JP7535404B2 - 光学素子用透明成形体 - Google Patents
光学素子用透明成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7535404B2 JP7535404B2 JP2020123832A JP2020123832A JP7535404B2 JP 7535404 B2 JP7535404 B2 JP 7535404B2 JP 2020123832 A JP2020123832 A JP 2020123832A JP 2020123832 A JP2020123832 A JP 2020123832A JP 7535404 B2 JP7535404 B2 JP 7535404B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- polymerization
- methacrylic resin
- monomer
- resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Investigating Materials By The Use Of Optical Means Adapted For Particular Applications (AREA)
- Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
- Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
異物の中でも特に、光を拡散反射することによって輝点となる輝点異物が、光学用途においては重要視されることがある。例えば、前述の熱履歴による樹脂ヤケ由来と考えられる多くが黒色や茶色の異物は、光を吸収するため輝点とはなりにくいが、外部の環境由来と考えられる主に無機系の組成で構成される異物は、光を反射しやすいため輝点となりやすいと考えられる。
例えば、特許文献1には、溶融させたアクリル系樹脂をポリマーフィルターで濾過することで、液中パーティクルカウンターで測定した直径が2マイクロメートル以上の異物が500個/g未満であるアクリル系樹脂パッケージ体が開示されている。
また、特許文献2には、耐熱性アクリル樹脂に対して濾過精度が10マイクロメートル以下のポリマーフィルターによって濾過を行うことで、パーティクルカウンターを用いて測定される1グラムあたりに含まれる粒子径20マイクロメートル以上の異物が100個以下であるアクリル系樹脂組成物のペレットが開示されている。
[1]
光を入射させると拡散反射により輝点となる10マイクロメートル以上の輝点異物の含有量が、単位体積当たり1個/cm3以下である、光学素子用透明成形体の製造方法であり、
クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間であり、かつ、前記空間全体を除電するためのバータイプのイオナイザーを設置した環境にて、樹脂ペレットを製造して包装する、樹脂ペレットの製造工程と、
前記樹脂ペレットの製造工程で得られた包装された樹脂ペレットを、包装表面に付着した異物を除電機能付きエアーガンによって取り除いた後に、クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間であり、かつ、前記空間全体を除電するためのバータイプのイオナイザー及び射出成形機を設置した環境に移動し、前記射出成形機を使用して、前記樹脂ペレットを用いて光学素子用透明成形体を射出成形する、光学素子用透明成形体の成形工程とを含む
ことを特徴とする、光学素子用透明成形体の製造方法。
本開示で、「輝点」とは、光を拡散反射することにより周囲よりも輝度が高くなっている点であり、例えば、透明成形体の任意の面に光を入射させたときに、観察者には照明光が届かない状態(暗視野)において明部として検出することができる。より詳細には、「輝点」は、暗視野観察における輝度が、人が輪郭を確認できる範囲とされる3mcd/m2以上である部分とする。
また、本開示で、「輝点異物」とは、透明成形体に光を入射させると拡散反射により輝点となる異物である。
本実施形態の光学素子用透明成形体は、10マイクロメートル以上の輝点異物の含有量が、単位体積当たり1個/cm3以下であり、好ましくは0.9個/cm3以下、より好ましくは0.8個/cm3以下である。10マイクロメートル以上の輝点異物の含有量が上記範囲であると、光学素子用透明成形体の視認性が良好となる。
輝点異物の含有量を上記範囲に制御する方法としては、樹脂の重合過程においてポリマーフィルター等で濾過精製すること、樹脂の製造過程から光学素子用透明成形体の成形過程の各工程において、クリーンブースなどの設置によりクリーン環境を構築することや、空間全体に対してイオナイザーなどを用いて除電することにより主に外部環境由来の輝点異物を低減させること等が挙げられる。特に、除電を行うエリアについて、各装置など局所的な場所だけではなく空間全体を除電することが、輝点異物の低減に効果的である。
なお、輝点異物のサイズは、暗視野においてデジタルマイクロスコープを用いて測定した輝点のサイズ(最大径)として表される値である。
なお、本開示で、「透明成形体の内部」及び「透明成形体の表面部分」は、表面から該表面に垂直な方向に特定の距離までの部分が「透明成形体の表面部分」、それ以外の部分が「透明成形体の内部」であり、所望する透明成形体の検査範囲に応じて定めてよい。例えば、表面から該表面に垂直な方向に2ミリメートル未満までの部分を透明成形体の表面部分、それ以外の部分(表面から該表面に垂直な方向に2ミリメートル以上離れた部分)を「透明成形体の内部」とすること等が挙げられる。
一方、撮像される画像の解像度は、レンズ倍率が高いほど撮被写界深度像側センサの画素あたりの投影面積が小さくなり、解像度は高くなる。つまり、観察したい透明成形体に対して、適切にデジタルマイクロスコープのレンズ倍率を選び、解像度と焦点深度(被写界深度)の範囲からデジタルマイクロスコープの深度合成する高さ範囲を調整することで、表面部分を除いた透明成形体内部のみの深度合成画像を得ることができる。
透明成形体の任意の面に光を入射させるための外部照明としては、LEDなどの拡散性のある光源や、レーザーなどの直進性の高い光源、光ファイバーやレンズ等で集光させた平行光源などが挙げられる。
透明成形体の表面に起因するノイズ光を除去する手段としては、透明成形体の任意の面に光を入射させる光源と透明成形体との間に、光学スリットを設けることが好ましい。この光学スリットのスリット幅を、透明成形体の光を入射させる面の幅よりも狭いものとすることによって、透明成形体の表面に存在する異物や傷等に外部照明が当たらなくなることから、前述のノイズ光が低減され、透明成形体内部の輝点異物を明確に検出することができるようになる。
また、スリットを設ける代わりに、照射する外部照明を平行性の高い照明とし、透明成形体の表面には光を照射せずに透明成形体内部のみに光を照射することで、ノイズ光を除去しても構わない。しかし、厳密な平行光を用意するのは容易ではなく、透明成形体の厚みや大きさなどが変化した場合には、その都度適した光源を準備する必要があるが、光学スリットであれば、透明成形体の大きさに合わせたスリット幅の光学スリットを数種類作製しておけばよく、容易に対応することが可能である。
本実施形態の光学素子用透明成形体は、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物を含むことが好ましい。
主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、任意選択的に添加剤を含んでいてもよく、また、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、ゴム質重合体等を含んでいてもよいし、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂のみであってもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂は、メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位(A)を含み、主鎖に環構造を有する構造単位(B)を含むメタクリル系樹脂である。主鎖に環構造を有する構造単位(B)は、N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)、グルタルイミド系構造単位(B-2)、及びラクトン環構造単位(B-3)等から選択される。また、任意選択的に、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)も含む。
樹脂組成物100質量%中の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
まず、メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位(A)について説明する。
メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位(A)は、例えば、以下に示すメタクリル酸エステル類から選ばれる単量体から形成される。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ジシクロオクチル、メタクリル酸トリシクロドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸1-フェニルエチル、メタクリル酸2-フェノキシエチル、メタクリル酸3-フェニルプロピル、メタクリル酸2,4,6-トリブロモフェニル等が挙げられる。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用する場合もある。
上記メタクリル酸エステルのうち、得られる主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の透明性や耐候性が優れる点で、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸ベンジルが好ましい。
メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位(A)は、一種のみ含有していても、二種以上含有していてもよい。
なお、メタクリル酸エステル単量体由来の構造単位(A)の含有量は、1H-NMR測定及び13C-NMR測定により求めることができる。1H-NMR測定及び13C-NMR測定は、例えば、測定溶媒としてCDCl3又はDMSO-d6を用い、測定温度40℃で行うことができる。
--N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)--
次に、N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)について説明する。
N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)は、下記式(1)で表される単量体及び/又は下記式(2)で表される単量体から選ばれた少なくとも一つとしてよく、好ましくは、下記式(1)及び下記式(2)で表される単量体の両方から形成される。
また、R2がアリール基の場合には、R2は、置換基としてハロゲンを含んでいてもよい。
また、R1は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、ベンジル基等の置換基で置換されていてもよい。
式(1)で表される単量体としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ブロモフェニル)マレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(2-エチルフェニル)マレイミド、N-(2-メトキシフェニル)マレイミド、N-(2-ニトロフェニル)マレイミド、N-(2、4、6-トリメチルフェニル)マレイミド、N-(4-ベンジルフェニル)マレイミド、N-(2、4、6-トリブロモフェニル)マレイミド、N-ナフチルマレイミド、N-アントラセニルマレイミド、3-メチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、3,4-ジメチル-1-フェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1,3-ジフェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン、1,3,4-トリフェニル-1H-ピロール-2,5-ジオン等が挙げられる。
これらの単量体のうち、得られる主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の耐熱性、及び複屈折等の光学的特性が優れる点から、N-フェニルマレイミド及びN-ベンジルマレイミドが好ましい。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。
これらの単量体のうち、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の耐候性が優れる点から、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドが好ましく、近年光学材料に求められている低吸湿性に優れることから、N-シクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。
これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いることもできる。
式(1)で表される単量体由来の構造単位の含有量(B1)の、式(2)で表される単量体由来の構造単位の含有量(B2)に対するモル割合(B1/B2)は、好ましくは0超15以下、より好ましくは0超10以下である。
モル割合B1/B2がこの範囲にあるとき、本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む成形体は透明性を維持し、黄変を伴わず、また耐環境性を損なうことなく、良好な耐熱性と良好な光弾性特性を発現する。
この範囲内にあるとき、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む成形体はより十分な耐熱性改良効果が得られ、また、耐候性、低吸水性、光学特性についてより好ましい改良効果が得られる。なお、N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)の含有量を40質量%以下とすることが、重合反応時に単量体成分の反応性が低下し未反応で残存する単量体量が多くなることによる主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む成形体の物性低下を防ぐのに有効である。
主鎖にグルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂は、例えば、特開2006-249202号公報、特開2007-009182号公報、特開2007-009191号公報、特開2011-186482号公報、再公表特許2012/114718号公報等に記載されている、グルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂であり、当該公報に記載されている方法により形成することができる。
具体的には、グルタルイミド系構造単位(B-2)は、下記一般式(3)で表されるものとしてよい。
グルタルイミド系構造単位(B-2)は、単一の種類のみを含んでいてもよいし、複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂において、グルタルイミド系構造単位(B-2)の含有量については、本実施形態の組成物として好ましいガラス転移温度の範囲を満たすものであれば特に制限はないが、メタクリル系樹脂を100質量%として、好ましくは5~70質量%の範囲、より好ましくは5~60質量%の範囲である。
グルタルイミド系構造単位(B-2)の含有量が上記範囲にあると、成形加工性、耐熱性、及び光学特性の良好な樹脂が得られることから好ましい。
グルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂は、必要に応じて、芳香族ビニル単量体単位をさらに含んでいてもよい。
芳香族ビニル単量体としては特に限定されないが、スチレン、α-メチルスチレンが挙げられ、スチレンが好ましい。
グルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂における芳香族ビニル単位の含有量としては、特に限定されないが、グルタルイミド系構造単位(B-2)を有するメタクリル系樹脂を100質量%として、0~20質量%が好ましい。
芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲にあると、耐熱性と優れた光弾性特性との両立が可能となり好ましい。
主鎖にラクトン環構造単位(B-3)を有するメタクリル系樹脂は、例えば、特開2001-151814号公報、特開2004-168882号公報、特開2005-146084号公報、特開2006-96960号公報、特開2006-171464号公報、特開2007-63541号公報、特開2007-297620号公報、特開2010-180305号公報等に記載されている方法により形成することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂を構成するラクトン環構造単位(B-3)は、樹脂重合後に形成されてよい。
本実施形態におけるラクトン環構造単位(B-3)としては、環構造の安定性に優れることから6員環であることが好ましい。
6員環であるラクトン環構造単位(B-3)としては、例えば、下記一般式(4)に示される構造が特に好ましい。
有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基等);エテニル基、プロペニル基等の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基等);フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基(アリール基等);これら飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基、エステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;等が挙げられる。
ラクトン環構造は、例えば、ヒドロキシ基を有するアクリル酸系単量体と、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル単量体とを共重合して、分子鎖にヒドロキシ基とエステル基又はカルボキシル基とを導入した後、これらヒドロキシ基とエステル基又はカルボキシル基との間で、脱アルコール(エステル化)又は脱水縮合(以下、「環化縮合反応」ともいう)を生じさせることにより形成することができる。
重合に用いるヒドロキシ基を有するアクリル酸系単量体としては、例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2-(ヒドロキシエチル)アクリル酸、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキル(例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸n-ブチル、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸t-ブチル)、2-(ヒドロキシエチル)アクリル酸アルキル等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシアリル部位を有する単量体である2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸や2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルであり、特に好ましくは2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルである。
ラクトン環構造単位(B-3)の含有量がこの範囲にあると、成形加工性を維持しつつ、耐溶剤性向上や表面硬度向上等の環構造導入効果が発現できる。
なお、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂におけるラクトン環構造単位(B-3)の含有量は、前述の特許文献記載の方法を用いて決定できる。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を構成し得る、メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)(以下、(C)単量体単位と記載する場合がある。)としては、芳香族ビニル系単量体単位(C-1)、アクリル酸エステル単量体単位(C-2)、シアン化ビニル系単量体単位(C-3)、これら以外の単量体単位(C-4)が挙げられる。
メタクリル酸エステル単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体単位(C-1)をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(5)で表される芳香族ビニル系単量体が好ましい。
R14は、水素原子、炭素数が1~12のアルキル基、炭素数が1~12のアルコキシ基、炭素数が6~8のアリール基、炭素数が6~8のアリーロキシ基からなる群より選択されるいずれかであり、R14は、全て同じ基であっても、異なる基であってもよい。また、R14同士で環構造を形成してもよい。
nは、0~5の整数を表す。
上記の中でも、スチレン、イソプロペニルベンゼンが好ましく、流動性付与や、重合転化率の向上による未反応モノマー類の低減等の観点から、スチレンがより好ましい。
これらは、本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂において、要求される特性に応じて適宜選択してよい。
ここで、良好な色調や耐熱性を保持する観点から、上限値は、5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。また、残存モノマー低減の観点から、下限値は、0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.4以上である。
上述した芳香族ビニル系単量体(C-1)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を構成するアクリル酸エステル単量体単位(C-2)をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(6)で表されるアクリル酸エステル単量体が好ましい。
上記アクリル酸エステル単量体単位(C-2)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を構成するシアン化ビニル系単量体単位(C-3)をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、中でも、入手のしやすさ、耐薬品性付与の観点から、アクリロニトリルが好ましい。
上記シアン化ビニル系単量体単位(C-3)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を構成する(C-1)~(C-3)以外の単量体単位(C-4)をなす単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類、及びこれらの半エステル化物又は無水物;メタリルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類;エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン等のオレフィン類;酢酸ビニル、2-ヒドロキシメチル-1-ブテン、メチルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール等の上述以外のビニル化合物又はビニリデン化合物等が挙げられる。
さらに、反応性二重結合を複数有する架橋性の化合物として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等が挙げられる。
特に、(C)単量体単位として反応性二重結合を複数有する架橋性の多官能(メタ)アクリレートを使用する場合は、(C)単量体単位の含有量は、重合体の流動性の観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%質量以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、120℃超160℃以下であることが好ましい。
主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂のガラス転移温度が120℃を超えていれば、光学素子用透明成形体として必要十分な耐熱性をより容易に得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、使用環境温度下での寸法安定性の観点から、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。
一方、主鎖に環構造を有するメタクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が160℃以下である場合には、極端な高温での溶融加工を避け、樹脂等の熱分解を抑制し、良好な製品を得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、上述の理由から、好ましくは150℃以下である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS-K7121に準拠して測定することにより決定できる。具体的には、後述する実施例に記載する方法を用いて測定することができる。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の光弾性係数Cは、-3.0×10-12~+3.0×10-12Pa-1であることが好ましく、-2.0×10-12~+2.0×10-12Pa-1であることがより好ましく、-1.0×10-12~+1.0×10-12Pa-1であることがさらに好ましい。光弾性係数Cが上記範囲であると、透明性に優れ、複屈折が低く、耐熱性の高い光学樹脂として、光学素子の中でも高度な光学特性が要求される用途に好適に用いることができる。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば、化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下記式(i-a)及び(i-b)により定義されるものである。光弾性係数Cの値がゼロに近いほど、外力による複屈折変化が小さいことがわかる。
C=Δn/σ・・・(e)
Δn=nx-ny・・・(f)
(式中、Cは光弾性係数、σは伸張応力、Δnは複屈折、nxは伸張方向の屈折率、nyは面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率、をそれぞれ示す。)
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の光弾性係数Cの絶対値が3.0×10-12Pa-1以下であれば、射出成形体を部品として製品にはめ込んだ場合に生ずる応力などにより発生する複屈折が十分に小さくなる。
なお、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の光弾性係数Cは、具体的には、後述の実施例記載の方法にて求めることができる。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあると、機械的強度、及び流動性のバランスにも優れる。
また、分子量分布を表すパラメータとしての、Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の間における比に関しては、本実施形態におけるメタクリル系樹脂では、流動性と機械強度とのバランスを考慮すると、Mw/Mnは、1.5~3.0であることが好ましく、1.6~2.5であることがより好ましく、1.6~2.3であることがさらに好ましく;Mz/Mwは、1.3~2.0であることが好ましく、1.3~1.8であることがより好ましく、1.4~1.7であることがさらに好ましい。
なお、メタクリル系樹脂の重量平均分子量、数平均分子量については、後述の実施例記載の方法にて測定することができる。
なお、メタクリル系樹脂の分子量分画の方法や、分画した各成分中の環構造を有する構造単位の存在比については、後述の実施例記載の方法にて測定することができる。
以下、本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の製造方法について記載する。
本実施形態における主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の製造方法では、ラジカル重合による単量体の重合が用いられることが好ましい。
本実施形態における主鎖にN-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、溶液重合法が好ましい。
具体的な重合溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;ジメチルホルムアミド、2-メチルピロリドン等の極性溶媒を用いることができる。
また、重合時における重合生成物の溶解を阻害しない範囲で、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールを重合溶媒として併用してもよい。
これらは、1種単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
ここで、重合転化率とは、重合系内に添加した単量体の総質量から重合終了時に残存している単量体の総質量を差し引いた値の、重合系内に添加した単量体の総質量に対する割合である。
重合転化率が高く、かつN-置換マレイミド残存量が少ないほど、溶媒回収系に回る単量体が少ないため、精製系への負荷が軽減され、また、原単位が上がり経済的であるものの、重合転化率を高くし過ぎたり、N-置換マレイミド残存量を低減し過ぎたりすると、着色性の低分子量成分量が増加し、色調や成形加工性に悪影響を及ぼすおそれがある。
連鎖移動剤としては、一般的なラジカル重合において用いられる任意の連鎖移動剤を使用することができ、例えば、n-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-デシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2-エチルヘキシル等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム等のハロゲン化合物;α-メチルスチレンダイマー、α-テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は、重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤の添加量としては、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01~1質量部としてよく、好ましくは0.05~0.5質量部である。
重合開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、1,1-ジt-ブチルパーオキシシクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;等を挙げることができる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの重合開始剤は、重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよい。
重合開始剤の添加量としては、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01~1質量部としてよく、好ましくは0.05~0.5質量部である。
溶存酸素濃度は、例えば、溶存酸素計 DOメーターB-505(飯島電子工業株式会社製)を用いて測定することができる。溶存酸素濃度を低下する方法としては、重合溶液中に不活性ガスをバブリングする方法、重合前に重合溶液を含む容器中を不活性ガスで0.2MPa程度まで加圧した後に放圧する操作を繰り返す方法、重合溶液を含む容器中に不活性ガスを通ずる方法等の方法を適宜選択することができる。
なお、ある時点におけるある種の単量体の消費率とは、添加される当該単量体全量のうち重合反応に消費されたものの割合をいい、上記添加される当該単量体全量には、ある時点において既に添加したものも未だ添加していないものも含む。
ここで、脱揮工程とは、重合溶媒、残存単量体、反応副生成物等の揮発分を、加熱・減圧条件下で、除去する工程をいう。
これらの中からいずれか2つ以上の装置を組み合わせた脱揮装置を用いた脱揮工程等も利用することができる。
処理時間は、残存揮発分の量により適宜選択されるが、得られるアクリル系樹脂の着色や分解を抑えるためには短いほど好ましい。
造粒工程では、溶融状態の樹脂を多孔ダイよりストランド状に押出し、コールドカット方式、空中ホットカット方式、又はアンダーウォーターカット方式にて、ペレット状に加工してもよい。
イミド化剤としては、具体的には、アンモニア又は一級アミンを用いることができる。上記一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、i-プロピルアミン、n-ブチルアミン、i-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有一級アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式炭化水素基含有一級アミン;等が挙げられる。
上記イミド化剤のうち、コスト、物性の面から、アンモニア、メチルアミン、シクロヘキシルアミンを用いることが好ましく、メチルアミンを用いることが特に好ましい。
上記押出機としては、特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等を用いることができる。
中でも、二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機によれば、原料ポリマーとイミド化剤との混合を促進することができる。
二軸押出機としては、例えば、非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式等が挙げられる。
また、使用する押出機には、大気圧以下に減圧可能なベン卜口を装着することが、反応のイミド化剤、メタノール等の副生物、又は、モノマー類を除去することができるため、特に好ましい。
エステル化工程は、上記イミド化工程と同様に、例えば、押出機又はバッチ式反応槽を用いることで進行させることができる。
また、過剰なエステル化剤、メタノール等の副生物、又はモノマー類を除去する目的で、使用する装置には、大気圧以下に減圧可能なベン卜口を装着することが好ましい。
また、樹脂の異物数を低減するために、メタクリル系樹脂を、トルエン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、得られたメタクリル系樹脂溶液を濾過し、その後、有機溶媒を脱揮する方法を用いることも好ましい。
本実施形態における主鎖にラクトン環構造単位(B-3)を有するメタクリル系樹脂の製造方法としては、環化反応を促進させる上で、溶媒を使用する溶液重合が好ましい。ここで、ラクトン環構造単位(B-3)は、重合後に環化反応により形成させる方法が用いられてよい。
これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合時の溶媒量としては、重合が進行し、ゲル化を抑制できる条件であれば特に制限はないが、例えば、配合する単量体の総量を100質量部とした場合に、50~200質量部とすることが好ましく、より好ましくは100~200質量部である。
重合液のゲル化を充分に抑制し、重合後の環化反応を促進するためには、重合後に得られる反応混合物中における生成した重合体の濃度が50質量%以下になるように重合を行うことが好ましい。
また、重合溶媒を反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合溶媒を反応混合物に適宜添加する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶媒を添加してもよいし、間欠的に重合溶媒を添加してもよい。添加する重合溶媒は、1種のみの単一溶媒であっても2種以上の混合溶媒であってもよい。
連鎖移動剤としては、一般的なラジカル重合において用いる連鎖移動剤が使用でき、例えば、前記N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した連鎖移動剤等が利用できる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は重合反応が進行中であれば、いずれの段階に添加してもよく、特に限定されるものではない。
連鎖移動剤の添加量については、使用する重合条件において所望の重合度が得られる範囲であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01~1質量部としてよく、好ましくは0.05~0.5質量部である。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記N-置換マレイミド単量体由来の構造単位(B-1)を有するメタクリル樹脂の調製方法に開示した重合開始剤等が利用できる。
これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、重合に用いる単量体の総量を100質量部とした場合に、0.01~1質量部としてよく、好ましくは0.05~0.5質量部である。
本実施形態におけるラクトン環構造単位(B-3)を有するメタクリル系樹脂は、例えば、上記重合反応終了後、環化反応を行うことにより得ることができる。そのため、重合反応液から重合溶媒を除去することなく、溶媒を含んだ状態で、ラクトン環化反応に供することが好ましい。
重合により得られた共重合体は、加熱処理されることにより、共重合体の分子鎖中に存在するヒドロキシル基(水酸基)とエステル基との間での環化縮合反応を起こし、ラクトン環構造を形成する。
ラクトン環構造形成の加熱処理の際、環化縮合によって副生し得るアルコールを除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた反応装置、脱揮装置を備えた押出機等を用いることもできる。
環化縮合触媒の具体的な例としては、例えば、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル等の亜リン酸モノアルキルエステル、ジアルキルエステル又はトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2-エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ-2-エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル等のリン酸モノアルキルエステル、ジアルキルエステル又はトリアルキルエステル;等が挙げられる。
これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
使用量が0.01質量部未満であると、環化縮合反応の反応率が充分に向上しないおそれがある。逆に、触媒の使用量が3質量部を超えると、得られた重合体が着色することや、重合体が架橋して、溶融成形が困難になるおそれがある。
溶媒の存在下に環化縮合反応を行う際に、同時に脱揮を行うことも好ましく用いられる。
環化縮合反応と脱揮工程とを同時に行う場合に用いる装置については、特に限定されるものではないが、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものが好ましく、ベント付き二軸押出機がより好ましい。
用いるベント付き二軸押出機としては、複数のベント口を有するベント付き押出機が好ましい。
ベント付き押出機を用いる場合の真空度としては、好ましくは10~500Torr、より好ましくは10~300Torrである。真空度が500Torrを超えると、揮発分が残存しやすいことがある。逆に、真空度が10Torr未満であると、工業的な実施が困難になることがある。
有機酸のアルカリ土類金属及び/又は両性金属塩としては、例えば、カルシウムアセチルアセテート、ステアリン酸カルシウム、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、2-エチルヘキシル酸亜鉛等を用いることができる。
なお、前述のラクトン環構造単位(B-3)を形成するためのラクトン化は、樹脂の製造後樹脂組成物の製造(後述)前に行ってもよく、樹脂組成物の製造中に、樹脂と樹脂以外の成分との溶融混練と併せて、行ってもよい。
本実施形態に係る主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、種々の添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、特に制限はないが、例えば、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、他の熱可塑性樹脂、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、酸化鉄等の顔料等の無機充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤;亜リン酸エステル類、ホスフォナイト類、リン酸エステル類等の有機リン化合物、その他添加剤、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
本実施形態に係る主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、成形加工時あるいは使用中の劣化や着色を抑制する酸化防止剤を含有することが好ましい。
前記酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。本実施形態のメタクリル系樹脂は、溶融押出や、射出成形、フィルム成形用途等、様々な用途で好適に使用される。加工の際に受ける熱履歴は加工方法により異なるが、押出機のように数十秒程度から、肉厚品の成形加工やシート成形のように数十分~数時間の熱履歴を受けるものまで様々である。
長時間の熱履歴を受ける場合、所望の熱安定性を得るために、熱安定剤量添加量を増やす必要がある。熱安定剤のブリードアウト抑制やフィルム製膜時のフィルムのロールへの貼りつき防止の観点から、複数種の熱安定剤を併用することが好ましく、例えば、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
これらの酸化防止剤は、1種又は2種以上を併用してしてもよい。
特に、ペンタエリスリトールテラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、アクリル酸2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルが好ましい。
これらの市販のフェノール系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果の観点から、イルガノックス1010、アデカスタブAO-60、アデカスタブAO-80、イルガノックス1076、スミライザーGS等が好ましい。
これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
さらに、リン系酸化防止剤として市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、BASF製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、BASF製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、BASF製)、アデカスタブ329K(ADK STAB-229K、ADEKA製)、アデカスタブPEP-36(ADK STAB PEP-36、ADEKA製)、アデカスタブPEP-36A(ADK STAB PEP-36A、ADEKA製)、アデカスタブPEP-8(ADK STAB PEP-8、ADEKA製)、アデカスタブHP-10(ADK STAB HP-10、ADEKA製)、アデカスタブ2112(ADK STAB 2112、ADEKA社製)、アデカスタブ1178(ADKA STAB 1178、ADEKA製)、アデカスタブ1500(ADK STAB 1500、ADEKA製)Sandstab P-EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP:4-[3-[(2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)-6-イルオキシ]プロピル]-2-メチル-6-tert-ブチルフェノール、住友化学製)、HCA(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、三光株式会社製)等が挙げられる。
これらの市販のリン系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点から、イルガフォス168、アデカスタブPEP-36、アデカスタブPEP-36A、アデカスタブHP-10、アデカスタブ1178が好ましく、アデカスタブPEP-36A、アデカスタブPEP-36が特に好ましい。
これらのリン系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの市販の硫黄酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点、取り扱い性の観点から、アデカスタブAO-412S、ケミノックスPLSが好ましい。
これらの硫黄系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤は、特に限定されないが、環構造を3つ以上含む化合物であることが好ましい。ここで、環構造は、芳香族環、脂肪族環、芳香族複素環及び非芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、1つの化合物中に2以上の環構造を有する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
中でも環構造を3つ以上含んでいるビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジオールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールの反応物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジオールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールの反応物が好ましい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、その極大吸収波長を280~380nmに有する紫外線吸収剤であることが好ましく、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、分子量が400以上のベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、例えば、市販品の場合、Kemisorb(登録商標)2792(ケミプロ化成製)、アデカスタブ(登録商標)LA31(株式会社ADEKA製)、チヌビン(登録商標)234(BASF社製)等が挙げられる。
ベンゾトリアジン系化合物としては、市販品を使用してもよく、例えばKemisorb102(ケミプロ化成社製)、LA-F70(株式会社ADEKA製)、LA-46(株式会社ADEKA製)、チヌビン405(BASF社製)、チヌビン460(BASF社製)、チヌビン479(BASF社製)、チヌビン1577FF(BASF社製)等を用いることができる。
その中でも、アクリル系樹脂との相溶性が高く紫外線吸収特性が優れている点から、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン骨格(「アルキルオキシ」は、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等の長鎖アルキルオキシ基を意味する)を有する紫外線吸収剤がさらに好ましく用いることができる。
前記紫外線吸収剤は、23℃から260℃まで20℃/分の速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらにより好ましく、5%以下であることがよりさらに好ましい。
2種類の構造の異なる紫外線吸収剤を併用することにより、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、離型剤を含有することができる。前記離型剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、炭化水素系滑剤、アルコール系滑剤、ポリアルキレングリコール類や、カルボン酸エステル類、炭化水素類のパラフィン系ミネラルオイル等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の炭素数12~32の脂肪酸と、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の1価脂肪族アルコールや、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン等の多価脂肪族アルコールとのエステル化合物;脂肪酸と多塩基性有機酸と1価脂肪族アルコール又は多価脂肪族アルコールとの複合エステル化合物等を用いることができる。
このような脂肪酸エステル系滑剤としては、例えば、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、クエン酸ステアリル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンジオレエート、グリセリントリオレエート、グリセリンモノリノレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノ12-ヒドロキシステアレート、グリセリンジ12-ヒドロキシステアレート、グリセリントリ12-ヒドロキシステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル、モンタン酸部分ケン化エステル、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ソルビタントリステアレート等を挙げることができる。
これらの脂肪酸エステル系滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販品としては、例えば、理研ビタミン社製リケマールシリーズ、ポエムシリーズ、リケスターシリーズ、リケマスターシリーズ、花王社製エキセルシリーズ、レオドールシリーズ、エキセパールシリーズ、ココナードシリーズが挙げられ、より具体的にはリケマールS-100、リケマールH-100、ポエムV-100、リケマールB-100、リケマールHC-100、リケマールS-200、ポエムB-200、リケスターEW-200、リケスターEW-400、エキセルS-95、レオドールMS-50等が挙げられる。
脂肪酸アミド系滑剤としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルオレイン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等の置換アミド;メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド(エチレンビスステアリルアミド)、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド;m-キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド等を挙げることができる。
これらの脂肪酸アミド系離型剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販品としては、例えば、ダイヤミッドシリーズ(日本化成社製)、アマイドシリーズ(日本化成社製)、ニッカアマイドシリーズ(日本化成社製)、メチロールアマイドシリーズ、ビスアマイドシリーズ、スリパックスシリーズ(日本化成社製)、カオーワックスシリーズ(花王社製)、脂肪酸アマイドシリーズ(花王社製)、エチレンビスステアリン酸アミド類(大日化学工業社製)等が挙げられる。
市販品としては、一例をあげると、堺化学工業社製SZシリーズ、SCシリーズ、SMシリーズ、SAシリーズ等が挙げられる。
上記脂肪酸金属塩を使用する場合の含有量は、透明性保持の観点から、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物100質量%に対して0.2質量%以下であることが好ましい。
離型剤の含有量は、離型剤としての効果が得られる量であればよく、含有量が過剰である場合、加工時にブリードアウトの発生やスクリューの滑りによる押出不良等の問題が発生するおそれがあることから、メタクリル系樹脂100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.01~0.8質量部、特に好ましくは0.01~0.5質量部である。上記範囲の量で添加すると、離型剤添加による透明性の低下を抑制されるうえ、射出成形時の離型不良やシート成形時の金属ロールへの貼りつきが抑制される傾向にあるため、好ましい。
本実施形態の主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、メタクリル系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含有することもできる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリブチルアクリレート等のポリアクリレート類;ポリスチレン、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレンーブチルアクリレート共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;さらには、例えば、特開昭59-202213号公報、特開昭63-27516号公報、特開昭51-129449号公報、特開昭52-56150号公報等に記載の、3~4層構造のアクリル系ゴム粒子;特公昭60-17406号公報、特開平8-245854公報に開示されているゴム質重合体;国際公開第2014-002491号に記載の、多段重合で得られるメタクリル系ゴム含有グラフ卜共重合体粒子;等が挙げられる。
この中でも、良好な光学特性と機械的特性とを得る観点からは、スチレン-アクリロニトリル共重合体や、主鎖に環構造を有する構造単位(B)を含むメタクリル系樹脂と相溶し得る組成からなるグラフト部をその表面層に有するゴム含有グラフト共重合体粒子が好ましい。
前述のアクリル系ゴム粒子、メタクリル系ゴム含有グラフ卜共重合体粒子、及びゴム質重合体の平均粒子径としては、本実施形態の組成物より得られる成形体の衝撃強度及び光学特性等を高める観点から、0.03~1μmであることが好ましく、より好ましくは0.05~0.5μmである。
主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。その中でも押出機による混練が、生産性の面で好ましい。混練温度は、メタクリル系樹脂を構成する重合体や、混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140~300℃の範囲、好ましくは180~280℃の範囲である。また、押出機には、揮発分を減じる目的で、ベント口を設けることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、120℃超160℃以下であることが好ましい。
樹脂組成物のガラス転移温度が120℃を超えていれば、光学素子用透明成形体として必要十分な耐熱性をより容易に得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、使用環境温度下での寸法安定性の観点から、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。
一方、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が160℃以下である場合には、極端な高温での溶融加工を避け、樹脂等の熱分解を抑制し、良好な製品を得ることができる。ガラス転移温度(Tg)は、上述の理由から、好ましくは150℃以下である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS-K7121に準拠して測定することにより決定できる。具体的には、後述する実施例に記載する方法を用いて測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の光弾性係数Cは、-3.0×10-12~+3.0×10-12Pa-1であることが好ましく、-2.0×10-12~+2.0×10-12Pa-1であることがより好ましく、-1.0×10-12~+1.0×10-12Pa-1であることがさらに好ましい。光弾性係数Cが上記範囲であると、透明性に優れ、複屈折が低く、耐熱性の高い光学樹脂組成物として、光学素子の中でも高度な光学特性が要求される用途に好適に用いることができる。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば、化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、下記式(i-a)及び(i-b)により定義されるものである。光弾性係数Cの値がゼロに近いほど、外力による複屈折変化が小さいことがわかる。
C=Δn/σ・・・(e)
Δn=nx-ny・・・(f)
(式中、Cは光弾性係数、σは伸張応力、Δnは複屈折、nxは伸張方向の屈折率、nyは面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率、をそれぞれ示す。)
本実施形態の樹脂組成物の光弾性係数Cの絶対値が3.0×10-12Pa-1以下であれば、射出成形体を部品として製品にはめ込んだ場合に生ずる応力などにより発生する複屈折が十分に小さくなる。
樹脂組成物の光弾性係数Cは、具体的には、後述の実施例記載の方法にて求めることができる。
本実施形態の光学素子用透明成形体の製造方法は、押出成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、インフレーション成形、中空成形等の種々の成形方法を用いることができる。その中でも生産性の観点から射出成形及び射出圧縮成形を適用することが好ましい。
通常、射出成形法は、(1)樹脂を溶融させ、温度制御された金型のキャビティに溶融樹脂を充填する射出工程、(2)ゲートシールするまでキャビティ内に圧力をかけ、射出工程で充填された溶融樹脂が金型に接し冷却されて収縮した量に相当する樹脂を注入する保圧工程、(3)保圧を開放後、樹脂が冷却されるまで成形体を保持する冷却工程、(4)金型を開いて冷却された成形体を取り出す工程からなる。
また、金型温度としては、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂を含む樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を基準として、Tg-70℃~Tgの範囲、好ましくはTg-50℃~Tg-20℃の範囲であることが好ましい。
また、保圧のための圧力としては、得ようとする射出成形体の形状により、適宜選択することができるが、例えば30~120MPaの範囲で適宜選択できる。薄肉の成形体で固化速度が早い場合には、保圧をかけない場合もある。
ここで保圧のための圧力とは、溶融樹脂を充填した後に、ゲートから更に溶融樹脂を送り出すためのスクリューによって保持される圧力である。
より薄肉、例えば、厚さが1mm未満で対角寸法が100mmを超えるような射出成形体を得ようとする場合には、射出圧縮成形を採用することより光学特性や色調に優れた成形体が得られるので特に好ましい。
本実施形態の光学素子用透明成形体によれば、拡散反射により輝点となる輝点異物が高度に低減されるだけでなく、透明性および耐熱性に優れ、複屈折が高度に制御されたメタクリル系樹脂組成物を含む成形体を得ることができ、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用部品、照明機器、自動車等における光学部材等の用途に好適に用いることができる。
家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用部品、照明機器等における光学部材としては、例えば、スマートフォン、PDA、タブレットPC、液晶テレビ等のディスプレイに用いられる導光板、ディスプレイ前面板、タッチパネル、さらにはスマートフォン、タブレットPCカメラ用レンズ等や、ヘッドマウントディスプレーや液晶プロジェクター等の光学レンズ部品、例えば、プリズム素子、導波路、レンズ、とりわけ、小型薄肉偏肉形状の光学レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、レンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズアレイを備えた位相板、光学カバー部品等が挙げられる。
自動車等における光学部材としては、車載ディスプレイ用導光板;車載メーターパネル、;カーナビゲーションの前面板、コンバイナ、光学カバー部品等ヘッドアップディスプレイ向け光学部品;車載用カメラレンズ、導光棒等が挙げられる。
また、上記の他、カメラ焦点板や屋外、店頭、公共機関、交通機関等の場所で宣伝、広告等の目的でネットワークに接続した薄型ディスプレイに情報を流すデジタルサイネージ用表示装置用部品等にも好ましく用いることができる。
実施例及び比較例における重合液の一部を採取し、この重合液試料中に残存する単量体量を、試料をクロロホルムに溶解させて、5質量%溶液を調製し、内部標準物質としてn-デカンを添加し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC-2010)を用いて、試料中に残存する単量体濃度を測定し、重合溶液中に残存する単量体の総質量(a)を求めた。そして、この総質量(a)と、試料を採取した時点までに添加した単量体が重合溶液中に全量残存したと仮定した場合の総質量(b)と、重合工程終了までに添加する単量体の総質量(c)から、計算式(b-a)/c×100により、重合転化率(%)を算出した。
1H-NMR測定及び13C-NMR測定により、製造した主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の構造単位を同定し、その存在量を算出した。1H-NMR測定及び13C-NMR測定の測定条件は、以下のとおりである。
・測定機器:ブルーカー社製 DPX-400
・測定溶媒:CDCl3又はDMSO-d6
・測定温度:40℃
後述の実施例及び比較例で製造した主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)は、下記の装置、及び条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC-8320GPC)
・測定条件:
カラム:TSKguardcolumn SuperH-H 1本、TSKgel SuperHM-M 2本、 TSKgel SuperH2500 1本、を順に直列接続して使用した。カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.6mL/分、内部標準として、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検出器:RI(示差屈折)検出器、検出感度:3.0mV/分
サンプル:0.02gのメタクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン20mL溶液。注入量:10μL
検量線用標準サンプル:単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる、以下の10種のポリメタクリル酸メチル(PolymerLaboratories製;PMMACalibration Kit M-M-10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
上記、検量線用標準サンプルの測定により得られた検量線を基に、メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)を求めた。
JIS-K7121に準拠して、主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)(℃)を測定した。
まず、標準状態(23℃、65%RH)で状態調節(23℃で1週間放置)した試料から、試験片として4点(4箇所)、それぞれ約10mgを切り出した。
次に、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を窒素ガス流量25mL/分の条件下で用いて、ここで、10℃/分で室温(23℃)から200℃まで昇温(1次昇温)し、200℃で5分間保持して、試料を完全に融解させた後、10℃/分で200℃から40℃まで降温し、40℃で5分間保持し、さらに、上記昇温条件で再び昇温(2次昇温)する間に描かれるDSC曲線のうち、2次昇温時の階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をガラス転移温度(Tg)(℃)として測定した。1試料当たり4点の測定を行い、4点の算術平均(小数点以下四捨五入)を測定値とした。
実施例及び比較例にて得られた主鎖に環構造を有するメタクリル系樹脂について、下記の装置及び条件で分子量分画を行った。
・分取装置:日本分析工業社製LC-908
・分取条件:
カラム:SHODEX K-2004
溶離液:クロロホルム、流速:3mL/分
検出器:UV検出器(254nm)
サンプル:3質量%クロロホルム溶液
分取方法:サンプル3mLを注入し、溶出時間18~43分を1分間隔で分取した。
分取操作を3回繰り返し、得られたフラクションの中から選択したサンプルを前述<2.構造単位の解析>に準じて構造単位の組成比を求め、また、<3.分子量及び分子量分布の測定>に準じて分子量分布を測定し、ピークの頂点の位置からピークトップ分子量(Mp)を求めた。
実施例及び比較例で得られた短冊状成形片4本について、デジタルマイクロスコープとしてキーエンス社製VHX-7000を使用し、暗視野にて輝点異物の検査を行った。レンズ倍率は80倍とし、前述の短冊状成形片の幅方向がデジタルマイクロスコープのステージに対して垂直方向となり、且つ、短冊状成形片の長さ方向がデジタルマイクロスコープの左右方向となるようにして、短冊状成形片をデジタルマイクロスコープに設置した。次に、短冊状成形片の対向する2つの20mm×3mmの側面それぞれに外部照明から光を入射させ、輝点を生じさせた。短冊状成形片の高さ(幅)20mmのうち、上下面からそれぞれ2mmの範囲を短冊状成形片の表面部分として除いた16mmの範囲を短冊状成形片の内部とし、撮像して深度合成を行った。さらに、短冊状成形片の中心から長さ方向にそれぞれ25mmまでの合計50mmの範囲について、得られた深度合成画像を連結した。
なお、輝点を生じさせるための外部照明としては、青色LED照明(シーシーエス社製ラインLED照明「LDL2-158X16BL2」、ピーク発光波長467nm)を2つ使用した。短冊状成形片の対向する2つの20mm×3mmの側面それぞれに光が入射するように、20mm×3mmの側面と青色LED照明の発光面とを対向させて、青色LED照明、短冊状成形片、青色LED照明の順に、それぞれ約1mmの間隔をあけて一列に配置した。
さらに、4本の各短冊状成形片について、連結した深度合成画像のうち、厚さ2.5mm×幅16mm×長さ50mmのエリアに存在する10マイクロメートル以上の輝点異物をカウントし、1cm3体積当たりの個数として算出した。
実施例及び比較例にて得られたメタクリル系樹脂を、まず真空圧縮成形機を用いてプレスフィルムとすることで、未延伸試料を作製した。
具体的な試料調製条件としては、メタクリル系樹脂を150μm厚のポリイミド製枠内に入れ、2枚のポリイミドフィルムと2枚の鉄板で挟んだ状態で、真空圧縮成形機(神藤金属工業所製、SFV-30型)にセットし、260℃、減圧下(約10kPa)、10分間予熱した後、260℃、約10MPaで5分間圧縮し、減圧及びプレス圧を解除した後、冷却用圧縮成形機に移して冷却固化させた。得られたプレスフィルムを、23℃、湿度50%に調整した恒温恒湿室内で24時間以上養生を行った上で、未延伸試料とした。
この未延伸試料から幅6mmに切り出したフィルム状の試験片を用い、Polymer Engineering and Science 1999, 39,2349-2357に詳細な記載のある複屈折測定装置を用いて、光弾性係数C(Pa-1)を測定した。
フィルム状の試験片を、同様に恒温恒湿室に設置したフィルムの引張り装置(井元製作所製)にチャック間50mmになるように配置した。次いで、複屈折測定装置(大塚電子製、RETS-100)の光経路がフィルムの中心部に位置するように装置を配置し、チャック間:50mm、チャック移動速度:0.1mm/分で伸張応力をかけながら、波長550nmで試験片の複屈折を測定した。
測定より得られた複屈折(Δn)と伸張応力(σ)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め、光弾性係数(C)(Pa-1)を計算した。計算には、伸張応力が2.5MPa≦σ≦10MPaの間のデータを用いた。
C=Δn/σ
ここで、複屈折(Δn)は、以下に示す値である。
Δn=nx-ny
(nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
実施例及び比較例で得られた短冊成形片に対して、成形体側面(20mm×3mm面)より白色LED照明を当てた状態で目視による視認性について評価を行った。評価結果は、視認性良好(〇)又は視認性不良(×)として判断した。
後述する製造実施例において使用した原料について下記に示す。
・メチルメタクリレート:旭化成株式会社製
・N-フェニルマレイミド(phMI):株式会社日本触媒製
・N-シクロヘキシルマレイミド(chMI):株式会社日本触媒製
・1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン:日油株式会社製「パーヘキサC」
・n-オクチルメルカプタン:花王株式会社製
メチルメタクリレート(以下MMAと記す)358.6kg、N-フェニルマレイミド(以下phMIと記す)29.4kg、N-シクロヘキシルマレイミド(以下chMIと記す)67.7kg、連鎖移動剤であるn-オクチルメルカプタンを0.77kg、メタキシレン(以下mXyと記す)224.3kgを計量し、ジャケットによる温度調節装置と撹拌翼を具備した1.25m3反応器に加え撹拌し、混合単量体溶液を得た。
次いで、MMA88.0kg、phMI6.3kg、mXy142.4kgを計量して、タンク1に加え撹拌し、追添用混合単量体溶液を得た。
反応器の内容液については30L/分の速度で窒素によるバブリングを1時間実施し、タンク1については10L/分の速度で窒素によるバブリングを30分間実施し、溶存酸素を除去した。
その後ジャケット内にスチームを吹き込んで反応器内の溶液温度を115℃に上昇させ、50rpmで撹拌しながら、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.487kgをmXy1.888kgに溶解させた重合開始剤溶液を、1.0kg/時間の速度で添加することで重合を開始した。
なお、重合中は反応器内の溶液温度をジャケットによる温度調節で115±2℃で制御した。重合開始から30分後、開始剤溶液の添加速度を0.5kg/時間に低下させた。また重合開始1時間後から4時間かけて、タンク1から追添用混合単量体溶液を等速で全量添加した。
さらに開始剤溶液は重合開始3.5時間後に0.25kg/時間に添加速度を低下させ、重合開始5時間後に添加を停止した。
重合開始から12時間経過した後、主鎖に環構造を有する構造単位を有するメタクリル系樹脂を含む重合体溶液を得た。
重合開始2時間後、12時間後にそれぞれ重合体溶液のサンプリングを行い、残存している単量体濃度から重合転化率の解析を行ったところ、2時間後の重合転化率は、MMA78.9%、phMI77.3%、chMI70.4%であり、12時間後はMMA97.9%、phMI99.4%、chMI99.3%であった。重合開始2時間後以降に添加する単量体を加味し、2時間後の重合転化率を重合終了時までに添加した各単量体の総量に対する消費率として換算すると、MMA67.2%、phMI67.1%、chMI70.4%であった。
この重合体溶液を予め250℃に加熱された管状熱交換器と気化槽からなる濃縮装置に供給して脱揮を行った。気化槽の真空度は10~15Torrの条件とした。気化槽を流下した樹脂をギアポンプで払い出し、ストランドダイから押出し、水冷後ペレット化し、メタクリル系樹脂を得た。製造設備のある環境は、クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間とし、空間全体を除電するためにバータイプのイオナイザーを設置した。
得られたペレット状の重合物の組成を確認したところ、MMA、phMI、chMI各単量体由来の構造単位は、それぞれ、81.0質量%、6.6質量%、12.4質量%であった。
また、重量平均分子量は108,000、Mw/Mnは2.04であった。
ガラス転移温度は134℃であった。
また、構造単位の組成分布の測定結果はMp:253,000(MMA:81.4質量%、phMI:6.5質量%、chMI:12.1質量%)、Mp:176,000(MMA:81.1質量%、phMI:6.6質量%、chMI:12.3質量%)、Mp:111,000(MMA:80.9質量%、phMI:6.7質量%、chMI:12.4質量%)、Mp:88,000(MMA:80.8質量%、phMI:6.7質量%、chMI:12.5質量%)、Mp:48,000(MMA:80.4質量%、phMI:6.8質量%、chMI:12.8質量%)であった。
得られたメタクリル系樹脂を用いてプレスフィルムを作製し、光弾性係数の評価を行ったところ、光弾性係数は-0.3×10-12Pa-1であった。
次に、得られたメタクリル系樹脂を用いて、射出成形機(東芝機械株式会社製EC-100SX)及びサイドゲートを有する厚さ3mm×幅20mm×長さ220mmの短冊成形型により、シリンダー温度280℃、金型温度70℃にて射出成形することで、輝点異物測定用の短冊成形片を得た。
射出成形機のある環境は、クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間とした。特に空間全体を除電するためにバータイプのイオナイザーを設置し、ペレット包装後に外部環境に晒されることで包装表面に付着した異物については、除電機能付きエアーガンなどで付着異物を取り除いた後に成形を行う環境に移動させた。
短冊成形体4本について前述の輝点異物測定を行ったところ、10μm以上の輝点異物が合計7個測定された。つまり、1cm3体積当たりの輝点異物個数として算出したところ、0.875個/cm3であった。
また、視認性の評価を行ったところ、視認性良好(〇)であった。
重合体溶液を孔径10μmのポリマーフィルターで濾過精製する以外は実施例1と同様にメタクリル系樹脂を作製した。
同じく短冊成形体4本について輝点異物測定を行ったところ、10μm以上の輝点異物が合計6個測定され、1cm3体積当たりの輝点異物個数として算出したところ、0.75個/cm3であった。
また、視認性の評価を行ったところ、視認性良好(〇)であった。
なお、重合転化率、構造単位、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度、構造単位の組成分布、及び光弾性係数は、実施例1と同じ結果であった。
クリーンブースなどを設置しない一般環境において実施例1に記載の重合処方と同じ原料からメタクリル系樹脂を作製した。得られたメタクリル系樹脂を用いた射出成形では、実施例1に記載のクリーン環境と同等の清浄度に管理された空間で成形を行った。
得られた短冊成形体4本について輝点異物測定を行ったところ、10μm以上の輝点異物が合計76個測定され、1cm3体積当たりの輝点異物個数として算出したところ、9.5個/cm3であった。
また、視認性の評価を行ったところ、視認性不良(×)であった。
なお、重合転化率、構造単位、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度、構造単位の組成分布、及び光弾性係数は、実施例1と同じ結果であった。
比較例1で得られたメタクリル系樹脂を用いて、クリーンブースなどを設置しない一般環境において射出成形によって短冊成形片を得た。
得られた短冊成形体4本について輝点異物測定を行ったところ、10μm以上の輝点異物が合計192個測定され、1cm3体積当たりの輝点異物個数として算出したところ、24個/cm3であった。
また、視認性の評価を行ったところ、視認性不良(×)であった。
なお、重合転化率、構造単位、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度、構造単位の組成分布、及び光弾性係数は、実施例1と同じ結果であった。
自動車等における光学部材としては、車載ディスプレイ用導光板;車載メーターパネル、;カーナビゲーションの前面板、コンバイナ、光学カバー部品等ヘッドアップディスプレイ向け光学部品;車載用カメラレンズ、導光棒等が挙げられる。
また、上記の他、カメラ焦点板や屋外、店頭、公共機関、交通機関等の場所で宣伝、広告等の目的でネットワークに接続した薄型ディスプレイに情報を流すデジタルサイネージ用表示装置用部品等にも好ましく用いることができる。
Claims (1)
- 光を入射させると拡散反射により輝点となる10マイクロメートル以上の輝点異物の含有量が、単位体積当たり1個/cm3以下である、光学素子用透明成形体の製造方法であり、
クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間であり、かつ、前記空間全体を除電するためのバータイプのイオナイザーを設置した環境にて、樹脂ペレットを製造して包装する、樹脂ペレットの製造工程と、
前記樹脂ペレットの製造工程で得られた包装された樹脂ペレットを、包装表面に付着した異物を除電機能付きエアーガンによって取り除いた後に、クラス6(ISO14644-1)の清浄度に管理された空間であり、かつ、前記空間全体を除電するためのバータイプのイオナイザー及び射出成形機を設置した環境に移動し、前記射出成形機を使用して、前記樹脂ペレットを用いて光学素子用透明成形体を射出成形する、光学素子用透明成形体の成形工程とを含む
ことを特徴とする、光学素子用透明成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2020123832A JP7535404B2 (ja) | 2020-07-20 | 2020-07-20 | 光学素子用透明成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2020123832A JP7535404B2 (ja) | 2020-07-20 | 2020-07-20 | 光学素子用透明成形体 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2022020372A JP2022020372A (ja) | 2022-02-01 |
| JP7535404B2 true JP7535404B2 (ja) | 2024-08-16 |
Family
ID=80216254
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2020123832A Active JP7535404B2 (ja) | 2020-07-20 | 2020-07-20 | 光学素子用透明成形体 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7535404B2 (ja) |
Citations (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002127164A (ja) | 2000-10-23 | 2002-05-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | 異物の少ないプラスチック基板の製造方法 |
| JP2004230728A (ja) | 2003-01-30 | 2004-08-19 | Nippon Zeon Co Ltd | 導光板の製造方法 |
| JP2005331728A (ja) | 2004-05-20 | 2005-12-02 | Toray Ind Inc | 光学機能フィルムおよび面光源 |
| WO2006046638A1 (ja) | 2004-10-28 | 2006-05-04 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | 導光板及びその製造方法 |
| JP2008074918A (ja) | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Toray Ind Inc | 光学用アクリル樹脂フィルム |
| JP2009053146A (ja) | 2007-08-29 | 2009-03-12 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明板中の異物検査方法 |
| US20090303481A1 (en) | 2005-12-20 | 2009-12-10 | Nobuhiko Nakai | Optical component, a front/back identifying method for the optical component, and a front/back identifying device for the optical component |
| JP2012025896A (ja) | 2010-07-27 | 2012-02-09 | Konica Minolta Opto Inc | セルロースエステルとその製造方法、及び光学フィルム |
| JP2013019957A (ja) | 2011-07-07 | 2013-01-31 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 偏光透過光学部品及び光学投影装置 |
| JP2014211561A (ja) | 2013-04-19 | 2014-11-13 | コニカミノルタ株式会社 | 光学フィルムの製造方法 |
| JP2018131633A (ja) | 2014-09-11 | 2018-08-23 | 旭化成株式会社 | 熱板非接触融着用メタクリル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11333874A (ja) * | 1998-05-26 | 1999-12-07 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 熱可塑性樹脂の加工方法 |
-
2020
- 2020-07-20 JP JP2020123832A patent/JP7535404B2/ja active Active
Patent Citations (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002127164A (ja) | 2000-10-23 | 2002-05-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | 異物の少ないプラスチック基板の製造方法 |
| JP2004230728A (ja) | 2003-01-30 | 2004-08-19 | Nippon Zeon Co Ltd | 導光板の製造方法 |
| JP2005331728A (ja) | 2004-05-20 | 2005-12-02 | Toray Ind Inc | 光学機能フィルムおよび面光源 |
| WO2006046638A1 (ja) | 2004-10-28 | 2006-05-04 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | 導光板及びその製造方法 |
| US20090303481A1 (en) | 2005-12-20 | 2009-12-10 | Nobuhiko Nakai | Optical component, a front/back identifying method for the optical component, and a front/back identifying device for the optical component |
| JP2008074918A (ja) | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Toray Ind Inc | 光学用アクリル樹脂フィルム |
| JP2009053146A (ja) | 2007-08-29 | 2009-03-12 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明板中の異物検査方法 |
| JP2012025896A (ja) | 2010-07-27 | 2012-02-09 | Konica Minolta Opto Inc | セルロースエステルとその製造方法、及び光学フィルム |
| JP2013019957A (ja) | 2011-07-07 | 2013-01-31 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 偏光透過光学部品及び光学投影装置 |
| JP2014211561A (ja) | 2013-04-19 | 2014-11-13 | コニカミノルタ株式会社 | 光学フィルムの製造方法 |
| JP2018131633A (ja) | 2014-09-11 | 2018-08-23 | 旭化成株式会社 | 熱板非接触融着用メタクリル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2022020372A (ja) | 2022-02-01 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP7502507B2 (ja) | メタクリル系樹脂、成形体、光学部品又は自動車部品 | |
| JP7502508B2 (ja) | メタクリル系樹脂、成形体、光学部品又は自動車部品 | |
| KR102130433B1 (ko) | 메타크릴계 수지 조성물, 및 성형체 | |
| KR102647007B1 (ko) | 메타크릴계 수지, 성형체, 광학 부품 또는 자동차 부품 | |
| JP7177724B2 (ja) | 成形体の製造方法 | |
| JP7535404B2 (ja) | 光学素子用透明成形体 | |
| JP7187343B2 (ja) | メタクリル系樹脂の製造方法 | |
| JP7570850B2 (ja) | 光照射成形体 | |
| JP7570849B2 (ja) | 光照射成形体 | |
| US10800875B2 (en) | Methacrylic resin and production method, molded article, and optical or automotive component of same | |
| JP7025906B2 (ja) | メタクリル系樹脂の製造方法 | |
| TW202017954A (zh) | 甲基丙烯酸系樹脂、甲基丙烯酸系樹脂之製造方法、甲基丙烯酸系樹脂組合物、成形體、光學零件及汽車零件 | |
| JP2023119465A (ja) | 光照射ペレット及び成形体 | |
| JP2025083275A (ja) | N-フェニルマレイミド化合物及びそれを使用して得られる共重合体 | |
| JP7474093B2 (ja) | 偏光ビームスプリッタ用樹脂製プリズム | |
| JP2019099593A (ja) | メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂組成物、成形体、光学部材及び自動車部品 | |
| JP2025026329A (ja) | ペレット、成形体及び成形体の製造方法 | |
| JP2025026328A (ja) | ペレット、成形体及び成形体の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20230328 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20231129 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20231205 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20240125 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20240402 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20240625 |
|
| A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20240703 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20240723 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20240805 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7535404 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |