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JP7572940B2 - 造膜型塩分低減剤 - Google Patents
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JP7572940B2 - 造膜型塩分低減剤 - Google Patents

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Description

本発明は、造膜成分としての少なくとも1種の樹脂を含む造膜型塩分低減剤に関する。本発明はまた、該造膜型塩分低減剤を用いて鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減するための方法に関する。この方法は、特に、鋼構造物が、鋼構造物の塗替え塗装工事において素地調整がされた後のものである場合に用いることができる。
鋼橋梁などの鋼構造物は、国家・社会のインフラストラクチャーである。鋼構造物は環境から素地を保護するための塗膜を有するが、天候の影響を受ける野外環境下において塗膜は経時的に劣化するため、一般に、5年~50年に1度程度の定期的な塗替えが必要である。鋼構造物の塗替え塗装工事においては、素地調整によって古い塗膜の除去や鋼構造物表面に付着している物質(錆、塩分など)の除去を行なった後に、新たな塗膜を形成している。
素地調整を一般に「ケレン」と称する。ケレンにはいくつかの種類(1種ケレン~4種ケレン)があり、これらの中では、1種ケレンが最も徹底的な素地調整(すなわち程度が最も高い素地調整)である(各種ケレンの定義については、(公社)日本道路協会「鋼道路橋防食便覧 平成26年3月」を参照できる)。1種ケレンは、通例、ブラスト法で行なう。1種ケレンによる素地調整を行なうと、古い塗膜の全部及び鋼構造物表面に付着している錆の全部が除去される。しかし、付着した塩分の存在は目視では確認できないことが多いため、1種ケレンによる素地調整を行なっても、鋼構造物の表面に大量の塩分が残存付着していることがある。たとえば、鋼構造物が海洋沿岸部や寒冷地に位置している場合には、海洋から飛来した塩分(主成分は塩化ナトリウム)や寒冷地で散布する融雪剤に由来する塩分(塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)が鋼構造物に付着するため、1種ケレンによる素地調整を行なっても鋼構造物の表面に大量の塩分が依然として付着していることがしばしばある。大量の塩分を除去しないで放置しておくと、鋼構造物だけでなく、新たに形成される塗膜にも悪影響を及ぼす。そこで、鋼構造物の表面に付着している塩分を除去して塩分の量を一定の値以下になるまで低減し、その上で新たな塗装を施す必要がある。上記「鋼道路橋防食便覧」等では、新塗装の前に塩化ナトリウムの量を50mg/m以下になるまで低減しておくことが推奨されている。なお、本明細書において「塩分」とは、塩化物イオンを含む化合物を意味する。塩分の例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムを挙げることができる。
鋼構造物の表面に残存付着している塩分の除去は、従来、高圧水洗法または動力工具法によって行なわれている。
高圧水洗法は、鋼構造物の表面に高圧の大量の水をかけることによって塩分を除去する方法である。この方法では、大量の水を必要とするという問題がある上、大量の廃水が発生し、廃水の処理を必要とするため、費用上及び環境上の問題もある。この方法ではさらに、実施できる季節が水が凍結しない季節に限定されることもあるという問題を抱えている。
動力工具法は、動力工具を用いて塩分を除去する方法である。この方法では、専用の工具を必要とするという問題がある上に、労力の負担が大きいという問題もある。この方法ではまた、動力工具の使用によって発生する騒音・粉塵や、使用済の動力工具などの産業廃棄物への対処のための環境負荷が大きいという問題もある。この方法ではさらに、動力工具の使用により、鋼構造物表面部分を損傷したり、その損傷によって鋼構造物表面の塩分が鋼構造物の内部に浸透したりする恐れがある。
さらに、鋼構造物が橋梁である場合には特に、その支持部以外は高い空間に配置されていることが多く、高圧水洗法または動力工具法のどちらであっても、塩分除去作業を実施することが困難である場合が多い。
このような状況で、従来の技術に代わる簡便で環境負荷のない技術が求められている。
日本国特開2002-045811号公報(特許文献1)では、建造物または家具の表面に付着した汚染物質を除去するための方法を開示している。この文献では、ポリビニルアルコール樹脂の水溶液を建造物または家具の表面に塗布して乾燥させ、形成された皮膜を汚染物質とともに剥離除去することにより、建造物または家具の表面に付着した汚染物質を除去する。この文献では、建造物としては住宅を想定しており、除去すべき汚染物質としては住宅における汚染物質を想定しているのであって、橋梁のような鋼構造物の表面に残存付着している塩分を除去することは想定していない。なお、この文献においては、形成された皮膜を剥離除去するまでの間に、皮膜を建造物または家具の表面の保護膜として機能させることを好ましい態様としている。
日本国特開2007-283237号公報(特許文献2)では、鋼構造物の塗替え塗装工事において素地調整を行なうことにより鋼構造物の素地露出面積を60%以上とした後の鋼構造物の表面に残存付着している塩分を除去するための方法を開示している。この方法では、炭酸ナトリウム水溶液を鋼構造物の表面に塗布し、塩化物イオンを炭酸イオンにイオン交換して塩分を鋼構造物の表面から離脱させ、乾燥により炭酸ナトリウムの粉末を晶出させ、この粉末を、電動回転工具に取り付けたナイロンカップワイヤーブラシで除去し、その後、新たな塗膜を形成している。この文献では、粉末の除去のために動力工具を用いているので、上で述べた、動力工具の使用に伴う問題が、必然的に発生する。
日本国特開2017-213557号公報(特許文献3)においては、鋼構造物の塗替え塗装工事において素地調整を行なうことにより鋼構造物の素地露出面積を30%以上とした後の鋼構造物の表面に残存付着している塩分を除去するための方法を開示している。この方法では、イオン捕捉剤であるハイドロカルマイト及び/又はハイドロタルサイトを含む腐食抑制剤を鋼構造物の表面に塗布して乾燥させることにより、塩化物イオンを取り込んだ膜を形成している。この文献では、形成された皮膜は鋼構造物の表面に強力に固着し、皮膜は長期間剥離されないまま維持することを想定しており、膜を除去する際には動力工具法を用いることが必要である。したがって、この文献の方法では、上で述べた、動力工具の使用に伴う問題が、必然的に発生する。
このように、特許文献1は、橋梁のような鋼構造物の表面に残存付着している塩分を除去することとは無関係の技術である。また、特許文献2及び3は、素地調整を行なった後、鋼構造物の表面に残存付着している塩分を除去するために、結晶粉末または膜の形成を行なうことはあるが、粉末または膜の除去のためには動力工具が必要であるため、動力工具法に伴って発生する問題は解消されていない。したがって、依然として、高圧水洗法や動力工具法に代わる簡便で環境負荷のない方法が求められている。
日本国特開2002-045811号公報 日本国特開2007-283237号公報 日本国特開2017-213557号公報
本発明の課題は、鋼構造物の表面に付着している塩分の量を低減するための方法であって、従来の高圧水洗法や動力工具法に代わる簡便で環境負荷のない方法を提供することである。
本発明者らは、上記の方法を開発するための研究の中で、造膜可能な樹脂を含む粘性水溶液を鋼構造物の表面に塗布し、乾燥させて膜を形成させると、その膜は塩化物イオンを取り込んでいる、ということを知見し、さらに、そのような膜の中には鋼構造物の表面から動力工具を用いないで(即ち、動力工具を必要とせず)手で剥離することができるものがあることを知見した。つまり、造膜成分としての特定の樹脂を含む粘性水溶液が鋼構造物の表面に付着している塩分の量を低減するための塩分低減剤として機能すること、造膜型塩分低減剤である当該水溶液を鋼構造物の表面に塗布して乾燥させて得られる膜が鋼構造物の表面から動力工具を用いないで手で剥離できること、及び、したがって、当該水溶液を鋼構造物の表面に塗布して膜を形成し、その膜を表面から剥離するという方法によって本発明の課題が解決されることを知見し、本発明を完成した。
造膜型塩分低減剤を用いる本発明の塩分量低減方法は、膜の形成から剥離まで簡単に実施でき、特に膜の剥離は動力工具を用いないで(即ち、動力工具を必要とせず)手でできる。したがって、本発明の方法は、簡便で環境負荷のない方法であって、従来の高圧水洗法や動力工具法の問題点をすべて解消できる。本発明の効果の具体例として、簡便に実施できること、環境負荷がないこと、費用が安いこと、大量の水を必要とはしないこと、大量の廃水が発生しないこと、廃水の処理のための設備を必要としないこと、鋼構造物の存在する場所に関係なく実施できること、季節に関係なく実施できること、動力工具が不要であること、動力工具の使用によって生ずる、鋼構造物表面部分の損傷や、その損傷による鋼構造物表面の塩分の鋼構造物の内部への浸透の恐れがないこと、を挙げることができる。さらに、本発明の方法を従来の方法に組み合わせることによって、従来法の問題点を軽減することができる。たとえば、従来法である高圧水洗法を用いて塩分量の低減を行なう場合の高圧水洗の必要実施回数や必要実施時間を、本発明の方法を組み合わせることにより、減らすことができる。
本発明は、1種または2種ケレンによる素地調整がなされた鋼構造物の表面に塗布し、乾燥することにより、前記鋼構造物の表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成し、該膜を塩化物ごと剥離して、前記表面に残存する塩化物を除去する塩化物低減剤であって、ポリビニルアルコールおよびエチレンー酢酸ビニル共重合体の混合物と、と、からなる粘性水溶液からなり、前記混合物を、塩分低減剤の総質量の24~26質量%含有することを特徴とする造膜型の鋼構造物表面の塩化物低減剤である。
本発明は、1種または2種ケレンによる素地調整がなされた鋼構造物の表面に塗布し、乾燥することにより、前記鋼構造物の表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成し、該膜を塩化物ごと剥離して、前記鋼構造物の表面の塩化物を低減する方法であって、下記の工程を含む方法。
(1)請求項1に記載の造膜型の鋼構造物表面の塩化物低減剤を、前記鋼構造物の表面に塗布し、乾燥させることにより、前記鋼構造物表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成する。
(2)前記膜を鋼構造物の表面から塩化物ごと剥離する。
本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.造膜成分としての少なくとも1種の樹脂を含む粘性水溶液である造膜型塩分低減剤。
2.イオン捕捉剤を含まないことを特徴とする、前項1に記載の造膜型塩分低減剤。
3.該樹脂がビニル系樹脂であることを特徴とする、前項1又は2に記載の造膜型塩分低減剤。
4.鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減するために使用することを特徴とする、前項1~3のいずれかに記載の造膜型塩分低減剤。
5.鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減する方法であって、下記の工程を含む方法。
(1)前項1~4のいずれかに記載の造膜型塩分低減剤を、塩分が付着した鋼構造物の表面に塗布し、乾燥させることにより、鋼構造物の表面に膜を形成する。
(2)膜を鋼構造物の表面から剥離する。
6.該塩分が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、前項5に記載の方法。
7.該鋼構造物が、塗替え塗装工事において素地調整がなされた後のものであることを特徴とする、前項5又は6に記載の方法。
8.該塩分が塩化ナトリウムを含み、該素地調整が1種ケレンによるものであって、素地調整がなされた後の該鋼構造物の表面に付着した塩化ナトリウムの量が50mg/mを超えることを特徴とする、前項7に記載の方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
後で詳細に説明するように、本発明の造膜型塩分低減剤は、鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減するために用いることができるのであり、塩分を付着した鋼構造物の表面に造膜型塩分低減剤を塗布して乾燥させることにより、鋼構造物の表面に膜を形成し、その後その膜を剥離するという方法により、塩分の量が低減される。なお、上記のように、本明細書において「塩分」とは塩化物イオンを含む化合物を意味するものであり、塩分の例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムを挙げることができる。
本発明の造膜型塩分低減剤は、造膜成分としての少なくとも1種の樹脂を含む粘性の水溶液である(以下、造膜成分としての樹脂をしばしば「造膜樹脂」と略称する)。造膜型塩分低減剤のpHは、防錆の観点から、アルカリ性領域であることが好ましい。造膜型塩分低減剤の粘度については、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。
本発明の造膜型塩分低減剤の構成成分は、以下の通りである。
(A)造膜樹脂
造膜樹脂は、必須成分である。造膜樹脂は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。造膜樹脂の量は、本発明の目的を達することができる限り特に限定はないが、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の5~39質量%、さらに好ましくは11~33質量%、特に好ましくは22~30質量%である。
用いる樹脂としては、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。造膜樹脂は、単独重合体でもよいし、共重合体でもよい。造膜樹脂の例として、ビニル樹脂を挙げることができる。ビニル樹脂の例としてポリビニルアルコール及び酢酸ビニル樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合体など)を挙げることができる。造膜樹脂の更なる例としては、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を挙げることができる。
造膜性、及び造膜後の剥離容易性の観点から、造膜樹脂としてはビニル樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール及び酢酸ビニル樹脂(エチレン-酢酸ビニル共重合体など)がさらに好ましい。
ポリビニルアルコールの重合度には特に制限はない。鋼構造物への塩分低減剤の塗布の態様に応じて、適宜、重合度を選定することができる。
スプレー方式で塗布する場合は、ポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは300~4000であり、さらに好ましくは400~2500であり、特に好ましくは500~1000である。また、特に好ましい範囲(500~1000)のポリビニルアルコールを主体として、これより重合度の高いポリビニルアルコールを併用してもよい。
また、スプレー方式以外の方式(たとえば、刷毛、ローラーを用いる方式)で塗布する場合は、好ましくは500~4000であり、さらに好ましくは2000~3000であり、特に好ましくは2400~2600である。また、特に好ましい範囲(2400~2600)のポリビニルアルコールを主体として、これより重合度の低いポリビニルアルコールを併用してもよい。
ポリビニルアルコールのケン化度については、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。一般にケン化度が高いほど、粘性の水溶液である造膜型塩分低減剤の流動性は低下するが、ポリビニルアルコールの配合量が比較的少ない場合は、完全ケン化型を用いても流動性に支障がなく、また完全ケン化型の方が膜強度に優れている。当業者は、ポリビニルアルコールの配合量を考慮しつつ、ケン化度がいくらまでのポリビニルアルコールを用いることができるかを適宜決定することができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体の重合度については、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。
エチレン-酢酸ビニル共重合体におけるエチレンと酢酸ビニルとの量比については、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。
2種以上の造膜樹脂を併用してもよい。2種以上の樹脂を併用する際のそれらの樹脂の量比については、造膜可能であって造膜後の剥離が動力工具を用いないで手でできるものである限り、特に限定はない。当業者は、それぞれの樹脂の重合度等を考慮しながら、量比を決めればよい。たとえば、ポリビニルアルコールとエチレン-酢酸ビニル共重合体とを併用する場合、ポリビニルアルコールの重合度が高ければ、ポリビニルアルコールの量が比較的少なくても、膜の強度は高くなるので、ポリビニルアルコールの量比は小さくてもよい。なお、ポリビニルアルコールの量が多いと、エアレススプレーで吹き付けるという方法では塗布できなくなることがあるが、そのようなときは、刷毛やローラーを用いて塗布すればよい。
(B)水
水は、必須成分である。水の量は、本発明の目的を達することができる限り特に限定はない。一般に、水の量が多いほど鋼構造物表面の塩分と水分との接触が増えるために塩分低減効果が高まるが、水の量が多すぎると、乾燥が遅くなる。この観点から、水の量は、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の10~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%、特に好ましくは35~50質量%である。
また、水は蒸留水、イオン交換水、純水等のイオン分の少ないものが好ましい。
(C)剥離性向上剤
剥離性向上剤は、任意成分である。造膜後の剥離性を向上させるために用いることができる。剥離性向上剤を使用する場合には、その量は、剥離性向上剤の種類にもよるが、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の0.5~5質量%、さらに好ましくは1~4質量%、特に好ましくは2~3質量%である。
剥離性向上剤の例として、脂肪酸エステル(ソルビタン脂肪酸エステルなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなど)、アルキルアミンエチレンオキシド付加物、及びフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
(D)増粘剤
増粘剤は、任意成分である。造膜性を向上させるために用いることができる。増粘剤は無機系増粘剤でも有機系増粘剤でもよい。増粘剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよく、組み合わせて用いる場合には、単数種または複数種の無機系増粘剤と単数種または複数種の有機系増粘剤とからなる群より、任意の複数種を選択して組み合わせて用いることができる。また、増粘剤を使用するときは、その量は、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の0.5~20質量%、さらに好ましくは1.0~10質量%、特に好ましくは1.5~5.0質量%である。
無機系増粘剤は、天然品でもよいし、合成品でもよい。無機系増粘剤の例として、シリカ、カオリン鉱物、サーペンチン、タルク、雲母、バーミキュライト、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトを含む)、ベントナイト、セピオライト、有機クレー、及び有機ベントナイトを挙げることができる。
有機系増粘剤の例として、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体又はその塩、アクリル酸-アクリルアミド共重合体又はその塩、オレフィン-マレイン酸共重合体又はその塩、スチレン-マレイン酸共重合体又はその塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその塩などの陰イオン系増粘剤、及び、ポリアクリルアミド、アルキルセルロース、ポリエチレンオキサイド、酸化ポリエチレンなどの非イオン系増粘剤を挙げることができる。
(E)防錆剤
防錆剤は、任意成分である。防錆剤を使用するときは、その量は、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の0.1~3質量%、さらに好ましくは0.5~1.0質量%である。
防錆剤の例として、有機酸塩、脂肪酸塩、有機酸アミン塩、アルカノールアミン、アルキルアミンエチレンオキシド付加物、アルキルリン酸エステル塩、及び3-(2-ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸・アルカノールアミン塩を挙げることができる。
(F)pH調整剤
pH調整剤は、任意成分である。pH調整剤は、防錆の観点からは配合することが好ましい。アルカリ性のpH調整剤を用いる場合において、その配合量が多いときは、表面塩分計による表面塩分量の測定の際に、測定値として反映される傾向があるため、表面塩分計による測定の精度の観点からは、アルカリ性のpH調整剤を使用する場合には、pH調整剤を含む造膜型塩分低減剤のpHが弱アルカリ領域となる範囲で配合することが望ましい。pH調整剤を使用するときは、その量は、好ましくは造膜型塩分低減剤の総質量の0.1~5質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%、特に好ましくは0.8~1.5質量%である。
pH調整剤の例として、アンモニア、2-メチルアミノエタノール、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、コハク酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、及びリン酸を挙げることができる。
(G)イオン捕捉剤
イオン捕捉剤は、任意成分である。イオン捕捉剤は、基本的には後述の理由により用いないことが好ましいが、用いることを排除するものではない。
イオン捕捉剤の例として、日本国東亞合成株式会社製のIXEシリーズ、及びハイドロタルサイト(日本国協和化学工業株式会社製のキョーワード500など)を挙げることができる。イオン捕捉能力は、IXEシリーズの方がハイドロタルサイトよりも高い。IXEシリーズの中では、IXE-600、IXE-6107、IXE-100 及び IXE-700F が好ましい。
イオン捕捉剤がイオン捕捉能力を発揮するためには時間を要するので、造膜型塩分低減剤を塗布してから24時間程度で膜を剥離しようとするときには、使用しても効果はあまり望めない。また、イオン捕捉剤は中性ないし酸性領域で用いることが好ましいので、防錆の観点からアルカリ性で用いることが好ましい本発明の造膜型塩分低減剤に含有させることは好ましくない。さらに、本発明の造膜型塩分低減剤がイオン捕捉剤を含む場合には、得られる膜の剥離性が低下する傾向がある。しかし、得られる膜をある程度長い時間維持し、且つ、イオン捕捉剤の使用に伴う上記問題への十分な対策を立てるのであれば、イオン捕捉剤を用いてもよい。
なお、本発明の造膜型塩分低減剤には、造膜性、剥離性、乾燥性、チキソトロピー性等を高めるために、上記の添加剤以外の添加剤を含有させることもできる。添加剤の例(上記の添加剤と重複するものもある)として、有機溶剤、増粘剤、造膜助剤、可塑剤、チキソトロピー付与剤、顔料、染料、乳化剤、可溶化剤、界面活性剤、分散剤、離型剤、沈降防止剤、レベリング剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及びイオン捕捉剤を挙げることができる。
本発明の造膜型塩分低減剤は、鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減するために用いることができる。その使用方法は、以下の工程を含む。
(1)本発明の造膜型塩分低減剤を、塩分を付着した鋼構造物の表面に塗布し、乾燥させることにより、鋼構造物の表面に膜を形成する。
(2)膜を鋼構造物の表面から剥離する。
鋼構造物には、特に限定はない。鋼構造物の例として、鋼橋梁、鋼製プラント、鋼製建築物、鋼管、鋼材、鋼板などの鋼製建造物を挙げることができる。
塗布の方法については特に限定はなく、塗布液である造膜型塩分低減剤の特性、鋼構造物のサイズ、形状、設置場所などを考慮して、適宜、スプレー、刷毛、ローラーなどを用いて塗布することができる。膜厚が不均一な場合、膜を剥がす際に千切れる原因となるため、極力均一になるよう塗布することが好ましい。スプレーを用いる場合は、刷毛やローラーを用いる手作業の場合に比べ、広い範囲を短時間で塗布することができる。スプレーは、エアスプレーでもエアレススプレーでもよい。エアスプレーは、ハンディエアスプレーでもよいし、ハンディでないエアスプレーでもよい。また、エアレススプレーも、ハンディエアレススプレーでもよいし、ハンディでないエアレススプレーでもよい。なお、ハンディでないエアレススプレーはハンディエアレススプレーよりも塗布液の充填が簡便であるので、この観点からは、ハンディでないエアレススプレーはハンディエアレススプレーよりも、広い範囲を塗布するのに適する。
塗布量は、得られる膜が所望の厚さとなるような量である。膜の厚さには、特に限定はない。乾燥後の膜が容易に剥離できるという観点から、ウェット膜厚については、好ましくは500~1500μmであり、さらに好ましくは800~1200μmであり、乾燥膜厚については、好ましくは10~300μmであり、さらに好ましくは50~200μmであり、特に好ましくは75~150μmである。膜厚が不均一な場合、膜を剥がす際に千切れる原因となるため、膜厚は均一であることが好ましい。また、塗布重量については、好ましくは0.5~1.5kg/m、さらに好ましくは0.8~1.2kg/mである。塗布量は、ウェット膜厚及び塗布重量で管理するのが簡便である。なお、塗布してから膜を剥離するまでの時間が24時間程度の比較的短時間である場合は、膜には特に高い強度は要求されない。
乾燥のさせ方については特に限定はなく、単に放置するだけでもよいし、乾燥を早めるために送風機を用いてもよい。放置乾燥の場合、膜が十分乾燥して剥離も容易になるよう時間、行なえばよい、具体的な放置時間は、季節・天候に応じて異なる。たとえば、冬の場合は、より長い放置乾燥時間を必要とする。また、工程日数の観点からは、放置乾燥時間が長すぎるのは好ましくない。これらのことを考慮すると、放置乾燥時間は、一般的に言えば、好ましくは10~48時間、さらに好ましくは15~35時間、特に好ましくは20~30時間である。また、放置乾燥は、気温5℃以上、湿度85%以下で行なうことが好ましい。なお、ここで「湿度」とは「相対湿度」を意味し、以下も同じである。
塗布後24時間以内で膜が剥離可能となるかどうかを、いくつかの試験環境で検証した。具体的には、後述の実施例において用いるサンプル5と同一の組成を有する塩分低減剤を、ブラスト処理された鋼製のテストピース(サイズ:200×100×6 mm、素材:SM400A)に、刷毛で、1.0kg/mの塗布量で塗布し、防爆型恒温恒湿槽 PR-4KPH(日本国エスペック株式会社製)を用いて乾燥し、塗布後24時間以内で剥離可能となるかどうかを、いくつかの温度・湿度条件下で検証した。検証結果は、以下の通りである。気温が10℃で湿度が85%である場合、塗布後24時間以内で剥離可能とはならなかった。一方、気温が10℃で湿度が50%である場合、気温が20℃で湿度が85%である場合、気温が20℃で湿度が50%である場合、気温が30℃で湿度が85%である場合、及び、気温が30℃で湿度が50%である場合は、いずれも、塗布後24時間以内で剥離可能となった。
剥離の仕方については、特に限定はない。膜は、動力工具を用いないで手で剥離できる。動力工具を用いないで手で剥離するときは、端部から膜を剥がし、一定の力で膜を引っ張るようにして剥がす。膜の端部が剥がしにくい場合は、簡単な工具(たとえば、カッター、スクレーパー等の薄い刃を有した工具)を鋼材素地と膜との界面に差し込み、浮かび上げてから、剥離する。
本発明の方法は、鋼構造物が塗替え塗装工事において素地調整がなされた後のものである場合に、好ましく用いることができる。
塗替え塗装工事における素地調整については特に限定はない。ケレンは1種ケレン、2種ケレン、3種ケレン、及び4種ケレンのいずれであってもよいし、3種ケレンは3種A、3種B、及び3種Cのいずれであってもよい。本発明においては、素地調整は1種ケレン(素地調整程度が最も高い)によることが好ましいが、3種ケレンや4種ケレンのように古い塗膜の除去されない部分が多くあってもよい。
素地調整の方法についても限定はなく、従来の素地調整方法、たとえば、ブラスト処理や、回転砥石や研削デイスク等を電動回転駆動装置に取りつけたグラインダー、ディスクグラインダーなどのような工具を使用して処理を行なうことができる。また、素地調整の後の鋼構造物表面に残存付着している塩分の量についても、特に限定はない。
素地調整を1種ケレンにより行なう場合、古い塗膜の全部及び鋼構造物表面の錆の全部が除去される。素地調整を1種ケレンにより行なった後に鋼構造物表面に残存付着している塩化ナトリウムの量は、50mg/mを超えることもあるし、50mg/m以下であることもある。素地調整を1種ケレンによって行ない、鋼構造物の表面に付着した塩化ナトリウムの量が50mg/mを超えている場合に、本発明を適用して鋼構造物の表面に付着した塩化ナトリウムの量を50mg/m以下にすることが好ましい。上記「鋼道路橋防食便覧」等では、新塗装を施す前の鋼構造物表面に付着している塩化ナトリウムの量を50mg/m以下に低減することが推奨されている。なお、素地調整を1種ケレンにより行なった後に鋼構造物表面に残存付着している塩化ナトリウムの量が50mg/m以下である場合であっても、塩化ナトリウムの量をさらに低減するために本発明を適用することができる。
鋼構造物表面に残存付着している塩分の量を低減した後、鋼構造物に新塗膜を施す。新たな塗装のために用いる塗布組成物、得られる塗膜の種類、塗装の方法などについては特に限定はなく、塗膜を保持する期間等を考慮して適宜、定めればよい。
以下に実施例1~3、比較例1及び2、並びに参考例1~(以下、これらを総称して、しばしば「実施例等」と称する)を示して本発明をより具体的に説明する。
後述するように、実施例1、比較例1及び2及び参考例1は、3日間にわたり、並行して行ない、また、実施例2及び3並びに参考例2及び3も、別途、2日間にわたり、並行して行なった。また、実施例1~3、比較例1、2及び参考例3は塩分低減剤による塩分低減を行なったものであり、参考例1~2は水洗処理による塩分低減を行なったものである。実施例等は、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例等において用いた試験鋼材、及び、サンプルである造膜型塩分低減剤は、以下の通りである。
実施例1、比較例1及び2、並びに参考例1において用いた試験鋼材(試験鋼材1~4)
試験鋼材1~4は、高知県の海岸沿いに架かる橋梁(国土交通省 土佐国道事務所管内)から、腐食による部材の交換工事により撤去した、腐食した下横構の廃材である。この橋梁は、1970年に架設され、1999年に塗替え(ポリウレタン塗装)を行なった。腐食した下横構は、2013年(架設後43年経過時点)に撤去され、2013年10月29日に土木研究センター鴨川暴露試験場(千葉県鴨川市)に搬入され、暴露されていたが、今回、出願人に提供された。試験鋼材1~4のフランジ下面に当たる水平面の寸法は、0.17mx1.2mである。なお、土木研究センター鴨川暴露試験場の概要、及び、腐食した下横構の廃材である試験鋼材の概要については、技術誌「土木技術資料」57-1(2015)pp.60-63に説明されている。
試験鋼材1~4は、それぞれ、実施例1、比較例1及び2、並びに参考例1において用いられる。
実施例2及び3、並びに参考例2において用いた試験鋼材(試験鋼材5)
試験鋼材5は、塩害のない地域に架設された橋梁の主桁として使用されていた部材であって、交換工事のため撤去されて日本国極東メタリコン工業株式会社の猪名川倉庫(兵庫県川辺郡猪名川町)にて保管されていた廃材である。猪名川倉庫の所在地は、塩害のない地域である。試験鋼材5は、今回、出願人に提供された。試験鋼材5の主桁ウェブ面に当たる垂直面の寸法は、縦1.17mx横0.92m である。以下、この垂直面を単に「試験鋼材5の垂直面」、又はさらに短く「垂直面」と称する。
初めに、試験鋼材5の垂直面の両面(つまり、前面と後面)に高濃度の塩化カルシウム水溶液を1ヶ月間にわたる平日(土曜日、日曜日及びその他の休日を除く毎日)、2回ずつ、ローラーにて満遍なく塗布することにより、垂直面の両面に塩化カルシウムを定着させた。更に、後述する塩分低減工程の段階から、両面の中央部に縦に 0.02 m の幅の仕切りを設け、各面をそれぞれ左側部分と右側部分との2つに区分し、合計で4つの区画に区分した(それぞれの区画の寸法は、縦 1.17 m x 横 0.45 m である)。以下、試験鋼材5の垂直面の前面及び後面を、しばしば、それぞれ単に「前面」及び「後面」と称し、前面の左側の区画、前面の右側の区画、後面の左側の区画、及び後面の右側の区画を、しばしば、それぞれ「前面A」、「前面B」、「後面A」及び「後面B」と称する。
前面A、前面B、後面A及び後面Bは、それぞれ、実施例、実施例、参考例2及び参考例3において用いられる。
実施例1、比較例1及び2において用いた造膜型塩分低減剤のサンプル(サンプル1~3)
サンプル1~3の構成成分及びその量を、表1に示す。
Figure 0007572940000001
表1に記載のスミカフレックス455HQ及びスミカフレックス456HQは、後述のように、水分を含む。したがって、項目(A)に記載した「造膜樹脂」の合計量はサンプル1又はサンプル2の樹脂の総量を表すものではないし、また、項目(B)に記載した「水分」の量はサンプル1又はサンプル2の水分の総量を表すものではない。サンプル1の樹脂量及び水分量は、それぞれ、26質量%程度及び64質量%程度である。また、サンプル2の樹脂量及び水分量は、それぞれ、28質量%程度及び53質量%程度である。
表1に示した構成成分の詳細は、以下の通りである。
JC-25(日本国日本酢ビ・ポバール株式会社製)
ポリビニルアルコール樹脂
重合度:2500
ケン化度:99モル%
スミカフレックス455HQ(日本国住化ケムテックス株式会社製)
エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン
不揮発分:54~57質量%(水分:46~43質量%)
ガラス転移温度(Tg):0℃
スミカフレックス456HQ(日本国住化ケムテックス株式会社製)
エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン
不揮発分:54~56質量%(水分:46~44質量%)
ガラス転移温度(Tg):0℃
イオネットT-80V(日本国三洋化成株式会社製)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分とする界面活性剤
hiメトローズ90SH-15000(日本国信越化学工業株式会社製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グリオキサール処理)
アロンB-500(日本国東亞合成株式会社製)
カルボン酸共重合体エマルジョン
固形分:36±1質量%
キレスライトW-510(日本国キレスト株式会社製)
有機酸アミン塩
サンヒビターNo.50(日本国三洋化成株式会社製)
アミン系非イオン界面活性剤
DIPA(85%)
ジイソプロパノールアミン:85質量%
水分:15質量%
実施例2及び3、並びに参考例3において用いたサンプル(サンプル4~5)
サンプル4~5の構成成分及びその量を、表2に示す。
Figure 0007572940000002
表2に記載のスミカフレックス400HQ及びスミカフレックス408HQEは、後述のように、水分を含む。したがって、項目(A)に記載した「造膜樹脂」の合計量はサンプル4又はサンプル5の樹脂の総量を表すものではないし、また、項目(B)に記載した「水分」の量はサンプル4又はサンプル5の水分の総量を表すものではない。サンプル4の樹脂量及び水分量は、それぞれ、24質量%程度及び71質量%程度である。また、サンプル5の樹脂量及び水分量も、それぞれ、24質量%程度及び71質量%程度である。
表2に示した構成成分の詳細は、以下の通りである。
JF-05(日本国日本酢ビ・ポバール株式会社製)
ポリビニルアルコール樹脂
重合度:500
ケン化度:98~99モル%
スミカフレックス400HQ(日本国住化ケムテックス株式会社製)
エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン
不揮発分:54~56質量%(水分:46~44質量%)
ガラス転移温度(Tg):0℃
スミカフレックス408HQE(日本国住化ケムテックス株式会社製)
エチレン-酢酸ビニル共重合体エマルジョン
不揮発分:49~51質量%(水分:51~49質量%)
ガラス転移温度(Tg):-30℃
イオネットT-80V(日本国三洋化成株式会社製)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分とする界面活性剤
ラポナイトEP(ドイツ国 BYK-Chemie 社製)
合成ヘクトライト
キレスライトW-510(日本国キレスト株式会社製)
有機酸アミン塩
MMEAアミン
2-メチルアミノエタノール
BYK-014(ドイツ国 BYK-Chemie 社製)
破泡性ポリマーと疎水性粒子との混合物である消泡剤
実施例等において行なった、試験鋼材へのサンプル塗布の方法、及び、試験鋼材の水洗処理の方法は、以下の通りである。
実施例1、比較例1及び2におけるサンプル塗布の方法
サンプル塗布は、試験鋼材1~3のフランジ下面に当たる水平面に対して、刷毛を用いて行なった。ただし、上記のように当該水平面の寸法は0.17mx1.2mであるが、試験鋼材の両脇に穴が開いていたので、両脇部分を除いた部分(0.17mx1.0m)に塗布したので、塗布面積は0.17mであった。塗布量はそれぞれ1.0kg/mであった。
実施例1及び3、並びに参考例3におけるサンプル塗布の方法
サンプル塗布は、試験鋼材5の垂直面(縦1.17mx横0.92mの鋼板である)を立てた状態で、前面A、前面B及び後面Bのそれぞれの全面(縦1.17mx横0.45m)に対して、スプレーを用いて行った。用いたスプレーは、前面A及び後面Bについてはハンディエアレススプレー(ウルトラマックスコードレス)(米国GRACO社製)であり、前面Bについては高圧エアレス塗装機(エコポンシリーズ)(日本国旭サナック株式会社製)である。高圧エアレス塗装機用のノズルチップとして、LP525(米国GRACO社製)を用いた。塗布量はそれぞれ1.0kg/mであった。
参考例1における水洗処理の方法
水洗処理は、ハンディエアレススプレー(ウルトラマックスコードレス)(米国 GRACO社製)を用いて、試験鋼材4のフランジ下面に当たる水平面に対して行なった。ただし、塗布の場合と同様に、水洗箇所は試験鋼材の両脇を除いた部分としたので、水洗面積は0.17mであった。水洗箇所1m当たりの使用水量を7Lとしたので、総水量は約1.2Lであった。
水洗箇所1m当たりの使用水量を7Lとしたのは、以下の理由による。講演概要「橋梁に付着した塩分の除去実験」(土木学会第56回年次学術講演会、平成13年10月、pp.340-341)においては、鋼橋の表面に付着した塩分を除去するための実験が行なわれ、「補修時の付着塩分許容量を満足するためには,必要最低限の水量でよく、洗浄水量は6~8リットル/mが適当である」と結論付けられている。そこで、水洗箇所1m当たりの使用水量を、6~8Lという範囲の下限値(6L)と上限値(8L)との間の中間をとって、7Lと決定した。
参考例2における水洗処理の方法
水洗処理は、上記のハンディエアレススプレーを用いて、試験鋼材5の垂直面(縦1.17mx横0.92 mの鋼板である)を立てた状態で、後面Aに対して行った。水洗箇所1m2当たりの使用水量は、参考例1の場合よりも減らし、実施例2及び3、並びに参考例3におけるサンプル塗布量に合わせ、1L(即ち、1.0kg/m)とした。
実施例等において行なった測定は、以下の通りである。
実施例1、比較例1及び2、並びに参考例1における表面塩分計による測定
表面塩分計として、日本国東亜ディーケーケー株式会社製のポータブル表面塩分計(SSM-21P)を用いた。
後述のブラスト処理後の試験鋼材1~4の表面に残存している塩分の量、及び、後述の塩分低減処理工程後の試験鋼材1~4の表面に残存している塩分の量を、表面塩分計を用いて測定した。試験鋼材1~4の表面に含まれる塩分の主成分は塩化ナトリウムであるので、測定した電気伝導率の値を塩化ナトリウムの濃度に換算する塩分濃度測定値を塩分の量とした。
測定は、すべての試験鋼材(試験鋼材1~4)について、5箇所で行なった。具体的には、試験鋼材を長手方向に左から右に見て、左、左中、中、右中、及び右の5箇所(試験鋼材の一端を左端、他の一端を右端とみて、左端から右端にかけて、左、左中、中、右中、及び右とした)で行なった。ただし、表面塩分計の性質上、測定水が表面塩分計から漏れる場合があり、漏れると測定数値に大きく影響が出るので、漏れてしまった場合は、その箇所における測定値はカウントしなかった。
さらに、カウントされた測定値の平均値を計算した。
実施例2及び3並びに参考例2及び3における表面塩分計による測定
表面塩分計として、上記の表面塩分計を用いた。
後述のブラスト処理後の試験鋼材5の表面に残存している塩分の量、及び、後述の塩分低減処理工程後の試験鋼材5の表面に残存している塩分の量を、表面塩分計を用いて測定した。試験鋼材5の表面に含まれる塩分は実質的に塩化カルシウムのみであるので、測定した電気伝導率の値を IMO PSPC に基づく水可溶性塩分の濃度に換算する塩分濃度測定値を、塩分の量とした。
測定は、以下のように複数個所で行なった。ブラスト処理後の測定(この時点では、試験鋼材5の前面及び後面は、まだ2つに区分されていない)においては、前面及び後面のそれぞれ9箇所を測定箇所として選定した。塩分低減処理工程後の測定(この時点では、前面は前面Aと前面Bとに区分され、後面は後面Aと後面とに区分されている)においては、前面A、前面B及び後面Aについてはそれぞれ5箇所を測定箇所として選定し、後面Bについては6箇所を測定箇所として選定した。ただし、表面塩分計の性質上、測定水が表面塩分計から漏れる場合があり、漏れると測定数値に大きく影響が出るので、漏れてしまった場合は、その箇所における測定値はカウントしなかった。
さらに、カウントされた測定値の平均値を計算した。
実施例1~3、比較例1及び2、並びに参考例1~3におけるイオンクロマトグラフによる測定
イオンクロマトグラフとして、米国ThermoFisherScientific社製のDionexICS-1100を用いた。
表面塩分計による測定に用いた液(ただし、測定値がカウントされたものに限る)を回収し、回収した液を試料としてイオンクロマトグラフにかけ、塩化物イオン(Cl-)、亜硝酸イオン(NO2 -)、硝酸イオン(NO3 -)、及び硫酸イオン(SO4 2-)のそれぞれの量を測定し、さらにこれら4種類の陰イオンの量の合計を計算した。なお、イオンクロマトグラフと表面塩分計とでは測定の原理が異なり、また、測定誤差もあり得るため、イオンクロマトグラフによる測定で得られる塩化物イオン(Cl-)の量と、表面塩分計による測定で得られる塩分の量(塩化ナトリウム又は塩化カルシウムの量)とは、必ずしも相関しない。
さらに、測定値の平均値を計算した。
実施例1、比較例1及び2、並びに参考例1
第1日から第3日にかけて、以下のように試験鋼材1~4の塩分低減実験を並行して行なった。後述のように、試験鋼材1~3を用いた実験がそれぞれ実施例1、比較例1及び2であり、試験鋼材4を用いた実験が参考例1である。参考例1は、従来の高圧水洗法による塩分量低減実験例であり、本発明による塩分量低減効果を評価する上での参考にするために行なったものである。
第1日の午後に試験鋼材1~4のブラスト処理(1種ケレン相当)を行なった。第2日の午前に、ブラスト処理後の試験鋼材1~4の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。
試験鋼材1~3については、表面塩分計を用いた上記の表面塩分測定を行なった後、第2日の午前に、それぞれサンプル1~3を塗布し、24時間放置乾燥して膜を形成させ、第3日の午前に膜を手で剥離除去した。第3日の午後に、膜を剥離除去した後の試験鋼材1~3の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。
試験鋼材4については、表面塩分計を用いた上記の表面塩分測定を行なった後、第2日の午後に、水洗処理を行なった。第3日の午後に、水洗処理をした後の試験鋼材4の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。
なお、第2日は、気温が27.2℃、湿度が50%であった。また、第3日は、気温が28.1℃、湿度が45%であった。
試験鋼材1~3を用いた実験(それぞれサンプル1~3を用いて塩分低減を行なう)をそれぞれ実施例1、比較例1および2とし、試験鋼材4を用いた実験(水洗処理により塩分低減を行なう)を参考例1とした。実施例1、比較例1及び2においては、サンプルの塗布から膜の剥離除去に至るまでの工程を塩分低減処理工程と称し、参考例1(水洗実験例)においては、水洗処理の工程を塩分低減処理工程と称する。
表3に、ブラスト処理後の表面塩分計による測定の結果(ただし、測定値がカウントされたものに限る)、及び、当該測定に供した測定液(ただし、表面塩分計による測定値がカウントされたものに限る)を回収して後日行なったイオンクロマトグラフによる測定の結果を示す。また、表4に、測定値の平均値を示す。
表5に、塩分低減処理工程後の表面塩分計による測定の結果(ただし、測定値がカウントされたものに限る)、及び、当該測定に供した測定液(ただし、表面塩分計による測定値がカウントされたものに限る)を回収して後日行なったイオンクロマトグラフによる測定の結果を示す。また、表6に、測定値の平均値を示す。
表7に、表面塩分計による測定値に基づいて計算した塩分の除去率を示す。表7にはまた、イオンクロマトグラフによる測定に基づいて計算した4種類の陰イオン(即ち、塩化物イオン(Cl-)、亜硝酸イオン(NO2 -)、硝酸イオン(NO3 -)、及び硫酸イオン(SO4 2-))のそれぞれの除去率、並びに、これら4種類の陰イオンの合計の除去率を示す。除去率は、塩分低減処理工程を行なうことによって塩分の量又は陰イオンの量がどれだけ低減されたかを示すものであり、下記の式により計算して得られたものである。
除去率(%)
=(ブラスト処理後の測定値-塩分低減処理工程後の測定値)÷ブラスト処理後の測定値
×100
表8に、実施例1、比較例1及び2及び参考例1のそれぞれの場合について、総合評価を示す。この総合評価は、膜形成の評価、手による剥離性の評価、塩分低減効果の評価を含むものである。ただし、参考例1の場合には、膜は形成されないので、手による剥離性の評価はない。
表8から分かるように、実施例1、比較例1及び2の場合は、膜形成の評価、手による剥離性の評価、及び塩分低減効果のいずれにおいても実用可能な水準に達している。したがって、本発明の造膜型塩分低減剤から形成される膜は、鋼板の表面に付着した塩分を低減し、その剥離除去も、動力工具を用いることなく手で行なうことができる。
Figure 0007572940000003
Figure 0007572940000004
Figure 0007572940000005
Figure 0007572940000006
Figure 0007572940000007
Figure 0007572940000008
表8に示した評価の基準は、以下の通りである。
膜形成の評価
試験鋼材に液(実施例1、比較例1及び2の場合はサンプルである造膜型塩分低減剤であり、参考例の場合は水)を塗布して膜が形成できるかどうかを、液垂れの程度とともに評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。
◎:液垂れはなく、膜は形成できる。
〇:液垂れは少しある(液の一部が雪崩現象を起こす程度)が、膜は形成できる。
△:液垂れはかなりある(液の一部が鋼材から床面に落ちる程度)が、膜は形成できる。
×:液垂れがひどく、膜は形成できない。
手による剥離性の評価
乾燥後の膜が試験鋼材表面から手で剥離できるかどうかを、剥離の容易さとともに評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。
◎:非常に剥離しやすい。
〇:剥離し易いが、膜が弱い部分があるので、非常に剥離しやすいとまでは言えない。
△:剥離可能ではあるが、一体となっては剥がれないので、剥離し易いとは言えない。
×:剥離できない。
塩分低減効果の評価
表面塩分計で測定した塩分の除去率(A)とイオンクロマトグラフで測定した塩化物イオンの除去率(B)とを基準に塩分低減効果を評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。
◎:特に大きな効果がある(A、B共に70%を超える)。
○:大きな効果がある(A、Bどちらかが70%を超える)。
△:少しは効果がある(A、B共に70%以下である)。
実施例2及び3並びに参考例2及び3
第1日から第2日にかけて、以下のように試験鋼材5の前面(ブラスト処理後に、前面Aと前面Bとに区分される)及び後面(ブラスト処理後に、後面Aと後面Bとに区分される)の塩分低減実験を並行して行なった。後述のように、前面A、前面B、後面A及び後面Bを用いた実験がそれぞれ実施例、実施例、参考例2及びである。参考例2は、従来の高圧水洗法による塩分量低減実験例であり、本発明による塩分量低減効果を評価する上での参考にするために行なったものである。
第1日の午前11時に前面及び後面のブラスト処理(1種ケレン相当)を行った。ブラスト処理の後、前面を前面Aと前面Bとに区分し、後面を後面Aと後面Bとに区分した。第1日の午後1時に、ブラスト処理後の前面A、前面B、後面A及び後面Bの表面塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。
前面A、前面B及び後面Bについては、表面塩分計を用いた上記の表面塩分測定を行った後、第1日の午後4時に、それぞれサンプル4、サンプル5及びサンプル5を塗布し(したがって、サンプル5は、前面Bと後面Bとに塗布したことになる)、放置乾燥して膜を形成させた。前面A及び前面Bについては、第2日の午前11時に、形成した膜を手で剥離除去し(したがって、前面A及び前面Bについては、放置乾燥は19時間)、第2日の午前11時30分に、膜を剥離除去した後の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。後面Bについては、第2日の午後1時に、形成した膜を、ブラスト処理(一種ケレン相当)を行なうことにより剥離除去し(したがって、後面Bについては、放置乾燥は21時間)、第2日の午後3時に、膜を剥離除去した後の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、前面A、前面B及び後面Bのそれぞれについて、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。後面Bを用いた実験(即ち、参考例3)においては、膜の剥離除去をブラスト処理で行なったので、初めのブラスト処理と合わせて、2回のブラスト処理を行なったことになるが、これら2回のブラスト処理を区別するため、初めのブラスト処理を単に「ブラスト処理」と称し、2回目のブラスト処理(即ち、膜の剥離除去のためのブラスト処理)を「さらなるブラスト処理」と称する。
なお、前面A、前面B及び後面Bにそれぞれ形成された膜について、ウェット膜厚と乾燥膜厚とを測定した。ウェット膜厚についてはウェットゲージを用い、乾燥膜厚については膜厚計を用い、それぞれ3箇所で測定した。ウェット膜厚の場合は、正確な測定値が得られないので、3箇所測定して概略値をとった。乾燥膜厚については、3箇所の測定値の平均値をとった。前面Aに形成された膜については、ウェット膜厚が1000μmであり、乾燥膜厚が169μmであった。前面Bに形成された膜については、ウェット膜厚が800~1300μmであり、乾燥膜厚が215μmであった。後面Bに形成された膜については、ウェット膜厚が800~900μmであり、乾燥膜厚が183μmであった。
後面Aについては、表面塩分計を用いた上記の表面塩分測定を行った後、第1日の午後2時に、水洗処理を行った。第2日の午前11時30分に、水洗処理をした後の表面の塩分量を、表面塩分計を用いて測定した。また、表面塩分計による測定に用いた液を回収し、後日、イオンクロマトグラフによる測定を行なった。
なお、第1日は、気温が29℃、湿度が50%であった。また、第2日は、気温が26℃、湿度が43%であった。
前面A、前面B及び後面Bを用いた実験(それぞれサンプル4、サンプル5及びサンプル5を用いて塩分低減を行なう)をそれぞれ実施例2及び3並びに参考例3とし、後面Aを用いた実験(水洗処理により塩分低減を行なう)を参考例2とした。実施例2及び3並びに参考例3においては、サンプルの塗布から膜の剥離除去に至るまでの工程を塩分低減処理工程と称し、参考例2(水洗実験例)においては、水洗処理の工程を塩分低減処理工程と称する。
表9に、ブラスト処理後の表面塩分計による測定値の平均値、及び、当該測定に供した測定液を回収して後日行ったイオンクロマトグラフによる測定値の平均値を示す。
表10に、塩分低減処理工程後の表面塩分計による測定値の平均値、及び、当該測定に供した測定液を回収して後日行ったイオンクロマトグラフによる測定値の平均値を示す。
表11に、表面塩分計による測定値に基づいて計算した塩分の除去率を示す。表11にはまた、イオンクロマトグラフによる測定に基づいて計算した4種類の陰イオン(即ち、塩化物イオン(Cl-)、亜硝酸イオン(NO2 -)、硝酸イオン(NO3 -)、及び硫酸イオン(SO4 2-))のそれぞれの除去率、並びに、これら4種類の陰イオンの合計の除去率を示す。除去率は、塩分低減処理工程を行なうことによって塩分の量又は陰イオンの量がどれだけ低減されたかを示すものであり、上記の実施例1、比較例1及び2、並びに参考例1及び2の場合と同一の式により計算して得られたものである。
表12に、実施例2及び3、並びに参考例2及び3のそれぞれの場合について、総合評価を示す。この総合評価は、膜形成の評価、手による剥離性の評価、塩分低減効果の評価を含むものであり、これらの評価の基準は、それぞれ、上記の実施例1~3及び参考例1の場合と同様である。ただし、実施例の6の場合には手による剥離除去ではないので、また、参考例2の場合には膜は形成されないので、手による剥離性の評価はない。
表12から分かるように、実施例2及び3の場合は、膜形成の評価、手による剥離性の評価、及び塩分低減効果のいずれにおいても実用可能な水準に達している。したがって、本発明の造膜型塩分低減剤から形成される膜は、鋼板の表面に付着した塩分を低減し、その剥離除去も、動力工具を用いることなく手で行なうことができる。
Figure 0007572940000009
Figure 0007572940000010
Figure 0007572940000011
Figure 0007572940000012
本発明の造膜型塩分低減剤を用いると、従来の高圧水洗法や動力工具法の問題点をすべて解消でき、簡便で環境負荷を生ぜず、また、経済性の高い優れた塩分量低減方法により、鋼橋梁、鋼製プラント、鋼製建築物、鋼管、鋼材、鋼板などの鋼製建造物に代表される鋼構造物の表面に付着した塩分の量を低減することができる。

Claims (3)

  1. 1種または2種ケレンによる素地調整がなされた鋼構造物の表面に塗布し、乾燥することにより、前記鋼構造物の表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成し、該膜を塩化物ごと剥離して、前記表面に残存する塩化物を除去する塩化物低減剤であって、ポリビニルアルコールおよびエチレンー酢酸ビニル共重合体の混合物と、と、からなる粘性水溶液からなり、前記混合物を、塩分低減剤の総質量の24~26質量%含有することを特徴とする造膜型の鋼構造物表面の塩化物低減剤。
  2. 1種または2種ケレンによる素地調整がなされた鋼構造物の表面に塗布し、乾燥することにより、前記鋼構造物の表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成し、該膜を塩化物ごと剥離して、前記鋼構造物の表面の塩化物を低減する方法であって、下記の工程を含む方法。
    (1)請求項1に記載の造膜型の鋼構造物表面の塩化物低減剤を、前記鋼構造物の表面に塗布し、乾燥させることにより、前記鋼構造物表面に残存する塩化物を取り込んだ膜を形成する。
    (2)前記膜を鋼構造物の表面から塩化物ごと剥離する。
  3. 前記塩化物が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムか らなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
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