JP7517320B2 - 溶銑予備処理容器 - Google Patents
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Description
しかし、アルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがは、化学成分中のAl2O3量が多いほど耐スラグ侵食性に優れるが、溶銑予備処理容器の使用回数増加に伴いスラグ浸潤量が大きくなると、スポーリングを起こし易くなる。また、熱膨張挙動が大きく、この膨張による残存膨張収縮率でプラス(膨張)が大き過ぎると迫割れなどが起り易く、残存膨張収縮率でマイナス(収縮)が大きくなると収縮亀裂が大きくなり、れんが脱落などのトラブルが発生する。
耐火物の耐用性を高めることを目的とした従来技術として、例えば、特許文献1には、溶銑鍋用れんがについて、耐火物原料に粒度1mm以上5mm未満の珪石を5質量%以上20質量%以下配合することで、耐食性および残存膨張性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、溶鋼処理用の取鍋について、メタルライン部のワーク耐火物にマグネシア・スピネル質れんがを適用する技術が開示されている。
また、溶銑予備処理容器は、保持する溶鉄(溶銑)の温度やスラグ組成が溶鋼保持用の取鍋のそれとは全く異なり、取鍋に比べて非常に苛酷な条件下で使用される。すなわち、溶銑予備処理容器の場合、受銑と溶銑払い出しが繰り返されるため、特許文献2に示される取鍋に比べて操業中の温度変化が大きく、また、保持する溶鉄(溶銑)の温度が高く、スラグ組成も取鍋とは異なる。このため、特許文献2の技術を溶銑予備処理容器のワーク耐火物に適用しても十分な耐用性は得られない。
[1]溶銑を保持または/および精錬するための溶銑予備処理容器であって、
溶銑予備処理容器内における銑浴部よりも上側の領域の少なくとも一部のワーク耐火物が、化学成分中のAl2O3量が1質量%以上44質量%以下、MgO量が55質量%以上98質量%以下、Al2O3とMgOの合計量が80質量%以上99質量%以下であるマグネシア・スピネル質れんがにより構成されることを特徴とする溶銑予備処理容器。
[2]上記[1]の溶銑予備処理容器において、前記マグネシア・スピネル質れんがの化学成分中のSiO2量が5質量%未満であることを特徴とする溶銑予備処理容器。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの溶銑予備処理容器において、溶銑予備処理容器内におけるスラグライン部よりも下側の領域の少なくとも一部のワーク耐火物が、化学成分中のAl2O3量が50質量%以上85質量%以下、SiO2量が1質量%以上40質量%以下、SiC量が4質量%以上15質量%以下、C量が5質量%以上20質量%以下であるアルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがにより構成されることを特徴とする溶銑予備処理容器。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの溶銑予備処理容器において、溶銑予備処理容器内の少なくともフリーボード部の一部または全部のワーク耐火物が、前記マグネシア・スピネル質れんがにより構成されることを特徴とする溶銑予備処理容器。
図1は、本発明が適用される溶銑予備処理容器(溶銑鍋)の一例を示す縦断面図であり、容器は、鉄皮の内側に永久耐火物がライニング(施工)され、その上にワーク耐火物がライニング(施工)された構造を有している。図1に示すように、溶銑予備処理容器内の高さ方向の領域(容器側壁の内側の領域)は、上から順に、フリーボード部(容器使用時において、主として溶融スラグ・溶銑に接しないが、受銑時や溶銑払い出し時に溶融スラグ・溶銑に接する領域)、スラグライン部(容器使用時において、主として溶融スラグに接する領域)、銑浴部(メタルライン部。容器使用時において、主として溶銑(メタル)に接する領域)に分かれている。また、容器の内底部は敷部と呼ばれる。
銑浴部よりも上側の領域であるフリーボード部とスラグライン部は、ワーク耐火物の耐用性が特に問題となる領域であり、このため本発明の溶銑予備処理容器の耐火物ライニング構造では、当該領域の少なくとも一部のワーク耐火物(好ましくは全部のワーク耐火物)を、上記特定の化学成分のマグネシア・スピネル質れんがで構成する。また、銑浴部よりも上側の領域のなかでも、フリーボード部のワーク耐火物の耐用性が特に問題となりやすいため、少なくともフリーボード部の一部または全部のワーク耐火物を、上記特定の化学成分のマグネシア・スピネル質れんがで構成することが好ましい。
また、上述した観点から上記マグネシア・スピネル質れんがの特に好ましい化学成分は、Al2O3量:6~9質量%、MgO量:84~91質量%、Al2O3とMgOの合計量:90~99質量%である。
上記マグネシア・スピネル質れんがは、さらに、その他の添加成分(SiO2、C以外の成分)として、Fe2O3、ZrO2、TiO2などの1種以上を適量含有してもよい。その場合、Fe2O3やZrO2の含有量はそれぞれ0.1~0.5質量%程度、TiO2の含有量は最大で7~8質量%程度が適当である。
また、アルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがのアルミナ原料としては、例えば、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナなどを用いることができ、シリカ原料としては、例えば、ろう石、ムライトなどを用いることができ、カーボン原料としては、例えば、鱗状黒鉛、膨張黒鉛、粉末ピッチ、カーボンブラックなどを用いることができる。また、SiC(炭化ケイ素)としては、炭素原料とケイ素原料を混合した粉末状のSiCパウダーなどを用いることができる。
本発明で使用するワーク耐火物(マグネシア・スピネル質れんが、アルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんが)は、例えば、図2に示すような製造工程で製造される。すなわち、耐火物原料を配合し、これを混錬・成形し、その成形物を乾燥させて所望の大きさ・形状のれんがを得る。なお、場合によっては、乾燥後の成形物を焼成してもよい。耐火物原料には、有機系または無機系のバインダーを添加することができる。
得られた発明例および比較例の耐火物(れんが)について、耐溶損性と耐割れ性を以下の方法で評価した。
耐溶損性については、高周波誘導炉を用いた内張り張り分け法で評価した。試験温度を1650℃とし、表4に示す合成スラグを1時間毎に4回投入した。試験後に溶損量を測定し、表1中の発明例1-2の溶損量を100とした溶損指数で評価した。なお、溶損指数の数値が小さい方が耐溶損性に優れる。
さらに、表1の実施例については熱間強度(曲げ強度)を、表3の実施例については熱伝導率を、それぞれ以下の方法で測定した。
熱間強度(曲げ強度)は、サイズ40×40×100mmの試料の熱間強度をJIS R2213に準拠して測定した。試験温度は1400℃、試験雰囲気は還元雰囲気とした。
熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定した。すなわち、レーザーフラッシュにて試験片を瞬間的に加熱し、試験片の温度上昇から熱伝導率を求めた。
発明例1-1~発明例1-6に示す通り、Al2O3量が1質量%以上44質量以下、MgO量が55質量%以上98質量%以下、Al2O3とMgOの合計量が80質量%以上99質量%以下の場合、優れた耐溶損性が得られており、また、熱間強度(曲げ強度)についても、比較例に較べて高い値が得られている。また、特に発明例1-3~発明例1-5は、従来のアルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがと比較して、耐割れ性も耐溶損性も優れている。
一方、比較例1-1~比較例1-3に示す通り、Al2O3が1質量%未満、MgOが55質量%未満の場合、Al2O3とMgOの合計が80質量%未満の場合、耐溶損性は大幅に低下している。また、比較例1-4に示す通り、Al2O3とMgOの合計が99質量%超の場合も、耐溶損性は大幅に低下している。
これらの結果から、優れた耐溶損性および耐割れ性のマグネシア・スピネル質れんがとするには、化学成分中のAl2O3量を1質量%以上44質量以下、MgO量を55質量%以上98質量%以下、Al2O3とMgOの合計量を80質量%以上99質量%以下とすればよいことが分かる。
発明例2-1~発明例2-7に示す通り、SiO2を含有する本発明例のマグネシア・スピネル質れんがは、従来のアルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがと比較して、耐割れ性も耐溶損性も優れている。これらのなかで、発明例2-1~発明例2-4に示す通り、SiO2量が5質量%未満の場合、特に優れた耐溶損性、耐割れ性が得られている。一方、発明例2-5~発明例2-7に示す通り、SiO2量が5質量%以上の場合には、耐割れ性は向上するが同時に耐溶損性が低下している。
これらの結果から、SiO2の添加により優れた耐溶損性と耐割れ性のマグネシア・スピネル質れんがとするには、化学成分中のSiO2量を0.5質量%以上5質量%未満とすればよいことが分かる。
発明例3-1~発明例3-7に示す通り、Cを含有する本発明例のマグネシア・スピネル質れんがは、従来のアルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがと比較して、耐割れ性も耐溶損性も優れている。これらのなかで、発明例3-1~発明例3-4に示す通り、C量が5質量%未満の場合、高耐割れ性でありながら熱伝導率は殆ど一定である。一方、発明例3-5~発明例3-7に示す通り、Cが5質量%以上の場合には、耐割れ性は向上するが同時に熱伝導率も上昇するため、溶銑予備処理容器に適用した場合、鉄皮からの熱ロス増大が懸念される。
これらの結果から、Cの添加により優れた耐溶損性と低熱伝導率のマグネシア・スピネル質れんがとするには、化学成分中のC量を0.5質量%以上5質量%未満とすればよいことが分かる。
表5に示す通り、本発明条件でマグネシア・スピネル質れんがを施工した場合、従来品であるハイアルミナ質れんがを施工した場合に比べて、溶銑鍋の使用回数が約1.4倍になった。
Claims (4)
- 溶銑を保持または/および精錬するための溶銑予備処理容器であって、
溶銑予備処理容器内における銑浴部よりも上側の領域の少なくとも一部のワーク耐火物が、化学成分中のAl2O3量が1質量%以上44質量%以下、MgO量が55質量%以上98質量%以下、Al2O3とMgOの合計量が80質量%以上99質量%以下であるマグネシア・スピネル質れんが(但し、Cを含有しない)により構成されることを特徴とする溶銑予備処理容器。 - 前記マグネシア・スピネル質れんがの化学成分中のSiO2量が0.5質量%以上5質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の溶銑予備処理容器。
- 溶銑予備処理容器内におけるスラグライン部よりも下側の領域の少なくとも一部のワーク耐火物が、化学成分中のAl2O3量が50質量%以上85質量%以下、SiO2量が1質量%以上40質量%以下、SiC量が4質量%以上15質量%以下、C量が5質量%以上20質量%以下であるアルミナ・シリカ・SiC・カーボン質れんがにより構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑予備処理容器。
- 溶銑予備処理容器内の少なくともフリーボード部の一部または全部のワーク耐火物が、前記マグネシア・スピネル質れんがにより構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の溶銑予備処理容器。
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