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JP7531331B2 - 予測装置、予測方法及びプログラム - Google Patents
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JP7531331B2 - 予測装置、予測方法及びプログラム - Google Patents

予測装置、予測方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、予測装置、予測方法及びプログラムに関する。
感染症が流行すると、その対策を講じるために感染症の広がりの現状把握、将来予測が行われる。例えば、特許文献1には、病院内での感染状況を把握する方法が開示されている。また、特許文献2には、感染症患者が発生した場所の地図情報に含まれる感染経路となり得る学校、商業施設、病院、交通機関などに基づいて、感染源および感染経路の検証に役立つ情報を提示する感染症情報表示システムが開示されている。また、特許文献3には、感染症で外来を受診した患者数の報告に基づいて感染症患者数を予測する感染症予測システムが開示されている。
特開平7-79929号公報 国際公開2002/061647号 特開2011-128935号公報
感染症に対しては、病床、検査設備、病床へ患者を運ぶ移動手段など様々なリソースを手配し対策にあたる必要がある。その為には、感染症対策に必要なリソースの需要量を予測する必要があるが、そのような方法は提供されていない。また、特許文献1~3には、感染症対策に必要な資源の需要を予測する方法は開示されていない。
そこでこの開示は、上述の課題を解決することのできる予測装置、予測方法及びプログラムを提供することを目的としている。
本開示の一態様によれば、予測装置は、感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定する検査精度推定部と、前記検査精度推定部が推定した前記感度と、前記検査精度推定部が推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記検査精度推定部が特定した前記真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定する感染状況推定部と、前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータを備え、前記感染状況の推定結果と、前記シミュレータと、に基づいて、前記リソースの需要量を予測する需要量予測部と、を備え、前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、前記感染状況推定部は、前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者数を算出し、前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者数を算出する。
本開示の一態様によれば、コンピュータによって実行される予測方法であって、予測方法は、感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定するステップと、推定した前記感度と、推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記特定した前記真の感染率、と予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータと、前記感染状況の推定結果と、に基づいて、前記リソースの需要量を予測するステップと、を有し、前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、前記感染状況を推定するステップでは、前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者数を算出し、前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者数を算出する。
本開示の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定するステップと、推定した前記感度と、推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記特定した前記真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータと、前記感染状況の推定結果と、に基づいて、前記リソースの需要量を予測するステップと、を有し、前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、前記感染状況を推定するステップでは、前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者数を算出し、前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者数を算出する処理を実行させる。

本開示によれば、衛生機能を維持するために必要なリソースの需要量を予測することができる。
一実施形態における予測装置の一例を示すブロック図である。 一実施形態における臨床データの一例を示す図である。 一実施形態における症状の進行の一例を示す図である。 一実施形態における市中感染率の推定方法を説明する第1の図である。 一実施形態における市中感染率の推定方法を説明する第2の図である。 一実施形態における市中感染率の推定方法を説明する第3の図である。 一実施形態における市中感染率の推定方法を説明する第4の図である。 一実施形態における衛生機能維持リソースの一例を示す図である。 一実施形態における無症状者の動きの一例を説明する図である。 一実施形態における軽症者の動きの一例を説明する図である。 一実施形態における中等症者の動きの一例を説明する図である。 一実施形態における重症者の動きの一例を説明する図である。 一実施形態における重篤者の動きの一例を説明する図である。 一実施形態におけるシミュレーション結果の一例を示す図である。 一実施形態における需要量予測処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態における予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による衛生機能維持リソースの需要量の予測方法を図1~図8を参照して説明する。
(構成)
図1は、一実施形態における予測装置の一例を示すブロック図である。
予測装置10は、感染症対策における衛生機能を維持するために必要なリソース(以下、衛生機能維持リソースと記載する。)の需要量を予測する。衛生機能維持リソースとは、例えば、病院、病床、医療用設備、検査用設備、医療従事者などの医療資源、患者を運ぶ救急車や医療資源を運ぶ車両などの輸送手段である。
図1に示すように予測装置10は、データ取得部11と、検査精度推定部12と、感染状況推定部13と、需要量予測部14と、出力部15と、記憶部16と、を備える。
データ取得部11は、衛生機能維持リソースの需要量予測に必要な種々のデータを取得する。例えば、データ取得部11は、感染症治療の臨床データ、感染症の臨床検査の結果のデータ、病床の稼働データ、陽性と判定された人と濃厚接触した人に関する調査データなどを取得する。
検査精度推定部12は、PCR(polymerase chain reaction)検査や抗体検査などの臨床検査の精度を推定する。一般に臨床検査には、誤差が含まれており、例えば、陽性と判定されても実際には感染しておらず、陰性と判定されても実際には感染している場合がある。陽性と判定されて実際に感染していることを真陽性、陽性と判定されて実際に感染していないことを偽陽性、陰性と判定されて実際に感染していないことを真陰性、陰性と判定されて実際に感染していることを偽陰性という。また、検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における真陽性の人の割合(真陽性率)を検査の感度、実際に感染していない人の集合における真陰性の人の割合(真陰性率)を特異度と呼ぶ。検査精度推定部12は、臨床検査の精度に関し、感度および特異度、又は、少なくとも特異度を推定する。
感染状況推定部13は、検査精度推定部12が推定した臨床検査の精度に基づく真の感染率と、予測対象エリア(都道府県市町村などの特定の地域や特定の1又は複数の病院)における臨床検査の受診者数又は受診者数の予測値とに基づいて、予測対象エリアの感染状況を推定(将来の予測を含む。)する。例えば、感染状況推定部13は、現在の市中の感染率や感染者数を推定し、市中の感染者数の推移と実際に臨床検査を受けに来た人の数の関係に基づいて、将来、臨床検査を受けに来る人の数を予測し、検査精度推定部12が推定した感度、特異度に基づいて、将来の感染者数の状況(真陽性の人数、偽陽性の人数、真陰性の人数、偽陰性の人数)を推定する。
需要量予測部14は、感染状況推定部13が推定した感染者数の状況に基づいて、病床、救急車、検査設備などの衛生機能維持リソースの需要量を予測する。
出力部15は、特異度、市中の感染者数、衛生機能維持リソースの需要量を出力する。
記憶部16は、衛生機能維持リソースの需要量予測に必要な種々のデータを記憶する。
(検査精度の推定)
まず、臨床検査の精度を示す感度、特異度の推定方法について説明する。
データ取得部11は、感染症治療の臨床データを取得する。臨床データは、感染症の特性を示す実績データである。臨床データの一例を図2Aに示す。臨床データには、臨床検査で陽性と判定された人の症状の進行、例えば、何日後にどのようなレベルの症状に移行するかを示すスケジュール情報が含まれる。例えば図2Bに示すように、感染症は、無症状(0)、軽症(1)、中等症(2)、重症(3)、重篤(4)の順に進行する。カッコ内の数字は、症状のレベルを示している。検査精度推定部12は、臨床データに含まれる症状の進行を示すスケジュール情報に基づいて、無症状(0)から軽症(1)へ進行する確率P01、無症状(0)から軽症(1)へ進行するのに要する日数の平均値D01を算出する。例えば、臨床データに無症状の人のデータが10人分含まれ、その中の8人が無症状(0)から軽症(1)へ進行し、8人とも2日後に軽症へ移行しているとすると、検査精度推定部12は、P01=80%、D01=2日を算出する。同様にして、検査精度推定部12は、軽症(1)から中等症(2)へ進行する確率P12、軽症(1)から中等症(2)へ進行するのに要する日数の平均値D12、中等症(2)から重症(3)へ進行する確率P23、中等症(2)から重症(3)へ進行するのに要する日数の平均値D23、重症(3)から重篤(4)へ進行する確率P34、重症(3)から重篤(4)へ進行するのに要する日数の平均値D34を算出する。
次に真の感染率、感度、特異度の関係について説明する。真の感染率、感度、特異度、見かけの感染率(臨床検査で陽性と判定される確率)をそれぞれ、x、a、b、rとすると以下が成り立つ。
x・a+(1-x)・(1-b)=r ・・・(1)
式(1)をxについて解くと次式が得られる。
x=(r-B)/(a-B);B=1-b ・・・(2)
感染症の臨床検査では、感染者を陰性と判定する誤差、非感染者を陽性と判定する誤差が生じる。例えば、感染流行初期において、非感染者を陽性と判定する誤差は、不必要に医療資源を圧迫するが、感染流行初期における臨床検査で誤りを多く含むため、衛生機能維持リソースの配分を誤る原因になりやすい。本実施形態では、臨床検査に誤差があることを想定し、この誤差を補正することで正味の感染者数の状況を推定し、必要となる衛生機能維持リソースを予測する。具体的には、式(2)より、正確な感度a、特異度bが得られれば、臨床検査の結果得られる陽性率rを用いて、真の感染率xを算出することができる。検査精度推定部12は、以下に述べる方法で、感度a、特異度bを推定し、式(2)により、衛生機能維持リソースの需要量予測に必要な真の感染率xを推定する。
検査精度推定部12は、モンテカルロ法などによって感度a、特異度bに様々な値を設定し、真の感染率xの算出式(2)を多数、生成する。
検査精度推定部12は、臨床データから、M1月D1日に陽性と判定された人のデータを読み出してその総数をその日の受診者数で除算して見かけの感染率rを算出する。検査精度推定部12は、多数生成した式(2)のそれぞれのrに算出した値を代入し、感度a、特異度bの組合せごとの真の感染率xを算出する。検査精度推定部12は、M1月D1日の臨床検査の総受診者数に、真の感染率xを掛けて、多数生成した式(2)ごとに真の感染者数の推定値を算出する。
検査精度推定部12は、先に演算したP01、P12、P23、P34と式(2)ごとに真の感染者数を掛けて、次の症状のレベルに進行する人の数を、式(2)ごと、症状のレベルごとに算出する。次に検査精度推定部12は、算出した症状のレベル別の人数に、D01、D12、D23、D34を当てはめて、臨床検査を行ってからの経過日数ごとに0~4の症状レベル別の発症者数を算出する。
例えば、多数生成した感度a、特異度bのパターンが100通りであれば、これまでの処理で、ある1日(M1月D1日)に陽性と判定された人々についてのその後の感染症の進行スケジュール情報が100通り生成されている。検査精度推定部12は、臨床データに含まれる、他の日に検査を受けて陽性と判定された人々についても同様の処理を行う。
また、データ取得部11は、病床の稼働数の推移を示す病床データを取得する。病床データには、例えば、1日ごとの病院別の病床およびICU(集中治療室)の新規の稼働数と稼働総数が含まれる。病床データには、病院の病床だけではなく、軽症者を収容するホテルのベッド数が含まれていてもよい。
検査精度推定部12は、先に算出した多数の感染症の進行スケジュール情報と、病床データとを比較して、最も合致する進行データを選択する。例えば、感染症の症状レベルが0~4へ進行する中で、レベル0は自宅療養、レベル1はホテルで療養、レベル2は一般の病院の個室病床、レベル3は拠点病院の個室病床、レベル4は拠点病院のICU病床で療養すると定められている場合、検査精度推定部12は、算出した多数の感染症の進行スケジュール情報における日ごとのレベル0~4の発症者数と、データ取得部11が取得する病床データが示す実際の病床数の推移(ホテル、一般病院、拠点病院における病床数の新規の稼働数)とを比較し、病床データに近しい進行スケジュール情報を選択する。例えば、病床データでは、2日後の一般病院の病床の新規の稼働数が2、拠点病院の病床の新規の稼働数が2であり、“進行スケジュール情報1”では、2日後にレベル2の症状に至る人の数が5人、レベル3の症状に至る人の数が5人であり、“進行スケジュール情報2”では、2日後にレベル2の症状に至る人の数が2人、レベル3の症状に至る人の数が2人であり、“進行スケジュール情報3”では、2日後にレベル2の症状に至る人の数が3人、レベル3の症状に至る人の数が1人である場合、検査精度推定部12は、“進行スケジュール情報2”を選択する。検査精度推定部12は、選択した進行スケジュール情報に対応する感度a、特異度bを特定する。一般に臨床検査の精度を示す感度aや特異度b(特に特異度b)は特定するのが難しい値であるところ、実際の病床データと照合することで、感度aや特異度bを特定することができる。rは日々の検査データを集計することによって算出することができるので、病床データと照合して正確な感度aや特異度bを推定することにより、式(2)から真の感染率を算出することができる。なお、感度aや特異度bは同じ感染症の場合は一定であると考えられる。
なお、感度aについては、感染症の拡大に伴って臨床データが集積されると、正確な値を推定することが可能になる可能性がある。その場合には、感度aには、臨床データから専門家などが推定した値を適用し、特異度bのみを対象に乱数を発生させて多数のパターンを生成し、上記処理により正確な特異度bを推定してもよい。
(市中の感染者数の推定)
次に、市中の感染者数の推定方法について説明する。
感染症の臨床検査で陽性と判定され、その後、感染が確定すると、その感染者に接した濃厚感染者の調査が行われる。この調査では、感染率が0もしくは非常に少ない事例と、クラスター的に発生している事例に2分されることが多い。この場合、感染率が0もしくは非常に少ない事例が市中感染の状況に近いと考え、このような事例における陽性率を市中感染率(全被検査者のうち陽性者の割合)として推定する。
(方法1)
データ取得部11は、同時期に行った濃厚接触者調査のうち、感染率が0もしくは非常に少ない事例における、臨床検査を行った結果得られる陽性率r、市中人口N(人)、濃厚接触者に対して臨床検査を行った結果の陽性者数k(人)、サンプル抽出数(濃厚接触者としての調査を行った人の数)n(人)の各データを取得する。
感染状況推定部13は、以下の式(3)から、市中の感染者数mを推定する。
r = ( (N-m)(n-k) )/ ・・・(3)
感染状況推定部13は、濃厚接触者調査のサンプルごとに式(3)を作成する。感染状況推定部13は、式(3)をmについて解き、同時期に行った濃厚接触者調査におけるサンプルごとのmの分散を計算する。分散の値が閾値以下であれば、mの代表値(例えば、平均値、中央値、最頻値など)を市中の感染者数として特定する。感染状況推定部13は、感染者数mを市中人口Nで除算して市中感染率を推定する。
(方法2)
分散の値が閾値以上の場合、次の方法で市中の感染率rを推定する。
まず、感染者A~Dさんの発症日と感染した日を推定する。この様子を図3Aに示す。図3Aの黒丸印は発症日、図3Aの白丸印は感染した日(推定日)である。次に、感染者A~Dさんの行動調査、例えば、何月何日何時にどこに立ち寄って、誰と濃厚接触したかを調査し、その結果をまとめる。図3Bに、Aさんの濃厚接触者A-1~A-n、Bさんの濃厚接触者B-1~B-m、Cさんの濃厚接触者C-1等の行動をまとめた表を示す。図3Bの星印は、各濃厚接触者が感染者A~Dさんの何れかと接触した日、図3Bの×印は濃厚接触者の調査をした日を示す。次に感染者との接触状況(感染がおこりやすい環境かどうか)を、場所と日時で整理する。図3Cに、感染者との接触状況を表した表を示す。図3Cの白四角印は、感染者が存在した場所と日を示し、黒四角印は、感染者のクラスターが確認された場所と日を示す。図3Dに人の密集度、陽性者の割合の観点から場所1~場所Lを振り分けた図を示す。場所2は感染者が存在した場所のうち、感染者が多く発生した場所であり、それ以外の場所1、場所3、場所Lは感染者が閾値より少ない場所である。感染者が存在したにもかかわらず、感染者が閾値より少ない場所の感染状況が、市中感染の状況に近いと考え、場所1、場所3、場所Lにおいて感染者と接触した濃厚接触者への調査結果に基づいて、市中感染率rを推定する。
データ取得部11は、全ての濃厚接触者について、感染者に接触してからn日後の発症の有無を含むデータを取得する。
感染状況推定部13は、以下の式を全ての濃厚接触者について作成する。
R = P+(1-P)×[P+(1-P)・P+・・・+(1-Pn-1・P]・・・(4)
ここで、Rは濃厚接触者がm日前に接触してからn日後の検査日に陽性である確率、Pはm日前の市中感染率、Pは1日あたりの感染率である。Pは一定であるとする。
感染状況推定部13は、m日前に場所1、場所3、場所L等の何れかにて感染者に接触した全ての濃厚感染者について、データ取得部11が取得したn日後の発症の有無を含むデータを用いて、例えば、n日後に発症していればRに1、n日後に発症していなければRに0を代入して式(4)を作成し、最小二乗法などを用いて、m日前に感染者A~Dさんの何れかに接触した全ての濃厚感染者のm日前からn日後の感染状況(陽性か否か)に適合するP、Pを決定する。P、Pが決定されると、m日前の市中感染率(つまり、P)が推定できる。感染状況推定部13は、mの値を変化させて同様の処理を行い、各日の市中感染率を推定する。
(リソース予測のための感染状況を算出)
これまでの処理によって、感度a、特異度b、市中感染率が推定できた。検査精度推定部12と感染状況推定部13は、日々、上記処理を行って、最新の感度a、特異度b、市中感染率を推定する。次に感染状況推定部13は、衛生機能維持リソースの需要量の予測に必要な偽陽性者、偽陰性者、真陽性者、真陰性者の数を算出する。例えば、感染状況推定部13は、m日前から現在までに病院等へ検査に訪れた人の総人数に対して、式(2)で算出した真の感染率xを掛けて、真陽性者数を算出する。感染状況推定部13は、陽性と判断された人の総数から真陽性者数を減じて偽陽性者数を算出する。感染状況推定部13は、陰性と判断された人の総数に特異度を掛けて、真陰性者数を算出する。感染状況推定部13は、臨床検査を受けた人の総数から、真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数の合計を減じて、偽陰性者数を算出する。需要量予測部14は、現在の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数に基づいて、m日前から現在までに検査を受診した人を対象とする、衛生機能維持リソースの需要量の予測を行う。
また、感染症に感染すると潜伏期間や無症状者が存在することから、感染症に感染した人全てが感染後直ちに臨床検査を受診するわけでは無い。一般には、感染後、所定期間(例えば、数日)が経過してから受診すると考えられる。つまり、ある日の市中感染率は、その日から数日後の受診者数に関係すると考えられる。この考えに基づいて、感染状況推定部13は、日ごとの市中感染率に市中人口Nを乗じて日ごとの市中感染者数を算出し、日ごとの市中感染率又は市中感染者数と、日ごとの病院等での臨床検査を受診した人の数の関係から、将来の受診人数を予測してもよい。
例えば、図3Aに例示したデータから感染してから平均して2日後に検査へ来て陽性と判断されることが推定できる場合、感染状況推定部13は、1日前(m=1)の市中感染者数に基づいて、翌日の陽性者数を推定し、この陽性者数を受診者数として推定してもよい。また、例えば、感染状況推定部13は、ある日の市中感染者数とその日からX日後に臨床検査を受けた人数の相関係数を算出し、X-1日前の市中感染者数に基づいて、翌日の被検査人数を推定し、上記と同様にして翌日の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数を算出してもよい。また、感染状況推定部13は、日ごとの市中感染率または市中感染者数の推移から、将来の市中感染率等を推定し、過去の市中感染率と検査の受診者数の関係を、推定した将来の市中感染率について適用することで、将来の受診者数を予測してもよい。例えば、直前の1週間における市中感染率の値がほぼ一定であれば、感染状況推定部13は、次の1週間も市中感染率の値が同程度の値で推移すると予測し、検査の受診者数も先週と同様に推移すると予測する。また、感染状況推定部13は、公的な機関によるIBM法やSIR法による感染症流行の予測値を用いて、将来の受診者数の予測を行ってもよい。例えば、感染状況推定部13は、公的な機関が過去に公表した過去の感染者数の予測値と、その時期の臨床検査の受診者数の実績値の相関関係を算出し、その相関関係と将来の感染者数の予測値とに基づいて、将来の受診者数を予測してもよい。
市中感染率の推移から検査の受診者数が推定できると、式(2)により、将来の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数を算出することができる。需要量予測部14は、将来の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数に基づいて、将来の衛生機能維持リソースの需要量の予測を行う。
(衛生機能維持リソースの需要量予測)
需要量予測部14は、感染状況推定部13が推定した感染者数の状況(真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数)に基づいて、臨床検査を受診した人のその後の動きをシミュレーションするシミュレータを備えている。例えば、真陽性者や偽陰性者(つまり、検査結果に関わらず感染者)は、臨床データ(図2A)に基づいて算出されたP01~P34の確率で次のレベルの症状へ進み、その他は、快方に向かう。シミュレータは、P01~P34の確率で真陽性者や偽陰性者の症状が次のレベル(より重い症状)に進行させ、それに伴う患者の病院への移動などを行う。シミュレータは、予め設定された衛生機能維持リソースの中から、使用するリソースの割り当てを行う。需要量予測部14は、患者の移動などに伴い必要となる衛生機能維持リソース(病床や輸送手段)を算出し、衛生機能維持リソースの需要量を算出する。
図4に、衛生機能維持リソースの一例を示す。感染症が流行すると、感染が疑われる人は、病院や屋外テントに設けられた感染症の検査所20にて臨床検査を受け、その結果に応じて、自宅30、一時隔離用のホテル31、軽症者用のホテル32、非感染者用の一般病院33、中等症用の一般病院34、重症用の拠点病院35の何れかに振り分けられる。
図5Aに無症状の人が、臨床検査を受診した場合の動きの一例を示す。例えば、実際には、感染しているにもかかわらず、検査の結果が陰性の人の場合(図5Aの1行目データ)、この人は、陰性の為、検査所20から一旦自宅30に返される。しかし、実際には感染しているので、しばらくすると発症し、軽症者用のホテル32へ収容される。その後、症状が悪化した場合、中等症用の一般病院34へ移動し、さらに悪化した場合、重症用の拠点病院35へ移動し、治療により良化すると、中等症用の一般病院34、軽症者用のホテル32へ移動される。
需要量予測部14は、この無症状の偽陰性者について、例えば、上記(図5Aの1行目)と同じ動きをシミュレーションし、その際に必要となる検査所数、病床数、輸送手段の数などを算出する。例えば、需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した現在又は将来の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数のうちの偽陰性者数に所定の係数、あるいはランダムに設定された係数を乗じて、無症状の偽陰性者数を設定し、設定した偽陰性者のそれぞれに上記のような症状の変化が起きるとして各偽陰性者の動き、その時に必要となるリソースを算出する。例えば、需要量予測部14は、ある一人の偽陰性者について、検査所にて臨床検査を受け、その後、結果が出るまで検査所にて待機するという動きをシミュレーションする。また、検査所では1日に検査できる数の上限値が定められていて、その上限値を超える場合、その人については、次の日に検査を行うようシミュレーションされる。例えば、需要量予測部14は、ある一人の偽陰性者について、検査を行い、陰性の結果が出るまで検査所にて待機し、その後、自宅30へ戻る動きをシミュレーションする。次に、需要量予測部14は、この偽陰性者について、自宅30に戻ってからX日後の夕方に軽症の症状を発症することをシミュレーションして、X日後の夕方に救急車25が1台、軽症者用のホテル32の1室(=病床1個)が必要になることを算出する。例えば、他の患者の移動のために救急車25が使用されている場合、需要量予測部14は、対象とする偽陰性者の移動のために救急車25が使用できるようになるまでの待ち時間を算出する。需要量予測部14は、以降の症状の変化に伴って必要となる衛生機能維持リソースについても同様に、必要数量、使用の可否、使用できるまでの待ち時間、使用する時間や期間等を算出し記憶部16に記録する。例えば、記憶部16には、“偽陰性者Aさんについて、M2月D2日16時に救急車25が1台自宅30へ到着、自宅30からホテル32まで30分移動、ホテル32で2日滞在”といった情報が記録される。需要量予測部14は、他の偽陰性者の動きについても同様にシミュレーションし、症状の変化に伴って必要となる衛生機能維持リソースを、衛生機能維持リソースが必要となる時間の情報等と共に記憶部16に記録する。例えば、需要量予測部14は、無症状の偽陰性者Bさんについては、自宅30に戻ってからX-1日後の夕方に軽症の症状が発症するとし、更に軽症用のホテル32にて2週間滞在すると回復し、中等症用の一般病院34へ移動すること無く、自宅30に戻るという動きをシミュレーションしてもよい。つまり、需要量予測部14のシミュレータは、症状が進行するのに要する日数を、例えば、図2Aの臨床データから算出されたD01~D34の値を基準に1~2日短く又は長く任意に設定してシミュレーションするように構成されていてもよい。また、需要量予測部14のシミュレータは、臨床データから算出されたP01~P34の値に基づいて次の症状のレベルへ進むか否かを決定して、対象者の動きを決定してもよい。また、症状が良化するプロセスについて、需要量予測部14は、所定の確率(所定の確率を基準に許容幅でランダムに設定されてもよい。)で症状が良化するようにシミュレーションする。例えば、需要量予測部14は、(1-P23)の確率で中等症から軽症へ良化するようにシミュレーションしてもよい。また、需要量予測部14は、予め設定された衛生機能維持リソースの使用状況に応じて、使用の可否、使用できない場合は待ち時間などを算出し、必要なリソースと共に記憶部16に記録する。また、病床だけではなく、輸送手段についても症状のレベル別に異なるリソースが割り当てられるように設定されていてもよい。例えば、軽症者の移動のために使用する2台の救急車25と、中等症以上の患者の移動に使用する3台の救急車25が区別されていて、需要量予測部14は、各患者の移動に症状のレベルに応じた救急車25を割り当てるように動作してもよい。また、軽症者や無症状者の移動用に救急車25以外の車(タクシー等)が優先的に割り当てられるように設定され、需要量予測部14は、軽症者や無症状者の移動にタクシー等を割り当てるように動作してもよい。
また、感染症対策においては、患者だけではなく、陰圧テント、検査に用いる薬品や機器、臨床検査で採取された検体を輸送する目的で輸送手段が必要になるが、需要量予測部14のシミュレータは、これらを搬送する動きをシミュレーションしてもよい。例えば、需要量予測部14は、救急車25の他に医療用品を搬送する車両が所定の台数設定できるように構成され、需要量予測部14は、検査所20で検査が行われた後に、採取された検体を病院や研究機関へ搬送する動作をシミュレーションし、その際に必要となる車両の数、車両を使用する時間、車両の待ち時間などを記憶部16に記録する。
図5Aの2行目には、検査の結果が陰性で実際に陰性(真陰性)の無症状の人の動きの一例が記載されている。同様に、図5Aの3行目には、検査の結果が陽性で実際に陽性(真陽性)の無症状の人の動きの一例が記載され、4行目には、検査の結果が陽性で実際には陰性(偽陽性)の無症状の人の動きの一例が記載されている。
需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数に基づいて、無症状の真陽性者数、無症状の偽陽性者数、無症状の真陰性者数を算出する。需要量予測部14は、無症状の真陰性者については、図5Aの2行目に例示する動き等をシミュレーションし、無症状の真陽性者については、図5Aの3行目に例示する動き等をシミュレーションし、無症状の偽陽性者については、図5Aの4行目に例示する動き等をシミュレーションし、それぞれの動きで必要となる衛生機能維持リソースの種類と数量、必要となる時間や期間、使用の可否等の情報を記憶部16に記録する。
図5Bに軽症者の動きを感染状況別に示す。例えば、図5Bの2行目には、検査の結果が陰性で実際に陰性(真陰性)の人の動きの一例が記載されている。この場合、陰性ではあっても、軽症者(症状がある)の為、中等症用の一般病院34へ搬送され診断などが行われ、対象とする感染症ではない為、非感染者用の一般病院33へ収容されるといった動きになる。
需要量予測部14は、軽症者についても、感染状況推定部13が算出した真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数に基づいて、軽症の真陽性者数、軽症の偽陽性者数、軽症の真陰性者数、軽症の偽陰性者数を算出し、例えば、図5Bに例示する感染状況に応じた人の動きをシミュレーションして、必要な衛生機能維持リソースの種類と数量、必要となる時間や期間、使用の可否等の情報を算出し、記憶部16に記録する。
図5Cに中等症者の動きを感染状況別に示す。例えば、図5Cの3行目には、検査の結果が陽性で実際に陽性(真陽性)の人の動きの一例が記載されている。この場合、検査結果(陽性)が判明すると、例えば、中等症用の一般病院34へ搬送され、P34の確率で重症へ進行し、重症となった場合、重症用の拠点病院35へ搬送される。その後、症状が回復するに伴い、中等症用の一般病院34、軽症用のホテル32へ搬送される。
需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した真陽性者数の一部を中等症者として設定し、この中等症者に対して、例えば、図5Cの3行目のような動きをシミュレーションする。需要量予測部14は、この動きにおいて必要となる衛生機能維持リソースを算出し、記憶部16に記録する。
同様に需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数に基づいて、中等症の偽陽性者数、中等症の真陰性者数、中等症の偽陰性者数を算出し、例えば、図5Cに例示する動き等をシミュレーションして、必要な衛生機能維持リソースの種類と数量、必要となる時間や期間、使用の可否等の情報を算出し、記憶部16に記録する。
図5Dに重症者の動きを感染状況別に示す。例えば、図5Dの4行目には、検査の結果が陽性で実際には感染していない(偽陽性)の人の動きの一例が記載されている。この場合、検査結果(陽性)が判明すると、症状が有るため、一旦、中等症用の一般病院34へ搬送され診断などが行われる。その後、対象とする感染症ではないが他の病気による症状が悪化する場合がある。シミュレータは、感染症以外の病気についても所定の確率で、症状が悪化するようにシミュレーションする。偽陽性の患者は、重症用の拠点病院35へ搬送され、そこで治療を受ける。重症化した症状はその後の治療により良化し、患者は、中等症用の一般病院34、軽症用のホテル32へ移動される。シミュレータは、例えば、この動きをシミュレーションし、需要量予測部14は、この動きの中で必要になる病床(一般病院34、拠点病院35、一般病院34、ホテル32)の数、病床を使用する期間、病院間の移動で必要になる救急車25とその使用期間等を記憶部16に記録する。需要量予測部14は、他の偽陽性の人について、感染症以外の病気について定められた症状が次のレベルに進行する確率に基づいて、一般病院34で治療後、軽症用ホテル32へ搬送するという動きをシミュレーションしてもよい。
同様に需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した偽陰性者数、真陰性者数、真陽性者数に基づいて、重症の偽陰性者数、重症の真陰性者数、重症の真陽性者数を算出し、例えば、図5Dの対応する感染状況の動き等をシミュレーションして、必要な衛生機能維持リソースの種類と数量、必要となる時間や期間、使用の可否等の情報等を算出し、記憶部16に記録する。
図5Eに重篤者の動きを感染状況別に示す。需要量予測部14は、感染状況推定部13が算出した偽陰性者数、真陰性者数、真陽性者数に基づいて、重篤の偽陰性者数、重症の真陰性者数、重症の真陽性者数を算出し、例えば、図5Eに例示する動きをシミュレーションして、必要な衛生機能維持リソースの種類と数量、必要となる時間や期間、使用の可否等の情報等を算出し、記憶部16に記録する。
以上説明したように、需要量予測部14は、真陽性、偽陽性、真陰性、偽陰性の感染状況別に対象者の動きをシミュレーションし、その間、必要となる衛生機能維持リソースを算出し、記録する。需要量予測部14は、感染が次のレベルに進む確率、感染が次のレベルに進むのに要する日数等のパラメータを様々に変化させ、また、衛生機能維持リソースの数量を様々に変化させて、同じ母集団(感染状況推定部13が算出したある1つの偽陰性者数、真陰性者数、真陽性者数、偽陽性者数)に対しても多数のパターンのシミュレーションを行う。
図6にシミュレーション後、記憶部16に記録されたデータの一例を示す。
図6のテーブルの“シミュレーション・パターンID”は、シミュレーション・パターンの識別子である。1つのシミュレーション・パターンについて、感染が次のレベルに進む確率、感染が次のレベルに進むのに要する日数、感染状況推定部13が算出した真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数における無症状、軽症、中等症、重症、重篤の偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数の設定、検査所20の数、救急車25の数、一時隔離用のホテル31、軽症用のホテル32、非感染者用の一般病院33、中等症用の一般病院34、重症用の拠点病院35における病床数などのパラメータを設定して、検査受診者の動きのシミュレーション(需要量予測シミュレーション)を実行する。“検査受診者ID”は、一人の検査受診者を表し、一人の検査受診者ごとにその症状の変化および動きに伴って必要となる衛生機能維持リソースが記録されている(“リソース種類”、“数量”、“時間・期間”欄)。“感染状況”には、その検査受診者が無症状、軽症、中等症、重症、重篤の何れであるか、真陽性、偽陽性、真陰性、偽陰性の何れであるかが記録されている。“シミュレーション結果”には、シミュレーションにおけるリソースの使用可否、待ち時間などが記録される。例えば、救急車25の到着まで10分間待った場合には、“10分待ち”等が記録される(1行目)。“説明”には、そのリソースに関する検査受診者の動きが記録される。
衛生機能維持リソースの配分を行う意思決定者は、各リソースの数量を様々に変えてシミュレーションを実行させ、図6に例示するシミュレーション結果を参照して、検査所、病床、救急車等の輸送手段の供給が十分かどうかを把握することができる。意思決定者は、例えば、検査所、病床、輸送手段の何れにも“待ち”が記録されなくなるまで、検査所、病床、輸送手段の数量を変化させて繰り返し、シミュレーションさせることができる。シミュレーションにより、最適な検査所、病床、輸送手段の数量が算出できると、意思決定者は、現状のそれらのリソースの数量と比較して、リソースの増強などの対策を講じることができる。また、例えば、市中での感染が広がり、陽性者が多くなると、病床数が足りなくなる可能性がある。例えば、不足する病床が、軽症者を収容するホテル32の場合であれば、意思決定者は、不足する病床数とその期間を推定し、この期間だけ臨時でホテルを借りることを検討する。意思決定者は、軽症用のホテル32の病床数を新たに借りるホテルが有する病床数分だけ増加させ、病床数が不足する期間の感染状況の予測に基づいて、需要量予測部14にシミュレーションを実行させ、その結果、図6に例示するテーブルにおける病床についての“待ち”が無くなる、あるいは“待ち”が記録されたレコード数が閾値以下となるときの軽症用のホテル32の病床数を特定し、特定した数の病床数を賄える分のホテルを借りることを検討することができる。
同様に、陽性者が多くなり、救急車25が不足する場合、意思決定者は、不足する期間と台数の分だけ、他の自治体から借りる、もしくは、軽症者に限り民間救急サービスを利用することを検討する。意思決定者は、救急車25の数を、例えば、1ずつ増やしながら、救急車が不足する期間の感染状況の予測に基づいて、繰り返し需要量予測部14にシミュレーションを実行させる。その結果、図6に例示するテーブルにおける輸送手段についての“待ち”が無くなる、あるいは“待ち”が記録されたレコード数が閾値以下となるときの救急車25の数を特定し、特定した数の救急車数が賄えるように他の自治体から借りる、もしくは、軽症者の移動に使用する輸送手段については、民間の救急サービスを利用することを検討することができる。
(動作)
図7は、一実施形態における需要量予測処理の一例を示すフローチャートである。
検査精度推定部12が、検査精度を推定する(ステップS11)。検査精度推定部12は、感度aと特異度bを算出する。
次に感染状況推定部13が、市中感染状況を推定する(ステップS12)。感染状況推定部13は、市中の感染率を推定する。
ステップS11、S12の処理は、例えば、日々実行される。
次に感染状況推定部13が、需要量予測の対象となる感染状況を特定する(ステップS13)。例えば、感染状況推定部13は、実際に臨床検査を受診した人の数と、ステップS11で推定した感度aと特異度bと式(2)に基づいて、臨床検査を受診した人を対象とする真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数を算出する。
また、例えば、感染状況推定部13は、ある日に臨床検査を受診した人の数と、その日よりX日前の市中感染率との相関関係を算出し、最新の市中感染率(例えば、前日の市中感染率)と、算出した相関関係によりX-1日後の受診者数を推定する。また、例えば、感染状況推定部13は、最新の陽性率と、感度aと、特異度bと、式(2)に基づいて、真の感染率を算出し、真の感染率と推定した将来(例えば、X-1日後)の受診者数から、将来の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数を算出する。出力部15は、臨床検査を受診した人を対象とする現在の、又は、将来の真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数を表示装置に出力する。
次に意思決定者が、需要量予測に必要なパラメータを設定する(ステップS14)。例えば、意思決定者は、検査所20の数、救急車25、一時隔離用のホテル31、軽症用ホテル32のホテル32、非感染者用の一般病院33、中等症用の一般病院34、重症用の拠点病院35における病床数、医療用品を搬送する車両数、需要量予測の対象とする真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数などのパラメータを予測装置10へ入力する。需要量予測部14は、入力されたパラメータを取得して記憶部16に記録するとともに、シミュレーションの条件に設定する。
意思決定者は、その他のパラメータ、例えば、感染が次のレベルに進む確率、感染が次のレベルに進むのに要する日数などを入力してもよいが、これらは、需要量予測部14が、検査精度推定部12が算出したP01~P34、D01~D34に基づいて、自動的に設定してもよい。
次に需要量予測部14が、検査受診者の動きをシミュレーションする(ステップS15)。需要量予測部14は、シミュレーション中、必要となった衛生機能維持リソースの情報を記憶部16に記録する。
需要量予測部14は、ステップS14にて各種パラメータが設定されると、その条件下で、複数パターンのシミュレーションを実行してもよい。例えば、シミュレーション・パターンが変化すると、需要量予測部14は、真陽性者数などにおける無症状、軽症、中等症、重症、重篤の内訳を変化させたり、症状の進行パターンを変化させたりして(例えば、中等症→重症→回復、を中等症→回復に変える)、他のパターンで検査受診者の動きをシミュレーションし、そのパターンで必要となる衛生機能維持リソースを算出する。
次に出力部15が、シミュレーション結果を出力する(ステップS16)。例えば、出力部15は、需要量予測部14が複数パターンのシミュレーションを行った結果、記憶部16に記録された情報(図6)を参照して、待ち時間が所定時間以上の記録をリソース別に集計して、これらを表示してもよい。例えば、検査所の待ち(翌日への繰り越し等)が全シミュレーション・パターンを通じて30件、病床の待ち(1日以上の待ち)が全シミュレーション・パターンを通じて10件、輸送手段の不足(1時間以上の待ち)が全シミュレーション・パターンを通じて20件記録されていれば、出力部15は、今回設定されたパラメータに対する需要量予測の結果として“検査所の不足30件、病床の不足10件、輸送手段の不足20件”等と出力する。
意思決定者は、良好な結果が得られるまで、ステップS14にてパラメータを設定し(衛生機能維持リソースの数量を設定し直し)、需要量予測部14にシミュレーションを実行させる(ステップS15)ことを繰り返し行う。
上記説明したように本実施形態によれば、臨床データおよび病床データに基づいて、感度aと特異度bを推定することができる。これにより、真の感染率を算出することができる。また、濃厚接触者の検査結果に基づいて、市中感染率を推定し、市中感染率の推移から将来の検査受診者数を予測することができる。また、将来の検査受診者数と真の感染率に基づいて、将来の感染状況(真陽性者数、偽陽性者数、真陰性者数、偽陰性者数)を推定し、将来の感染状況と感染状況ごとの人の動きに基づいて、衛生機能維持リソースの需要量を予測することができる。
図8は、本開示の一実施形態における予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の予測装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能(データ取得部11、検査精度推定部12、感染状況推定部13、需要量予測部14、出力部15)は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
予測装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、予測装置10は、複数のコンピュータ900によって構成されていても良い。記憶部16は、コンピュータ900とは別体の外部記憶装置に記憶されていても良い。
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この開示の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
<付記>
各実施形態に記載の予測装置10、予測方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る予測装置10は、感染症の検査の精度を推定する検査精度推定部12と、前記検査の精度に基づく真の感染率(式(2))と、予測対象エリア(例えば、特定の都道府県や市町村、特定の病院)における前記検査の受診者数(現在までの実績値)又は前記受診者数の予測値(市中感染率と実際の受診者の関係等に基づく将来の受診者の予測値)と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定する感染状況推定部13と、前記感染状況が示す感染者数に基づいて、衛生機能を維持するためのリソースの需要量を予測する需要量予測部14と、を備える。
これにより、感染症の検査の精度を考慮した予測対象エリアにおける真の感染状況を推定し、真の感染状況が示す感染者数に基づいて、衛生機能を維持するためのリソース(検査所、病床、救急車などの輸送手段)の需要量を予測することができる。
(2)第2の態様に係る予測装置10は、(1)の予測装置10であって、前記感染状況推定部13は、陽性と判定されて実際に感染している人を示す真陽性者の数、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者の数、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者の数、陰性と判定されて実際に感染していない人を示す真陰性者の数を算出し、前記需要量予測部14は、前記真陽性者の症状の変化と前記真陽性者の数とに基づく前記真陽性者が必要とする前記リソースの第1の数量と、前記偽陽性者の症状の変化と前記偽陽性者の数とに基づく前記偽陽性者が必要とする前記リソースの第2の数量と、前記真陰性者の症状の変化と前記真陰性者の数とに基づく前記真陰性者が必要とする前記リソースの第3の数量と、前記偽陰性者の症状の変化と前記偽陰性者の数とに基づく前記偽陰性者が必要とする前記リソースの第4の数量とを算出し、前記第1の数量と、前記第2の数量と、前記第3の数量と、前記第4の数量と、に基づいて前記リソースの需要量を予測する。
感染症の検査を受診した者は、真陽性、偽陽性、偽陰性、真陰性に分類できるが、分類ごとに必要とする衛生機能維持リソースが異なる。第2の態様によれば、真陽性、偽陽性、偽陰性、真陰性ごとに衛生機能維持リソース需要量を予測するので、正確な需要量予測が可能になる。
(3)第3の態様に係る予測装置10は、(1)~(2)の予測装置10であって、前記検査精度推定部12は、前記検査の感度と特異度とを用いて表した感染率の算出式(式(2))について、複数の前記感度と前記特異度の組合せを生成して、複数の前記組合せに応じた前記感染率を算出し、複数の前記感染率と、前記検査の受診者数と、感染症の進行スケジュール情報と、に基づいて、複数の前記組合せごとに前記感染症の進行に応じた前記リソースの需要量の推定値を算出し、算出した前記需要量の推定値の中から、前記検査の受診者に関して必要となった実際の前記リソースの稼働数に最も近い前記需要量の推定値を選択し、その需要量の推定値に対応する前記組合せを特定し、特定した前記組合せに係る前記感度と前記特異度を前記検査の精度とする。
これにより、感度と特異度を推定し、式(2)によって、真の感染率を推定することができる。
(4)第4の態様に係る予測装置10は、(1)~(3)の予測装置10であって、前記リソースは、病床である。
これにより、病床数の需要量を予測することができる。
(5)第5の態様に係る予測装置10は、(1)~(4)の予測装置10であって、前記感染症の対策に必要な人や物(検体など)を輸送する輸送手段(救急車25、医療用品用の車両)である。
これにより、救急車等の輸送手段の需要量を予測することができる。
(6)第6の態様に係る予測装置10は、(1)~(5)の予測装置10であって、前記検査を行う設備(検査所20)である。
これにより、検査所の需要量を予測することができる。
(7)第7の態様に係る予測装置10は、(1)~(6)の予測装置10であって、前記感染状況推定部13は、前記検査にて陽性と判定された検査受診者の濃厚接触者のうち、感染が生じにくい環境で接触した人の前記検査における陽性者数に基づいて、市中の感染率を推定する。
市中感染率を推定することで、市中感染率の推移と検査受診者数の関係を解析することが可能になる。また、直近の市中感染率の推移から将来の検査受診者数を推定し、将来の検査受診者数に基づいて、将来の衛生機能維持リソース需要量を予測することができる。
(8)第8の態様に係る予測装置10は、(1)~(7)の予測装置10であって、前記感染状況推定部13は、前記市中の感染率に基づいて、将来の前記検査の受診者数を予測し、前記需要量予測部14は、将来の前記検査の受診者数に応じた前記感染状況に基づいて、将来における前記リソースの需要量を予測する。
これにより、将来の衛生機能維持リソース需要量を予測することができる。
(9)第9の態様に係る予測方法では、感染症の検査の精度を推定するステップと、前記検査の精度に基づく真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、前記感染状況が示す感染者数に基づいて、衛生機能を維持するためのリソースの需要量を予測するステップとを有する。
(10)第10の態様に係るプログラムは、コンピュータに、感染症の検査の精度を推定するステップと、前記検査の精度に基づく真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、前記感染状況が示す感染者数に基づいて、衛生機能を維持するためのリソースの需要量を予測するステップと、を実行させる。
10・・・予測装置
11・・・データ取得部
12・・・検査精度推定部
13・・・感染状況推定部
14・・・需要量予測部
15・・・出力部
16・・・記憶部
20・・・検査所
25・・・救急車
30・・・自宅
31・・・一時隔離用のホテル
32・・・軽症用のホテル
33・・・非感染者用の一般病院
34・・・中等症用の一般病院
35・・・重症用の拠点病院
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース

Claims (10)

  1. 感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定する検査精度推定部と、
    前記検査精度推定部が推定した前記感度と、前記検査精度推定部が推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記検査精度推定部が特定した前記真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定する感染状況推定部と、
    前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータを備え、前記感染状況の推定結果と、前記シミュレータと、に基づいて、前記リソースの需要量を予測する需要量予測部と、
    を備え、
    前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、
    前記感染状況推定部は、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者の数を算出し、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者の数を算出する、
    予測装置。
  2. 前記シミュレータは、無症状、軽症状、中等症、重症、重篤の症状別に、前記真陽性者、前記偽陽性者、前記真陰性者、前記偽陰性者ごとの前記動きをシミュレーションして前記リソースの割り当てを行い、
    前記需要量予測部は、前記感染状況推定部が算出した前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数、前記偽陰性者の数に基づいて、前記症状別の前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数、前記偽陰性者の数を算出し、
    算出した前記症状別の前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数および前記偽陰性者の数と、前記シミュレータと、に基づいて、前記症状別に、前記真陽性者が必要とする前記リソースの数量である第1の数量と、前記偽陽性者が必要とする前記リソースの数量である第2の数量と、前記真陰性者が必要とする前記リソースの数量である第3の数量と、前記偽陰性者が必要とする前記リソースの数量である第4の数量とを算出し、前記症状別に算出した前記第1の数量と、前記第2の数量と、前記第3の数量と、前記第4の数量と、に基づいて前記リソースの需要量を予測する、
    請求項1に記載の予測装置。
  3. 前記検査精度推定部は、
    前記関係式について、複数の前記感度と前記特異度の組合せを生成して、複数の前記組合せに応じた前記真の感染率を算出し、
    複数の前記真の感染率と、前記検査の受診者数と、前記感染症の進行スケジュール情報と、前記感染症の進行に応じて必要となる前記リソースを定めた所定の情報と、に基づいて、複数の前記組合せごとに前記感染症の進行に応じた前記リソースの需要量の推定値を算出し、
    算出した前記需要量の推定値の中から、前記検査の受診者に関して必要となった実際の前記リソースの稼働数に最も近い前記需要量の推定値を選択し、その需要量の推定値に対応する前記組合せを特定し、特定した前記組合せに係る前記感度と前記特異度を前記検査の精度とする、
    請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
  4. 前記リソースは、病床である、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の予測装置。
  5. 前記リソースは、前記感染症の対策に必要な人や物を輸送する輸送手段である、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の予測装置。
  6. 前記リソースは、前記検査を行う設備である、
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の予測装置。
  7. 前記感染状況推定部は、前記検査にて陽性と判定された検査受診者の濃厚接触者のうち、実際に感染した人の割合が閾値以下となった複数の前記検査のそれぞれについて、前記検査を行った結果得られる陽性率r、市中の人口N、前記濃厚接触者に対して臨床検査を行った結果の陽性者数k、前記濃厚接触者としての調査を行った人の数nに基づいて、以下の式を作成し、
    r=((N-m)(n-k))/
    前記式をmについて解き、複数の前記検査ごとに前記式を解いて得られた前記mの分散を計算し、当該分散の値が閾値以下の場合に、前記mの平均値、中央値および最頻値の何れかを前記市中の感染者数として特定し、感染者数mを前記市中の人口Nで除算して前記市中の感染率を推定する
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の予測装置。
  8. 前記感染状況推定部は、前記市中の感染率に基づいて、将来の前記検査の受診者数を予測し、
    前記需要量予測部は、将来の前記検査の受診者数に応じた前記感染状況と、前記シミュレータと、に基づいて、将来における前記リソースの需要量を予測する、
    請求項7に記載の予測装置。
  9. コンピュータによって実行される予測方法であって、
    感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定するステップと、
    推定した前記感度と、推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記特定した前記真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、
    前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータと、前記感染状況の推定結果と、に基づいて、前記リソースの需要量を予測するステップと、
    を有し、
    前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、
    前記感染状況を推定するステップでは、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者の数を算出し、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者の数を算出する、
    予測方法。
  10. コンピュータに、
    感染症の検査の精度について、前記検査を受けて陽性と判断された人のうち実際に感染している人を真陽性者とし、前記検査を受けて陰性と判断された人のうち実際に感染していない人を真陰性者とした場合に、前記検査を受けた人のうち、実際に感染している人の集合における前記真陽性者の割合を示す感度と、実際に感染していない人の集合における前記真陰性者の割合を示す特異度と、前記検査を受けた人のうち陽性と判定される確率を示す見かけの感染率と、真の感染率と、の関係式であるx=(r-B)/(a-B)(ただし、B=1-b、xは前記真の感染率、aは前記感度、bは前記特異度、rは前記見かけの感染率)に基づいて、複数の前記aおよび前記bの組み合わせに対する前記xを算出し、算出した複数の前記xごとに前記検査を受けた人の人数を乗じて真の感染者数を複数推定するとともに、推定した前記真の感染者数ごとに臨床データに基づいて予め解析された前記感染症の症状が次のレベルの症状へ進む確率を乗じて、前記次のレベルの症状へ進む感染者数の推定値を算出し、当該感染者数の推定値と前記臨床データに基づいて予め解析された前記次のレベルの症状へ進むために要する日数に基づいて、前記感染者数の推定値に係る人数の感染者が前記要する日数後に必要とする病床数を算出し、複数の前記xごとに算出した前記病床数と、実際に前記要する日数後に必要となった病床数の実績値を比較して、前記実績値に最も近くなる場合の前記xである前記真の感染率を特定することによって、前記感度と、前記特異度とを推定するステップと、
    推定した前記感度と、推定した前記特異度と、前記検査にて陽性と判定された確率を示す見かけの感染率と、前記特定した前記真の感染率と、予測対象エリアにおける前記検査の受診者数又は前記受診者数の予測値と、に基づいて、前記予測対象エリアの感染状況を推定するステップと、
    前記真陽性者、陽性と判定されて実際には感染していない人を示す偽陽性者、前記真陰性者、陰性と判定されて実際に感染している人を示す偽陰性者ごとに、前記要する日数後に前記次のレベルの症状へ進む動きをシミュレーションし、衛生機能を維持するために必要なリソースの数および種類を前記次のレベルの症状が進んだ前記人に割り当てるシミュレータと、前記感染状況の推定結果と、に基づいて、前記リソースの需要量を予測するステップと、
    を有し、
    前記感染状況は、前記真陽性者の数と、前記偽陽性者の数と、前記真陰性者の数と、前記偽陰性者の数と、を示し、
    前記感染状況を推定するステップでは、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数を乗じて、前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断された人数から前記真陽性者の数を減じて前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断された人数に前記特異度を乗じて、前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数から前記真陽性者の数、前記偽陽性者の数、前記真陰性者の数の合計を減じて、前記偽陰性者の数を算出し、
    前記真の感染率と前記検査の受診者数の予測値に基づいて前記感染状況を推定する場合には、前記真の感染率に前記検査の受診者数の予測値を乗じて、将来の前記真陽性者の数を算出し、前記検査にて陽性と判断される人数の予測値から前記真陽性者の数を減じて将来の前記偽陽性者の数を算出し、前記検査にて陰性と判断される人数の予測値に前記特異度を乗じて、将来の前記真陰性者の数を算出し、前記検査の受診者数の予測値から将来の前記真陽性者の数、将来の前記偽陽性者の数、将来の前記真陰性者の数の合計を減じて、将来の前記偽陰性者の数を算出する処理、
    を実行させるプログラム。
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