JP7565734B2 - 基板保持部材、およびその製造方法 - Google Patents
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[基板保持部材の構成]
図1は、基板保持部材10を示す正断面図である。基板保持部材10は、セラミックス部材12と、第1の溶射膜14と、冷却部材16と、第2の溶射膜18と、シリコーン接着層20と、を備える。また、基板保持部材10は、必要に応じて、1または複数の電極が埋設されていてもよい。基板保持部材10は、例えば、静電チャック、ヒーター等に適用することができる。
上記の構成により、シリコーン接着層20の耐熱温度より高い温度のプロセスで基板保持部材10を使用することが可能となるが、さらに、高い温度のプロセスでの使用や、所定のプロセス温度を保つために必要な供給熱量を低減することを考慮する場合、基板保持部材10の熱抵抗の設計をすることが好ましい。基板保持部材10の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗(m2K/W)を下記のような計算により設定する(以下熱抵抗は単位面積当たりの値とする)。セラミックス部材12の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗Re(m2K/W)は、セラミックスの厚さ(m)/セラミックスの熱伝導率(W/mK)とする。第1の溶射膜14の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗Rf1(m2K/W)は、第1の溶射膜の厚さ(m)/第1の溶射膜の熱伝導率(W/mK)とする。冷却部材16の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗Rm(m2K/W)は、冷媒の流路と冷却部材表面までの距離(m)/冷却部材の熱伝導率(W/mK)とする。シリコーン接着層の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗Rb(m2K/W)は、シリコーン接着層の厚さ(m)/シリコーン接着層の熱伝導率(W/mK)とする。なお、厚み方向とは、基板保持部材10の基板載置面28に垂直な方向とする。
次に、上記のように構成された基板保持部材の製造方法を説明する。セラミックス部材の製造方法、冷却部材の製造方法、溶射方法、およびシリコーン接着層の形成方法の順に説明する。
以下のセラミックス部材の製造方法は、AlNを主成分とする原料から粉末ホットプレス法によりセラミックス部材を作製する方法について説明するが、原料、製法は本方法に限られず、Al2O3を主成分とするセラミックス部材にも適用できる。また、粉末ホットプレス法のほかグリーンシート積層法やその他従前の製法を採用することが可能である。まず、AlNセラミックス原料粉を造粒する。造粒粉は、内比で0.3wt%以上6wt%以下のY2O3を添加し、バインダを添加して造粒粉を造粒する。次に、造粒粉を有底のカーボン型(成形型)充填し、カーボン型のパンチを載せた後、焼成する。
まず、複数の金属部材を準備し、冷媒の流路となる溝部を形成する。次に、溝部が形成された複数の金属部材を接合し、流路を有する冷却部材を作製する。流路の形成は複数の金属部材に所定の機械加工を行った後、ロウ付、電子ビーム溶接や拡散接合など従前の金属の接合方法を用いて作製される。金属は加工性や高い熱伝導率からAl合金が最も好適であるが、銅、チタン、ニッケルを含む合金、SUSなどが使用できる。金属製冷却部材の内部には冷媒を流す流路を形成する。冷媒の流路の大きさ、形状は、セラミックス部材を均一に冷却できる大きさ、形状であれば、どのようなものであってもよい。
セラミックス部材の基板載置面に対向する面に所定のセラミックスを含む第1の溶射原料粉を溶射し、第1の溶射膜を形成する。また、これとは別に、冷却部材の一方の主面に所定のセラミックスを含む第2の溶射原料粉を溶射し、第2の溶射膜を形成する。溶射膜は、セラミックス原料粉を含むスラリーを用いた大気プラズマ溶射法や、原料粉を顆粒にしてフィードする乾式のプラズマ溶射法のほか既知の溶射法により作製することができる。第1の溶射膜および第2の溶射膜の膜種は、Al2O3、Y2O3、ZrO2などが好適である。溶射膜は一定の気孔率を有し、気孔が断熱効果を発揮する。そのため、特に第1の溶射膜は、気孔率は2%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。これらの原料、気孔率により第1の溶射膜および第2の溶射膜の熱伝導率は、0.4~16W/mKで調節することができる。溶射膜の厚みは0.05mm以上2mm以下であることが好ましい。
シリコーン接着剤の硬化型は脱水、脱アルコール、付加重合タイプなどが選択できる。また一液硬化、二液硬化、紫外線硬化などが選択できる。これらの中で、シリコーン接着層を形成するシリコーン接着剤は、熱硬化するものが好ましい。以下の説明では、熱硬化するシリコーン接着剤を使用したシリコーン接着層の形成方法を説明する。
[試料a1~a15]
次に、実施例および比較例について説明する。まず、セラミックス部材の材料としてAlNを用いた試料として、静電チャック用電極を埋設したAlNを主成分とするセラミックス部材とAl合金製の冷却部材とをシリコーン接着層により接着した静電チャックを作製した。第1の溶射膜または第2の溶射膜の有無、材料、厚み、シリコーン接着層の熱伝導率、厚みを様々変化させて、試料a1~a15とした。以降、試料a1~a15を合わせて試料aという。図2は、試料a1~a15の各試料の製造条件および温度の測定値を示す表である。
AlNに添加物として5wt%のY2O3を添加した原料を用い、電極としてMoのメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50)を裁断した電極を埋設した。一軸ホットプレス焼成後所定の形状に機械加工し、表面に基板載置面を、表面に対向する裏面に溶射膜を溶射する平面を設け、直径300mm、厚さ15mmのセラミックス部材を作製した。基板載置面の表面粗さRaは0.5μm、溶射面の表面粗さRaは1.5μmとした。これらはJIS B 0601およびISO25178に準拠して測定した。セラミックス部材単体で測定した熱伝導率は、25℃で160W/mKであった。なお、熱伝導率の測定は、JIS R 1611-1997に準拠したレーザーフラッシュ法を用いて行なった。
また、セラミックス部材の材料としてAl2O3を用いた試料として、静電チャック用電極を埋設したAl2O3を主成分とするセラミックス部材とAl合金製の冷却部材とをシリコーン接着層により接着した静電チャックを作製した。第1の溶射膜または第2の溶射膜の材料、厚み、シリコーン接着層の熱伝導率、厚みを様々変化させて、試料b1~b6とした。以降、試料b1~b6を合わせて試料bという。図3は、試料b1~b6の各試料の製造条件および温度の測定値を示す表である。
Al2O3に添加物として0.05wt%のMgOを添加した原料を用い、電極としてMoのメッシュ(線径0.1mm、メッシュサイズ#50)を裁断した電極を埋設した。一軸ホットプレス焼成後所定の形状に機械加工し、表面に基板載置面を、表面に対向する裏面に溶射膜を溶射する平面を設け、直径300mm、厚さ15mmのセラミックス部材を作製した。基板載置面の表面粗さRaは0.4μm、溶射面の表面粗さRaは1.2μmとした。セラミックス部材単体で測定した熱伝導率は、25℃で30W/mKであった。
金属としてAl合金(6061T6)を使用した。冷媒の流路は断面が幅10mm、高さ5mmの矩形とし、半径方向に20mm離間して配置した。冷却部材の表面から流路までの垂直方向の最短距離は15mmとした。冷却部材の溶射面の表面粗さRaは1.6μmとした。冷却部材は、試料aと試料bとで共通である。冷却部材の熱伝導率は、25℃で138W/mKであった。
セラミックス部材の基板載置面に対向する面および冷却部材の平面で形成された主面に、それぞれ第1の溶射膜または第2の溶射膜を形成するためのスラリー原料としてAl2O3、Y2O3、またはZrO2を用いた。ZrO2溶射膜の熱伝導率は0.8(W/mK)、Y2O3溶射膜の熱伝導率は2(W/mK)、Al2O3溶射膜の熱伝導率は4(W/mK)となるような気孔率に調整して溶射した。なお、上記の熱伝導率は、同一の条件で作製された単体の溶射膜について25℃で測定した。溶射膜の厚みは、300μm~2000μmとした。
一般のシリコーン樹脂に熱伝導率を高めるためアルミナや金属などのフィラーが分散配合されたものを用いた。シリコーン接着層の熱伝導率は0.9W/mK~2.0W/mK、シリコーン接着層の厚みは500μm~2000μmとした。
得られた静電チャックを所定の評価プロセスに供試した。このとき、冷媒は水とエチレングリコールを混合したものを使用し、熱伝達率が2500W/mKとなるように調整した。また、冷媒温度は20℃とし、冷媒の流量は3L/minとした。そして、以下の評価を行った。
試料a8は、第1の溶射膜が形成されていない静電チャックである。試料8は、静電チャックの基板載置面の温度が232℃になったときに、シリコーン接着層の温度が206℃となり、シリコーン接着層の耐熱温度を超えた。これに対し、第1の溶射膜および第2の溶射膜が形成された試料a1~a6、a9~a15および試料b1~b6では、静電チャックの基板載置面の温度を240℃以上としたときに、シリコーン接着層の温度を200℃以下にすることができた。なお、試料a6は、静電チャックの基盤載置面の温度が250℃のときはシリコーン接着層の温度が200℃を超えたが、基板載置面の温度が240℃のときはシリコーン接着層の温度は200℃を下回っていた。すなわち、第1の溶射膜および第2の溶射膜が形成された試料a1~a6、a9~a15および試料b1~b6は、シリコーン接着層の耐熱温度より高い温度のプロセスで静電チャック(基板保持部材)を使用しても、シリコーン接着層の温度を耐熱温度以下にすることができ、シリコーン接着層の劣化を防ぐことができることが分かった。
12 セラミックス部材
14 第1の溶射膜
16 冷却部材
18 第2の溶射膜
20 シリコーン接着層
22 流路
24、26 電極
28 基板載置面
Claims (6)
- 基板保持部材であって、
セラミックスにより平板状に形成され、一方の主面に基板載置面を有し、内部に電極が埋設されたセラミックス部材と、
前記セラミックス部材の他方の主面に形成された第1の溶射膜と、
内部に冷媒の流路を有する金属製の冷却部材と、
前記冷却部材の平面状の主面に形成された第2の溶射膜と、
前記第1の溶射膜と前記第2の溶射膜とを接合するシリコーン接着層と、を備えることを特徴とする基板保持部材。 - 前記セラミックス部材はAlNを主成分とするセラミックスで形成され、
前記セラミックス部材の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRe(m2K/W)、前記第1の溶射膜の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRf1(m2K/W)、前記シリコーン接着層の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRb(m2K/W)、前記第2の溶射膜の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRf2(m2K/W)、前記冷却部材の前記シリコーン接着層側の主面から前記冷媒の流路までの領域における厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRm(m2K/W)としたとき、
0.75≧(Re+Rf1)/(Re+Rf1+Rb+Rf2+Rm)≧0.24
であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持部材。 - 前記セラミックス部材はAl2O3を主成分とするセラミックスで形成され、
前記セラミックス部材の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRe(m2K/W)、前記第1の溶射膜の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRf1(m2K/W)、前記シリコーン接着層の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRb(m2K/W)、前記第2の溶射膜の厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRf2(m2K/W)、前記冷却部材の前記シリコーン接着層側の主面から前記冷媒の流路までの領域における厚み方向の単位面積当たりの熱抵抗をRm(m2K/W)としたとき、
0.77≧(Re+Rf1)/(Re+Rf1+Rb+Rf2+Rm)≧0.20
であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持部材。 - 前記基板保持部材において、
(Rf1+Rb+Rf2)/(Re+Rf1+Rb+Rf2+Rm)≧0.83
であることを特徴とする請求項2に記載の基板保持部材。 - 前記基板保持部材において、
(Rf1+Rb+Rf2)/(Re+Rf1+Rb+Rf2+Rm)≧0.63
であることを特徴とする請求項3に記載の基板保持部材。 - 基板保持部材の製造方法であって、
セラミックス原料粉を成形して焼成し、内部に電極が埋設されたセラミックス部材を作製する工程と、
複数の金属部材を準備し、冷媒の流路となる溝部を形成する工程と、
前記溝部が形成された前記複数の金属部材を接合し、前記流路を有する冷却部材を作製する工程と、
前記セラミックス部材の基板載置面に対向する面に所定のセラミックスを含む第1の溶射原料粉を溶射し、第1の溶射膜を形成する工程と、
前記冷却部材の一方の主面に所定のセラミックスを含む第2の溶射原料粉を溶射し、第2の溶射膜を形成する工程と、
前記第1の溶射膜または前記第2の溶射膜の少なくとも一方にシリコーン接着剤を塗布し、前記セラミックス部材および前記冷却部材を接着する工程と、
前記シリコーン接着剤を硬化させシリコーン接着層とする工程と、を含むことを特徴とする基板保持部材の製造方法。
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