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JP7558626B2 - 空調システム - Google Patents
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Description

本発明は、特にペリメータゾーンを対象として空調を行う空調システムに関する。
空調の制御においては、快適な空調環境の実現や省エネルギーでの運転を目的として、対象空間における熱的環境に関する条件を種々のパラメータを通してなるべく正確に把握し、これらを加味して空調システムを運用するといったことが行われており、このようなパラメータのひとつとして日射量が用いられる場合がある。特に、外皮負荷の影響を受けやすいペリメータゾーンでは、場所によっては日射量の影響が大きく、空調の制御に日射量を加味することで、より目的の場所の熱環境に即した運転を行うことができる。
日射量には、対象とする地点の緯度、経度と時季、時刻、天気が影響することは勿論であるが、その他に地形や、遮蔽物の有無が関係する。すなわち、測定する地点の周囲に何らかの自然物や構造物が存在する場合、時刻によってはそれらが日光を遮蔽し、対象における日射量や、該日射量の測定に影響する可能性がある。
尚、遮蔽物の存在を前提として日射量を評価し得る技術を記載した先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1がある。
特開2010-217107号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の如き技術では、3次元地図モデルを用いた複雑な演算処理が必須である。また、特許文献1に記載の日射量の評価方法においては、地形条件が考慮されているが、これはあくまである程度広い領域に生じる山岳等の影を想定したものであり、より小さい構造物によって生じる影までを計算に入れることは難しい。ある特定の地点や建造物における日射量を把握したい場合、対象の地点に日射計等を設置すればこれを測定でき、その際には上記特許文献1に記載の如き技術を用いて測定値を補正するといったことは可能であるが、このとき、仮に前記日射計の近傍に柱や建築物等の比較的小さい遮蔽物が存在していたとすると、これによる測定値への影響を排除することは困難である。すなわち、特定の時刻に前記日射計の位置に前記遮蔽物による日影が生じる場合、実際の日射量と比較して低い測定値が前記日射計から出力されてしまい、これによって把握される日射量が実態と乖離してしまうといったことが起こり得る。
本発明は、斯かる実情に鑑み、時刻により生じる日影の影響を考慮し、日射量を極力正確に推定し、これに基づいてペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正し得る空調システムを提供しようとするものである。
本発明は、給気を送り出す空調機と、前記空調機から対象空間へ給気を導く給気ダクトと、対象空間へ給気を吹き出す吹出口と、前記吹出口から吹き出される給気の風量を調整する変風量装置と、ペリメータゾーンに設けられ、室内空気を上方へ送り出すペリメータファンと、前記ペリメータファンの上方に設けられた吸込口とを備え、ペリメータゾーンの床近傍温度に関連する複数のパラメータに基づき、ペリメータゾーンの各位置における床近傍温度を推定し、推定された床近傍温度に基づき、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の吹出風量を調整するよう構成され、前記床近傍温度の推定は、少なくとも日射量をパラメータとして用いて行うよう構成され、前記日射量は、日射計に日影の生じる時間として設定された日影時間においては、大気外全天日射量に基づき日射量の算出された推定値として把握する一方、それ以外の時間においては、前記日射計における実測値として把握するよう構成されていることを特徴とする空調システムにかかるものである。
本発明の空調システムにおいて、日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出することができる。
本発明の空調システムにおいて、日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出することができる。
本発明の空調システムにおいて、午前の日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出し、午後の日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出することができる。
本発明の空調システムにおいては、日影時間であり、且つ天気が晴れと判定されたことを条件として日射量の推定を行うことができる。
本発明の空調システムにおいて、前記床近傍温度の推定は、パラメータとしてさらに対象の位置における日射の有無を用いて行うことができる。
本発明の空調システムにおいて、前記日射の有無は、対象の位置における日影時間に基づき把握することができる。
本発明の空調システムにおいて、対象の位置における日影時間は、天空率図に基づき把握することができる。
本発明の空調システムは、機械学習により生成された温度推定モデルを用いてペリメータゾーンの床近傍温度を推定するよう構成することができる。
本発明の空調システムにおいて、前記温度推定モデルは、さらに以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度を推定するよう構成することができる。
・外気温度
・風向
・風速
・降雨量
・前記床近傍温度センサの測定値
・前記空調機の運転状態
・前記ペリメータファンの運転状態
・ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の運転状態
・対象空間に設置される温度センサの測定値
・日付
・時刻
・曜日
本発明の空調システムによれば、時刻により生じる日影の影響を考慮し、日射量を極力正確に推定し、これに基づいてペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正するという優れた効果を奏し得る。
本発明を適用した空調システムの構成の一例を示す概略図である。 本発明を適用した空調システムにおいて、ペリメータゾーンに面して設置される変風量装置および床近傍温度センサの配置の一例を示す概略平面図である。 複数階にわたる建物に対して適用された本発明の空調システムの全体構成の一例を示す概略図である。 本発明を適用した空調システムにおいて、基準階のペリメータゾーンに面して設置される変風量装置および床近傍温度センサの配置の一例を示す概略平面図である。 温度推定モデルの入出力構成の一例を示す概念図である。 日射有無の計算対象位置の一例を示す概略平面図である。 本発明の実施例において、変風量装置等の運転状況を設定する手順の一例を説明するフローチャートである。 室内空気の上下間における温度差と、その差を踏まえた温度の制御について説明する概念図である。 床近傍温度の推定値に基づいて算出される制御偏差と、温度補正値の関係の一例を説明するグラフである。 外気温度と、給気温度の上限値の関係の一例を説明するグラフである。 図1の空調システムのペリメータゾーン近傍における室内空気の温度分布の一例を説明する概略図である。 本実施例における温度補正値を用いた制御を概念的に説明するブロック図である。 日射計において測定される日射量の変動の一例(遮蔽物が存在しない場合)を示すグラフである。 日射計において測定される日射量の変動の別の一例(遮蔽物が存在する場合)を示すグラフである。 日射計による日射量の測定値と、実際の日射量と、日射量の推定値の関係の一例を示すグラフである。 本発明の日射量の推定方法を実行する手順の一例を説明するフローチャートである。 本発明の日射量の推定方法を実行する手順の別の一例を説明するフローチャートである。 本発明の日射量の推定方法を実行する手順のさらに別の一例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施による空調システムの一例を模式的に示している。空調機1から送り出される空調された空気(給気)A1は、給気ダクト2を通ってオフィス等の室内である対象空間Sへ導かれる。対象空間Sの天井3には複数の吹出口4が設置されており、各空調機1から伸びる給気ダクト2の下流側は、各吹出口4に接続されている。給気ダクト2を流通する空調空気A1は、各吹出口4から対象空間Sへ供給される。
給気ダクト2における各吹出口4の手前の位置には、それぞれ変風量装置5が備えられている。変風量装置5はVAV(Variable Air Volume)等と略称される装置であり、内部に備えたダンパの開度を変更することで、内部を通過する空気の風量を調整するようになっている。給気A1は、対象空間Sへ供給されるにあたり、変風量装置5により風量を調整される。
対象空間Sは、外皮負荷の影響を受けやすい窓際などのペリメータゾーンPと、その内側のインテリアゾーンIに分けることができる。図1には、インテリアゾーンIに面する位置と、ペリメータゾーンPに面する位置にそれぞれ変風量装置5を1台ずつ図示しており、またインテリアゾーンIに面する変風量装置5に対し給気A1を送り出す空調機1(インテリア空調機1a)と、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5に対し給気A1を送り出す空調機1(ペリメータ空調機1b)をそれぞれ1台ずつ図示している(尚、これは模式的に簡略化された図であり、実際の空調システムにおいては、変風量装置5や空調機1の数や配置、空調機1に対する変風量装置5の台数等は、対象空間Sの規模や形状、熱状況等に応じて適宜設定されることは言うまでもない)。
天井3には、インテリアゾーンIおよびペリメータゾーンPにあたる位置にそれぞれ吸込口7,16が設けられている。インテリアゾーンI、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5からは、それぞれインテリア空調機1aまたはペリメータ空調機1bから送られた給気A1が、吹出口4を通じて対象空間Sへ供給され、該対象空間S内の空気(室内空気)A2と混合する。
室内空気A2のうち、主にインテリアゾーンIにある一部は、インテリアゾーンIに面する吸込口7から還気A3として取り込まれる。還気A3のうち、一部は還気ダクト8の外へ排気A4として排出され、一部は還気ダクト8から新たに取り込まれる外気A0と混合してインテリア空調機1aに戻り、温度や湿度を調整されたうえで再度、給気A1として送り出される。
室内空気A2のうち、主にペリメータゾーンPにある一部は、ペリメータゾーンPに面する吸込口16から還気A3として取り込まれ、還気ダクト17を通って全量がペリメータ空調機1bに戻り、温度を調整されたうえで再度、給気A1として送り出される。こうして、空調機1と対象空間Sの間を空気が循環するようになっている。ここでインテリア空調機1aと異なり、還気として全量が戻される理由は、ペリメータゾーンPには基本的に人がおらず、呼気や潜熱分の外気換気が不要だからである。
このような空調システムにおいては、例えば変風量方式と呼ばれる空調方式により、対象空間S内における空調負荷の変動に対応するようになっている。対象空間S内の適当な箇所(ここに示した例では、天井3)には、天井3の温度T1を測定する温度センサ9が設けられている。変風量装置5には、それぞれ制御装置(VAVコントローラ)が設けられており、温度センサ9における測定値T1と、変風量装置5における温度設定値(後述の天井付近温度目標値)の偏差Eが0になるよう、制御器である変風量装置5に対し、偏差に基づく演算にPI制御等を用いる制御を行い、適当な風量の給気A1を吹出口4から供給するようになっている。例えば、暖房時において、天井付近温度目標値に対し、温度センサ9の測定値T1が低い場合には給気A1の供給量を大きくし、天井付近温度目標値と測定値T1が近い場合には供給量を少なくする、といった制御を行う。
空調システムを構成する各機器の運転状況は、制御装置10によって監視し、操作される。制御装置10は、各空調機1(インテリア空調機1aやペリメータ空調機1b)の動作を制御するコントローラ等を備えており、例えば各変風量装置5における要求風量や、対象空間S内における設定温度といった値を取得し、これらに基づいて、各空調機1から供給される給気A1の温度や風量等を決定するようになっている。
各変風量装置5の制御装置では、各温度センサ9における測定値を取得し、設定温度との偏差に基づいて変風量装置5内のダンパの開度を調整し、適当な風量の給気A1を吹出口4から供給する。すなわち、例えば暖房時において、天井付近温度目標値に対し、温度センサ9の測定値T1が低い場合には給気A1の供給量を大きくし、天井付近温度目標値と測定値T1が近い場合には供給量を少なくする、といった制御を行う。
各空調機1では、変風量装置5から送り出される給気A1を各変風量装置5へ送り出すが、ここで送り出される給気A1の量は、その下流の変風量装置5における要求風量の合計である。そこで、制御装置10では、各変風量装置5における要求風量に基づき、各空調機1における供給風量を決定する。
以上のような風量による制御に加え、実際の空調システムでは、さらに要求風量に応じて給気温度(空調機1から送り出される給気A1の温度)を調整する制御(ロードリセット制御)もあわせて行われる。変風量方式の空調システムでは、原則的に、負荷が大きければ変風量装置5からの要求風量が増え、負荷が小さければ要求風量が減ると言える。そこで、変風量装置5からの要求風量に応じ、空調機1における給気A1の供給風量だけでなく、給気温度をも適宜変更するのである。例えば暖房時において、要求風量が変風量装置5の定格風量に対して小さい場合には、給気温度の設定値を下げる。尚、ロードリセット制御としては種々の方式を採用することができ、例えば変風量装置5の開度情報に基づき、各変風量装置5の開度が所定の開度範囲に収まるよう給気温度の設定値を変更する方式でもよいし、変風量装置5の設定温度(例えば天井付近温度目標値)と計測温度(空調システム内の適当な箇所における空気の計測温度。例えば、天井3の温度や還気A3の温度)の偏差に重みづけを行い、その重みづけに基づいて給気温度の設定値を変更する方式でもよい。
このように、図1に示す如き空調システムにおいては、室内負荷に合わせ、供給風量および給気温度が自動で変更される。
ところで、こうした空調システムでは、室内空気A2の温度を温度センサ9の測定値として把握しているため、対象空間S内にいる人が実際に接している室内空気A2の温度と、制御装置10において把握される室内空気A2の温度が乖離する場合がある。図1に示す例では天井3の高さに温度センサ9が配置されているが、外気条件や、変風量装置5および空調機1といった各機器の制御条件等により、人の位置する床面付近の室内空気A2の温度T2と、温度センサ9の位置する天井付近の室内空気A2の温度T1に差が生じてしまうのである。
特に、外気温度の低い冬季等においては、ペリメータゾーンPにある室内空気A2が外気によって冷却され、下方に沈み込んで床面に沿って流れるコールドドラフトと呼ばれる冷気の流れが発生し、これにより、ペリメータゾーンPやその近傍に位置する人が不快に感じる状況が生じる場合がある。温かい空気は冷たい空気と比較して比重が小さいため、天井3の吹出口4から暖気が供給されていても、該暖気と冷気の温度差が大きかったり、風量が十分でないと、吹出口4から下方に向かう吹き出し空気の慣性力が上向きの浮力によって打ち消されてしまい、床面付近まで届かないことが想定されるのである。
そこで、本実施例では、ペリメータゾーンPの床面付近に、ペリメータゾーンPにおける室内空気A2の温度分布を是正する目的でペリメータファン6を設けている。ペリメータファン6は、対象空間S内の室内空気A2を窓面に沿って上向きに送り出すようになっている。このペリメータファン6の作動により、ペリメータゾーンPの床面付近から上方へ向かう室内空気A2の流れを形成すれば、外気によって冷却された窓面付近の室内空気A2がコールドドラフトとなってペリメータゾーンPより内側のインテリアゾーンIへ向かうのを妨げ、上方の吸込口16へ送り込むことができる。また、これにあわせ、ペリメータファン6に向けて近傍の変風量装置5から室内空気A2を送り出すようにすれば、ペリメータファン6の動作と相俟って、温度の高い室内空気A2をペリメータゾーンPの外縁付近まで供給することもできる。
さらに本実施例では、図1、図2に示す如く、ペリメータゾーンPの近傍に位置する変風量装置5のうち、一部の変風量装置5の平面視における近傍に、床近傍温度センサ11を設けている(図1には、側面視における床近傍温度センサ11の位置を破線にて示している)。床近傍温度センサ11は、ペリメータゾーンPにおいて人等の存在する高さである床面またはその近傍に設置され、周囲の空気の温度を計測するセンサである。この床近傍温度センサ11により取得されたペリメータゾーンPの各所における床面近傍の空気温度(以下、簡単のため「床近傍温度」と称する)は、別の位置の床近傍温度の推定に用いられる。推定された床近傍温度は、その位置に面する変風量装置5からの空気の吹出量の設定に使用される。
ここで、本明細書でいう「床近傍温度」とは、床面の付近である0cm以上10cm未満、または居住域である10cm以上170cm以下における空気の温度を指す。また、床近傍温度を測定する床近傍温度センサ11は、床面やその付近の温度を測定する場合には0cm以上10cm未満の高さに設ければよいし、居住区の温度を測定する場合には10cm以上170cm以下の高さに設ければよい。
床近傍温度センサ11の平面視における設置位置は、各ペリメータファン6(図1参照)の内側とすると好適である。ペリメータファン6は通常、対象空間Sの内側に面する側から室内空気A2を取り込んで上方へ送り出すように配置される。このため、ペリメータファン6に対して内側に床近傍温度センサ11を設けると、ペリメータファン6に取り込まれる床面付近の室内空気A2が床近傍温度センサ11に対し動きながら接触するので、床近傍温度センサ11において美観性を損なわず清掃の際に清掃器具が床近傍温度センサ11に当接し損傷することを防止し、好適に床近傍温度を取得することができる。
尚、図1では説明の便宜のため、2台の空調機1、1個の対象空間S、2個の吹出口4および2台の変風量装置5、1台のペリメータファン6、計2個の吸込口7,16を簡単に図示したが、これはあくまで説明のための模式的な図であって、実際の空調システムにおいては、空調機1や変風量装置5の設置台数を変更したり、複数の対象空間Sに給気A1を導く構成としてもよい。対象空間Sあたりの吹出口4の設置数も、対象空間Sの広さ等に応じて適宜変更し得る。また、実際の空調システムにおいては、ここに示した機器類の他にも各種の機器やセンサ等が設置されるが、本発明の趣旨と直接関係しない構成については、適宜図示を省略している。
このような空調システムは、例えば図3に示す如く、ある建物の全体に対して設置することができ、各階には例えば図2に示す如く、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の一部に関し、平面視におけるその近傍の位置に床近傍温度センサ11が設置される。ここに示した例では、各対象空間SのペリメータゾーンPに関し、平面視における各辺毎に1個ずつ、床近傍温度センサ11を設置している(尚、ここでいう「ペリメータゾーンPに面する変風量装置5」とは、「ペリメータゾーンPに対し空気を供給する変風量装置5」程度の意味である)。ペリメータゾーンPの温度状況は、外気に面した窓面や壁を介して外皮負荷(風向や日照等)の影響を受けやすく、同じ建物あるいは対象空間S内であっても窓面や壁の方位によって大きく異なるが、同じ室内で且つ建物に対する方角が同じであれば、概ね同じような温度状況になると考えられるからである。すなわち、例えばある対象空間Sにおいて、北側の壁に面するペリメータゾーンPの各所における床近傍温度を推定する場合、北側に1個だけ設けられた床近傍温度センサ11の測定値T2を説明変数の一つとして使用することができる。
つまり、各階の各対象空間SのペリメータゾーンPは、方角によって異なる温度状況上の特性に応じ、原則として大きく4系統に分けることができ、例えば北東に面する窓や壁と、北西に面する窓や壁を有する対象空間Sについては、北東側のペリメータゾーンPと、北西側のペリメータゾーンPの2系統のペリメータゾーンを有していると見なすことができる(尚、特殊な形状の階あるいは対象空間Sについては、無論この限りではなく、より多系統のペリメータゾーンPを有すると見なし得る場合も想定できる)。そして、これら各系統に該当するペリメータゾーンP毎に、後述する温度推定モデルMを生成する。このとき、ペリメータゾーンPの各系統(建物の平面視における各方角に該当する辺)ごとに少なくとも1個の床近傍温度センサ11を設け、それら床近傍温度センサ11の測定値を説明変数の一つとして使用すると、方角の影響を考慮した床近傍温度の推定を行うことが可能となる。
尚、上に説明したような方角によるペリメータゾーンの系統分けや、それによる温度推定モデルの作成はあくまで一例であり、実際に温度推定モデルを生成するにあっては、ペリメータゾーンの分け方や温度推定モデルの作り方は、現場の温度状況等に応じて適宜設定し得る。例えば、同じ室内で且つ同じ方角であっても、温度状況が異なると考えられるような場合には、2個以上の床近傍温度センサ11を設置し、それぞれの測定値を説明変数として使用してもよい(このとき、各床近傍温度センサ11の測定値を使用する温度推定モデルをそれぞれ作成してもよいし、また、複数の床近傍温度センサ11の測定値を説明変数として使用する一個の温度推定モデルを生成してもよい)。
あるいは、例えば北東側のペリメータゾーンと北西側のペリメータゾーンにそれぞれ床近傍温度センサ11を設け、それら複数の床近傍温度センサ11の測定値を説明変数として使用する一個の温度推定モデルを生成して、北東側および北西側のペリメータゾーンの他の位置における床近傍温度を推定する、といった運用も可能である。温度推定モデルの生成数を多くすると、床近傍温度の推定精度は向上する一方、計算量が増大してしまうので、計算量を節約する必要がある場合には、こういった方法は有効である。
尚、図2にはペリメータゾーンPに設置された変風量装置5、および床近傍温度センサ11のみを図示しているが、実際にはインテリアゾーンIにも変風量装置5が適宜配置されているほか、ペリメータファン6や温度センサ9といった機器類も図1に示す通りに配置されていることは勿論である。また、図3には空調システムの全体図として簡略化された建物および空調システムを図示し、また各階に空調機1(ペリメータ空調機1b)や変風量装置5を1台ずつ図示しているが、実際の建物の階数はここに示した階数と異なっていてもよいこと、各階にはより多くの空調機1や変風量装置5が設置されていてもよいことは言うまでもない。むろん、各階の間取りや、各対象空間Sにおける変風量装置5の配置は、図2に示した構成とは異なっていてもよい。
建物を構成する階のうち、一部の階においては、図4に示すように、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の全台に関し、その近傍に床近傍温度センサ11を設置している。後述する温度推定モデルMを生成するための学習データD(図3参照)に使用する、床近傍温度の実測値T2を採集するためである。
図4に示す如く、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の全台に対して床近傍温度センサ11を設置する階(以下、「基準階」と称する)は、例えば間取りが共通する複数の階のうち特定の一部階とするとよい。間取りが共通していれば、温度状況は概ね同じようになると考えられるからである。つまり、例えば11階から40階までの間取りが同じ建物において、11階~40階を対象とする場合には、25階を基準階と設定し、25階で採集された床近傍温度の実測値を学習データDに使用して温度推定モデルMを生成し、11階から40階までの他の階における床近傍温度の推定に用いればよい。尚、間取りが共通していても、高さが大きく異なればそれに応じて温度状況にも差が生じることも考えられるので、そういった場合は、例えば18階と32階をそれぞれ別の基準階としてもよい。すなわち、18階を第一の基準階として採集した学習データに基づき第一の温度推定モデルを生成し、11階から24階までの他の階における床近傍温度の推定に用い、また、32階を第二の基準階として採集した学習データに基づき第二の温度推定モデルを生成し、25階から40階までの他の階における床近傍温度の推定に用いるのである。あるいは、例えば近傍のビルの影などの影響により特定の階を境に温度状況が大きく変化するような場合、前記特定の階の上下でそれぞれ別の温度推定モデルを適用してもよい。このように、基準階の設定や、ある温度推定モデルを適用する対象は、各種の条件を勘案して適宜決定すればよい。
各階の空調は、図3に示す如く空調機1、変風量装置5、ペリメータファン6、温度センサ9、床近傍温度センサ11および制御装置10によって運転され、各階における空調の運転状況は、各階の制御装置10に接続された中央監視装置12により監視され、統御される。中央監視装置12は、建物全体の空調・電気システム等を総合的に監視する装置である。中央監視装置12には、さらに温度推定部13が接続され、温度推定部13にはモデル生成部14が接続される。温度推定部13およびモデル生成部14は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。温度推定部13は、後述するように、各階のペリメータゾーンP(図1、図2参照)における床近傍温度を推定する。モデル生成部14は、温度推定部13が床近傍温度を推定するための温度推定モデルMを生成する。温度推定モデルMは、学習データDに基づいて生成され、床近傍温度センサ11の測定値T2のほか、種々のパラメータを説明変数とし、ある位置における床近傍温度を推定するモデルである。そして、例えばある階の特定の対象空間Sの北側にあたるペリメータゾーンPの複数箇所における床近傍温度を、北側のペリメータゾーンPに1個だけ備えられた床近傍温度センサ11の測定値T2、およびその他のパラメータに基づいて推定するようになっている。
また、本実施例の空調システムは、床近傍温度を推定する特徴量の一つとして日射量を採用しており、建物の屋上に設けられた日射計100から、中央監視装置12に対して日射量の測定値が入力されるようになっている(図3参照)。
さらに、本実施例の空調システムは、日射量を推定するための日射量推定部101を備えている。日射量推定部101は、特定の条件において、中央監視装置12に入力された日射量の測定値や、大気外全天日射量等に基づき、目的の時刻における日射量の推定値を算出する。モデル生成部14や温度推定モデルMでは、必要に応じて日射量推定部101によって算出された推定値を有効屋上日射量として日射計100における実測値の代わりに使用し、温度推定モデルMの生成や各位置における床近傍温度の推定を行う。尚、日射量推定部101は、ここでは温度推定部13の一部として示したが、例えば中央監視装置12に接続された外部の機器であってもよいし、中央監視装置12の一部として日射量推定部101を構成してもよい。日射量推定部101による日射量の推定については、後に詳述する。さらに温度推定モデルMの入出力構成の一例を図5に示す。温度推定モデルMはペリメータAHU系統単位ごとに作成し、基準階南東3系統がペリメータVAVを最大8台設置する場合には、最大8個の室内温度を推定できるモデルとする。入力(特徴量)は、中央監視から取得する屋上外気温度、有効屋上日射量(日影時間帯の日射量を補完した屋上日射量)、後述の日射有無、ペリAHU運転状態、室内温度1、2、天井温度1~8である。出力は、室内温度推定値1~8である。ただし、推定用の室内温度センサが存在する箇所における室内温度推定値は室内温度実測値となる。ここで日射有無以外の入力値は中央監視から送信される値を使用するが、日射有無は日射有無テーブルから5分周期で推定する時間の行を抽出し、32階1系統ならば図6で示す32F1-1-1~32F1-2-3の6個の01フラグ(対象の位置における日射の有無)を抽出して入力している。
温度推定モデルMによる床近傍温度の推定には、例えば以下のパラメータを追加で用いることができる。
・風向(複数の高さ(例えば、屋上と高層および低層)にて取得した値を用いてもよい)
・風速(複数の高さ(例えば、屋上と高層および低層)にて取得した値を用いてもよい)
・降雨量
・ペリメータファン6の運転状態(オン/オフ、風量)
・ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転状態(オン/オフ、設定温度、要求風量)
・日付(月または日の少なくとも一方)
・時刻(時間または分の少なくとも一方)
・曜日(日月火水木金土、または、休日か平日か)
尚、上記パラメータのうち、外気温度、降雨量、日射量については、床近傍温度の予測値に対し時間差で影響することが考えられる。そこで、これらの値については、予測したい時点より前(例えば、10分~30分程度前)の実測値をパラメータとして採用してもよい。
また、対象空間S内の環境はペリメータファン6の運転状態によって大きく変化するため、ペリメータファン6の運転状態を温度推定モデルMに反映させるにあたっては、ペリメータファン6の運転状態を特徴量として使用する代わりに、あるいはペリメータファン6の運転状態を特徴量として使用するのに加えて、ペリメータファン6の運転状態によって温度推定モデルMを使い分けても良い。すなわち、例えばペリメータファン6の運転状態がオンのときの温度推定モデルM(温度推定モデルMONとする)と、オフのときの温度推定モデルM(温度推定モデルMOFFとする)をそれぞれ生成しておき、ペリメータファン6の運転状態に応じて温度推定モデルMON、MOFFを切り替えるのである。
また、各パラメータとしては、ここに例示したものに代えて、単位あるいは定義の異なる同等のパラメータや、関連するパラメータを用いることができる。また、上に例示したパラメータの他に、床近傍温度に関連する何らかの別のパラメータを用いても良い。また、特徴量の規格化や中心化といった処理を適宜行っても良いことは勿論である。
学習データDは、適当な期間(例えば、数日から1年程度)にわたり、各階(特に、基準階)の制御装置10や、その他の図示しないセンサ類等から中央監視装置12に蓄積された空調の運転に関するデータのセットであり、温度推定部13に格納される。モデル生成部14は、学習データDに基づいて温度推定モデルMを生成し、温度推定部13に格納する。また、温度推定部13は、補正値算出部15を備えている。補正値算出部15は、温度推定モデルMを用いて算出された各階のペリメータゾーンPの各所における床近傍温度に基づき、温度補正値βを算出する。温度補正値βは、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5に関し、設定温度に対して加味される補正値である。この温度補正値βの役割については、後に再度説明する。
モデル生成部14による温度推定モデルMの生成について説明する。温度推定モデルMとしては、線形回帰、リッジ回帰、勾配ブースティング、ランダムフォレスト等、各種の形式のモデルを採用することができるが、例えば多入力多出力のニューラルネットワークを用いて温度推定モデルMを生成すれば、床近傍温度を精度よく推定することができる。ここで、特に二層線形ニューラルネットワークを用いると、2週間程度の短い学習期間でも過学習を起こすことなく、精度のよい推定が可能である。さらに三層ニューラルネットワークを用いると、より高精度の推定が可能である。
温度推定モデルMの生成に用いる学習データDは、図1~図3に示す如き空調システムを実際に運転した際の、様々な時点あるいは位置における床近傍温度に関連する各種のパラメータ(例えば、上に例示したようなパラメータ)と、床近傍温度の実測値T2とを記録したデータセットである。床近傍温度の実測値T2は、基準階のペリメータゾーンPの各所に設置された床近傍温度センサ11から取得する。また、床近傍温度に関連するパラメータの一部は、空調機1や温度センサ9、変風量装置5の制御部等から取得することができる。
学習データDには、複数の時点における上記各パラメータと共に、基準階において取得されたその時点の床近傍温度の実測値T2が記録される。
尚、学習データDの採集は、例えば以下の条件が全て成立していることを条件として実行するとよい。
・暖房運転が行われているか否か。ペリメータゾーンPにおいて、上に説明したような冷気による問題が生じるのは、外気温度が低く暖房運転が行われている時に限られる。つまり、床近傍温度を推定し、それに基づいて温度補正値を算出し、その温度補正値を使用した運転を行う必要があるのは、暖房運転の実行中に限られる。したがって、暖房運転の実行中に記録されたパラメータのみを、学習データDとして使用する。
・外気温度が、予め設定された閾値より低いか否か。上述の問題は、外気温度が室内の空気温度に対してある程度以上低い場合に限って生じるので、床近傍温度の推定や温度補正値の算出も、外気温度が低い場合にのみ必要となる。したがって、外気温度が閾値未満の場合に限り、学習データDの採集を行う。
・変風量装置5が運転状態にあるか否か。変風量装置5自体の運転がオフであれば当然、温度補正値を使用した運転は行われないので、床近傍温度の推定や、温度補正値の算出を行う必要はない。したがって、変風量装置5が運転状態でない場合は、学習データDは採集しない。なお学習データDが少ないときは、上記条件が成立していなくても学習データDを採取するようにしても良い。
モデル生成部14は、学習データDを用いて機械学習を行い、各種のパラメータに基づき、各階のペリメータゾーンP各所の床近傍温度を推定する温度推定モデルMを生成する。ニューラルネットワークを用いて温度推定モデルMを生成する場合、モデル生成部14が、学習データDに記録された上述の各種パラメータから複数のパラメータを適宜取捨選択及び加工を行い、また必要に応じてそれぞれに重み付けをし、選択肢のパターンを形成していく。形成したパターンから推定される床近傍温度と、基準階の床近傍温度センサ11で取得された実際の床近傍温度とを比較しながら、パターンを修正する作業を繰り返し、機械学習によって精度の高い温度推定モデルMを最終的に生成する。生成された温度推定モデルMは、対象の空調システムにおいて、床近傍温度に関連するパラメータから、ある位置の床近傍温度を推定するモデルとなっている。
尚、上に挙げたパラメータのうち、特に「床近傍温度センサ11の測定値」については、これを用いないよう、その他のパラメータから選択されたパラメータのみを説明変数として使用するようにしてもよい。仮に、床近傍温度センサ11の測定値を用いずに十分な精度で床近傍温度を推定できれば、基準階以外の各階のペリメータゾーンPに床近傍温度センサ11を設置する必要がなく、床近傍温度センサ11の設置数を節減することができる。
以上のような空調システムにおいて、推定された床近傍温度、およびこれに基づき算出された温度補正値βを用い、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転を行う手順の一例を、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
温度推定部13(図3参照)では、中央監視装置12を通じ、空調システムの各部の運転状況に関する情報を取得する(ステップS1)。ここで取得される情報は、例えば、各空調機1における給気温度(給気A1の温度)、各階の対象空間Sに設置された温度センサ9によって取得される室内空気A2の温度の実測値、各階の対象空間SのペリメータゾーンPに設置された床近傍温度センサ11によって取得される床近傍温度の実測値T2、各対象空間Sおよび変風量装置5における設定温度、各変風量装置5の吹出風量(ダンパ開度)、図示しない温度センサにより測定される外気温度、日付や時間、等である(図1~図3参照)。また、温度推定モデルMを用いて推定された、各対象空間SのペリメータゾーンPにおける各部の床近傍温度も、ステップS1において取得される。
続いて、取得した情報に基づき、空調システムを構成する各空調機1に関し、その下流側に位置する変風量装置5で温度補正値βを用いた運転を行うか否かを判断し、決定する(ステップS2)。このステップS2において、温度補正値βによる運転の実行の可否は、例えば、以下の条件を全て満たしているか否かに基づいて判定される(尚、以下に挙げる条件はあくまで一例であって、これ以外の条件を用いることもできる)。
・暖房運転が行われていること。ペリメータゾーンPにおいて、上述の如き冷気による問題が生じるのは、外気温度が低く暖房運転が行われている時に限られるので、暖房運転の実行中のみ、温度補正値βを使用した運転を行う。
・外気温度が、予め設定された閾値より低いこと。上述の問題は、外気温度が室内の空気温度に対してある程度低い場合に限って生じるので、外気温度が閾値未満の場合に限り、温度補正値βを使用した運転を行う。尚、ここで使用する閾値は例えば2段階を設定し、温度補正値βが有効に設定された状態から無効に変更する場合には高い方の閾値を、無効から有効に変更する場合には低い方の閾値を用いると、過度に頻繁なスイッチングを防止できて好適である。
各空調機1について、温度補正値βを使用するか否かを決定したら、個別の空調機1毎に、その下流側にあたる各変風量装置5における温度補正値βの使用の有無や、具体的な数値を設定していく。まず、1台の空調機1を対象とし、下流側の変風量装置5で温度補正値βを使用した運転を行うことが、先のステップS2で決定されていたか否かを、ステップS3で判定する。
対象の空調機1に関し、下流の変風量装置5のいずれでも温度補正値βを使用した運転を行わない場合は、その空調機1の下流側にあたる変風量装置5について、それぞれ温度補正値βを使用しない設定を行う。ステップS4では、1台の変風量装置5について温度補正値βを使用しない設定(温度補正値β=0)をする。次のステップS5では、対象の空調機1の下流に位置する変風量装置5の中に、温度補正値βの設定が済んでいないものがあるか否かを判定する。未設定の変風量装置5が存在した場合は、別の変風量装置5に移り(ステップS6)、その変風量装置5について温度補正値=0の設定を行う(ステップS4)。これを繰り返し、対象としている空調機1の下流にあたる全ての変風量装置5について温度補正値βを設定したら、ステップS7に移る。
ステップS7では、対象の空調機1について、給気温度の上限値の設定を行う。空調機1における給気温度の上限値は、中央監視装置12にて設定されており、通常はこの中央監視装置12における設定値をそのまま使用すればよいが、本実施例では、この上限値の設定を、特定の場合のみ変更する。給気温度の上限値の変更については後のステップS16を説明する際に説明するが、ステップS7においては、中央監視装置12における設定値と同じとする。ステップS7が済んだら、後述するステップS17に移る。
ステップS3において、対象の空調機1の下流側にあたる変風量装置5のうち少なくとも一部で温度補正値βを使用した運転を行うことが決定されていたと判断されていた場合は、ステップS8に移る。このステップS8では、対象の空調機1の下流に位置する各変風量装置5について、温度補正値βを有効に設定するか否かを個別に決定する。このステップS3における判断は、例えば、以下の条件を全て満たしているか否かに基づいて行う。
・該当の変風量装置5に、故障等が生じていないこと。
・該当の変風量装置5の運転がオンになっていること。
各変風量装置5について、温度補正値βの有効・無効が決定されたら、ステップS9に進む。ステップS9では、ある1台の変風量装置5に関し、先のステップS8で温度補正値βによる運転が有効に設定されたか否かを判断する。該当の変風量装置5の温度補正値βを無効にする設定が行われていた場合は、ステップS10に進み、該当の変風量装置5について温度補正値β=0の設定を行う。該当の変風量装置5に関し、温度補正値βを有効にする設定が行われていたとステップS9で判定された場合は、ステップS11に進み、温度補正値βの算出を行う。
以下、この温度補正値βの算出について説明するが、先立って、温度補正値βの意義について説明する。上述したように、温度補正値βとは、ペリメータゾーンPに面する各変風量装置5に関し、設定温度に対して加味される補正値であるが、これはそもそも、温度センサ9の設置位置が床面から離れた位置にあることによるものであり、これによって生じる計測温度と体感温度の差を是正するために設定するものである。図1に示す空調システムにおいては、室内空気A2の実測値を、天井3の高さに設けられた温度センサ9の測定値として把握している。一方、対象空間S内において、人は床面付近に位置しているので、上にも説明したように、特にペリメータゾーンPにおいては、人の体感温度と、温度センサ9の測定値として把握される温度に乖離が生じやすい。
暖房時において、制御装置10や空調機1、変風量装置5により構成される従来の空調システムは、温度センサ9の測定値(天井温度T1とする)が設定値(天井付近温度目標値とする)よりも低い場合、天井温度T1が天井付近温度目標値に近づくよう、各機器の運転を行う。ところが、床面付近における室内空気A2の実際の床近傍温度T2(床近傍温度推定値とする)は、多くの場合、天井温度T1よりも低い。このため、仮に天井温度T1が天井付近温度目標値に十分近づいたとしても、床近傍温度推定値と天井温度T1の間に差がある結果、床面付近にいる人にとっては満足な暖かさが得られないという状態が生じ得る。これを是正するために、今回の制御は、まず床近傍温度推定値T2を算出し、この値と、床近傍温度目標値(T+α-1、ここでαは居住者が設定する補正値、-1は調整パラメータ、Tは基準値(ex.23℃))との偏差Eに応じた温度補正値βを算出し、これを加味した天井付近温度目標値(T+α+β-0.5、ここで0.5は不感帯))を各変風量装置5に設定するのである(ステップS11)。結果として、基準値Tと補正値αに温度補正値βの分が上乗せされ、さらに不感帯の分が下乗せされ、これを目標値として各機器が運転される結果、床面付近における温度状況が是正される。
このような温度補正値βを用いた床近傍温度T2の管理は、例えば図8に示す如き線図によっても説明することができる。図8中、左の縦線は床近傍温度T2、右の縦線は天井付近の温度を示している。例えば従来の空調システム(図8の点線)のように室内温度設定値が23℃であり、これに基づいて空調システムが運転された結果、天井温度T1が23℃となっている場合、天井と床面近傍の上下間における温度差により、床近傍温度T2は例えば20℃である。これは設定値よりも低いので、床近傍温度T2に温度補正値βとして3℃を上乗せし、天井側で設定値を26℃まで引き上げることが改良構成として考えられる。結果として、床面近傍において温度差分が補われ、快適な温度(23℃)となる。尚、ここでは説明の簡略化のため、調整パラメータ、補正値αを共に0としている。
ただしここで、温度差は一様ではなく、条件に応じて変化し得る。例えばペリメータゾーンPに日射が入れば、床面が暖められて温度差は小さくなる。あるいは外気温度が上昇すると冷気の侵入が少なくなり、温度差が小さくなる。このとき、仮に上述のように床近傍温度推定値と、床近傍温度目標値との偏差を用いず、温度補正値βを一律(例えば3℃)に設定すると、却って床近傍温度が上がりすぎてしまう。また逆に、温度差が大きく、温度補正値βを設定値に加算しても床近傍温度が不足する場合も考えられる。そこで、上に説明したように、温度補正値βを床近傍温度推定値と、床近傍温度目標値との偏差に基づいて都度算出すれば、床面付近における温度状況を好適に維持できる。つまり、設定値に一律に温度補正値βを設定するのではなく、温度補正値βを床面近傍における温度状況に応じて調整可能にするのである。
補正値算出部15による温度補正値βの算出手順の一例を説明する。まず、温度補正値βの根拠となる制御偏差(Eとする)を次の数式により算出する。
[数1]
制御偏差E=床近傍温度目標値-床近傍温度推定値T2 ……(1)
床近傍温度目標値=基準値+k・α+γ ……(2)
制御偏差Eは、床近傍温度目標値と床近傍温度推定値T2との間の偏差であり、これを解消する方向で、空調システムの運転を行う。
床近傍温度目標値は、(2)式にあるように、基準値やその他の値に基づいて算出することができる。基準値は、中央監視装置12において決定される、変風量装置5における設定温度値である。αは、対象空間Sにいる人からの操作により、変風量装置5における設定温度に対して加えられる補正値であり、例えば-1から1までの値(初期値は0)を取り得る。kは制御偏差Eを算出するにあたって、αの重み付けを決定する係数である(初期値は1)。γは、本空調システム側の調整パラメータである。
制御偏差Eを算出したら、例えば以下の数式に示す如き関係により、有効制御偏差E2effを求める。
[数2]
2eff=E+δ (E≦-δ)
2eff=0 (-δ<E<δ)
2eff=E-δ (δ≦E
つまり、E=0の点を中心に、-δ<E<δの範囲においてはE2eff=0とし、それ以外の範囲、すなわち制御偏差Eの絶対値が閾値(δ)以上の範囲においては、制御偏差Eの増減に応じてリニアに有効制御偏差E2effを算出する。制御偏差Eの絶対値が小さい範囲で、運転状態の切り替えが頻繁に発生することを防ぐために有効である。
このようにして求めた有効制御偏差E2effを変数とし、例えば図9に示す如き関係によって温度補正値βを決定する。ここに示した例ではPI制御を採用しており、有効制御偏差E2effが-0.5℃以上の場合に、有効制御偏差E2effと比例するように(図示例の場合、比例係数=1.25)温度補正値βを決定するようにしている。中央監視装置12において決定される設定値に対し、推定される床近傍温度T2が低い場合には、対応する位置の変風量装置5における設定温度に温度補正値βを加算して設定温度を上げ、吹出量を増すのである。
ここに示した例では、温補正値βの上限は+2℃に設定されており、有効制御偏差E2effが2℃以上であれば、温度補正値βは一律+2℃である。尚、上記数1に示した制御偏差Eないし有効制御偏差E2effの算出式や、図9に示した有効制御偏差E2effと温度補正値βの関係はあくまで一例であって、別の変数を加味したり、数1や図9の例とは異なる関係を用いて制御偏差Eや有効制御偏差E2eff、温度補正値βを決定してもよい。ここで温度補正値βが-0.5<β<2の範囲で変化するようにした理由を述べる。中央監視装置12の設定値SP(基準値)23℃で室内温度SP(床近傍温度目標値)22℃とする。仮に温度補正値βが0以上とすると、天井温度SP(天井付近温度目標値)は補正値α=0として、23-0.5(初期値)=22.5℃となる。上下温度差がつかない場合、床近傍温度T2は室内温度SP22℃に到達しない。-0.5<β<2の範囲で変化することで天井温度SPが22~24.5℃の間で変化する。
対象の変風量装置5に関し、温度補正値βの設定が済んだら(ステップS10,S11)、ステップS12に進む。ステップS12では、現在、対象としている空調機1の下流に、温度補正値βの設定が済んでいない変風量装置5があるか否かを判定する。未設定の変風量装置5がある場合は、別の変風量装置5に対象を移し(ステップS13)、その変風量装置5に対し温度補正値βの設定を行う(ステップS9~S11)。
対象としている空調機1の下流にあたる変風量装置5の全台に関して温度補正値βの設定が済んだら、ステップS14に進む。ステップS14では、対象としている空調機1の下流にあたる変風量装置5の中に、現在、温度補正値βを有効にした運転を実行しているものがあるか否かを改めて判定する。ここで判定がNOであった場合には、ステップS15に進む。ステップS15では、対象の空調機1に関し、給気温度の上限値を中央監視装置12における設定値と同じとする設定を行う。
ステップS14における判定がYESであった場合、すなわち、対象の空調機1の下流に、温度補正値βを有効にした運転を行っている変風量装置5が存在する場合には、ステップS16に進む。ステップS16では、対象の空調機1に関し、中央監視装置12における設定値とは別に給気温度の上限値を設定する。
上にも述べたように、ペリメータゾーンPにおけるコールドドラフトの問題は、外気温度が低い場合に生じ、このため、本実施例においては、外気温度が閾値より低いことを条件の一つとして温度補正値βを用いた運転を行うようにしている。一方、図1~図3に示すような空調システムにおいては、対象空間Sに供給される熱量は各変風量装置5における吹出風量と、空調機1からの給気温度によって決まる。すなわち、空調機1における給気温度が高ければ、同じ熱量を供給するための吹出風量はその分だけ少なくなる。ペリメータゾーンPに面する変風量装置5からの吹出風量が小さくなれば、ペリメータゾーンPの空気に温度分布が生じ、コールドドラフトの発生する可能性が高まる。
そこで、温度補正値βを用いた運転を行う場合は、ステップS16にて、例えば図10に示すような関係により、外気温度に基づいて給気温度の上限値を設定する。ここに示した例では、外気温度が10℃以下の場合に、給気温度の上限値を引き下げるようにしている。外気温度が10℃以下0℃以上の範囲では、外気温度の変化に対して給気温度はリニアに引き下げられ(図10の場合、比例係数=0.6)、外気温度が0℃以下の場合は、給気温度の上限値は一律25℃に設定される。このようにすれば、外気温度が低い場合に給気温度が上がりすぎないようにし、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5からの吹出風量を確保することができる。尚、外気温度が閾値より低いという判定は、先のステップS2で済んでいるので、このステップS16では、給気温度の上限値の具体的な設定を行うのみで足りる。
給気温度の上限値の設定が済んだら(ステップS7,S15またはS16)、ステップS17に移る。ステップS17では、下流の変風量装置5に関し、温度補正値βを用いた運転の設定が済んでいない空調機1が残っているか否かを判定する。残っていたら、対象を別の空調機1に移し(ステップS18)、その下流の変風量装置5について、温度補正値βを用いた運転の設定をし、給気温度の上限値を設定する(ステップS3~S16)。全部の空調機1について、下流の変風量装置5の設定、および給気温度の上限値の設定が済んだら、ステップS19に移る。ステップS19では、ステップS2~S18で決定された運転状況に関する設定を、中央監視装置12に入力する。中央監視装置12は、記録された設定に基づき、空調システムの各部の運転を行う。
このように、本実施例の空調システムでは、ペリメータゾーンPの各位置における床近傍温度T2を推定し、ある位置に関して推定された床近傍温度T2が低い場合には、その位置に面する変風量装置5の設定温度に温度補正値βを加え(ステップS11)、設定温度を引き上げて運転を行うようになっている。変風量装置5では、引き上げられた設定温度に応じて吹出風量が適宜調整され、吹出口4からペリメータゾーンPへの送風量が増大する。また、外気温度が低い場合には、空調機1からの給気温度の上限値を引き下げ(ステップS16)、変風量装置5からの吹出風量を確保するようにもなっている。これにより、変風量装置5から供給される室内空気A2(図1参照)が、床面近傍やペリメータファン6へ到達する。こうして、床近傍温度T2の推定値に基づき、図11に示すように床面付近における温度分布が是正される。すなわち、変風量装置5からペリメータファン6に到達した暖気(室内空気A2)が上方の吸込口16へ送られて排気A4として取り込まれることで上向きの暖気の流れが形成され、これによりペリメータゾーンPの最外周に生じる冷気が遮られ、コールドドラフトが内側へ入り込むことが防がれる。そして、ペリメータゾーンPやそれより内側のインテリアゾーンIにおいては、暖気が床面付近まで満ちて好適な空調状態が実現されるのである。
こうした制御は、例えば、建物の全階の対象空間Sに関し、図4に示すようにペリメータゾーンPの近傍に位置する変風量装置5の全台と対応する位置に床近傍温度センサ11を備え、各所の床近傍温度T2をそれぞれ実測すれば可能である。しかしながら、建物の各階のペリメータゾーンPの全域に床近傍温度センサ11を設置すれば、床近傍温度センサ11の数が膨大になってしまい、設置費用が嵩むうえ、管理も面倒である。本実施例では、ソフトウェアによってペリメータゾーンPにおける床近傍温度T2を推定することで、センサの設置に係るコストを減らしつつ、床近傍温度T2に基づいて変風量装置5からの吹出風量を制御することができる。
ここで、本実施例では上に説明したように、温度補正値βを用いた制御方式を採用しているが、このような制御方式は、例えば図12にブロック図として示すような概念として捉えることができる。まず、変風量方式の空調システム(図1参照)において、直接の制御対象は天井3付近の室内空気A2の温度であり(図12中にブロックB1として示す)、これは天井3付近に設けられた温度センサ9の測定値T1として把握される(ブロックB2)。この測定値T1と、VAV温度目標値(ブロックBa)が入力された天井付近温度目標値(ブロックB3)とを比較して(ブロックB4)、これらの間の偏差E(制御偏差)を算出し、この制御偏差を解消するよう、変風量装置5(ブロックB5)がダンパ開度(ブロックB6)を調整し、これにより室内空気A2の供給量を調整する。
また、変風量装置5(ブロックB5)に空調された給気A1を供給する空調機1(ブロックB7)では、変風量装置5の要求風量に応じてファンの風量(ブロックB8)を調整し、下流の変風量装置5へ適当な風量の給気A1を送り出す(ブロックB6)。あわせて、空調機1(ブロックB7)では、ロードリセット制御により冷媒流路の開度(ブロックB9)を調整し、給気A1の温度を調整する。
こうして、給気A1の風量および温度を通じ、制御対象である室内空気A2の温度(ブロックB1)が調整される。室内空気A2の温度(ブロックB1)は、さらに外乱(ブロックB10)によって左右されるが、その結果としての室内空気A2の温度(ブロックB1)が温度センサ9により把握され(ブロックB2)、天井付近温度目標値(ブロックB3)と比較され(ブロックB4)、外乱による変動をも解消する方向で制御が行われる。
そして、温度補正値βを用いた制御方式は、ブロックB1~B10、Baによって形成されるこのようなループ(マイナーループとする。図12中に破線で囲った領域として示す)を取り囲むように別のループ(破線で囲った領域の外側のループ。メジャーループとする)を付加したカスケード制御であると言える。
すなわち、天井3付近の室内空気A2の温度(ブロックB1)と関連する別の制御対象として床面近傍空気温度(ブロックC1)を設定し、これを温度推定モデルMを用いて推定して、出力された床近傍温度推定値T2(ブロックC2)を床近傍温度目標値(ブロックC3)と比較する(ブロックC4)。ここで、ブロックC3の床近傍温度目標値はT+α-1として設定され、αは居住者が設定する補正値、-1は調整パラメータ、Tは基準値(ex.23℃)であり、補正値α及び基準値Tが外部から入力されるようになっている。
続いて、ブロックC2の床近傍温度推定値T2とブロックC3の床近傍温度目標値から偏差E2(制御偏差)に応じて温度補正値β(ブロックC5)を算出し、温度補正値βを変風量装置5におけるVAV温度目標値(ブロックBa)に入力し、更にVAV温度目標値を、天井付近温度目標値(ブロックB3)に加味する。ここで、ブロックBaのVAV温度目標値はT+α+βとして設定され、補正値α及び基準値Tが外部から入力されるようになっている。またブロックB3の天井付近温度目標値はT+α+β-0.5(不感帯)として設定され、不感帯の分が下乗せされるようになっている。
次に、ブロックB3の天井付近温度目標値を、ブロックB2の温度センサ測定値T1と比較し(ブロックB4)、偏差E1(制御偏差)に応じて変風量装置5(ブロックB5)に制御信号を送る。
このようにマイナーループ内では、温度補正値βを加味された天井付近温度目標値(ブロックB3)に基づいて天井3付近の室内空気A2の温度(ブロックB1)が調整され、これにより、床近傍の室内空気A2の温度(ブロックC1)が調整される。床近傍の室内空気A2の温度(ブロックC1)も外乱(ブロックC6)の影響を受けるが、マイナーループを内包したメジャーループによる制御は、温度補正値βを介したPI制御により、この外乱(ブロックC6)を解消する方向に働く。すなわち、外皮負荷の変動によって外乱(ブロックC6)が発生すると、床近傍温度推定値(ブロックC2)が変化し、これによって床近傍温度目標値(ブロックC3)との偏差が生じ、その偏差を打ち消す方向で、操作変数としての温度補正値βが変化し、マイナーループへ入力される。
このような制御方式であれば、変風量方式の空調システムとして確立されたシステム(マイナーループ)に対し極力手を加えることなく、床近傍温度推定値T2及び床近傍温度目標値に基づいた温度補正値βを設定温度の目標値に加味し、床面付近の温度状況を好適に是正することができる。
また、このようなカスケード制御は、制御性の面でも利点を有している。仮に、一個のループにより外乱(ブロックB10,C6)を解消するような制御構成を採用した場合、中央監視装置12におけるデータ取得の周期や、床近傍温度T2を推定する時間を考慮すると、制御周期が最低でも5分周期となり、ループ中で算出される偏差が大きくなってしまう。そこで、本実施例のように、変風量装置5の風量や空調機1の給気温度を制御するマイナーループと、その外側で床近傍温度推定値を制御するメジャーループからなるカスケード制御を構成する。メジャーループの制御周期は5分程度であるが、マイナーループの制御周期は数秒~数10秒であり、ブロックB4で算出される偏差は小さい。マイナーループに入力される外乱(ブロックB10)はマイナーループ内で制御されるので、メジャーループの制御変数に与える影響は小さい。こうして、外乱の影響を効果的に抑え、制御性を向上させることができる。
尚、ここに説明した空調システムのシステム構成や温度推定モデルMの生成、床近傍温度T2の推定、温度補正値βの算出の手順等はあくまで一例である。床近傍温度T2に関連する上述の如き各種パラメータから温度推定モデルMを生成し、これを用いて床近傍温度T2を推定し、変風量装置5の運転を調整し得る限りにおいて、システム構成や各種の手順等は種々変更することができる。
例えば、上記本実施例では、床面の付近である0cm以上10cm未満の高さに床近傍温度センサ11を設け、この高さにおける空気の温度を床近傍温度T2として推定する場合を例に説明したが、居住域である10cm以上170cm以下における空気の温度を床近傍温度T2として推定してもよい。またその場合、床近傍温度センサ11は壁面等の高さ10cm~170cmの範囲に設置し、その高さの温度を直接測定してもよいし、あるいは0cm以上10cm未満の高さに床近傍温度センサ11を設置し、例えば天井の温度センサ9における測定値と、床近傍温度センサ11における測定値に基づき、差分を両センサ間の距離で案分し、求める高さの温度を求めてもよい。
また、ここでは中央監視装置12に温度推定部13を接続し、該温度推定部13にモデル生成部14を接続した構成を例示したが、システムを構成する各機器間の接続関係は適宜変更し得る。中央監視装置12を介して各変風量装置5の運転状況を制御する以外にも、例えば各変風量装置5に対し、温度推定部13から温度補正値βの設定を直接行ってもよい。また、設定温度を補正する代わりに、吹出風量を直接補正してもよい。
また、変風量装置5からの吹出風量や、空調機1からの給気温度、その他各部の運転状況を制御するにあたっては、上に説明していない別の要素等を適宜加味してもよいことは勿論である。
ここで、パラメータとして用いる日射量の推定について説明する。本実施例の空調システムでは、上に説明したように空調の制御にあたって日射量を採用しているが、このとき、日射量としてなるべく正確な値を把握することが当然のことながら重要である。そして、日射量は日射計100(図3参照)によって測定することができる。しかしながら、例えば図3に示す如く、日射計100の周囲に符号O1,O2で示すような遮蔽物が存在すると、これらの遮蔽物O1,O2の配置や時季によっては、日射計100に遮蔽物O1,O2による日影が生じ、これによって日射量の測定値が実際の日射量から乖離してしまう場合がある。
そこで、本実施例の空調システムは、日射量を推定するための日射量推定部101を備え、特定の条件において、日射計100で測定された実測値に代えて、日射量推定部101にて算出された推定値を日射量として採用するようにしている。この日射量推定部101による日射量の推定について、以下に説明する。
図13のグラフは、日射計の周囲に遮蔽物が存在しない場合を仮定し、その場合に前記日射計にて測定される日射量の一例を示している。グラフ内に示す各曲線は、それぞれ別の日(日付D1~D3)において観察される日射量の時間による変化を示している。尚、測定を行った各日において、天気は一日を通じて晴れであることを想定している。日射計の周囲に遮蔽物が存在しない場合、日射量は、ここに各曲線で示すような山型を描いて推移する。
ところが、図3に示す如く日射計100の周囲に遮蔽物O1,O2があると、日射計100の位置に日影が生じ、これが日射計100における日射量の実測値に影響する場合がある。そのような場合における日射量の実測値の変動の例を図14に示す。尚、ここでは、遮蔽物O1,O2として、それぞれ例えば他の建造物またはエレベータシャフトを想定しているが、無論その他の装置や構造物、地形等も遮蔽物たり得る。
例えば日付D1においては、太陽の位置が十分に高いため、日射量は周囲の物体の影響を受けず、遮蔽物がない場合(図13参照)と同様の変動を示す。ところが、日付D1より冬至に近い別の日付D2では、午後の時間帯(ここでは13:30頃~14:00頃)において遮蔽物O1による影が日射計100の位置に生じ、測定される日射量が下がっている。さらに冬至に近い別の日付D3では、午前の時間帯(ここでは8:30頃~9:30頃)においても遮蔽物O2による日影が日射計100の位置に生じ、測定される日射量が下がっている。また、午後において遮蔽物O2による日影が生じる時間帯も広がっている(13:00~14:40頃)。
このような日射計100に日影が生じる時間(以下、本明細書では、対象とする位置に日影が生じる時間を「日影時間」と称する)において、実際の日射量は、例えば図14中に破線で示す通りである。ところが、遮蔽物O1,O2の影響により、この日影時間においては実際の日射量よりも少ない値が実測値として把握されてしまうことになる。
そこで、以下に説明する方法により、日影時間においては、図14中に破線で示す如き実際の値に極力近い日射量を推定し、この推定値を空調システムの運転に用いる日射量としてとして扱う。
太陽定数は、地球が太陽に対し平均距離(r)にあるときに、大気の上端(地表から約8kmの高さ)において、太陽光に対し垂直な面が単位面積および時間あたりに受けるエネルギーとして定義された値であり、約1,367[W/m]である。ある時刻(a月b日c時d分)において、地球上のある地点(経度λ、緯度φ)に対応する大気外全天日射量Qは、この太陽定数を、目的の時刻における目的の地点の太陽からの距離(r)と、目的の地点における地面が太陽光に対してなす角度(太陽高度α)に応じて補正することで算出できる。すなわち、大気外全天日射量Qは、以下の式で表すことができる。
=1367(r/rsin(α) …(1)
上記式(1)の地心太陽距離r/r(地球と太陽との目的時点における距離rと、平均距離rとの比)および太陽高度αは、以下に説明する手順により求めることができる。
まず、次式により、元日から当日までの間に公転によって移動した角度θを求める。dnは、元日からの通し日数であり、日付(a月b日)から単純に算出できる。
θ=2π(dn-1)/365 …(2)
上記式(2)で求めた角度θを用い、当日の太陽赤緯δ、地心太陽距離r/rおよび均時差Eqを求めることができる。
δ=0.006918-0.399912cos(θ)+0.070257sin(θ) -0.006758cos(2θ) +0.000907sin(2θ) -0.002697cos(3θ) +0.001480sin(3θ) …(3)
r/r=1/√{1.000110+0.034221cos(θ) +0.001280sin(θo) +0.000719cos(2θ)+0.000077sin(2θ)} …(4)
Eq=0.000075+0.001868cos(θ)-0.032077sin(θ)-90.014615cos(2θ)-0.040849sin(2θ) …(5)
さらに、均時差Eqと標準時および子午線との経度差から、以下の式により太陽の時角hを求めることができる。
h=(標準時-12)π/12+標準子午線からの経度差+Eq …(6)
こうして得た各値から、ある時刻および地点における太陽方位ψと太陽高度αを、下記の式により算出することができる。
α=arcsin{sin(φ)sin(δ)+cos(φ)cos(δ)cos(h)} …(7)
ψ=arctan[cos(φ)cos(δ)sin(h)/{sin(φ)sin(α)-sin(δ)}] …(8)
以上の計算により、太陽高度αと地心太陽距離r/rが算出されたので、これらを上記式(1)に代入すれば、大気外全天日射量Qが得られる。この大気外全天日射量Qは、目的の時刻において、目的の地点に対応する大気圏外の仮想面が受ける日射量(単位面積および時間あたりに受けるエネルギー)である。
そして、この大気外全天日射量Qに、大気層の通過による減衰を加味した値を、日射量Qとして扱う。日射量Qは、大気外全天日射量Qの関数であり、具体的には、下記式による推定値として算出することができる。
Q=kQ …(9)
すなわち、ある時刻のある地点における日射量を推定したい場合には、まず上記式(1)~(8)に基づいて大気外全天日射量Qを算出し、これに別途求めた係数kを乗じた値を日射量の推定値Qとすればよい。こうすることで、日射量を簡便に且つ精度よく推定することができる。
ここで、kは大気層の通過による減衰を表す係数であり、例えばある地点のある時刻において測定された日射量の実測値を、同地点同時刻における理論値として算出される大気外全天日射量Qで除した値として算出することができる。
図1~図3に示す如き空調システムにおいて、上記式(9)に基づく推定値を日射量として用いる場合、ある時刻の運転においてこの推定値を採用するか否か、また係数kとしてどのような値を用いるかは、天気等の条件によって随時決定することができる。例えば、天気が晴れであり、日射計100に遮蔽物O1,O2による日影が生じていない時は、日射計100における実測値を日射量としてそのまま用いればよい。また、天気が曇りや雨である時は、日射の多くは散乱光であり、直達日射量の影響は大きくないことから、日影の影響は比較的小さいので、用途によっては推定値を用いる必要はない場合も考えられる。そのような場合は、日影時間で且つ天気が晴れであることを条件として日射量の推定を行うこととし、日射量の測定値に対する日影の影響が大きい場合に限り、日射量として推定値を用いるようにしてもよい。尚、天気が曇りや雨であっても日影の影響が懸念される場合には、上記式(9)による推定値を用いてもよいことは勿論である。
また、上記式(9)を用いる場合であっても、係数kの値は条件によって変更することができる。例えば天気が曇りの時に上記式(9)による推定値を日射量として用いる場合、係数kとしては、天気が晴れの時の係数kとは異なる値を使用すべきである。
また、天気が同じ晴れであっても、時間帯によって上記式(9)における係数kの算出の仕方や、係数kとして用いる値を変更してもよい。上に述べた通り、係数kの値はある時刻における実測値を大気外全天日射量Qで除した値として算出できるので、例えば晴れの日のある時刻tの直後、時刻t~tの時間帯に日射計100に日影が生じるような場合には、時刻tにおける実測値を、同時刻tにおける大気外全天日射量Qで除した値を係数kとして設定し、時刻t~tの日射量Qを上記式(9)に基づく推定値として算出する、といった運用が考えられる。しかしながら、本発明者らの研究によれば、経験上、こうした運用による推定値の有効性は時間帯によって異なることが判明している。具体的には、午後の時間帯であれば上に述べたような運用により日射量を精度よく推定することができるが、午前の時間帯に同様の方法による推定値を用いると、実際の値(日影のない位置で別途測定された日射量)に対する推定値のずれが時間と共に大きくなってくるのである。
これは、午前においては、日影時間の始まりの時刻における太陽の位置が低く、大気による吸収や散乱の影響を受けやすいことに起因するものと考えられる。午前の日影時間は、例えば8:00前後に開始され、この時点では太陽の位置が低く、太陽光は大気中を長い距離にわたって通り、日射計100の位置まで到達する。このため、日影時間の始まりの直前の時刻における日射量の実測値に基づいて上記式(9)により係数kを計算した場合、係数kの値は1より相当低い値となる。ところが、日影時間が始まって時間が経過していくと、太陽の位置が高くなり、大気外全天日射量に対する実際の日射量の比は、日影時間の始まりの直前の時刻に算出した係数kより大きくなって(1に近づいて)いく。よって、日影時間の始まりの直前の時刻に算出した係数kをその後の日影時間にわたって使用し続けると、例えば図15中に一点鎖線で示すように、日射量の推定値は実際の値(破線)から乖離していくのである(尚、図15は日射計100による日射量の測定値と、実際の日射量と、日射量の推定値の関係の一例を示すグラフであり、日射量の測定値は実線、実際の日射量は破線で示している。一点鎖線および二点鎖線は、それぞれ異なる係数kを用いて算出した推定値を示す)。特に、日影時間が長い季節においては全時刻にわたって太陽の高度が低く、日の出も遅いため、この影響は大きい。
そこで、午前の日影時間に関しては、日影時間の始まりの直前の時刻における実測値に基づいて算出した係数kを用いるのではなく、予め設定しておいた値を係数kとして使用する。このようにすると、例えば図15中に二点鎖線にて示すように、比較的良好な精度で日射量を推定しやすい。尚、このように予め設定した値の係数kを用いる場合、係数kは、例えば日影時間以外における晴天時の日射量の実測値と、大気外全天日射量の比の平均値として算出することができる。このような方法で係数kを算出する場合、例えば月毎にこれを実行し、月毎に異なる値の係数kを使用するようにしてもよい。尚、係数kとして具体的な数値は、時間帯や季節等によって変動し得るが、概ね0.65~0.75程度である。
一方、午後の日影時間に関しては、日影時間の始まりの直前の時刻における実測値に基づいて算出した係数kを用いて日射量を推定する。こうすることにより、午前と午後それぞれの時間帯における日射の実情に合わせ、日射量を精度よく推定することができる。
尚、午後の日影時間に関しても、時刻が遅い場合には同様の影響が大きくなる(大気外全天日射量に対する実際の日射量の比が、日影時間の始まりの直前の時刻に算出した係数kより小さくなって(1から離れて)いく)と考えられるので、そういった場合には、やはり予め設定しておいた値を係数kとして使用してもよい。
上記式(9)を用いた日射量の推定の具体的な手順の一例を、図16のフローチャートを参照しながら説明する。図16は、日照時間帯の始め(例えば、日の出から1.5時間程度が経過した時点)に天気の判定を行い、これに基づいて以降の日射量に関する運用を決定する場合の手順を例示している。
日射量推定部101は、まず現在時刻を取得し(ステップS101)、取得した現在時刻が、天気の判定時刻か否かを判定する(ステップS102)。ここで、「天気の判定時刻」は、例えば「日照のある時間帯のうち、十分に早い時刻であり、且つ日射量から天気を判定し得る程度に太陽が高い位置にある時刻であり、しかも日射計100の位置に日影が生じない時刻」として予め設定された時刻であり、具体的には、例えば日の出から1.5時間後の時刻である。ここで、「日照のある時間帯のうち、十分に早い時刻」とは、「日の出からその時刻までの間は天気が晴れであっても日射量が少なく、仮に日射計100における日射量の測定値が実際の日射量と乖離していても、日射量によるシステムの運用に影響が少ない時刻」を指す。「日照のある時間帯のうち、十分に早い時刻であり、且つ日射量から天気を判定し得る程度に太陽が高い位置にある時刻」という上記の条件に合致する時間帯は、例えば日の出から1~2時間後程度であり、このうち日射計100の位置に日影が生じないとわかっている時刻を、天気の判定時刻として設定しておけばよい。尚、「日射計100の位置に日影が生じないとわかっている時刻」は、例えば目的の日時付近における日影時間の実績から経験的に把握することができる。あるいは、目的の日時における太陽の運行と、日射計100の周辺における物体や構造物の配置から計算して求めることもできる。
ステップS102で、現在時刻が天気の判定時刻であると判定された場合には、その時点における天気を、その日の天気として判定する(ステップS103)。天気は、例えば日射計100における日射量により判定することができ、日射量がある閾値(例えば、200W/m)以上であれば晴れ、前記閾値未満であれば曇りまたは雨と判定できる。天気を判定したら、ステップS101に戻る。
ステップS102で、天気の判定時刻でないと判定された場合は、天気の判定結果についての判定をさらに行う(ステップS104)。ステップS104を実行する時点で、その日のステップS102が実行済みであり、天気が晴れであった場合にはステップS106に進むが、その日のステップS102が未実行であるか、ステップS102が実行済みであって天気が晴れでない場合にはステップS105に進む。
ステップS105では、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定し、ステップS101に戻る。
ステップS106では、現在時刻が日影時間にあたるか否かを判定する。この判定は、例えば予め日射量推定部101に下記表1のような形で入力された日影時間のデータを参照して行う。
Figure 0007558626000001
尚、日影時間は、例えば目的の日時における太陽の運行と、日射計100の周辺における物体や構造物の配置から計算すれば正確に算出できるが、少なくとも空調システムの運用を目的として日射量を推定する場合、日影時間の設定はさほど正確でなくともよい。上記表1に示すように、ある時季において日射計100に日影が生じる時間帯を大まかに把握しておき、その全体をカバーできるように広めに日影時間を設定しておけば十分である。このようにすると、実際には日射計100に日影が生じていないが設定上は日影時間にあたる時間帯が存在することになり、そのような時間帯においては日射計100に日影が生じていない(したがって、日射量として実測値を用いても日影の影響はない)にもかかわらず、日射量として実測値ではなく推定値を用いることになるが、推定値が実際の日射量から大きく乖離していない限り、特に大きな問題は生じない。逆に、実際の日影時間に対し、設定上の日影時間が短いと、測定値に日影が影響する時間(実際の日影時間)であるにもかかわらず、日射量として推定値ではなく実測値を用いる時間帯が生じてしまい、日射量の把握に支障を来す可能性がある。
尚、上記表1はあくまで一例であって、日射計の周囲の状況等によっては、一日における日影時間の回数がこれより多い場合も少ない場合もあり得ることは勿論である。また、上では月ごとに日影時間を設定した表を例示したが、例えば週毎、あるいは日毎に日影時間を設定したデータを用いてもよい。
現在時刻が日影時間でない場合は、ステップS105に進み、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定してステップS101に戻る。現在時刻が日影時間にあたる場合は、ステップS107に進む。
ステップS107では、現在時刻が午前か否かを判定する。午前である場合は、ステップS108に進み、係数k(上記式(9)参照)として、午前の日影時間に使用する係数として予め定められた数値を使用することを決定する。続いて日射量推定部101は、この係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ(大気外全天日射量Qの算出方法については上記式(1)~(8)参照)、日射量の推定値Qを算出する(ステップS109)。算出したら、ステップS101に戻る。
ステップS107において、現在時刻が午前でないと判定された場合は、ステップS110に進み、続く日影時間において日射量の推定に使用する係数kを算出する。係数kは、日影時間の開始直前における日射量の実測値を、大気外全天日射量Qで除した値として算出できる。尚、ここで係数kの算出に使用する「日射量の実測値」としては、ある一時点の測定値ではなく、ある程度の時間における測定値の平均値(例えば、日影時間の直前10分間において測定された日射量の平均値)を用いるとよい。日射量の推定値に対するノイズの影響を抑えるためである。算出された係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ、日射量の推定値Qを算出する(ステップS111)。算出したら、ステップS101に戻る。
上記図16の手順においては、天気の判定を一日のうち決められた早い時刻(日の出から1.5時間)の一回のみ行うようにしている。天気の判定は日射計100の測定値に基づいて実行することができるので、例えば作業員がその日の天気を日射量推定部101に入力したり、外部から取得した気象予報等の情報を使用する必要がなく、日射計100により取得される情報のみにより、最小限の手順で天気に応じた日射量の推定を行うことができる。
上記式(9)を用いた日射量の推定の手順の別の一例を、図17のフローチャートを参照して説明する。図17は、各日影時間に天気の判定を行い、これに基づいて以降の日射量に関する運用を決定する場合の手順を例示している。
本手順においては、日射量推定部101は現在時刻を取得した後(ステップS121)、まず現在時刻が日影時間にあたるか否かを判定する(ステップS122)。日影時間は、上記表1に示すようなデータに現在時刻を参照することで把握できるが、その他の方法で把握してもよい。
現在時刻が日影時間でない場合は、ステップS123に進み、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定してステップS121に戻る。現在時刻が日影時間にあたる場合は、ステップS124に進む。
ステップS124では、現在時刻が午前か否かを判定する。午前である場合はステップS125に進み、天気の判定を行う。ここにおける天気の判定は、例えば気象予報データを参照して行う。
天気が晴れでない場合は、ステップS123に進み、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定してステップS121に戻る。天気が晴れである場合は、ステップS126に進む。
ステップS126では、係数k(上記式(9)参照)として、午前の日影時間に使用する係数として予め定められた数値を使用することを決定する。続いて日射量推定部101は、この係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ、日射量の推定値Qを算出する(ステップS127)。算出したら、ステップS121に戻る。
ステップS124において、現在時刻が午前でないと判定された場合はステップS128に進み、天気の判定を行う。ここにおける天気の判定は、例えば気象予報データや、現在の天気として作業員により入力されたデータを参照して行う。
天気が晴れでない場合は、ステップS123に進み、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定してステップS121に戻る。天気が晴れである場合は、ステップS129に進む。
ステップS129では、続く日影時間において日射量の推定に使用する係数kを算出する。係数kは、日影時間の開始直前における日射量の実測値を、大気外全天日射量Qで除した値として算出できる。算出された係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ、日射量の推定値Qを算出する(ステップS130)。算出したら、ステップS121に戻る。
上記図17の手順では、日影時間における日射量の算出時に天気の判定を行うので、日の始めに一度だけ天気の判定を行う上記図16の手順と比較して、より実際の天気に即した運用が可能であり、特に天気の変わりやすい時季に有効である。
日射量の推定の手順のさらに別の一例を、図18のフローチャートを参照して説明する。図18に説明する手順は、図16の手順と概要において共通しているが、図18の手順では、午前の日影時間に関しては日射量として推定値を用いるか実測値を用いるかを天気に応じて判断する一方、午後の日影時間に関しては、天気の判定の如何にかかわらず推定値を用いる。
現在時刻の取得から天気の判定までの工程は、図16に示した手順と同様である。まず現在時刻を取得し(ステップS101)、取得した現在時刻が、天気の判定時刻か否かを判定し(ステップS102)、天気の判定時刻であれば、その時点における天気を判定する(ステップS103)。天気を判定したら、ステップS101に戻る。
ステップS102で、天気の判定時刻でないと判定された場合、本手順ではまず、現在が日影時間か否かの判定を行う(ステップS134)。現在が日影時間でない場合は、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定し(ステップS105)、ステップS101に戻る。
現在が日影時間である場合、続けて現在が午前であるか否かの判定を行う(ステップS136)。ここで現在時刻が午前であれば、その時点は日影時間であり、且つ午前である。本手順では、この段階で天気の判定を行う(ステップS137)。
ステップS137で天気が晴れと判定されたら、ステップS138に進み、係数kとして、午前の日影時間に使用する係数として予め定められた数値を使用することを決定する。日射量推定部101は、この係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ、日射量の推定値Qを算出する(ステップS139)。算出したら、ステップS101に戻る。
ステップS137で天気が晴れでないと判定された場合は、ステップS105に進み、日射量として日射計100の実測値を使用することを決定してステップS101に戻る。
ステップS136において、午前でないと判定された場合、その時点は日影時間であり、且つ午後である。この場合、ステップS140に進む。
ステップS140では、続く日影時間において日射量の推定に使用する係数kを算出する。ここでは、係数kを、日影時間の開始直前における日射量の実測値をその実測の同時刻の大気外全天日射量Qで除した値として算出する。ここで係数kの算出に使用する「日射量の実測値」としては、ある程度の時間における測定値の平均値を用いるとよい。算出された係数kの値を、その時点における大気外全天日射量Qに乗じ、日射量の推定値Qを算出する(ステップS141)。算出したら、ステップS101に戻る。
このような手順では、午前の日影時間においては晴天と判定されている場合に限り日射量として推定値を用い、午後の日影時間においては天気の判定如何にかかわらず日射量として推定値を用いる。天気は時々刻々変動するため、その日の天気の判定を午前の早い時間に一回だけ実行する場合、天気の判定結果に関する信頼度は時間経過と共に下がっていく。そこで、図18に示す手順では、午前の日影時間に関しては天気の判定結果を参照し、日射量に関する運用を天気に応じて変更するが、午後の日影時間に関しては天気の判定結果を参照せず、天気が晴れであってもなくても日射量として推定値を用いる。尚、天気が晴れでない場合であっても係数kは大気外全天日射量Qと日射量の実測値から算出でき、これを用いて日影時間における日射量の推定値を算出することは可能である(その際に用いる係数kの値は、晴天における係数kの値よりは小さくなる)。曇りや雨の場合は日射が雲によって遮られるため日射量の変動が大きいものの、日射量への直達日射の影響もゼロではないので、上に説明したようにその都度、その時点で得られている日射量の実測値に基づいて係数kを算出し、これに基づいて日射量の推定値を算出することで、曇りや雨であってもある程度の精度で日射量を推定し得る。
尚、ここに説明した3通りの手順はそれぞれ一例であって、本発明の日射量の推定方法を実施する際には、各工程の内容や順序を変更したり、工程の一部を省略したり、別の工程を付加するなど、適宜改変を加えてよい。例えば、上では天候が晴れと判定された場合以外は日射量の推定値を行わず、日射量として実測値を用いる場合を説明したが、曇りや雨の日においても日影の影響を極力排除したいような場合には、天候が曇りや雨であっても、日影時間には天候に応じた係数kを用いて日射量の推定を行うようにしてもよい。また、各日影時間の開始時刻や終了時刻によっては、午前の日影時間において日射量の実測値から係数kを算出してもよいし、また、午後の日影時間において予め決められた値の係数kを使用してもよい。また、上では日射量をリアルタイムで推定する手順を説明したが、用途によっては日射量を事後的に推定すれば十分である場合も想定でき、その場合には無論、各工程の順序は大幅に変更し得る。
このような日射量の推定方法によれば、日射計100に日影の生じる日影時間においては実測値に代えて推定値を用いることで、日影の影響を排除して実際の値に近い日射量を得ることができる。日射量の推定値は、大気外全天日射量に基づく単純な計算で算出することができ、また日射計100以外に特別な装置等も必要ないので、非常に簡便である。
日射計の測定値に対する日影の影響を排除するには、日射計をそもそも日影の生じない場所に設置すればよいことは勿論であるが、それが困難な場合もあり得る。例えば、オフィスビル等の屋上には種々の装置類が配置されていることが多く、日影の生じない場所に日射計を設置できるようなスペースがないことも多い。こういった場合、例えば日射計を設置するための台のような構造物を設けることも理論上は可能であるが、これには無論、余分な費用が発生してしまう。あるいは、複数の日射計を互いに異なる位置に設置し、一個の日射計に日影が生じる時間帯には別の日射計の実測値を使用する、といった方策も考えられるが、複数台の日射計を設置しようとすれば当然、相応の費用が生じてしまう。上記本実施例の如き方法あるいはシステムによれば、余分な構造物や装置、あるいは複雑な演算等を極力必要とすることなく、最小限の構成で日射量を簡便に推定し、日射計に生じる日影の影響を排除することができる。
以上の手順により、日射計100の設置位置における日射量(屋上日射量)に関しては、日影時間においては日射量として推定値を適宜用いることにより、日影の影響を極力排除し、正しい値に近い日射量を得ることができる。続いて、こうして得た日射量(実測値または推定値)を、各階のペリメータゾーンPの各位置における空調制御に適用する際の具体的な方法について説明する。
モデル生成部14による温度推定モデルMの生成や、温度推定モデルMによる各位置の床近傍温度T2の推定に前記屋上日射量を用いる場合、各位置における日影時間を考慮し、これに応じて前記屋上日射量を使用するとよい。
ある建造物のある位置に対する日射量の影響は、その位置における日射の有無、すなわちその位置が日向か日影かによって大きく異なる。そして、日射の有無は、その位置の方角や建造物における階数、フロアにおける配置、さらに時季や時刻によって異なる。したがって、空調対象である空間のうちのある位置において、日射量に関わる何らかの状況を推定したい場合、上記方法で把握された屋上日射量に加え、対象とする位置における日射の有無を考慮に入れれば、日射量の影響に関し精度の高い推定が可能になる。
上に述べた本実施例のペリメータ空調システムにおいて、ある時刻における各位置の床近傍温度T2を日射量を加味しつつ推定したい場合、例えば各位置における日影時間を把握し、これに基づいて各位置における時刻による日射の有無を、下記表2に示す如きデータとしてまとめておけばよい。すなわち、上記方法で把握した日射量に加え、対象の位置における日射の有無を下記表2に示す如き日影時間データにより把握し、これを温度推定モデルMで説明変数として使用すればよい。尚、下記表2において、最上の行に記載の名称(5F 1-1-1、36F 4-2-3等)は各階の各位置に対応しており、「RF」は屋上である。左の列は、一年における各時刻を5分刻みで表している。そして、ある位置(例えば、6Fの1-1-1)のある時刻(例えば、4月1日の10:00や6月12日の9:00など)において、日射がある(その位置が日向である)場合には数値を「1」、日射がない(その位置が日影である)場合には数値を「0」と、それぞれ定義している。
Figure 0007558626000002
こうして、上記表2を参照すれば、空調の対象であるビルのうち、目的の階の目的の位置における日影時間を把握し、ある時間における日射の有無を、「1」か「0」かの変数として温度推定モデルMに入力することができる。すなわち、温度推定モデルMでは、例えばある時刻において、目的の位置に日射がある場合には日射の有無を示す説明変数として上記表2のデータから「1」が入力される。図5に示すモデルに上記説明変数を入力することで、床近傍温度T2が出力される。尚、この説明は仮想的な一例であって、機械学習によって生成された温度推定モデルM内で各設定変数に基づき実際にどのような処理が行われるかは、機械学習の過程や温度推定モデルMの仕様に依存して様々に異なる。
また、上記表2の如き日射量の有無に関するデータを温度推定モデルMで利用するにあたっては、上記のような形(「1」か「0」か)で日射量の有無をそのまま温度推定モデルMに入力するのではなく、例えば日射の有無に応じて屋上日射量に対し予め何らかの計算処理を行った値を温度推定モデルMに入力してもよい。例えば日射の有無に有効屋上日射量を掛けることで各フロア各系統対象位置のビル影を考慮した日射量を疑似的に生成できる。その他、屋上日射量や各位置における日射の有無を温度推定モデルMで利用する際、具体的な方法としては適宜の方法を利用し得る。
上記表2に示す如き各位置における日射の有無のデータは、例えば各位置における天空率図に基づいて作成することができる。天空率図(あるいは天空図)は、ある測定点から見た天空において建築物等の物体の占める部分を表す図であり、天空率図を作成すれば、その測定点の経緯と緯度および前記物体の位置と形状に基づき、一年の各日における日影の発生時間を把握することができる。そこで、目的の各位置について天空率図を作成することで、上記表2の如き日影時間と日射の有無に関するデータを作成することが可能である。
ただし、例えば高層ビル等において、空調の制御対象として想定する全ての位置について天空率図を作成し、日影時間を把握するには膨大な手間がかかる。そこで、例えば空調対象のうち一部の階を代表階と定め、該代表階の位置において天空率図に基づき日影時間を算出し、代表階以外の階の日影時間においては、代表階における日影時間をそのまま使用するか、代表階の日影時間に何らかの補正を加えて使用すればよい。階や位置が異なるとしても、位置が近接していれば、原則として日影時間はほぼ共通すると考えられるからである。
例えば、ビルの6階~30階を空調制御の対象とする場合、8階、13階、18階、23階、27階を代表階として定め、6~10階については8階の日影時間のデータを、11~15階については13階の日影時間のデータを、16~20階については18階の日影時間のデータを、21~25階については23階の日影時間のデータを、26~30階については27階の日影時間のデータを、それぞれ使用すればよい。あるいは、例えば9階~12階については、8階と13階のデータに基づいて補間するようにしてもよい。例えば、8階のある位置におけるある日の午前の日影時間の開始時刻が9:00であり、13階の対応する位置における同じ日の午前の日影時間の開始時刻が9:30であった場合、9~12階の午前の日影時間の開始時刻は、9:00と9:30の間を按分する形で補間し、それぞれ9:06、9:12、9:18、9:24などと決定するようにしてもよい。
また、1つの階について空調制御の対象として想定される位置の数が多い場合等には、一部の位置を代表位置と定めて日影時間を算出し、その他の位置については、近い代表位置における日影時間をそのまま使用するか、複数の代表位置における日影時間に基づき補間するなどの補正を加えて使用することもできる。
また、上記表2では各位置における日射の有無を5分刻みでスケジュール化しているが、時季による日影時間の変動についても、一部の日の日影時間のみを計算し、これを他の日の日影時間の把握に利用するようにしてもよい。原理的には、各位置における天空率図に基づき、日射に関するスケジュールを正確に把握することはできるものの、1年を構成する365日の全てについて同様の計算を行うと、やはり計算にかかる手間は膨大になる。そこで、例えば各月の初日など、限られた日の日影時間を代表値として計算し、その他の日については、計算によって算出された日の日影時間を補間してこれを日影時間とすればよい。例えば、各月の初日について天空率図に基づき日影時間を算出し、4月2日~4月30日の日影時間については、4月1日における日影時間のスケジュールと、5月1日における日影時間のスケジュールを基準とし、その間を補間して得ることができる。
尚、例えば一般的な日照シミュレーションのように1年の各日の日射量を計算しようとすれば、上に説明したような代表階や代表日のデータを基準とし、他の位置や日に適用するといった運用はできず、5分毎のシミュレーションを個別に全て行う必要がある。上に説明したように、日射の有無を日射量とは別の変数として設定し、これをスケジュールとして把握することで、計算に必要な手間を大幅に節減することができる。
以上のように、上記本実施例の空調システムは、給気A1を送り出す空調機1と、空調機1から対象空間Sへ給気A1を導く給気ダクト2と、対象空間Sへ給気A1を吹き出す吹出口4と、吹出口4から吹き出される給気A1の風量を調整する変風量装置5と、ペリメータゾーンPに設けられ、室内空気A2を上方へ送り出すペリメータファン6と、ペリメータファン6の上方に設けられた吸込口16とを備え、ペリメータゾーンPの床近傍温度T2に関連する複数のパラメータに基づき、ペリメータゾーンPの各位置における床近傍温度T2を推定し、推定された床近傍温度T2に基づき、ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の吹出風量を調整するよう構成され、前記床近傍温度T2の推定は、少なくとも日射量をパラメータとして用いて行うよう構成され、前記日射量は、日射計100に日影の生じる時間として設定された日影時間においては、大気外全天日射量に基づき日射量の算出された推定値として把握する一方、それ以外の時間においては、日射計100における実測値として把握するよう構成されている。このようにすれば、床近傍温度T2に基づいて吹出口4からペリメータゾーンPへの送風量が適宜増大され、供給される暖気がペリメータファン6に到達して上方の吸込口16へ送られ、これによりペリメータゾーンPの最外周に生じる冷気が遮られ、コールドドラフトが内側へ入り込むことが防がれる。こうして、対象空間Sの床面付近における温度分布を是正することができる。また、床近傍温度T2はソフトウェアによって推定するので、センサの設置に係るコストを減らしつつ、変風量装置5からの吹出風量を制御することができる。その際、日影時間においては実測値に代えて推定値を用いることで、日影の影響を排除して実際の値に近い日射量を得ることができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出することができ、このようにすれば、日射量を簡便に精度よく推定することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出されることができ、このようにしても、日射量を簡便に精度よく推定することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、午前の日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出し、午後の日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出されることができる。このようにすれば、午前と午後それぞれの時間帯における日射の実情に合わせ、日射量を精度よく推定することができる。
また、本実施例の空調システムにおいては、日影時間であり、且つ天気が晴れと判定されたことを条件として日射量の推定を行うことができる。このようにすれば、日射量に対する日影の影響が大きい場合に限り、日射量として推定値を用いることができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、前記床近傍温度T2の推定は、パラメータとしてさらに対象の位置における日射の有無を用いて行うことができる。このようにすれば、日射量を用いて対象の位置における床近傍温度T2を推定するにあたり、日射量の影響に関して精度の高い推定を行うことができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、前記日射の有無は、対象の位置における日影時間に基づき把握することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、対象の位置における日影時間は、天空率図に基づき把握することができる。
また、本実施例の空調システムは、機械学習により生成された温度推定モデルMを用いてペリメータゾーンPの床近傍温度T2を推定するよう構成されている。このようにすれば、ペリメータゾーンPの床近傍温度T2を精度よく推定することができる。
また、本実施例の空調システムにおいて、温度推定モデルMは、以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度T2を推定するよう構成することができる。
・外気温度
・風向
・風速
・降雨量
・床近傍温度センサ11の測定値
・空調機1の運転状態
・ペリメータファン6の運転状態
・ペリメータゾーンPに面する変風量装置5の運転状態
・対象空間Sに設置される温度センサ9の測定値
・日付
・時刻
・曜日
したがって、上記本実施例によれば、時刻により生じる日影の影響を考慮し、日射量を極力正確に推定し、これに基づいてペリメータゾーンにおける空気温度の分布を好適に是正し得る。
尚、本発明の空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 空調機
2 給気ダクト
4 吹出口
5 変風量装置
6 ペリメータファン
9 温度センサ
11 床近傍温度センサ
16 吸込口
100 日射計
A1 給気
A2 室内空気
M 温度推定モデル
P ペリメータゾーン
S 対象空間

Claims (10)

  1. 給気を送り出す空調機と、
    前記空調機から対象空間へ給気を導く給気ダクトと、
    対象空間へ給気を吹き出す吹出口と、
    前記吹出口から吹き出される給気の風量を調整する変風量装置と、
    ペリメータゾーンに設けられ、室内空気を上方へ送り出すペリメータファンと、
    前記ペリメータファンの上方に設けられた吸込口とを備え、
    ペリメータゾーンの床近傍温度に関連する複数のパラメータに基づき、ペリメータゾーンの各位置における床近傍温度を推定し、推定された床近傍温度に基づき、ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の吹出風量を調整するよう構成され、
    前記床近傍温度の推定は、少なくとも日射量をパラメータとして用いて行うよう構成され、
    前記日射量は、日射計に日影の生じる時間として設定された日影時間においては、大気外全天日射量に基づき日射量の算出された推定値として把握する一方、
    それ以外の時間においては、前記日射計における実測値として把握するよう構成されていること
    を特徴とする空調システム。
  2. 日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出されること
    を特徴とする請求項1に記載の空調システム。
  3. 日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出されること
    を特徴とする請求項1に記載の空調システム。
  4. 午前の日影時間における日射量の推定値は、予め設定された係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出し、
    午後の日影時間における日射量の推定値は、日影時間前時刻における日射量の実測値を実測の同日付時刻の大気外全天日射量で除して算出した係数を、日影時間における日付時刻ごとの大気外全天日射量に乗じて算出されること
    を特徴とする請求項1に記載の空調システム。
  5. 日影時間であり、且つ天気が晴れと判定されたことを条件として日射量の推定を行うこと
    を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の空調システム。
    ていること
  6. 前記床近傍温度の推定は、パラメータとしてさらに対象の位置における日射の有無を用いて行うよう構成されていること
    を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の空調システム。
  7. 前記日射の有無は、対象の位置における日影時間に基づき把握されること
    を特徴とする請求項6に記載の空調システム。
  8. 対象の位置における日影時間は、天空率図に基づき把握されること
    を特徴とする請求項7に記載の空調システム。
  9. 機械学習により生成された温度推定モデルを用いてペリメータゾーンの床近傍温度を推定するよう構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の空調システム。
  10. 前記温度推定モデルは、さらに以下のパラメータから選択される一部または全部のパラメータを説明変数として用いて床近傍温度を推定するよう構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の空調システム。
    ・外気温度
    ・風向
    ・風速
    ・降雨量
    ・前記床近傍温度センサの測定値
    ・前記空調機の運転状態
    ・前記ペリメータファンの運転状態
    ・ペリメータゾーンに面する前記変風量装置の運転状態
    ・対象空間に設置される温度センサの測定値
    ・日付
    ・時刻
    ・曜日
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