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JP7563757B2 - 組成物中のプロテオグリカンの定量方法 - Google Patents
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JP7563757B2 - 組成物中のプロテオグリカンの定量方法 - Google Patents

組成物中のプロテオグリカンの定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、プロテイン飲料等に用いられるタンパク質を含む組成物に含有されるプロテオグリカンを定量する方法などに関する。
プロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸と共に細胞外マトリックス中の基質を形成する主要な生体高分子である。ヒトや牛などの哺乳動物、鮭や鮫など魚類の軟骨に含まれており、プロテオグリカンを含むサプリメントなどの食品、プロテオグリカンの製造方法等が数多く報告されている。また、プロテオグリカン自体の様々な有用性も数多く知られており、例えば、プロテオグリカンは軟骨分化促進作用やひざ関節改善作用、皮膚色素沈着抑制作用などを有することが報告されている(特許文献1参照)。
上述のように、プロテオグリカンは複合体であり、サプリメントなどの飲食品等の組成物に含有されているプロテオグリカンの含有量を正確に測定することは難しい。そのため、組成物に含まれているプロテオグリカンの含有量について、未だその測定技術が確立されていないのが現実である。例えば、遊離のコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸を除くために、分子量分画膜を有する中空状の容器で前処理を行い、グリコサミノグリカンを比色定量する試薬と組み合わせたプロテオグリカンの定量方法が報告されている(特許文献2参照)。
特開2016-138060号公報 特開2018-151206号公報
本発明により解決しようとする課題は、タンパク質(乳タンパク質など)を含む機能性食品等の組成物に含有されているプロテオグリカンを定量する新たな方法を見出すことなど、である。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討を行った結果、例えば、プロテオグリカンとタンパク質とを含有する組成物を抽出する溶媒を最適化し、当該抽出液をメチレンブルー又はその誘導体を含む呈色試薬を用いてプロテオグリカン濃度を測定することで組成物中のプロテオグリカン含有量を定量しうること、などを見出した。すなわち、本発明は以下の実施形態を含む。
(1)プロテオグリカンとタンパク質(乳タンパク質など)とを含有する組成物を、水又はPIPES緩衝液で抽出する工程と、抽出後の水溶性画分を回収する工程と、メチレンブルー又はその誘導体を含む呈色試薬を用いて、水溶性画分のプロテオグリカン濃度を測定する工程と、水溶性画分のプロテオグリカン濃度から、組成物中のプロテオグリカン含有量を算出する工程と、を含む、組成物中のプロテオグリカンの定量方法。
(2)プロテオグリカンとタンパク質とを含有する組成物を、水又はPIPES緩衝液で抽出する工程と、抽出後の水溶性画分を回収する工程と、回収された水溶性画分をイオン交換樹脂に吸着させる工程と、吸着したプロテオグリカンを、PIPES緩衝液を含む溶出液でイオン交換樹脂から溶出する工程と、溶出されたプロテオグリカンの分子量をHPLCにより測定する工程と、を含む、組成物中のプロテオグリカンの分析方法。
(3)プロテオグリカンの分子量が10万~200万である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)抽出工程を複数回行い、複数の水溶性画分の混合液中のプロテオグリカン濃度を測定する、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)水溶性画分の一部を用いて(2)に記載の方法でプロテオグリカンを分析し、当該プロテオグリカンの分子量と関連付けて、組成物中のプロテオグリカン含有量を算出する、(1)~(4)のいずれかに記載の定量方法。
本発明の方法によれば、プロテオグリカンとタンパク質(乳タンパク質など)とを含有する組成物中のプロテオグリカンの含有量を簡便且つ精密に定量することができる。
図1は、本発明の一実施形態におけるプロテオグリカンの定量方法及び定性分析方法の流れを示す工程図である。 図2は、水溶性画分に回収されたプロテオグリカンの定性分析方法の流れを示す工程図である。 図3は、本発明の一実施形態において、プロテオグリカン標準品を用いて作成した検量線の例を示す。 図4は、プロテオグリカンの定性分析によって得られたHPLC分析チャートの一例である。 図5(A)は、実施例3での、試料3-1(プロテオグリカンFが含有)における定性分析の結果(矢印はピーク)を示す。図5(B)は、実施例3での、試料3-2(プロテオグリカンFが未含有)における定量分析の結果を示す。 図6(A)は、実施例4での、試料溶液4-1-1(プロテオグリカンが含有)における定量分析の結果(矢印はピーク)を示す。図6(B)は、実施例4での、試料溶液4-1-2(プロテオグリカンが未含有)における定量分析の結果を示す。図6(C)は、実施例4での、試料溶液4-2-1(プロテオグリカンが含有)における定量分析の結果(ピーク)を示す。図6(D)は、実施例4での、試料溶液4-2-2(プロテオグリカンが未含有)における定量分析の結果を示す。
最初に、本明細書で用いる用語について簡単に説明する。
(組成物)
本発明の方法により測定対象となる組成物は、例えば、プロテイン飲料等に用いられる乳タンパク質とプロテオグリカンとを含む組成物等が挙げられ、液体、固体又は半固体の形態を含むが固体状態が好ましく、より好ましくは粉体組成物である。また、この組成物に含まれるプロテオグリカン含有量の下限は、0μg/mg以上、好ましくは0.1μg/mg、より好ましくは1μg/mgである。組成物中のプロテオグリカン含有量は検出限界値以上であれば測定することができ、また、検出できなかった場合はプロテオグリカンの含有量が検出限界値以下であることが分かるからである。この組成物に含まれるプロテオグリカン含有量の上限は特に制限はないが、好ましくは、組成物を製造するためのコスト的な観点から通常100μg/mg以下である。
(タンパク質)
組成物に含まれるタンパク質は、例えば、乳タンパク質、植物由来のプロテイン(例えば、ソイプロテイン、エンドウ豆由来のプロテイン)、魚介類由来のプロテイン、がある。乳タンパク質は、例えば脱脂粉乳、全脂粉乳、トータルミルクプロテイン、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、カゼインナトリウム、乳清蛋白質、バターミルクパウダー、牛乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、ナチュラルチーズ、である。例えば、Wheyco社の販売するW80 Instantは、チーズホエイ由来のホエイタンパク質であり、主成分のβ-ラクトグロブリン(分子量36600の2量体)、α-ラクトアルブミン(分子量14200)に加え、BSAやラクトフェリンなどから構成されている。
(プロテオグリカン)
プロテオグリカンはコアタンパク質にコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸等のグリコサミノグリカン(以下GAGと表す。)と呼ばれる糖鎖が共有結合した糖タンパク質である。プロテオグリカンは、細胞外マトリックスの主要構成成分の一つとして皮膚や軟骨など体内に広く分布している。GAG鎖は分岐を持たない長い直鎖構造を持つ。多数の硫酸基とカルボキシル基を持つため負に荷電しており、GAG鎖はその電気的反発力のために延びた形状をとる。また、プロテオグリカンは、糖の持つ水親和性により、多量の水を保持することができる。プロテオグリカンに含まれる多数のGAG鎖群はスポンジのように水を保持することで、弾性や衝撃への耐性といった軟骨特有の機能を担っている。
本発明の方法で測定しうるプロテオグリカンの種類としては、特に制限されるものではなく、サケ鼻軟骨、イカ頭部軟骨及び豚軟骨などから抽出されるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、又はケラタン硫酸プロテオグリカンのいずれに分類されるものであってもよい。具体的には、アグリカン、バーシカン、ニューロカン、ブレビカン、デコリン、ビグリカン、セルグリシン、パールカン、シンデカン、グリピカン、ルミカン、ケラトカン等が例示される。これらの中でも、本発明の方法には、好ましくはコンドロイチン硫酸プロテオグリカン、更に好ましくはアグリカン含量の測定に適している。本発明において用いられるプロテオグリカンの分子量は特に制限されないが、好ましくは、10万~200万である。
(抽出液)
本発明の方法で用いる抽出液は、水又はPIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)緩衝液である。PIPES緩衝液は、約1mM以上の濃度で用いることができ、約5mM以上が好ましく、約10mM以上がさらに好ましい。またPIPES緩衝液濃度の上限は約100mMであり、約50mM以下が好ましく、約20mM以下がさらに好ましい。当該抽出液のpHは、約6.0~約8.0(例えば、約7.0)である。後述する実施例において用いた具体的な抽出液は、精製水、又は10mMのPIPES緩衝液を含み、約7.0のpHを有する。本発明の方法に使用される緩衝液は、塩(例えば、NaCl、KCl、またはNaOAc)を同時に含んでもよい。
(イオン交換樹脂)
用語、イオン交換樹脂とは、負に荷電した固相(すなわち、陽イオン交換樹脂)、又は正に荷電した固相(すなわち、陰イオン交換樹脂)をいう。この荷電は、1つ以上の荷電したイオン基を(例えば、共有結合によって)固相に結合させることによって提供される。あるいは、この電荷は、全体として正電荷を有するキチンやキトサンのように固相の内在的性質であり得る。
固相とは、1つ以上の荷電したイオン基が接着し得る非水性マトリックスを意味する。この固相は、精製カラム、個々の粒子の非連続的な相、膜、またはフィルターなどであり得る。固相を形成するための材料の例としては、多糖類(例えば、アガロースおよびセルロース)、及び他の機械的に安定なマトリックス(例えば、シリカ(例えば、制御された孔を有するガラス)、ポリ(スチレンジビニル)ベンゼン、ポリアクリルアミド、セラミック粒子、および上記のいずれかの誘導体)が挙げられる。
陰イオン交換樹脂は、正に荷電した(例えば、固相に結合された4級アミノ基のような、1つ以上の正に荷電したイオン基を有する)固相を指す。市販の陰イオン交換樹脂としては、DEAEセルロース、QAE SEPHADEXTM、及びFAST Q SEPHAROSETM(Pharmacia)が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、そのイオン基の解離性により強塩基性又は弱塩基性に分けられる。
弱塩基性陰イオン交換樹脂とは、例えば、1~3級アミノ基を官能基として持つ樹脂のように、弱塩基性を示す陰イオン交換樹脂を意味する。弱塩基の官能基はアルカリ溶液中では解離せずイオン交換能を示さないため中性領域で使用することが好ましい。また、プロテオグリカン中のスルホ基のような比較的強い酸性基とは交換するが、夾雑タンパク質中のカルボキシ基のような弱酸性基とは交換しにくいと考えられる。
(呈色試薬)
本実施形態で用いる呈色試薬は、メチレンブルー又はその誘導体を含む。メチレンブルー(MB)はチアジン系の塩基性色素で陽性に荷電し、核酸やムコ多糖類等の酸性物質と結合し青色の色調を示すため染色試薬として用いられる。MBは水溶液中において単量体と二量体として存在することが知られており、分光光度計による吸光度測定で確認することができる(極大吸収波長、単量体:664nm、二量体:616nm)。メチレンブルー誘導体の例としては、1-メチルメチレンブルー、1,9-ジメチルメチレンブルー、メチレンバイオレット、ブロモメチレンバイオレット、4-ヨードメチレンバイオレット、1,9-ジメチル-3-ジメチル-アミノ-7-ジエチル-アミノ-フェノチアジン、および1,9-ジメチル-3-ジメチルアミノ-7-ジブチル-アミノ-フェノチアジンが挙げられるがこれらに限定されない。
これらの試薬の中でも、グリコサミノグリカンを選択的に比色定量できる試薬が好ましく、BLYSCAN GLYCOSAMINOGLYCAN ASSAY KIT(ACCURAT CHEMICAL & SCIENTIFIC CORPORATION社製)、Rheumera kit(Astarte Biologics社製)、Blyscan Glycosaminoglycan Assay Kit(Biocolor社製)などが市販されている。
以下に本発明の定量方法及び定性分析方法について、図面を参照して説明する。図1は、一実施形態におけるプロテオグリカンの定量方法及び定性分析方法の流れを示す工程図である。図1に示すように、本実施形態の方法は、測定対象となるプロテオグリカン含有組成物から測定試料を採取する工程(S1)と、この試料を水又はPIPES緩衝液に溶解してプロテオグリカンを抽出する抽出工程(S2)と、抽出後の水溶性画分を回収する回収工程(S3)と、メチレンブルー又はその誘導体を含む呈色試薬を用いて、水溶性画分のプロテオグリカン濃度を測定する比色定量工程(S4)と、を含む。なお、回収工程(S3)で得られた水溶性画分の一部を用いてプロテオグリカンの分子量を測定する定性分析工程(S5)を備えてもよい。これにより、組成物中のプロテオグリカンの定量分析と定性分析とを同時に行うことができる。
ここで、測定試料の抽出工程S2は、本発明の方法における最も重要な工程である。上述したように、プロテオグリカンは極めて高分子量の糖タンパク質であるため溶液中での凝集を防ぐ必要がある。このため、測定対象の組成物を、水又はプロテオグリカンの官能基の解離に適した緩衝液に溶解する。このような緩衝液としては、例えば、PIPESナトリウム緩衝液及び/又はPIPESカリウム緩衝液が挙げられる。好ましくは、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含み、及びカルシウムイオンを含まないPIPES緩衝液である。ナトリウムイオン及びカリウムイオンの濃度は特に限定されないが、5mM以上の濃度であることが好ましく、さらに好ましくは10mM以上である。
上記抽出液を用いて測定試料からプロテオグリカンを抽出する方法は特に限定されないが、ボルテックスミキサー等を用いた攪拌、又は超音波処理などを単独で又は組み合わせて行うことができる。抽出後に、例えば、25℃にて、回転数3000rpm、10分間遠心分離することなどにより水溶性画分を回収する(S3)。この抽出工程(S2)は、複数回行い、複数の水溶性画分を混合して混合溶液中のプロテオグリカン濃度を測定することが好ましい。
続いての比色定量工程(S4)は、上記メチレンブルー又はその誘導体を含む呈色試薬を用いて、水溶性画分のプロテオグリカン濃度を測定する工程と、得られたプロテオグリカン濃度から、組成物中のプロテオグリカン含有量を算出する工程と、を含む。この呈色反応は、硫酸化プロテオグリカンを分析するための定量的な色素結合法である。典型的な色素標識である1,9-ジメチルメチレンブルーを使用した場合は、プロテオグリカンの硫酸化多糖成分に特異的に結合して青色の色調を示す。このとき、プロテオグリカン標準品を用いて測定した吸光度を既知の濃度に対してプロットすれば直線のグラフが得られる。図3に、このようにして作成した検量線の例を示す。被験物質の濃度は、グラフから読み取るか、または傾きの度合いから算出することができる。1,9-ジメチルメチレンブルーの吸収スペクトルは、656nmにピークの最大値があるが、吸光度のピークは広いので、625~675nmの間の吸光度を測定すればよい。
図2は、上記定性分析工程(S5)をさらに詳細に説明したものである。定性分析工程(S5)は、最初に、平衡化緩衝液で平衡化されたイオン交換樹脂に上記で回収された水溶性画分を吸着させる工程(S51)と、プロテオグリカンが吸着したイオン交換樹脂を、上記緩衝液を含む洗浄緩衝液で洗浄した後、当該イオン交換樹脂から溶出緩衝液でプロテオグリカンを溶出する及び/又は脱着する工程(S52)と、溶出されたプロテオグリカンの分子量をHPLCにより測定するHPLC分析工程(S53)と、を含む。
吸着工程(S51)において負荷される試料中のプロテオグリカンは、官能基の解離に適した緩衝液に溶解されているため効率よくイオン交換樹脂に吸着される。プロテオグリカンの吸着を促進するために、室温ないし低温(4℃~10℃)で、低流速で測定試料をチャージすることが好ましい。イオン交換樹脂の洗浄には、測定試料の調製に用いた緩衝液及び/又は平衡化緩衝液と同じ緩衝液が好ましい。洗浄緩衝液には、夾雑物をカラムから除去するために溶液のイオン強度を上げるための塩を含んでもよい。例えば、NaClを添加する場合の濃度は0~0.4M未満であり、好ましくはNaClを含まない緩衝液と約0.2MのNaClを含む緩衝液を逐次的に用いてもよい。
溶出工程(S52)で用いられる溶出緩衝液は、測定試料の調製に用いた緩衝液を含んでも含まなくてもよいが、溶出されるプロテオグリカンの凝集を抑止するために、平衡化緩衝液と同じ緩衝液を用いることが好ましい。溶出液のイオン強度は、イオン交換樹脂に対するプロテオグリカンの吸着力を減弱させる程度のイオン強度が好ましく、例えば、NaClを添加する場合の濃度は0.4M以上であり、好ましくは約0.5MのNaClを含む緩衝液を用いることができる。
HPLC分析工程(S53)では、最初に溶出液を脱塩することが好ましい。HPLCによる検出を容易にする上で、溶出液に含まれる塩濃度を低下させるためである。HPLC分析工程(S53)におけるサイズ排除ゲルクロマトグラフィー用のカラムとしては、分析可能な分子量が10万~200万に対応しているカラムを用いればよいが、分離能がよくなることから粒子径10μm以上の充填剤を含むカラムやタンパク分析用のカラムを使用することが好ましく、特に基材がメタクリレートポリマーのカラムを用いることが好ましい。
HPLC法における検出は、溶媒と比較した被分析物の屈折率を利用する示唆屈折率検出器や、UV検出器を使用して200~280nmの吸光度を検出する方法等が使用でき、特に200~220nmのUV波長におけるUV検出器が好ましい。また、プロテオグリカンのピークは標準品であるプロテオグリカン、サケ鼻軟骨由来(富士フイルム和光純薬工業製)を用意し、分析対象の試料とクロマトグラムを重ねほぼ同じ溶出範囲にピークがあれば、そのピークがプロテオグリカンを検出したピークであることが分かる。また、予めプロテオグリカンの標準品で検量線を作成することで、試料中のプロテオグリカンの定量を行ってもよい。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
(実施例1)
プロテオグリカン0.44質量%含有、所定の乳タンパク質を所定量含有された試料粉末約454.5mgに、10mMのPIPES-NaOH(pH7.0)、リン酸緩衝液(pH6.8)、クエン酸緩衝液(pH4.6)又は酢酸緩衝液(pH6.0)を、それぞれ15mL加えた。次に、これらの水溶液を超音波処理にて抽出し、遠心分離により上清を回収した。当該上清液を濾紙でろ過し、50mLの溶液を調製した。以下表1中の「PG含有量(mg/50mL)」にて、この調製を示している。これを精製水で2倍希釈したものを測定試料とした。
なお、上記各緩衝液の調製方法は以下のとおりである。
10mMのPIPES-NaOH(pH7.0)緩衝液:3.05gのPIPES(DOJINDO)に、精製水約800mLを加えて、室温で攪拌し、5NのNaOHにてpH7.0に調整した。これに精製水を加えて全容を1000mLとし、10mMのPIPES溶液を調製した。
リン酸緩衝液(pH6.8):「食品添加物公定書、一般試験法、試薬・試液」に基づいて調製した。
酢酸緩衝液(pH6.0):酢酸ナトリウム三水和物0.3gに水80mLを加え溶解し、酢酸にてpH6.0に調製し、水を加えて100mLにした。
別に、プロテオグリカンの標準品約2mgを精密に量り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて正確に10mLとした。この液を4/10、2/10、1/10、1/20、1/40希釈としたものを標準液とし、さらにリン酸緩衝液(pH6.8)を0濃度として、DMMB比色定量法により、得られた検量線から試料中のプロテオグリカン量を求めた。DMMB法(Dimethylmethylene Blue Assay)は、BlyscanTM GLYCOSAMINOGLYCAN ASSAY kit(Biocolor Ltd.)を用いて以下の手順で行った。
測定試料100μlにBlyscanTM dye reagent(1.0ml)を加えた。ボルテックスミキサーで混合し、振盪機にて室温で1000rpm、30分間攪拌した。遠心分離後上清を除去し、そこに解離試薬(0.5ml)を加えた。ボルテックスミキサーでよく混合し沈殿を溶解させたものを測定サンプルとした。各サンプル200μlを96マイクロウェルプレートの各ウェルに移し、マイクロプレートリーダーにて、波長656nmの吸光度を測定した。標準品、テストサンプルの吸光度を測定し、標準曲線から各試料のプロテオグリカン濃度を求めた。その結果を以下の表1に示す。表1中の「PG」とは、プロテオグリカンをいう。
Figure 0007563757000001
表1に示したように、PIPES緩衝液を用いた場合に、最も定量的にプロテオグリカンを回収することができた。
(実施例2)組成物中のプロテオグリカンの測定
1.粉末の調製
2種類の粉末を作製した。
図4(A)で示す測定での試料を作製するために、プロテオグリカンを0.44質量%含有、所定の乳タンパク質を所定量含有された試料粉末約454.5mgを準備した。
図4(B)で示す測定での試料(ブランクの試料)を作製するために、プロテオグリカンを含有せず、所定の乳タンパク質を所定量含有された試料粉末約454.5mgを準備した。
ここで、当該粉末に含有された乳タンパク質は、具体的な素材としては脱脂粉乳、全脂粉乳、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、乳清タンパク質、バターミルクパウダー、牛乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、ナチュラルチーズ等である。
2.溶液の作製
当該粉末を精密に量り、10mMのPIPES-NaOH緩衝液(pH7.0)15mLを加え、溶液を作製した。次にこの溶液を所定条件で超音波処理を行い、超音波処理後、遠心分離により上清液を回収した。当該上清液を濾紙でろ過し、50mLの溶液を調製した。
3.イオン交換処理
弱塩基性陰イオン交換用ゲルであるTOYOPAK DEAE M(ゲル量2.0mL、東ソー株式会社製)のカラムに、精製水10mLを流した後、上記で調製した10mMのPIPES-NaOH緩衝液(pH7.0)10mLを流してイオン交換樹脂を平衡化した。このカラムに同緩衝液に溶解した上記測定試料10mLを負荷した。続いて、5mLの同緩衝液でカラムを洗浄後、0.35MのNaClを含む同緩衝液10mLを流してさらに洗浄した。洗浄後のカラムに、0.5MのNaClを含む同緩衝液10mLを流してプロテオグリカンをカラムから脱着させた。
4.脱塩処理
上記イオン交換処理で回収した脱着画分10mLを、アミコンウルトラ遠心式フィルターユニット(分画分子量100K、メルク株式会社)を用いて最初に脱着液で1回洗浄後、精製水で洗浄して脱塩した。遠心後のフィルターカップから濃縮液を回収し、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて5mLの溶液(測定試料)とした。
別に、プロテオグリカンの標準品(富士フイルム和光純薬工業製)約1mgを精密に量り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて10mL(標準液)とした。
5.HPLC分析
上述で作製した測定試料及び標準液を用いて、以下の操作条件でHPLC分析を行い、測定試料中のプロテオグリカンの含有の有無を測定した。
検出器:UV-VIS検出器SPD-20A(株式会社島津製作所製)
測定波長:215nm
カラム:TSKgel G5000-PWXL φ7.8mm×300mm(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:リン酸緩衝液(pH6.8)
流速:0.5mL/分
注入量:100μL
この測定の結果を図4に示す。図4(A)の矢印は、プロテオグリカンの溶出位置(12.733min)を示す。なお、図示しないが当該標準液を用いてのHPLC分析では、プロテオグリカンFの溶出位置が12.7min付近であった。
一方、図4(B)は、プロテオグリカンを含まないブランクの試料を分析した結果である。プロテオグリカンの溶出位置が確認できなかった。
(実施例3)組成物中のプロテオグリカンの定量分析
1.粉末の調製(試料3-1及び試料3-2)
図5で示す測定で用いる試料の作製用に、以下に示す2種類の粉末(試料3-1及び試料3-2)を作製した。
・試料3-1:プロテオグリカンF(一丸ファルコス)を6.4質量%含有、所定のペクチンを所定量含有された試料粉末約231.7mgを準備した。
・試料3-2:プロテオグリカンF(一丸ファルコス)を未含有、所定のペクチンを所定量含有された試料粉末約231.7mgを準備した。
2.標準溶液の作製
以下3.と並行して、標準溶液を作製した。プロテオグリカンの標準品(富士フイルム和光純薬工業)約2mgを精密に量り、約2mgの粉末を準備した。リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて当該粉末を溶解して、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて標準溶液を作製した。
なお、本実施例3において用いられたリン酸緩衝液(pH6.8)は、「食品添加物公定書 一般試験法 試薬・試液」である。
3.試料溶液の作製(試料3-1及び試料3-2)
当該粉末(試料3-1、試料3-2)をそれぞれ精密に量り、それぞれ約231.7mg準備した。当該約231.7mgの粉末を、精製水15mLを加え、超音波処理を15分間行い、溶解させて溶液を作製した。この溶液に、ペクチナーゼ(Pectinase from Aspergillus aculeatus、SIGMA、P2611)20μLを加え、50℃にて60分間酵素処理を行った。当該ペクチナーゼ(酵素)を失活させるために、当該処理後の溶液を、80℃にて30分間の処理を行った。
当該30分間の処理後の溶液について、約1800Gで10分間遠心分離を行い、当該遠心分離後の上清液を回収した。アミコンウルトラ遠心式フィルターユニット(分画分子量100K、メルク株式会社)を用いて、当該上清液を約2400Gで30分間遠心分離した。当該膜を透過しない側のプロテオグリカン分画(プロテオグリカンを濃縮して含有されている分画)を精製した。プロテオグリカン分画は、5回水洗を行った。得られたプロテオグリカン分画にリン酸緩衝液(pH6.8)を加えて正確に20mLとした(20mLの溶液を作製した)。当該作製した溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。当該ろ過したろ液を試料溶液とする。なお、試料溶液の調製方法は、同等の回収率が得られる方法であれば、他の方法を代用可能である。
3.液体クロマトグラフィーによる測定
標準溶液及び試料溶液を次の操作条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、検量線から試験溶液中のプロテオグリカン濃度を算出し、次式により、標準溶液並びに試料溶液(試料3-1及び試料3-2)の中のプロテオグリカン含量を求めた。
計算方法:
プロテオグリカン含量(%)=(A×V×N×1/W)×100
A:試験溶液中のプロテオグリカン濃度(mg/mL)
V:定容量(mL)
N:希釈倍数
W:試験品採取量(mg)
操作条件:
検出器:示差屈折計(RID-10A、島津製作所)
カラム:ゲルろ過カラム(東ソー株式会社製、TSKgel G5000PWXL)
カラム管:内径約7.8mm、長さ30cmのステンレス管
カラム温度:40℃
移動相:リン酸緩衝液(pH6.8)
流量:0.5mL/分
注入量:50μL
この測定の結果を図5に示す。図5(A)の矢印は、試料溶液(プロテオグリカン含有の試料3-1の溶液)のプロテオグリカンの溶出位置(13min~15min)を示す。なお、図示しないが当該標準液を用いてのHPLC分析では、プロテオグリカンの溶出位置が13min~15min付近であり、図5(A)の矢印で示す位置とほぼ同じであった。
一方、図5(B)では、試料溶液(プロテオグリカン未含有の試料3-2の溶液)では、当該プロテオグリカンの溶出位置がペクチンなどの他の成分の存在により明確に確認できず、当該試料溶液(3-2)中の当該プロテオグリカンの量を定量できなかった。
(実施例4)組成物中のプロテオグリカンの定量分析
1.ソフトカプセルの作製(試料4-1及び試料4-2)
図6で示す測定で用いる試料の作製用に、2種類のソフトカプセル(試料4-1及び試料4-2、ゼラチン含有のソフトカプセル)を作製した。
・試料4-1:植物油を約190mg、プロテオグリカンを5.5mg含有したソフトカプセル470.00mgを準備した。
・試料4-2:植物油を約190mg、プロテオグリカンを未含有のソフトカプセル470.00mgを準備した。
2.標準溶液の作製
以下3.と並行して、標準溶液を作製した。プロテオグリカンの標準品(富士フイルム和光純薬工業)約2mgを精密に量り、約2mgの粉末を準備した。リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて当該粉末を溶解して、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて標準溶液を作製した。
なお、本実施例4において用いられたリン酸緩衝液(pH6.8)は、「食品添加物公定書 一般試験法 試薬・試液」である。
3.試料溶液の作製
当該ソフトカプセルから、以下の試料溶液(溶液4-1-1、溶液4-1―2、溶液4-2-1、溶液4-2-2)を作製した。
・溶液4-1-1:クロロホルム溶液(キシダ化学、282-16013)を加え、試料4-1を溶解した溶液
・溶液4-1-2:クロロホルム溶液(キシダ化学、282-16013)を加え、試料4-2を溶解した溶液
・溶液4-2-1:アセトン溶液(キシダ化学、170-00305)を加え、試料4-1を溶解した溶液
・溶液4-2-2:アセトン溶液(キシダ化学、170-00305)を加え、試料4-2を溶解した溶液
当該試料溶液の作製において、次のように、ソフトカプセルを溶媒に溶解させた。はさみなどを用いてソフトカプセルを2分割した。当該2分割したものを遠沈管(50mL容量)に投入し、各溶媒(クロロホルム溶液、アセトン溶液など)10mLを加えた。次に、超音波洗浄機にて15分間処理を行った。
なお、溶媒としてヘキサン溶液(キシダ化学、140-36763)を用いた場合、上述のカプセル(試料4-1及び試料4-2)は溶解しなかった。
遠心分離(3000rpm、5分)により、当該遠心分離後の上清(当該溶媒)を除去した。当該遠心分離後のペレットに、100%エタノール溶液を20mL加え、溶解液をそれぞれ新たに作製した。当該溶解液を、再度、遠心分離機において同様の処理をおこなった。この工程を5回繰り返し、使用した溶媒をエタノールへと置換した。
得られた析出物に4M-グアニジン塩酸溶液15mLを加えて溶解し、アミコンウルトラ遠心式フィルターユニット(分画分子量100K、メルク株式会社)にてプロテオグリカン画分を濃縮精製した。この際、原液を洗浄透過後、精製水15mLにて遠沈管をリンスし、このリンス水を用いて分画膜の水洗を1回行った。精製したプロテオグリカン濃縮液にリン酸緩衝液(pH6.8)を加えて正確に50mLとし、0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したろ液を試料溶液として、当該測定サンプル中のプロテオグリンの定量分析を行った。
3.液体クロマトグラフィーによる測定
標準溶液及び試料溶液を次の操作条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、検量線から試験溶液中のプロテオグリカン濃度を算出し、次式により、標準溶液並びに試料溶液(試料溶液4-1-1、試料溶液4-1―2、試料溶液4-2-1及び試料溶液4-2-2)の中のプロテオグリカン含量を求めた。
計算方法:
プロテオグリカン含量(%)=(A×V×N×1/W)×100
A:試験溶液中のプロテオグリカン濃度(mg/mL)
V:定容量(mL)
N:希釈倍数
W:試験品採取量(mg)
操作条件:
検出器:示差屈折計(RID-10A、島津製作所)
カラム:ゲルろ過カラム(東ソー株式会社製、TSKgel G5000PWXL)
カラム管:内径約7.8mm、長さ30cmのステンレス管
カラム温度:40℃
移動相:リン酸緩衝液(pH6.8)
流量:0.5mL/分
注入量:50μL
この測定の結果を図6に示す。
図6(A)の矢印は、当該試料溶液4-1―1(プロテオグリカンが含有、ソフトカプセルをクロロホルム溶液で溶解)のプロテオグリカンの溶出位置(13min~15min)を示す。以下、図6(C)で示す測定の結果と比べて、図6(A)の点線矢印で示す溶出位置(16min)付近で、夾雑物の検出が確認された。
図6(B)では、当該試料溶液4-1-2(プロテオグリカンが未含有、ソフトカプセルをクロロホルム溶液で溶解)の測定結果を示すが、矢印の位置位置(13min~15min)でプロテオグリカンのピークが確認されなかった。
図6(C)の矢印は、当該試料溶液4-2―1(プロテオグリカンが含有、ソフトカプセルをアセトン溶液で溶解)のプロテオグリカンの溶出位置(13min~15min)を示す。以下、図6(A)で示す測定の結果と比べて、溶出位置(16min)付近で、夾雑物の検出が確認されなかった。
図6(D)では、当該試料溶液4-2-2(プロテオグリカンが未含有、ソフトカプセルをアセトン溶液で溶解)の測定結果を示すが、矢印の位置位置(13min~15min)でプロテオグリカンのピークが確認されなかった。
プロテオグリカンとタンパク質(乳タンパク質など)とを含む組成物は、例えば、カルシウムを骨に定着させるとともに、軟骨分化促進作用やひざ関節改善作用を有する機能性食品として期待される。本発明の方法によれば、プロテオグリカンとタンパク質とを含有する組成物中のプロテオグリカンの含有量を簡便且つ精密に定量することができることから、このような機能性食品の品質管理等に利用することができる。

Claims (4)

  1. プロテオグリカンとタンパク質とを含有する組成物を、PIPESナトリウム緩衝液及び/又はPIPESカリウム緩衝液で抽出する工程と、
    前記抽出後の水溶性画分を回収する工程と、
    メチレンブルー又はその誘導体を含む呈色試薬を用いて、前記水溶性画分のプロテオグリカン濃度を測定する工程と、
    前記水溶性画分のプロテオグリカン濃度から、前記組成物中のプロテオグリカン含有量を算出する工程と、
    を含む、組成物中のプロテオグリカンの定量方法。
  2. プロテオグリカンとタンパク質とを含有する組成物を、PIPESナトリウム緩衝液及び/又はPIPESカリウム緩衝液で抽出する工程と、
    前記抽出後の水溶性画分を回収する工程と、
    回収された水溶性画分をイオン交換樹脂に吸着させる工程と、
    前記吸着したプロテオグリカンを、PIPES緩衝液を含む溶出液で前記イオン交換樹脂から溶出する工程と、
    前記溶出されたプロテオグリカンの分子量をHPLCにより測定する工程と、
    を含む、組成物中のプロテオグリカンの分析方法。
  3. 前記PIPESナトリウム緩衝液及び/又はPIPESカリウム緩衝液のナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンの濃度が5mM以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記タンパク質が、乳タンパク質、植物由来のプロテイン及び/又は魚介類由来のプロテイン、である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。



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