JP7565533B2 - 基材上に金属膜が形成された複合体の製造方法および複合体 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、剥離耐性に優れた金属膜を基材上に簡便に形成する方法と、本発明で製造され、剥離耐性の高い金属膜を表面に有する複合体を提供することを目的とする。
以下、本発明を示す。
Cdよりイオン化傾向が小さい金属成分とキレート剤とを含む金属キレート錯体溶液を前記基材に塗布する工程、および、
前記基材の前記金属キレート錯体溶液を塗布した部分を熱処理する工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 前記金属キレート錯体溶液が更に界面活性剤を含む上記[1]に記載の方法。
[3] 前記基材がセメント硬化体である上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 金属成分がCuまたはNiである上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記キレート剤がアミノカルボン酸系キレート剤である上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記アミノカルボン酸系キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、およびニトリロ三酢酸から選ばれる少なくとも1種である上記[5]に記載の方法。
[7] 基材と金属膜層を含み、
前記基材がセメント硬化体であり、
前記金属膜層を構成する金属成分のイオン化傾向がCdよりも小さく、
前記基材と前記金属膜層の界面よりも前記基材側に前記金属成分が存在することを特徴とする複合体。
本工程では、Cdよりイオン化傾向が小さい金属成分とキレート剤とを含む金属キレート錯体溶液を基材に塗布する。
本工程では、基材の金属キレート錯体溶液を塗布した部分を熱処理することにより、金属膜を形成する。より詳しくは、金属キレート錯体溶液の塗布部分を加熱することにより、キレート剤や界面活性剤などの有機成分を熱分解して除去し、且つ、おそらく本発明ではイオン化傾向が比較的低い金属成分を用いるため、金属酸化物ではなく金属の膜が形成される。
(1)金属キレート溶液の調製
容量100mLのビーカーにエチレンジアミン四酢酸(30.1g)を入れ、更に蒸留水を加えて総量を80gとした。更に25%アンモニア水(14.0g)、および酸化銅(8.2g)を加え、加熱還流しつつ5時間撹拌を続けることにより完全に溶解させた。得られた溶液に蒸留水を加えて希釈し、EDTA・Cu・(NH4)2の濃度を40質量%に調整した。更に非イオン界面活性剤(「オルフィン(R)EXP.4300」日信化学工業社製)をその濃度が0.1質量%になるよう添加した。
表1に示す基材上に、上記EDTA・Cu・(NH4)2水溶液を滴下した後に65℃で20分間乾燥する操作を繰り返し、塗膜を形成した。ブラスト処理は、研磨剤としてアルミナ粒子(「ホワイトアランダム#60」不二製作所社製,粒径:212~250μm)を用いて行った。
また、表面にCu膜が形成されたモルタル基材の断面を走査電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で観察した拡大写真を図2に示す。図2に示された拡大写真の通り、表面に凹凸のあるモルタル基材の表面に、その凹凸に沿ってCu膜が密着していることが分かる。
(1)金属キレート溶液の調製
エチレンジアミン四酢酸パラジウム二塩化物に蒸留水を加えて溶解し、15質量%EDTA・Pd・Cl2水溶液を得た。
3cm×3cmの単結晶Si基板上に、合計で0.4gの上記EDTA・Pd・Cl2水溶液を滴下した後に65℃で20分間乾燥する操作を繰り返し、塗膜を形成し、実施例1(2)と同様の条件で塗膜を加熱した。被膜のXRD分析結果を図3に示す。
図3に示すXRD分析結果をICDD粉末回折データベースと照合したところ、Pd立方晶のピーク(00-087-0641および00-005-0681)が明確に認められたことから、基材上にPd膜が形成されていることが明らかとなった。
スプレーガンに供給する水素をアセチレンガスに変更した以外は実施例1と同様にして、基材上に被膜を形成した。基材表面のXRD分析結果を図4に示す。
図4に示される結果の通り、スプレーガンに供給する燃焼性ガスを水素からアセチレンガスに変更しても、基材上にCu被膜を形成することができた。
本発明者らは、実施例1において基材上に酸化銅被膜ではなくCu被膜を形成できた理由として、燃焼性ガスとして使用した水素による還元作用が影響しているのではと考えていたが、アセチレンガスを使用してもCu被膜を形成できたことは驚くべき結果であった。
(1)金属キレート溶液の調製
容量100mLのビーカーにエチレンジアミン四酢酸(22.9g)を入れ、更に蒸留水を加えて総量を80gとした。更に25%アンモニア水(10.7g)、およびニッケル(5.9g)を加え、加熱還流しつつ5時間撹拌を続けることにより完全に溶解させた。得られた溶液に蒸留水を加えて希釈し、EDTA・Ni・(NH4)2の濃度を30質量%に調整した。
50mm×50mm×10mmのアルミニウム合金(A5052)基材に、上記EDTA・Ni・(NH4)2水溶液(0.5g)を噴霧した後に65℃で20分間乾燥する操作を4回繰り返し、塗膜を形成した。
次いで、スプレーガンと基材との距離を130mmまたは180mmとし、走査回数を3回とした以外は実施例1(2)と同様にして、塗膜を加熱した。被膜のXRD分析結果を図5に示す。
図5に示すXRD分析結果をICDD粉末回折データベースと照合したところ、Ni結晶に相当するピークは認められなかった。しかし、被膜を剥離して得られた粉末をXRDで分析したところ、Ni立方晶に相当するピーク(00-004-0850)が認められた。被膜でNi結晶に相当するピークが認められなかったのは、XRD測定時に基材が僅かに傾いてしまいピークが全体的にシフトしてしまったことが考えられる。
また、XRD分析結果でNiO立方晶に相当するピーク(01-089-7130および01-073-1519)が認められたが、Ni立方晶のピークに比べればその強度は小さいため、不動態皮膜に由来するものであると考えられた。
ブラスト処理したSUS基板上に、30質量%EDTA・Ti・NH4水溶液を滴下しては大気中、65℃で20分間乾燥する処理を2回繰り返し、塗膜を形成した。使用した30質量%EDTA・Ti・NH4水溶液の総量は約1gであった。
スプレーガン(「6P-II」Sulzer Metco社製)を用い、水素を32.5L/min、酸素を43.0L/minの速度で供給し、18cmまたは13cmの距離からスプレーガンを50mm/sの速度で移動させながら基材正面を二回走査して塗膜を加熱した。被膜のXRD分析結果を図6に示す。
図6に示される結果の通り、XRD分析結果ではSUS基板に由来するFe(ICDD:01-071-4649)とFeOxの他、認められたピークはルチル型TiO2(ICDD:01-077-0442)のもののみであり、Tiピーク(ICDD:00-044-1294)は認められなかった。Tiのイオン化傾向は比較的高いため、加熱処理により酸化チタンまで酸化されてしまったと考えられる。
ブラスト処理した5cm×5cm×1cmのアルミ合金(A5052)基板を、電気炉を使って100℃で予熱した後、30質量%Fe・EDTA水溶液をスプレー塗布しては65℃または100℃で乾燥する処理を3回繰り返した。スプレー塗布の回数は、それぞれ6回、4回、2回とした。
スプレーガン(「6P-II」Sulzer Metco社製)を用い、水素を32.5L/min、酸素を43.0L/minの流量で供給し、18cmまたは13cmの距離からスプレーガンを50mm/sの速度で移動させながら、基材正面を縦横それぞれ一回ずつ走査して塗膜を加熱した。被膜をXRD分析したところ、アルミ合金基板とαFe(ICDD:03-065-4899)が重なっており、Feのピークの有無を特定できなかったため、塗膜を剥離して得られた粉末をXRD分析に付した。結果を図7に示す。
図7に示される結果の通り、αFe(ICDD:03-065-4899)のピークが僅かに認められるものの、高強度のピークはFe3O4立方晶(ICDD:01-086-1352)、Fe2O3三斜晶(ICDD:01-072-0469)、およびFeO立方晶(ICDD:01-089-0686)のものであった。このように、Feであっても得られた被膜は主に酸化鉄で構成されており、Fe膜を形成することはできなかった。
(1)金属キレート溶液の調製
容量100mLのビーカーにエチレンジアミン四酢酸(30.1g)を入れ、更に蒸留水を加えて総量を80gとした。更に25%アンモニア水(14.0g)、および酸化銅(8.2g)を加え、加熱還流しつつ5時間撹拌を続けることにより完全に溶解させた。得られた溶液に蒸留水を加えて希釈し、EDTA・Cu・(NH4)2の濃度を40質量%に調整した。更に非イオン界面活性剤(「オルフィン(R)EXP.4300」日信化学工業社製)をその濃度が0.1質量%になるよう添加した。
上記EDTA・Cu・(NH4)2水溶液を多結晶アルミナ基板(50mm×50mm×1mm)に0.5g滴下した後に65℃で20分間乾燥することにより、塗膜を形成した。市販ガスバーナー(「カセットガス トーチバーナー」岩谷産業社製,燃料:ブタンガス,炎温度:1,300℃)を用いて、手動で1分30秒、塗膜上、炎を上下左右に走査した。その結果、基材表面の色はCu2+イオン特有の青色から、赤褐色に変化した。
得られた被膜をX線回折法で分析した。結果を図8に示す。図8に示されるXRD結果をICDD粉末回折データベースと照合したところ、Cu立方晶のピーク(00-004-0836)が明確に認められたことから、全ての基材上にCu膜が形成されていることが明らかとなった。また、酸化物であるCuO(00-048-1548)やCu2O(00-005-0667)のピークも明確に認められたことから、生成した銅の一部が酸化していると考えられる。
(1)金属キレート溶液の調製
容量100mLのビーカーにエチレンジアミン四酢酸(30.1g)を入れ、更に蒸留水を加えて総量を80gとした。更に25%アンモニア水(14.0g)、および酸化銅(8.2g)を加え、加熱還流しつつ5時間撹拌を続けることにより完全に溶解させた。得られた溶液に蒸留水を加えて希釈し、EDTA・Cu・(NH4)2の濃度を40質量%に調整した。更に非イオン界面活性剤(「オルフィン(R)EXP.4300」日信化学工業社製)を、その濃度が0.1質量%になるよう添加した。
上記EDTA・Cu・(NH4)2水溶液を多結晶アルミナ基板(2.5cm×5.0cm×0.25cm)に0.25g滴下した後に65℃で20分間乾燥することにより、塗膜を形成した。ペン型YAGレーザー加工機(「PSL-P30レーザー加工機」日本ウェルディング社製,発振波長:1.06μm)を用いて、パルス幅:0.3msec、1秒間あたりパルス数:20ppsの条件下、手動で10分、塗膜上、レーザーを上下左右に直線的に走査した。その結果、基材表面の色はCu2+イオン特有の青色から、赤褐色に変化した。
得られた被膜をX線回折法で分析した。結果を図9に示す。図9に示されるXRD結果をICDD粉末回折データベースと照合したところ、Cu立方晶のピーク(00-004-0836)が明確に認められたことから、基材上にCu膜が形成されていることが明らかとなった。
Claims (7)
- セメント硬化体の表面上にCu膜が形成された複合体の製造方法であって、
Cu、アミノカルボン酸系キレート剤および界面活性剤を含む金属キレート錯体水溶液を前記セメント硬化体に塗布する工程、および、
前記セメント硬化体の表面の前記金属キレート錯体水溶液を塗布した部分を熱処理する工程を含むことを特徴とする方法。 - 前記アミノカルボン酸系キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、およびニトリロ三酢酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
- 前記金属キレート錯体水溶液中のCuの含有量が0.1質量%以上、15質量%以下である請求項1または2に記載の方法。
- 前記金属キレート錯体水溶液が更に粘度調整剤を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セメント硬化体がコンクリートである請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セメント硬化体の表面の前記金属キレート錯体水溶液を1000℃以上、3500℃以下で熱処理する請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 基材とCu層を含む複合体であって、
前記基材がコンクリート建材であり、
前記基材と前記Cu層の界面よりも前記基材側に前記Cu層の金属成分が存在することを特徴とし、
前記界面は、前記複合体を前記Cu層の平面方向と垂直の方向に切断し、断面を走査型電子顕微鏡で1000倍以上、10000倍以下に拡大観察し、100μmの基準長さにおいて、JIS B 0601-1994に従って、粗さ曲線のためのろ波うねり曲線を最小二乗法により直線におきかえた平均線をいう複合体。
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