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JP7548828B2 - 踏切制御子の制御区間長測定方法 - Google Patents
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JP7548828B2 - 踏切制御子の制御区間長測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、踏切制御子の制御区間長測定方法に関し、特に電気検測車に搭載された制御区間長測定装置による測定方法に適用して有効な技術に関する。
鉄道の踏切には、踏切を挟んだ所定の区間の両端に配設された一対の踏切制御子からの信号に基づいて、踏切遮断機や踏切警報機などの踏切機器の動作を制御する踏切制御装置が設けられている。
踏切制御子は、当該踏切制御子の列車検知範囲に列車が進入したときに、踏切制御装置に設けられている電磁リレー(制御子反応リレー)を作動させる信号電圧(リレー出力電圧)を出力停止または出力開始する。踏切制御装置は、列車進入側の踏切制御子からのリレー出力電圧によって制御子反応リレーが落下すると、踏切警報を開始し、列車進出側の踏切制御子の検知範囲を通過して制御子反応リレーが動作すると、踏切警報の作動を終了するという制御を行なっている。
従来、列車の進入または進出を検知する踏切制御子には、閉電路形(HC形)と開電路形(HO形)があり、例えば列車の進入側に閉電路形の踏切制御子を配設し、列車の進出側に開電路形の踏切制御子を配設して、列車を検知した際に信号をそれぞれ踏切制御装置へ送出するように構成した踏切制御システムがある。
上記踏切制御システムにおいては、進入側の踏切制御子の設置位置(始動点)を列車が通過したことを検知したときに踏切制御子が出力する電圧または電流の変化によって踏切の近傍に設置されている制御子反応リレーを落下させて踏切制御装置の踏切警報を開始し、列車進出側の踏切制御子の設置位置(終止点)を列車が通過したことを検知したときに出力される電圧が元に戻り、リレーを動作させて踏切警報を終了するという制御を行なっている。
上記のような制御子を用いた踏切制御装置では、列車検知範囲の距離(以下、「制御区間長」という)について、所定の距離(例えば30m)が規定されており、踏切制御子の性能が落ちてくると、その制御区間長が短くなり列車を検知しにくくなってくる。そのため、踏切制御子による列車検知性能の低下に伴う踏切制御装置の誤動作を防止するために、踏切制御子の制御区間長を定期的に測定する点検作業が実施されている。
従来、制御区間長の測定に関しては、踏切制御子による列車の検出状態を検出する動作検出手段と、動作検出手段によって検出された検出結果に基づいて踏切制御子が列車を検出している時間を計測する時間計測手段と、列車の走行速度を計測する速度計測手段と、時間計測手段によって計測された時間および速度計測手段によって計測された列車の走行速度に基づいて、制御区間長を算出する制御区間長算出手段とを備える発明が提案されている(特許文献1参照)。
また、列車検知状態検出部と、列車検知時間測定部と、極値点検出部と、極値点間隔測定部と、列車速度算出部と、制御区間長算出部とを備え、列車検知時間測定部が列車検知状態検出部による検出結果に基づいて踏切制御子が列車を検知している時間を測定し、極値点間隔測定部が極値点検出部によって検出された軌道送信電圧の極値点間の時間間隔を測定し、列車速度算出部が極値点間隔測定部によって測定された極値点間隔に基づいて列車の速度を算出して、制御区間長算出部が列車検知時間測定部によって測定された列車検知時間と列車速度算出部によって算出された列車速度に基づいて制御区間長を算出するようにした制御区間長測定装置に関する発明も提案されている(特許文献2参照)。
特開2011-73645号公報 特開2018-192922号公報
しかしながら、特許文献1の発明は、制御区間長の算出に使用する列車速度を、スピードガンのような速度計測器を使用して測定するようにしているため、速度計測器を軌道の近傍に設置したり撤去したりする作業が必要であり、制御区間長の測定に要する人手を充分に減らすことができない。また、列車速度は常に変化しており、踏切制御子を通過中に加減速すると誤差が大きくなり精度の高い測定値が得られないという課題がある。しかも、速度計測器を常設の装置にすると、システムが大掛かりとなりコストアップを招くという課題がある。
特許文献2の制御区間長測定装置も、同様に、制御区間長を測定したい踏切ごとに設置する必要があるため、コストアップを招くとともに、波形解析結果から、列車種別(軽量車両・重量車両)や外的影響で波形が乱れるため正確な制御区間長の算出が行えないという課題があることが分かった。
そこで、現在は主として電気検測車による制御区間長の測定が行われているのであるが、電気検測車による測定においては、測定誤差に起因して規定値外と判定される箇所が多数発生しており、規定値外データが発生するたびに信号係員が現地に赴き、レール短絡器を用いた人手による測定を実施しているため、現業職場の業務負担を増加させる原因となっている。なお、電気検測車による測定を可能にするため、H形踏切制御子の近傍には、制御区間長測定用の信号をレールへ送出する制御区間長測定支援用送信器(以下、検測アダプタと称する)が設けられている。
本発明者らは、測定誤差が発生する原因について鋭意検討した結果、踏切制御子の煽り(2段動作)防止のための時素と検測アダプタの劣化が主な原因であることを見出した。
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、踏切制御子の煽り防止のための時素やリレー等の応動時間の影響を受けることなく精度の高い制御区間長の測定を行うことができ、それによって現業職場の業務負担を減らすことができる踏切制御子の制御区間長測定方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、検測アダプタの劣化の影響を軽減し精度の高い制御区間長の測定を行うことができる踏切制御子の制御区間長測定方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、
踏切制御子からレールへ送出された第1信号電流および前記踏切制御子に対応して設けられ車両を検知したことに応じて信号を送信する制御区間長測定支援用送信器からレールへ送出された第2信号電流を受信する第1受信部と第2受信部を、車両の前側と後側に備え、車両に搭載された制御区間長測定装置を用いて踏切制御子の制御区間長を測定する測定方法において、
前記第1受信部が検知した前記第2信号電流の電流値が所定の検知レベルに達した又は前記第2信号電流の電流変化量が所定の値に達したと判定した時点より所定時間前の前記第1信号電流の電流値を当該踏切制御子の動作時電流値として決定し、その動作時電流値とその時の車両位置情報を記憶し、
前記第2受信部が受信した前記第1信号電流の電流値が前記動作時電流値以下になったことを検知したことに応じてその時の車両位置を踏切制御子の落下時の車両位置として決定し、
前記動作時電流値の決定時の車両位置情報と前記落下時の車両位置とに基づいて踏切制御子の制御区間長を算出するようにしたものである。
より具体的には、
先頭車両に設けられ、踏切制御子からレールへ送出された第1信号電流および前記踏切制御子に対応して設けられ車両を検知したことに応じて信号を送信する制御区間長測定支援用送信器からレールへ送出された第2信号電流を受信する第1受信部と、
最後尾車両に設けられ、前記第1信号電流および前記第2信号電流を受信する第2受信部と、
前記第1受信部が受信した第1信号電流および第2信号電流と、前記第2受信部が受信した第1信号電流および第2信号電流と、に基づいて前記踏切制御子の制御区間の長さを算出する演算処理部と、
車両の位置を検出する車両位置検出部と、
を備えた制御区間長測定装置を用いた踏切制御子の制御区間長測定方法であって、
前記第1受信部が前記第1信号電流を検知したことに応じて前記車両位置検出部により検出された位置情報及び前記第1受信部により受信された前記第1信号電流の電流値の記憶を開始する第1ステップと、
前記第1受信部が検知した前記第2信号電流の電流値が所定の検知レベルに達した又は前記第2信号電流の電流変化量が所定の値に達したと判定した時点より所定時間前に記憶した踏切制御子の電流値を当該踏切制御子の動作時電流値として決定し、その動作時電流値とその時の車両位置情報を記憶する第2ステップと、
前記第2受信部が検知した前記第1信号電流の電流値が前記動作時電流値以下になったことを検知したことに応じてその時の車両位置を踏切制御子落下時の車両位置として車両位置情報を記憶する第3ステップと、
前記第2ステップで記憶された車両位置情報と前記第3ステップで記憶された車両位置情報とに基づいて踏切制御子の制御区間長を算出する第4ステップと、
を含むようにしたものである。
上記のような制御区間長測定方法によれば、制御区間長測定支援用送信器(検測アダプタ)からレールへ送出された比較的立下りの緩やかな信号電流の計測電流値と予め設定された判定値との比較によって制御区間の終点を決定するものでないため、踏切制御子の煽り防止のための時素やリレー等の応動時間の影響を受けることなく、電気検測車等の車両に搭載された装置により精度の高い制御区間長の測定を行うことができる。また、検測アダプタが劣化していない場合はもちろんのこと検測アダプタが劣化した場合にも、精度の高い制御区間長の測定を行うことができる。さらに、車両に搭載された装置がもともと備えている機能を利用して、制御区間の始点と終点の位置を決定することができるため、機能の追加に伴う制御区間長測定装置のコストアップを回避することができる。
ここで、望ましくは、前記制御区間長測定装置は記憶部を備え、当該記憶部には編成の長さの情報が記憶されており、
前記第4ステップにおいては、
前記第2ステップで記憶した踏切制御子動作時の車両位置情報と前記第3ステップで記憶した踏切制御子落下時の車両位置情報とから車両の走行距離を算出し、算出された走行距離から編成の長さを引いて踏切制御子の制御区間長を算出するようにする。
かかる方法によれば、走行距離から編成の長さを引いて踏切制御子の制御区間長を算出するため、より精度の高い制御区間長を算出することができる。
さらに、望ましくは、前記踏切制御子は、レールへの信号電流送出点とレールからの信号電流受信点が同一箇所である踏切制御子であるようにする。
上記のように信号電流送出点と信号電流受信点が同一箇所である踏切制御子であれば、踏切制御子へ検測車が近づいて来る際と、検測車が踏切制御子を通過し遠ざかる際とで、電流の経路が変化して車軸に流れる電流値が変化することがないので、制御区間長の測定精度が低下するのを回避することができる。
本発明に係る踏切制御子の制御区間長測定方法によれば、踏切制御子の煽り防止のための時素やリレー等の応動時間の影響を受けることなく精度の高い制御区間長の測定を行うことができ、それによって現業職場の業務負担を減らすことができる。また、検測アダプタの劣化の影響を軽減し精度の高い制御区間長の測定を行うことができるという効果がある。
本発明に係る制御区間長測定方法が適用される踏切制御システムの構成例を示した概略図である。 電気検測車に搭載される踏切制御子の制御区間長算出装置の構成例を示した機能ブロック図である。 検測車の制御区間長測定装置において観測される踏切制御子から出力される信号電流値の変化および検測アダプタから出力される信号電流値の変化を示す波形図である。 検測車の制御区間長測定装置において観測される正常な検測アダプタと劣化した検測アダプタから出力される信号電流値の変化を示す波形図である。 本発明の制御区間長測定方法を適用した検測車の制御区間長測定装置において観測される踏切制御子から出力される信号電流値および正常な検測アダプタから出力される信号電流値の変化を示す波形図である。 本発明に係る制御区間長測定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 検測アダプタが劣化していない場合における従来の制御区間長測定装置と本発明を適用した制御区間長測定装置による測定タイミングおよび測定結果を比較して示す図である。 検測アダプタが劣化した場合における従来の制御区間長測定装置と本発明を適用した制御区間長測定装置による測定タイミングおよび測定結果を比較して示す図である。 (A)は検測車が制御区間へ近づいてくる際の電流経路を示す図、(B)は検測車が制御区間から遠ざかる際の電流経路を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明に係る制御区間長測定方法が適用される踏切制御システムは、図1に示すように、踏切の近傍に設置され遮断機や警報器を制御する踏切制御装置11と、踏切を挟んで踏切からそれぞれ所定距離を置いて配設されているHC形踏切制御子12AおよびHO形踏切制御子12Bを備え、HC形踏切制御子12AとHO形踏切制御子12Bのリレー出力は、ケーブル13A,13Bを介して踏切制御装置11へ伝達され、内部のリレーが落下または動作される。
図1において、矢印Aは列車が進行する方向であり、踏切の列車進入側数100m~数kmの位置に閉電路式のHC形踏切制御子12Aが配設され、踏切の列車進出側数10mの位置に開電路式のHO形踏切制御子12Bが配設されている。また、HC形踏切制御子12AとHO形踏切制御子12Bの近傍には、各制御子12A,12Bの受信器からの列車検知信号を受けて制御区間長測定用の信号(HC形では48kHz,49kHz、HO形では46kHz,47kHz)をレールへ送出する検測アダプタ14A,14Bがそれぞれ設けられている。
図示しないが、HC形踏切制御子12AとHO形踏切制御子12Bを動作させるため、踏切近傍に配設されている電源装置からケーブルを介して電源電圧がそれぞれ供給される。
HC形踏切制御子12Aは、一対のケーブルを介して信号電流送出点より交流信号(約10kHz)をレールRへ送信し、少し離れた部位(信号電流受信点)に接続された一対のケーブルを介して受信することで、列車の在線の有無を検知するもので、列車が在線すると交流信号を受信することができなくなり列車の通過を検知する。一方、HO形踏切制御子12Bは、信号電流送出点と信号電流受信点が同一箇所であり、一対のケーブルを介して交流信号をレールRに印加し、列車が在線すると車軸を通して電流が流れて閉回路が形成され、それを検出することで列車の通過を検知する。
図1において、符号20が付されているのは電気検測車であり、この電気検測車20に、上記検測アダプタ14A,14Bから送信された制御区間長測定用の信号を受信して制御区間長測定処理を行う制御区間長測定装置21が搭載されている。
図2には、電気検測車に搭載される上記制御区間長測定装置21の機能ブロック図が示されている。
制御区間長測定装置21は、図2に示すように、踏切制御子12A、12Bおよび検測アダプタ14A,14Bから送出された信号電流を受信する受信器22A,22Bと、受信した信号をバンドパスフィルタにて踏切制御子信号と検測アダプタ信号に分離する機能を有する接続器23A,23Bと、制御区間長算出部24と、編成の長さ(正確には車軸間距離)など制御区間長の算出に必要なデータを記憶する記憶部25と、演算結果を表示するLCD(液晶表示パネル)のようなモニタもしくはプリンタなどからなる出力部26とを備えている。
上記受信器22A,22Bは、先頭車両の前寄りと最後尾車両の後寄りの台車に取り付けられた受信器である。本実施形態の制御区間長測定装置21は、踏切制御子12A、12Bによりレールへ流される信号電流(第1信号電流)と検測アダプタ14A,14Bによりレールへ流される信号電流(第2信号電流)を受信器22A,22Bで受信し、接続部23A,23Bを経由して制御区間長算出部24へ送信する。
上記制御区間長算出部24は、受信器22A,22Bが受信した信号に基づいて踏切制御子信号を検知する踏切制御子信号検知部24Aおよび検測アダプタの信号電流を検知するアダプタ信号検知部24Bと、マイクロコンピュータ及び演算ロジック回路などからなる演算処理部24Cと、を備えている。踏切制御子信号検知部24Aは受信器22A,22Bが受信した信号から踏切制御子信号をレベル変換したりA/D変換したりする機能を備え、アダプタ信号検知部24Bは受信器22A,22Bが受信した信号からアダプタ信号をレベル変換したりA/D変換したりする機能を備える。
さらに、電気検測車は、上記制御区間長測定装置21とは別個に、車軸に設けられ車軸の回転数に応じた信号を出力する速度発電機31と、速度発電機31から信号を伝達する接続器23Cと、速度発電機31からの信号に基づいて列車(検測車)の速度や走行距離(キロ程)を算出する速度・キロ程算出部32と、を備える。速度・キロ程算出部32により算出された速度と走行距離は演算処理部24Cへ供給される。
次に、本実施形態の制御区間長測定装置21による制御区間長の測定の仕方について説明するが、その前に、図3を用いて、従来の検測車による制御区間長の測定の課題について説明する。
図3において、(a)は検測車の制御区間長測定装置において計測される踏切制御子12Aまたは12Bから出力される信号電流値の変化を横軸に距離をとって示す波形図、(b)は検測車の制御区間長測定装置において計測される検測アダプタ14Aまたは14Bから出力される信号電流値の変化を示す波形図である。また、(c)は人手による検測で得られる正しい制御区間長測定値、(d)は従来の検測車による制御区間長測定値、(e)は(c)や(d)に含まれる時素や応動時間等の計測誤差の原因別の割合を示す図である。
なお、(a)において、Psは制御区間の始点、Peは制御区間の終点、Ltは編成の長さ、Phは検出終了点である。制御区間の始点Psにおける踏切制御子の信号電流値は、列車検出開始時の判定レベル(動作レベル)に相当し、検出終了点Phにおける踏切制御子の信号電流値は列車検出終了時の判定レベル(落下レベル)に相当に相当する。
また、図3(a),(b)において、Lt区間よりも左側の波形は先頭車両の前寄りの台車に設けられた受信器22Aにより検出される電流値、右側の波形は最後尾車両の後寄りの台車に設けられた受信器22Bにより検出される電流値である。
図3(a)に示されているように、検測車で観測される踏切制御子の信号電流値は、検測車が制御区間の始点Psに近づくに従って増加し、制御区間の途中で急速に落ち込み、その後急速に立ち上がってから減少する。また、図3(b)に示されているように、検測車で観測される検測アダプタの信号電流値は、制御区間の始点Psの直後に立ち上がり、一旦落ち込んだ後に立ち上がり、制御区間の終点Peからかなり離れた位置までレベルがだらだらと減少するような変化をする。そのため、(d)の検測車による制御区間長測定値は、(c)の正しい制御区間長測定値に比べて長くなる。
本発明者らは、図3(c)と(d)に差が生じる原因について詳しく検討した。その結果、図3(e)に示すような5つの誤差要因が含まれていることを見出した。図3(e)に示す誤差要因の内訳は、左側から順に、踏切制御子の信号が動作レベルに達してからリレー出力電圧を出力するまでに要する踏切制御子の出力の応動時間(#1)、検測アダプタにおいて検知レベルを上回ったことを判定してから内部のリレーがオンになるまでに要するリレー動作時間(#2)、踏切制御子の動作レベルと落下レベルの差であるヒステリシスによる時素(#3)、煽り(2段動作)防止のための時素(#4)、検測アダプタにおいて検知レベルを下回ったことを判定してから内部のリレーがオフになるまでに要するリレー落下時間(#5)である。
また、検測車による制御区間長測定値に誤差が生じる原因としては、上記時素の他、検測アダプタの劣化が考えられる。図4(a)には、検測車の制御区間長測定装置において観測される正常な検測アダプタから出力される信号電流値の変化が実線で、また劣化した検測アダプタから出力される信号電流値の変化が破線で示されている。図4(b)は人手による検測で得られる正しい制御区間長測定値、(c)は従来の検測車による正常な検測アダプタの場合の制御区間長測定値、(d)は劣化した検測アダプタの場合の制御区間長測定値が示されている。(d)において、#6,#7は、アダプタの劣化に伴う電流値の低下で検出できない誤差である。
図4の(c)と(d)を比較すると明らかなように、劣化した検測アダプタから出力される信号電流値は小さくなるのに対し検測車での検知レベルは一定であるため、制御区間長が正常な場合に比べて短く測定されることが分かった。
本発明者らは、上記検討結果に基づいて、その対策を考え、本実施形態の制御区間長測定方法を開発するに至った。以下、その制御区間長測定方法について、図5の波形図を用いて詳細に説明する。図5は検測車の制御区間長算出部24において観測される電流波形であり、(a)は踏切制御子12Aまたは12Bから出力される信号電流値の変化を横軸に距離をとって示す波形図、(b)は検測アダプタ14Aまたは14Bから出力される信号電流値の変化を示す波形図である。
踏切制御子(以下、制御子と略す)の特性から、制御子が列車を検知する際(タイミングt1)に制御区間長算出部24が計測する制御子の電流(以下、動作時電流値と称する)ionと、制御子が列車を検知しなくなる際(タイミングt3)に検測車が計測する制御子の電流(以下、オフタイミング電流と称する)ioffはほぼ同じ電流値になると考えられる。また、制御子が列車を検知するタイミングt1から検測アダプタの出力電流が立ち上がったと判定するタイミングt2までの時間Δt1(図3(e)の#1+#2に相当)は、列車の速度には依存しないため、Δt1時間に走行した測定長を予め走行試験等によって把握しておくことができる。
従って、制御子の動作タイミングt1の電流ionが分かれば、落下タイミングt3を知ることができ、t1とt3の時間に列車が走行した距離から制御区間長を算出できることが分かる。本発明の制御区間長測定方法は上記の考え方に基づいて開発されたものであり、以下、具体的な手順について、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
検測車の制御区間長測定装置は、図6の処理を開始すると、先ず、先頭車両の受信器22Aが受信した踏切制御子からの信号電流(制御子電流)を読み込み(ステップS1)、制御子電流を検知した否か判定する(ステップS2)。そして、電流を検知した(Yes)と判定すると、制御子からの電流値をその時の車両位置(キロ程)と共に記億する(ステップS3)。具体的には、速度発電機からの信号に基づく列車走行距離の算出が所定の単位(例えば10cm)で実行されるため、距離の単位に合わせたタイミングで制御子からの電流値とその時の距離(キロ程)を記憶する。
次に、先頭車両の受信器22Aが受信した検測アダプタからの信号電流(アダプタ電流)を読み込み(ステップS4)、アダプタ電流が予め設定した検知レベルに達したか否か判定する(ステップS5)。そして、アダプタ電流が検知レベルに達した(Yes)と判定すると、ステップS6へ進み、計測された検測アダプタの電流値が検知レベルに達したと判定したタイミング(t2)からΔt1前に記憶した受信器22Aの電流値(制御子電流)を、制御子の動作時電流値ionとして決定し、電流値ionとその時の距離(キロ程)L1を記憶する。
それから、最後尾車両の受信器22Bが受信した踏切制御子からの信号電流(制御子電流)を読み込み(ステップS7)、制御子電流がステップS6で記憶した動作時電流値ion以下となったか否か判定する(ステップS8)。
そして、ステップS8で制御子電流がion以下になった(Yes)と判定すると、ステップS9へ進み、その時の車両位置(キロ程)を記億する。次に、ステップS6で記憶した距離(キロ程)L1とステップS9で記憶した距離(キロ程)L3とから図5(a)のt1からt3までの走行距離Lr(=L3-L1)を算出し、走行距離Lrから編成の長さLtを引いた値を制御区間長として求める(ステップS10)。
ここで、走行距離Lrから編成の長さLtを引くのは、先頭車両の前寄りの車軸と最後尾の車両の後寄りの車軸に対応してそれぞれ信号電流を受信する受信器が設けられており、ステップS1の判定は先頭車両の車軸の受信器から信号に基づいて実行し、ステップS8の判定は最後尾の車両の車軸の受信器から信号に基づいて実行するためである。
上記フローチャートに従った処理によれば、図5の(c),(d)に示すように、踏切制御子に含まれる時素や応動時間等の影響をほとんど受けずに、正確な制御区間長を算出することができる。
また、検測アダプタが劣化していない場合には、ステップS5の判定において、アダプタ電流と検知レベルと比較することで、正確な制御区間長を算出することができるが、検知レベルと比較する代わりに、読み込んだアダプタ電流と一定距離(例えば2m)前のアダプタ電流との差(電流変化量)を算出し、その電流変化量があらかじめ設定した値に達したか否かを判定する手法を用いることで、検測アダプタが劣化している場合にも正確な制御区間長を算出することができる。さらに、あらかじめ設定した変化量に達した状態が一定距離継続した場合に、ステップS5の判定を確定とする手法を用いることで、瞬時的なノイズの誤検知を防ぐこともできる。以下、図6のフローチャートに従った処理によって、正確な制御区間長を算出することができる理由を、図7および図8を用いて説明する。
図7は、検測アダプタが劣化していない場合における従来の制御区間長測定装置と本発明を適用した制御区間長測定装置においてステップS5に変化量による判定を用いた場合の測定タイミングおよび測定結果を比較して示すもので、図7(a)と(b)は、図3(a),(b)および図5(a),(b)と同じ踏切制御子の信号電流波形と検測アダプタの信号電流波形を表わしている。また、図7(c)は人手による検測による測定結果を、図7(d)は従来の測定装置による測定結果を、図7(e)は本発明を適用した測定装置においてステップS5に変化量による判定を用いた場合の測定結果を表わしている。
図7においては、図7(d)は図3(e)と同じであり、前述したように誤差要因#1~#5を含んでいる。一方、本発明を適用した制御区間長測定装置においては、検測アダプタの信号電流を検知した時点よりもΔt1前を制御区間の開始点Psとし、そのときの電流値を動作時電流値ionとしそれと同じ電流値をオフタイミング電流ioffとして、踏切制御子の信号電流がioffになったタイミングを制御区間の終了点Peとして測定している。このようにした場合、本発明を適用した結果を表わす図7(e)は、手検測の(c)と一致することから、人手による検測の場合とほぼ同じ制御区間長測定値が得られることが分かる。
一方、図8は、検測アダプタが劣化した場合における従来の測定装置と本発明を適用した測定装置においてステップS5に変化量による判定を用いた場合の測定タイミングおよび測定結果を比較して示すもので、図8(a)は踏切制御子の信号電流波形を、図8(b)は図4(a)の破線と同じ劣化した検測アダプタの信号電流波形を表わしている。また、図8(c)は人手による検測による測定結果を、図8(d)は従来の測定装置による測定結果を、図8(e)は本発明を適用した制御区間長測定装置においてステップS5に変化量による判定を用いた場合の測定結果を表わしている。
図8においては、図8(d)は図4(d)と同じであり、前述したように検出不能な誤差#6,#7を含んでいる。一方、本発明を適用した制御区間長測定装置においては、検測アダプタの信号電流を検知した時点よりもΔt1前を制御区間の開始点Psとし、そのときの電流値を動作時電流値ionとしそれと同じ電流値をオフタイミング電流ioffとして、踏切制御子の信号電流がioffになったタイミングを制御区間の終了点Peとして測定している。この場合にも、図8(e)は、手検測の(c)と一致することから、本発明を適用することで人手による検測の場合とほぼ同じ制御区間長測定値が得られることが分かる。
ところで、図6のフローチャートは、HO形踏切制御子にそのまま適用しても問題ないが、HC形踏切制御子にそのまま適用すると測定精度が低下するので対策が必要である。以下、その理由を、図9を用いて説明する。
図9(A)には、HC形踏切制御子の制御区間に検測車が近づいてくる際の軌道短絡電流の経路CP1が、図9(B)には、検測車がHC形踏切制御子の制御区間を通過し遠ざかる際の軌道短絡電流の経路CP2が示されている。
図9(A)に示すように、踏切制御子へ検測車が近づいて来る際には、踏切制御子12Aの信号電流送出点(レールボンド)P1からレールへ送出された電流のうち多くの電流i2が検測車の先頭側の車軸を流れるが、受信点P2にも一部の電流i1が流れる。一方、検測車が踏切制御子を通過し遠ざかる際には、図9(B)に示すように、レールへ送出された電流のうち大部分の電流i4が検測車の最後尾の車軸に流れることとなり、受信点P2に流れる電流i3は少なくなる。
上記のように、HC形踏切制御子においては、車軸と制御子受信部とが並列回路を形成するため、検測車が踏切制御子12Aの受信点側(車両進入側)にいる場合と送信点側(車両進出側)にいる場合とでは、車軸に流れる検知電流が異なることになる。そのため、前記実施例(図6のフローチャート)のやり方では、落下点を正確に検知することができず、測定精度が低下するおそれがある。
これに対し、HO形踏切制御子においては、信号電流送出点と信号電流受信点が同一箇所であるため、検測車が踏切制御子12Bの進入側にいる場合も進出側にいる場合も同一の検知電流が車軸に流れる。そのため、HO形踏切制御子においては、図6のステップS4で、検測アダプタからの電流を検知したタイミング(t2)からΔt1前に記憶した制御子電流値を制御子の動作時電流値ionとして決定し、ステップS7で、制御子からの信号電流が動作時電流値ion以下となったか否か判定することによって、落下点を正確に検知し制御区間長を高い精度で算出することができる。
なお、HC形踏切制御子に上記実施例を適用する場合には、図9(A)と(B)の車軸電流値の相違を考慮して、例えば検知電流値の補正を行うことによって、制御区間長を算出することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、前記実施形態においては、検測車の先頭車両の前寄りの台車と最後尾車両の後寄りの台車にそれぞれ受信器22Aと22Bを設けているが、検測車が1両編成の場合には、先頭車両と最後尾車両は同一の車両となる。さらに、前記実施形態においては、踏切制御子からレールへ送出された信号電流と検測アダプタからレールへ送出された信号電流を同一の受信器で受信しているが、別個の受信器で受信するようにしても良い。
また、前記実施形態においては、検測車の位置を走行距離(キロ程)によって把握しているが、検測車に搭載されたGPS(全地球測位システム)受信機により受信した検測車の位置情報や鉄道GIS(Geographic Information System)の情報を利用して、制御区間長を算出するようにしても良い。
11 踏切制御装置
12A HC形踏切制御子
12B HO形踏切制御子
13A,13B ケーブル
14A,14B 検測アダプタ(制御区間長測定支援用送信器)
20 電気検測車
21 制御区間長測定装置
22A,22B 受信器
23A,23B,23C 接続器
24 制御区間長算出部
24A 制御子信号検知部
24B 検測アダプタ信号検知部
24C 演算処理部
25 記憶部
26 出力部
31 速度発電機
32 速度・キロ程算出部

Claims (4)

  1. 踏切制御子からレールへ送出された第1信号電流および前記踏切制御子に対応して設けられ車両を検知したことに応じて信号を送信する制御区間長測定支援用送信器からレールへ送出された第2信号電流を受信する第1受信部と第2受信部を、車両の前側と後側に備え、車両に搭載された制御区間長測定装置を用いて踏切制御子の制御区間長を測定する測定方法であって、
    前記第1受信部が検知した前記第2信号電流の電流値が所定の検知レベルに達した又は前記第2信号電流の電流変化量が所定の値に達したと判定した時点より所定時間前の前記第1信号電流の電流値を当該踏切制御子の動作時電流値として決定し、その動作時電流値とその時の車両位置情報を記憶し、
    前記第2受信部が受信した前記第1信号電流の電流値が前記動作時電流値以下になったことを検知したことに応じてその時の車両位置を踏切制御子の落下時の車両位置として決定し、
    前記動作時電流値の決定時の車両位置情報と前記落下時の車両位置とに基づいて踏切制御子の制御区間長を算出することを特徴とする踏切制御子の制御区間長測定方法。
  2. 先頭車両に設けられ、踏切制御子からレールへ送出された第1信号電流および前記踏切制御子に対応して設けられ車両を検知したことに応じて信号を送信する制御区間長測定支援用送信器からレールへ送出された第2信号電流を受信する第1受信部と、
    最後尾車両に設けられ、前記第1信号電流および前記第2信号電流を受信する第2受信部と、
    前記第1受信部が受信した第1信号電流および第2信号電流と、前記第2受信部が受信した第1信号電流および第2信号電流と、に基づいて前記踏切制御子の制御区間の長さを算出する演算処理部と、
    車両の位置を検出する車両位置検出部と、
    を備えた制御区間長測定装置を用いた踏切制御子の制御区間長測定方法であって、
    前記第1受信部が前記第1信号電流を検知したことに応じて前記車両位置検出部により検出された位置情報及び前記第1受信部により受信された前記第1信号電流の電流値の記憶を開始する第1ステップと、
    前記第1受信部が検知した前記第2信号電流の電流値が所定の検知レベルに達した又は前記第2信号電流の電流変化量が所定の値に達したと判定した時点より所定時間前に記憶した踏切制御子の電流値を当該踏切制御子の動作時電流値として決定し、その動作時電流値とその時の車両位置情報を記憶する第2ステップと、
    前記第2受信部が検知した前記第1信号電流の電流値が前記動作時電流値以下になったことを検知したことに応じてその時の車両位置を踏切制御子落下時の車両位置として車両位置情報を記憶する第3ステップと、
    前記第2ステップで記憶された車両位置情報と前記第3ステップで記憶された車両位置情報とに基づいて踏切制御子の制御区間長を算出する第4ステップと、
    を含むことを特徴とする踏切制御子の制御区間長測定方法。
  3. 前記制御区間長測定装置は記憶部を備え、当該記憶部には編成の長さの情報が記憶されており、
    前記第4ステップにおいては、
    前記第2ステップで記憶した踏切制御子動作時の車両位置情報と前記第3ステップで記憶した踏切制御子落下時の車両位置情報とから車両の走行距離を算出し、算出された走行距離から編成の長さを引いて踏切制御子の制御区間長を算出することを特徴とする請求項2に記載の踏切制御子の制御区間長測定方法。
  4. 前記踏切制御子は、レールへの信号電流送出点とレールからの信号電流受信点が同一箇所である踏切制御子であることを特徴とする請求項2または3に記載の踏切制御子の制御区間長測定方法。
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