JP7573336B2 - めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼板の製造方法、及びそれらを実行する装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、各種の実績データを入力項目とし、ワイピングノズル出力(ノズルの操業条件)を出力項目としたデータをデータベースに蓄えておき、これからめっきする材料に対する要求点を選択し、選択した近傍データに基づき局所モデル(重回帰モデル)を作成する。そして、作成した局所モデルに要求点を代入して、これからめっきする鋼板のためのワイピングノズル出力を決定することでめっき付着量を制御する、ことが記載されている。
例えば、連続亜鉛めっき鋼板の製造においては、先行材の尾端部と後行材の先端部を溶接しながら連続して鋼板のめっき処理が実行される。そして、付着量変更点の直後近傍においては、例えば、先行材に対する後行材の学習値を用いて変更直後に対応しているが、予測誤差が大きいほど付着量誤差が発生しやすくなる。このとき、操業条件に合わせた細かいプリセットテーブルを作成すれば解決できる可能性がある。しかし、そのためには、大量の開発時間を要する上に、操業の変化に応じたメンテナンスが必要である。
上記機械学習による入力データの1つとして、上記鋼板情報から選択した1以上のデータ及び上記ノズル操業情報から選択した1以上のデータを入力データに含み、めっき付着量を出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて演算しためっき付着量を有しても良い。
上記選択品質に関するデータを出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて演算した上記選択品質に関するデータを、上記機械学習による入力データの1つとしても良い。
ここで、溶融めっき付着量(選択品質)を予測する機械学習モデルの一説明変数(入力データ)として、物理モデル式の計算結果を採用する場合には、機械学習を完全なブラックボックス計算とするのではなく、物理的根拠を含めて機械学習による予測モデルを生成可能となる。
また、本発明の態様によれば、例えば、物理モデル式にどういった成分が足りていないのか、を分析しつつ機械学習モデルを組むことができる上に、物理モデル式もある程度の精度を有しているので、その他の説明変数を補正として用いることができ、結果として予測精度の向上を見込むことができる。
また、説明変数に亜鉛鋼板の反り成分やワイピングガス温度を含める場合には、従来の物理モデルでは表現できないが、付着量に関係する見込みのある成分を取り込むことができるようになる。
本実施形態では、設定された操業条件のデータで製造装置の操業を実行して、被加工品を製品に加工する加工工程を有する製造設備として、連続溶融めっき鋼板の製造設備を例に挙げる。本発明は、被加工品を製品に加工する処理を物理モデルで表現可能であれば、溶融めっき鋼板以外の製品を加工する製造装置を用いた製造設備に対しても適用可能である。本発明は、溶融めっき鋼板の製造に好適な技術である。
また、本実施形態では、溶融めっきとして溶融亜鉛めっきを例にして説明する。
図1は、連続亜鉛めっき鋼板の製造設備における、付着調整工程の処理を実行する装置周りの構成例を示す図である。付着調整工程(加工工程)は、めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板10の表面に対しワイピングノズル6からワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する加工処理を実行する工程である。
連続亜鉛めっき鋼板の製造設備は、図1に示すように、溶接装置1、焼鈍炉3、めっき浴5を収容しためっき浴槽4、ワイピングノズル6、めっき付着量計7を備える。また、鋼板搬送のパスラインに沿って、ワイピングノズル6とめっき付着量計7との間に、合金化炉、及び冷却帯が配置されている。
なお、溶接の際に、先行材の尾端部と後行材の先端部の位置の搬送を一時停止するが、その停止は、ルーパー装置によって吸収されて、鋼板に対する、加熱処理やめっきの付着等の処理は、連続して実行可能となっている。
また、ワイピングノズル6の駆動部として、高さ調整用アクチュエータ20、鋼板に対する距離を調整するノズル間隔調整用アクチュエータ21、ノズル角度調整用アクチュエータ22を備える。
ここで、本実施形態では、ワイピング温度を高温(亜鉛の融点を超える温度(500℃程度))に制御する場合とする。
また、本実施形態の連続溶融めっき鋼板の製造設備は、めっき制御装置30を有する。
めっき制御装置30は、連続して搬送されてくる鋼板へのめっき付着制御を実行する。
本実施形態のめっき制御装置30は、図3に示すように、付着量予測モデルの生成装置31、めっき付着量の予測装置32、めっき付着量制御装置33を備える。
付着量予測モデルの生成装置31は、めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板10の表面に対しワイピングノズル6からワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、付着調整工程後のめっき付着量を予測するための付着量予測モデル34を生成する装置である。
付着量予測モデルの生成装置31は、図4に示すように、学習用データ収集部31A、付着量演算部31B、予測モデル生成部31Cを備える。
学習用データ収集部31Aは、被めっき鋼板10に関する鋼板情報から選択した1以上のデータ及びワイピングノズル6に関するノズル操業情報から選択した1以上のデータを含む入力操業情報のデータと、その入力操業情報のデータを用いた付着調整工程後のめっき付着量の実績データとを有する学習用データを、複数組、取得する処理を実行する。取得した学習用データは、データベース36(学習用記憶部)に順次記憶する。
すなわち、学習用データ収集部31Aは、各鋼材毎に、実際に使用した操業情報を入力操業情報のデータとし、その操業でのめっき付着量の実績データ(めっき付着量計7で計測した付着量)とを取得して学習用データとする。なお、めっき付着量計7での計測は、複数回、計測し、その平均値とする。
ここで、鋼板情報は、被めっき鋼板10の板幅、板厚、鋼種を含む。
ノズル操業情報は、ワイピングノズル6における、ノズル間隔、鋼板表面に対する噴射角度、めっき浴からの高さ、ワイピングガスの圧力、ワイピングガスの温度を含む。ノズル間隔は、鋼板10を挟んで対向する2つのノズル間の距離とも考えられるが、本願ではノズルから鋼板表面までの距離を表すものとする。
また、本実施形態では、入力操業情報として、ライン速度及びめっき浴の温度を含む。
データベース36中の学習用データは、順次、蓄積されて更新される。
その例について説明する。
(1)ノズル間隔データ
ノズル間隔は、前述のようにノズルから鋼板表面までの距離としている。本来鋼板までの距離計を設置することで計測が可能である。しかし、本願が対象とするプロセスでは、ワイピングノズル周辺温度が高温(亜鉛の融点に近い雰囲気温度)であることから、距離計を常設することが困難な場合がある。このような場合には、鋼板10を挟んで対向するノズル間の距離を利用することができる。例えば、対向するノズル間の距離の1/2から、(鋼板の板厚/2)を引いた値を、ノズルと鋼板との間の距離として、ノズル間隔を取得してもよい。そして、その値を、物理モデル計算や説明変数に用いる。
この場合、鋼板のパスライン(鋼板が通過する位置)がノズル間の中央であると仮定していることになるが、鋼板位置が一方のノズル側に偏る場合がある。そのときのデータをそのまま付着量予測モデルの学習用データとして利用すると、付着量予測モデルの予測精度が悪化することになる。
これにより、鋼板のパスライン変動があっても、精度良い学習モデルを構築することが可能となる。
予測する付着量は、鋼種や鋼板サイズなどにより、約20mg/m2~300g/m2の範囲で分布している。学習用データの付着量に偏りがあると、データ数の多い付着量の予測精度が高く、データ数の少ない付着量の予測精度が悪化するなどの問題が生ずる。そこで、付着量を予め所定量(例えば、50g/m2~100g/m2の範囲の適切な値)毎に分割し、分割された範囲のデータ数が所定のデータ数以上になるようにして学習用データを保存して、予測モデルの学習を行うとしてもよい。ここで、所定のデータ数はある程度学習が可能であればよいが例えば2000組程度でもよい。
このように学習用データを区分分割して保存し、各区分のデータ量を確保することで付着量全般の予測モデルの精度を維持させることが可能となる。また、このようなデータの持ち方をすれば、分割した区分ごとにモデルを構築することも可能となる。
また、物理モデルによる亜鉛付着量予測計算結果と亜鉛付着量実績を比較した際に、ノズル~鋼板距離やガス圧力によって、差が顕著に異なる傾向がある。このため、一つの機械学習モデルによる全操業パターンの付着量予測が困難であると判断した場合、ガス圧やノズル間隔などの操業条件によって複数の機械学習モデルを構築し、操業条件からどのモデルを使用すればよいかを選択するようにしてもよい。
データベース36には、溶融めっき鋼板の製造における実績データとして、被めっき鋼板10に関する鋼板情報から選択した1以上のデータ及びワイピングノズル6に関するノズル操業情報から選択した1以上のデータを含む入力操業情報と、その入力操業情報のデータを用いた付着調整工程後の、めっき付着量計7で計測されためっき付着量の実績データとを有する学習用データが、複数組、格納される。
その際、上述のデータクレンジングや付着量区分に応じたデータの保存量の調整が行われる。
また、データベース36には、生成された付着量予測モデル34(モデル式)も格納される。
付着量演算部31Bは、データベース36に格納されている各学習用データに基づき、各データ用学習用データ毎に、鋼板情報から選択した1以上のデータ及びノズル操業情報から選択した1以上のデータを入力データに含み、めっき付着量を出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて、めっき付着量(選択品質)を演算する。付着量演算部31Bは、演算しためっき付着量(演算付着量とも記載する)を、対応する学習用データにおける入力操業情報の一データとしてデータベース36に格納する。これによって、各学習用データを、演算付着量を含む状態に更新する。
モデル式の一例を、下記(1)式に示す。
W =f(LS、P、D、t) ・・・(1)
ここで、
LS:ライン速度
P:ワイピングガス圧
D:ノズル間隔
t:鋼板の板厚
W:物理モデルによる付着予想値
である。
予測モデル生成部31Cは、付着量演算部31Bで処理後の複数組の学習用データを用いた機械学習により、入力操業情報のデータの少なくとも一部を入力データに含み、めっき付着量を出力データとする付着量予測モデル34を生成する。
ここで、本実施形態では、入力データとして、少なくとも、ノズル間隔、板厚、ライン速度、ワイピングガスの圧力、ワイピングガスの温度を含む。
更に、入力データとして、ノズル角度(鋼板表面に対する噴射角度)、鋼種、板幅、めっき浴の温度、ノズルのめっき浴からの高さの少なくとも1つを含むことが好ましい。
本実施形態では、付着量演算部31Bでの入力データが、機械学習の入力データとして含む構成としている。ただし、付着量演算部31Bの入力データの一部だけを機械学習の入力データとして含む構成としてもよい。
また、入力に物理モデルの出力を含まない構成としてもよい。
また、付着量演算部31B及び予測モデル生成部31Cの処理は、オフラインで実行可能であるので、物理モデルに基づく数値計算式などは、処理時間に余裕がある。このため、物理モデルをより詳細なモデルとして設定し、計算に時間を掛けることも可能である。
めっき付着量の予測装置32は、めっき浴槽4に浸漬後の被めっき鋼板10の表面に対しワイピングノズル6からワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、付着調整工程後のめっき付着量を予測する装置である。
本実施形態のめっき付着量の予測装置32は、付着量予測部32Aを備える。付着量予測部32Aは、付着量予測モデルの生成装置31が生成した付着量予測モデル34を用いて、めっき付着量を予測する。
本実施形態では、図4に示すように、めっき付着量の予測装置32は、めっき付着量制御装置33の一部を構成する。
めっき付着量制御装置33は、めっき浴5に浸漬後の被めっき鋼板10の表面に対しワイピングノズル6からワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、付着調整工程後のめっき付着量を制御する装置である。
本実施形態では、上述のように、溶融めっき鋼板の製造は、先行材の尾端部と後行材の先端部とを溶接によって接続して被めっき鋼板10を連続して搬送されて、めっき処理が連続して実行される。また、制御は、鋼材(先行材や後行材)毎に実行される。
本実施形態のめっき付着量制御装置33は、予測値算出部32、再設定部37、ノズル操作部38、ガス制御部39を備える。
予測値算出部32は、後行材に対する付着調整工程を実行する前に、すなわち、各鋼材のめっき処理が実行される前に、後行材の鋼板情報の少なくとも一部を含む、後行材に設定された設定操業情報と、付着量予測モデルの生成装置31で生成した付着量予測モデル34とを用いて、後行材へのめっき付着量の予測値を算出する処理を実行する。
本実施形態の予測値算出部は、めっき付着量の予測装置32で構成される。
再設定部37は、後行材に対する付着調整工程を実行する前に、予測値算出部32が算出した付着量の予測値と、予め設定した付着用目標値との偏差に基づき、偏差が小さくなる方向に、後行材に対するワイピングノズル6に関する操業情報を再設定する処理を実行する。
本実施形態では、再設定するワイピングノズル6に関する操業情報は、ワイピングノズル6の位置とする。本実施形態では、ワイピングノズル6先端と鋼板表面との間隔を再設定する場合を例に挙げて説明する。再設定するワイピングノズル6の位置は、ワイピングノズル6の高さでも良いし噴射角度でもよい。また、再設定する操業情報は、2以上の操業情報であってもよい。
本実施形態の再設定部37は、図5に示すように、偏差量算出部37A、影響係数算出部37B、及び変更量算出部37Cを備える。
偏差量算出部37Aは、付着量目標値と予測値算出部32が求めた予測値との偏差を算出する。
なお、偏差量算出部37Aが算出した偏差が予め設定した閾値以下の場合には、再設定部37の処理を終了して、次の処理部に移行する。
影響係数算出部37Bは、付着量予測モデルの生成装置31で生成した付着量予測モデル34を用いて、後行材における、めっき付着量の変化に対する、ワイピングノズル6に関する操業情報の変化の係数である影響係数を算出する。
本実施形態の影響係数算出部37Bは、後行材に設定した設定操業情報を変化することによる、付着量予測モデル34で予測するめっき付着量の変化に基づき、影響係数を算出する。
影響係数算出部37Bは、製造対象材料である後行材の製造のための設定条件の諸元近傍での少なくともワイピングノズル6の位置を含む製造諸元の摂動に基づいて影響係数を算出する。
Kwd =δW/δD ・・・(2)
δDは、製造諸元の摂動量である。
δWは、製造諸元の摂動に対する付着量の変化量である。
δDは、例えば次のようにして決定する。
本実施形態では、鋼板に対するノズル6の離隔位置を、変化させるワイピングノズル6に関する操業情報とする。この場合、変化量は、例えば2mm~6mmの範囲で設定する。
そして、δDを、上記変化量(=基準操作量 -摂動操作量)とする。
まず、基準操作量を入力情報として、付着量予測モデル34によって付着量の予測値(第1予測値)を求める。基準予測値が、制御対象の後行材用に設定されたワイピングノズル6の操作量である場合、第1予測値は、予測値算出部32が算出した値となる。
次に、摂動操作量(基準操作の一部を変化した操作量)を入力情報として、付着量予測モデル34によって付着量の予測値(第2予測値)を求める。
そして、第1予測値と第2予測値との差を、δWとする。
この影響係数Kwdは、例えば、ノズル6位置の単位変化量(例えば1mm)に対する付着量の変化量を示す係数となる。
変更量算出部37Cは、算出した影響係数Kwdと偏差とから、後行材に対するワイピングノズル6に関する操業情報の変更量を算出する。
本実施形態の変更量算出部37Cは、偏差量算出部37Aが求めた偏差量を、影響係数算出部37Bが求めた影響係数Kwdで割って、すなわち(偏差量/Kwd)の値を求め、その値をノズル6の位置の補正量とする。
変更量算出部37Cは、求めたノズル6の位置の補正量によって、設定された操業条件を更新する。
ノズル操作部38は、制御対象の鋼材(後行材)の付着量制御を実行すると判定すると、変更量算出部37Cが更新後の操業条件に対するノズル6の各指令を各アクチュエータに供給する。
例えば、先行材と後行材の溶接点がめっき浴5を通過時に、ノズル位置を目標とするノズル位置に変更する処理を実行する。
ガス制御部39は、ノズル6に供給されるガスの圧力や温度を計測しつつ、当該ノズル6に供給されるガスの圧力及び温度を、予め設定された圧力及び温度となるように調整する。
本実施形態では、過去の操業実績データからなる学習用データを用いて機械学習を行い、めっき付着量を予測する付着量予測モデル34を生成する際に、操業実績データに基づき物理モデルによって求めた付着量の予測値を機械学習の入力データの1つとして採用する。
この結果、本実施形態の付着量予測モデル34は、付着量予測精度が向上する。
すなわち、本実施形態では、亜鉛付着量を予測する機械学習モデルの一説明変数として物理モデル式の計算結果を採用する。このため、機械学習を完全なブラックボックス計算とするのではなく、物理的根拠を含めながら、物理モデル式にどういった成分が足りていないのか、を分析しつつ機械学習モデルを組むことができる。
また、例えば、説明変数(付着量予測モデル34の入力データ)に亜鉛鋼板の反り成分やワイピングガス温度を含めることで、従来の物理モデルでは表現できないが、付着量に関係する見込みのある成分を取り込むことができる。この点からも、付着量予測モデル34は、付着量予測精度が向上する。
上記の実施形態では、再設定部37で、自動的にノズル操作情報を更新する場合を例示しているが、これに限定されない。
例えば、上と同様に次コイル(後行材)の付着量を計算し、付着量予測部32Aが求めた付着量予測値を表示させる。そして、それを基に、オペレータがノズル6を操作し付着量外れを改善するという方法であってもよい。このとき、例えば、操作量の目安として機械学習モデルを用いて計算した、ノズル圧力・ノズル間隔と付着量との関係を示したテーブルを用いる。
本実施例では、物理モデルに上記式を採用し、ニューラルネットワークを用いた機械学習で付着量予測モデル34を生成した。めっきは溶融亜鉛めっきとした。
実施例では、機械学習の入力データは、物理モデルによる演算結果、ノズルのワイピングガス圧力、ワイピングガス温度、ノズル高さ、ノズル間隔、鋼種、板厚、ライン速度、めっき浴槽4でのめっき温度とし、出力データは、亜鉛付着量とした。
なお、鋼種は製造する鋼板の成分、製造方法の違いによってカテゴライズされた一種の符号であり、ラベルのような扱いとなる。
また、ノズルガスの温度は、亜鉛の融点を超える500度程度の温度で操業した。温度の検出は、直接計測した温度あるいはガス温度調整系の設定温度などを使用できる。
比較例1では、物理モデルに基づく計算式によって予測付着量を求めた。
比較例1における、予測付着量と付着量実績の相関関係を図6に示す。
この比較例1では、RMSE(二乗平均平方根誤差)は21%であった。
次に、実施例1では、機械学習の際に、物理モデルによる演算結果を用いず、生の操業実績データだけを入力データ(説明変数)とした機械学習を行って付着量予測モデルを生成し、その付着量予測モデルによって予測付着量を求めた。
実施例1における、予測付着量と付着量実績の相関関係を図7に示す。
この実施例1では、RMSE(二乗平均平方根誤差)は13%であった。
一方、実施例2では、実施例1での機械学習の説明変数(入力データ)の1つとして、更に、物理モデルによる演算結果を追加して、付着量予測モデル34を生成し、その付着量予測モデル34によって予測付着量を求めた。
実施例2における、予測付着量と付着量実績の相関関係を図8に示す。
この実施例2では、RMSE(二乗平均平方根誤差)は10%であった。
比較例1と実施例1との比較から、物理モデルでの亜鉛付着量予測値に比べ、機械学習による予測モデルを用いた方が、誤差が小さくなることが分かった。
この実施例では、ワイピングガスの温度が亜鉛の融点を超える温度であることから、ワイピングガスの密度や粘度、流速が変化し、付着量に与える影響が考えられるが、これらの物理モデルを構築するのは容易でない。この点、実施例1では、機械学習によって、これらの影響が効果的に表現できたため、精度が向上したと考えられる。
このように、本発明に基づくことで、予測精度が向上することが分かる。
ここで、機械学習の入力データとして、物理モデルに基づく演算結果を含めることで、物理現象に基づくモデルを利用するため操業条件が大きく変わって、十分なデータがない状況であっても、それなりに操業を実施できる可能性があり、特殊な材料の操業時にも利用できることが期待される。また、物理モデルがそれなりの予測をして、機械学習が物理モデルに含まれない知識について、データに基づき予測値を補正するので、実施例2では、実施例1に比べ、更に精度向上したと考えられる。
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)本実施形態は、めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板10の表面に対しワイピングノズル6からワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、上記付着調整工程後のめっき付着量を予測するための付着量予測モデルの生成方法であって、被めっき鋼板10に関する鋼板情報から選択した1以上のデータ及びワイピングノズル6に関するノズル操業情報から選択した1以上のデータを含む入力操業情報のデータと、その入力操業情報のデータを用いた上記付着調整工程後のめっき付着量の実績データとを有する学習用データを、複数組、取得し、取得した学習用データを用いた機械学習により、上記入力操業情報のデータの少なくとも一部を入力データに含み、めっき付着量を出力データとする付着量予測モデル34を生成する。
上記ノズル操業情報は、例えば、ワイピングノズル6における、ノズル間隔、鋼板表面に対する噴射角度、めっき浴からの高さ、ワイピングガスの圧力、ワイピングガスの温度を含む。
また、上記入力操業情報として、例えば、ライン速度及び上記めっき浴の温度を含む。
この構成によれば、仮にワイピングガスの温度をめっき液の溶融点以上の高温に設定する連続溶融めっき鋼板の製造であっても、めっき付着量の予測精度を向上することが可能となる。この結果、本実施形態によれば、高品質の連続溶融めっき鋼板を製造可能とある。
その装置は、例えば、上記鋼板情報から選択した1以上のデータ及び上記ノズル操業情報から選択した1以上のデータを入力データに含み、めっき付着量を出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて、めっき付着量を演算する付着量演算部31Bと、を備え、上記機械学習による入力データの1つとして、上記付着量演算部31Bが演算するめっき付着量を用いる構成とする。
この構成によれば、本実施形態では、溶融めっき付着量を予測する機械学習モデルの一説明変数として、物理モデル式の計算結果を採用する。この結果、機械学習を完全なブラックボックス計算とするのではなく、物理的根拠を含めて機械学習による予測モデルを生成可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば、物理モデル式にどういった成分が足りていないのか、を分析しつつ機械学習モデルを組むことができる上に、物理モデル式もある程度の精度を有しているので、その他の説明変数を補正として用いることができ、結果として予測精度の向上を見込むことができる。
また、説明変数に亜鉛鋼板の反り成分やワイピングガス温度を含めることで、従来の物理モデルでは表現できないが、付着量に関係する見込みのある成分を取り込むことができるようになる。
この構成によれば、仮にワイピングガスの温度をめっき液の溶融点以上の高温に設定する連続溶融めっき鋼板の製造であっても、めっき付着量の予測精度を向上することが可能となる。この結果、本発明の態様によれば、高品質の連続溶融めっき鋼板を製造可能とある。
この構成によれば、仮にワイピングガスの温度をめっき液の溶融点以上の高温に設定する連続溶融めっき鋼板の製造であっても、めっき付着量の精度を向上することが可能となる。この結果、本発明の態様によれば、高品質の連続溶融めっき鋼板を製造可能とある。
この構成によれば、物理モデルによる予測では誤差を含む操業条件であっても、高精度にめっき付着量の制御が可能となる。
この構成によれば、目標付着量への操業条件の変化の応答性が良い。
その装置は、例えば、上記再設定部37は、実施形態の付着量予測モデルの生成装置31で生成した付着量予測モデル34を用いて、後行材に対する、めっき付着量の変化に対する上記ワイピングノズル6に関する操業情報の変化の係数である影響係数を算出する影響係数算出部37Bと、
算出した影響係数と上記偏差とから、後行材に対するワイピングノズル6に関する操業情報の変更量を算出する変更量算出部37Cと、を備える構成とする。
この構成によれば、目標付着量となるノズル6位置により確実に調整可能となる。
その装置は、例えば、上記影響係数算出部37Bは、後行材に設定した設定操業情報を変化することによる、付着量予測モデル34で予測するめっき付着量の変化に基づき、上記影響係数を算出する構成とする。
この構成によれは、目標付着量となるノズル6位置により確実に調整可能となる。
この構成によれば、高品質の連続溶融めっき鋼板を製造可能とある。
この品質予測モデルの生成方法は、品質精度が良品質予測モデルを提供可能となり、より高品質の製品を製造可能となる。
3 焼鈍炉
4 浴槽
5 浴
6 ワイピングノズル
7 めっき付着量計
10 鋼板
20 高さ調整用アクチュエータ
21 ノズル間隔調整用アクチュエータ
22 ノズル角度調整用アクチュエータ
23 圧力計
24 温度計
25 ガス圧調整装置
30 めっき制御装置
31 生成装置
31A 学習用データ収集部
31B 付着量演算部
31C 予測モデル生成部
32 予測装置(予測値算出部)
32A 付着量予測部
33 付着量制御装置
34 付着量予測モデル
35 学習用データ記憶部
36 データベース
37 再設定部
37A 偏差量算出部
37B 影響係数算出部
37C 変更量算出部
38 ノズル操作部
39 ガス制御部
Claims (12)
- めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、上記付着調整工程後のめっき付着量を制御する、めっき付着量制御方法であって、
溶融めっき鋼板の製造は、先行材の尾端部と後行材の先端部とを溶接によって接続して被めっき鋼板を連続して搬送し、
後行材に対する上記付着調整工程を実行する前に、
後行材の鋼板情報の少なくとも一部を含む後行材に設定した設定操業情報と、付着量予測モデルの生成方法で生成した付着量予測モデルとを用いて、後行材へのめっき付着量の予測値を算出する予測値算出工程と、
算出した付着量の予測値と予め設定した付着用目標値との偏差に基づき、上記偏差が小さくなる方向に、後行材に対するワイピングノズルに関する操業情報を再設定する再設定工程と、
を実行し、
上記付着量予測モデルの生成方法は、
めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、上記付着調整工程後のめっき付着量を予測するための付着量予測モデルの生成方法であって、
被めっき鋼板に関する鋼板情報から選択した1以上のデータ及びワイピングノズルに関するノズル操業情報から選択した1以上のデータを含む入力操業情報のデータと、その入力操業情報のデータを用いた上記付着調整工程後のめっき付着量の実績データとを有する学習用データを、複数組、取得し、
取得した学習用データを用いた機械学習により、上記入力操業情報のデータの少なくとも一部を入力データに含み、めっき付着量を出力データとする付着量予測モデルを生成し、
上記鋼板情報は、被めっき鋼板の板幅、板厚、鋼種を含み、
上記ノズル操業情報は、ワイピングノズルにおける、ノズル間隔、鋼板表面に対する噴射角度、めっき浴からの高さ、ワイピングガスの圧力、ワイピングガスの温度を含み、
上記入力操業情報として、ライン速度及び上記めっき浴の温度を含み、
上記機械学習で用いる入力データの1つとして、上記鋼板情報から選択した1以上のデータ及び上記ノズル操業情報から選択した1以上のデータを入力データに含み、めっき付着量を出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて演算しためっき付着量を有する、
ことを特徴とするめっき付着量制御方法。 - 上記ワイピングガスの温度を、めっきの溶融温度以上に設定することを特徴とする請求項1に記載しためっき付着量制御方法。
- 上記再設定するワイピングノズルに関する操業情報は、ワイピングノズルの位置情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載しためっき付着量制御方法。
- 上記再設定工程は、
請求項1に記載に付着量予測モデルの生成方法で生成した付着量予測モデルを用いて、後行材に対する、めっき付着量の変化に対する上記ワイピングノズルに関する操業情報の変化の係数である影響係数を算出する影響係数算出工程と、
算出した影響係数と上記偏差とから、後行材に対するワイピングノズルに関する操業情報の変更量を算出する変更量算出工程と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載しためっき付着量制御方法。 - 上記影響係数算出工程は、後行材に設定した設定操業情報を変化することによる、付着量予測モデルで予測するめっき付着量の変化に基づき、上記影響係数を算出することを特徴とする請求項4に記載しためっき付着量制御方法。
- めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造方法であって、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載しためっき付着量制御方法でめっき付着量を調整することを特徴とする溶融めっき鋼板の製造方法。 - めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、上記付着調整工程後のめっき付着量を制御する、めっき付着量制御装置であって、
溶融めっき鋼板の製造は、先行材の尾端部と後行材の先端部とを溶接によって接続して被めっき鋼板を連続して搬送し、
後行材に対する上記付着調整工程を実行する前に、後行材の鋼板情報の少なくとも一部を含む後行材に設定した設定操業情報と、付着量予測モデルの生成装置で生成した付着量予測モデルとを用いて、後行材へのめっき付着量の予測値を算出する予測値算出部と、
後行材に対する上記付着調整工程を実行する前に、算出した付着量の予測値と予め設定した付着用目標値との偏差に基づき、上記偏差が小さくなる方向に、後行材に対するワイピングノズルに関する操業情報を再設定する再設定部と、
を備え、
上記付着量予測モデルの生成装置は、
めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造設備における、上記付着調整工程後のめっき付着量を予測するための付着量予測モデルの生成装置であって、
被めっき鋼板に関する鋼板情報から選択した1以上のデータ及びワイピングノズルに関するノズル操業情報から選択した1以上のデータを含む入力操業情報のデータと、その入力操業情報のデータを用いた上記付着調整工程後のめっき付着量の実績データとを有する学習用データを、複数組、格納した学習用データ記憶部と、
上記学習用データ記憶部に格納された複数組の学習用データを用いた機械学習により、上記入力操業情報のデータの少なくとも一部を入力データに含み、めっき付着量を出力データとする付着量予測モデルを生成する予測モデル生成部と、
を備え、
上記鋼板情報は、被めっき鋼板の板幅、板厚、鋼種を含み、
上記ノズル操業情報は、ワイピングノズルにおける、ノズル間隔、鋼板表面に対する噴射角度、めっき浴からの高さ、ワイピングガスの圧力、ワイピングガスの温度を含み、
上記入力操業情報として、ライン速度及び上記めっき浴の温度を含み、
上記鋼板情報から選択した1以上のデータ及び上記ノズル操業情報から選択した1以上のデータを入力データに含み、めっき付着量を出力データとして演算するための物理モデルに基づく数値計算式を用いて、めっき付着量を演算する付着量演算部を、備え、
上記機械学習による入力データの1つとして、上記付着量演算部が演算するめっき付着量が用いられる、
ことを特徴とするめっき付着量制御装置。 - 上記ワイピングガスの温度は、めっきの溶融温度以上に設定されることを特徴とする請求項7に記載しためっき付着量制御装置。
- 上記再設定するワイピングノズルに関する操業情報は、ワイピングノズルの位置であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載しためっき付着量制御装置。
- 上記再設定部は、
上記付着量予測モデルの生成装置で生成した付着量予測モデルを用いて、後行材に対する、めっき付着量の変化に対する上記ワイピングノズルに関する操業情報の変化の係数である影響係数を算出する影響係数算出部と、
算出した影響係数と上記偏差とから、後行材に対するワイピングノズルに関する操業情報の変更量を算出する変更量算出部と、
を備えることを特徴とする請求項7~請求項9のいずれか1項に記載しためっき付着量制御装置。 - 上記影響係数算出部は、後行材に設定した設定操業情報を変化することによる、付着量予測モデルで予測するめっき付着量の変化に基づき、上記影響係数を算出することを特徴とする請求項10に記載しためっき付着量制御装置。
- めっき浴に浸漬後の被めっき鋼板の表面に対しワイピングノズルからワイピングガスを噴射してめっき付着量を調整する付着調整工程を備えた溶融めっき鋼板の製造装置であって、
請求項7~請求項11のいずれか1項に記載しためっき付着量制御装置を備える溶融めっき鋼板の製造装置。
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