本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の、矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」、矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。
〔トラクタの全体構成〕
以下では、電動作業車の一例として、電動トラクタ(以下、単にトラクタと称す)について説明する。図1および図2に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、カバー部材12を備える。
また、トラクタは、機体フレーム2および運転部3を備える。機体フレーム2は、左右の前車輪10および左右の後車輪11に支持される。
カバー部材12は、機体前部に配置される。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられる。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置される。
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有する。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
トラクタは、走行用バッテリ4を備える。また、カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成される。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成される。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われる。
図2および図3に示すように、トラクタは、インバータ14およびモータMを備える。走行用バッテリ4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力(三相交流)に変換してモータMへ供給する。そして、モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
図3および図4に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15およびトランスミッション16を備える。図4に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aおよび油圧モータ15bを有する。
油圧ポンプ15aは、モータMから供給される回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。なお、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速する。また、静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成される。
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10および左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10および左右の後車輪11が駆動する。
また、図3および図4に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17およびリヤPTO軸18を備える。モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17およびリヤPTO軸18が回転する。
ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、図3に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続される。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
〔冷却機構〕
上述のように、インバータ14は、走行用バッテリ4から供給される電流を、所定の周波数の三相交流(三相電流)に変換してモータMに供給する。モータMは、供給された三相交流の周波数に応じて駆動される。
インバータ14およびモータMは、動作中に発熱する。そのため、インバータ14およびモータMは、熱による故障を抑制するために、動作中に冷却される。以下、図3および図5を用いて、トラクタの冷却機構について説明する。
ここで、インバータ14およびモータM以外にも、トラクタは、動作中に発熱する機器としてDC/DCコンバータ21を備える。DC/DCコンバータ21は、トラクタが備える各種補機に電力を供給する。DC/DCコンバータ21は、走行用バッテリ4から供給される電力を、各補機に対応する電圧に降下させて(変換して)、各補機に供給する。
冷却対象である、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21を冷却する冷却機構は、ラジエータ23と、電動ポンプ24と、冷却経路26とを備える。
ラジエータ23は、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21を冷却する冷媒を冷却する。ラジエータ23は機体の前方から流通する空気により、冷媒を冷却する。冷媒は冷却対象と熱交換することにより、発熱した冷却対象を冷却する。
冷却経路26は冷媒が流通する経路であり、ラジエータ23から冷却対象をめぐり、ラジエータ23に戻る経路である。冷却経路26は、内部が中空で、断面形状は任意のパイプ状の部材であり、中空部分を冷媒が流通する。
電動ポンプ24は、冷却された冷媒をラジエータ23から吸引し、冷却経路26を流通させる。なお、冷媒は、冷却水や不凍液、冷却ガス等、冷却経路26内を流通可能で、冷却対象と適切に熱交換できるものであれば良い。
具体的には、ラジエータ23は、機体の前部の機体の左右方向中央部にやや左横側方に偏心して設けられる。また、DC/DCコンバータ21は、ラジエータ23の右横側方にラジエータ23と左右方向に並んで設けられる。ラジエータ23およびDC/DCコンバータ21は、機体の前部に設けられるため、機体の前方から空気が流通しやすい。
電動ポンプ24は、ラジエータ23より後側かつ下側の、機体の左右方向の中央部近傍に設けられる。
インバータ14は、ラジエータ23より後側の機体の左右方向の中央部近傍に設けられる。また、インバータ14は、走行用バッテリ4の下方に設けられ、平面視で、走行用バッテリ4と重複して配置される。例えば、インバータ14は、平面視で、走行用バッテリ4の配置領域の内側に設けられる。
モータMは、インバータ14より後側の機体の左右方向の中央部近傍に設けられる。また、モータMは、走行用バッテリ4の下方に設けられ、平面視で、走行用バッテリ4と重複して配置される。例えば、モータMは、平面視で、走行用バッテリ4の配置領域の内側に設けられる。
電動ポンプ24は、ラジエータ23で冷却された冷媒を、冷却経路26の冷却経路26Aを介してラジエータ23から吸い出す。電動ポンプ24は、吸い出した冷媒を冷却経路26に流通させ、インバータ14、モータM、DC/DCコンバータ21の順に巡回させた後、ラジエータ23まで循環させる。
電動ポンプ24から流出された冷媒は、冷却経路26の冷却経路26Bを通ってインバータ14に流通される。例えば、冷却経路26Bは、電動ポンプ24より右側を通って上向きに設けられ、インバータ14の前部の右よりの部分に接続される。
インバータ14を流通した冷媒は、インバータ14の後部の左より部分から冷却経路26の冷却経路26Cに流出する。インバータ14から流出した冷媒は、冷却経路26Cを通ってモータMに流通される。例えば、冷却経路26Cは、モータMの左側部分でかつ上側部分に設けられた流入部28に接続される。
モータMを流通した冷媒は、モータMの右側部分でかつ上側部分に設けられた排出部29から冷却経路26の冷却経路26Dに流出する。モータMから流出した冷媒は、冷却経路26Dを通ってDC/DCコンバータ21に流通される。例えば、冷却経路26Dは、インバータ14より右側かつ下側を通ってDC/DCコンバータ21に接続される。
DC/DCコンバータ21を流通した冷媒は、DC/DCコンバータ21とラジエータ23との間に設けられた冷却経路26の冷却経路26Dに流出する。これにより、冷媒は電動ポンプ24により冷却経路26を通って、ラジエータ23から、インバータ14、モータM、DC/DCコンバータ21の順に流通し、ラジエータ23に循環される。
以上のような構成により、冷却経路26は、ラジエータ23、電動ポンプ24、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21の配置位置に応じて、効率的に構成される。
ここで、インバータ14は、モータMを制御する三相交流を生成するため、モータMに比べて一般に耐熱性が低く、DC/DCコンバータ21に比べて高熱になりやすい。そのため、インバータ14は、熱の影響による故障を抑制するために、十分に冷却される必要があり、モータMやDC/DCコンバータ21に比べて優先的に冷却されることが好ましい。
また、モータMは、インバータ14に比べて一般に耐熱性が高いものの、発熱量がインバータ14に比べて大きい。
DC/DCコンバータ21は、インバータ14およびモータMに比べて発熱量が小さく、冷却される必要性も小さい。また、DC/DCコンバータ21は空気が流通しやすい位置に配置されるため、空気により冷却されることも期待できる。
そして、上述のように、冷媒は冷却経路26を通って、ラジエータ23から、インバータ14、モータM、DC/DCコンバータ21の順に流通してラジエータ23に循環する。
このように、発熱量が大きいモータMの前に、冷媒はインバータ14を流通する。ここで、冷媒は冷却対象との熱交換により、冷却対象を冷却する。そのため、発熱量が大きいモータMを流通した冷媒の温度は、インバータ14を流通した後に比べて昇温し、モータMを流通した後の冷媒の冷却能力は大きく低下する。冷媒は、ラジエータ23で冷却された後の最初に、モータMの前に、冷却の優先度の高いインバータ14を流通するため、十分に冷却能力が高い状態でインバータ14に流通し、効果的にインバータ14を冷却することができる。
なお、インバータ14の発熱量はモータMに比べて小さいため、インバータ14を流通した後であっても、冷媒は十分な冷却能力を保持しており、十分にモータMを冷却することができる。
また、DC/DCコンバータ21は、インバータ14およびモータMに比べて発熱量が小さく、冷媒に要求される冷却能力も小さいため、モータMを流通した後の冷媒でも、必要十分にDC/DCコンバータ21を冷却することができる。
以上により、本実施形態に係る冷却機構は、冷却経路26を流通する冷媒により、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21を効率的に冷却することができる。
〔モータ〕
次に、図3,図5を参照しながら、図6および図7を用いて、モータMの冷却構成およびに配置構成について説明する。
図6に示すように、機体フレーム2は、板状の底板2Aと、左右一対の側板2Bと、鉛直板2Cとを備える。一対の側板2Bは板状の部材であり、底板2Aの機体左右方向(幅方向)の両端部分にそれぞれ立設される。鉛直板2Cは板状の部材であり、底板2Aおよび一対の側板2Bのそれぞれと直交するように設けられる。
モータMは、底板2Aの上方に配置され、鉛直板2Cの機体前方の面に片持ち支持される。モータMは、本体部分34と、本体部分34の後部に設けられる板状の取付板35とを備える。モータMは、取付板35が鉛直板2Cの機体前方の面に支持される。また、モータMは、本体部分34が一対の側板2Bの間に配置される。なお、鉛直板2Cの機体前方の面には油圧ポンプ6が、一方の側板2Bを挟んでモータMと左右横並びに支持される。油圧ポンプ6は、モータMにより駆動され、作動油を油圧機器に供給する。
モータMは、モータMの前面に、三相交流(三相電流)が入力される三相電源端子37を備える。また、モータMは、モータMの前面に、各種の信号が入出力される信号端子38を備える。
モータMは、本体部分34の内部に、ステータ(図示せず)と回転子(図示せず)とが設けられる。ステータは本体部分34の周側面39の内側に沿って、回転子を囲むように設けられる。モータMは、ステータに三相交流が入力されることにより、回転子が回転軸芯Pを中心に回転する。回転子が回転することにより、駆動力が静油圧式無段変速機15に伝達される。
図7に示すように、モータMは、本体部分34の周側面39に、周側面39に沿った螺旋状のモータ冷媒流路40を備える。周側面39は二重構造であり、内側の内側周側面39Aと外側の外側周側面39B(図7では内部構造を図示するために、部分的に省略されている)との間にモータ冷媒流路40が形成される。
モータMの周側面39には凹部が形成され、内側周側面39Aは凹部の底面に相当する。凹部の前端面41と、凹部の後端面42と、内側周側面39Aと、外側周側面39Bとで囲まれた領域がモータ冷媒流路40となる。
モータ冷媒流路40の内部には隔壁44が設けられる。隔壁44は、前端面41に接する位置から、周側面39の周方向に対して斜めに、後端面42に接する位置まで設けられる。隔壁44の周側面39の周方向での長さは、周側面39の周方向の長さ(円周の長さ)の約1/4である。隔壁44は、内側周側面39Aと外側周側面39Bとに沿って設けられ、内側周側面39Aと外側周側面39Bとに接する。これにより、モータ冷媒流路40は、隔壁44の、前端面41と接する始端部44aから後端面42と接する終端部44bに至る螺旋状の形状となる。そして、モータ冷媒流路40の長さは、周側面39の周方向の長さにおよそ隔壁44の長さを加えた長さとなる。
このような構成により、モータ冷媒流路40の長さは、モータMの周側面39において、効率的に長くすることができ、モータMを効率的に冷却することができる。
モータ冷媒流路40は、冷却経路26を流通する冷媒がモータ冷媒流路40に入流する入り口となる流入部28と、モータ冷媒流路40を流通した冷媒が冷却経路26に排出される出口となる排出部29とを備える。
流入部28はモータ冷媒流路40から外側周側面39Bを貫通し、隔壁44の始端部44aの排出部29側に隣接する領域に設けられる。排出部29はモータ冷媒流路40から外側周側面39Bを貫通し、隔壁44の終端部44bの流入部28側に隣接する領域に設けられる。これにより、冷媒は、流入部28から流入してモータ冷媒流路40内を周側面39に沿って螺旋状に流通し、排出部29から冷却経路26に排出される。
図6に示すように、正面視において、流入部28および排出部29は、水平中心線LCLより上側に設けられる。水平中心線LCLは、モータM(本体部分34)の中心点である回転軸芯Pを通り機体の左右方向(幅方向)に伸びる仮想線である。さらに、流入部28および排出部29は側板2Bの上端部より上側に配置されることが好ましい。また、流入部28および排出部29は、鉛直中心線VCLに対して左右(幅方向)に振り分けて設けられる。鉛直中心線VCLは、モータM(本体部分34)の中心点である回転軸芯Pを通り機体の上下方向(高さ方向)に伸びる仮想線である。例えば、正面視において、流入部28はモータMの左側領域に設けられ、排出部29はモータMの右側領域に設けられる。
特に、流入部28の流入口の中心と回転軸芯Pとを結ぶ線分、および、水平中心線LCLが成す内角θ1が30°以上55°以下であることが好ましい。また、排出部29の流出口の中心と回転軸芯Pとを結ぶ線分、および、水平中心線LCLが成す内角θ2が30°以上55°以下であることが好ましい。
このように流入部28および排出部29が配置されることにより、流入部28および排出部29がモータ冷媒流路40と冷却経路26とを効率的に接続することができると共に、モータMにおける流入部28および排出部29が効率的に配置される。
さらに、流入部28は、正面視において、水平中心線LCLと、鉛直中心線VCLと、鉛直左端線VLL(第一鉛直線)とに囲まれた領域に設けられることが好ましい。鉛直左端線VLLは、モータMの左端部を通り、機体の上下方向(高さ方向)に伸びる仮想線である。同様に、排出部29は、正面視において、水平中心線LCLと、鉛直中心線VCLと、鉛直右端線VRL(第二鉛直線)とに囲まれた領域に設けられることが好ましい。鉛直右端線VRLは、モータMの右端部を通り、機体の上下方向(高さ方向)に伸びる仮想線である。
これにより、正面視において、流入部28および排出部29は、モータM(本体部分34および取付板35)の上下左右の端部より内側に配置される。そのため、流入部28および排出部29を含めたモータMが、機体の内部において効率的に配置される。
また、正面視において、三相電源端子37は水平中心線LCLより下側に設けられる。同様に、信号端子38は、上下方向において、水平中心線LCLの近傍に設けられる。
これにより、三相電源端子37および信号端子38と、流入部28および排出部29とは、モータMの上下に離れて配置される。そのため、たとえ、流入部28または排出部29から冷媒が漏れ出したとしても、冷媒が三相電源端子37および信号端子38に付着することが抑制される。その結果、冷媒により三相電源端子37および信号端子38に不具合が生じることが抑制される。
さらに、三相電源端子37は機体の左右方向(幅方向)の中央部に配置され、信号端子38は鉛直中心線VCLより左側または右側、つまり、三相電源端子37に対して機体の左右方向(幅方向)に偏心されて配置されることが好ましい。例えば、信号端子38は、モータMの本体部分34の右側端部の近傍に設けられる。
三相電源端子37には、高周波で高電圧の三相交流が入力され、モータMの回転数を制御するために周波数および電圧が安定して入力される必要がある。また、信号端子38にも、各種の制御信号や検知信号が入出力される。
そのため、三相電源端子37および信号端子38が機体の上下方向(高さ方向)および機体の左右方向(幅方向)に離れた位置に配置されることにより、三相電源端子37および信号端子38は互いにノイズの影響を受けることが抑制され、モータMを精度良く動作させることができる。
また、モータMのモータ冷媒流路40を含むケース部分は鋳造により製造される。また、モータ冷媒流路40は砂でできた中子を用いて成型される。そのため、本体部分34のモータ冷媒流路40には、中子の砂を排出するための排出口46が設けられる。排出口46はモータ冷媒流路40に沿って複数設けられる。排出口46は、最終的に蓋が形成される。
〔インバータ〕
次に、図3,図5を参照しながら、図8~図11を用いて、インバータ14の冷却構成を含む構成について説明する。
インバータ14は、走行用バッテリ4から供給された直流電流を所定の周波数の三相交流(三相電流・三相電源)に変換してモータMに供給する。
図8に示すように、インバータ14は、インバータケース50と、インバータケース50の内部に設けられる、コンデンサ51、パワートランジスタの一例であるIGBT52、抵抗53等の部品を備える。
コンデンサ51は、走行用バッテリ4から供給された直流電流を平滑化する。IGBT52は、コンデンサ51で平滑化された直流電流を所定の周波数の三相交流に変換して、モータMに供給する。抵抗53は、インバータ14の停止後にコンデンサ51にチャージされた電流をディスチャージするために設けられた電力消費用の抵抗である。
インバータケース50は、搭載板50Aを含む外板で構成され、インバータケース50の内部に外板で囲まれた密閉空間が形成される。コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53は、密閉空間内において、搭載板50Aに支持される。
コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53は、動作中に発熱し、熱により故障する場合がある。そのため、インバータ14は、冷却対象としてコンデンサ51、IGBT52、および抵抗53等の部品を冷却するインバータ冷媒流路55を備える。
インバータ冷媒流路55は、搭載板50Aの内部に設けられ、冷却経路26から導入される冷媒が流通する流路である。インバータケース50は流入部56と排出部57とを備え、冷却経路26(冷却経路26B)を流通する冷媒は流入部56からインバータ冷媒流路55に流入し、インバータ冷媒流路55を流通した冷媒は排出部57から冷却経路26(冷却経路26C)に流出する。
インバータ冷媒流路55は、インバータ14の部品を冷却するように、搭載板50A内を冷却対象である部品に沿って形成される。図8の例では、コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53は搭載板50Aの上面に保持されるため、インバータ冷媒流路55は、搭載板50Aの内部の、コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53の下方に形成される。
例えば、インバータ冷媒流路55は、流入部56から、コンデンサ51に沿った領域、IGBT52に沿った領域、抵抗53に沿った領域を通る経路である。
一般的に、コンデンサ51は、IGBT52に比べて発熱量が小さいものの、耐熱性がIGBT52および抵抗53より低い。そのため、コンデンサ51はインバータ14において最も優先的に冷却される必要のある部品である。
同様に、IGBT52は、高圧の交流電流(三相交流)を生成するため、コンデンサ51および抵抗53に比べて発熱量が大きいが、コンデンサ51に比べて耐熱温度が高く、コンデンサ51が先に故障する可能性が高い。また、抵抗53は、コンデンサ51およびIGBT52よりも熱によって故障する可能性が低いため、冷却する必要性は小さい。
上述のように、冷媒は、コンデンサ51、IGBT52、抵抗53の順で冷却を行うため、コンデンサ51が優先的に冷却され、コンデンサ51は効率良く冷却される。IGBT52の後にコンデンサ51が冷却されると、IGBT52を冷却した後の冷媒は大きく昇温するため、コンデンサ51を十分に冷却することが困難である。逆に、コンデンサ51を冷却して昇温した冷媒であっても、IGBT52は発熱量が大きく、冷媒以上に高温となり、また、IGBT52はコンデンサ51に比べて熱耐性が強いため、十分にIGBT52を冷却することができる。また、抵抗53は、コンデンサ51およびIGBT52に比べて冷却の必要性が小さい。
以上のことから、コンデンサ51、IGBT52、抵抗53の順で冷却が行われるようにインバータ冷媒流路55が形成されることにより、コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53を、特性に応じて効率的に冷却することができる。
例えば、インバータ冷媒流路55は、流入部56からコンデンサ51に沿って機体の後方に向かい、コンデンサ51の後端部近傍でUターンし、コンデンサ51に沿って機体の前方に向かう。さらに、インバータ冷媒流路55は、IGBT52より前側で再びUターンし、流路の幅(機体の左右方向における幅)を広げながら、IGBT52に沿って機体の後方に向かう。そして、インバータ冷媒流路55は、流路の幅を狭めながら、抵抗53を介して排出部57に至るように、機体の後方に向かう。
このような構成により、インバータ冷媒流路55を流通する冷媒は、コンデンサ51、IGBT52、および抵抗53を、効率的に冷却することができる。
<IGBTの冷却構造>
図9に示すように、IGBT52はヒートシンクを備える。ヒートシンクは、フィン等でも良いが、IGBT52の1つの表面にマトリクス状に設けられるピンフィン52Aであっても良い。
搭載板50AのIGBT52の配置領域には貫通孔50Bが設けられる。貫通孔50Bは、インバータケース50の密閉空間からインバータ冷媒流路55に貫通する。IGBT52は、ピンフィン52Aが貫通孔50B内に配置されるように、搭載板50Aに支持される。そして、ピンフィン52Aは、貫通孔50Bを突き抜けてインバータ冷媒流路55に至る。
これにより、ピンフィン52Aがインバータ冷媒流路55を流通する冷媒に直接接するため、ピンフィン52Aを介してIGBT52を効率的に冷却することができる。
さらに、インバータ冷媒流路55のピンフィン52Aが突出する位置において、インバータ冷媒流路55の内径が狭くなることが好ましい。例えば、インバータ冷媒流路55のピンフィン52Aが突出する位置において、ピンフィン52Aと向かい合う位置の搭載板50Aがインバータ冷媒流路55の内部に向けて突出する突出部50Cを備える。
インバータ冷媒流路55のピンフィン52Aが突出する位置において、インバータ冷媒流路55の内径が狭くなることにより、この部分を流通する冷媒の流速が上がり、冷媒は、効率的にピンフィン52Aを介してIGBT52を冷却することができる。また、冷媒がピンフィン52Aに精度良く接するようになり、精度良くピンフィン52Aを介してIGBT52を冷却することができる。
図9および図10に示すように、インバータ14は、貫通孔50Bにおいて、IGBT52と搭載板50Aとの間を塞ぐオーリング52Bを備えることが好ましい。例えば、オーリング52Bは、IGBT52の外周部と、貫通孔50Bの内周部とに密着するように設けられる。
これにより、インバータ冷媒流路55を流通する冷媒が、貫通孔50Bを介して、インバータ14の密閉空間内に流入することが抑制される。その結果、インバータ14の各種部品が冷媒により動作不良を生じることが抑制される。
<コンデンサの冷却構造>
図11に示すように、コンデンサ51は密閉空間内において、搭載板50Aの表面上に支持される。コンデンサ51の底面の少なくともインバータ冷媒流路55に沿う領域近傍は、平滑で面一に形成される。搭載板50Aの少なくともコンデンサ51を搭載する領域近傍は、平滑で面一に形成される。そのため、コンデンサ51の少なくともインバータ冷媒流路55に沿う領域近傍は、搭載板50Aと面接触して密着する。
コンデンサ51と搭載板50Aとが面接触して密着することにより、インバータ冷媒流路55を流通する冷媒は、搭載板50Aを介して効率的にコンデンサ51と熱交換を行うことができ、効率的にコンデンサ51を冷却することができる。
また、インバータ冷媒流路55の流入部56の近傍には、冷媒貯留部55Aが設けられる。例えば、冷媒貯留部55Aは、インバータ冷媒流路55のうちの、流入部56からコンデンサ51に沿う領域の流入部56側端部領域に亘って設けられる。
冷媒貯留部55Aは、冷媒流路の鉛直方向の断面積である冷媒の流通径が、他のインバータ冷媒流路55の流通径より大きく、冷媒を貯留できる構成である。これにより、インバータ冷媒流路55に冷媒を貯留し、インバータ冷媒流路55内に十分な冷媒を供給することができるため、インバータ14に搭載される冷却対象となる部品を、効率的に冷却することができる。
<その他の構造>
図8に示すように、インバータ14は、インバータ冷媒流路55を流通する冷媒の温度、例えば冷媒である冷却水の水温を測定する水温センサ59(温度センサ)を備える。水温センサ59は、例えば、インバータ冷媒流路55のうちのコンデンサ51の冷却領域とIGBT52の冷却領域との間に設けられる。より具体的には、水温センサ59は、コンデンサ51の冷却領域におけるインバータ冷媒流路55のUターン部分等に設けられる。
コンデンサ51は冷却の必要性が高く、コンデンサ51を冷却した後、あるいは冷却中の冷媒の温度が所定の温度以上になると、コンデンサ51が十分に冷却されていないと判断することができる。また、IGBT52を冷却する冷媒が別の所定の温度以上であると、IGBT52を十分に冷却することができないと判断することができる。また、測定された水温(冷媒の温度)によって、インバータ14の動作状況を確認することもできる。
そのため、水温センサ59により冷却水(冷媒)の温度が測定され、水温に応じて、インバータ冷媒流路55を流通する冷媒の流速や、インバータ14の動作を制御することができる。例えば、水温センサ59で測定された水温(冷媒の温度)が所定の温度以上である場合、冷媒の流速を高めるように電動ポンプ24を制御したり、インバータ14を停止させたりすることができる。また、水温センサ59で測定された水温(冷媒の温度)が室温程度あれば、インバータ14が動作していないと判断して、少なくともインバータ14(インバータ冷媒流路55)を流通する冷媒の流通を停止するように制御することができる。これにより、インバータ14を、効率的かつ精度良く冷却することができる。
また、インバータ14は、IGBT52が生成する三相交流の電流値を測定する電流センサ58を備える。電流センサ58は、IGBT52の前方の三相交流配線52Cに支持される。IGBT52は、電流センサ58で測定された電流値を参照しながら、所定の三相交流を生成する。
電流センサ58は、平面視で、インバータ冷媒流路55と重なる領域を持つように配置されても良いが、インバータ冷媒流路55と離間して設けられても良い。電流センサ58は、発熱量がIGBT52比べて小さく、耐熱性がコンデンサ51に比べて小さい。そのため、電流センサ58は、必ずしもインバータ冷媒流路55に沿って設ける必要がなく、インバータケース50を介して冷媒と熱交換することにより、十分に冷却される。
〔別実施形態〕
(1)インバータ14の熱耐性は必ずしも低い場合ばかりではない。同様に、モータMの発熱量は必ずしも高いものばかりではない。そのため、上記実施形態において、冷却経路26は、インバータ14、モータM、DC/DCコンバータ21の順に冷媒を流通させる構成に限らず、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21の発熱量や熱耐性に応じて、任意の順に冷媒を流通させても良い。
これにより、冷却対象の特性に応じて、効率的に冷却機構を構成することができる。
(2)上記各実施において、冷却機構(冷却経路26)は、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21のうちの少なくとも1つを冷却する構成であっても良い。例えば、冷却経路26は、DC/DCコンバータ21を通らない構成であっても良い。この場合、冷却経路26は、モータMから流出した冷媒を、DC/DCコンバータ21に流通させずに、直接ラジエータ23に戻す経路となる。
逆に、冷却機構(冷却経路26)は、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21のうちの少なくとも1つ以外に、他の冷却対象を含めて冷却する構成であっても良い。
以上により、冷却機構(冷却経路26)を自由度高く構成し、冷却機構は、種々の冷却対象を冷却することができる。例えば、バッテリや充電器が冷却経路26の途中に配置され、バッテリや充電器が冷却機構により冷却される構成とすることができる。
(3)上記各実施において、ラジエータ23、冷却経路26、電動ポンプ24、インバータ14、モータM、およびDC/DCコンバータ21の配置は、上記構成に限らず任意である。冷却対象の特性や動作状況に応じて、これらの配置を最適化することにより、効率的に冷却対象を冷却することができる。
(4)上記各実施において、モータ冷媒流路40は周側面39を任意の回数周回する螺旋状の流路であっても良い。螺旋の周回数に比例するモータ冷媒流路40の長さは、隔壁44が周側面39に沿って周側面39を周回する回数で決まる。
これにより、モータMの特性に応じて、適切な長さのモータ冷媒流路40を容易に構成することができ、モータMを効率的に冷却することができる。
(5)上記各実施において、三相電源端子37および信号端子38の配置位置は任意である。これにより、モータMの構造を自由度高く最適化させることができる。
(6)上記各実施において、インバータ14には、コンデンサ51、IGBT52、抵抗53、および電流センサ58以外にも、冷却対象として他の部品が搭載されても良い。逆に、インバータ14には、コンデンサ51は、IGBT52、抵抗53、および電流センサ58のいずれかが搭載されなくても良い。
これにより、インバータ14の必要構成に応じて、冷却が必要な部品に対して、必要な範囲で効率的に冷却することができる。
(7)上記各実施形態において、電動作業車は、前車輪10および後車輪11に代わり、クローラ等の任意の走行装置を採用することができる。
(8)上記各実施形態において、本発明は、電動トラクタに限らず、電動コンバインや電動田植機をはじめとする電動農作業車、各種の作業を行う電動作業車等に適用することができる。