JP7533763B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物及びフィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、樹脂フィルム表面は柔らかく耐擦傷性が低いため、これを補う目的で硬化塗膜(ハードコート層)をフィルム表面に設けることが一般的に行われている。具体的には、ロール状に巻いてあるフィルム原反からフィルムを塗工機へ送り出た後、活性エネルギー線硬化性組成物等からなるハードコート剤をフィルム表面に塗工・乾燥し、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりハードコート剤を硬化してハードコート層を形成した後、再度ロール状に巻き取ることにより、ハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)が製造される。
エネルギー線硬化性組成物としては、高架橋の活性エネルギー線硬化性樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレートやジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを硬化性化合物として有するものが広く用いられている。
また、このフィルムを液晶ディスプレイ等に用いた場合、発生した静電気によりディスプレイの誤動作を招きうるという問題もあった。近年では、液晶ディスプレイの構造の変化に起因して帯電防止機能が求められる場合が多く、その要求性能は高いものとなっている。
また、4級アンモニウム塩を有する重合性単量体を原料とした2種の共重合体を帯電防止剤としてハードコート剤に配合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
一方で、4級アンモニウム塩系帯電防止剤を含有するハードコート剤を塗工した際の塗膜特性は、塗工環境に大きく依存するという問題があった。特に、23℃において50%RHを超えるような高湿度下で塗工及び乾燥を行った場合に、塗膜表面が白化する等の外観不良が認められることがあり、改善が求められていた。
(1)ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが10.0~12.5である活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、
4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)と、
レベリング剤(C)と、
重合開始剤(D)と、
有機溶剤(E)とを含有し、
前記有機溶剤(E)は、水酸基を有する有機溶剤(E1)と、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが9.0以下であり、且つ、前記有機溶剤(E1)よりも低い沸点を有する有機溶剤(E2)と、を含み、
前記有機溶剤(E)100質量部中、前記有機溶剤(E1)の配合量が5~50質量部であり、前記有機溶剤(E2)の配合量が50~95質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
(2)前記樹脂(B)が、脂環構造を有するものである(1)の活性エネルギー線硬化性組成物。
(3)前記樹脂(B)が、脂環構造を有する重合性単量体を原料として5~55質量%用いた重合体である、(2)の活性エネルギー線硬化性組成物。
(4)前記樹脂(B)の配合量が、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)100質量部に対して、0.1~30質量部の範囲である(1)~(3)のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物。
(5)(1)~(4)のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
(6)(1)~(4)のいずれかの記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有するフィルム。
したがって、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、塗膜製造時における帯電や異物吸着による塗布欠陥の発生を抑制でき、歩留まり高く製造することができる。また、得られたフィルム表面に静電気が発生することを抑制できることから、静電気による周囲への悪影響の低減、塗膜同士の張り付き防止、静電気による埃等の付着防止等の機能をフィルムに付与することが可能となる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は防汚性が付与されたものとなることから、硬化塗膜を有するフィルムを用いたFPD表面への汚れの付着を抑制可能となる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、白化等の外観不良が抑制され、外観の美麗さに優れることから幅広い用途で利用可能なものである。
加えて、本発明のフィルムは、外観不良が抑制されていることから、FPD表面保護用途や自動車内外装加飾用途に用いた場合に目的とするディスプレイ表示や外観を妨げることなく、好適に使用することができる。
活性エネルギー線硬化性化合物(A)(以下「化合物(A)」又は「(A)成分」ということがある。)は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の水素結合項δHが10.0~12.5の範囲である化合物である。
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピュータソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)」を用いることにより、文献にパラメータ値の記載がない有機溶剤に関しても、その化学構造からハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明では、文献にパラメータ値の記載がある化合物については、その値を用い、文献にパラメータ値の記載がない化合物に関しては、HSPiPバージョン4.1.06を用いて推算したパラメータ値を用いる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの一方又は両方をいう。
4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)(以下「樹脂(B)」又は「(B)成分」ということがある。)は、組成物、硬化物及び硬化塗膜に帯電防止性を付与するために添加される成分である。本発明の組成物を塗工及び乾燥した際、樹脂(B)が塗膜表面近傍に適度に偏析することにより、当該塗膜硬化後の硬化物又は硬化塗膜自体が優れた帯電防止能を有するものとなる。
レベリング剤(C)(以下「(C)成分」ということがある。)は、塗膜の表面張力を調整し、塗膜表面を平滑化するために用いられる。
レベリング剤を用いることで、高湿度条件下で塗工を行った場合にも適切な接触角が得られる。より具体的には、レベリング剤の存在により塗膜の表面張力(表面エネルギー)が下がり、水接触角が大きくなる結果、汚れ等が付着しにくくなり、硬化塗膜に防汚性が付与される。また、本発明ではレベリング剤(C)が塗膜の最表面に存在することで、樹脂(B)の過度な表面偏析や凝集が抑制され、白化等の外観の悪化を防ぐことができる。
なかでも、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、フルオロアルキルアンモニウム塩等の、フッ素原子を含むフッ素化合物系レベリング剤が好ましい。
「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェント100A-K」、「フタージェント300」、「フタージェント310」、「フタージェント320」、「フタージェント400SW」、「フタージェント251」、「フタージェント215M」、「フタージェント212M」、「フタージェント215M」、「フタージェント250」、「フタージェント222F」、「フタージェント212D」、「FTX-218」、「フタージェント209F」、「フタージェント245F」、「フタージェント208G」、「フタージェント240G」、「フタージェント212P」、「フタージェント220P」、「フタージェント228P」、「DFX-18」、「フタージェント601AD」、「フタージェント602A」、「フタージェント650A」、「フタージェント750FM」、「FTX-730FM」、「フタージェント730FL」、「フタージェント710FS」、「フタージェント710FM」、「フタージェント710FL」、「フタージェント750LL」、「FTX-730LS」、「フタージェント730LM」、(以上、株式会社ネオス製)、
「BYK-300」、「BYK-302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-340」、「BYK-344」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-350」、「BYK-352」、「BYK-354」、「BYK-355」、「BYK-356」、「BYK-358N」、「BYK-361N」、「BYK-357」、「BYK-390」、「BYK-392」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-Silclean3700」(以上、BYK株式会社製)、
「TEGO Rad2100」、「TEGO Rad2011」、「TEGO Rad2200N」、「TEGO Rad2250」、「TEGO Rad2300」、「TEGO Rad2500」、「TEGO Rad2600」、「TEGO Rad2650」、「TEGO Rad2700」、「TEGO Flow300」、「TEGO Flow370」、「TEGO Flow425」、「TEGO Flow ATF2」、「TEGO Flow ZFS460」、「TEGO Glide100」、「TEGO Glide110」、「TEGO Glide130」、「TEGO Glide410」、「TEGO Glide411」、「TEGO Glide415」、「TEGO Glide432」、「TEGO Glide440」、「TEGO Glide450」、「TEGO Glide482」、「TEGO Glide A115」、「TEGO Glide B1484」、「TEGO Glide ZG400」、「TEGO Twin4000」、「TEGO Twin4100」、「TEGO Twin4200」、「TEGO Wet240」、「TEGO Wet250」、「TEGO Wet260」、「TEGO Wet265」、「TEGO Wet270」、「TEGO Wet280」、「TEGO Wet500」、「TEGO Wet505」、「TEGO Wet510」、「TEGO Wet520」、「TEGO Wet KL245」、(以上、エボニック・インダストリーズ株式会社製)、「FC-4430」、「FC-4432」(以上、スリーエムジャパン株式会社製)、「ユニダインNS」(以上、ダイキン工業株式会社製)、「サーフロンS-241」、「サーフロンS-242」、「サーフロンS-243」、「サーフロンS-420」、「サーフロンS-611」、「サーフロンS-651」、「サーフロンS-386」(以上、AGCセイミケミカル株式会社製)、「DISPARLON OX-880EF」、「DISPARLON OX-881」、「DISPARLON OX-883」、「DISPARLON OX-77EF」、「DISPARLON OX-710」、「DISPARLON 1922」、「DISPARLON 1927」、「DISPARLON 1958」、「DISPARLON P-410EF」、「DISPARLON P-420」、「DISPARLON P-425」、「DISPARLON PD-7」、「DISPARLON 1970」、「DISPARLON 230」、「DISPARLON LF-1980」、「DISPARLON LF-1982」、「DISPARLON LF-1983」、「DISPARLON LF-1084」、「DISPARLON LF-1985」、「DISPARLON LHP-90」、「DISPARLON LHP-91」、「DISPARLON LHP-95」、「DISPARLON LHP-96」、「DISPARLON OX-715」、「DISPARLON 1930N」、「DISPARLON 1931」、「DISPARLON 1933」、「DISPARLON 1934」、「DISPARLON 1711EF」、「DISPARLON 1751N」、「DISPARLON 1761」、「DISPARLON LS-009」、「DISPARLON LS-001」、「DISPARLON LS-050」(以上、楠本化成株式会社製)、「PF-151N」、「PF-636」、「PF-6320」、「PF-656」、「PF-6520」、「PF-652-NF」、「PF-3320」(以上、OMNOVA SOLUTIONS社製)、「ポリフローNo.7」、「ポリフローNo.50E」、「ポリフローNo.50EHF」、「ポリフローNo.54N」、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.85」、「ポリフローNo.85HF」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.90D-50」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.99C」、「ポリフローKL-400K」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」、「ポリフローKL-100」、「ポリフローLE-604」、「ポリフローKL-700」、「フローレンAC-300」、「フローレンAC-303」、「フローレンAC-324」、「フローレンAC-326F」、「フローレンAC-530」、「フローレンAC-903」、「フローレンAC-903HF」、「フローレンAC-1160」、「フローレンAC-1190」、「フローレンAC-2000」、「フローレンAC-2300C」、「フローレンAO-82」、「フローレンAO-98」、「フローレンAO-108」(以上、共栄社化学株式会社製)、「L-7001」、「L-7002」、「8032ADDITIVE」、「57ADDTIVE」、「L-7064」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67ADDTIVE」、「8616ADDTIVE」(以上、東レ・ダウシリコーン株式会社製)等の例を挙げることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、基材上に塗工後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいい、工業的には紫外線が広く用いられている。
重合開始剤(D)(以下「(D)成分」ということがある。)は、活性エネルギー線の照射に応じて化合物(A)の重合反応を開始させるために本発明の組成物に含有されるものであって、光重合開始剤として一般的に知られている化合物を用いることができる。
光重合開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-(2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ-ケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルサルフォニル)プロパン-1-オン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系化合物:Omnirad TPO、Omnirad 819(以上、IGM Resins B.V.株式会社製)、
オキシムエステル系化合物:イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、イルガキュアOXE03、イルガキュアOXE04(以上、IGM Resins B.V.社製)、
水素引き抜き型化合物:SB-PI 701、SB-PI 701、SB-PI 707、SB-PI 711、SB-PI 712、SB-PI 716(以上、三陽貿易社製)、カヤキュアDETX-S、カヤキュアEPA(以上、日本化薬社製)、カンタキュア-ITX(ワ-ドプレキンソップ社製)等が挙げられる。
(D)成分の配合量は、化合物(A)100質量部に対し、0.05~30質量部が好ましく、0.5~20質量部がより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。
有機溶剤(E)(以下、「(E)成分」ということがある。)は、水酸基を有する有機溶剤(E1)の5~50質量部と、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが9.0以下であり、且つ、前記有機溶剤(E1)よりも低い沸点を有する有機溶剤(E2)の50~95質量部とを含有する。なお、以下ではそれぞれ「(E1)成分」、「(E2)成分」ということがある。
本発明の組成物では、沸点が互いに異なる少なくとも2種以上の有機溶剤を用いることにより、塗工後乾燥工程における塗膜の乾燥を制御し、樹脂(B)の硬化表面付近への偏析を促進し、樹脂(B)の過度な凝集を抑制している。
有機溶剤(E1)は、水酸基を有する有機溶剤であって、有機溶剤(E2)よりも相対的に高い沸点を有するものである。
(E1)成分はその構造中に水酸基を有することから、前述の(A)成分と同様に、(B)成分と適度な相溶性を有するものである。基材上に塗工された組成物は、通常、活性エネルギー線照射前に乾燥されて有機溶剤を揮発させるが、(E1)成分は(E2)成分よりも高い沸点を有することから、(E1)成分は(E2)成分よりも後まで塗膜中に残存することとなる。(B)成分との適度な相溶性を有する(E1)成分が乾燥工程の後段階まで塗膜中に存在することにより、乾燥中の(B)成分の凝集を防止することができ、白化等の硬化物外観の劣化を抑制することができる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1―ブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。
グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
(E1)成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E1)成分の沸点は特に限定されるものではないが、100℃超であることが好ましく、110℃超であることがより好ましい。
有機溶剤(E2)は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが9.0以下であり、且つ、前記有機溶剤(E1)よりも相対的に低い沸点を有するものである。
(E2)成分はδHが9.0以下と比較的低い値であることから、(B)成分との相溶性が比較的低いものである。このような(E2)成分が存在することにより、(B)成分が塗膜中で過度に拡散することを防止できる。結果として、塗膜表面近傍への(B)成分の適度な偏析が促進される結果、硬化物又は硬化塗膜の帯電防止性が高まる。
また、(E2)成分は(E1)成分よりも低い沸点を有することから、(E2)成分は(E1)成分よりも先に揮発することとなる。(B)成分との相溶性が低い(E2)成分が先に揮発することにより、乾燥中の(B)成分の凝集を防止することができ、白化等の外観の劣化を抑制することができる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、メチル磯ペンチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
炭化水素類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
(E2)成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(E1)成分及び(E2)成分に該当しないその他の有機溶剤を含有していてもよいが、その他の有機溶剤の割合は(E)成分の全量中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、その他の有機溶剤を含有しないことがさらに好ましい。
本発明の組成物中の前記有機溶剤(E)の配合量は、後述する塗工方法に適した粘度になる量とすることが好ましい。
攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えたフラスコ中に、窒素ガスを導入して、フラスコ内の空気を窒素ガスで置換した。その後、フラスコに2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド54.7質量部、シクロヘキシルメタクリレート19.9質量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー PME-1000」;繰り返し単位数n≒23、分子量1,000)24.9質量部、メタクリル酸0.5質量部、メタノール50質量部及びPGME10質量部を加えた。次いで、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.1質量部をPGME2.4質量部で溶解した溶液を30分かけて滴下した後、65℃で3時間反応させた。次いで、メタノールを加えて希釈し、脂環構造及び4級アンモニウム塩を有する樹脂(B-1)の45質量%溶液を得た。得られた樹脂(B-1)の重量平均分子量は1万であった。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
ジペンタエリスリールヘキサアクリレート(DPHA(4)、δH=11.1)100質量部、製造例1で得られた樹脂(B-1)溶液20質量部(樹脂(B-1)固形分として8.0質量部)、フッ素化合物系レベリング剤「メガファック RS-90」(DIC社製)0.12質量部、光重合開始剤「Omnirad 127」(IGM Resins B.V.社製)10質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(δH=11.6、沸点=120℃)53質量部、メチルエチルケトン(δH=5.1、沸点=80℃)297質量部を均一に混合して活性エネルギー線硬化性組成物(1)を得た。
表1~2に示した組成に変更した以外は実施例1と同様に行い、活性エネルギー線硬化性組成物(2)~(6)、(R1)~(R7)を得た。
なお、(E1)成分を含有しない比較例4の組成物(R4)は、組成物自体が白濁してしまったことから不良と判断し、塗工以降の評価を行わなかった。
23℃、60%RH条件下において、活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ125μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東レ株式会社製)に、バーコーターで膜厚3μmとなるように塗工し、60℃で1分間乾燥した後、空気雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、高圧水銀ランプ)を用いて照射光量3kJ/m2で照射し、硬化塗膜を有するTACフィルムを評価用サンプルとして得た。
なお、(D)成分を含有しない比較例7の塗膜は紫外線照射後にも硬化せず、以下の評価を行うことができなかった。
上記で得られた評価用サンプルの硬化塗膜の表面外観について、JIS K7105に準拠して、濁度、曇り度計(日本電色工業製)を用いてヘイズ値を測定した。
上記で得られた評価用サンプルの硬化塗膜の表面について、JIS試験方法K6911-1995に準拠して、高抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製「ハイレスタ-UP MCP-HT450」)を用いて、印加電圧500V、測定時間10秒で表面抵抗値を測定した。
上記で得られた評価用サンプルの硬化塗膜をそのハードコート層が上になるようにガラス板上に貼り合わせた。次に、協和界面科学株式会社製の自動接触角計「DROP MASTER 500」を用いて、ハードコート層の表面に精製水4μLを着滴させた後、1秒後の接触角を測定した。本測定における接触角の算出方法は、JIS R3257に記載の試験方法のうち、静滴法にしたがった。
「PETA」:ペンタエリスリトールトリアクリレート
「PETTA」:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
「DPHA」:ジペンタエリスリールヘキサアクリレート
「PGME」:プロピレングリコールモノメチルエーテル
「MEK」:メチルエチルケトン
「EtAc」:酢酸エチル(δH=7.2、沸点77℃)
また、(E2)成分を含有しない比較例4は外観と帯電防止性が共に劣り、(C)成分を含有しない比較例6は水接触角が小さく防汚性に劣ることが確認できた。
Claims (5)
- ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが10.0~12.5である活性エネルギー線硬化性化合物(A)と、
4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)と、
フッ素化合物系レベリング剤(C)と、
重合開始剤(D)と、
有機溶剤(E)とを含有し、
前記4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)は、4級アンモニウム塩を有する重合性単量体(b1)、および前記(b1)と共重合可能な脂環構造を有する重合性単量体(b21)との共重合体であって、
前記フッ素化合物系レベリング剤(C)は、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)100質量部に対して、配合量が0.03~5質量部であって、
前記有機溶剤(E)は、水酸基を有する有機溶剤(E1)と、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項δHが9.0以下であり、且つ、前記有機溶剤(E1)よりも低い沸点を有する有機溶剤(E2)と、
を含み、
前記有機溶剤(E)100質量部中、前記有機溶剤(E1)の配合量が5~50質量部であり、前記有機溶剤(E2)の配合量が50~95質量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。 - 前記樹脂(B)が、脂環構造を有する重合性単量体(b21)を原料として5~55質量%用いた重合体である、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記樹脂(B)の配合量が、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)100質量部に対して、0.1~30質量部の範囲である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
- 請求項1~3のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有するフィルム。
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