JP7531282B2 - コーヒー飲料およびコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
イソα酸、およびデンプン加水分解物を含むコーヒー飲料であって、
該飲料中の前記イソα酸の含有量が1ppm以上15ppm以下であり、前記デンプン加水分解物の含有量が0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満である、コーヒー飲料が提供される。
本実施形態のコーヒー飲料は、イソα酸を1ppm以上15ppm以下、デンプン加水分解物を0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満含むものである。
これにより、強いコクと苦味のキレの良さを両立できる。かかる理由の詳細は明らかではないが、デンプン加水分解物によってコーヒーのコク感が増強されるとともに、イソα酸が有する苦味によって、デンプン加水分解物を加えることで生じた苦味のキレの低下を改善しつつ、コーヒー飲料全体の苦味を損なわずに、苦味が口中に残る感じを抑制し、苦味のキレを良好にすると推測される。
以下、コーヒー飲料に含まれる各成分について詳述する。
イソα酸は、α酸の異性化体である。一般に、ホップに多く含まれるα酸が加熱により異性化することで生じる苦味成分として知られている。
本実施形態のコーヒー飲料においては、イソα酸は、イソフムロン、イソアドフムロン及びイソコフムロンとする。
デンプン加水分解物とは、デンプン中のアミロースやアミロペクチン等の多糖類を熱、酸、アルカリ、酵素等で加水分解したものの総称であり、グルコースがα-1,4結合または1,6結合で連なった多糖類が主成分のものをいう。具体的には、可溶性デンプン、薄手のりデンプン、アミロデキストリン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリテシュガム、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、酵素変性マルトデキストリン、特殊デキストリン、水飴、麦芽糖液糖等、およびそれらの還元物である還元澱粉糖化物、還元麦芽糖水飴、還元ポリデキストロース、ならびに難消化性デキストリンが挙げられる。これらは、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、強いコクと苦味のキレの良さを両立する観点から、デンプン加水分解物としては、アミロデキストリン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリテシュガム、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、特殊デキストリン、難消化性デキストリン及び酵素変性マルトデキストリンの中から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、なかでもマルトデキストリンおよび特殊デキストリンの少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。
DE(デキストロース当量)=直接還元糖のグルコース換算量(質量)/デンプン分解物またはオリゴ糖の固形分量(質量)×100
直接還元糖のグルコース換算量(還元糖量)を定量する方法としては、例えば、リンエイノン法、ベルトラン法、ウイルシュテッターシューデル法が知られており、適宜選択することができる。
DEの値により原材料表示が異なり、一般的には、DE10未満は、デキストリン、DE10以上20未満程度はマルトデキストリン、DE20以上40未満程度は粉あめと呼ばれることが多い。
本実施形態において、デンプン加水分解物は、好ましくはDE2~19であるもの、より好ましくはDE2~12であるもの、さらに好ましくはDE2~8であるものを少なくとも含む。これにより、高水準で強いコクと苦味のキレの良さを両立できる。
デンプン加水分解物の市販品としては、例えば、松谷化学工業社製の「パインデックス#2」、「TK16」、日本食品化工社製の「フジオリゴG67」、「日食ブランチオリゴ」、「日食クリアトース」、三和澱粉工業社製の「サンデック#30」、「サンデック#70」、「サンデック#70FN」、「サンデック#150」、「サンデック#180」、「サンデック#250」、「サンデック#300」、「オリゴトース液」、「オリゴトース粉末」、三栄源エフ・エフ・アイ社製の「スマートテイスト」などを挙げることができる。
デンプン加水分解物の含有量を、上記下限値以上とすることで、コクを強くすることができる。一方、デンプン加水分解物の含有量を、上記上限値以下とすることで、雑味が少ないことによる飲みやすさ、および苦味のキレの良さを向上し、強いコクとキレの良さのバランスを保持しやすくなる。
本実施形態のコーヒー飲料は、コーヒー豆から抽出または溶出した成分(コーヒー分)を原料とする飲料及びこれにその他の成分が加えられている飲料であり、飲んだときにコーヒー風味が感じられる飲料をいい、1977年に制定された「コーヒー含有飲料等の表示に関する公正競争規約」にも記載されているように、コーヒー豆を原料とした飲料及びこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を加え容器に密封した飲料のことを指す。また、本実施形態においては、コーヒー豆使用量が生豆換算で1重量%未満の飲料であっても、飲んだときにコーヒー風味が感じられる飲料については、コーヒー飲料として扱うこととする。
一方、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、2017年現在、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては、乳飲料として扱われることになる。
本実施形態に係るコーヒー飲料については、コーヒー豆を原料とした飲料であるため、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものであったとしても、コーヒー飲料として扱うこととする。
コーヒー豆の焙煎温度や焙煎環境等の条件は、特に限定されず、通常の方法を採用できる。また、焙煎コーヒー豆を用いた抽出方法としては、特に限定されないが、例えば、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、および連続式などが挙げられる。
粉砕した焙煎豆としては、粗挽き、中挽き、細挽き等が挙げられ、特に限定されない。
一方、コーヒー飲料中のコーヒー可溶性固形分の含有量の上限値は、香り、酸味、苦味、後味のバランスを良好にしつつ、口あたりを良好にするため、好ましくは2.5質量%以下であり、より好ましくは2.3質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
本実施形態のコーヒー飲料のブリックス値(Bx)は、飲みやすさを向上しつつ、香り、酸味、苦味、後味のバランスを良好にする観点から、好ましくは、0.3°以上10°以下であり、より好ましくは、0.5°以上7°以下であり、さらに好ましくは、1.0°以上6°以下である。
ブリックス値は、コーヒー飲料全量に対する可溶性固形分の合計含有量を示す。ブリックス値は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
ブリックス値は、例えば、後述の甘味料の量、その他の各種成分の量などにより調整することができる。
本実施形態のコーヒー飲料は、カフェインを含む。カフェインを含むことにより、嗜好性が良好となり、良好な苦味と後味のバランスを向上しやすくなる。
コーヒー飲料全体に対するカフェインの含有量は、0.1mg/100ml以上、150mg/100ml以下が好ましく、10mg/100ml以上、120mg/100ml以下であることがより好ましく、35mg/100ml以上、100mg/100ml以下であることがさらに好ましい。
当該カフェインの含有量を、上記下限値以上とすることにより、良好な苦味と後味のバランスを保持しつつ、コーヒー感を向上しやすくなる。一方、当該カフェインの含有量を、上記上限値以下とすることにより、コーヒー感を保持しつつ、良好な後味が得られやすくなる。
乳入りコーヒー飲料である場合、乳の含有量は特に限定されないが、良好な乳風味を得つつ、コーヒー感の向上効果と、良好な苦味と後味を得る観点から、乳固形分(乳脂肪分と無脂乳固形分とを合わせたものを意味する。)量を0.5~3.5質量%とすることが好ましく、乳固形分量を0.8~2.5質量%とすることがより好ましく、乳固形分量を1.0~2.0質量%とすることがさらに好ましい。
本実施形態のコーヒー飲料に用いられる容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。コーヒー飲料の風味を保持する観点から、スチール缶であることが好ましく、軽量で再栓可能な観点からは、蓋つきのペットボトル、スチール缶およびアルミ缶が好ましい。
コーヒー飲料の容量としては、特に限定されないが、100~2000gが好ましく、飲み切りやすい点からは、100~500gがより好ましい。
本実施形態のコーヒー飲料の製造方法は、まず、コーヒー分を準備する工程と、当該コーヒー分と、イソα酸およびデンプン加水分解物とを混合し、該飲料中の当該イソα酸の含有量が1ppm以上15ppm以下となり、当該デンプン加水分解物の含有量が0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満となるように調製する工程とを含む。これにより、強いコクと苦味のキレの良さを両立できるコーヒー飲料を得ることができる。
本実施形態において、イソα酸およびデンプン加水分解物としては、上記コーヒー飲料について説明したものと同様のものを用いることができる。その他の成分についても、同様に用いることができる。
上記コーヒー分とは、粉砕した焙煎豆を水や温水を用いて抽出した溶液(コーヒー抽出液)や、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥させたインスタントコーヒー等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合したものであってもよい。
以下、参考形態の例を付記する。
1. イソα酸、およびデンプン加水分解物を含むコーヒー飲料であって、
該飲料中の前記イソα酸の含有量が1ppm以上15ppm以下であり、前記デンプン加水分解物の含有量が0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満である、コーヒー飲料。
2. 前記デンプン加水分解物はDEが2~19であるものを少なくとも含む、1.記載のコーヒー飲料。
3. 前記イソα酸がホップ由来である、1.または2記載のコーヒー飲料。
4. 前記飲料のブリックス値が0.3°以上10°以下である、1.乃至3.のいずれか一つに記載のコーヒー飲料。
5. 容器詰めされた、1.乃至4.のいずれか一つに記載のコーヒー飲料。
コーヒー飲料中のイソα酸の含有量は、以下のようにして測定した。
測定試料を次の方法で調製した。超純水にて適宜希釈した試料10mlをガラス製遠沈管にとり、メタノール10mlを加えて数回反転混合した後、遠心機で遠心(3000rpm、15分、室温)し、上清をPTFE製フィルター(Whatman SYRINGEFILTER13mm Disposable Filter Device PTFE、孔径0.45μm)で濾過後、分析試料とした。
〔装置構成〕
・検出器:SPD-M20A prominence(株式会社島津製作所)
・カラムオーブン:CTO-20AC prominence(株式会社島津製作所)
・ポンプ:LC-20AD prominence(株式会社島津製作所)
・オートサンプラー:SIL-20ACHT prominence(株式会社島津製作所)
・カラム:Zorbax Eclipse 5 XDB-C8 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm(Agilent Technologies)
〔分析条件〕
・サンプル注入量:50μL
・流量:1.0mL/min
・検出波長:270nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:メタノール
・溶離液B:1%クエン酸緩衝液(pH7.0)(10.9gのクエン酸一水和物を約950mlの超純水に溶解する。45%水酸化カリウム溶液でpHを7.0に調製し、超純水を加えて1000mlにする。溶液をフィルター(ADVAVTEC MIXED CELLULOSE ESTER A045A047A)で濾過する)、30(V/V)%アセトニトリル溶液
〔グラジエント条件〕
時間 溶離液A溶離液B
0.0分 15% 85%
5.0分 15% 85%
30.0分80% 20%
33.0分80% 20%
35.0分15% 85%
45.0分15% 85%
〔標準物質の調製〕
イソα酸標準品(DCHA-Iso、LaborVeritas)を30mg精秤し、100mlの透明なガラス製のメスフラスコに入れ、そこに約40mlの酸性メタノール(1Lのメタノールに0.5mlのりん酸(85%)を加える)を入れ、溶解し、20℃で酸性メタノールに定容し、光から保護しておく。これを、1%クエン酸緩衝液(pH7.0)、35(V/V)%アセトニトリル溶液で適宜希釈した。
〔イソα酸含有量の測定〕
I1(16.3分)、I2(17.1分)、I3(20.5分)、I4(21.1分)の面積値を合算し、標準物質の面積値を基準に含有量を求めた。
<容器詰めコーヒー飲料の調製>
コーヒー豆(ブラジル産、L値16)100gを95℃の熱水1000gで抽出してコーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液に対し、以下の表1に示す含有量となるように、重曹、デキストリン、ホップ抽出物(イソα苦味酸)を配合し、コーヒー飲料を調製し、缶に充填しレトルト殺菌をして、容器詰めコーヒー飲料を得た(試作品1~7)。
なお、上記デキストリンとして、「スマートテイスト」特殊デキストリン(DE2~5)三栄源エフ・エフ・アイ社製を用いた。
次に、得られた容器詰めコーヒー飲料(20℃)それぞれを、熟練した6名のパネラーが試飲し、以下の表2に示す評価基準に従い「コクの強さ」、「苦味のキレの良さ」、「飲みやすさ」それぞれについて、7段階(1~7点)評価を実施し、その平均点を求めた。また、評価する際は、対照例1の飲料を対照品(基準値4点)として評価を実施した。結果を表1に示す。
<容器詰めコーヒー飲料の調製>
実験例1と同様にして、コーヒー抽出液を得たのち、以下の表3に示す含有量となるように、重曹、デキストリン、ホップ抽出物(イソα苦味酸)を配合し、コーヒー飲料を調製し、缶に充填しレトルト殺菌をして、容器詰めコーヒー飲料を得た(試作品8~11)。
なお、上記デキストリンとして、「スマートテイスト」特殊デキストリン(DE2~5)三栄源エフ・エフ・アイ社製を用いた。
上記実験例1と同様にして、官能評価を行った。結果を、表3に示す。
<容器詰めコーヒー飲料の調製>
実験例1と同様にして、コーヒー抽出液を得たのち、以下の表4に示す含有量となるように、重曹、デンプン加水分解物、ホップ抽出物(イソα苦味酸)を配合し、コーヒー飲料を調製し、缶に充填しレトルト殺菌をして、容器詰めコーヒー飲料を得た(試作品12~15)。
なお、デンプン加水分解物としては、以下のものを用いた。
・「スマートテイスト(登録商標)」特殊デキストリン(DE2~5)三栄源エフ・エフ・アイ社製
・「TK-16」マルトデキストリン(DE16~19)松谷化学工業社製
・「パインデックス(登録商標)#2」マルトデキストリン(DE10~12)松谷化学工業社製
・「ファイバーソル2」難消化性デキストリン、松谷化学工業社製
上記実験例1と同様にして、官能評価を行った。結果を、表4に示す。
Claims (6)
- コーヒー豆を水または温水により抽出したコーヒー抽出液、当該コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、および当該コーヒー抽出液を乾燥させたインスタントコーヒーの少なくともいずれか一つと、イソα酸と、デンプン加水分解物と、を含むコーヒー飲料であって、
該飲料中の前記イソα酸の含有量が1ppm以上15ppm以下であり、前記デンプン加水分解物の含有量が0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満である、コーヒー飲料。 - 前記デンプン加水分解物はDEが2~19であるものを少なくとも含む、請求項1記載のコーヒー飲料。
- 前記イソα酸がホップ由来である、請求項1または2記載のコーヒー飲料。
- 前記飲料のブリックス値が0.3°以上10°以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。
- 容器詰めされた、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。
- コーヒー豆に水または温水を加えて抽出し、コーヒー抽出液を得る工程と、
前記コーヒー抽出液、イソα酸、およびデンプン加水分解物を混合する工程と、
を含むコーヒー飲料の製造方法であって、
該飲料は、コーヒー豆を水または温水により抽出したコーヒー抽出液、当該コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、および当該コーヒー抽出液を乾燥させたインスタントコーヒーの少なくともいずれか一つを含み、
該飲料中の前記イソα酸の含有量を1ppm以上15ppm以下とし、前記デンプン加水分解物の含有量を0.01g/100ml以上0.5g/100ml未満とする、コーヒー飲料の製造方法。
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| BrewNote [オンライン], 2016.03.03 [検索日 2023.12.08], インターネット:<URL:https://brewnote.tokyo/2016/03/ホップの成分> |
| 日本醸造協会誌,2021年,Vol.116, No.10,pp.688-697 |
| 日本醸造協會雑誌,1976年,Vol.71, No.12,pp.911-918 |
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