JP7529997B2 - 白板紙及び塗工白板紙の製造方法 - Google Patents
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Description
中層には、脱墨しない古紙パルプが用いられる。表層や表下層にはバージンパルプ等の白色度の高いパルプが用いられる。裏層は両面に白色度が必要な場合は表層等と同様とされ、その必要がない場合は白色度の低い古紙パルプが用いられる。
表層や表下層等には、中層の色を隠蔽する役割が求められる。そのため、これらの層に顔料を添加し、不透明度を高めることが行われている(特許文献1)。
表層や表下層等を形成する紙料に脱墨パルプを使用した場合、紙料の歩留まりが低下しやすいという製造上の問題が生じる。
これは、脱墨パルプが、バージンパルプと比較して微細な繊維を含みやすく、ワイヤーパートにおいて脱落しやすいためである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、脱墨パルプを含む紙料の歩留まりを維持しつつ、紙料中に析出物を混入させることなく、安定した品質の白板紙または塗工白板紙を製造する方法を提供することを課題とする。
[1]複数の層を有する白板紙の製造方法であって、脱墨パルプを含むパルプスラリーに硫酸バンドを添加した後に紙力剤を添加し、その後に炭酸カルシウムを添加して紙料を調製し、前記調製した紙料を抄紙して、前記複数の層の少なくとも一部を形成することを特徴とする白板紙の製造方法。
[2]前記白板紙が、少なくとも表層、中層、及び裏層を有し、前記調製した紙料を抄紙して前記表層を形成する、[1]に記載の白板紙の製造方法。
[3]前記白板紙が、少なくとも表層、表下層、中層、及び裏層を有し、前記調製した紙料を抄紙して、前記表層及び表下層の少なくとも一方を形成する、[1]に記載の白板紙の製造方法。
[4]前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、前記硫酸バンドを0.1~2.0質量%添加する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
[5]前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、前記紙力剤を0.1~2.0質量%添加する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
[6]前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、前記炭酸カルシウムを1~20質量%添加する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
[7]前記紙力剤が、ポリアクリルアミド系紙力剤である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
[8][1]~[7]のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法によって白板紙を得る工程と、得られた白板紙の少なくとも一方の表面に顔料塗工層を形成する工程とを有する、塗工白板紙の製造方法。
本発明の白板紙の製造方法によって得られる白板紙は、複数の層を有する多層抄紙である。本発明の白板紙の製造方法によって得られる白板紙は、少なくとも表層、中層、裏層が積層された3層以上の多層抄紙であることが好ましく、表層、表下層、中層、裏層が積層された4層以上の多層抄紙であることがさらに好ましい。
表層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表層の坪量が好ましい上限値以下であれば、抄紙時の膨れを抑止しやすい。
表下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、表層と共に、中層の黒っぽさを充分に隠蔽することができる。また、表下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、抄紙時の膨れを抑止しやすい。
中層は、少なくとも表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、基紙を構成する層の内、最も低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等の離解パルプが挙げられる。
中層の合計坪量は、塗工板紙の用途により必要とされる厚みに応じて、適宜調整されるが、一層当たりの坪量は、15~90g/m2とすることが好ましく、25~75g/m2とすることがより好ましい。
裏下層を構成するパルプの一部又は全部として脱墨パルプを使用する場合、裏下層を構成する紙料としては、後述の[紙料の調製]で説明する方法により調製した紙料を使用してもよい。
裏下層の坪量が好ましい下限値以上であれば、裏層と共に、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏下層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
裏層を構成するパルプの一部又は全部として脱墨パルプを使用する場合、裏層を構成する紙料としては、後述の[紙料の調製]で説明する方法により調製した紙料を使用してもよい。
裏層の坪量が好ましい下限値以上であれば、中層の着色異物を充分に隠蔽することができる。また、裏層の坪量が好ましい上限値以下であれば、充分な紙層強度を得ることができる。
本発明の白板紙の製造方法においては、複数の紙層のうちその一部の層を形成するために、脱墨パルプを含むパルプスラリーに硫酸バンドを添加した後に紙力剤を添加し、その後に炭酸カルシウムを添加して紙料を調製する。以下、この方法により調製した紙料を「本紙料」という場合がある。
本紙料の調製に使用するパルプスラリーは、少なくとも脱墨パルプを含む。本紙料の調製に使用するパルプスラリーは、脱墨パルプに加えて、バージンパルプを含んでいてもよい。
本発明を適用する意義を充分に得やすいことから、全パルプに対する脱墨パルプの割合は40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
脱墨パルプの原料とする古紙としては、例えば、上白、罫白、特白、中白、白マニラなどの一度使用されているが印刷部分の少ない紙、カード、模造、色上、ケント、白アートなどの印刷物や色づけされ一度は使用された紙類、印刷用塗工紙、飲料用パック、オフィス用紙等使用済みの上質系古紙、さらに切符類、中質反古、ケント、マニラ等の事業系中質古紙、新聞、雑誌、雑紙等の一般中質古紙、切茶、無地茶、雑袋、段ボール等の茶系古紙、ボール、白台紙、台紙等の回収された紙器・古箱等が挙げられる。機密性を有するオフィス用紙や切符等の古紙はシュレッダー処理物であってもよい。
脱墨パルプの原料とする古紙は、一種でもよく2種以上を併用してもよい。
本紙料で表下層を形成する場合、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が好ましく使用できる。例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等に由来する脱墨パルプが好ましい。中でも、雑誌古紙に由来する脱墨パルプを使用すると中層の隠蔽性に優れるので好ましい。
硫酸バンドは硫酸アルミニウムの慣用名である。硫酸バンドは代表的な無機凝集剤である。硫酸バンドを添加することにより、微細な繊維を含む脱墨パルプがワイヤーパートにおいて脱落することを抑制し、パルプスラリーの歩留まりを向上させることができる。
硫酸バンドの添加量が上記好ましい下限値以上であることにより、パルプスラリーの歩留まり向上効果を得やすい。また、上記上限値以下であることにより、析出物が生じることをより確実に抑制できる。
紙力剤は、製品の紙に強度をもたせるための抄紙用薬品である。紙力剤は、湿潤紙力剤(wet strengthening agent)と乾燥紙力剤(dry strengthening agent)とに分けられるが、本紙料に用いる紙力剤は内部強度、表面強度、層間強度向上のため、乾燥紙力剤であることが好ましい。
これらの中でも、澱粉類、ポリビニルアルコール樹脂、スチレンブタジエンラテックス、ポリアクリルアミ系樹脂が好ましい。中でも、ポリアクリルアミド系紙力剤を用いることが強度発現効果、パルプ歩留り向上のため好ましい。
中でも両性のポリアクリルアミド系紙力剤が紙力の向上と、紙料中に析出物が混入することを防止する効果に優れるので好ましい。
紙力剤の添加量が上記好ましい下限値以上であることにより、析出物が生じることをより確実に抑制できる。また、上記上限値以下であることにより、過凝集による水切れ悪化を抑制しやすい。
炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムでも重質炭酸カルシウムでも、これらの併用でもよい。
軽質炭酸カルシウムの場合、体積基準平均一次粒子径D50は、0.2~10μmが好ましく、1~5μmがより好ましく、2~3μmがさらに好ましい。
ここで、一次粒子径とは、軽質炭酸カルシウムの水分散液をレーザー回折式粒度分布測定装置の循環系に滴下し、その後超音波処理してから測定した粒子径をいう。また、体積基準平均一次粒子径D50は体積基準による50%一次粒子径である。
炭酸カルシウムの添加量が上記好ましい下限値以上であることにより、形成した層の不透明度を高めやすい。また、上記上限値以下であることにより、析出物が生じることをより確実に抑制できる。
炭酸カルシウムは、水分散液として添加することが好ましい。これにより炭酸カルシウムの分散性が優れる。水分散液には分散剤を添加してもよい。
本紙料には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、炭酸カルシウム以外の顔料、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、填料、pH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を必要に応じて選択し、配合することができる。これらは複数種併用することもできる。
炭酸カルシウム以外の顔料としては、白土、クレー、焼成クレー、タルク、酸化チタン、等が挙げられる。
本発明は、脱墨パルプを含むパルプスラリーに、まず硫酸バンドを添加した後に、紙力剤を添加し、その後に炭酸カルシウムを添加して紙料を調製する。
炭酸カルシウムは、抄紙直前に添加することが好ましい。これにより、パルプスラリー中に、硫酸バンド由来の硫酸イオンが残っていても、析出物の原因となる硫酸カルシウムが生じる前に、炭酸カルシウムをワイヤー上に供給しやすくなる。
本発明の白板紙の製造方法においては、少なくとも一部の層を、本紙料を抄紙して形成する。
少なくとも表層、表下層、中層、裏層を有する白板紙を製造する場合、特に少なくとも表層、中層、裏層を有し、表下層を有しない白板紙を製造する場合、本紙料を抄紙して表層を形成することが好ましい。
少なくとも表層、表下層、中層、裏層を有する白板紙を製造する場合、本紙料を抄紙して表層及び表下層の少なくとも一方を形成することが好ましい。すなわち、表層及び表下層の両方、又は表層及び表下層の一方を本紙料を抄紙して形成することが好ましい。表層及び表下層の両方を、本紙料を抄紙して形成することが特に好ましい。
多段式のワイヤーパートは、少なくとも2つ以上のワイヤーパート部を有する。
一般に製紙用として使用されているワイヤーパート部の型式としては、円網式、長網式、短網式、傾斜式、ツインワイヤー式等がある。
多段式のワイヤーパートでは、これらの方式を多段に組み合わせることができる。例を挙げるならば、長網抄合わせ、短網抄合わせ、短網円網コンビネーション、長網円網コンビネーション等がある。
中でも、短網抄き合わせを使用することが微細繊維を多く含む脱墨パルプの歩留りが向上する点で好ましい。
本発明の塗工白板紙の製造方法は、本発明の白板紙の製造方法によって白板紙を得る工程と、得られた白板紙の少なくとも一方の表面に顔料塗工層を形成する工程とを有する方法である。
顔料塗工層を形成するための顔料塗工液は、顔料とバインダーを含む。
顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、サチンホワイト、タルク等の一般塗被紙製造分野で使用されている公知公用の顔料の1種以上が本発明の効果を損なわない範囲内で適宜使用できる。特に、炭酸カルシウムは優れた印刷適性をもたらすので好ましい。
ラテックスのガラス転移温度は、-50~0℃であることがより好ましい。
また、上記ラテックスと共に澱粉を配合することが好ましい。ラテックスと澱粉を併用すると、裏層内部の微細繊維の固定と、裏層の表面の表面強度のバランスがとれるので好ましい。
ラテックスと澱粉の質量比は、100:0~5:50であることが好ましい。
バインダーの割合が好ましい下限値以上であれば、顔料塗工層の塗工層の強度を充分な物としやすい。また、バインダーの割合が好ましい上限値以下であれば、インキ乾燥性が優れるとともに製函適性も優れることになる。
また、必要に応じて、適宜、分散剤、水酸化ナトリウム、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、蛍光染料、離型剤、耐水化剤、流動性改良剤、スライムコントロール剤、防腐剤、染料、着色顔料等の1種以上を含有させてもよい。
顔料塗工層を複数回、例えば二回に分けて塗布する場合、一回目(下塗り層)と二回目(上塗り層)の塗工液は同じでもよく、異なっていても良い。
顔料塗工液は、表層に直接塗布してもよいし、表層に塗布したサイズプレス液による塗膜を介して塗布してもよい。顔料塗工液を塗布する前に、プレカレンダーにより表層表面に平滑化処理を施してもよい。顔料塗工液は、1回のみ塗布してもよいし、複数回塗布してもよい。特に下塗り層用の顔料塗工液と上塗り層用の顔料塗工液を塗布し、下塗り層と上塗り層を順次形成することが好ましい。
顔料塗工液を塗布することにより、表層側の印刷適性を高めたり、白色度を高めたりすることができる。
コーターパートの後のカレンダーパートには、公知のカレンダー装置が適宜使用でき、例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー、熱カレンダー、シューカレンダー等が挙げられる。これらを組み合わせて使用しても構わない。中でも、金属ロールと弾性ロールを備えたソフトニップカレンダーは、紙厚を維持しつつ、塗工層を平滑化処理することができるので好ましい。なお、コーターパートの後のカレンダーパートは、オンマシンでもオフマシンでも構わない。
紙料に硫酸バンドと炭酸カルシウムを併用した際に生じる析出物は、炭酸カルシウムと硫酸バンドとが反応することにより生成する硫酸カルシウムであると考えられる。また、炭酸カルシウムを新たに添加しなくとも析出物が生じるのは、脱墨パルプに古紙由来の炭酸カルシウムが含まれており、これが、硫酸バンドとが反応して硫酸カルシウムを生成するためであると考えられる。
生成した硫酸カルシウムは、抄紙機内の配管等で蓄積していき、凝集してある程度の大きさになると、配管等から剥がれ、紙層に析出物として移るため大きな品質トラブルとなる。
本発明者は、生成した硫酸カルシウムは、時間が経つと凝集して析出物となるが、生成直後は微細な粒子であると考え、この段階で、硫酸カルシウムの凝集を防ぐ対策を取ることを検討した。
また、紙力剤を添加する段階では、新たな炭酸カルシウムは添加されていないので、硫酸バンドと多量の炭酸カルシウムとの反応が一気に進んで析出物を生じさせる可能性も小さい。
また、新たな炭酸カルシウムの添加を最後に行うので、新たな炭酸カルシウムの添加から抄紙までの時間を短くできる。この点からも、新たに添加した炭酸カルシウムと硫酸バンドの反応と、その後の凝集を抑制できるものと考えられる。
Claims (6)
- 少なくとも表層、中層、及び裏層を有する白板紙の製造方法であって、脱墨パルプを含むパルプスラリーに硫酸バンドを添加した後に紙力剤を添加し、その後に前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、1~20質量%の炭酸カルシウムを添加して紙料を調製し、前記調製した紙料を抄紙して、前記表層を形成することを特徴とする白板紙の製造方法。
- 少なくとも表層、表下層、中層、及び裏層を有する白板紙の製造方法であって、脱墨パルプを含むパルプスラリーに硫酸バンドを添加した後に紙力剤を添加し、その後に前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、1~20質量%の炭酸カルシウムを添加して紙料を調製し、前記調製した紙料を抄紙して、前記表層を形成することを特徴とする白板紙の製造方法。
- 前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、前記硫酸バンドを0.1~2.0質量%添加する、請求項1又は2に記載の白板紙の製造方法。
- 前記パルプスラリーの固形分100質量%に対して、前記紙力剤を0.1~2.0質量%添加する、請求項1~3のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
- 前記紙力剤が、ポリアクリルアミド系紙力剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の白板紙の製造方法によって白板紙を得る工程と、得られた白板紙の少なくとも一方の表面に顔料塗工層を形成する工程とを有する、塗工白板紙の製造方法。
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