JP7530859B2 - 塔状建造物の転倒方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、基礎部を活用した塔状建造物の倒し方法が開示されている。かかる倒し方法は、基礎部を略水平方向に切断して基礎部を上部基礎と下部基礎とに分割する基礎部分割工程と、上部基礎を上方から略水平面まで縦方向に切断し、上部基礎を支持基礎部と分離基礎部とに分割する上部基礎分割工程と、分離基礎部を除去する除去工程と、支持基礎部の縦方向切断面の下端辺を転倒軸として、塔状建造物を支持基礎部と一緒に倒す倒し工程と、を有する方法であり、重心よりも塔状建造物の倒れ方向側に転倒軸が位置する。これにより、頑丈な基礎部の転倒軸がそのまま転倒支点となることから、座屈荷重の集中によっても基礎部が損壊する虞は無く、意図する方向へと塔状建造物を倒すことができる。
特許文献2の倒し方法では、ジャッキによる押し上げ作業により塔を倒す方向の制御が困難である。作業中の強風により、切込み個所から亀裂が進展し、想定外の方向へ倒れる恐れがある。
このような観点から、本発明は、高所作業が不要で施工コストと作業手間を低減できるとともに、転倒方向を正確に制御できる塔状建造物の転倒方法を提供することを課題とする。
本発明に係る塔状建造物の転倒方法によれば、塔状建造物の下部に転倒方向制御装置を設け、この転倒方向制御装置で転倒方法を制御するので、高所作業が不要となり、施工コストと作業手間を低減させることができるとともに、転倒方向を正確に制御することができる。さらに、複数の前記押上手段による前記第一切断部の押上量を調整することで塔状建造物の転倒方向を制御するので、簡単な作業で転倒方向を正確に制御することができる。
本発明に係る塔状建造物の転倒方法によれば、塔状建造物の下部に転倒方向制御装置を設け、この転倒方向制御装置で転倒方法を制御するので、高所作業が不要となり、施工コストと作業手間を低減させることができるとともに、転倒方向を正確に制御することができる。さらに、スリットが方向誘導板に沿って移動することで、容易に塔状建造物の転倒方向を制御することができる。
発電用風車1は、タワー2とナセル3とブレード4とを備えている。タワー2は、例えば鋼管にて構成された筒状の塔体であり、地盤5に固設された基礎部6に固定支持されている。基礎部6にはアンカーボルト7が植設されており、タワー2の下端部には、アンカーボルト7に固定されるタワーフランジ8が形成されている(図3および図4参照)。タワーフランジ8は、円形のリング状を呈しており、複数のアンカーボルト7,7が挿通されている。アンカーボルト7には、ナット9が螺合されている。ナセル3は、ブレード4の回転を利用して発電する装置であり、タワー2の上端部に設置されている。ナセル3は、ケーシング3aの内部に、動力回転軸と増速機とブレーキ装置と発電機とを備えて構成されている。ケーシング3aは、タワー2の上端部で、回転軸方向に沿って前後に突出している。増速機は、動力回転軸の回転数を増やす装置であって、複数のギヤを組み合わせて設けられている。ブレーキ装置は、メンテナンス時等に動力回転軸の回転を停止させる装置である。ブレード4は、ナセル3の前端部に設けられたハブに複数本(例えば3本)設けられ、ハブを中心に放射状に配置されている。
水平部21は、タワー2の鋼管の後端部から、前側に向かって水平に延在するスリット状に形成される。水平部21の前端は、鋼管の前後方向中間部に位置している。ジャッキ部22は、水平部21の下部に、後記する押上手段31となるジャッキを設置するためのスペースであって、水平部21の下端部から所定幅で下方に広がる側面視矩形の切欠き部である。水平部21とジャッキ部22は、左右両側にそれぞれ設けられており、転倒方向に沿った線を中心に線対称形状に形成されている。左右の第一切断部20,20の間の鋼管は、切除されずそのまま残置されている(以下、連結部23と称する)。連結部23は、第一切断部形成工程の切断中の転倒を防止するために、鋼管の後端部に残されており、転倒工程において最終的に切断される部分である。
本実施形態では、第二切断部25の前端に、最終切断部28(図3および図4参照)が設けられている。最終切断部28は、第二切断部形成工程の切断中の転倒を防止するために、鋼管の前端部に残されており、転倒工程において最終的に切断される部分である。最終切断部28は、水平辺部26の前端部と斜辺部27の前端部との間に掛け渡された断面円弧状の板部である。発電用風車1に風圧などによって曲げ荷重が作用した場合、後方の最終切断部である連結部23のみであれば、連結部23に対して圧縮側の荷重が作用した場合、座屈を生じる恐れがある。本実施形態では、前記荷重に対しては最終切断部28が引張力を負担するため、連結部23の座屈の恐れを解消できる。逆に最終切断部28に圧縮、連結部23に引張が作用する場合も同様の作用効果が得られる。なお、最終切断部28は、必要に応じて形成すればよく、最終切断部28がなくても鋼管の強度が確保できるのであれば、設けなくてもよい。
第一切断部20と第二切断部25の形状は、転倒作業中に風圧や地震力等の想定される外力を考慮したFEM解析によって、外力を受けても転倒しないように予め決定しておく。図3では、第二切断部25の水平辺部26が上縁に位置するとともに斜辺部27が下縁に位置し、水平辺部26が第一切断部20の水平部21の上縁部と同じ高さに形成している状態を説明したが、第二切断部25の水平辺部26と斜辺部27は上下逆でも良いし、ジャッキ(押上手段31)の押上げによる第二切断部25の後端部の局部座屈が発生する範囲であれば、第一切断部20の水平部21の上縁部と同じ高さでなくとも良い。これらはFEM解析によって効率的な切断配置をあらかじめ決定しておく。
押上手段31は、タワー2の下端部を押し上げるものであって、複数個(本実施形態では2個)設けられている。押上手段31は、転倒方向に沿った線(タワー2の中心を通る前後方向の線)を中心に左右両側に線対称形状に配置されている。複数の押上手段31,31によるタワー2の押上量を調整することで、発電用風車1の転倒方向を制御する。押上手段31は、上方に向けて進出するロッド31bを備えたジャッキであり、例えば油圧にて作動する。ジャッキは、シリンダ31aが下側に配置され、シリンダ31aに対してロッド31bが上方向に進出するように構成されている。ロッド31bの上端には、球面座金33が設けられており、押上手段31は、球面座金33を介して第一切断部20の上縁部に当接する。このような構成によれば、発電用風車1が転倒する際に、発電用風車1の転倒角度に追従して球面座金33が回動するので、第一切断部20の上縁部を面で押圧することができる。球面座金33の上面には、タワー2の鋼管に接続される補強リブ34が立設されている。補強リブ34は、鋼管の内側に取り付けられる内側リブと、外側に取り付けられる外側リブとからなる。内側リブと外側リブは、鋼管の径方向に沿って同一面上に配置されている。内側リブと外側リブとからなる補強リブ34は、球面座金33上に2組設けられている。2組の補強リブ34は、鋼管の径方向に沿って放射状に配置されている。補強リブ34は、FEM解析によって、タワー2のジャッキ支圧箇所の局部座屈を発生させないように設計されている。
発電用風車1が転倒した際には、ナセル3の先端部に設けられたハブが凹部10の底に着地するとともに、タワー2の上端部は同じタイミングで凸部11に着地するので、発電用風車1の転倒時の衝撃を分散して地盤に伝達することができる。これによって、発電用風車1の局部的な破損および部材の飛散を抑制することができる。転倒工程が終了した後は、通常の作業のように、クレーンや解体重機を用いて地上で解体作業を行う。
さらに、本実施形態では、転倒方向制御装置30が押上手段31であり、押上手段31による第一切断部20の押上量を調整することで発電用風車1の転倒方向を制御しているので、簡単な作業で転倒方向を正確に制御することができる。また、押上手段31は、転倒方向に沿った線を中心に左右対称に配置されているので、押上量の制御をバランス良く容易に行うことができる。
また、本実施形態では、タワーフランジ8を跨ぐ架台35を設け、架台35の上に押上手段31を設置しているので、押上手段31を、タワーフランジ8及びアンカーボルト7に干渉することなく安定した状態で設置することができる。
本実施形態では、第二切断部25に偏座屈抑制部材32を設けているので、簡単な構成で且つ操作を行うことなく、発電用風車1の想定外の方向への転倒を防止できる。また、偏座屈抑制部材32は、押上手段31による転倒方向の制御を補助する役目を果たすので、押上手段31の作動操作を低減することができる。
本実施形態では、第一切断部と第二切断部の形状を、転倒作業中に想定される外力を考慮したFEM解析によって、外力を受けても転倒しないように設定しているので、発電用風車1の予期せぬ転倒を防止できる。よって、安全性が高く作業環境がより一層良好となる。
タワー2の第二切断部25には、方向誘導板50を挿通するスリット51が形成されている。スリット51は、第二切断部25の上縁部の水平辺部26から上方の鉛直方向に延在する上部スリット51aと、第二切断部25の下縁部の斜辺部27から下方の鉛直方向に延在する下部スリット51bとを備えている。上部スリット51aと下部スリット51bとは、転倒方向に沿う鉛直面上に配置されている。上部スリット51aの左右両側には、補強部材54が設けられている。補強部材54は、タワー2の表面に沿って湾曲した棒状部材にて構成されており、第二切断部25と同等の周方向長さを備えている。補強部材54は、タワー2の外側表面に溶接されている。補強部材54は、上下に間隔をあけて二段設けられている。このような構成によれば、発電用風車1が転倒する際に、スリット51が、方向誘導板50に沿って移動する。つまり、方向誘導板50が転倒方向のガイドとなり、転倒方向を正確に制御することができる。なお、その他の構成については、第一実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
第二実施形態によれば、第二切断部25にスリット51を形成して、方向誘導板50をしたことで、第一実施形態の偏座屈抑制部材32と同様に、簡単な構成で且つ別途の操作を行うことなく、発電用風車1の想定外の方向への転倒を防止できる。また、方向誘導板50は、押上手段31による転倒方向の制御を補助する役目を果たすので、押上手段31の作動操作を低減することができる。
第三実施形態によれば、発電用風車1に転倒方向とは異なる方向への応力が作用しようとすると、異なる方向とは反対側の方向制御ワイヤー60が発電用風車1を支えるので、想定外の方向への転倒を防止できる。また、方向制御ワイヤー60は、押上手段31による転倒方向の制御を補助する役目を果たすので、押上手段31の作動操作を低減することができる。
以下に、重し61を、コンクリートブロックまたは敷き鉄板にした場合と、杭にした場合とを比較する。重し61を杭にすると、発電用風車1が目標方向に転倒しない場合は方向制御ワイヤー60に大きな引張力が作用し、ワイヤーの破断、杭の破損等が想定される。重し61をコンクリートブロックまたは敷き鉄板にすると、発電用風車1に設計力以上の力が作用された場合、重し61は方向制御ワイヤー60に引っ張られて滑動するため、方向制御ワイヤー60の破断や重し61の破損等の可能性は低減される。
また、前記実施形態では、押上手段31でタワー2をジャッキアップして転倒させるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、方向誘導板50を設けておいて、発電用風車1の後方から通常のクレーンを用いて転倒させるようにしてもよい。このような転倒方法においても、高所作業が不要となり、大型クレーンを利用しなくて済むので、施工コストと作業手間を低減させることができる。
2 タワー
3 ナセル
4 ブレード
5 地盤
6 基礎部
7 アンカーボルト
8 タワーフランジ
10 凹部
11 凸部
20 第一切断部
25 第二切断部
30 転倒方向制御装置
31 押上手段
32 偏座屈抑制部材
33 球面座金
35 架台
50 方向誘導板
51 スリット
Claims (8)
- 基礎部に支持された塔状建造物の転倒方法であって、
前記塔状建造物の転倒方向とは反対側において前記基礎部近傍に第一切断部を形成する第一切断部形成工程と、
前記塔状建造物の転倒方向側において前記基礎部近傍に第二切断部を形成する第二切断部形成工程と、
前記塔状建造物の下部に前記転倒方向を制御する転倒方向制御装置を設ける転倒方向制御装置設置工程と、
前記転倒方向制御装置で前記転倒方向を制御しながら前記塔状建造物を転倒させる転倒工程と、を備え、
前記転倒方向制御装置設置工程では、前記第一切断部に複数の押上手段を配置し、
前記転倒工程では、前記押上手段で前記塔状建造物を押し上げて前記塔状建造物を転倒させ、複数の前記押上手段による前記第一切断部の押上量を調整することで前記塔状建造物の転倒方向を制御する
ことを特徴とする塔状建造物の転倒方法。 - 前記転倒方向制御装置設置工程では、偶数個の前記押上手段を、前記転倒方向に沿った線を中心に線対称形状に配置する
ことを特徴とする請求項1に記載の塔状建造物の転倒方法。 - 前記転倒方向制御装置設置工程では、前記第一切断部の下縁部を跨ぐ架台を前記第一切断部の下部に設け、前記架台の上に前記押上手段を設置する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塔状建造物の転倒方法。 - 前記押上手段は、上方に向けて進出するロッドを備えたジャッキであり、
前記転倒方向制御装置設置工程では、前記ジャッキの上端に前記第一切断部の上縁部に当接する球面座金を設ける
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の塔状建造物の転倒方法。 - 前記転倒方向制御装置設置工程では、転倒時に転倒方向の左右いずれかに偏座屈が生じた場合に偏座屈の進行が進んだ側の第二切断部の上縁部を瞬間的に支える偏座屈抑制部材を複数設け、それ以上の偏座屈発生側への転倒を瞬間的に抑制し、前記塔状建造物の転倒方向を左右方向へ修正することで制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の塔状建造物の転倒方法。 - 基礎部に支持された塔状建造物の転倒方法であって、
前記塔状建造物の転倒方向とは反対側において前記基礎部近傍に第一切断部を形成する第一切断部形成工程と、
前記塔状建造物の転倒方向側において前記基礎部近傍に第二切断部を形成する第二切断部形成工程と、
前記塔状建造物の下部に前記転倒方向を制御する転倒方向制御装置を設ける転倒方向制御装置設置工程と、
前記転倒方向制御装置で前記転倒方向を制御しながら前記塔状建造物を転倒させる転倒工程と、を備え、
前記転倒方向制御装置設置工程では、前記塔状建造物の転倒方向側に縦方向に延在するスリットを設けるとともに、前記スリットに挿通される方向誘導板を前記転倒方向に沿って立設し、
前記転倒工程では、前記スリットに前記方向誘導板が挿通された状態を維持しながら前記塔状建造物を転倒させることで前記塔状建造物の転倒方向を制御する
ことを特徴とする塔状建造物の転倒方法。 - 前記塔状建造物は、タワーとナセルとブレードとを備えた発電用風車であり、
前記塔状建造物が転倒した際に前記ナセルが着地する設置面を掘り下げるとともに、前記タワーの上端部が転倒する部分に盛土を施す整地工程を、さらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の塔状建造物の転倒方法。 - 転倒作業中に想定される外力を考慮したFEM解析を行い、前記第一切断部と前記第二切断部の形状を、前記外力を受けても転倒しないように設定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の塔状建造物の転倒方法。
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| JP2021071076A JP7530859B2 (ja) | 2021-04-20 | 2021-04-20 | 塔状建造物の転倒方法 |
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