JP7527587B2 - 凝集剤組成物 - Google Patents
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Description
泥水を処理するための凝集剤組成物であって、
(a)以下の構造式(I):
を有する第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩(第4級アンモニウム塩)を含む凝集剤と、
(b)二価のカチオンの金属塩を含む凝集脱水助剤と、
を含有することにある。
前記凝集剤及び前記凝集脱水助剤の剤形は、溶液又は懸濁液であることが好ましい。
前記凝集剤における前記第4級アンモニウム塩の含有量は、30~50重量%であり、前記凝集脱水助剤における前記二価のカチオンの金属塩の含有量は、25~45重量%であることが好ましい。
前記凝集剤と前記凝集脱水助剤との配合比率(a:b)が、体積比で1:0.5~1:7に設定されていることが好ましい。
水で3~5倍の体積に希釈されていることが好ましい。
前記二価のカチオンの金属塩の濃度が、2.5重量%以上に設定されていることが好ましい。
前記第4級アンモニウム塩の濃度が、3重量%以上に設定されていることが好ましい。
前記二価のカチオンの金属塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、及びコバルト塩からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記二価のカチオンの金属塩は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
無機凝集剤を含有しないことが好ましい。
凝集剤は、泥水シールド工事で発生した泥水中に浮遊する土粒子を凝集し、沈降させるための薬剤であり、その主成分は、第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンと他のアニオンとの塩であり、カチオン系凝集剤に分類される。
凝集脱水助剤は、凝集剤による凝集性能を向上させるとともに、凝集剤によって凝集沈降させた土粒子のフロックをフィルタープレス等の脱水機に通してケーキとする際の当該ケーキの脱水効果を向上させるための薬剤であり、その主成分は、二価のカチオンの金属塩である。二価のカチオンの金属塩は、従来、凍結防止剤、除湿剤、乾燥剤、排水処理剤、肥料等の用途として知られていたが、本発明者らは、凝集剤として第4級アンモニウム塩を使用した泥水処理において、二価のカチオンの金属塩を助剤として併用すると、泥水中の土粒子の凝集性及びフロックの脱水性が向上するという予期し得ない新たな効果を発見し、本発明を完成するに至った。
本発明にかかる凝集剤組成物は、上記の凝集剤と、上記の凝集脱水助剤とを組み合わせたことで、当該凝集組成物を泥水シールド工事で発生した泥水の凝集沈降処理及び高度脱水処理(二次処理)に使用した場合、高いフロック形成能(凝集性)と強いケーキ形成能(脱水性)とを両立させることができる。従って、例えば、泥水が大量に発生するような場面であっても、効率的に泥水処理を進めることが可能となり、作業員の負担や処理コストの低減に寄与するものとなる。また、凝集剤に含まれる第4級アンモニウム塩、及び凝集脱水助剤に含まれる二価のカチオンの金属塩は、中性ないし弱塩基性の物質であるため、脱水性能を向上させるために凝集剤組成物の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少ないものとなる。そして、処理後に生成した脱水ケーキ及び処理水は、中性ないし弱酸性を維持できることから、従来は必要とされていたpH調整(中和作業)は不要又は低減することができ、結果として、環境への負荷も小さいものとなる。
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:0.57となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:2.5重量%)を得た。
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:1となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を得た。
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用し、凝集脱水助剤として、塩化カルシウム(剤形:35重量%水溶液、株式会社トクヤマ製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと、塩化カルシウムとを体積比で1:7となるように混合し、この混合物に水を添加して4倍の体積となるように希釈し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を得た。
凝集剤として、第4級アンモニウム塩であるジアルキルジメチルアンモニウムクロリド(製品名:TGスコール、剤形:40重量%水溶液、テクニカ合同株式会社製)を使用した。ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドに水を添加して8倍の体積となるように希釈し、比較例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:0重量%)を得た。
無機凝集剤として市販されているポリ塩化アルミニウム(製品名:PAC250A、濃度:10重量%(Al2O3換算)、多木化学株式会社製)を、そのまま参考例1の凝集剤として使用した。
CST(Capillary Suction Time)試験は、毛細管現象により液が一定の範囲に広がる時間を測定するものであり、これにより泥水のろ水性を評価することができる。CST試験では、泥水に粘物質が多く含まれると、測定値(CST値)が大きくなり、脱水性が悪いと評価されることになる。
CST試験で使用した泥水について、本発明に含まれる凝集剤組成物の添加による脱水性の向上効果をフィルタープレス試験機(株式会社三央製)により確認した(実施例4~7)。また、比較のため、本発明に含まれない凝集剤組成物の添加による泥水の脱水性(比較例2)、並びに、参考のため、代表的な無機凝集剤であるポリ塩化アルミニウム(PAC)の添加による泥水の脱水性(参考例3)についても、同じフィルタープレス試験機を用いて確認した。
泥水10Lに対し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例4における脱水時間は、55分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.01(kg)、コーン指数が60(kN/m2)、含水率が49.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが10.1、電気伝導度が2.11(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、実施例2の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:4.4重量%)を7.4kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例5における脱水時間は、37分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.06(kg)、コーン指数が71(kN/m2)、含水率が50.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.9、電気伝導度が1.88(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例6における脱水時間は、51分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が2.98(kg)、コーン指数が73(kN/m2)、含水率が43.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.8、電気伝導度が3.15(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、実施例3の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:30.6重量%)を7.4kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。実施例7における脱水時間は、44分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.00(kg)、コーン指数が62(kN/m2)、含水率が51.3(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが9.9、電気伝導度が5.33(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、比較例1の凝集剤組成物(ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド濃度:5重量%、塩化カルシウム濃度:0重量%)を3.7kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。比較例1における脱水時間は、56分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.24(kg)、コーン指数が41(kN/m2)、含水率が47.6(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが10.1、電気伝導度が1.20(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、参考例1の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、濃度:10重量%(Al2O3換算))を5.6kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。参考例2における脱水時間は、60分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が3.01(kg)、コーン指数が25(kN/m2)、含水率が44.5(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが7.3、電気伝導度が2.78(ms/cm)であった。
泥水10Lに対し、参考例1の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、濃度:10重量%(Al2O3換算))を11.2kg/m3の割合で添加し、泥水を3分間攪拌した。次いで、攪拌後の泥水をフィルタープレス試験機に打込み圧0.5MPaで導入し、ろ水量が5000gに達するまでプレスを継続し、その間1分毎にろ水量を計測した。参考例3における脱水時間は、43分であった。プレス終了後に回収した脱水ケーキの特性は、重量が2.95(kg)、コーン指数が46(kN/m2)、含水率が45.9(重量%)であった。ろ水の特性は、pHが6.6、電気伝導度が4.44(ms/cm)であった。
(2)実施例4と実施例5との対比から、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が低い場合、泥水に対する凝集剤組成物の添加量を増加させると、脱水性が向上することが確認された。この傾向は、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が高い場合(実施例6と実施例7との対比)においても同様であった。
(3)実施例4と実施例6との対比から、泥水に対する凝集剤組成物の添加量が少ない場合、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度が高くなると、脱水性が向上することが確認された。一方、実施例5と実施例7との対比から、泥水に対する凝集剤組成物の添加量が多い場合は、凝集剤組成物に含まれる塩化カルシウムの濃度は脱水性の向上に寄与するとは限らないことが示唆された。
(4)実施例4及び6と参考例2との対比から、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドと塩化カルシウムとを含む本発明にかかる凝集剤組成物は、従来用いられていたポリ塩化アルミニウムより、少ない添加量で優れた脱水性を達成できることが確認された。この傾向は、泥水に対する添加量を2倍にした場合(実施例5及び7と参考例3との対比)においても同様であった。
(5)凝集剤組成物を添加する前の泥水のpHは10.3であるところ、実施例4~7による脱水試験で得られたろ水のpHは9.8~10.1であり、参考例2及び3による脱水試験で得られたろ水のpHは6.6~7.3であった。このように、本発明にかかる凝集剤組成物は、使用前後のpH変動が小さいことから、脱水性能を向上させるために凝集剤組成物の添加量を増量させた場合にも機械や設備の腐食を引き起こす虞が少なく、さらには、pH調整(中和作業)に掛かる負担を低減し得るものであった。
Claims (10)
- 前記凝集剤及び前記凝集脱水助剤の剤形は、溶液又は懸濁液である請求項1に記載の凝集剤組成物。
- 前記凝集剤における前記第4級アンモニウム塩の含有量は、30~50重量%であり、前記凝集脱水助剤における前記二価のカチオンの金属塩の含有量は、25~45重量%である請求項2に記載の凝集剤組成物。
- 前記凝集剤と前記凝集脱水助剤との配合比率(a:b)が、体積比で1:0.5~1:7に設定されている請求項1~3の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
- 水で3~5倍の体積に希釈されている請求項1~4の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
- 前記二価のカチオンの金属塩の濃度が、2.5重量%以上に設定されている請求項5に記載の凝集剤組成物。
- 前記第4級アンモニウム塩の濃度が、3重量%以上に設定されている請求項5又は6に記載の凝集剤組成物。
- 前記二価のカチオンの金属塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩、及びコバルト塩からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~7の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
- 前記二価のカチオンの金属塩は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、及びリン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1~8の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
- 無機凝集剤を含有しない請求項1~9の何れか一項に記載の凝集剤組成物。
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