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JP7570957B2 - 偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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JP7570957B2 - 偏光板および画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板に関し、さらには偏光板を備える画像表示装置にも関する。
液晶表示装置(LCD)は、液晶テレビだけでなく、パソコン、携帯電話等のモバイル、カーナビ等の車載用途などで広く用いられている。通常、液晶表示装置は、液晶セルの両側に粘着剤層を介して偏光板を貼合した液晶パネルを有し、バックライト部材からの光を液晶パネルで制御することにより表示が行われている。また、有機EL表示装置も近年、液晶表示装置と同様に、テレビ、携帯電話等のモバイル、カーナビ等の車載用途で広く用いられてきている。有機EL表示装置では、外光が金属電極(陰極)で反射され鏡面のように視認されることを抑止するために、画像表示パネルの視認側表面に円偏光板(偏光素子とλ/4板を含む積層体)が配置される場合がある。
偏光板は上記のように、液晶表示装置や有機EL表示装置の部材として、車に搭載される機会が増えてきている。車載用の画像表示装置に用いられる偏光板は、それ以外のテレビや携帯電話等のモバイル用途に比較して、高温環境下に曝されることが多く、より高温での特性変化が小さいこと(高温耐久性)が求められており、そのような耐久性を確保することを目的とした偏光素子が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された偏光素子は、高温耐久性を確保できる一方、ホウ素含有率が高く高温での収縮力が高い傾向にある。
国際公開2019/188779号
近年、偏光板には穴部が設けられることが多くなりつつある。例えば車載用画像表示装置等に用いられる偏光板には、メーターパネルの針を通すための穴部が設けられたり、スマートフォンに用いられる偏光板にはカメラホール用の穴部が設けられたりすることがある。しかしながら、そのような穴部が設けられた偏光板に、上記のような高温耐久性(収縮力)が高い偏光素子が用いられた場合、熱衝撃試験(ヒートショック試験ということもある)を行うと、穴部において偏光素子の吸収軸方向にクラックが生じ易い傾向にあった。
本発明の目的は、高温耐久性の高い偏光素子を用いた場合であっても、熱衝撃試験において穴部にクラックが生じにくい偏光板を提供することである。
本発明は、以下の偏光板及び画像表示装置を提供する。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させてなる偏光素子と、
透明保護フィルムと、
を有する偏光板であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂層は、ホウ素吸着率が5.70質量%以上であり、
前記偏光素子は、ホウ素の含有率が4.0質量%以上8.0質量%以下であり、
平面視における面内に、少なくとも1つの穴部を有し、
前記穴部の形状が下記の条件(1a)及び(1b)の両方を満たす、偏光板。
(1a)前記穴部の形状は、前記偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ有し、前記偏光素子の透過軸に略平行な直線部の長さは10mm以下である。
(1b)前記穴部の形状は曲線部を少なくとも2つ有し、前記曲線部の曲率半径は0.5mm以上11mm未満である。
[2] 前記穴部の形状が下記の条件(1c)をさらに満たす、[1]に記載の偏光板。
(1c)前記偏光素子の吸収軸に略平行な直線部をさらに2つ有する。
[3] 前記偏光板の平面視における形状は方形状であり、対角の長さが6インチ以上である、[1]又は[2]に記載の偏光板。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の偏光板を備える画像表示装置。
本発明によれば、高温耐久性の高い偏光素子を用いた場合であっても、熱衝撃試験において穴部にクラックが生じにくい偏光板を提供することができる。
穴部の形状の例を示す概略平面図である。 偏光板の一例を示す概略平面図である。 偏光板の層構成の一例を示す概略断面図である。 (A)第1切削工程において、積層フィルムに対して切削工具が渦巻き状に相対移動する様子の一例を示す平面図である。(B)比較例として、積層フィルムに対して切削工具が相対移動する様子を示す平面図である。図中の矢印のついた線は、積層フィルムの主面に垂直な方向から見て、切削工具が相対移動するルートを示す。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<偏光板>
本発明の一態様に係る偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させてなる偏光素子と、透明保護フィルムとを有する偏光板であって、ポリビニルアルコール系樹脂層は、ホウ素吸着率が5.70質量%以上であり、偏光素子は、ホウ素の含有率が4.0質量%以上8.0質量%以下であり、平面視における面内に、少なくとも1つの穴部を有し、穴部の形状が下記の条件(1a)及び(1b)の両方を満たす。
(1a)穴部の形状は、偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ有し、偏光素子の透過軸に略平行な直線部の長さは10mm以下である。
(1b)穴部の形状は曲線部を少なくとも2つ有し、曲線部の曲率半径は0.5mm以上11mm未満である。
なお本明細書において、平面視とは、偏光板の厚み方向(積層方向)から見ることをいう。
偏光板が有する穴部は、偏光板の主面に対して垂直な方向に貫通している。穴部の形状としては、例えば方形状の角部が曲線から構成された形状(以下、角丸方形状ともいう)であることができる。図1に示すように、角丸方形状は、例えば4つの曲線部と4つの直線部とを有する形状[図1(a)、(b)、(c)]や、2つの曲線部と2つの直線部とを有する形状[図1(d)、(e)]、2つの曲線部と5つの直線部とを有する形状[図1(f)]等が挙げられる。偏光板の主面は平面視における面をいう。
[条件(1a)]
穴部の形状は、偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ有する。本明細書において、1つの直線部とは、穴部の形状において1本の直線のみからなる部分をいう。例えば図1(f)の形状において、平行な2本の直線f1及びf2が同一線上で離れて形成されている部分や、平行ではない2本の直線f3及びf4が接続している部分はいずれも、直線部の数は2つである。また、本明細書において、透過軸に略平行とは厳密に平行であることに限定されず、例えば偏光素子の透過軸と直線部とのなす角は5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましく、1°以下であることがさらに好ましく、0°であることが最も好ましい。穴部の形状が図1(a)、(b)及び(c)に示すような4つの直線部を有する形状の場合、向かい合う直線部の1対が偏光素子の透過軸に略平行となる。例えば図2に示す偏光板1において、穴部2の形状を構成する直線部2a及び2cは、透過軸方向に略平行であることができる。偏光素子の透過軸に略平行な直線部の長さは好ましくは9mm以下であり、より好ましくは0.2mm以上8mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上7mm以下であってよい。偏光板は、穴部が上記の偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ有することにより、熱衝撃試験においてクラックが生じにくくなる傾向となる。穴部の形状は、偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ以上有していてよい。
[条件(1b)]
穴部の形状は、曲線部を少なくとも2つ有する。曲線部は、穴部の形状において連続する曲線からなる部分をいう。例えば図1(a)、(b)及び(c)では、曲線部の数は4つであり、図1(d)、(e)では、曲線部の数は2つである。また、図1(a)、(b)、(d)及び(f)に示すように、曲線部の曲率半径はいずれも同じであってよく、図1(c)及び(e)に示すように、曲線部の曲率半径の全てが同じでなくてもよい。曲線部の曲率半径は好ましくは1mm以上10mm以下であり、より好ましくは1.5mm以上9mm以下である。偏光板は、穴部が上記の曲線部を少なくとも2つ有することにより、熱衝撃試験においてクラックが生じにくくなる傾向となる。穴部の形状は、好ましくは、曲率半径が全て同じ曲線部を4つ有する。
偏光板は、穴部の形状が下記の条件(1c)をさらに満たすことができる。
(1c)偏光素子の吸収軸に略平行な直線部をさらに2つ有する。
本明細書において、吸収軸に略平行とは厳密に平行であることに限定されず、例えば偏光素子の吸収軸と直線部とのなす角は5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましく、1°以下であることがさらに好ましく、0°であることが最も好ましい。穴部の形状が図1(a)、(b)及び(c)に示すような4つの直線部を有する形状の場合、向かい合う直線部の1対が偏光素子の吸収軸に略平行であることができる。例えば図2に示す偏光板1において、穴部2の形状を構成する直線部2b及び2dは、吸収軸方向に略平行であることができる。偏光素子の吸収軸に略平行な直線部の長さは、例えば11mm未満であってよく、好ましくは0.5mm以上10.5mm以下、より好ましくは1mm以上10mm以下である。
偏光板の形状は、平面視において方形状であってよく、例えば正方形、長方形、角丸正方形、角丸長方形等であってよい。
偏光板は、平面視における形状が方形状である場合、例えば対角の長さが6インチ(152.4mm)以上であってよく、好ましくは6インチ(152.4mm以上)以上30インチ(767mm)以下である。
偏光板の形状と、偏光素子の吸収軸の方向との関係は特に限定されないが、例えば偏光板が平面視において長方形である場合、長辺方向に平行な方向であってよく、又は短辺方向に平行な方向であってよく、又は長辺方向(又は短辺方向)とのなす角度が45±5°である方向であってよく、好ましくは45±2°である方向であってよい。偏光素子の吸収軸は、偏光素子の延伸軸であることができる。
偏光板の厚みは、通常、5μm以上200μm以下とすることができ、150μm以下であってもよく、120μm以下であってもよい。
図3は、偏光板の層構成の一例を示す。図3に示す偏光板10は、偏光素子11と、透明保護フィルム12とを有する。偏光素子11と透明保護フィルム12とは後述する接着剤層を介して積層されていてよい。偏光板は、後述する光学機能層、貼合層及びプロテクトフィルムをさらに有することができる。
[偏光素子]
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称す。)系樹脂層(本明細書において、「PVA系樹脂層」とも称す。)に二色性色素を吸着配向させてなる偏光素子としては、周知の偏光素子を用いることができる。このような偏光素子としては、PVA系樹脂フィルムを用いて、このPVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、一軸延伸することによって形成したものや、PVA系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布して得られた積層フィルムを用いて、この積層フィルムの塗布層であるPVA系樹脂層を二色性色素で染色し、積層フィルムを一軸延伸することによって形成したものが挙げられる。
偏光素子は、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化して得られるPVA系樹脂から形成される。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、エチレン等のオレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。
本発明では、ホウ素吸着率が5.70質量%以上であるPVA系樹脂からPVA系樹脂層を形成する。すなわち、染色や延伸を施す前の原料の段階におけるPVA系樹脂のホウ素吸着率が5.70質量%以上である。このようなPVA系樹脂を用いることで、例えば温度105℃の高温環境下に晒したときであっても透過率が低下しにくくなる。ホウ素吸着率が、より好ましくは5.72質量%以上であり、さらに好ましくは5.75質量%であり、最も好ましくは5.80質量%以上であるPVA系樹脂を用いて、偏光素子を作製する。また、PVA系樹脂のホウ素吸着率は10質量%以下であることが好ましい。このようなPVA系樹脂を用いて、偏光素子を作製することで、ホウ酸処理槽中のホウ酸濃度を高濃度とすることなく、またホウ酸処理による処理時間も短縮することもでき、所望の偏光素子が得られやすくなり、偏光素子の生産性も高めることができる。PVA系樹脂のホウ素吸着率を10質量%以下とすると、PVA系樹脂層へホウ素が適量取り込まれ、偏光素子の収縮力を小さくしやすい。その結果、画像表示装置に組み込んだ際に、前面板等の他の部材と偏光板との間で剥離が生じるなどの不具合が生じにくくなる。また、PVA系樹脂のホウ素吸着率が5.70%未満であると、例えば温度105℃の高温環境下に晒したときであっても透過率が低下しやすくなり、さらに前述したように生産性が低下することがある。PVA系樹脂のホウ素吸着率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
PVA系樹脂のホウ素吸着率は、PVA系樹脂中の、分子鎖同士の間隔や結晶構造を反映しているPVA系樹脂の特性である。ホウ素吸着率が5.70質量%以上であるPVA系樹脂は、ホウ素吸着率が5.70質量%未満であるPVA系樹脂に比べて、分子鎖同士の間隔が広く、PVA系樹脂の結晶が少ないと考えられる。そのため、PVA系樹脂層中へホウ素が入り込みやすくなり、高温環境下において、ポリエン化が防止されやすくなると推定される。
PVA系樹脂のホウ素吸着率は、例えば、偏光素子を製造する前の段階でPVA系樹脂に対して、熱水処理、酸性溶液処理、超音波照射処理、放射線照射処理などの事前処理を行うことにより調整することができる。これらの処理により、PVA系樹脂中の、分子鎖同士の間隔を広げたり、結晶構造を破壊したりすることができる。熱水処理としては、例えば、30℃~100℃の純水に1秒~90秒浸漬させ、乾燥させる処理が挙げられる。酸性溶液処理としては、例えば、10%~20%の濃度のホウ酸水溶液に1秒~90秒浸漬させ、乾燥させる処理が挙げられる。超音波処理としては、例えば、20~29kcの周波数の超音波を、200W~500Wの出力で30秒~10分照射する処理が挙げられる。超音波処理は、水などの溶媒中で行うことができる。
PVA系樹脂の鹸化度は、好ましくは約85モル%以上、より好ましくは約90モル%以上、さらに好ましくは約99モル%~100モル%である。PVA系樹脂の重合度としては、1000~10000、好ましくは1500~5000である。このPVA系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどでもよい。
本実施形態の偏光素子の厚みは5~50μmが好ましく、8~28μmがより好ましく、12~22μmがさらに好ましく、12~15μmが最も好ましい。偏光素子の厚みが50μm以下であることにより、高温環境下でPVA系樹脂のポリエン化が光学特性の低下に与える影響を抑制することができ、また偏光素子の厚みが5μm以上であることにより所望の光学特性を達成する構成とすることが容易となる。
偏光素子は、ホウ素の含有率が、好ましくは4.0質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは4.2質量%以上7.0質量%以下、さらに好ましくは4.4質量%以上6.0質量%以下である。偏光素子のホウ素含有率が8.0質量%を超える場合には、偏光素子の収縮力が大きくなり、画像表示装置に組み込んだ際に貼り合わされる前面板等の他の部材との間で剥離が生じるなどの不具合が生じることがある。また、ホウ素の含有率が2.4質量%未満の場合には、所望する光学特性を達成できないことがある。なお、偏光素子におけるホウ素の含有率は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析法により、偏光素子の質量に対するホウ素の質量分率(質量%)として算出することができる。ホウ素は、偏光素子中に、ホウ酸またはそれがポリビニルアルコール系樹脂の構成要素と架橋構造を形成した状態で存在すると考えられるが、ここでいうホウ素の含有率は、ホウ素原子(B)としての値である。
偏光素子は、ホウ素の含有率が、4.0質量%以上8.0質量%以下にすることで層間充填構成の画像表示装置の構成要素として高温環境下に晒した場合でも透過率の低下が抑制される。これは、偏光素子は、ホウ素の含有率が、4.0質量%以上8.0質量%以下である場合に、高温環境下でもポリエン化が生じにくくなり透過率の低下が抑制されることによるものと推測される。
偏光素子におけるカリウムの含有率は、高温環境下における偏光素子の光学特性の低下を抑制する観点から、0.28質量%以上であることが好ましく、0.32質量%以上であることがより好ましく、0.34質量%以上であることがさらに好ましく、そして、高温環境下における色相変化を抑制する観点から、0.60質量%以下であることが好ましく、0.55質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることがさらに好ましい。
偏光素子における亜鉛の含有率は、高温環境下における偏光素子の光学特性の低下及び色相の変化を抑制する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましく、そして、2.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることがさらに好ましい。偏光素子中の亜鉛の含有率は、例えば、以下のように行うことができる。精秤した偏光子に硝酸を加え、マイルストーンゼネラル製マイクロ波試料前処理装置(ETHOS D)で酸分解して得られた溶液を測定液とする。亜鉛濃度は、アジレントテクノロジー製ICP発光分光分析装置(5110 ICP-OES)で測定液の亜鉛濃度を定量し、偏光素子の質量に対する亜鉛の質量から算出する。
詳細なメカニズムは不明であるものの、従来の偏光素子よりも、ホウ素の含有量が多く、カリウムの含有量が少ないため、ホウ酸架橋により偏光素子中のポリビニルアルコールの水酸基が保護(安定化)されていること、また、適量なカリウム含有率によって、偏光素子中で対イオンとなるヨウ素イオンが安定化されていることから、ポリエン化を抑制できるものと推定される。
偏光板の視感度補正単体透過率は、好ましくは38.8%~44.8%、より好ましくは40.4%~43.2%であり、さらに好ましくは40.7%~43.0%である。視感度補正単体透過率が44.8%を超えると高温環境下で赤変するなど光学特性の劣化が大きくなる場合があり、視感度補正単体透過率が38.8%未満では高温環境下でポリエン化が進行しやすく光学特性の劣化が大きくなる場合がある。
視感度補正単体透過率は、JIS Z8701-1982に規定されている2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値を測定することによって求めることができる。
偏光板の視感度補正偏光度は、例えば99.00%以上であってよく、好ましくは99.90%以上であり、通常100%以下であり、例えば100%未満であってよい。
偏光板は、高温耐久試験前後における視感度補正単体透過率の差の絶対値が例えば6%以下であってよく、好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下である。
偏光板は、高温耐久試験前後における視感度補正偏光度の差の絶対値が例えば0.5%未満であってよく、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。
偏光板は、高温耐久試験前後における色相の変化量の絶対値(色差:NBS単位)が例えば15NBS以下であってよく、好ましくは10NMB以下、より好ましくは7NBS以下である。
高温耐久試験は、後述の実施例の欄において説明する方法に従って行うことができる。
視感度補正単体透過率、視感度偏光度及び色相は、例えば、日本分光(株)製の分光光度計(型番:V7100)などで簡便に測定することができる。
偏光素子の製造方法は特に限定されないが、予めロール状に巻かれたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを送り出して延伸、染色、架橋などを行って作製する方法(以下、「製造方法1」とする。)やポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布して塗布層であるポリビニルアルコΔENBSール系樹脂層を形成して得られた積層体を延伸する工程を含む方法(以下、「製造方法2」とする。)が典型的である。
製造方法1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素等の二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
偏光素子中に含まれるホウ素の含有率およびカリウムの含有率は、膨潤工程、染色工程、架橋工程、延伸工程および水洗工程における各処理浴のいずれかに含まれるホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂等のホウ素化合物等のホウ素成分供与物質の濃度およびヨウ化カリウム等のハロゲン化カリウム等のカリウム成分供与物質の濃度、上記の各処理浴による処理温度および処理時間によって制御できる。とくに、架橋工程および延伸工程は、ホウ素成分供与物質の濃度等の処理条件により、ホウ素の含有率を所望の範囲に調整し易い。また、水洗工程は、染色工程、架橋工程、または延伸工程等で使用したホウ素成分供与物質やカリウム成分供与物質の使用量等の処理条件を考慮したうえで、ホウ素、カリウム等の成分をポリビニルアルコール系樹脂フィルムから溶出、あるいはポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着させることができる観点から、ホウ素の含有率およびカリウムの含有率を所望の範囲に調整し易い。
膨潤工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤浴中に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面の汚れやブロッキング剤等を除去でき、また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラを抑制できる。膨潤浴は、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。膨潤浴は、常法に従って、界面活性剤、アルコール等が適宜に添加されていてもよい。また、偏光素子のカリウムの含有率を制御する観点から、膨潤浴にヨウ化カリウムを使用してもよく、この場合、膨潤浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1.5重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
膨潤浴の温度は、10~60℃程度であることが好ましく、15~45℃程度であることがより好ましく、18~30℃程度であることがさらに好ましい。また、膨潤浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膨潤の程度が膨潤浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5~300秒間程度であることが好ましく、10~200秒間程度であることがより好ましく、20~100秒間程度であることがさらに好ましい。膨潤工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
染色工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、染色浴(ヨウ素溶液)に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素または二色性染料等の二色性物質を吸着・配向させることができる。ヨウ素溶液は、通常、ヨウ素水溶液であることが好ましく、ヨウ素および溶解助剤としてヨウ化物を含有する。なお、ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムが好適である。
染色浴中、ヨウ素の濃度は、0.01~1重量%程度であることが好ましく、0.02~0.5重量%程度であることがより好ましい。染色浴中、ヨウ化物の濃度は、0.01~10重量%程度であることが好ましく、0.05~5重量%程度であることがより好ましく、0.1~3重量%程度であることがさらに好ましい。
染色浴の温度は、10~50℃程度であることが好ましく、15~45℃程度であることがより好ましく、18~30℃程度であることがさらに好ましい。また、染色浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの染色の程度が染色浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10~300秒間程度であることが好ましく、20~240秒間程度であることがより好ましい。染色工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
架橋工程は、染色工程にて染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ素化合物を含む処理浴(架橋浴)中に浸漬する処理工程であり、ホウ素化合物によりポリビニルアルコール系樹脂フィルムが架橋して、ヨウ素分子または染料分子が当該架橋構造に吸着できる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂等が挙げられる。架橋浴は、水溶液が一般的であるが、例えば、水との混和性のある有機溶媒および水の混合溶液であってもよい。また、架橋浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。
架橋浴中、ホウ素化合物の濃度は、1~15重量%程度であることが好ましく、1.5~10重量%程度であることがより好ましく、2~5重量%程度であることがより好ましい。また、架橋浴にヨウ化カリウムを使用する場合、架橋浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~15重量%程度であることが好ましく、1.5~10重量%程度であることがより好ましく、2~5重量%程度であることがより好ましい。
架橋浴の温度は、20~70℃程度であることが好ましく、30~60℃程度であることがより好ましい。また、架橋浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの架橋の程度が架橋浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、5~300秒間程度であることが好ましく、10~200秒間程度であることがより好ましい。架橋工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
延伸工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、少なくとも一方向に所定の倍率に延伸する処理工程である。一般には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、搬送方向(長手方向)に1軸延伸する。延伸の方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。延伸工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。延伸工程は、偏光素子の製造において、いずれの段階で行われてもよい。
湿潤延伸法における処理浴(延伸浴)は、通常、水、または水との混和性のある有機溶媒および水の混合溶液等の溶媒を用いることができる。延伸浴は、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、ヨウ化カリウムを含むことが好ましい。延伸浴にヨウ化カリウムを使用する場合、当該延伸浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~15重量%程度であることが好ましく、2~10重量%程度であることがより好ましく、3~6重量%程度であることがより好ましい。また、処理浴(延伸浴)には、延伸中のフィルム破断を抑制する観点から、ホウ素化合物を含むことができ、この場合、当該延伸浴中、ホウ素化合物の濃度は、1~15重量%程度であることが好ましく、1.5~10重量%程度であることがより好ましく、2~5重量%程度であることがより好ましい。
延伸浴の温度は、25~80℃程度であることが好ましく、40~75℃程度であることがより好ましく、50~70℃程度であることがさらに好ましい。また、延伸浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸の程度が延伸浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、10~800秒間程度であることが好ましく、30~500秒間程度であることがより好ましい。なお、湿潤延伸法における延伸処理は、膨潤工程、染色工程、架橋工程、および洗浄工程のいずれか1つ以上の処理工程とともに施してもよい。
乾式延伸法としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。なお、乾式延伸法は、乾燥工程とともに施してもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに施される総延伸倍率(累積の延伸倍率)は、目的に応じ適宜設定できるが、2~7倍程度であることが好ましく、3~6.8倍程度であることがより好ましく、3.5~6.5倍程度であることがさらに好ましい。
洗浄工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、洗浄浴中に浸漬する処理工程であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面等に残存する異物を除去できる。洗浄浴は、通常、水、蒸留水、純水等の水を主成分とする媒体が用いられる。また、偏光素子中のカリウムの含有率を制御する観点から、洗浄浴にヨウ化カリウムを使用することが好ましく、この場合、洗浄浴中、ヨウ化カリウムの濃度は、1~10重量%程度であることが好ましく、1.5~4重量%程度であることがより好ましく、1.8~3.8重量%程度であることがさらに好ましい。
洗浄浴の温度は、5~50℃程度であることが好ましく、10~40℃程度であることがより好ましく、15~30℃程度であることがさらに好ましい。また、洗浄浴への浸漬時間は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの洗浄の程度が洗浄浴の温度の影響を受けるため一概に決定できないが、1~100秒間程度であることが好ましく、2~50秒間程度であることがより好ましく、3~20秒間程度であることがさらに好ましい。洗浄工程は1回だけ実施されてもよく、必要に応じて複数回実施されてもよい。
さらに上記した工程の中で、または上記した工程とは別の工程として、金属イオン処理工程を有していてもよい。金属イオン処理工程は、金属イオンの金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより行う。金属イオン処理工程により、金属イオンをポリビニルアルコール系樹脂フィルム中に含有させる。
金属イオンは、カリウムイオン以外の金属イオンであれば限定されることなく、好ましくはアルカリ金属以外の金属のイオンであり、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンの少なくとも1種を含むことが好ましい。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。
金属イオン処理工程には、金属塩溶液が用いられる。以下、金属イオン処理工程のなかでも、亜鉛塩水溶液を用いた場合の代表例として、亜鉛含有溶液への浸漬処理について説明する。
亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1~10質量%程度、好ましくは0.3~7質量%の範囲である。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等によりカリウムイオンおよびヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いるのが亜鉛イオンを含浸させやすく好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.1~10質量%程度、さらには0.2~5質量%とするのが好ましい。
亜鉛含有溶液への浸漬処理にあたり、亜鉛塩溶液の温度は、通常15~85℃程度、好ましくは25~70℃である。浸漬時間は通常1~120秒程度、好ましくは3~90秒間の範囲である。亜鉛含有溶液への浸漬処理にあたっては、亜鉛塩溶液の濃度、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの亜鉛塩溶液への浸漬温度、浸漬時間等の条件を調整することによりポリビニルアルコール系樹脂フィルムにおける亜鉛含有量が前記範囲になるように調整する。亜鉛含有溶液への浸漬処理をいつ行うかは特に制限されない。亜鉛含有液への浸漬処理を単独で行ってもよいし、染色浴、架橋浴、延伸浴中に、亜鉛塩を共存させておいて、染色工程、架橋工程、延伸工程の少なくとも一つの工程と同時に行ってもよい。
乾燥工程は、洗浄工程にて洗浄されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、乾燥して偏光素子を得る工程である。乾燥は、任意の適切な方法で行われ、例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥が挙げられる。
製造方法2は、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させて偏光素子とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。偏光素子を形成するために用いる基材フィルムは、偏光素子の保護層として用いてもよい。必要に応じて、基材フィルムを偏光素子から剥離除去してもよい。
[透明保護フィルム]
本実施形態において用いられる透明保護フィルム(以下、単に「保護フィルム」とも称す。)は、偏光素子の少なくとも片面に接着剤層を介して貼り合わされる。この透明保護フィルムは偏光素子の片面又は両面に貼り合わされるが、両面に貼り合わされていることがより好ましい。
保護フィルムは、同時に他の光学的機能を有していてもよく、複数の層が積層された積層構造に形成されていてもよい。保護フィルムの膜厚は光学特性の観点から薄いものが好ましいが、薄すぎると強度が低下し加工性に劣るものとなる。適切な膜厚としては、5~100μmであり、好ましくは10~80μm、より好ましくは15~70μmである。
保護フィルムは、セルロースアシレート系フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなるフィルム、ノルボルネンなどシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム、(メタ)アクリル系重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂系フィルムなどのフィルムを用いることができる。偏光素子の両面に保護フィルムを有する構成の場合、PVA接着剤などの水系接着剤を用いて貼合する場合は透湿度の点で少なくとも片側の保護フィルムはセルロースアシレート系フィルムまたは(メタ)アクリル系重合体フィルムの何れかであることが好ましく、中でもセルロースアシレートフィルムが好ましい。
少なくとも一方の保護フィルムとしては、視野角補償などの目的で位相差機能を備えていても良く、その場合、フィルム自身が位相差機能を有していても良く、位相差層を別に有していても良く、両者の組み合わせであっても良い。
なお、位相差機能を備えるフィルムは接着剤を介して、直接偏光素子に貼合される構成について説明したが、偏光素子に貼合された別の保護フィルムを介して粘着剤または接着剤を介して貼合された構成であっても構わない。
[接着剤層]
偏光素子に保護フィルムを貼合するための接着剤層を構成する接着剤は、任意の適切な接着剤を用いることができる。接着剤は、水系接着剤、溶剤系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができるが、水系接着剤であることが好ましい。接着剤層は、耐熱性向上の観点から、好ましくは、尿素、尿素誘導体、チオ尿素及びチオ尿素誘導体から選ばれる少なくとも一種の尿素系化合物を含有する。
接着剤の塗布時の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。例えば、硬化後または加熱(乾燥)後に、所望の厚みを有する接着剤層が得られるように設定する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm以上7μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm以上2μm以下であり、最も好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
(水系接着剤)
水系接着剤としては、任意の適切な水系接着剤が採用され得る。中でも、PVA系樹脂を含む水系接着剤(PVA系接着剤)が好ましく用いられる。水系接着剤に含まれるPVA系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100~5500程度、さらに好ましくは1000~4500である。平均鹸化度は、接着性の点から、好ましくは85モル%~100モル%程度であり、さらに好ましくは90モル%~100モル%である。
上記水系接着剤に含まれるPVA系樹脂としては、アセトアセチル基を含有するものが好ましく、その理由は、PVA系樹脂層と保護フィルムとの密着性に優れ、耐久性に優れているからである。アセトアセチル基含有PVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。アセトアセチル基含有PVA系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1モル%~20モル%程度である。
上記水系接着剤の樹脂濃度は、好ましくは0.1質量%~15質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%である。
水系接着剤には架橋剤を含有させることもできる。架橋剤としては公知の架橋剤を用いることができる。例えば、水溶性エポキシ化合物、ジアルデヒド、イソシアネートなどが挙げられる。
PVA系樹脂がアセトアセチル基含有PVA系樹脂である場合は、架橋剤としてグリオキサール、グリオキシル酸塩、メチロールメラミンのうちの何れかであることが好ましく、グリオキサール、グリオキシル酸塩の何れかであることが好ましく、グリオキサールであることが特に好ましい。
水系接着剤は有機溶剤を含有することもできる。有機溶剤は、水と混和性を有する点でアルコール類が好ましく、アルコール類の中でもメタノールまたはエタノールであることがより好ましい。尿素系化合物の一部は水に対する溶解度が低い反面、アルコールに対する溶解度は十分なものがある。その場合は、尿素系化合物をアルコールに溶解し、尿素系化合物のアルコール溶液を調製した後、尿素系化合物のアルコール溶液をPVA水溶液に添加し、接着剤を調製することも好ましい態様の一つである。
水系接着剤のメタノールの濃度は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下である。メタノールの濃度が10質量%以上であることにより、高温環境下でのポリエン化をより抑制しやすくなる。また、メタノールの含有率が70質量%以下であることにより、色相の悪化を抑制することができる。
(活性エネルギー線硬化型接着剤)
活性エネルギー線硬化型接着剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含む接着剤、光反応性樹脂を含む接着剤、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含む接着剤等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマー、及びこれらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含む化合物を挙げることができる。
(尿素系化合物)
接着剤層が尿素系化合物を含む場合、尿素系化合物は、尿素、尿素誘導体、チオ尿素及びチオ尿素誘導体から選ばれる少なくとも1種である。接着剤層に尿素系化合物を含有させる方法としては、上記の接着剤に尿素系化合物を含有させることが好ましい。なお、接着剤から乾燥工程などを経て接着剤層を形成する過程で、尿素系化合物の一部が接着剤層から偏光素子などに移動していても構わない。すなわち、偏光素子は、尿素系化合物を含んでいてもよい。尿素系化合物には水溶性のものと難水溶性のものがあるが、どちらの尿素系化合物も本実施形態の接着剤では使用することができる。難水溶性尿素系化合物を水系接着剤に用いる場合は、接着剤層を形成後、ヘイズ上昇などが起きないように分散方法を工夫することが好ましい。
接着剤がPVA系樹脂を含有する水系接着剤の場合、尿素系化合物の添加量は、PVA樹脂100質量部に対し、0.1~400質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましく、3~100質量部であることが更に好ましい。
(尿素誘導体)
尿素誘導体は、尿素分子の4つの水素原子の少なくとも1つが、置換基に置換された化合物である。この場合、置換基に特に制限はないが、炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる置換基であることが好ましい。
尿素誘導体の具体例として、1置換尿素として、メチル尿素、エチル尿素、プロピル尿素、ブチル尿素、イソブチル尿素、N-オクタデシル尿素、2-ヒドロキシエチル尿素、ヒドロキシ尿素、アセチル尿素、アリル尿素、2-プロピニル尿素、シクロヘキシル尿素、フェニル尿素、3-ヒドロキシフェニル尿素、(4-メトキシフェニル)尿素、ベンジル尿素、ベンゾイル尿素、o-トリル尿素、p-トリル尿素が挙げられる。
2置換尿素として、1,1-ジメチル尿素、1,3-ジメチル尿素、1,1-ジエチル尿素、1,3-ジエチル尿素、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3-tert-ブチル尿素、1,3-ジシクロヘキシル尿素、1,3-ジフェニル尿素、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)尿素、1-アセチル-3-メチル尿素、2-イミダゾリジノン(エチレン尿素)、テトラヒドロ-2-ピリミジノン(プロピレン尿素)が挙げられる。
4置換尿素として、テトラメチル尿素、1,1,3,3-テトラエチル尿素、1,1,3,3-テトラブチル尿素、1,3-ジメトキシ-1,3-ジメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノンが挙げられる。
(チオ尿素誘導体)
チオ尿素誘導体は、チオ尿素分子の4つの水素原子の少なくとも1つが、置換基に置換された化合物である。この場合、置換基に特に制限はないが、炭素原子、水素原子および酸素原子よりなる置換基であることが好ましい。
チオ尿素誘導体の具体例として、1置換チオ尿素として、N-メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、プロピルチオ尿素、イソプロピルチオ尿素、1-ブチルチオ尿素、シクロヘキシルチオ尿素、N-アセチルチオ尿素、N-アリルチオ尿素、(2-メトキシエチル)チオ尿素、N-フェニルチオ尿素、(4-メトキシフェニル)チオ尿素、N-(2-メトキシフェニル)チオ尿素、N-(1-ナフチル)チオ尿素、(2-ピリジル)チオ尿素、o-トリルチオ尿素、p-トリルチオ尿素が挙げられる。
2置換チオ尿素として、1,1-ジメチルチオ尿素、1,3-ジメチルチオ尿素、1,1-ジエチルチオ尿素、1,3-ジエチルチオ尿素、1,3-ジブチルチオ尿素、1,3-ジイソプロピルチオ尿素、1,3-ジシクロヘキシルチオ尿素、N,N-ジフェニルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、1,3-ジ(o-トリル)チオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1-ベンジル-3-フェニルチオ尿素、1-メチル-3-フェニルチオ尿素、N-アリル-N’-(2-ヒドロキシエチル)チオ尿素、エチレンチオ尿素が挙げられる。
3置換チオ尿素として、トリメチルチオ尿素が挙げられ、4置換チオ尿素として、テトラメチルチオ尿素、1,1,3,3-テトラエチルチオ尿素が挙げられる。
尿素系化合物の中では、層間充填構成の画像表示装置に用いた時に、高温環境下での透過率の低下をより抑制することができる点で、尿素誘導体またはチオ尿素誘導体が好ましく、尿素誘導体がより好ましい。尿素誘導体の中でも、1置換尿素または2置換尿素であることが好ましく、1置換尿素であることがより好ましい。2置換尿素には1,1-置換尿素と1,3-置換尿素があるが、1,3-置換尿素がより好ましい。
[その他の層]
偏光板は、その他の層として、例えば光学機能層、粘着剤層及びプロテクトフィルム等をさらに有することができる。
[光学機能層]
光学機能層は例えば位相差層であることができる。位相差層としては、例えばλ/2の位相差を与える層、λ/4の位相差を与える層(ポジティブAプレート)及びポジティブCプレート等が挙げられる。光学機能層は、配向層及び基材を含んでいてよいし、液晶層、配向層及び基材をそれぞれ2以上有していてもよい。偏光板が偏光素子とλ/4の位相差を与えるフィルムとを有する場合、偏光板は円偏光板であることができる。
透明保護フィルムが位相差層を兼ねることもできるが、これらのフィルムとは別途に位相差層を積層することもできる。後者の場合、位相差層は、粘着剤層や接着剤層を介して偏光板に積層することができる。
位相差層としては、透光性を有する熱可塑性樹脂の延伸フィルムから構成される複屈折性フィルム、基材フィルム上に形成された上記の液晶層等が挙げられる。
基材フィルムは通常、熱可塑性樹脂からなるフィルムであり、熱可塑性樹脂の一例は、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂である。
他の光学機能層の例は、集光板、輝度向上フィルム、反射層(反射フィルム)、半透過反射層(半透過反射フィルム)、光拡散層(光拡散フィルム)、反射防止フィルム等である。
[粘着剤層]
粘着剤層は、偏光板を、画像表示素子及び光学部材等に貼合する機能を有することができる。粘着剤層は、偏光板のいずれか一方の最外面に配置されることができる。以下、粘着剤層を備える偏光板を粘着剤層付き偏光板ともいう。
偏光板への粘着剤層の付設は、適宜な方式で行い得る。その例としては、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物または混合物からなる溶剤にベースポリマーまたはその組成物を溶解あるいは分散させた10~40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上に直接付設する方式、あるいはセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを偏光板に移着する方式などが挙げられる。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸化合物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル化合物、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート化合物、グリシジル(メタ)アクリレート化合物等の、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する金属イオン、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリアミン化合物、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するポリエポキシ化合物又はポリオール、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物が例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。必要に応じて、光重合開始剤、光増感剤等を含有させてもよい。
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
粘着剤層は、上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を基材フィルム又は偏光板の表面上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。基材フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムであることが一般的であり、その典型的な例として、離型処理が施されたセパレートフィルムを挙げることができる。セパレートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアレート等の樹脂からなるフィルムの粘着剤層が形成される面に、シリコーン処理等の離型処理が施されたものであることができる。
例えば、セパレートフィルムの離型処理面に粘着剤組成物を直接塗布して粘着剤層を形成して粘着剤層とし、このセパレートフィルム付粘着剤層を偏光板の表面に積層してもよい。偏光板の表面に粘着剤組成物を直接塗布して粘着剤層を形成し、粘着剤層の外面にセパレートフィルムを積層してもよい。
粘着剤層を偏光板の表面に設ける際には、偏光板の貼合面及び/又は粘着剤層の貼合面に表面活性化処理、例えばプラズマ処理、コロナ処理等を施すことが好ましく、コロナ処理を施すことがより好ましい。
また、第2セパレートフィルム上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、形成された粘着剤層上にセパレートフィルムを積層した粘着剤シートを準備し、この粘着剤シートから第2セパレートフィルムを剥離した後のセパレートフィルム付粘着剤層を偏光板に積層してもよい。第2セパレートフィルムは、セパレートフィルムよりも粘着剤層との密着力が弱く、剥離し易いものが用いられる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下であることがより好ましく、20μm以上であってもよい。
[プロテクトフィルム]
偏光板は、その表面(典型的には、偏光板の保護フィルムの表面)を保護するためのプロテクトフィルムを含むことができる。プロテクトフィルムは、例えば画像表示素子や他の光学部材に偏光板が貼合された後、それが有する粘着剤層ごと剥離除去される。
プロテクトフィルムは、例えば基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とで構成される。粘着剤層については上述の記述が引用される。
基材フィルムを構成する樹脂は、例えば、ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;の熱可塑性樹脂であることができる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂である。
プロテクトフィルムの厚みとしては、特に限定されないが、20μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。基材の厚さが20μm以上であると、偏光板に強度が付与され易くなる傾向にある。
[偏光板の製造方法]
本実施形態の偏光板の製造方法は、偏光素子と透明保護フィルムとを積層して積層フィルムを得る積層工程と、積層フィルムを切削加工する切削加工工程と、を有する。切削加工工程は、偏光素子と透明保護フィルムとを積層した積層フィルムの主面に対して垂直な方向から見て渦巻き状に切削工具を相対移動させる操作を行うことにより、積層フィルムを切削する第1切削工程を含む。
[積層工程]
積層工程は、偏光素子と透明保護フィルムとを上記接着剤層を介して貼合する工程とすることができる。
[切削加工工程]
切削加工工程に用いる切削工具は、積層フィルムを切削加工できるものであれば特に限定されないが、例えば回転可能な柄と外周刃とを有し、外周刃は柄と一体となっている切削工具が挙げられる。回転可能な柄と外周刃と底刃とを有し、外周刃と底刃はそれぞれ柄と一体となっている切削工具を用いてもよい。外周刃と底刃とが一体となっていてもよい。このような切削工具としては、エンドミル等が挙げられる。
切削工具の外周刃及び底刃の数は、特に限定されないが、例えば1枚以上6枚以下であり、2枚、3枚又は4枚であってもよい。刃数が少ないと削りくずを排出しやすい傾向にあるが、切削工具の剛性は低下しやすい。
切削工具の外周刃及び底刃のすくい角は、通常0°以上20°未満であり、3°以上15°未満であってもよい。すくい角が大きすぎると刃が欠けやすくなる傾向にある。
切削工具の外周刃及び底刃の逃げ角は、例えば0°より大きく20°未満であり、3°以上15°以下としてもよい。逃げ角が0°であると積層フィルムと刃とが擦れてしまい、逃げ角が大きすぎると刃が欠けやすくなる傾向にある。
外周刃は柄に沿ってねじれていてもよい。切削工具の外周刃のねじれ角は-75°以上75°以下であってもよく、-65°以上65°以下としてもよい。ねじれ角が大きすぎると削りくずの排出しにくい傾向にある。
切削工具の外周刃は切削工具の回転部分の最大径を構成することが好ましい。切削工具の外周刃の直径(柄に直交する方向の最大径)は、例えば1.0mm以上10mm以下であり、好ましくは1.5mm以上8mm以下である。直径が小さすぎるとエンドミルが折れ易い傾向にあり、大きすぎると細かな切削加工が難しくなってしまう。
切削工具の送り速度は、通常50mm/分以上30000mm/分以下であり、100mm/分以上であってもよく、好ましくは200mm/分以上20000mm/分以下である。
また、エンドミルの外周刃及び底刃の回転速度は5000rpm以上100000rpm以下であってもよく、10000rpm以上80000rpm以下であってもよく、30000rpm以上60000rpm以下であってもよい。回転速度が遅くなると積層フィルムの層間剥離が生じやすくなる傾向があり、回転速度が速すぎると発熱して積層フィルムにダメージを与える可能性がある。
[第1切削工程]
第1切削工程では、例えば図4の(A)に示すように、積層フィルムの主面に対して垂直な方向から見て渦巻き状に切削工具を相対移動させる操作を行うことにより、積層フィルムを切削する。
渦巻きとは、外側に遠ざかりながら旋回する曲線を指す。渦巻きには、例えば渦の間隔、すなわち渦巻きのピッチが等間隔である渦巻き(アルキメデスの螺旋等)、渦巻きのピッチが外側にいくほど広くなる渦巻き(対数螺旋等)、渦巻きのピッチが外側にいくほど狭くなる渦巻き(放物螺旋等)等が挙げられる。渦巻きのピッチが等間隔である渦巻きは、一周以下の一定の間隔(例えば半周、1/4周等)ごとに半径が大きくなる渦巻きであってもよい。渦巻きの一周のうち一部では、渦巻きのピッチがゼロ、すなわちすでに切削された部分から新たに切削されない部分があってもよい。渦巻き状に切削工具を相対移動させる操作とは、すでに切削された切削部分の少なくとも一部において、渦巻きのピッチ幅分だけ外側を切削工具が相対移動するようにする操作である。これにより、すでに切削された切削部分の少なくとも一部において、渦巻きのピッチ幅分だけ外側の積層フィルムが切削される。
第1切削工程における渦巻きは、1周以上であればよく、好ましくは積層フィルムの切削を行うときの少なくとも最外周が渦巻き状の相対移動により切削されている。
積層フィルムの主面に対して垂直な方向から見て渦巻き状に切削工具を相対移動させる操作を行って積層フィルムを切削すると、直線と円運動の組み合わせによる相対移動により切削した場合(図4の(B)等)に比べて、積層フィルムの層間剥離を抑制することができる。更に、渦巻き状に相対移動させて切削を行うと、目的の大きさの切削部分を形成するまでにかかる時間を短くすることができる。
第1切削工程により形成される切削部分の形状は、曲線部及び直線部を有している。例えば、積層フィルムを図1(a)に示す形状に切削する場合、例えば渦巻きのピッチを1周のうちに変化させながら曲線部と直線部とを連続的に形成するように切削工具を相対移動させて、中心からの半径を増大させながら渦巻き状に切削工具を相対移動させることにより行うことができる。図2において偏光素子の透過軸に略平行な直線部である直線部2a、2cを形成するときの切削工具の相対移動する方向は、偏光素子の透過軸に略平行とすることができる。
第1切削工程において、好ましくは切削工具の外周刃が積層フィルムに接することにより積層フィルムが切削される。切削工具が回転可能な柄を有する場合、該回転可能な柄は、積層フィルムの主面に対して垂直であってもよいし、傾いていてもよいが、好ましく積層フィルムの主面に対して垂直な状態で切削工具を相対移動させる操作を行う。これにより、切削された面は、積層フィルムの主面に対して垂直となる。
第1切削工程において、切削工具を相対移動させる操作は、通常、積層フィルムの主面に対して平行な方向に行う。該操作は、更に積層フィルムの主面に対して垂直な移動を伴っていてもよい。積層フィルムの主面に対して垂直な移動を伴う場合、例えば切削工具をらせん状に相対移動する操作が挙げられる。切削工具をらせん状に相対移動させて行う切削は、後述する貫通孔の形成を兼ねていてもよい。
第1切削工程において、渦巻きのピッチは、例えば0.01mm以上0.5mm以下であり、好ましくは0.02mm以上0.3mm以下であり、より好ましくは0.03mm以上0.2mm以下である。渦巻きのピッチが上述の範囲内である場合、過度に時間を要することなく積層フィルムを目的の大きさに切削することができる。なお、渦巻きのピッチが大きすぎると切削された積層フィルムに欠陥が生じやすくなる傾向がある。
第1切削工程において、積層フィルムは、一枚ずつ切削を行ってもよいし、積層フィルムを複数枚重ねた積層体とし、切削を行ってもよい。第1切削工程において、積層フィルムを複数枚重ねて切削する場合、積層体の主面に対して垂直な方向から見て渦巻き状に切削工具を相対移動させる操作を行うことにより、積層体を構成する各積層フィルムを切削できる。積層体を構成する積層フィルムの枚数は、例えば10枚以上500枚以下であってよい。積層体の厚みは、積層フィルムの積層方向において、例えば1mm以上50mm以下であってよい。
[貫通孔形成工程]
本発明の製造方法は、積層フィルムの主面に対して垂直な方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程を更に含むことが好ましい。貫通孔形成工程及び下記の配置工程は、通常、第1切削工程の前に行う。貫通孔の大きさは、切削工具を貫通孔内に配置できるように、切削工具の柄に直交する最大径と同等又はそれより大きい。
貫通孔は、好ましくは切削工具を、積層フィルムの主面に対して垂直な方向に相対移動させることにより、形成される。例えば切削工具が回転可能な柄とそれに一体となった底刃を有する場合、切削工具を積層フィルムの主面に向かって垂直な方向に相対移動させることで、積層フィルムを底刃によって切削し、切削工具の柄に直交する最大径と同じ直径の貫通孔を形成することができる。貫通孔形成工程において、積層フィルムの主面に対して平行な方向に切削工具を相対移動させる操作を、積層フィルムの主面に垂直な方向への相対移動と同時に又は独立に行ってもよい。この操作により、切削工具の柄に直交する最大径よりも大きい貫通孔を形成することができる。積層フィルムの主面に対して平行な方向に相対移動させる操作としては、積層フィルムの主面に垂直な方向から見て切削工具が円運動する操作、直線運動する操作等が挙げられる。
積層フィルムを複数枚重ねて積層体とし、貫通孔形成工程を行ってもよい。貫通孔形成工程において、切削工具を積層体の主面に対して垂直な方向に相対移動させることにより、積層体を構成する各積層フィルムに貫通孔を形成できる。積層フィルムを積層体として貫通孔形成工程を行う場合、貫通孔を形成した該積層体に対してその後の配置工程及び第1切削工程を行うことができる。
貫通孔は、打ち抜き法、レーザー法等の公知の方法によって形成することもできる。上記方法によって形成された貫通孔は、切削工具の柄に直交する最大径よりも大きいことが好ましい。
[配置工程]
本発明の製造方法は、貫通孔を貫通するように切削工具を配置する配置工程を更に含むことが好ましい。貫通孔を貫通し、切削工具の外周刃が貫通孔の内側に接するように配置してもよい。具体的には、貫通孔を形成後に、貫通孔を貫通するように切削工具を配置すればよい。
切削工具により貫通孔を形成した場合は、積層フィルムの主面に対して垂直な方向に相対移動させた切削工具を抜かないことで、貫通孔を貫通するように切削工具を配置することができる。積層フィルムの主面に対して垂直な方向に切削工具を相対移動させて貫通孔を形成した後、貫通孔から垂直方向に切削工具を引き抜いて研磨クズを除き、再び貫通孔に切削工具を配置してもよい。
積層フィルムを複数枚重ねて積層体とし、配置工程を行ってもよい。このとき、積層体を構成する各積層フィルムに形成された貫通孔を貫通するように切削工具を配置する。積層体に対して配置工程を行う場合、そのまま該積層体に対して第1切削工程を行うことができる。
[研磨工程]
本発明の製造方法は、第1切削工程又は下記第2切削工程により形成された切削部分を研磨する研磨工程を更に含むことが好ましい。
積層フィルムを複数枚重ねて積層体とし、研磨工程を行ってもよい。研磨工程において、積層体を研磨することにより、積層体を構成する各積層フィルムの切削部分を研磨できる。積層体に対して第1切削工程又は第2切削工程を行った後、そのまま該積層体を研磨できる。
研磨する方法は、切削された面を滑らかにできる方法であれば特に限定されないが、研磨紙(紙やすり)、研磨布、微粒子研磨剤、砥石等で擦る研磨方法、電気研磨方法、溶剤を用いた化学研磨方法等が挙げられる。第1切削工程で用いたエンドミル等の切削工具を用いて、送り速度を落としたり、研磨量を少なくしたり、またはその両方によって、切削面を研磨してもよい。また、研磨によって、それまでの工程でついた汚れ、ほこり等を落とすこともできる。
[第2切削工程]
本発明の製造方法は、第1切削工程により得られた積層フィルムにおいて、積層フィルムの主面に対して平行な方向に切削工具を相対移動させて更に切削を行う第2切削工程を更に含んでもよい。
積層フィルムを複数枚重ねて積層体とし、第2切削工程を行ってもよい。第2切削工程において、積層体の主面に対して平行な方向に切削工具を相対移動させる操作を行うことにより、積層体を構成する各積層フィルムは更に切削される。積層体に対して第1切削工程を行い、そのまま該積層体に対して第2切削工程を行ってもよい。
第1切削工程により形成された切削部分から、さらに継続して第2切削工程を行うことにより、目的の形状に切削された偏光板を得ることができる。
<画像表示装置>
本実施形態の偏光板は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の各種画像表示装置に用いられる。画像表示装置としては、画像表示セルと、画像表示セルの視認側表面に積層された第1粘着剤層と、第1粘着剤層の視認側表面に積層された偏光板とを有する構成が例示される。かかる画像表示装置は、偏光板の視認側表面に積層された第2粘着剤層と、第2粘着剤層の表面に積層された透明部材とをさらに有してもよい。特に、本実施形態の偏光板は、画像表示装置の視認側に透明部材が配置され、偏光板と画像表示セルとが第1粘着剤層により貼り合わされ、偏光板と透明部材とが第2粘着剤層により貼り合わせられた層間充填構成を有する画像表示装置に好適に用いられる。本明細書においては、第1粘着剤層及び第2粘着剤層のいずれか一方又は両者を、単に「粘着剤層」と称する場合がある。なお、偏光板と画像表示セルとの貼り合わせに用いられる部材、及び偏光板と透明部材との貼り合わせに用いられる部材としては、粘着剤層に限定されることはなく接着剤層であってもよい。
[画像表示セル]
画像表示セルとしては、液晶セルや有機ELセルが挙げられる。液晶セルとしては、外光を利用する反射型液晶セル、バックライト等の光源からの光を利用する透過型液晶セル、外部からの光と光源からの光の両者を利用する半透過半反射型液晶セルのいずれを用いてもよい。液晶セルが光源からの光を利用するものである場合、画像表示装置(液晶表示装置)は、画像表示セル(液晶セル)の視認側と反対側にも偏光板が配置され、さらに光源が配置される。光源側の偏光板と液晶セルとは、適宜の粘着剤層を介して貼り合せられていることが好ましい。液晶セルの駆動方式としては、例えばVAモード、IPSモード、TNモード、STNモードやベンド配向(π型)等の任意なタイプのものを用いうる。
有機ELセルとしては、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成したもの等が好適に用いられる。有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、これらの発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体、あるいは正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の層構成が採用され得る。
[画像表示セルと偏光板の貼り合せ]
画像表示セルと偏光板との貼り合せには、粘着剤層(粘着シート)が好適に用いられる。中でも、上述の粘着剤層付き偏光板を画像表示セルと貼り合わせる方法が、作業性等の観点から好ましい。上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を画像表示セル上に塗布して粘着剤層を形成し、偏光板と貼合することもできる。
[透明部材]
画像表示装置の視認側に配置される透明部材としては、前面板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面板としては、適宜の機械強度および厚みを有する前面板が用いられる。このような前面板としては、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が挙げられる。前面板の視認側には反射防止層などの機能層が積層されていても構わない。また、前面板が透明樹脂板の場合は、物理強度を上げるためにハードコート層や、透湿度を下げるために低透湿層が積層されていても構わない。
タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等の各種タッチパネルや、タッチセンサー機能を備えるガラス板や透明樹脂板等が用いられる。透明部材として静電容量方式のタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルよりもさらに視認側に、ガラスや透明樹脂板からなる前面板が設けられることが好ましい。
[偏光板と透明部材との貼り合せ]
偏光板と透明部材との貼り合せには、粘着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好適に用いられる。粘着剤が用いられる場合、粘着剤の付設は適宜な方式で行い得る。具体的な付設方法としては、例えば、前述の画像表示セルと偏光板の貼り合せで用いた粘着剤層の付設方法が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、硬化前の接着剤溶液の広がりを防止する目的で、画像表示パネル上の周縁部を囲むようにダム材が設けられ、ダム材上に透明部材を載置して、接着剤溶液を注入する方法が好適に用いられる。接着剤溶液の注入後は、必要に応じて位置合わせおよび脱泡が行われた後、活性エネルギー線が照射されて硬化が行われる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に限定され制限されるものではない。
(1)偏光素子の厚さの測定:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター“MH-15M”を用いて測定した。
(2)ホウ素含有率の測定:
偏光素子0.2gを1.9質量%のマンニトール水溶液200gに溶解させた。次いで、得られた水溶液を1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、中和に要した水酸化ナトリウム水溶液の量と検量線との比較により、偏光素子のホウ素含有率を算出した。
(3)PVA系樹脂フィルムのホウ素吸着率の測定:
100mm四方に裁断したPVA系樹脂フィルムを、30℃の純水に60秒間浸漬し、その後、ホウ酸5部を含む60℃の水溶液に120秒浸漬させた。ホウ酸水溶液から取り出したPVA系樹脂フィルムを80℃オーブンで11分間乾燥した。23℃55%%RH
の環境で24時間調湿し、ホウ素含有PVAフィルムを得た。こうして得られたホウ素含有PVA系樹脂フィルム0.2gを、1.9質量%のマンニトール水溶液200gに溶解させた。次いで、得られた水溶液を1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、中和に要した水酸化ナトリウム水溶液の量と検量線との比較により、PVA系樹脂フィルムのホウ素含有率を算出した。こうして得られたPVA系樹脂フィルムのホウ素含有率を、PVA系樹脂フィルムのホウ素吸着率として用いた。
(4)偏光板の視感度補正単体透過率、視感度補正偏光度及び色相の測定:
積分球付き分光光度計〔日本分光株式会社製の「V7100」、2度視野;C光源〕を用いて測定した。
(偏光素子1の作製)
ホウ素吸着率が5.71質量%である厚さ30μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、21.5℃の純水に79秒浸漬した後(膨潤処理)、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2/2/100であり、ヨウ素を1.0mM含む水溶液に23℃で151秒浸漬した(染色工程)。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2.5/4/100の水溶液に62.8℃で76秒浸漬した(第1架橋工程)。引き続き、ヨウ化カリウム/ホウ酸/塩化亜鉛/水の質量比が3/5.5/0.6/100の水溶液に45℃で11秒浸漬した(第2架橋工程、金属イオン処理工程)。その後、洗浄浴に浸漬させて洗浄し(洗浄工程)、38℃で乾燥して(乾燥工程)、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚み12μmの偏光素子を得た。延伸は、主に、染色工程および第1架橋工程の工程で行い、トータル延伸倍率は5.85倍であった。得られた偏光素子の亜鉛イオン含有率は0.07質量%、ホウ素含有率は4.48質量%であった。
(偏光素子2の作製)
ホウ素吸着率が5.71質量%である厚さ30μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、21.5℃の純水に79秒浸漬した後(膨潤処理)、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2/2/100であり、ヨウ素を1.0mM含む水溶液に23℃で151秒浸漬した(染色工程)。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が2.5/4/100の水溶液に62.8℃で76秒浸漬した(第1架橋工程)。引き続き、ヨウ化カリウム/ホウ酸/塩化亜鉛/水の質量比が3/3.5/0.6/100の水溶液に45℃で11秒浸漬した(第2架橋工程、金属イオン処理工程)。その後、洗浄浴に浸漬させて洗浄し(洗浄工程)、38℃で乾燥して(乾燥工程)、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚み12μmの偏光素子を得た。延伸は、主に、染色工程および第1架橋工程の工程で行い、トータル延伸倍率は5.85倍であった。得られた偏光素子の亜鉛イオン含有率は0.14質量%、ホウ素含有率は3.91質量%であった。
(接着剤用PVA溶液の調製)
アセトアセチル基を含有する変性PVA系樹脂(三菱ケミカル(株)製:ゴーセネックスZ-410)50gを950gの純水に溶解し、90℃で2時間加熱後常温に冷却し、接着剤用PVA溶液を得た。
(偏光板用接着剤1の調製)
準備した接着剤用PVA溶液、純水、メタノールを、PVA濃度3.0%、メタノール濃度35%、尿素濃度0.5%になるように配合し、偏光板用接着剤1を得た。
(セルロースアシレートフィルムの鹸化)
市販のセルロースアシレートフィルムTJ40UL(富士フイルム(株)製:膜厚40μm)を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗した。その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
(積層フィルム1の作製)
偏光素子1の両面に、上記で作製した鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを、偏光板用接着剤1を介し、乾燥後の接着剤層の厚みが両面共、100nmになるように調整し、ロール貼合機を用いて貼合した後に80℃で3分間乾燥し、両面セルロースアシレートフィルム付き偏光板1を得た。こうして作製した偏光板1の片面に表面保護フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に粘着剤層を形成した剥離可能なフィルム:厚み57μm)を貼合した。
次いで、剥離フィルム(離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム:厚み38μm)上にアクリル系粘着剤(製造元:リンテック(株))を塗工し、粘着剤層を形成した。上記で作製した偏光板1の表面保護フィルムを貼合した面とは反対の面に、粘着剤層を積層し、両面に剥離可能な保護フィルムを備えた積層フィルム1を作製した。
積層フィルム1の偏光素子1を偏光素子2に変更した以外は同様に両面に剥離可能な保護フィルムを備えた積層フィルム2を作製した。
(実施例1)
積層フィルム1を296.2mm×114mmの矩形サイズ[対角の長さ:約317.4mm(約12.5インチ)]に長辺方向が偏光素子の吸収軸と平行になるように切り出した。
切り出した積層フィルム1を30枚積層し、積層体を形成した。切削には、直径が2mm、刃数2枚であるエンドミルを用いた。まず、積層体の面に対して垂直な方向にエンドミルを動かし、エンドミルの底刃で貫通孔を形成し、貫通孔を貫通するようにエンドミルを配置した。その後、積層フィルムの切削を行い、直線部が0.5mm、4隅の曲率半径が1mmとなる穴部を形成した。穴部の形状は、4つの長さ0.5mmの直線部と4つの曲率半径1mmの曲線部とから構成され、4つの直線部のうち1対の向かい合う直線部は、偏光素子の透過軸に平行であり、他の1対の向かい合う直線部は偏光素子の吸収軸に平行であった。この際、エンドミルの回転可能な柄が積層フィルムの主面に対して垂直となるように、また、エンドミルを積層フィルムの主面に対して平行な方向に相対移動させる操作を行いながら、切削を行った。エンドミルの送り速度は15000mm/分、回転速度は30000rpmであった。穴の中心位置は、長辺端部から47.96mm、短辺端部から56.92mmの位置に形成した。
(実施例2~4、比較例1~11)
積層フィルムの種類、および穴部の形状を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして穴あけ加工(切削加工)を行った。なお比較例1~3及び8~10は、穴部の形状が直線部を有しない円形であり、その円形の曲率半径を表1における穴部4隅の曲率半径の欄に示す。結果を表1に示す。
(ヒートショック試験)
穴あけ加工を行った偏光板を、粘着剤層を介して無アルカリガラス板に貼着した。その後、偏光板に対して、低温-40℃での30分間の保持と、高温85℃での30分間の保持とを1サイクルとする、300サイクルのヒートショック試験を行った。試験後に偏光板を取り出し、顕微鏡で穴部周囲のクラックの大きさを測定した。表中、クラックのサイズが0.0mmとなっているものは、試験後にクラックが観察されなかったことを意味する。
(積層フィルム3の作製)
積層フィルム1の表面保護フィルムを剥離した。剥離フィルム(離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム:厚み38μm)上にアクリル系粘着剤(製造元:リンテック(株))を塗工し、粘着剤層を形成した。表面保護フィルムを剥離して露出した面に、粘着剤層を貼り合わせ、積層フィルム3を作製した。
(積層フィルム4の作製)
積層フィルム3の偏光素子1を偏光素子2に変更した以外は同様にして、積層フィルム4を作製した。
(高温耐久試験(105℃))
上記で作製した積層フィルム3及び4をそれぞれ、40mm×40mmの大きさに裁断した。両面の剥離フィルムを剥がし、粘着剤層それぞれの表面を無アルカリガラス〔商品名“EAGLE XG”、コーニング社製〕に貼合することによって、評価サンプルを作製した。なお、これらのサンプルを作製する時、ガラス板貼合前に偏光素子の含水率を調整するために、温度20℃相対湿度40%の環境下で光学積層体を72時間保管した。すべてのサンプルで、保管66時間、69時間、72時間経過時の質量を測定し、変化がないことから、偏光素子を含む各層について、温度20℃相対湿度40%の平衡含水率に達しているとみなした。
この評価サンプルに、温度50℃、圧力5kgf/cm(490.3kPa)で1時間オートクレーブ処理を施した後、温度23℃相対湿度55%の環境下で24時間放置した。偏光板の視感度補正偏光度、視感度補正単体透過率、色相の初期値を測定した後、温度115℃の高温環境下に48時間保管した。保管後の偏光板の視感度補正偏光度、視感度補正単体透過率、色相を測定し、それぞれについて初期値からの変化量を算出した。
積層フィルム3の視感度補正単体透過率の変化量は-1.3%であり、視感度補正偏光度の変化量は-0.18%であり、色相の変化量は6.4NBSであった。
積層フィルム4の視感度補正単体透過率の変化量は-6.8%であり、視感度補正偏光度の変化量は-0.50%であり、色相の変化量は15.4NBSであった。
Figure 0007570957000001
表1に示されるとおり、実施例1~4において得られた偏光板は、高温耐久性が高い偏光素子1を用いたにもかかわらず、熱衝撃試験では穴部にクラックが生じなかった。一方、比較例1~3において得られた偏光板は、用いた偏光素子2は高温耐久性が低く、熱衝撃試験では穴部においてクラックの発生が認められた。比較例4~7において得られた偏光板は、熱衝撃試験において穴部にクラックは生じなかったものの、用いた偏光素子2は高温耐久性が低いものであった。さらに、比較例8~11において得られた偏光板は、高温耐久性が高い偏光素子1を用いたものの、熱衝撃試験において穴部にクラックの発生が認められた。本発明によれば、高温耐久性が高い偏光素子を用いた場合でも、熱衝撃試験において穴部にクラックが生じない偏光板が得られることが理解される。
1 偏光板、2 穴部、 2a,2b,2c,2d 直線部、10 偏光板、11 偏光素子、12 透明保護フィルム、f1,f2,f3,f4 直線

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させてなる偏光素子と、
    透明保護フィルムと、
    を接着剤層を介して貼合する工程
    を含む偏光板の製造方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂層、ホウ素吸着率が5.70質量%以上であるポリビニルアルコール樹脂から形成し
    前記偏光素子は、ホウ素の含有率が4.0質量%以上8.0質量%以下であり、
    前記偏光板は、平面視における面内に、少なくとも1つの穴部を有し、
    前記穴部の形状が下記の条件(1a)及び(1b)の両方を満たす、偏光板の製造方法
    (1a)前記穴部の形状は、前記偏光素子の透過軸に略平行な直線部を2つ有し、前記偏光素子の透過軸に略平行な直線部の長さは10mm以下である。
    (1b)前記穴部の形状は曲線部を少なくとも2つ有し、前記曲線部の曲率半径は0.5mm以上11mm未満である。
  2. 前記穴部の形状が下記の条件(1c)をさらに満たす、請求項1に記載の偏光板の製造方法
    (1c)前記偏光素子の吸収軸に略平行な直線部をさらに2つ有する。
  3. 前記偏光板の平面視における形状は方形状であり、対角の長さが6インチ以上である、請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法
  4. 偏光板を備える画像表示装置の製造方法であって、
    前記偏光板を、請求項1~3のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法により製造する、画像表示装置の製造方法
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