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JP7560766B2 - 適応等化フィルタおよびフィルタ係数更新方法 - Google Patents
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JP7560766B2 - 適応等化フィルタおよびフィルタ係数更新方法 - Google Patents

適応等化フィルタおよびフィルタ係数更新方法 Download PDF

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Description

本発明は、適応等化フィルタおよびフィルタ係数更新方法の技術に関する。
デジタルコヒーレント伝送では、光ファイバ中で生じる波形歪を補償するためデジタル信号処理(DSP(Digital Signal Processing))を用いて等化の処理が行われる。この等化の処理においては、波形歪みの動的変化に追従するために、適応等化フィルタを利用する。そのフィルタ係数は、勾配法を用いて制御される方式が一般的である。非特許文献1および非特許文献2には、勾配法を用いたフィルタ係数の制御について記載されている。
フィルタ係数を制御する際には、光ファイバ伝送路の変動による偏波状態の変動に対して、高速に追従することが求められる。偏波変動耐力として、例えば50kH項などといった変動への耐力が求められる。また、落雷により、更に高速な偏波変動が発生することも報告されている。
従来の伝送方式では、高いシンボルレートの信号を単一のキャリアで伝送する方式が主流であった。従来の伝送方式では、シンボルレートが速いため、勾配法を用いた適応フィルタ制御でも十分早い追従速度を実現することができた。しかし、近年は、光ファイバ伝送における非線形劣化を最小限にする観点で、変調のシンボルレートを下げることが効果的であるという報告がある。このため、デジタル信号処理の段階で、複数のサブキャリアを多重するような構成が注目されている。
K. Kikuchi, "Fundamentals of Coherent Optical Fiber Communications," J. Lightwave Tech., Vol. 34, No.1, p.157, 2016. D. N. Godard, "Self-recovering equalization and carrier tracking in two-dimensional data communication systems," IEEE Trans. Comm., Vol. 28, No. 11, 1980.
光伝送の変調シンボルレート下げること、および高い偏波変動耐力が必要、という2つの傾向は、課題をもたらす。つまり、サブキャリア分割伝送などシンボルレートを下げることは、一般に偏波変動耐力を低下させる。適応等化フィルタ係数は、勾配法を用いて更新され、その際に既知シンボルやデータシンボルを用いて、フィルタ係数更新を行う。このため、シンボルレートが低速になると、シンボル到来時間間隔が伸びるため、変動追従速度が低下するという問題があった。
上記事情に鑑み、本発明は、シンボルレートが低速になっても、高速な追従速度と、高い歪み補償耐力との両立を実現することができる技術の提供を目的としている。
本発明の一態様は、主信号フィルタと、前記主信号フィルタのフィルタ係数を更新する係数演算部と、を備え、前記係数演算部は、主信号のサンプルを入力とする、縦続接続された前段フィルタおよび後段フィルタと、前記前段フィルタのフィルタ係数を、勾配法を用いたフィードバック制御によって求める前段係数演算部と、前記後段フィルタのフィルタ係数を、フィードフォワード制御によって求める後段係数演算部と、前記前段係数演算部が求めた前記前段フィルタのフィルタ係数と、前記後段係数演算部が求めた前記後段フィルタのフィルタ係数と、の畳み込み演算によって、前記主信号フィルタのフィルタ係数を求める畳み込み演算部と、を備える、光伝送システムのための適応等化フィルタである。
本発明の一態様は、主信号フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新方法であって、主信号のサンプルを入力として、前段フィルタと後段フィルタとが縦続接続されており、前段係数演算部が、前記前段フィルタのフィルタ係数を、勾配法を用いたフィードバック制御によって求め、後段係数演算部が、前記後段フィルタのフィルタ係数を、フィードフォワード制御によって求め、畳み込み演算部が、前記前段係数演算部が求めた前記前段フィルタのフィルタ係数と、前記後段係数演算部が求めた前記後段フィルタのフィルタ係数と、の畳み込み演算によって、前記主信号フィルタのフィルタ係数を求める、フィルタ係数更新方法である。
本発明により、シンボルレートが低速になっても、高速な追従速度と、高い歪み補償耐力との両立を実現することが可能となる。
本発明の実施形態による適応等化FIRフィルタの構成例を示すブロック図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の適応等化FIRフィルタの構成例を示すブロック図である。適応等化FIRフィルタ1は、光伝送システムのための、光信号受信装置あるいは光信号中継装置の一部として用いられ得るものである。適応等化FIRフィルタ1は、下で説明するフィルタ係数更新方法を実行する。図示するように、適応等化FIRフィルタ1は、FIRフィルタ11、12、13、および14と、加算器31および33と、係数演算部80とを含む。
FIRフィルタ11、12、13、および14は、主信号パスに設けられるフィルタである。FIRフィルタ11、12、13、および14は、「主信号フィルタ」とも呼ばれる。主信号パスは、1段の2×2のFIRフィルタで構成される。FIRフィルタ11、12、13、および14のそれぞれのフィルタ係数は、係数演算部80によって動的に更新される。FIRフィルタ11と13には、X偏波の入力信号が入力される。FIRフィルタ12と14には、Y偏波の入力信号が入力される。FIRフィルタ11、12、13、および14は、それぞれのフィルタ係数に基づいて入力信号に対して作用する。FIRフィルタ11と12からの出力は、加算器31に渡される。FIRフィルタ13と14からの出力は、加算器33に渡される。
加算器31および加算器33のそれぞれは、入力される信号を加算して出力する。加算器31は、FIRフィルタ11および12からの信号を加算し、X偏波の信号として出力する。加算器33は、FIRフィルタ13および14からの信号を加算し、Y偏波の信号として出力する。
係数演算部80は、主信号パスに設けられるFIRフィルタ11、12、13、および14を制御する。具体的には、係数演算部80は、適応等化FIRフィルタ1への入力信号のサンプルを取得する。係数演算部80は、そのサンプルに基づいて、FIRフィルタ11、12、13、および14の係数を算出し、更新する。係数演算部80は、適応等化FIRフィルタ1の追従速度の高速化のために、一部タップ係数をフィードフォワード制御する構成を有している。
係数演算部80は、前段2×2FIRフィルタ41と、後段2×2FIRフィルタ42と、前段FIR係数演算部51と、後段FIR係数演算部52と、CPR位相推定部61と、畳み込み演算部71とを含む。
前段2×2FIRフィルタ41と、後段2×2FIRフィルタ42とは、縦続接続された二段の2×2フィルタである。前段2×2FIRフィルタ41および後段2×2FIRフィルタ42のそれぞれは、2入力2出力のFIRフィルタである。なお、縦続接続された前段2×2FIRフィルタ41および後段2×2FIRフィルタ42の系列には、主信号のサンプルが入力される。なお、入力される主信号の一部は、既知信号(既知シンボル)である。係数演算部80は、既知シンボルを利用して、前段2×2FIRフィルタ41および後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を演算する。前段2×2FIRフィルタ41は、単に「前段フィルタ」とも呼ばれる。また、後段2×2FIRフィルタ42は、単に「後段フィルタ」とも呼ばれる。
前段FIR係数演算部51は、最急降下法(勾配法)を用いて前段2×2FIRフィルタ41の係数を求め、前段2×2FIRフィルタ41をフィードバック制御する。なお、前段FIR係数演算部51は、単に「前段係数演算部」とも呼ばれる。
具体的には、前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42からの出力信号と既知信号との誤差が小さくなる方向に、勾配法を利用して、前段2×2FIRフィルタ41のフィルタ係数を求める。
さらに具体的には、前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42からの出力信号に周波数オフセット補償およびキャリア位相補償を実施した結果と、同じ時間位置の既知シンボルと、の複素誤差を演算する。また、前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42からの出力信号を得るために用いた前段2×2FIRフィルタ41への入力サンプルと、前記後段2×2FIRフィルタ42の係数との内積を計算し、さらに、前記周波数オフセット補償および前記キャリア位相補償を適用し、当該適用結果の複素共役と前記複素誤差との積に基づいて、更新ベクトルを求める。より具体的には、例えば、前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42からの出力信号を得るために用いた、出力信号1シンボルあたり後段2×2FIRフィルタ42の長さと同数の前段2×2FIRフィルタ41への入力サンプルと、前記後段2×2FIRフィルタ42の係数との内積を計算し、さらに、前記周波数オフセット補償および前記キャリア位相補償を適用し、当該適用結果の複素共役と前記複素誤差との積に、ステップサイズを乗算することによって更新ベクトルを求める。前段FIR係数演算部51は、前記更新ベクトルを用いて、前段2×2FIRフィルタ41のフィルタ係数を演算し、更新する。
後段FIR係数演算部52は、最小平均二乗誤差法(MMSE,Minimum Mean Square Error)などを用いて、後段2×2FIRフィルタ42の係数を求め、後段2×2FIRフィルタ42を制御する。言い換えれば、後段FIR係数演算部52は、フィードフォワード構成で、後段2×2FIRフィルタ42を制御する。なお、後段FIR係数演算部52は、単に「後段係数演算部」とも呼ばれる。
具体的には、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルと、当該入力信号ベクトルに後段2×2FIRフィルタ42を適用して得られる時間位置の既知信号シンボルと、のセットを複数用いて、後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルの共分散行列の逆行列を求める。後段FIR係数演算部52は、前記の既知信号シンボルと後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルとの相関ベクトルを求める。そして、後段FIR係数演算部52は、前記の相関ベクトルに前記の共分散行列の逆行列を作用させて、最小平均二乗誤差法を用いて、後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を求める。
後段FIR係数演算部52は、次のような処理で後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を求めてもよい。即ち、後段2×2FIRフィルタ42の2入力の長さMタップの係数のうち、一方の係数をhx[1],hx[2],・・・,hx[M]とし、他方の係数をhy[1],hy[2],・・・,hy[M]とする。
そして、後段FIR係数演算部52は、上記Mタップのうちの1つもしくは複数のタップ時間位置mを選択し、選択したmのそれぞれについて、次の処理を行う。後段FIR係数演算部52は、タップ時間位置m以外のタップ時間位置のフィルタ係数を前記後段FIRフィルタ(42)への入力信号ベクトルに作用させて、前記後段FIRフィルタ(42)の出力シンボルの暫定値y[m]を演算する。また、後段FIR係数演算部52は、暫定値y[m]の時間位置に対応する既知信号シンボルの複素値と、暫定値y[m]の複素値との複素誤差を計算する。また、後段FIR係数演算部52は、上記の複素誤差と、暫定値y[m]を演算するために用いた後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルと、の1つまたは複数のセットを用いて、次の処理を行う。即ち、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルの2×2の共分散行列の逆行列を求め、前記複素誤差と後段2×2FIRフィルタ42への入力信号ベクトルとの相関ベクトルを求めて、前記相関ベクトルに2×2の共分散行列の逆行列を作用させて、第m番目のタップ係数であるhx[m]とhy[m]とを算出する。上記の処理によって、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を求める。
なお、後段FIR係数演算部52は、既知信号それぞれに対して、周波数オフセット推定量から予測される位相回転量の複素共役をかける演算を行ってもよい。これにより、求めるフィルタ係数の誤差を低減することができる。
後段FIR係数演算部52は、さらに、既知信号のそれぞれに対して、キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量の複素共役をかける演算をさらに行ってもよい。また、後段FIR係数演算部52は、キャリア位相補償量が未だ推定できていないシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルの位相補償量の代表値の複素共役をかける演算をさらに行うようにしてもよい。
CPR位相推定部61は、キャリア位相補償量を推定する。
畳み込み演算部71は、前段FIR係数演算部51が求めた前段2×2FIRフィルタ41の係数と、後段FIR係数演算部52が求めた後段2×2FIRフィルタ42の係数との、畳み込み演算を行う。畳み込み演算部71による畳み込み演算の結果は、主信号パスのFIRフィルタ11、12、13、および14の係数として用いられる。即ち、畳み込み演算部71は、上記の演算結果を用いて、FIRフィルタ11、12、13、および14の係数を更新する。
以下では、主信号FIRフィルタのタップ係数の更新処理について、説明する。回路の構成を決める主要パラメータを、まず以下で定義する。主信号フィルタ長を、N_FIRとする。後段フィルタ(後段2×2FIRフィルタ42)のタップ長を、N_PSTとする。前段フィルタ(前段2×2FIRフィルタ41)のフィルタ長を、N_PREとする。N_PRE=N_FIR-N_PST+1である。後段フィルタ(後段2×2FIRフィルタ42)のタップ係数算出の平均化長を、N_PST_AVGとする。
係数演算部80は、既知信号シンボルを利用して、主信号フィルタの係数を更新するための係数を演算する。
つまり、係数演算部80は、係数演算部80に入力される信号のサンプルから、既知シンボルの時間位置に相当するサンプルを中心として、連続した長さN_FIRのサンプルを抽出する。係数演算部80は、抽出された長さN_FIRのサンプルと既知信号の参照値とを用いて、前段2×2FIRフィルタ41のフィルタ係数を更新し、また後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を更新する。係数演算部80は、前段2×2FIRフィルタ41のフィルタ係数と後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数との畳み込み演算にて、主信号データのフィルタ係数算出する。また、係数演算部80は、FOC補償量推定およびCPR補償量推定も実施する。なお、FOCは、「周波数オフセット補償」(Frequency offset compensation)を意味する。また、CPRは、「搬送波位相復元」(Carrier Phase Recovery)を意味する。CPRは、「搬送波位相再生」とも呼ばれる。
係数演算部80は、以下に説明する処理を、既知シンボル毎に、繰り返し計算する。係数演算部80は、すべての既知シンボルを用いてその計算を行ってもよいし、必要な分の既知シンボルだけを選択して計算に用いるようにしてもよい。
係数演算部80は、適応等化FIRフィルタ1への入力サンプルのうち、既知シンボルの時間位置に相当するサンプルを中心として、長さN_FIRサンプル分のX偏波およびY偏波の入力データを抽出する。ここで抽出した、長さN_FIRの入力データのベクトルを、それぞれ、fir_in_x_psおよびfir_in_y_psと定義する。
係数演算部80は、次に、後段2×2FIRフィルタ42に必要なN_PSTサンプル分の、前段2×2FIRフィルタ41の出力を演算する。係数演算部80は、上で定義した、長さN_FIRの、入力データベクトルfir_in_x_psおよびfir_in_y_psのうち、それぞれ1番目のサンプルからN_PRE番目のサンプルまで抽出し、長さN_PREのベクトルを生成する。このX偏波およびY偏波のそれぞれのベクトルを、それぞれ、xinおよびyinと定義する。
前段2×2FIRフィルタ41の4つのタップ係数をpre_hxx、pre_hxy、pre_hyx、pre_hyyとする。前段2×2FIRフィルタ41のX偏波の出力値は、ベクトルxinと係数pre_hxxの内積と、ベクトルyinと係数pre_hxyの内積と、の和として得られる。前段2×2FIRフィルタ41のY偏波出力も同様に、ベクトルxinと係数pre_hyxの内積と、ベクトルyinと係数pre_hyyの内積と、の和として得られる。前段2×2FIRフィルタ41の出力値は、スカラーとして説明する。
係数演算部80は、次に、前段2×2FIRフィルタ41への入力データのサンプルであるベクトルfir_in_x_psおよびfir_in_y_psにおいて、2番目からN_PRE+1番目まで抽出した、それぞれxinおよびyinに対して、同様の処理をする。このように、係数演算部80は、位置を進めながらN_PST個分だけ繰り返すことにより、後段2×2FIRフィルタ42への入力となるN_PST個分のサンプル値を得る。
また、係数演算部80は、後段FIR出力シンボルに相当する既知シンボルの参照値を取得する。例えば、ある時刻の既知シンボルの、X偏波の同相成分(Inphase)および直交成分(Qudarature)の振幅値を、それぞれ、ps_ref_xiおよびps_ref_xqとすると、その複素信号はpsx_ref=ps_ref_xi+j×ps_ref_xqである。ここで、jは虚数単位である。ある時刻の既知シンボルのY偏波に関しても同様に、同相成分および直交成分の振幅値を、それぞれ、ps_ref_yiおよびps_ref_yqとすると、その複素信号はpsy_ref=ps_ref_yi+j×ps_ref_yqである。
係数演算部80は、上記の長さN_PSTサンプルの、後段2×2FIRフィルタ42への入力ベクトルを、それらに対応する既知シンボル参照値と共にバッファに蓄える。後段2×2FIRフィルタ42の係数を更新するためには、複数の既知シンボルを用いる。後段2×2FIRフィルタ42への入力ベクトルと既知シンボル参照値とのセットが、係数を正常に演算できるだけの所定数分蓄えられた時点で、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42の係数を求めるための演算を実行する。既に、後段2×2FIRフィルタ42の係数の算出に用いた後段2×2FIRフィルタ42への入力値と、既知シンボル参照値と、のセットを、後段FIR係数演算部52は、再度利用することもできる。
以下では、後段FIR係数演算部52が、蓄えられた後段2×2FIRフィルタ42への入力値と既知シンボル参照値とのセットを、N_PST_AVGセットだけ利用して、係数を求める方法を説明する。N_PST_AVGは、前述の通り、後段2×2FIRフィルタ42のタップ係数算出の平均化長である。
まず、係数演算部80は、周波数オフセット補償量として、推定されたFOC補償量に基づいて、1シンボル当たりの位相回転量を求める。係数演算部80は、求められた1シンボル当たりの位相回転量をN_PST_AVG個のシンボルの長さにわたって、前後シンボルの位相差として与えたベクトルをfoc_phi_vecとする。後段FIR係数演算部52は、この位相回転量を、位相角で補償してもよいし、複素値として補償してもよい。
係数演算部80は、既にCPR(搬送波位相復元)で推定された時間領域の補償量もので、後段2×2FIRフィルタ42の係数更新において利用できるものがあれば、後述するCPR推定値の位相補償量としても利用する。
ただし、ここで後段2×2FIRフィルタ42の係数更新に利用するシンボル領域には、後置されるCPR(搬送波位相復元)のための位相推定処理が完了してないシンボル領域も含まれる。それらのシンボル領域ではCPR補償量は得られていない。それらのシンボル領域に対しては、代表値の位相補償量を複製して利用する。代表値の位相補償量とは、例えば、既にCPR補償量が得られている領域の最終シンボルの位相補償量などである。
つまり、後段FIR係数演算部52は、既知信号のそれぞれに対して、キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量の複素共役をかける演算をさらに行ってもよい。また、後段FIR係数演算部52は、キャリア位相補償量が未だ推定できていないシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルの位相補償量の代表値の複素共役をかける演算をさらに行うようにしてもよい。
後段FIR係数演算部52は、以上のようにして、長さN_PST_AVGシンボルのCPR位相補償量cpr_phi_vecを得る。
次に、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42のタップ係数を求める。そのための手法として複数の方法を以下で説明する。
[第一の方法]
その第一の方法は、最小平均二乗誤差法を用いて、後段2×2FIRフィルタ42の全タップを一括で求める方法である。
後段2×2FIRフィルタ42からの1シンボルの出力を得るために必要なX偏波の入力サンプルは、長さN_PSTの横ベクトルとして表現できる。後段2×2FIRフィルタ42の係数の更新には、N_PST_AVG個の既知シンボルを利用する。それらの既知シンボルの時間位置に対応するX偏波の、後段2×2FIRフィルタ42への入力信号のサンプルの横ベクトルを、縦方向にN_PST_AVG個並べた、縦:N_PST_AVG行、横:N_PST列の行列をPST_xallとする。N_PST_AVG個の既知シンボルのY偏波側についても、同様に、後段2×2FIRフィルタ42への入力信号のサンプルの横ベクトルを、縦方向にN_PST_AVG個並べた、縦:N_PST_AVG行、横:N_PST列の行列をPST_yallとする。この2つの行列PST_xallおよびPST_yallを、横方向に連結して、縦:N_PST_AVG、横:2×N_PSTの行列を得られる。この行列を、XおよびY両偏波入力サンプル行列PST_xyallとする。後段FIR係数演算部52は、この長方行列PST_xyallから、共分散行列を計算する。具体的には、後段FIR係数演算部52は、行列PST_xyallの位相共役転置行列と行列PST_xyallとの行列積を演算し、さらにN_PST_AVGで割ることで共分散行列を求められる。このようにして算出される共分散行列は、縦サイズと横サイズがともに2×N_PSTの、正方行列である。
また、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42の係数更新に用いるN_PST_AVG個の既知シンボルを、縦方向に並べて、既知シンボル縦ベクトルref(縦:N_PST_AVG行、横:1列)を得る。後段FIR係数演算部52は、XおよびY両偏波の入力サンプル行列PST_xyallの複素共役転置行列を、上記の既知シンボル縦ベクトルrefに作用させ、さらにN_PST_AVGで割って、相関ベクトルcor_xyを得る。
なお、ここで、周波数オフセットがある場合には、シンボル毎に位相回転が発生することによって、係数演算の誤差が大きくなってしまうという問題がある。この問題を解決するため、後段FIR係数演算部52は、上記の既知シンボル縦ベクトルrefのそれぞれの成分に対して、周波数オフセット位相補償ベクトルfoc_phi_vecの複素共役をかけることで、係数演算の誤差を低減することができる。
また、位相雑音が大きい場合には、後段FIR係数演算部52は、同様に、既知シンボル縦ベクトルrefのそれぞれの成分に対してCPR位相補償量ベクトルcpr_phi_vecの複素共役をかけることで、係数の誤差を低減することができる。つまり、後段FIR係数演算部52は、既知信号のそれぞれに対して、周波数オフセット推定量から予測される位相回転量の複素共役をかける演算を行ってもよい。
周波数オフセット補償や位相雑音補償を行った場合、後段FIR係数演算部52は、既知シンボル縦ベクトルrefに対して、前記のXおよびY両偏波の入力サンプル行列PST_xyallの複素共役転置行列を作用させ、さらにN_PST_AVGで割って、相関ベクトルcor_xyを得る。
後段FIR係数演算部52は、上で得られた相関ベクトルcor_xyに、共分散行列の逆行列を演算することで、後段2×2FIRフィルタ42のタップ係数を得ることができる。ここで得られるタップ係数は、長さ2×N_PSTであり、hxxとhxyとを連結したものである。
[第二の方法]
次に、後段2×2FIRフィルタ42のタップ係数を求めるための第二の方法を説明する。この第二の方法では、次元数が3以上の行列の逆行列を演算するための実装負荷を回避するため、2×2行列(縦2行、横2列の行列)の逆行列演算を用いて、簡易的に後段2×2FIRフィルタ42の係数を演算する。後段2×2FIRフィルタ42の、長さN_PSTのタップ係数をhxx[m],hxy[m],hyx[m],hyy[m]とする。ここで、mは、1以上且つN_PST以下の整数である。
第一の方法の場合と同様に、後段2×2FIRフィルタ42への入力サンプルは、長さN_PSTの横ベクトルとして表現できる。X偏波の入力サンプルのベクトルを縦方向にN_PST_AVG個並べた、縦:N_PST_AVG行、横:N_PST列の行列を、PST_xallとする。Y偏波側についても同様に、長さN_PSTの横ベクトルである入力サンプルを縦方向にN_PST_AVG個並べた、縦:N_PST_AVG行、横:N_PST列の行列を、PST_yallとする。
後段2×2FIRフィルタ42が上記の入力サンプルに基づいて出力する出力シンボルに対応する既知シンボルを、縦方向に並べて、既知シンボル縦ベクトルref(縦:N_PST_AVG行、横:1列)を得られる。
後段FIR係数演算部52は、まず、X偏波出力のタップ数分のタップ係数hxx[m],hxy[m]を求める。係数の長さのN_PSTのうち、選択した第m番目のタップ係数を、hxx[m],hxy[m]と表す。mは、1以上且つN_PST以下の整数である。それ以外の全てのタップ係数は、初期値、もしくはその時点で得られている最新の値とする。初期値は、例えば、ゼロであってよい。あるいは、初期値として、前回の係数更新後の値を用いてもよい。後段FIR係数演算部52は、選択したm番目の係数以外のフィルタ係数としては初期値を用いてフィルタ演算を行い、暫定出力y[m]を求める。そして、後段FIR係数演算部52は、既知シンボル参照値と上記の暫定出力y[m]の差を目標値として、2×2行列の最小平均二乗誤差法(MMSE)により、第m番目のタップ係数を算出する。具体的には、後段FIR係数演算部52は、前述のX偏波の入力行列PST_xallのうち、m番目のタップ係数に相当する第m番目の列を抽出し、PST_xall[:,m]を得る。後段FIR係数演算部52は、Y偏波についても同様に、入力行列PST_yallのうち、m番目のタップ係数に相当する第m番目の列を抽出し、PST_yall[:,m]を得る。後段FIR係数演算部52は、これら2つの縦ベクトルPST_xall[:,m]およびPST_yall[:,m]を、横方向に結合して、縦:N_PST_AVG行、横:2列の長方行列を得る。この行列を第m番目のXY偏波入力行列と呼ぶ。後段FIR係数演算部52は、この第m番目のXY偏波入力行列の複素共役転置行列と、第m番目のXY偏波入力行列との行列演算(乗算)を実施し、さらにN_PST_AVGで割って、2×2の共分散行列を得る。
また、後段FIR係数演算部52は、前記の既知シンボル縦ベクトルrefに対して、前記の第m番目のXY偏波入力行列の複素共役転置行列を演算して、2成分の縦ベクトルを得る。
後段FIR係数演算部52は、この2成分の縦ベクトルに対して、前記2×2共分散行列を演算することで、hxx[m]、およびhxy[m]を得る。
後段FIR係数演算部52は、1≦m≦N_PSTのそれぞれのmについて上記の操作を行い、即ち、mを変えながらタップ数N_PST分だけ上記の操作を繰り返して、後段2×2FIRフィルタ42のすべてのフィルタ係数を得る。なお、後段FIR係数演算部52がmを選択する順序として、例えば、中心タップから開始して、外側に向けて周辺タップを順に選択する方法としてよい。
後段FIR係数演算部52は、上記の1≦m≦N_PSTなるそれぞれのmについて係数を求める操作を、さらに複数回繰り返してもよい。後段FIR係数演算部52は、そのような繰り返しを行うことにより、推定値の精度を上げることができる。この場合、後段FIR係数演算部52は、具体的には、第i回目(i≧1)で得られたN_PST個の時間位置のフィルタ係数を第(i+1)回目(次回)の初期値として用いることができる。後段FIR係数演算部52は、第i回目(i≧2)の操作においても、上で述べた第1回目の操作と同様に、第m番目の時間位置のフィルタ係数以外の係数については、その時点で得られている最新値を用いて、推定を繰り返すことができる。
また、後段FIR係数演算部52は、例えば前記のmとして2つのタップ時間位置を選択して、選択された2つのタップ時間位置について並列に、同様の演算を行ってもよい。その場合、後段FIR係数演算部52は、後段2×2FIRフィルタ42の暫定出力値を得る際に、例えばm1およびm2という2つの時間位置を選択する。
後段FIR係数演算部52は、m1番目のタップ係数を求める演算においては、hxx[m1]とhxy[m1]とを除く係数としては、hxx[m2]とhxy[m2]も含めて、その時点で得られている最新の値を用いる。後段FIR係数演算部52は、そのような係数に基づいてフィルタの演算を行い、暫定出力値y[m1]を得て、既知シンボルとの誤差を求める。さらに、後段FIR係数演算部52は、第m1番目のXY偏波入力行列を用いた2次元の最小平均二乗誤差法(MMSE)の演算により、上の説明と同様にhxx[m1]およびhxy[m1]を求める。
上記m1番目と同時に、後段FIR係数演算部52は、m2番目のタップ係数を求める演算においては、hxx[m2]とhxy[m2]とを除く係数としては、hxx[m1]とhxy[m1]も含めて、その時点で得られている最新の値を用いる。後段FIR係数演算部52は、そのような係数に基づいてフィルタの演算を行い、暫定出力値y[m2]を得て、既知シンボルとの誤差を求める。さらに、後段FIR係数演算部52は、第m2番目のXY偏波入力行列を用いた2次元の最小平均二乗誤差法(MMSE)の演算により、上の説明と同様にhxx[m2]およびhxy[m2]を求める。
以上のように、後段FIR係数演算部52が、後段2×2FIRフィルタ42の、複数の時間位置についてのタップ係数を並列に求める演算を行うことにより、全体として、係数の算出に必要な時間を削減することができるというメリットがある。なお、上では、2つの時間位置(m1およびm2)についてのタップ係数を並列に求める例を説明したが、3つ以上の時間位置についてのタップ係数を並列に求めるようにしてもよい。
ここで、周波数オフセットがある場合には、シンボル毎に位相回転が発生するために、係数演算誤差が大きくなってしまい得るという課題がある。この課題を解決するためには、後段FIR係数演算部52は、既知シンボル縦ベクトルのそれぞれの成分に対して、周波数オフセット位相補償ベクトルfoc_phi_vecの複素共役をかけるようにしてもよい。これにより、後段FIR係数演算部52が求める係数の誤差を低減できる。また、位相雑音が大きい場合には、後段FIR係数演算部52は、同様に、既知シンボル縦ベクトルのそれぞれの成分に対して、CPR位相補償量ベクトルcpr_phi_vecの複素共役をかけるようにしてもよい。これにより、後段FIR係数演算部52が求める係数の誤差を低減できる。
後段FIR係数演算部52は、上記の演算を複数回繰り返すことで、多次元の最小平均二乗誤差法(MMSE)の演算結果であるnタップ係数に近いものを得ることができる。Y偏波の出力を得るためのフィルタ係数hyx,hyyについても、X偏波の出力と同様の方法で求めることができる。
後段2×2FIRフィルタ42は、後段FIR係数演算部52が求めたフィルタ係数を用いて、X偏波およびY偏波の出力を得る。CPR位相推定部61は、得られたX偏波およびY偏波それぞれの出力値と既知シンボルとを比較することで、キャリア位相補償量の推定を実施する。CPR位相推定部61が、複数のシンボルにわたって、後段2×2FIRフィルタ42からの出力値と既知シンボルとの誤差を平均化することで、雑音が大きい条件においても安定したCPR推定値を得ることができる。
また、キャリア位相補償量の前後シンボルでの差分を検出することで、つまり、キャリア位相補償量のスロープを検出することで、周波数オフセットを推定することもできる。係数演算部80は、得られた周波数オフセット推定値およびキャリア位相補償量を用いて、後段FIR係数演算部52からの出力のキャリア位相を補償し、送信状態を復元する。
前段FIR係数演算部51は、上の周波数オフセット補償およびキャリア位相補償が実施された信号と、既知シンボルとの誤差を用いて、前段2×2FIRフィルタ41のタップ係数を更新する。具体的には、前段FIR係数演算部51は、既知シンボル参照値からキャリア位相補償された出力信号を減算して、その誤差を求める。X偏波についての誤差をe_xとする。Y偏波についての誤差をe_yとする。誤差e_xおよびe_yのそれぞれは、複素誤差である。
前段2×2FIRフィルタ41のフィルタ係数を更新するための演算では、キャリア位相補償の出力シンボルを得るために用いた、そのシンボルに対応する前段2×2FIRフィルタ41への入力値と、そのシンボルの演算に用いた後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数も必要である。実際には、これらの値はバッファに保持されており、前段FIR係数演算部51がそのバッファから読み出すような構成とする。キャリア位相補償の出力を得るまでには、処理遅延が発生するためである。上記の値をバッファに保持する代わりに、回路内で遅延を与えて値を保持するようにしてもよい。
1個のキャリア位相補償の出力シンボルを得るために、後段2×2FIRフィルタ42への入力として、N_PST個のサンプルが必要である。後段2×2FIRフィルタ42へのそれぞれの入力値を得るために用いた、前段2×2FIRフィルタ41への入力値の連続サンプルを、それぞれ縦ベクトルとして、後段2×2FIRフィルタ42への入力サンプル分だけ横方向に並べた行列を、前段2×2FIRフィルタ入力行列と定義する。X偏波およびY偏波のそれぞれについての前段2×2FIRフィルタ入力行列を、pre_in_xおよびpre_in_yとする。行列pre_in_xおよびpre_in_yの各々のサイズは、縦:N_PRE行、横:N_PST列である。
前段FIR係数演算部51は、前段2×2FIRフィルタ41の係数の更新ベクトルを勾配法で計算できる。この計算において、前段FIR係数演算部51は、上記のX偏波およびY偏波それぞれの前段FIRフィルタ入力行列pre_in_xおよびpre_in_yと、X偏波およびY偏波のキャリア位相補償出力でそれぞれ得られた誤差e_xおよびe_yと、X偏波およびY偏波それぞれのキャリア位相補償量の複素数表現であるphi_xおよびphi_yと、を用いる。
前段2×2FIRフィルタ41の構成は、次の通りである。即ち、前段2×2FIRフィルタ41は、X偏波の入力にpre_hxxをかけたものと、Y偏波の入力にpre_hxyをかけたものと、の和をX偏波出力とする部分を有する。また、前段2×2FIRフィルタ41は、X偏波の入力にpre_hyxをかけたものと、Y偏波の入力にpre_hyyをかけたものと、の和をY偏波出力とする部分を有する。
前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hxxの更新ベクトルは、次の数式で計算される。
e_x×conj(pre_in_x×hxx×phi_x)+e_y×conj(pre_in_x×hyx×phi_y);
前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hxyの更新ベクトルは、次の数式で計算される。
e_x×conj(pre_in_y×hxx×phi_x)+e_y×conj(pre_in_y×hyx×phi_y);
前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyxの更新ベクトルは、次の数式で計算される。
e_x×conj(pre_in_x×hxy×phi_x)+e_y×conj(pre_in_x×hyy×phi_y);
前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyyの更新ベクトルは、次の数式で計算される。e_x×conj(pre_in_y×hxy×phi_x)+e_y×conj(pre_in_y×hyy×phi_y);
上記のそれぞれの数式において、conj()は、複素共役を意味する。前段FIR係数演算部51は、これらそれぞれの更新ベクトルにステップサイズをかけて、最新の係数(それぞれ、pre_hxx,pre_hxy,pre_hyx,pre_hyy)に加えることによって、各係数を更新する。
言い換えれば、前段FIR係数演算部51は、次の処理を行う。前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42の出力に対して、周波数オフセット補償およびキャリア位相補償を実施する。周波数オフセット補償およびキャリア位相補償の出力に対して、前段FIR係数演算部51は、その時間位置に相当する既知シンボルからの複素誤差を演算する。ある既知信号シンボルの時間位置に相当する、後段2×2FIRフィルタ42からの出力を得るために、前段FIR係数演算部51は、後段2×2FIRフィルタ42に入力した(N-M+1サンプル)を得るために用いた、前段2×2FIRフィルタ41への入力サンプルであって、前段2×2FIRフィルタ41の畳み込み演算において、n番目の前段2×2FIRフィルタ41の係数との積をとった、連続する(N-M+1)個のサンプルと、後段2×2FIRフィルタ42の係数との内積をとる。更に、前段FIR係数演算部51は、その後段2×2FIRフィルタ42からの出力に適用した、周波数オフセット補償のための位相回転を表す複素数と、キャリア位相補償のための位相回転を表す複素数とを前記内積値にかける。前段FIR係数演算部51は、その複素共役と前記複素誤差との積を演算して得られた値に、ステップサイズをかけて、更新ベクトルを得る。前段FIR係数演算部51は、第n番目の前段2×2FIRフィルタ41の係数に更新ベクトルを加算して、第n番目の前段2×2FIRフィルタ41の係数として設定する。
[畳み込み演算]
以上説明した処理プロセスにより、既知信号を用いて最適化された、前段2×2FIRフィルタ41の係数と、後段2×2FIRフィルタ42の係数とを、個別に得られた。畳み込み演算部71は、これら最適化された前段FIRおよび後段FIRの係数の畳み込み演算により、主信号フィルタのタップ係数を求める。
具体的には、畳み込み演算部71は、主信号フィルタのX偏波入力-X偏波出力のタップ係数を、後段2×2FIRフィルタ42の係数hxxと前段2×2FIRフィルタ41との係数pre_hxxの畳み込み系列と、後段2×2FIRフィルタ42の係数hxyと前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyxとの畳み込み系列の和として求める。即ち、主信号フィルタのX偏波入力-X偏波出力のタップ係数は、conv(hxx,pre_hxx)+conv(hxy,pre_hyx)として演算される。なお、ここでconv()は畳み込み演算を表すものであり、以下においても同様である。
また、畳み込み演算部71は、主信号フィルタのY偏波入力-X偏波出力のタップ係数を、後段2×2FIRフィルタ42の係数hxxと前段2×2FIRフィルタ41との係数pre_hxyの畳み込み系列と、後段2×2FIRフィルタ42の係数hxyと前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyyとの畳み込み系列の和として求める。即ち、主信号フィルタのY偏波入力-X偏波出力のタップ係数は、conv(hxx,pre_hxy)+conv(hxy,pre_hyy) として演算される。
また、畳み込み演算部71は、主信号フィルタのX偏波入力-Y偏波出力のタップ係数を、後段2×2FIRフィルタ42の係数hyxと前段2×2FIRフィルタ41との係数pre_hxxの畳み込み系列と、後段2×2FIRフィルタ42の係数hyyと前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyxとの畳み込み系列の和として求める。即ち、主信号フィルタのX偏波入力-Y偏波出力のタップ係数は、conv(hyx,pre_hxx)+conv(hyy,pre_hyx)として演算される。
また、畳み込み演算部71は、主信号フィルタのY偏波入力-Y偏波出力のタップ係数を、後段2×2FIRフィルタ42の係数hyxと前段2×2FIRフィルタ41との係数pre_hxyの畳み込み系列と、後段2×2FIRフィルタ42の係数hyyと前段2×2FIRフィルタ41の係数pre_hyyとの畳み込み系列の和として求める。即ち、主信号フィルタのY偏波入力-Y偏波出力のタップ係数は、conv(hyx,pre_hxy)+conv(hyy,pre_hyy)として演算される。
適応等化FIRフィルタ1は、主信号FIRフィルタ(FIRフィルタ11、12、13、および14)において、上で求められたX偏波入力-X偏波出力のタップ係数、Y偏波入力-X偏波出力のタップ係数、X偏波入力-Y偏波出力のタップ係数、およびY偏波入力-Y偏波出力のタップ係数を適用する。適応等化FIRフィルタ1は、さらに、主信号にFOC/CPR位相補償を適用して、キャリア位相補償後の主信号を出力する。
適応等化FIRフィルタ1が持つ演算機能や制御機能は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成され得る。上記のGPUは、いわゆるGPGPU(General-purpose computing on graphics processing units;GPUによる汎用計算)を行うように構成されてもよい。プロセッサーは、プログラムを実行することによって、FIRフィルタ11,12,13,14、加算器31,33、および係数演算部80(前段2×2FIRフィルタ41、後段2×2FIRフィルタ42、前段FIR係数演算部51、後段FIR係数演算部52、CPR位相推定部61、畳み込み演算部71)の少なくともいずれかとして機能する。なお、適応等化FIRフィルタ1が持つ各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」は、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
このように構成された適応等化FIRフィルタでは、従来の一般的な適応等化フィルタ構成に加えて、フィードフォワード型の追従構成回路を有することにより、高速な動的追従速度と、高い歪み補償耐力の両立を実現する。
(変形例)
上で説明した実施形態において、FIRフィルタの代わりに他のフィルタ(例えば、IIRフィルタ)を用いてもよい。また、上記実施形態では、後段FIR係数演算部52は、最小平均自乗誤差法を用いたフィードフォワード制御によって、後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を求めた。しかしながら、後段FIR係数演算部52は、最小平均自乗誤差法の代わりに他の方法を用いて、フィードフォワード制御によって、入力されたシンボルと既知シンボルの値との誤差が小さくなるように、後段2×2FIRフィルタ42のフィルタ係数を求めてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明は、例えば光伝送システムに適用可能である。ただし、本発明の利用範囲は、ここに例示したものには限定されない。
1…適応等化FIRフィルタ、11,12,13,14…FIRフィルタ(主信号FIRフィルタ)、31,33…加算器、41…前段2×2FIRフィルタ、42…後段2×2FIRフィルタ、51…前段FIR係数演算部、52…後段FIR係数演算部、61…CPR位相推定部、71…畳み込み演算部、80…係数演算部

Claims (8)

  1. 主信号フィルタと、
    前記主信号フィルタのフィルタ係数を更新する係数演算部と、
    を備え、
    前記係数演算部は、
    主信号のサンプルを入力とする、縦続接続された前段フィルタおよび後段フィルタと、
    前記前段フィルタのフィルタ係数を、勾配法を用いたフィードバック制御によって求める前段係数演算部と、
    前記後段フィルタのフィルタ係数を、フィードフォワード制御によって求める後段係数演算部と、
    前記前段係数演算部が求めた前記前段フィルタのフィルタ係数と、前記後段係数演算部が求めた前記後段フィルタのフィルタ係数と、の畳み込み演算によって、前記主信号フィルタのフィルタ係数を求める畳み込み演算部と、
    を備える、
    光伝送システムのための適応等化フィルタ。
  2. 前記後段係数演算部は、
    前記後段フィルタへの入力信号ベクトルと、当該入力信号ベクトルに前記後段フィルタを適用して得られる時間位置の既知信号シンボルと、のセットを複数用いて、
    前記後段フィルタへの入力信号ベクトルの共分散行列の逆行列を求め、
    前記既知信号シンボルと前記後段フィルタへの入力信号ベクトルとの相関ベクトルを求めて、
    前記相関ベクトルに前記共分散行列の逆行列を作用させて、最小平均二乗誤差法を用いて、前記後段フィルタのフィルタ係数を求める、
    請求項1に記載の適応等化フィルタ。
  3. 前記後段フィルタは、2入力2出力のフィルタであり、
    前記後段係数演算部は、
    前記後段フィルタの2入力の長さMタップの係数のうち、一方の係数をhx[1],hx[2],・・・,hx[M]とし、他方の係数をhy[1],hy[2],・・・,hy[M]として、
    上記Mタップのうちの1つもしくは複数のタップ時間位置mを選択し、選択したmのそれぞれについて、
    タップ時間位置m以外のタップ時間位置のフィルタ係数を前記後段フィルタへの入力信号ベクトルに作用させて、前記後段フィルタの出力シンボルの暫定値y[m]を演算し、
    前記暫定値y[m]の時間位置に対応する既知信号シンボルの複素値と、前記暫定値y[m]の複素値との複素誤差を計算し、
    前記複素誤差と、前記暫定値y[m]を演算するために用いた前記後段フィルタへの入力信号ベクトルと、の1つまたは複数のセットを用いて、
    前記後段フィルタへの入力信号ベクトルの2×2の共分散行列の逆行列を求め、
    前記複素誤差と前記後段フィルタへの入力信号ベクトルとの相関ベクトルを求めて、
    前記相関ベクトルに前記2×2の共分散行列の逆行列を作用させて、第m番目のタップ係数をhx[m]とhy[m]とを算出する、
    ことによって前記後段フィルタのフィルタ係数を求める、
    請求項1に記載の適応等化フィルタ。
  4. 前記後段係数演算部は、前記既知信号シンボルそれぞれに対して、周波数オフセット推定量から予測される位相回転量の複素共役をかける演算を行う、
    請求項2または請求項3に記載の適応等化フィルタ。
  5. 前記後段係数演算部は、前記既知信号シンボルそれぞれに対して、
    キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量の複素共役をかける演算をさらに行い、
    キャリア位相補償量が未だ推定できていないシンボルに対しては、前記キャリア位相補償量が既に推定できているシンボルの位相補償量の代表値の複素共役をかける演算をさらに行う、
    請求項4に記載の適応等化フィルタ。
  6. 前記前段係数演算部は、前記後段フィルタからの出力信号と既知信号との誤差が小さくなる方向に、勾配法を利用して、前記前段フィルタのフィルタ係数を求める、
    請求項1から5までのいずれか一項に記載の適応等化フィルタ。
  7. 前記前段係数演算部は、
    前記後段フィルタからの出力信号に周波数オフセット補償およびキャリア位相補償を実施した結果と、同じ時間位置の既知シンボルと、の複素誤差を演算し、
    前記後段フィルタからの出力信号を得るために用いた、前記前段フィルタへの入力サンプルと、前記後段フィルタの係数との内積を計算し、さらに、前記周波数オフセット補償および前記キャリア位相補償を適用し、当該適用結果の複素共役と前記複素誤差との積に基づいて更新ベクトルを求めて、
    前記更新ベクトルにステップサイズを乗算して、前記前段フィルタのフィルタ係数を演算し、更新する、
    請求項1から5までのいずれか一項に記載の適応等化フィルタ。
  8. 主信号フィルタのフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新方法であって、
    主信号のサンプルを入力として、前段フィルタと後段フィルタとが縦続接続されており、
    前段係数演算部が、前記前段フィルタのフィルタ係数を、勾配法を用いたフィードバック制御によって求め、
    後段係数演算部が、前記後段フィルタのフィルタ係数を、フィードフォワード制御によって求め、
    畳み込み演算部が、前記前段係数演算部が求めた前記前段フィルタのフィルタ係数と、前記後段係数演算部が求めた前記後段フィルタのフィルタ係数と、の畳み込み演算によって、前記主信号フィルタのフィルタ係数を求める、
    フィルタ係数更新方法。
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