び前記下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、前記シートモールディングコンパウンドを成形する際に使用した成形上型及び成形下型を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きい、<10>に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<12>
前記下型の表面に、少なくとも1つの凸部を有する、<1>~<11>のいずれか1つに記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<13>
前記下型は、少なくとも1つの貫通孔を有し、前記貫通孔を介して真空ポンプで前記繊維強化プラスチックを吸引しながら、前記加圧を行う、<1>~<12>のいずれか1つに記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<14>
前記塗料はプライマー塗料、外観意匠塗料、導電塗料、電磁波遮蔽塗料、及び耐火塗料からなる群より選択される少なくとも1つである、<1>~<13>のいずれか1つに記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
<15>
前記塗料は反応性の塗料である、<1>~<14>のいずれか1つに記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
塗料と繊維強化プラスチックとを、雌雄一対の上型と下型を用いて加圧し、塗装された繊維強化プラスチックを製造する方法であって、
前記繊維強化プラスチックは、少なくとも、第一の面Aと、第二の面Bと、前記第一の面A及び前記第二の面Bに接続する端面Cとを含み、
前記第一の面Aと前記第二の面Bとは、前記繊維強化プラスチックを前記雌雄一対の上型と下型を用いて加圧する際に、それぞれ別々の型に面する面であり、
加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記第二の面B及び前記端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、前記繊維強化プラスチックが塗装される、塗装された繊維強化プラスチックの製造方法である。
繊維強化プラスチックは、少なくとも、強化繊維とマトリクス樹脂とを含む。
繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維に特に限定は無いが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、及び玄武岩繊維からなる群より選ばれる1つ以上の強化繊維であることが好ましい。強化繊維はガラス繊維であることがより好ましい。強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維の平均繊維直径は、1μm~50μmが好ましく、5μm~20μmがより好ましい。平均繊維径が1μm以上であると樹脂の繊維への含浸性が良好となり、50μm以下であれば成形性や加工性が良好となる。
強化繊維は不連続繊維を含むことが好ましい。不連続繊維を用いた場合、連続繊維のみを用いた繊維強化プラスチックに比べて賦形性が向上し、複雑な形状の成形体を作成することが容易となる。
強化繊維の重量平均繊維長は、1mm以上であることが好ましく、1mm以上100mm以下であることがより好ましく、1mm以上70mm以下であることが更に好ましく、1mm以上50mm以下であることが特に好ましい。
強化繊維の重量平均繊維長が1mm以上であれば、繊維強化プラスチックそのものにも構造剛性を持たせることが容易となる。なお、射出成形で作成された繊維強化プラスチックでは、強化繊維の重量平均繊維長が0.1~0.3mm程度である。従って、強化繊維の重量平均繊維長は、1mm以上100mm以下にする場合、圧縮成形によって繊維強化プラスチックを作成することが好ましい。
強化繊維の重量平均繊維長を100mm以下とすれば、流動性に優れるため好ましい。
本発明においては繊維長が互いに異なる不連続強化繊維を併用してもよい。換言すると、本発明に用いられる不連続強化繊維は、重量平均繊維長の分布において単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
強化繊維の繊維体積割合Vfに特に限定は無いが、20~70%が好ましく、25~60%がより好ましく、30~55%が更に好ましい。
なお、繊維体積割合(Vf単位:体積%)とは、強化繊維とマトリクス樹脂だけではなく、その他の添加剤等も含めた繊維強化プラスチック全体の体積に対する強化繊維の体積の割合である。
マトリクス樹脂の種類に特に限定は無く、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。
熱硬化性樹脂を用いる場合、不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の樹脂であることであることが好ましい。
マトリクス樹脂として用いることができる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂としては、通常、軟化点が180℃~350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。
熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。
ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。
ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂を挙げることができる。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
繊維強化プラスチック中には、本発明の目的を損なわない範囲で、有機繊維または無機繊維の各種繊維状または非繊維状のフィラー、無機充填剤、難燃剤、耐UV剤、安定剤、離型剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
また、マトリクス樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、増粘剤、硬化剤、重合開始剤、重合禁止剤などを含有してもよい。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
繊維強化プラスチックは、強化繊維を用いたシートモールディングコンパウンド(SMCと呼ぶ場合がある)を成形したものであることが好ましい。シートモールディングコンパウンドはその成形性の高さから、流動性や賦形性が連続繊維に比べて高く、複雑形状であっても、容易に成形することができる。
シートモールディングコンパウンド(SMC)を用いた繊維強化プラスチックとしては、Continental Structural Plastics社製(CSPと略する場合がある)のシートモールディングコンパウンドを利用することができる。
繊維強化プラスチックは、シートモールディングコンパウンド(SMC)を成形した後、バリを除去して得られたものであることが好ましい。SMCを圧縮成形すると、通常は、得られた成形体(繊維強化プラスチック)の端面にはバリが発生する(使用するSMCの量が少ない場合はバリが発生しないが、ショートショットとなり、不良品になる)。図13に、SMC20の圧縮成形の一例を示す模式図を記載した。図13のSMC20は圧縮成形されており、端面にバリ19が発生している。バリ19の除去は公知の方法で行うことができる。
第一の面Aと第二の面Bは、繊維強化プラスチックを雌雄一対の上型と下型を用いて加圧する際に、それぞれ別々の型に面する面である。
ここで、繊維強化プラスチックのある面がある型に面するということは、その面とその型とが向かい合うことであるが、その面とその型とは接触してもよいし、接触しなくてもよい。
第一の面Aが上型と面し、かつ第二の面Bが下型と面するか、又は、第一の面Aが下型と面し、かつ第二の面Bが上型と面することが好ましい。
第一の面Aが上型と面し、かつ第二の面Bが下型と面する場合、第一の面Aと上型との距離は、第二の面Bと上型との距離よりも短く、第一の面Aと下型との距離は、第二の面Bと下型との距離よりも長い。
第一の面Aが下型と面し、かつ第二の面Bが上型と面する場合、第一の面Aと上型との距離は、第二の面Bと上型との距離よりも長く、第一の面Aと下型との距離は、第二の面Bと下型との距離よりも短い。
端面Cは、繊維強化プラスチックを成形する際に用いる成形材料(典型的には板状の成形材料)の端面と同じ面又は成形材料の端面に相当する面であることが好ましい。なお、成形材料の端面と同じ面とは、成形材料の端面であった面のことをいう。成形材料の端面に相当する面とは、成形材料の端面であった面であるが、成形材料が成形されることにより、形状や大きさが変わった面のことをいう。
第二の面Bと端面Cとがなす角の角度は特に限定されないが、例えば、60°以上120°以下であってもよいし、80°以上100°以下であってもよい。
第一の面Aと第二の面Bとは平行であってもよいし、交差してもよい。第一の面Aと第二の面Bとが交差する場合、第一の面Aと第二の面Bとがなす角の角度は特に限定されないが、例えば、45°以下であってもよいし、30°以下であってもよい。
繊維強化プラスチックは、第一の面A、第二の面B、及び端面Cを有してれば、その形状は限定されない。
繊維強化プラスチックは、第一の面A、第二の面B、及び端面Cに加えて、これら以外の面を有していてもよい。
塗料は特に限定されない。
塗料は反応性を有さない塗料でもよいし、反応性を有する塗料(反応性の塗料)でもよいが、反応性の塗料であることが好ましい。
反応性の塗料は、特に限定されないが、熱により硬化する化合物を含む塗料であることが好ましい。
反応性の塗料としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートの2液硬化型のウレタン樹脂系の塗料や、ラジカル重合系のモノマー又はオリゴマーと、過酸化物とを含むアクリル樹脂系の塗料などが挙げられる。
2液性塗料を使用する場合、これは主剤(塗料液)に硬化剤(樹脂)を混ぜて使うタイプであることが好ましい。混合率も塗料製品によって適宜定められる。また、使用する量を現場で混ぜ合わせることができる。2液性塗料は、主剤と硬化剤の2つの液を決められた比率で混ぜ合わせることで化学反応を起こし、分子の結合を密にさせることで塗料の性能を最大限に発揮する。分子が緻密であることから、塗膜と下地の密着性が高まり安定している強固な塗膜を作ることが可能である。
一方、1液性塗料を使用する場合、主剤(塗料液)だけで塗装できるように成分調整されているもので、缶を開けて希釈するだけでそのまま使用できる。そのため取り扱いはシンプルで、比較的簡単に使える。また、塗料が残ってしまったとしても、決められた方法で保管することで次回も使用可能となる。
本発明で用いる塗料に特に限定は無いが、プライマー塗料、外観意匠塗料、導電塗料、電磁波遮蔽塗料、及び耐火塗料からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法において、塗料と繊維強化プラスチックとを、雌雄一対の上型と下型を用いて加圧する工程を塗装工程とも呼ぶ。
前述したとおり、繊維強化プラスチックは、少なくとも、第一の面Aと、第二の面Bと、前記第一の面A及び前記第二の面Bに接続する端面Cとを含むものである。
塗装工程では、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、繊維強化プラスチックの第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触する。塗料が加圧によって型内で流動することにより、第一の面A並びに第二の面B及び端面Cの少なくとも一方に塗料が接触して塗膜が形成されることで塗装される。すなわち、型内で繊維強化プラスチックの両面及び端面のいずれかへの塗装を行うことができる。
本発明では、塗装工程により、第一の面Aの少なくとも一部に加えて、第二の面Bの少なくとも一部と端面Cの少なくとも一部が塗装されてもよいし、第二の面Bの少なくとも一部のみが塗装されてもよいし、端面Cの少なくとも一部のみが塗装されてもよい。
本発明では、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、第二の面Bの少なくとも一部及び端面Cの少なくとも一部に接触することがより好ましい。これにより、第二の面Bと端面Cが塗装される。
(1)の場合、第一の面Aが上型と面し、第二の面Bが下型と面する。
(1)の場合、「繊維強化プラスチックの上」とは、繊維強化プラスチックの下型に面している面ではない面であり、かつ端面ではない面を意味する。「繊維強化プラスチックの上」は、第一の面Aであってもよいし、第一の面Aとつながっている面であってもよい。
(1)の場合、「繊維強化プラスチックの上」の少なくとも一部に塗料を塗布する。
「繊維強化プラスチックの上」が第一の面Aである場合、繊維強化プラスチックの上に塗料を塗布したときに、塗料が第一の面Aと接触する。「繊維強化プラスチックの上」が第一の面Aとつながっている面(第一の面Aと同じ上型に面する面)である場合、繊維強化プラスチックの上に塗料を塗布し、加圧をすることで、塗料が流動することにより、塗料が第一の面Aと接触する。
また、加圧により、塗料は第一の面Aから端面C及び第二の面Bへ流動する。
このようにして、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、繊維強化プラスチックが塗装される。
(2)の場合、第一の面Aが上型と面し、第二の面Bが下型と面する。
(2)の場合は、(1)の場合の繊維強化プラスチックの上に塗料を塗布することに代えて、上型に塗料を塗布する場合である。
(2)の場合、上型の少なくとも一部に塗料を塗布する。
上型に塗料を塗布した場合も、(1)の場合と同様に、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、繊維強化プラスチックが塗装される。この場合、上型に塗布された塗料が第一の面Aに転写されることで、塗装が始まる。
(3)の場合、第一の面Aが下型と面し、第二の面Bが上型と面する。
(3)の場合は、繊維強化プラスチックを下型に配置する前に、下型に塗料を塗布し、その後、繊維強化プラスチックを下型に配置する。
(3)の場合、下型の少なくとも一部に塗料を塗布する。
繊維強化プラスチックを下型に配置したとき、下型に塗布された塗料に接触する面が第一の面Aであってもよいし、下型に塗布された塗料に接触する面とつながっている面(下型に面する面)が第一の面Aであってもよい。繊維強化プラスチックの下型に塗布された塗料に接触している面が第一の面Aである場合、繊維強化プラスチックを下型に配置したときに、塗料が第一の面Aと接触する。繊維強化プラスチックの下型に塗布された塗料に接触している面が第一の面Aとつながっている面である場合、繊維強化プラスチックを下型に配置し、加圧をすることで、塗料が流動することにより、塗料が第一の面Aと接触する。
また、加圧により、塗料は第一の面Aから端面C及び第二の面Bへ流動する。
このようにして、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、繊維強化プラスチックが塗装される。
本発明は、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部及び第二の面Bの少なくとも一部に接触し、その後、端面Cの少なくとも一部に接触することで、繊維強化プラスチックが塗装されるものも含まれる。
(4)の場合、第一の面Aが上型又は下型と面し、第二の面Bが下型又は上型と面する。
(4)の場合としては、下型の少なくとも一部に塗料を塗布した後に、繊維強化プラスチックを下型に配置し、繊維強化プラスチックの上の少なくとも一部に、塗料を塗布し、加圧を開始する場合が挙げられる。また、下型の少なくとも一部に塗料を塗布した後に、繊維強化プラスチックを下型に配置し、上型の少なくとも一部に塗料を塗布し、加圧を開始する場合も挙げられる。
このようにして、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、先ず、第一の面Aの少なくとも一部と第二の面Bの少なくとも一部に接触し、その後、端面Cの少なくとも一部に接触することで、繊維強化プラスチックが塗装される。
例として、図1の繊維強化プラスチック1を塗装する場合について具体的に説明する。この場合、まず、図1の繊維強化プラスチック1を下型に配置する。下型に配置された繊維強化プラスチック1のフランジ部の端部の模式図を図3に示した。なお、図3には下型は図示していない。次に、繊維強化プラスチックの上に塗料を塗布する。ここで、繊維強化プラスチックの上とは、下型に面している面ではない面であり、かつ端面ではない面を意味する。例えば、図4に示すように、繊維強化プラスチックの上である面A1に塗料4を塗布する(塗料4が面A1の一部に接触する)。塗料を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を用いて塗布することができる。塗料を塗布した後、上型と下型を閉じて加圧を開始する。図4の塗料4は、加圧されることにより、端面C1及び面B1まで流動する(塗料4が端面C1及び面B1の一部に接触する)。このようにして、図5に示すように、面A1、端面C1及び面B1に塗料4による塗膜が形成され、塗装される。
なお、前述したとおり、塗料を塗布する「繊維強化プラスチックの上」は、図4に示されるように第一の面Aであってもよいし、第一の面Aとつながっている面(例えば、図1の天面部S1の表面や、立面部S2の表面など)であってもよい。
塗装工程で用いる雌雄一対の上型と下型は、繊維強化プラスチックの成形型とは異なるものであることが好ましい。
繊維強化プラスチックは、成形上型及び成形下型を用いて成形された後、成形上型及び成形下型から取り外され、
その後、塗装上型と塗装下型を用いて加圧するものであることが好ましい。
繊維強化プラスチックが変形し、
その後、塗装上型と塗装下型を用いて加圧するものであることがより好ましい。
特に、マトリクス樹脂として熱硬化性樹脂を用いたSMCに比べて、マトリクス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合は、コーナー部は成形後から5分程度かけて大きく反っていく傾向がある。特許文献4のように、コア型から離さず(反る前に)塗装してしまうと、塗装が剥がれてしまう可能性があるのに対して、本発明の上記態様のように、反った後に塗装型に改めて嵌め込んで塗装すれば、この問題は発生しにくい。また、非晶性樹脂(例えば、ポリカーボネート)よりも、結晶性の樹脂(例えば、ポリアミドやポリプロピレン)の方が、反りが大きくなる傾向が高いため、本発明の上記態様をより有効に活用できる。
熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチックも、成形した後、バリを除去して得られたものであることが好ましい。バリの除去は、繊維強化プラスチックの端部のバリを切除することにより行うことができる。
塗装工程で用いる上型及び下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、繊維強化プラスチックを成形する際に使用した成形上型及び成形下型(好ましくは、シートモールディングコンパウンドを成形する際に使用した成形上型及び成形下型)を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きいことが好ましい。
塗装工程で用いる上型及び下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、繊維強化プラスチックを成形する際に使用した成形上型及び成形下型を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きいと、塗装工程で上型及び下型を閉じた場合に、繊維強化プラスチックと上型及び下型の少なくとも一方との間に隙間が生じる。これにより、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、第一の面Aから、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に流動しやすくなり、繊維強化プラスチックの塗装を効率的に行うことができる。
図6に塗装工程の一例の模式図を記載した。図6では、上型5及び下型6を閉じた場合に、繊維強化プラスチック7と上型5及び下型6の少なくとも一方との間に隙間8が生じており、塗料4が、第一の面Aから、端面C及び第二の面Bへ流動しやすい。
なお、図6では、塗料4が型外に漏れないようにシール9を施しているが、本発明では、シールは必須ではない。塗料が型外に漏れないようにするためには、シール以外にも、例えば、型の形状を工夫することもできる。また、塗料が型外に漏れることで塗料が不足することを防ぐためには、シール以外にも、漏れ出す分も考慮して塗料を多めに使用することもできる。
また、塗装工程で使用する上型と下型は、成形工程で使用する上型と下型と同じであっても良いし、異なっていても良い。
なお、成形工程で得られた成形体(繊維強化プラスチック)の一部を削って、塗装工程で用いる上型及び下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、繊維強化プラスチックを成形する際に使用した成形上型及び成形下型を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きくすることもできる。
塗装工程で用いる下型の表面に、少なくとも1つの凸部を有することも好ましい。塗装工程で用いる下型の表面に、少なくとも1つの凸部を有すると、塗装工程で上型及び下型を閉じた場合に、繊維強化プラスチックと下型との間に隙間が生じる。これにより、加圧開始から加圧終了にかけて、塗料が、第一の面Aから、第二の面B及び端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に流動しやすくなり、繊維強化プラスチックの塗装を効率的に行うことができる。
図7に塗装工程の一例の模式図を記載した。図7では、下型6の表面に凸部10を有しており、上型5及び下型6を閉じた場合に、繊維強化プラスチック7と下型6との間に隙間11が生じ、塗料4が、第一の面Aから、第二の面Bへ流動しやすい。
塗装工程で用いる下型は、少なくとも1つの貫通孔を有し、貫通孔を介して真空ポンプで繊維強化プラスチックを吸引しながら、加圧を行うことも好ましい。真空ポンプで繊維強化プラスチックを吸引することで、繊維強化プラスチックを固定することができ、加圧時に繊維強化プラスチックが動いて、塗料の流動を妨げることを防止することができる。
図8に塗装工程の一例の模式図を記載した。図8では、下型6に貫通孔12を有し、貫通孔12を介して真空ポンプ13で繊維強化プラスチック7を吸引しており、繊維強化プラスチック7を固定することができ、加圧時に繊維強化プラスチック7が動いて、塗料4の流動を妨げることを防止することができる。
例えば、(a)と(c)を組み合わせて、塗装工程で用いる上型及び下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、繊維強化プラスチックを成形する際に使用した成形上型及び成形下型を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きいものであり、かつ下型は、少なくとも1つの貫通孔を有し、貫通孔を介して真空ポンプで繊維強化プラスチックを吸引しながら、加圧を行うことができる。
また、(b)と(c)を組み合わせて、下型の表面に、少なくとも1つの凸部を有し、かつ下型は、少なくとも1つの貫通孔を有し、貫通孔を介して真空ポンプで繊維強化プラスチックを吸引しながら、加圧を行うことができる。
本出願は、2021年6月7日出願の日本特許出願(特願2021-095364)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
S1 天面部
S2 立面部
S3 フランジ部
A1、A2 第一の面Aに相当する面
B1、B2 第二の面Bに相当する面
C1、C2 端面Cに相当する面
3 穴
4 塗料
5 上型
6 下型
8、11 隙間
9 シール
10 凸部
12 貫通孔
13 真空ポンプ
14 成形体
15 成型上型
16 成型下型
17 注入装置
19 バリ
20 SMC
Claims (14)
- 塗料と繊維強化プラスチックとを、雌雄一対の上型と下型を用いて加圧し、塗装された繊維強化プラスチックを製造する方法であって、
前記繊維強化プラスチックは、少なくとも、第一の面Aと、第二の面Bと、前記第一の面A及び前記第二の面Bに接続する端面Cとを含み、
前記第一の面Aと前記第二の面Bとは、前記繊維強化プラスチックを前記雌雄一対の上型と下型を用いて加圧する際に、それぞれ別々の型に面する面であり、
加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記第二の面B及び前記端面Cの少なくとも一方の少なくとも一部に接触することで、前記繊維強化プラスチックが塗装され、
前記上型及び前記下型は、それぞれ塗装上型及び塗装下型であって、
前記繊維強化プラスチックは、成形上型及び成形下型を用いて成形された後、前記成形上型及び前記成形下型から取り外され、
その後、前記塗装上型と前記塗装下型を用いて加圧する、
塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。 - 加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記端面Cの少なくとも一部に接触する、請求項1に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 加圧開始から加圧終了にかけて、前記塗料が、先ず、前記第一の面Aの少なくとも一部に接触し、その後、前記第二の面Bの少なくとも一部及び前記端面Cの少なくとも一部に接触する、請求項1に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記成形上型及び前記成形下型から取り外された後、
前記繊維強化プラスチックが変形し、
その後、前記塗装上型と前記塗装下型を用いて加圧する、
請求項1に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。 - 前記繊維強化プラスチックが熱可塑性樹脂を含む、請求項4に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が結晶性の樹脂である、請求項5に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記繊維強化プラスチックは、成形した後、バリを除去して得られたものである、請求項5に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記繊維強化プラスチックを前記下型に配置し、
前記繊維強化プラスチックの上に、前記塗料を塗布し、
前記加圧を開始する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。 - 前記繊維強化プラスチックは、シートモールディングコンパウンドを成形した後、バリを除去して得られたものである、
請求項1又は2に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。 - 前記上型及び前記下型を閉じた場合に生じるクリアランスが、前記シートモールディングコンパウンドを成形する際に使用した成形上型及び成形下型を閉じた場合に生じるクリアランスよりも大きい、請求項9に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記下型の表面に、少なくとも1つの凸部を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記下型は、少なくとも1つの貫通孔を有し、前記貫通孔を介して真空ポンプで前記繊維強化プラスチックを吸引しながら、前記加圧を行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記塗料はプライマー塗料、外観意匠塗料、導電塗料、電磁波遮蔽塗料、及び耐火塗料からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記塗料は反応性の塗料である、請求項1~7のいずれか1項に記載の塗装された繊維強化プラスチックの製造方法。
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