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JP7541270B2 - 光変調回路およびデジタル信号処理方法 - Google Patents
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光変調回路およびデジタル信号処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ通信に用いる光変調回路および信号処理方法に関する。
スマートフォンの広い普及に代表されるように、インターネットのトラフィックは日々増え続け、光ファイバ通信や無線通信、有線電気通信等では、大容量化・高機能化が求められている。システムの大容量化・高機能化のための要素技術として、効率的なネットワーク構成、高度なデジタル変復調システムや、高速動作可能な光・電子デバイスなどの開発が続いている。例えば通信装置の送信側回路に着目すると、デジタル信号処理に特化したプロセッサであるデジタル信号処理回路(DSP:Digital Signal Processor)を用いた信号処理技術の検討が盛んに行われている。DSPによって、高度な多値変調や波形整形などの処理をデジタル信号レベルで行うことができる。
DSPを利用したデジタル信号処理技術の導入にあたっては、DSPにより生成されるデジタル信号を最終的な高速アナログ信号に変換する、高速動作可能なデジタル-アナログ変換器(DAC:Digital-to-Analog Converter)が不可欠である。しかしながら、現行のCMOSプラットフォームを用いて作製されたDACでは、そのアナログ出力帯域が30~40GHz程度と不十分である。DACの帯域不足は、さらに通信システムの大容量化を実現するにあたってのボトルネックの1つとなっていた。DACの帯域不足を解決する技術として、非特許文献1では、光タイムインターリービング機能を有する光変調回路が提案されている。
図1は、光タイムインターリービング機能を有する光変調回路の構成を示す図である。光変調回路100は、光セレクタ190、位相調整部151、IQ変調部161-1、161-2、出力側カプラ120を集積したものである。光セレクタ190は、入力光101を2分岐する入力側カプラ110、差動光位相変調部130、位相調整部150、および2×2カプラ180からなる。入力側カプラ110で2分岐された入力光101は、差動光位相変調部130の2つのアーム導波路においてその位相を差動変調される。位相調整部150は、2つのアーム導波路間の相対光位相をQuad点に調整する。差動光位相変調部130は、周期信号源140から送られる周期信号によって駆動されることで、後段側の2つのIQ変調部161-1、161-2に交互に光パルスを送出する。
光セレクタ190と、IQ変調部161-1、161-2との間には、光セレクタ190から交互に送られる光パルス列の光位相を揃えるための位相調整部151が設けられる。IQ変調部161-1、161-2からの出力は出力側カプラ120により合波され、光変調回路100の出力信号102として送出される。
図1の光変調回路100では、光セレクタ190からの交互光パルス列を、2つのIQ変調部161-1、161-2で別々に変調する光タイムインターリービング動作が行われる。光タイムインターリービングにより、IQ変調部161-1、161-2を単体で用いた場合に比べ、大容量の情報を送信することができる。例えば、光セレクタ190を周波数Bで駆動し、IQ変調部161-1、161-2をそれぞれシンボルレートBのシングルキャリア信号で変調する。光セレクタ190からの各光パルス列と、IQ変調部への変調シンボルのタイミングを合わせれば、シンボルレート2Bのシングルキャリア信号を生成できる。
光変調回路100で変調された光信号102を、受信器側において受信したシンボルを交互に振り分けることで、IQ変調部161-1、161-2で変調された信号を分離することができる。光タイムインターリーブされた光信号のスペクトルは、元の光信号のスペクトルに対し約2倍の帯域を持つため、光タイムインターリービングは帯域を約2倍に拡張し、大容量化を実現する技術と捉えることもできる。
上述のように、光変調回路100は約2倍の帯域拡張機能を提供するが、2つのIQ変調部を単純に独立した信号で駆動するだけでは、光変調回路100の出力として得られる変調光信号の波形を任意に制御できない。非特許文献1では、光変調回路100とデジタルスペクトル折り畳みを併用した光送信器を用いることで、拡張された帯域における任意波形の生成を可能にしている。
非特許文献1におけるデジタルスペクトル折り畳みは、特許文献1に開示されたアナログマルチプレクサを用いた信号生成装置における信号処理と同等である。特許文献1の信号生成装置では、サブDACのアナログ帯域の約2倍までの帯域で任意の波形を持つ信号を生成することができる。図1の光変調回路100における光セレクタ190の機能は、特許文献1の信号生成装置におけるアナログマルチプレクサの機能に相当する。このため、図1のIQ変調部161-1、161-2の駆動信号の生成にデジタルスペクトル折り畳みを用いることで、IQ変調部161-1、161-2を単体で用いた場合と比べ、約2倍までの帯域で、任意の波形を持つ光信号を生成することができる。
国際公開第2017/033446号
H. Yamazaki et al., "Extension of Transmitter Bandwidth Using Optical Time-Interleaving Modulator and Digital Spectral Weaver," J. Lightw. Technol., vol. 39, no 4, pp. 1132-1137, Feb. 2021
しかしながら、従来技術の光タイムインターリーブ光変調器は、光回路構成が複雑であるという課題があった。光送信器などの装置の小型化および低光損失化の観点からは、光回路の構成要素はできるだけ少なくすることが望ましい。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来技術より簡素化された光回路構成でより広い帯域の光変調回路を提供することにある。
本発明の1つの態様は、入力光を分岐する入力側カプラと、前記入力側カプラから分岐された第1の光路および第2の光路を結合する出力側カプラと、前記第1の光路および前記第2の光路の各光波の位相を、周波数fcの周期信号で変調する差動光位相変調部と、前記第1の光路に配置された第1のIQ変調部および前記第2の光路に配置された第2のIQ変調部とを備えた光変調回路である。
本発明の別の実施態様は、入力光を分岐する入力側カプラと、前記入力側カプラからの各光波の位相を、周波数fcの周期信号で差動変調する差動光位相変調部と、前記差動光位相変調部の第1の変調光波を分岐する第1のカプラと、前記差動光位相変調部の第2の変調光波を分岐する第2のカプラと、前記第1のカプラからの一方の分岐光および前記第2のカプラからの一方の分岐光が入力される第1のサブ光変調回路と、前記第1のカプラからの他方の分岐光および前記第2のカプラからの他方の分岐光が入力される第2のサブ光変調回路と、前記第1のサブ光変調回路および前記第2のサブ光変調回路を結合する直交偏波結合器とを備えた光変調回路である。
本発明のもう1つの実施態様は、上述の光変調回路を含む光送信器からの送信信号を受信する受信器内で用いる信号処理方法であって、周波数軸上でキャリア周波数を中心に帯域幅が4f未満の受信複素信号を、概ね幅f毎に4つのバンドに分割するステップと、前記分割されたバンドのスペクトルをベースバンド(0~+f)に周波数シフトした信号に対応する4つのデジタル分割信号を生成するステップと、前記差動光位相変調部の2つのアーム導波路に印可する駆動振幅(peak-to-peak)を半波長電圧で割った値にπ/4を乗じた値をαとし、Jをn次第一種ベッセル関数とし、前記4つのデジタル分割信号のスペクトルを低周波数側からZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)としたとき、1つのIQ変調部または1つのサブIQ変調部によって与えられた複素信号スペクトルX(f)およびX(f)を、次の3式に基づいて算出するステップとを備える信号処理方法である。
Figure 0007541270000001

Figure 0007541270000002

Figure 0007541270000003
以上説明したように本発明によれば、従来技術と比べより簡素化された光回路構成で、従来技術と同じくIQ変調部を単体で用いる場合に比べ約2倍の帯域拡張を実現する。また、拡張された帯域において任意の波形生成を可能な光送信器を提供することもできる。
光タイムインターリービング機能を有する光変調回路を示す図である。 実施形態1の光変調回路の構成を模式的に示した図である。 実施形態1の光変調回路の出力光信号のスペクトルを示した図である。 受信光信号Z(f)を狭帯域に分解した成分間の関係を示した図である。 実施形態2の光変調回路の構成を模式的に示した図である。 実施形態3の光変調回路の構成を模式的に示した図である。 実施形態4の光変調回路の構成を模式的に示した図である。 実施形態5の光変調回路の構成を模式的に示した図である。
本開示の光変調回路は、従来技術と比べてより簡素化された光回路構成によって、IQ変調部を単体で用いる場合に比べ約2倍の帯域拡張を実現する光変調回路を提供する。従来技術の光タイムインターリービング機能による光変調器と同等の帯域拡張を実現しながら、回路構成は簡略化されており、光変調回路全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の要件を緩和可能であり、低コスト化を実現する。本開示の光変調回路における信号処理は、光変調回路において任意の光変調波形を生成する方法、または、この光変調回路により生成された変調光信号を復調する方法としての側面も持っている。いずれの方法も、光変調回路または受信回路に含まれるIQ変調部が単体で有している帯域の、概ね2倍に拡張された信号を処理できる。
本明細書の以下の説明において、DACのアナログ帯域とは、DACが特段大きな信号劣化なく出力可能なアナログ信号の上限周波数を指す。具体的には、DACからの出力アナログ信号の強度がDC近傍に比べ一定の値だけ減衰する周波数を、DACのアナログ帯域とする場合が多い。DACのアナログ帯域を定義する信号強度の減少量は、生成すべき信号のスペクトル形状や送受信装置の特性等に応じて任意に設定される。典型的には、DC近傍の信号強度に対して3~6dB程度の減少量、最大でも概ね20dB程度の減少量を閾値として、DACのアナログ帯域の定義に用いる。
また本明細書の以下の説明において、光変調回路を形成する材料としては、例えば電気光学(Electro-Optic:EO)効果の一種であるポッケルス効果を有するLiNbO(LN)などの多元系酸化物結晶、ポッケルス効果および量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect:QCSE)による屈折率変調が可能なGaAs系やInP系の化合物半導体を用いることができる。さらに、キャリアプラズマ効果による屈折率変調が可能なpn接合を有するSiやSiGe半導体や、クロモフォアなどのEO効果を有するポリマなどを用いることもできる。以下の本開示の光変調回路は、その回路構成に新規な特徴を持っており、発明の効果は回路を形成する材料には依存しない。
以下、まず従来技術の光変調回路を簡素化した本開示の光変調回路の構成と、帯域幅を拡大するための畳み込み処理の原理について説明する。さらに、基本構成の光変調回路のバリエーションの形態を説明する。
[実施形態1]
図2は、実施形態1の光変調回路の構成を模式的に示した図である。光変調回路200は、入力側カプラ210、差動光位相変調部230、位相調整部251、IQ変調部261-1、261-2および出力側カプラ220を集積化したものである。光変調回路200の全体構成は、図1に示した従来技術の光タイムインターリービング機能を有する光変調回路100と概ね同じであるが、後述するように簡素化されている。図1の光変調回路の構成との相違点について、まず説明する。
入力側カプラ210で2分岐された入力光201は、差動光位相変調部230の2つのアーム導波路においてその位相を差動変調されるが、図1の従来技術の光変調回路とは異なり、周期信号源240が発する周波数fの正弦波信号によって駆動される。図1の光タイムインターリービングによる光変調回路100では、後段側の2つのIQ変調部に、交互のパルスが供給されていた。これに対して本開示の光変調回路200の差動光位相変調部230では、内部の2本の光路に互いに逆符号の位相変調を与える。分岐された入力光201が正弦波信号により位相変調されるので、後段側の2つのIQ変調部261-1、261-2に、それぞれ、変調位相の極性が逆で一定強度を持つ連続光が供給される。差動光位相変調部230としては、一般的な光IQ変調器の構成要素であるプッシュプル型マッハツェンダ変調器の位相変調アームと同じ構造を用いることができる。
光変調回路200の全体を見ると、各IQ変調部を含む2つの光路の光路長は同じである。すなわち、入力側カプラ210から、差動光位相変調部230、IQ変調部261-1を経て、出力側カプラ220に至る光路と、入力側カプラ210から差動光位相変調部230、IQ変調部262-2を経て出力側カプラ220に至る光路との間の光路長差はゼロとなる。後述するように、2つのIQ変調部が独立した情報信号203-1、203-2によって変調されることで、IQ変調部の単体で可能な帯域幅の2倍の帯域の信号で変調できることになる。光変調回路200は、1つの入力光201をキャリアとする、偏波多重機能を有しない単偏波変調回路である。
したがって本開示の光変調回路は、入力光201を分岐する入力側カプラ210と、前記入力側カプラから分岐された第1の光路および第2の光路を結合する出力側カプラ220と、前記第1の光路および前記第2の光路の各光波の位相を、周波数fの周期信号で変調する差動光位相変調部230と、前記第1の光路に配置された第1のIQ変調部261-1および前記第2の光路に配置された第2のIQ変調部261-2とを備えた光変調回路として実施できる。
本実施形態では、前記差動光位相変調部からの位相変調された光波が、前記第1のIQ変調部および前記第のIQ変調部に与えられる。
光変調回路200は、図1に示した従来技術の光タイムインターリービング機能を有する光変調回路100と比べると、2×2カプラ180および位相調整部150に相当する部分が省かれ、より簡素化された構成となっている。図1の従来技術の構成と比べて、集積化すべき回路要素を減らすことで、光変調回路全体の小型化や低損失化が可能となる。
例えば、図1における差動光位相変調部内の位相調整部150が不要になることで、位相調整のための制御点が1つ減るため、関連する配線や制御機構も簡単となる。光変調回路200には、図1に示した従来技術の光変調回路における位相調整部151に相当する位相調整部251があり、上述の2つの光路の光位相を揃えるために設けられている。この2つの光路の光位相差の補償はIQ変調部を駆動する複素信号の位相を変えることによっても行うことができるので、位相調整部251を省くこともできる。従来技術の光変調回路100の位相調整部151においても、同様に位相調整部151を省くこともできる。しかしながら従来技術の光変調回路100で、位相調整部内にある位相調整部150は光セレクタ190から交互に光パルスを送出するために必須であって、省くことはできない。
また、本開示の光変調回路200で2×2カプラ180が不要になることは、光回路の製造工程における精度を緩和できる点でメリットもある。一般に、2×2カプラは多モード干渉(MMI)カプラや方向性結合器などの形で実現される。MMIカプラや方向性結合器の重要な性能パラメータである結合・分岐比は、波長依存性を持っており、また製造誤差に対しても敏感である。このため、広い波長帯域で動作するものを安定して製造するためには、高度な設計技術および製造技術が必要である。本実施形態の光変調器回路200は2×2カプラが不要であるため、従来技術の光変調回路100に比べて、設計および製造が容易であり、歩留まりの向上も期待できる。このように、本実施形態の光変調回路は、従来技術の構成と比べて一部の構成要素を省略して簡素化されており、光変調回路の全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現できる。
本光変調回路200では2×2カプラが省かれているため、差動光位相変調部230からIQ変調部261-1、261-2に送られるのは、周波数fの正弦波信号で位相変調された強度一定の光波である。上述のように、従来技術の光変調回路100では、2つのIQ変調部には、時間軸上で互い違いの光パルス列が供給される。したがって、光変調回路200は、光タイムインターリービング機能そのものを提供するわけではない。しかしながら以下に詳しく説明する通り、光変調回路200でも、変調位相の極性が逆で一定強度を持つ連続光と、スペクトル折り畳み演算によって、光タイムインターリービングと同様、帯域を約2倍に拡張できる。
IQ変調部261-1、261-2は、それぞれ同相(I)成分と直交位相(Q)成分に対応する2個のアナログ電気信号203-1、203-2によって駆動される。IQ変調部261-1を駆動するアナログ電気信号のスペクトルをX1I(f)、X1Q(f)、IQ変調部261-2を駆動するアナログ電気信号のスペクトルをX2I(f)、X2Q(f)とする。IQ変調部261-1、261-2において、アナログ駆動信号による変調によって入力光波に対して与える変調信号のスペクトルX(f)、X(f)は、複素信号のスペクトルとして以下のように表すことができる。
Figure 0007541270000004
最終的な光変調回路200の出力光信号202のスペクトルを、光キャリア成分を省略した複素信号のスペクトルとして表し、Z(f)とする。差動光位相変調部230からIQ変調部261-1、261-2に送られる光波のスペクトルを、同様に光キャリア成分を省略した複素信号のスペクトルとして表し、それぞれS(f)、S(f)とする。IQ変調部261-1からの出力複素信号のスペクトルは、X(f)およびS(f)の畳み込み、IQ変調部261-2からの出力複素信号のスペクトルは、X(f)およびS(f)の畳み込みで表される。2つの畳み込み出力は出力側カプラ220で結合され、出力光信号202のスペクトルであるZ(f)は、次式で表される。
Figure 0007541270000005
式(2)の光変調回路200の出力光信号のスペクトルZ(f)において、演算記号*は畳み込みを表す。上述のようにS(f)、S(f)は、周波数fの正弦波信号によって駆動した場合の、差動光位相変調部230からの出力である。そのスペクトルは、光キャリア周波数、fおよびその高調波の各成分(0、±f、±2f、±3f、…)を持つ。これらの周波数成分の内で、偶数次成分(0、±2f、…)の位相はS(f)とS(f)で同相であり、奇数次成分(±f、±3f、…)の位相はS(f)とS(f)で逆相(位相差π)になる。具体的には、差動光位相変調部の出力S(f)およびS(f)を以下の式で表すことができる。
Figure 0007541270000006
式(3a)、式(3b)において、Jはk次の第一種ベッセル関数、δはディラックのデルタ関数である。またαは駆動振幅を表すパラメータである。差動光位相変調部230においてアーム間位相差πを与える電圧は半波長電圧Vπと呼ばれ、駆動正弦波の電圧振幅(peak-to-peak)がVppのとき、α=πVpp/(4Vπ)である。例えば、アーム間位相差が-π~+πになるような振幅で差動光位相変調部230を駆動するとき、α=0.5πとなる。但し、上述のVπやVppの電圧値は、差動光位相変調部230が差動駆動の場合は差動電圧、すなわち両アーム間の電圧差で定義される。通常はα=0.2π~1.0π程度の条件で駆動する。
式(2)、式(3a)および式(3b)より、出力光信号202のスペクトルZ(f)として、次式が導かれる。
Figure 0007541270000007
式(4)の第1項はX(f)、X(f)の基本波成分、第2項はX(f)、X(f)の±1次イメージ、第3項はX(f)、X(f)の±2次イメージに相当する。上述の式(1)~(4)により、光変調回路200の2つのIQ変調部への情報信号203-1、203-2、すなわち駆動信号X1I(f)、X1Q(f)、X2I(f)、X2Q(f)と、最終出力光信号Z(f)との関係が求められた。
図3は、式(4)で表される光変調回路200からの出力光信号202のスペクトルを示した図である。図3において、周波数-f~+fの範囲に、式(4)の第1項のX(f)、X(f)の基本波成分300が示されている。周波数-2f~+2fの範囲に、式(4)の第2項のX(f)、X(f)の±1次イメージ成分301-1、301-2が示されている。周波数-3f~-f、+f~+3fの範囲に、式(4)の第3項のX(f)、X(f)の±2次イメージ成分302-1、302-2が示されている。
2つのIQ変調部への駆動信号X1I(f)、X1Q(f)、X2I(f)、X2Q(f)はベースバンドの実信号である。これらの実信号の帯域をBとすると、図3のスペクトル300に示したように、複素信号X(f)、X(f)の帯域は、両側波帯を含めて2Bとなる。したがってIQ変調部261-1、261-2の一方を単体で用いた場合の出力光信号の帯域は2Bである。上述のようにBは、IQ変調部への駆動信号の帯域であって、駆動系の帯域特性、例えば駆動信号を生成するDACや、駆動信号を増幅するドライバアンプの帯域特性によって制限される。
本開示の光変調回路200では、差動光位相変調部230の駆動周波数fを、IQ変調部への駆動信号(実信号)の帯域Bと同じ程度に設定する。IQ変調部への駆動信号の帯域と、差動光位相変調部の駆動周波数fを同程度に設定することで、最終出力光信号Z(f)は、周波数幅f毎にX(f)、X(f)の基本波またはイメージが2つずつ重なり合った信号となる。図3を再び参照すれば、周波数-2f~-fの帯域310aでは、2つの-1次イメージと2つの-2次イメージが重なり合っている。周波数-f~0の帯域310bでは、2つの基本波と2つの-1次イメージが重なり合っている。同様に、周波数0~+fの帯域310cでは、2つの基本波と2つの+1次イメージが、周波数+f~+2fの帯域310dでは、2つの+1次イメージと2つの+2次イメージが重なり合っている。
本開示の光変調回路200では、Z(f)のスペクトルの内、周波数ゼロ(キャリア)を中心とする帯域4fの成分、すなわち周波数-2f~+2fの4Bの帯域310a~310dの成分を情報伝送に用いる。4Bの帯域は、IQ変調部261-1、261-2を単体で用いた場合の出力光信号の帯域2Bの約2倍に相当している。帯域B(DACの上限周波数に対応)の実信号が供給されるIQ変調部を2つ独立に使用して情報伝送を行うので、出力光信号Z(f)の内の帯域4Bのスペクトルを利用することで、損失無く同じ情報量の伝送ができるはずである。ただし、2つのIQ変調部に対して、単に独立の情報で変調して結合するだけでは、2つのIQ変調部からの光信号は混ざり合って、分離することができない。
光変調回路200では、差動光位相変調部の駆動周波数fをIQ変調部への駆動信号の帯域Bと同程度に設定し、受信側で適切な信号処理をすることで、従来技術の光タイムインターリービングと同様、X(f)とX(f)の情報を分離できる。2つのIQ変調部を並行して利用することで、帯域BのDACからの実信号によりIQ変調部で得られる複素スペクトル2Bと比べ、約2倍の帯域幅の情報の伝送を実現できる。本開示の光変調回路200は、光タイムインターリービング機能同様に、DACの帯域不足の問題を解決すると同時に、従来技術に比べてより簡素化した構成を実現する。以下、本開示の光変調回路200の出力光信号Z(f)における周波数-2f~+2fの成分から、変調信号の複素信号X(f)およびX(f)の情報を分離できることを示す。
まず受信した光信号Z(f)の4Bの帯域に対して、およそ-2f~-f(帯域310a)、-f~0(帯域310b)、0~+f(帯域310c)、+f~+2f(帯域310d)の周波数成分を、それぞれベースバンドに周波数シフトする。具体的には、-2f~-f(帯域310a)の成分については、Z(f)から切り出した後に+2fだけ正方向に周波数シフトして、ZH-(f)とする。-f~0(帯域310b)の成分については、Z(f)から切り出した後に+fだけ正方向に周波数シフトして、ZL-(f)とする。周波数およそ0~+f(帯域310c)の成分についてはZ(f)から切り出して、そのままZL+(f)とする。+f~+2f(帯域310d)の成分については、Z(f)から切り出した後に-fだけ負方向に周波数シフトして、ZH+(f)とする。すなわちベースバンドに周波数シフトするとは、周波数-2f~+2fの帯域4Bの内の4つのバンド内の各成分を切り出して、周波数0~+fの帯域310c内へシフトすることを意味する。上述の処理は、受信された光信号Z(f)の4Bの帯域に対して、デジタル領域において例えばDSPの演算処理として実施される。上述の周波数シフトを含む処理は、受信した光信号Z(f)の4Bの帯域の信号を、帯域Bの4つのバンドの各成分に分解し、帯域Bであってそれぞれ上限がf程度の信号に変換して、分解およびシフトした信号によって表していることが理解できるだろう。
また、2つのIQ変調部への複素駆動信号X(f)、X(f)の正周波数成分をそれぞれX1+(f)、X2+(f)と表し、X(f)、X(f)の負周波数成分を+fだけ周波数シフトしたものをそれぞれX1-(f)、X2-(f)と表す。X1-(f)、X1+(f)、X2-(f)、X2+(f)の帯域はそれぞれf程度である。これらの正周波数成分およびシフトした負周波数成分と、複素駆動信号X(f)、X(f)との間には、次式の関係が成り立つ。
Figure 0007541270000008
上式では、2つのIQ変調部への複素駆動信号X(f)、X(f)を、帯域Bであって、それぞれf程度の信号成分に分解して、分解およびシフトした信号によって表していることが理解できるだろう。
図4は、受信した光信号Z(f)をより狭帯域に分解した際の成分間の関係を示した図である。すなわち、上述の受信した光信号Z(f)の分解およびシフトしたZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)と、分解およびシフトした複素駆動信号X1-(f)、X1+(f)、X2-(f)、X2+(f)との関係を示している。図4において、光信号Z(f)は4つのバンド310a~310dにおいて重要なスペクトルを含んでおり、各バンドにおいては、基本波成分、1次イメージおよび2次イメージの内の4つの成分が重なり合ったものである。また、光信号Z(f)のスペクトルの内で、例えばバンド310aのスペクトルはZH-(f+2f)として表されているが、これはバンド310aのスペクトルを周波数シフトした後のバンド310cにおける信号をZH-(f)として定義しているためである。したがって、本来のバンド310aにあったスペクトルはZH-(f)を負周波数方向に+2fだけシフトすることで得られ、図4のスペクトル304で示したようにZH-(f+2f)として表される。したがってZH-(f)が求められれば、これを負周波数方向に+2fだけシフトする処理を行うことで、本来の周波数位置であるバンド310aのスペクトルとして、再現できることを意味している。図4に示した分解された他の全てのスペクトルについても同様である。
図4および式(4)からわかる通り、以下の関係が成り立つ。
Figure 0007541270000009
上の式(6a)~式(6d)を、行列形式で表すと以下の通りとなる。
Figure 0007541270000010
上の式(7)の右辺の4×4行列に対して、行列の可逆性を判定する指標である行列式(det)は、次式のように求められる。
Figure 0007541270000011
式(8)の行列式の値が非ゼロであれば、式(7)右辺の4×4行列には逆行列が存在する。実際に行列式の値を計算すると、式(3a)、(3b)で説明した駆動振幅を表すパラメータαについて、少なくとも0<α<1.2πであれば、式(8)の行列式の値は非ゼロである。
従って、少なくとも0<α<1.2πであれば、ZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)から、次式によってX1-(f)、X1+(f)、X2-(f)、X2+(f)を求めることができる。
Figure 0007541270000012
式(9)によって、分解およびシフトした駆動信号の成分であるX1-(f)、X1+(f)、X2-(f)、X2+(f)が求められれば、さらに式(5)よって、X(f)、X(f)を求めることができる。すなわち、受信側で受信した光信号Z(f)から一連の信号処理および上述の式(9)によって、光変調回路で2つのIQ変調部に入力された複素駆動信号を求めることができる。
上述の式(1)から式(9)までの、帯域分割、周波数シフトなどを含む一連の処理および計算は、受信側のDSPを用いて行うことができる。すなわち、まず受信デジタル波形から伝送路や受信器の応答特性の影響分を補償したものを、Z(f)とする。このZ(f)を、上述のように周波数帯域およそf毎に分割して、それぞれをベースバンドにシフトしたものをZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)とする。上の式(9)および式(5a)、式(5b)を用いれば、送信側のIQ変調部261-1、261-2の駆動複素信号であるX(f)、X(f)を得ることができる。
したがって本発明は、上述の光変調回路を含む光送信器からの送信信号を受信する受信器内で用いる信号処理方法であって、周波数軸上でキャリア周波数を中心に帯域幅が4f未満の受信複素信号を、概ね幅f毎に4つのバンドに分割するステップと、前記分割されたバンドのスペクトルをベースバンド(0~+f)に周波数シフトした信号に対応する4つのデジタル分割信号を生成するステップと、前記差動光位相変調部の2つのアーム導波路に印可する駆動振幅(peak-to-peak)を半波長電圧で割った値にπ/4を乗じた値をαとし、Jをn次第一種ベッセル関数とし、前記4つのデジタル分割信号のスペクトルを低周波数側からZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)としたとき、1つのIQ変調部または1つのサブIQ変調部によって与えられた複素信号スペクトルX(f)およびX(f)を、式(9)、式(5a)、式(5b)に基づいて算出するステップとを備える信号処理方法として実施できる。
このように、図2の光変調回路200では、周波数fで逆符号に差動位相変調した2つの光波を対応するIQ変調部への駆動光信号とし、IQ変調部でX(f)、X(f)により変調を実施して、出力光信号202のスペクトルZ(f)が送信される。受信したZ(f)を、周波数fと同じ帯域Bに分割し、上述の式(1)から式(9)までの一連の処理および計算によってX(f)、X(f)が再現できる。図2に示したような簡素化した光変調回路200によって、図1の光インターリービング技術と同等の大容量伝送を実現しながら、同時に、光変調回路の全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現できる。
上述の式(1)から式(9)までの、帯域分割、周波数シフトなどを含む一連の処理および計算は、光送信器の送信信号の生成のために、送信側のDSPにおいて実施することもできる。光送信器の出力信号として生成したい所望の変調光波形をデジタル波形として表したい所望のZ(f)とする。このZ(f)のスペクトルを、上述のように周波数帯域およそf毎に分割し、それぞれ0~+f(帯域310c)のベースバンドに周波数シフトする。このスペクトルの分割および周波数シフト処理の結果、ZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)が得られる。式(9)および式(5a)、(5b)を用いて複素信号X(f)、X(f)を算出し、IQ変調部261-1、261-2を駆動するDACに送れば、光変調回路200の出力光信号Z(f)が得られる。
出力光信号Z(f)のスペクトルの内で、周波数-2f~+2fの成分として所望のスペクトルZ(f)を有する光波形を得ることができる。なおこの場合DACに送る波形は式(1a)、(1b)で、複素信号X(f)、X(f)のそれぞれの実部と虚部に相当する波形となる。このように、光送信器から送信するキャリア光波に対する任意の変調光の所望のスペクトルZ(f)を想定すれば、これを実現するためにDACに対して送出する、複素信号X(f)、X(f)を一意に特定できることを意味している。言い換えると、キャリア光に対する任意の波形の変調光を出力できることになる。上述の式(1)から式(9)までの一連のスペクトル操作の処理手順は、本開示の光変調回路からの送信信号の受信器における信号処理だけでなく、任意光波の生成処理としての側面も持っている。送信側で複素信号X(f)、X(f)で生成された光波の受信器における再生も、複素信号X(f)、X(f)による送信器における任意の所望のスペクトルZ(f)光波の生成も、畳み込み操作を含むデジタル領域の処理として共通している。
以上のように、差動光位相変調部からIQ変調部への駆動信号の振幅を表すパラメータαについて、少なくとも0<α<1.2πであれば、Z(f)の周波数-2f~+2fの成分(帯域4B)を伝送することで、X(f)の情報(帯域2B)およびX(f)の情報(帯域2B)を伝送できる。本光変調回路200を用いることで、IQ変調回路261-1、261-2のいずれか一方を単体で用いる場合に比べ、約2倍の帯域の情報を伝送できる。DACの帯域がf程度で不足があっても、光インターリービング技術と同等の大容量化と同時に、回路構成の簡略化によって、光変調回路の小型化、低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現できる。
[実施形態2]
図5は、実施形態2の光変調回路の構成を模式的に示した図である。光変調回路400は、入力側カプラ410、IQ変調部460-1、460-2、位相調整部451、差動光位相変調部430、および出力側カプラ420を集積化したものである。図2に示した光変調回路200との相違点は、IQ変調部、位相調整部、差動光位相変調部の接続順を変更したところにあり、その機能は光変調回路200と全く同等である。上述の式(2)で示したように、IQ変調部460-1からの出力複素信号のスペクトルX(f)はS(f)と畳み込まれ、IQ変調部460-2からの出力複素信号のスペクトルX(f)は、S(f)と畳み込まれる。畳み込み演算は構成要素の順序には関係がないため、等価的に、IQ変調部460-1の変調出力と差動光位相変調部430の一方の駆動信号の畳み込み、IQ変調部460-2の変調出力と差動光位相変調部430の他方の駆動信号の畳み込みが実施される。2つの畳み込み信号は、出力側カプラ420で加算され、出力光信号402が得られる。
光変調回路400の差動光位相変調部430では、内部の2本の光路に互いに逆符号の位相変調を与える。差動光位相変調部430としては、一般的な光IQ変調器の構成要素であるプッシュプル型マッハツェンダ変調器の位相変調アームと同じ構造を用いることができる。入力側カプラ410からIQ変調部460-1を経て出力側カプラ420に至る光路と、入力側カプラ410からIQ変調部460-2を経て出力側カプラ420に至る光路との間の光路長差はゼロである。
2つのIQ変調部が独立した情報信号によって変調されることで、IQ変調部の単体で可能な帯域幅の2倍の帯域の信号で変調できることになる。光変調回路400は、1つの入力光401をキャリアとする、偏波多重機能を有しない単偏波変調回路である。
本実施形態の光変調回路でも、実施形態1と同様に、差動光位相変調部430内の位相調整部が不要となり、図1の従来技術構成の2×2カプラも不要である。実施形態1と同様に、光変調回路の全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現できる。
[実施形態3]
図6は、実施形態3の光変調回路の構成を模式的に示した図である。光変調回路500は、図2に示した実施形態1の光変調回路200を単純に2並列化し、偏波多重変調回路としたものである。サブ光変調回路570-1、570-2は、それぞれ図2に示した光変調回路200と同等の回路である。分岐カプラ511と、直交偏波結合部580との間に、2つのサブ光変調回路を配置して、入力光501を分岐して各サブ光変調回路に供給することで2並列化している。直交偏波結合部580は、一般的な偏波多重IQ変調器の直交偏波結合部と同様、一方の入力の偏波を90度回転させたのち偏波ビームコンバイナにより結合させる構成であり得る。
サブ光変調回路570-1、570-2の各々の差動光位相変調部は、周期信号源540が発する周波数fの正弦波信号によって駆動される。図6に示したように、同様の光変調回路200を2並列化した構成をとることによって、図2に示した光変調回路200を偏波多重変調用に拡張できる。
[実施形態4]
図7は、実施形態4の光変調回路の構成を模式的に示した図である。光変調回路600は、図6に示した実施形態3の偏波多重変調用の光変調回路500と同等の機能を、より簡単な構成で実現する。サブ光変調回路670-1、670-2は、それぞれ図2に示した光変調回路200のIQ変調部と同等の回路である。すなわち、第1のサブ光変調回路670-1は、IQ変調部690-1、690-2を、第2のサブ光変調回路670-2は、IQ変調部690-3、690-4を含んでいる。実施形態3との相違点は、入力側カプラ610、差動光位相変調部630および位相調整部651が、2つのサブ光変調回路670-1、670-2で共有されていることである。この構成のために、位相調整部651の2つの出力は、それぞれ分岐カプラ611、612によって2つのサブ光変調回路の対応するIQ変調部に接続される。
具体的には、差動光位相変調部630の一方の出力は、分岐カプラ611によって、第1のサブ光変調回路670-1のIQ変調部690-1および第2のサブ光変調回路670-2のIQ変調部690-3に接続される。同様に、差動光位相変調部630の他方の出力は、分岐カプラ612によって、第1のサブ光変調回路670-1のIQ変調部690-2および第2のサブ光変調回路670-2のIQ変調部690-4に接続される。4つのIQ変調部は、等価的に、光変調回路の光進行方向に直交する方向に、IQ変調部690-1、690-2、690-3、690-4の順に配置されている。ここで直交する方向とは、光変調回路のIQ変調部のアーム導波路に概ね直交する方向を意味する。2つのサブ光変調回路の対称性から、等間隔で一列に整然と4つのIQ変調器が並んでいるのが好ましいが、光変調回路における入力側カプラ610より後の、2つの光路の全体の対称性、2つのサブ光変調回路間で光路長の対称性が維持されれば、図7のような配置に限定されない。本出願における全ての図面は、光回路要素の機能と接続関係を模式的に示しているものであって、実際の基板上の回路要素のレイアウトパターンを示しているのではない点に、留意されたい。
言い換えると、1つの偏波のサブ光変調回路において、2つのIQ変調部が隣接して配置されている。結果として、2つのサブ光変調回路の入力側に導波路交差部691が必要となるが、図6に示した実施形態3の光変調回路500に比べ全体として回路要素の数が少なく、より簡略化された構成となっている。
したがって本実施形態の光変調回路は、入力光を分岐する入力側カプラ610と、前記入力側カプラからの各光波の位相を、周波数fの周期信号で差動変調する差動光位相変調部630と、前記差動光位相変調部の第1の変調光波を分岐する第1のカプラ611と、前記差動光位相変調部の第2の変調光波を分岐する第2のカプラ612と、前記第1のカプラからの一方の分岐光および前記第2のカプラからの一方の分岐光が入力される第1のサブ光変調回路670-1と、前記第1のカプラからの他方の分岐光および前記第2のカプラからの他方の分岐光が入力される第2のサブ光変調回路670-2と、前記第1のサブ光変調回路および前記第2のサブ光変調回路を結合する直交偏波結合器680とを備えたものとして実施できる。
差動光位相変調部630を2つのサブ光変調回路で共有することは、回路専有面積を縮小するだけでなく、駆動系の配線やドライバの数も減らすことができるため、簡略化の効果が大きい。位相調整部651の後段で、それぞれ分岐カプラ611、612により各偏波チャネルのIQ変調部に向けて光波を分配し、最後に直交偏波結合部680により偏波多重化する。直交偏波結合部680は、一般的な偏波多重IQ変調器の直交偏波結合部と同様、一方の入力の偏波を90度回転させたのち偏波ビームコンバイナにより結合させる構成であり得る。
[実施形態5]
図8は、実施形態5の光変調回路の構成を模式的に示した図である。光変調回路700もまた、図5に示した実施形態3の偏波多重変調用の光変調回路500と同等の機能をより簡略化された構成で実現する。サブ光変調回路771-1、771-1は、それぞれ図2に示した光変調回路200と同等の回路である。実施形態3との相違点は、入力側カプラ710、差動光位相変調部730および位相調整部751が、2つのサブ光変調回路771-1、771-1で共有されていることである。2つのサブ光変調回路よりも前段側の要素を共有している点では、図7に示した実施形態4の光変調回路600と同じである。
実施形態4と同様に、位相調整部751の2つの出力は、それぞれ分岐カプラ711、712によって2つのサブ光変調回路の対応するIQ変調部に接続される。具体的には、差動光位相変調部730の一方の出力は、分岐カプラ711によって、第1のサブ光変調回路770-1のIQ変調部790-1および第2のサブ光変調回路770-2のIQ変調部790-3に接続される。同様に、差動光位相変調部730の他方の出力は、分岐カプラ712によって、第1のサブ光変調回路770-1のIQ変調部790-2および第2のサブ光変調回路770-2のIQ変調部790-4に接続される。
4つのIQ変調部は、等価的に、光変調回路の光進行方向に直交する方向に、IQ変調部790-1、790-3、790-2、790-4の順に配置されている。言い換えると異なる偏波のサブ光変調回路のIQ変調部が交互に配置されている。実施形態4の構成との相違点は、各サブ光変調回路内のIQ変調部の配置が互い違い(入れ子)になっており、そのためにサブ光変調回路の出力側に導波路交差部791がある点だけである。したがって、実施形態4および実施形態5では、回路要素の数も全体としての機能も全く同等である。
図7の構成のために、2つのサブ光変調回路の出力側において導波路交差部791が必要となるが、図6に示した実施形態3の光変調回路500に比べ、全体として回路要素の数が少なく、簡略化された構成となっている。
差動光位相変調部730を共有することは、回路専有面積を縮小するだけでなく駆動系の配線やドライバの数も減らすことができるため、簡略化の効果が大きい。位相調整部751の後段で、それぞれ分岐カプラ711および712により各偏波チャネルのサブ光変調回路に向けて光波を分配し、各サブ光変調回路の2つのIQ変調部で実施形態1と同様に光インターリービング技術と同等の大容量化が実現される。最後に直交偏波結合部780により偏波多重化する。直交偏波結合部780は、一般的な偏波多重IQ変調器の直交偏波結合部と同様、一方の入力の偏波を90度回転させたのち偏波ビームコンバイナにより結合させる構成であり得る。
上述の偏波多重化した構成の実施形態4~5いずれにおいても、差動光位相変調部の駆動周波数fを、各サブ光変調回路におけるIQ変調部への駆動信号の帯域Bと同じ程度に設定する。IQ変調部への駆動信号の帯域と、差動光位相変調部の駆動周波数fを同程度に設定することで、受信側で上述の式(1)から式(9)までの一連の処理および計算によって、送信側のIQ変調部の駆動複素信号X(f)、X(f)が再現できる。実施形態1と同様に差動光位相変調部の位相調整部が不要となり、従来技術構成の2×2カプラも不要である。実施形態1と同様に、光変調回路の全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現したままで、偏波多重化した構成に拡大できる。
以上詳細に述べてきたように、本開示の光変調回路により、従来技術と比べより簡素化された光回路構成でありながら、従来技術と同様、IQ変調部を単体で用いる場合に比べ約2倍の帯域拡張を実現する。変調回路の全体小型化や低損失化や、設計および製造工程の条件緩和を実現する。
本発明は、光通信および光送信器に利用できる。

Claims (8)

  1. 入力光を分岐する入力側カプラと、
    前記入力側カプラから分岐された第1の光路および第2の光路を結合する出力側カプラと、
    前記第1の光路および前記第2の光路の各光波の位相を、周波数fcの周期信号で変調する差動光位相変調部と、
    前記第1の光路に配置された第1のIQ変調部および前記第2の光路に配置された第2のIQ変調部と
    を備えた光変調回路。
  2. 前記差動光位相変調部からの前記第1の光路の前記光波および前記第2の光路の前記光波は、逆符号で位相変調されている、請求項1に記載の光変調回路。
  3. 前記第1の光路および前記第2の光路の各光波の光位相が一致するよう調整する位相調整部をさらに備えた、請求項1に記載の光変調回路。
  4. 前記差動光位相変調部からの位相変調された光波が、前記第1のIQ変調部および前記第のIQ変調部に与えられる、請求項1乃至3いずれかに記載の光変調回路。
  5. 前記第1のIQ変調部および前記第2のIQ変調部からの各変調光が、前記差動光位相変調部に与えられる、請求項1乃至3いずれかに記載の光変調回路。
  6. 入力光を分岐する入力側カプラと、
    前記入力側カプラからの各光波の位相を、周波数fcの周期信号で差動変調する差動光位相変調部と、
    前記差動光位相変調部の第1の変調光波を分岐する第1のカプラと、
    前記差動光位相変調部の第2の変調光波を分岐する第2のカプラと、
    前記第1のカプラからの一方の分岐光および前記第2のカプラからの一方の分岐光が入力される第1のサブ光変調回路と、
    前記第1のカプラからの他方の分岐光および前記第2のカプラからの他方の分岐光が入力される第2のサブ光変調回路と、
    前記第1のサブ光変調回路および前記第2のサブ光変調回路を結合する直交偏波結合器と
    を備えた光変調回路。
  7. 前記第1のサブ光変調回路は、第1のIQ変調部および第2のIQ変調部を含み、
    前記第2のサブ光変調回路は、第3のIQ変調部および第4のIQ変調部を含み、
    光の進行方向に直交する方向で、前記第1のIQ変調部、前記第2のIQ変調部、前記第3のIQ変調部、前記第4のIQ変調部の順で配置され、前記第1のサブ光変調回路および前記第2のサブ光変調回路の入力側に導波路の交差点があるか、または、
    前記直交する方向で前記第1のIQ変調部、前記第3のIQ変調部、前記第2のIQ変調部、前記第4のIQ変調部の順で配置され、前記第1のサブ光変調回路および前記第2のサブ光変調回路の出力側に導波路の交差点がある
    よう構成された請求項6に記載の光変調回路。
  8. 請求項1乃至7いずれかに記載の前記光変調回路を含む光送信器からの送信信号を受信する受信器内で用いる信号処理方法であって、
    周波数軸上でキャリア周波数を中心に帯域幅が4fc未満の受信複素信号を、概ね幅fc毎に4つのバンドに分割するステップと、
    前記分割されたバンドのスペクトルをベースバンド(0~+fc)に周波数シフトした信号に対応する4つのデジタル分割信号を生成するステップと、
    前記差動光位相変調部の2つのアーム導波路に印可する駆動振幅(peak-to-peak)を半波長電圧で割った値にπ/4を乗じた値をαとし、Jnをn次第一種ベッセル関数とし、前記4つのデジタル分割信号のスペクトルを低周波数側からZH-(f)、ZL-(f)、ZL+(f)、ZH+(f)としたとき、1つのIQ変調部または1つのサブIQ変調部によって与えられた複素信号スペクトルX1(f)およびX2(f)を、以下の式に基づいて算出するステップと
    Figure 0007541270000013

    Figure 0007541270000014

    Figure 0007541270000015
    を備える信号処理方法。
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