以下、実施形態に係る鞍乗型乗物について説明する。鞍乗型乗物は、運転状態又は停車状態において、運転者がシートに跨った状態となる乗物である。本実施形態では、鞍乗型乗物が自動二輪車である例を説明する。なお、自動二輪車は、スクーターであってもよい。鞍乗型乗物が自動二輪車であることは必須ではない。
自動二輪車の全体構成例について説明する。図1は自動二輪車10の全体構成例を示す側面図である。なお、以下の説明において、上下、前後及び左右について言及する場合、各方向は次のように定義される。自動二輪車10の前輪20及び後輪22が路面に接地する側が下であり、その反対側が上である。また、自動二輪車10が走行する際の走行方向が前であり、その反対側が後ろである。運転者が前を向いて自動二輪車10に乗った状態で、運転者を基準とする左右が自動二輪車10の左右である。
自動二輪車10は、車体フレーム11と、前輪20と、後輪22と、エンジン24とを備える。前輪20は、車体フレーム11の前側に回転可能に支持される。後輪22は、車体フレーム11の後側に回転可能に設けられる。車体フレーム11には、エンジン24が搭載されている。このエンジン24の駆動によって後輪22が回転駆動される。車体フレーム11の前側にハンドル装置30が設けられている。運転者がハンドル装置30を操作することによって、前輪20の向きが変る。前輪20の向きが変ることによって、自動二輪車10の進行方向が変る。車体フレーム11の上側であって前輪20と後輪22との間には、運転者が着座するシート28が設けられる。
自動二輪車10は、自動二輪車10を立てた状態に保つためのスタンド26が設けられる。スタンド26は、エンジン24又は車体フレーム11の一側部に対して回転可能に支持される。スタンド26は、先端部を回転支持箇所に対して下向きにした下向き姿勢と、先端部を下向き姿勢における先端部の位置よりも上側に位置させた上姿勢との間で姿勢変更可能に支持される。スタンド26が下向き姿勢とされた状態で、自動二輪車10が、スタンド26が設けられた側(図1では左側)に傾けられる。これにより、スタンド26の先端部が路面に接し、自動二輪車10が立てた状態に保たれる。スタンド26が上姿勢とされた状態で、スタンド26の先端部が路面から離れる。これにより、スタンド26が路面と干渉せず、自動二輪車10が走行可能な状態となる。
本例では、スタンド26が、自動二輪車10の左側に設けられたサイドスタンドである例が説明される。スタンド26は、自動二輪車10の右側に設けられてもよい。スタンドは、サイドスタンドではなく、自動二輪車10の左右部位に回転可能に支持され、自動二輪車10を路面に対して垂直姿勢で支持するセンタースタンドであってもよい。
図2は自動二輪車10のハンドル装置30周りの構成を示す説明図である。
車体フレーム11の前側のヘッドパイプにステアリングシャフト12が回転可能に支持されている。ステアリングシャフト12に、アッパーブラケット13及びアンダーブラケット(図式省略)が支持されている。アッパーブラケット13及びアンダーブラケットは、前輪20を回転可能に支持するフロントフォーク14を支持している。
ハンドル装置30は、左右一対のハンドルバー32を備える。一対のハンドルバー32は、アッパーブラケット13を介してステアリングシャフト12に対して回転可能に支持される。ステアリングシャフト12周りにハンドル装置30が回転されると、アッパーブラケット13、アンダーブラケット及びフロントフォーク14が回転し、さらに、前輪20もがステアリングシャフト12を中心として回転する。これにより、ハンドル装置30の操作によって前輪20が向きを変えることができる。
ハンドルバー32には、ハンドルグリップ32aが装着される。運転者は、ハンドルグリップ32aを握って運転する。ハンドルバー32には、運転者が指令を入力するためのスイッチSW1が設けられている。ここでは、右側のハンドルバー32のうちハンドルグリップ32aよりも車幅方向内側にスイッチSW1が設けられる例が示される。スイッチSW1は、例えば、エンジンを始動させるためのスタータースイッチSW1である。より具体的には、スタータースイッチSW1は、エンジンを始動させるためのセルモータを回転させるためのスイッチである。スタータースイッチSW1が上記場所に設けられることは必須ではない。
上記ハンドル装置30の前方の位置にメーターユニット50が設けられている。メーターユニット50は、自動二輪車10の状態を表示するユニットであり、本例では、タコメータ48及び表示部52を備える。タコメータ48は、エンジン24の回転数を示す部分であり、表示部52は、車速、残燃料等の各種情報を表示する部分である。メーターユニット50は、運転者によるハンドル装置30の操作に伴って当該ハンドル装置30と共に回動可能に設けられていてもよい。例えば、メーターユニット50は、アッパーブラケット13、アンダーブラケット又はフロントフォークに取付けられたブラケットを介して、車両に取付けられてもよい。メーターユニット50は、運転者によるハンドル装置30が操作されても回動せず、車体フレーム11に対して一定の位置関係を保つように設けられていてもよい。例えば、メーターユニット50は、直接又は間接的に車体フレーム11に支持されてもよい。
左右のハンドルバー32の間であってメーターユニット50の後方位置に、イグニッションスイッチSW2が設けられる。イグニッションスイッチSW2は、その他の場所、例えば、ハンドルバー32に設けられていてもよい。このイグニッションスイッチSW2は、運転開始時又は運転終了時に運転者からの操作入力を受付ける部分である。
この自動二輪車10は、車両ECU60とエンジンECU80とを備える。
車両ECU60は、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、上記スタータースイッチSW1、イグニッションスイッチSW2等を介して運転者の操作を受付けると共に、運転者が所持する端末装置100との間で無線通信による認証を行う装置である。車両ECU60は、エンジンECU80の電源オンオフ制御も行うことができる。車両ECU60は、上記メーターユニット50の制御を行ってもよい。図2では、車両ECU60は、メーターユニット50の下方に示されているが、いずれの位置に設けられていてもよい。
エンジンECU80は、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、エンジンを制御する装置である。エンジンECU80の設置位置は任意である。エンジンECU80は、例えば、シート28の下方等に設けられてもよい。
この自動二輪車10では、運転者が自動二輪車10を運転しようとする際、エンジン等を含む動力システムが電源オフ状態から電源オン状態に切替えられた状態で、運転者がスタータースイッチSW1を操作することによって、エンジンが点火される。これにより、自動二輪車10は、運転者の操作によって走行可能な状態となる。また、運転者が自動二輪車10の運転を止める際には、エンジン等を含む動力システムが電源オン状態からから電源オフ状態に切替えられ、エンジンが停止する。
このため、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作によって、動力システムの電源オンオフ状態が自動的に切替えられれば、動力システムを手動で電源オンオフする手間が削減される。本自動二輪車10では、運転者の乗車に関連付けられた動作によって、動力システムが電源オフ状態から電源オン状態に自動的に切替えられる。また、運転者の降車に関連付けられた動作によって、動力システムが電源オン状態から電源オフ状態に自動的に切替えられる。つまり、動力システムの電源オン状態とは、動力機関がオンになる前準備段階において当該動力機関を制御したり駆動したりするための電装部品に電源を供給する状態である。
上記を実現するため、自動二輪車10は、動力システムと、動作検知部と、制御部とを備える。動力システムは、電源オン状態と電源オフ状態とで切替え可能に構成されている。動力システムは、電源オン状態で、運転者の運転操作に応じて移動(走行)のための力を発生させる。動作検知部は、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作を検知する。制御部は、動作検知部からの検知出力に基づいて運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無を判定し、その判定結果に基づいて動力システムの電源オンオフ状態を制御する。
より具体的に説明する。図3は自動二輪車10の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、車両ECU60とエンジンECU80とは通信可能に接続されている。
車両ECU60は、認証制御部62と、サブ制御部64とを含む。認証制御部62は、プロセッサ62a、フラッシュメモリ等の記憶部62bを含み、記憶部62bに予め格納されたソフトウェアプログラムに従って処理を実行することで、認証処理及びサブ制御部64の起動状態を制御する処理を実行する。サブ制御部64は、プロセッサ64a、フラッシュメモリ等の記憶部64bを含み、記憶部64bに予め格納されたソフトウェアプログラムに従って処理を実行することで、スイッチSW1、SW2からの入力の受付け、エンジンECU80の電源オンオフを制御する処理を実行する。加えて、サブ制御部64は、メーターユニット50等を制御する処理を実行する。サブ制御部64が、メーターユニット50等を制御する機能を有することは必須ではない。
上記認証制御部62とサブ制御部64とは、別々のコンピュータとして構成されていてもよいし、RAM(Random access memory)等のメモリを共有するように複数のプロセッサが密に結合された方式のコンピュータであってもよい。後者の場合、記憶部62b、64bは、複数のプロセッサが共有する記憶部として構成されていてもよい。
上記認証制御部62及びサブ制御部64は、別々に省電力モードと通常動作モードとの間で切替え可能であってもよい。通常動作モードは、省電力モードよりも電力消費が大きくなるモードである。省電力モードにおいて、認証制御部62又はサブ制御部64は、電源オフ状態とされていてもよいし、電源オフ状態でなくても、動作クロックが低く設定されること等によって消費量が少なくなるモードとされていてもよい。
なお、車両ECU60は、1つのプロセッサを備えるコンピュータによって実現されていてもよい。
本車両ECU60は、動力システムの電源オンオフ状態を制御する制御部の一例である。本実施形態では、サブ制御部64が動力システムの電源オンオフ状態を制御する。
エンジンECU80は、プロセッサ、フラッシュメモリ等の記憶部を含むマイクロコンピュータによって構成されており、上記車両ECU60との間でCAN通信等により双方向通信を行いつつ、エンジン24を動作させるための諸制御を行う。
車両ECU60には、ハンドル位置センサ66、車速センサ67、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2、スタートスイッチ(STA_SW)SW1、スタンドセンサ68、ギヤポジションセンサ69、メーターユニット50、ハンドルロック装置70、通信回路72が接続されていてもよい。
ハンドル位置センサ66は、車体フレーム11に対するハンドル装置30の傾きを検知するセンサであり、ハンドル装置30の操作によって押されるスイッチ、角度センサ(ポテンショメータ、ロータリエンコーダ等)により構成される。車両ECU60は、ハンドル位置センサ66からの出力に基づくことで、ハンドル装置30がハンドルロックに適した位置にあるかどうかを判定することができる。車速センサ67は、前輪20又は後輪22等の回転速度等を検出することによって自動二輪車10の車速を検出するセンサである。車両ECU60は、車速センサ67からの出力に基づいて、車速をメーターユニット50に表示することができる。車両ECU60は、車速センサ67からの出力に基づいて、自動二輪車10が停止中か否かを判定することができる。
イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2及びスタートスイッチ(STA_SW)SW1は、上記した通りのスイッチであり、各スイッチSW1、SW2のオンオフ信号が車両ECU60に入力される。
スタンドセンサ68は、スタンド26が下向き姿勢であるか上姿勢であるかどうかを検出するセンサである。スタンドセンサ68は、例えば、スタンド26が下向き姿勢又は上姿勢に姿勢変更されるとオン状態になるスイッチであってもよい。車両ECU60は、スタンドセンサ68からの出力に基づいて、スタンド26が下向き姿勢であるか上姿勢であるかどうかを判定することができる。運転者が自動二輪車10に乗車する際には、足先等でスタンド26を蹴り上げて、当該スタンド26を下向き姿勢から上姿勢に姿勢変更する動作を行う。また、運転者が自動二輪車10から降車する際には、足先等でスタンド26を下げて上姿勢から下向き姿勢に姿勢変更する動作を行う。このため、スタンド26の姿勢は、運転者の乗車又は降車に関連付けられている。かかるスタンド26の姿勢を検出するスタンドセンサ68は、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作を検知する動作検知部の一例である。
メーターユニット50は、上記した通り、自動二輪車10の状態を表示するユニットであり、車両ECU60によって表示制御される。
ギヤポジションセンサ69は、エンジン24の回転運動を変速して後輪22に伝達する変速ギヤのポジションを検出するセンサである。ギヤポジションセンサ69は、エンジン24から後輪22への動力伝達状態を検知する動力伝達状態検知センサの一例である。動力伝達状態とは、例えば、エンジン24から駆動輪に走行用の動力を伝達する動力伝達機構の状態である。より具体的には、例えば、動力伝達状態は、動力伝達のオンオフ状態、動力伝達に係る変速比の状態、動力の伝達方向(前進方向か後進方向か)状態のうちの少なくとも一方を含む。動力伝達状態は、例えば、ギヤによって切替えられる。ギヤのポジションとしては、ニュートラル位置、バック位置、一速位置、二速位置等が想定される。ギヤポジションセンサ69は、例えば、ギヤドラムの回転位置を検出するポテンショメータ、磁気角度センサ等によって構成される。車両ECU60は、ギヤポジションセンサ69からの出力に基づいてギヤのポジション位置を判定することができる。
運転者が自動二輪車10に乗車する際には、運転者はギヤを一旦ニュートラル状態にすることが想定される。また、運転者が自動二輪車10から降車する際には、ギヤを一旦ニュートラル状態にすることが想定される。このため、ギヤのポジションがニュートラルであることは、運転者の乗車又は降車に関連付けられている。かかるギヤポジションの位置を検出するギヤポジションセンサ69は、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作を検知する動作検知部の一例として用いられてもよい。
ハンドルロック装置70は、ハンドルロック装置70が回転しないようにロックする装置である。ハンドルロック装置70は、電磁アクチュエータ等を備えており、車両ECU60の制御によって電磁アクチュエータを駆動してハンドルロック用のロック部材を進退駆動する。ロック部材の進退駆動に応じて、ハンドル装置30がロック状態とアンロック状態とに切替えられる。ハンドル装置30は、直進状態に対して傾いた状態でのみ、ハンドルロック装置70によってロックされてもよい。
通信回路72は、端末装置100と無線通信を行う回路である。車両ECU60は、通信回路72を通じて端末装置100との間で無線通信を行い、端末装置100から識別符号を受信することができる。通信回路72と端末装置100との間の通信形式は、例えば、Bluetooth(登録商標:以下同様)を用いた通信であってもよいし、その他の通信形式であってもよい。
なお、端末装置100は、通信回路、プロセッサ及び記憶部等を備えた無線通信端末である。記憶部には、識別符号が記憶されており、通信先となる装置(ここでは、車両ECU60)からの呼出し指示に応じて、自己の識別符号を無線送信する。端末装置100は、自動二輪車10の認証用に設計及び製造された専用の無線通信端末であってもよい。端末装置100は、汎用の携帯電話(スマートフォン等)に、認証用のアプリケーションが実装された装置であってもよい。なお、端末装置100は、定期的に問合せ電波を発していてもよい。この場合、認証制御部62が端末装置100からの問合せ電波を受信すると、認証制御部62が返答信号を送信する。これにより、端末装置100と認証制御部62との間で通信が確立し、両者の間で認証のための通信が可能な状態となる。端末装置100は、運転者の操作によって問合せ電波を発してもよい。
エンジンECU80は、点火装置82、インジェクタ83、エンジン24用のセンサ群84に接続されている。エンジンECU80は、車両ECU60を介して得られるスイッチSW1、SW2、車速センサ67からの諸出力、センサ群84等からの諸出力に基づいて、エンジン24の制御等を実行する。
本実施形態では、自動二輪車10は、駆動源としてのエンジン24の動力によって走行することが想定されている。本自動二輪車10における動力システム25は、エンジンECU80及びエンジン24を備える。自動二輪車10は、電気モータによって走行する電動バイクであってもよい。
上記車両ECU60の処理例について図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。図4及び図5において、左側に認証制御部62による認証処理に係るフローチャートが示され、右側にサブ制御部64に係るサブ処理が示される。図4には乗車時の処理が描かれ、図5には降車時の処理が示される。
乗車時における処理について説明する。自動二輪車10の駐車状態においては、認証制御部62は省電力モードの一例である待機モードとされ、サブ制御部64も省電力モードの一例である電源オフ状態とされる。なお、エンジンECU80を含む動力システムも電源オフ状態である。
ステップS1に示すように、認証制御部62は待機モードとされている。待機モードは、通常動作モードの一例である認証モードよりも低消費電力な状態である。
ステップS2に示すように、端末装置100が自動二輪車10に近づき、通信回路72と端末装置100との間で無線通信が成立し、その無線通信に応じた信号が通信回路72から車両ECU60に入力されると、認証制御部62は、次ステップS3に示すように、認証モードに移行する。
次ステップS4では、認証の成立の有無が判定される。すなわち、通信回路72と端末装置100との間で無線通信が成立すると、認証制御部62から端末装置100に対して識別符号の呼出し指示が送信される。これにより、端末装置100は、識別符号を送信する。送信された識別符号は、通信回路72から認証制御部62に与えられる。認証制御部62の記憶部62bには、認証可能な識別符号が予め記憶されており、送信された識別符号と認証可能な識別符号とを比較する。例えば、両符号が一致する場合に、認証が成立し、両符号が一致しない場合に認証不成立と判定される。認証が成立すると、ステップS5に進む。
ステップS5では、認証制御部62からサブ制御部64に対して、起動指令が与えられる。
サブ制御部64は、当初、電源オフ状態であり、ステップS11に示すように、認証制御部62から起動指令が与えられることによって起動し、通常動作モードに移行する。
ステップS12及びS13では、動作検知部(本例ではスタンドセンサ68及びギヤポジションセンサ69)からの検知出力に基づいて運転者の乗車に関連付けられた動作の有無を判定する。
すなわち、次ステップS12では、サブ制御部64は、スタンドセンサ68からの出力に基づいて、スタンド26が上姿勢となったか否かを判定する。スタンド26が上姿勢に姿勢変更されたと判定されると、次ステップS13に進む。
ステップS13では、サブ制御部64は、ギヤポジションセンサ69からの出力に基づいて、ギヤのポジションがニュートラルになったか否かを判定する。ギヤのポジションがニュートラルになったと判定されると、ステップS14に進む。
上記のようにステップS12及びS13の両方がYESである場合、乗車に向けられた動作有りと判定されることになる。
ステップS14では、サブ制御部64は、ハンドルロック装置70を制御して、ハンドル装置30のロックを解除する。これにより、運転者は、ハンドル装置30の向きを変えることができるようになる。なお、ハンドルロック装置70のロック解除とスタンド26の上姿勢の判定の順序は、逆であってもよい。例えば、サブ制御部64は、起動後に、ハンドルロック装置70のロック解除を行い、その後、スタンド26の上姿勢の判定、及び、ギヤのポジションがニュートラルになったか否かの判定を行ってもよい。
次ステップS15では、点火可能状態オン指令を動力システム25に与える。点火可能状態とは、運転者の運転操作に応じて移動(走行)のための力を発生させるための電源オン状態の一例である。本実施形態では、点火可能状態オン指令が動力システム25に与えられると、サブ制御部64からエンジンECU80に電源オン指令が与えられる。これにより、エンジンECU80は電源オン状態になり、スタータースイッチ(STA_SW)SW1を通じたエンジンオン指令を、車両ECU60を介して受付可能な状態となる。
次ステップS16では、スタータースイッチ(STA_SW)SW1を通じたエンジンオン指令の有無が判定される。運転者がスタータースイッチ(STA_SW)SW1を操作すると、その操作に応じた信号が車両ECU60を介してエンジンECU80に与えられる。その信号に基づいて、エンジンECU80は、スタータースイッチ(STA_SW)SW1を通じたエンジンオン指令の有無を判定し、エンジンオン指令有りと判定されると、ステップS17に進む。
ステップS17では、エンジンECU80は、点火装置82、インジェクタ83等を制御して、エンジン24を点火状態とする。これにより、運転者は、自動二輪車10の運転を開始できるようになる。
降車時における処理について説明する。自動二輪車10の運転状態においては、認証制御部62は認証モードであり、サブ制御部64も電源オン状態であり、エンジンECU80も電源オン状態である。
ステップS18において、サブ制御部64は、スタンドセンサ68からの出力に基づいて、スタンド26が下向き姿勢となったか否かを判定する。スタンド26が下向き勢に姿勢変更されたと判定されると、次ステップS19に進む。このステップS18は、動作検知部(ここでは、スタンドセンサ68)からの検知出力に基づいて運転者の降車に関連付けられた動作の有無を判定する処理の一例である。スタンドセンサ68からの出力に加え、ギヤポジションセンサ69からの出力に基づき、スタンド26が下向き姿勢でありかつギヤのポジションがニュートラルであるときに、降車動作有りと判定されてもよい。
ステップS19では、サブ制御部64は、エンジン24をオフにする指令及び点火可能状態オフ指令を動力システム25に与える。エンジン24をオフするとは、燃焼供給を遮断して燃焼室において燃料が燃焼していない状態にすることである。これにより、エンジンECU80は、インジェクタ83等を制御してエンジン24をオフにする。続けて、エンジンECU80を電源オフ状態にする。これにより、サブ制御部64の制御によって、動力システム25が電源オフ状態に切替えられることになる。
次ステップS20では、サブ制御部64は、車速センサ67からの出力に基づき、車速が0であるか否か(つまり、停止しているか否か)を判定し、車速が0であると判定されると、次ステップS21に進む。
次ステップS21では、サブ制御部64は、ハンドル位置センサ66からの出力に基づき、ハンドル装置30がロックに適した所定角度となっているか否かを判定し、YESと判定されると、次ステップS22に進む。
次ステップS22では、サブ制御部64は、ハンドルロック装置70を制御して、ハンドル装置30をロックする。これにより、ハンドル装置30及び前輪20の向きが固定される。
次ステップS23では、サブ制御部64は、認証制御部62に自己が電源オフとなることを通知する。この後のステップS24において、サブ制御部64は、電源オフ状態に移行する。
認証制御部62は、サブ制御部64から電源オフ通知を受取ると、ステップS6において、乗車時において成立有りと判定した認証を破棄する。次ステップS7において、サブ制御部64は、待機モードへと移行する。これにより、自動二輪車10は、駐車状態となる。
図6は自動二輪車10における状態遷移図である。同図に示すように、認証が成立することによって認証無し状態から認証有り状態に遷移し、認証が破棄されることによって認証有り状態から認証無し状態に遷移する。認証有り状態では、サブ制御部64が電源オン状態となる。
認証有り状態では、乗車開始初期段階等において、点火可能状態オフ(動力システム25が電源オフ状態)、かつ、ハンドルロック(HLock)施錠状態とされる。この状態から、スタンド26が上がり、かつ、ギヤのポジションがニュートラルである状態となると、点火可能状態オン(動力システム25が電源オン状態)、かつ、ハンドルロック(HLock)解錠状態に遷移する。
上記状態から、スタータースイッチ(STA_SW)SW1がオンされると、点火可能状態オン(動力システム25が電源オン状態)、かつ、ハンドルロック(HLock)解錠状態かつエンジン24が点火された状態に遷移する。この状態は、走行可能な状態である。
上記状態から、スタンド26が下向き姿勢に下がると、点火可能状態オフ(動力システム25が電源オフ状態)、かつ、ハンドルロック(HLock)解錠状態に遷移する。
さらに、上記状態から車速が0となり、かつ、ハンドル装置30がハンドルロックに適した位置に回転操作されると、点火可能状態オフ(動力システム25が電源オフ状態)、かつ、ハンドルロック(HLock)施錠状態へと遷移する。
図7及び図8を参照して乗車時における自動二輪車10のシーケンスの一例を説明する。図7及び図8において、実線で囲まれる枠は自動二輪車10の全体又は各部の状態又は処理を示しており、点線で囲まれる枠は運転者の行為による状態を示している。図9-図11、図13等においても同様である。
自動二輪車10が停車した状態(T1)では、認証制御部62、サブ制御部64及びエンジンECU80はオフ状態(省電力モード)となっている。この状態では、認証は不成立、ハンドルロック装置70はハンドル装置30をロックした状態、スタンド26は下向き姿勢、動力システム25はオフ(点火可能状態オフ、かつ、エンジン24は非点火状態)となっている。また、運転者は自動二輪車10に乗車せず、降車した状態となっている。自動二輪車10に乗車しようとする運転者は、電源オンとなった端末装置100を所持して自動二輪車10に近づく。
端末装置100を所持した運転者が自動二輪車10に近づくと、端末装置100と通信回路72との間で通信が成立する(T2)。これにより、認証制御部62が待機モードから認証モードに移行する。認証制御部62が通信回路72を通じて端末装置100と無線通信を行って認証を行い、端末装置100が正規の端末装置100であると、認証が成立する(T3)。認証が成立すると、サブ制御部64が起動する(T4)。
サブ制御部64の起動後、ギヤのポジションがニュートラルであり(T5)、かつ、スタンド26が上姿勢にある(T6)と判定されると、乗車に向けた動作ありと判定される(T7)。
乗車に向けた動作ありと判定されると、ハンドルロック装置70がアンロック状態となり(T8)、ハンドル装置30が回転できるようになる。また、動力システム25が電源オン状態(エンジンECU80が電源オン状態となり、点火可能状態オンとなった状態)となる(T9)。
この後、運転者によりスタータースイッチ(STA_SW)SW1が押されると(T10)、エンジン24が点火される(T11)。そして、エンジン24が点火され、かつ、スタンド26が上姿勢に姿勢変更された状態で、自動二輪車10は走行開始可能な状態となる(T12)。
このように、乗車判定がなされた後(T7)、動力システム25がオン状態となっても(T9)、その後、さらに、運転者が別操作(ここではスタータースイッチ(STA_SW)SW1の押し操作)がなされることによって、エンジン24が点火して走行可能な状態となる。つまり、運転者が運転に関連付けられた動作を行うことによって動力システム25がオン状態となる点において運転に向けた運転者の手間は簡易化されるものの、乗車に直接関連付けられない他の操作がなされて、自動二輪車10は走行可能状態となる。これにより、運転者の運転に向けた認識を高めた状態で、運転者に運転を行わせることができる。
図8では、ギヤのポジション及びスタンド26の姿勢に関わらず、動力システム25を電源オン状態にするための処理も記載されている。
まず、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を短押しした場合(T13)、ハンドルロック装置70がアンロック状態となるようにしてもよい(T8)。そして、運転者がもう一度イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を短押しすると(T15)、上記と同様に、動力システム25が電源オン状態(エンジンECU80が電源オン状態となり、点火可能状態オンとなった状態)となってもよい(T9)。なお、短押しは、例えば、所定の基準時間以下又は所定の基準時間未満の継続時間の押し操作である。所定の基準時間は、例えば、1~2秒程度である。
つまり、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を2度短押しする動作は、自動二輪車10の乗車に伴う動作ではなないとしても、乗車のための明確な意思表示行為として捉えてもよい。このため、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2が2度短押しされた場合には、動力システム25を電源オン状態とする。これにより、乗車に向けた動作に拘らず、動力システム25を電源オン状態にでき、利便性が向上する。
また、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を長押しした場合(T14)、ハンドルロック装置70がアンロック状態となると共に(T8)、動力システム25が電源オン状態となるようにしてもよい(T9)。なお、長押しは、例えば、所定の基準時間以上又は所定の基準時間を越える継続時間の押し操作である。所定の基準時間は、例えば、1~2秒程度である。
つまり、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を長押しする動作は、自動二輪車10の乗車に伴う動作ではなないとしても、乗車のための明確な意思表示行為として捉えてもよい。このため、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2が長押しされた場合には、動力システム25を電源オン状態とする。これにより、乗車に向けた動作に拘らず、動力システム25を電源オン状態にでき、利便性が向上する。
図9を参照して降車時における自動二輪車10のシーケンスの一例を説明する。
自動二輪車10の運転走行を停止した直後の停車中(T20)においては、認証制御部62、サブ制御部64及びエンジンECU80はオン状態(通常動作モード)となっている。また、運転者が所持する端末装置100もオン状態となっている。この状態では、認証は成立、ハンドルロック装置70はハンドル装置30をアンロックした状態、スタンド26は上姿勢、動力システム25はオン(点火可能状態オン、かつ、エンジン24は点火状態)となっている。また、運転者は自動二輪車10のシートに座って乗車した状態となっている。
運転者がスタンド26を下向き姿勢にすると、降車に関連付けられた動作があり、降車判定がなされる(T22)。この後、点火可能状態がオフとされ、エンジン24が停止すると共に、エンジンECU80が電源オフ状態となる(T23)。また、降車したと判定されること(T22)、車速無しと判定されること(T24)及びハンドル装置30がハンドルロックに適した位置にあると判定されること(T25)の全てが成立すると、ハンドルロック装置70によってハンドル装置30がロックされる(T26)。続けて、サブ制御部64が電源オフ状態になる(T27)。この後、認証制御部62における認証状態が破棄され(T28)、認証制御部62も待機モードに移行する(T29)。
図9ではスタンド26の姿勢に関わらず、動力システム25を電源オフ状態にするための処理が記載されている。
まず、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を短押しした場合(T31)、点火可能状態がオフとされ、エンジン24が停止すると共に、エンジンECU80が電源オフ状態となる(T23)。続けて、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を長押しした場合(短押しでもよい)(T31)、ハンドルロック装置70がロック状態となるようにしてもよい(T26)。
つまり、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を短押し、もう一度イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を押す動作は、自動二輪車10の降車に伴う動作ではなないとしても、降車のための明確な意思表示行為として捉えてもよい。このため、上記のような場合には、動力システム25を電源オフ状態とする。これにより、降車に向けた動作に拘らず、動力システム25を電源オフ状態にでき、利便性が向上する。
また、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を長押しした場合(T30)、点火可能状態がオフとされ、エンジン24が停止すると共に、エンジンECU80が電源オフ状態となり(T23)、続けて、ハンドルロック装置70がロック状態となるようにしてもよい(T26)。
このように、運転者がイグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を長押しする動作は、自動二輪車10の降車に伴う動作ではなないとしても、降車のための明確な意思表示行為として捉えてもよい。このため、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2が長押しされた場合には、動力システム25を電源オフ状態とする。これにより、降車に向けた動作に拘らず、動力システム25を電源オフ状態にでき、利便性が向上する。
このように構成された自動二輪車10によると、運転者が乗車又は降車に関連付けられた動作を行うと、動力システム25の電源オンオフ状態が制御される。このため、運転者の乗車時又は降車時の操作をより簡易にすることができる。
また、本実施形態では、乗車に関連付けられた動作として、スタンド26を下向き姿勢から上姿勢に姿勢変更させる動作が想定されており、降車に関連付けられた動作としてスタンド26を上姿勢から下向き姿勢に姿勢変更させる動作が想定されている。この想定下、動作検知部として、スタンドセンサ68が想定されている。そして、スタンドセンサ68からの出力に基づき、乗車及び降車判定を行っている。このため、運転者によるスタンド26の操作に応じて、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無が適切に判定される。
本実施形態では、乗車に関連付けられた動作として、さらに、上記スタンド26の操作に加えて、ギヤのポジションをニュートラルにする動作が想定されている。そして、動作検知部として、スタンドセンサ68とギヤポジションセンサ69とを含む構成が想定されており、両センサ68、69からの出力に基づき、運転者の乗車に関連付けられた動作の有無が判定される。このため、乗車時には、ギヤを一旦はニュートラルにするため、運転者の乗車に関連付けられた動作の有無がより正確に判定される。なお、ギヤポジションセンサ69の出力は、降車判定に参照されてもよい。これにより、降車判定がより正確になされる。
また、車両ECU60における認証制御部62は、運転者が所持する端末装置100との間で無線通信を行って認証の成否を判定し、その認証が成立し、かつ、上記のように乗車に関連付けられた動作が有りと判定された場合に、動力システム25を電源オフ状態から電源オン状態に切替える。このため、防犯性を担保しつつ、運転者の乗車時操作を簡易にすることができる。特に、端末装置100との間で無線通信を行って認証の成否を判定する構成では、運転者は、鍵の操作を行わなくても、このため、運転者は、端末装置100を所持して自動二輪車10に近づいて乗車のための動作を行うことによって、防犯のためのロックが解除され、かつ、動力システム25が電源オン状態になる。このため、運転者の乗車のための操作がより簡易となる。
また、動力システム25は、エンジン24とエンジンECU80とを含んでおり、端末装置100との無線通信による認証処理中及び乗車に関連付けられた動作の有無判定中は、動力システム25が電源オフ状態に保たれる。これにより、運転者が自動二輪車10に近づくだけで動力システム25が電源オンになるといった事態が回避され、自動二輪車10の省電力化が可能となる。
本実施形態において、認証制御部62は、記憶部62bに認証距離基準値を記憶しており、自動二輪車10から端末装置100までの距離に応じた物理量と認証距離基準値とを比較し、その比較結果に応じたタイミングで、認証の成否判定及び認証の破棄処理の少なくとも一方を行ってもよい。
図10は端末装置100までの距離に応じて認証の成否を行う処理の一例を示すシーケンス図である。本処理は、図8のT1からT4の処理に代えて適用されてもよい。ここでは、端末装置100と通信回路72とが、Bluetooth(登録商標)通信を利用した認証処理を行うことを想定した説明がなされる。認証制御部62の記憶部62bには、予め設定された第1認証距離基準値X1、第2認証距離基準値X2が記憶されているとする。第1認証距離基準値X1は、端末装置100と通信回路72とがペアリングを行う距離として設定された値である。第2認証距離基準値X2は、サブ制御部64を起動する距離として設定された値であり、第1認証距離基準値X1よりも小さい距離を示す値である。
自動二輪車10が停車しているとして(T40)て、端末装置100を所持した運転者が近づく。すると、認証制御部62が通信回路72を介して端末装置100からの無線信号を受信するので、認証制御部62が認証モードに移行する。通信回路72が端末装置100と通信を行う際における、端末装置100からの電波強度等によって、通信回路72から端末装置100までの距離が検出され得る。例えば、Bluetooth(登録商標)通信では、電波強度等を測定することによって、通信回路72から端末装置100までの距離が検出される。自動二輪車10から端末装置100までの距離は、上記のように、通信回路72から端末装置100までの距離であってもよいし、通信回路72とは別場所にアンテナが設定されている場合には、当該アンテナと端末装置100までの距離であってもよい。
運転者が車体に対して第1認証距離基準値X1以内に近づく(T41)。認証制御部62は、検出された端末装置100までの距離を、上記第1認証距離基準値X1と比較し、端末装置100が車体に第1認証距離基準値X1以内(又は未満)に接近したと判定すると、端末装置100との間でペアリングを開始する(T42)。これにより、認証制御部62と端末装置100との間で、識別符号の要求及び識別符号の送信等の通信が可能な状態となる。
認証制御部62と端末装置100との間でペアリングがなされると、端末装置100から認証制御部62に識別符号が送信され、認証がなされる(T43)。
運転者が車体に対してさらに近づき、第2認証距離基準値X2以内に近づく(T44)。認証制御部62は、検出された端末装置100までの距離を、上記第2認証距離基準値X2と比較し、端末装置100が車体に第2認証距離基準値X2以内(又は未満)に接近したと判定すると、サブ制御部64を起動する(T45)。この後、上記と同様に、乗車判定等を行う処理がなされるとよい。
図11は端末装置100までの距離に応じて認証の破棄等を行う処理の一例を示すシーケンス図である。本処理は、図9のT26からT29の処理に代えて適用されてもよい。認証制御部62の記憶部62bには、予め設定された第1離間認証距離基準値Y1、第2離間認証距離基準値Y2、第3離間認証距離基準値Y3が記憶されているとする。第1離間認証距離基準値Y1は、サブ制御部64の電源をオフにする距離としてされた値である。第2離間認証距離基準値Y2は、ペアリングを解除する距離として設定された値であり、第1離間認証距離基準値Y1よりも大きい距離を示す値である。第3離間認証距離基準値Y3は、認証制御部62が端末装置100の再通信を待機する状態を解除する距離として設定された値であり、第2離間認証距離基準値Y2よりも大きい距離を示す値である。
自動二輪車10から運転者が降車し、ハンドルロック装置70が施錠された状態になっているとして(T51)、降車した運転者は車体から離れていく。
運転者が、車体から第1離間認証距離基準値Y1以上離れる(T52)。認証制御部62は、検出された端末装置100までの距離を、上記第1離間認証距離基準値Y1と比較し、端末装置100が車体から第1離間認証距離基準値Y1以上(又は超えて)離れたと判定すると、サブ制御部64を電源オフ状態にする(T53)。
運転者がさらに車体から遠ざかり、車体から第2離間認証距離基準値Y2以上離れる(T55)。認証制御部62は、検出された端末装置100までの距離を、上記第2離間認証距離基準値Y2と比較し、端末装置100が車体から第2離間認証距離基準値Y2以上(又は超えて)離れたと判定すると、認証制御部62は、認証を破棄し、端末装置100とのペアリングも解除する(T55)。この状態では、認証制御部62は、認証モードを継続し、運転者が車体に再接近した場合の再通信を待機した状態となっている。
運転者がさらに車体から遠ざかり、車体から第3離間認証距離基準値Y3以上離れる(T56)。認証制御部62は、検出された端末装置100までの距離を、上記第3離間認証距離基準値Y3と比較し、端末装置100が車体から第3離間認証距離基準値Y3以上(又は超えて)離れたと判定すると、認証制御部62は、上記再通信を待機していた状態を解除し、待機モードに移行する(T57)。これにより、降車が終了した状態となる(T58)。
なお、上記第1認証距離基準値X1、第2認証距離基準値X2、第1離間認証距離基準値Y1、第2離間認証距離基準値Y2、第3離間認証距離基準値Y3及び端末装置100までの距離に応じて検出される値は、距離そのものを表現した値である必要は無く、距離に応じた物理量、例えば、電波強度等によって表現された値であってもよい。
第1認証距離基準値X1、第2認証距離基準値X2、第1離間認証距離基準値Y1、第2離間認証距離基準値Y2及び第3離間距離認証基準値Y3のうちの少なくとも1つは、記憶部62bに設定変更可能に記憶されていてもよい。
例えば、自動二輪車10に設けられたスイッチを操作することによって、表示部52に図12に示すような認証距離設定画面が表示されてもよい。図12に示す例では、都市部モードでは、上記基準値X1、X2、Y1、Y2、Y3として、例えば、5m、0.6m、0.6m、5m、15mが設定される。郊外モードでは、上記基準値X1、X2、Y1、Y2、Y3として、都市部モードにおける値よりも大きい距離を示す値、例えば、10m、0.8m、0.8m、10m、20mが設定される。上記複数のモードは、例えば、方向入力スイッチ等によって選択マークMをいずれかのモードに対応する位置に移動させた状態で、決定ボタンを押すことで、設定されてもよい。表示部52がタッチパネルであれば、当該タッチパネルにタッチすることによって、いずれかのモードが選択されてもよい。
この変形例によると、第1認証距離基準値X1、第2離間認証距離基準値Y2を変更することによって、認証を開始したり、認証を破棄したりする、端末装置100までの距離を変更することができる。このため、自動二輪車10の駐車場所に応じた適切なタイミングで、認証開始及び認証破棄がなされ得る。例えば、広い敷地に設けられた駐輪場に自動二輪車10が駐車される場合、都市部モードにおける第1認証距離基準値X1よりも大きい、郊外モードの第1認証距離基準X1に設定しておくことで、運転者が自動二輪車10に近づく早期のタイミングで認証を成立させておくことができる。同様に、都市部モードにおける第2離間認証距離基準値Y2よりも大きい、郊外モードの第2離間認証距離基準Y2に設定しておくことで、運転者が自動二輪車10から多少離れただけで頻繁に認証が破棄され、再認証が必要となるといった事態が抑制される。また、例えば、都市部等、人の通り道に近い駐輪場に自動二輪車10が駐車される場合、郊外モードにおける第1認証距離基準値X1よりも小さい、都市部モードの第1認証距離基準X1に設定しておくことで、自動二輪車10に乗車する目的ではなく偶々自動二輪車10の近くを通った場合等に、自動二輪車10の認証が成立してしまうことを抑制できる。同様に、郊外モードにおける第2離間認証距離基準値Y2よりも小さい、都市部モードの第2離間認証距離基準Y2に設定しておくことで、運転者が自動二輪車10から大きく離れても認証状態が維持されるといった事態が抑制される。
また、第2認証距離基準値X2、第1離間認証距離基準値Y1を変更することによって、サブ制御部64を起動したり、サブ制御部64を電源オフしたりするタイミングを変更することができる。このため、自動二輪車10が駐輪される環境に応じて、サブ制御部64の電源オンオフタイミングを変更でき、省電力化の向上或いは利便性の向上を図ることが可能となる。
なお、本変形例自体は、乗車判定、降車判定を前提としない自動二輪車においても、採用可能な構成である。
端末装置100が紛失された場合等に備えて、起動操作受付部と、パスワードの入力を受付けるパスワード入力操作受付部と、を備え、制御部は、起動操作受付部への操作に応じて、パスワード入力操作受付部を通じたパスワードの入力操作を受付ける状態となり、パスワード入力操作受付部への入力操作に基づいて認証の成否を判定し、その認証が成立すると判定された場合に、前記動力システムを電源オン状態に切替えるようにしてもよい。
例えば、図7及び図8における認証を伴う処理T1-T4、T14の処理に代えて、図13に示す処理がなされてもよい。
すなわち、自動二輪車10が停車した状態において(T60)、端末装置100を所持しない運転者が自動二輪車10に近づき、イグニッションスイッチ(IGN_SW)SW2を押す(T61)。すると、上記制御部の位置例として認証制御部62が起動する(T62)。
認証制御部62は、メーターユニット50を起動する(T63)。本例では、メーターユニット50の表示部52は、パスワード入力操作受付部の一例として、タッチパネルであるとして説明する。認証制御部62は、表示部52を、表示可能かつタッチ操作を受付け可能な状態にする。表示部52には、図14に示すように、パスワードの入力画面が表示される。ここでは、一例として“パスワードを入力してください”の文字と、テンキーに対応する入力画面が表示される。
運転者は、表示部52を通じてパスワードを入力する。認証制御部62は、入力されたパスワードと予め設定され記憶部62bに記憶されたパスワードとを照合し、両者が一致した場合に認証成立と判定し、認証成立状態となる(T65)。認証制御部62は、サブ制御部64を起動する。この後、端末装置100が無くても、ハンドルロック装置70が解除されると共に、動力システム25が電源オン状態とされ、自動二輪車10は走行可能な状態となる。
なお、本変形例自体は、乗車判定、降車判定を前提としない自動二輪車においても、採用可能な構成である。また、本変形例は、端末装置100を用いた認証を前提としない自動二輪車10においても適用可能であるが、もちろん、端末装置100を用いた認証を前提とする自動二輪車10においても適用可能である。
なお、乗車又は降車に関連付けられた動作は、上記例に限られない。乗車に関連付けられた動作は、乗車のために運転者が必然的に行う動作であればよい。降車に関連付けられた動作は、降車のために運転者が必然的に行う動作であればよい。
例えば、乗車に関連付けられた動作としては、自動二輪車10が停車状態から動けるようにする動作であってもよい。例えば、乗車時に、運転者は、自動二輪車10をスタンド26に支えられた傾き姿勢から直立姿勢に姿勢変更させる。動作検知部は、かかる動作を検知するものであってもよく、上記スタンドセンサ68はそのような動作検知部の一例である。その他、動作検知部は、例えば、自動二輪車10の傾きを検出する傾きセンサ(IMU(inertial measurement unit)等)であってもよい。乗車に関連付けられた動作は、運転者がシートに座って運転姿勢をとろうとする動作であってもよい。この場合、動作検知部は、フロントフォーク14の縮みを検出するストロークセンサであってもよく、シートへの着座を検出する荷重センサ、光センサ(赤外センサ)等であってもよい。また、乗車時に、運転者は、乗車に関連付けられた動作として、ハンドルグリップ32aを掴んでハンドル装置30を操作しようとする。このため、動作検知部は、ハンドルグリップ32aへの人手の把持を検出する荷重センサであってもよく、また、ハンドル装置30を回転させようとする力を検出するセンサであってもよい。また、乗車に関連付けられた動作は、ブレーキを握る動作であってもよく、この場合、動作検知部は、ブレーキへの操作を検出するセンサであってもよい。また、乗車に関連付けられた動作は、ステップに足を載せる動作であってもよく、この場合、動作検知部は、ステップへの荷重を検知するセンサであってもよい。つまり、乗車に関連付けられた動作とは、自動二輪車を走行させるために直接関連付けられた動作であり、例えば、ハンドルロック解除のためにキーシリンダを回転させる操作等、自動倉庫の走行とは直接関連付けられない防犯目的に関連付けられた動作を除くと把握されてもよい。
また、例えば、降車に関連付けられた動作としては、自動二輪車10を走行状態から停車状態に使用とする動作であってもよい。上記と同様に、降車時に、運転者は、自動二輪車10を、直立姿勢からスタンド26に支えられた傾き姿勢に姿勢変更させる。動作検知部は、かかる動作を検知するスタンドセンサ68、傾きセンサ(IMU等)であってもよい。また、降車に関連付けられた動作は、運転者がシートに座った運転姿勢を解除しようとする動作であってもよい。この場合、上記と同様に、動作検知部は、フロントフォーク14の伸びを検出するストロークセンサ、シートへの着座解除を検出する荷重センサ、光センサ(赤外センサ)、ハンドルグリップ32aへの人手の把持解除を検出する荷重センサ、ハンドル装置30をロックに適した位置に回転させようとする力を検出するセンサであってもよい。
上記実施形態では、動力システム25が、エンジンECU80とエンジンECU80とを備えるシステムである例が説明されたが、動力システム25は、自動二輪車10の走行のための力を発生可能な動力システムであればよい。例えば、動力システムは、駆動源としての電気モータと、当該電気モータを駆動する駆動回路と、電気モータの回転を制御する制御用ECUとを備える構成とされてもよい。この場合、動力システム25は、電源オン状態で、少なくとも制御ECUが起動した状態となり、運転者によるスロットル操作等に応じて電気モータを走行のために駆動させることが可能な状態となればよい。
なお、本実施形態では、動力伝達状態を検知する動力伝達状態検知センサがギヤポジションセンサ69である例が説明された。動力伝達状態検知センサは、クラッチの状態を検知するセンサ、例えば、クラッチの動力伝達状態を切替えるためのクラッチレバーの姿勢を検知するセンサ又はスイッチ等であってもよい。乗車時又は降車時には、一旦はクラッチレバーが操作されて動力伝達が遮断された状態とされるため、動力伝達機構の一種であるクラッチの状態を検出し、その検出結果を、乗車判定又は降車判定に参酌することで、それらの判定がより正確になされる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
本開示は、下記の各態様を開示する。
第1の態様は、運転者の運転操作に応じて移動のための力を発生させるための電源オン状態と、電源オフ状態との間で切替えられる動力システムと、前記運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作を検知する動作検知部と、前記動作検知部からの検知出力に基づいて前記運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無を判定し、その判定結果に基づいて前記動力システムの電源オンオフ状態を制御する制御部と、を備える鞍乗型乗物である。
この鞍乗型乗物によると、運転者が、乗車又は降車に関連付けられた動作を行うと、動力システムの電源オンオフ状態が制御される。このため、運転者の乗車時又は降車時の操作をより簡易にすることができる。
第2の態様は、第1の態様に係る鞍乗型乗物であって、前記動作検知部は、スタンドの姿勢を検知するスタンドセンサを含み、前記制御部は、前記スタンドセンサからの検知出力に基づいて、前記運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無を判定するものである。一般的に、乗車時及び降車時には、運転者によってスタンドに対する操作がなされる。このため、運転者によるスタンドへの操作に基づくことで、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無が適切に判定される。
第3の態様は、第2の態様に係る鞍乗型乗物であって、前記動作検知部は、動力伝達状態を検知する動力伝達状態検知センサを含み、前記制御部は、前記スタンドセンサからの検知出力及び前記動力伝達状態検知センサからの検知出力に基づいて、前記運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無を判定するものである。一般的に、乗車時及び降車時には、運転者によってギヤ操作もなされる。スタンドの姿勢及び運転者によるギヤ操作に基づくことで、運転者の乗車又は降車に関連付けられた動作の有無がより適切に判定される。
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物であって、前記制御部は、前記動作検知部からの検知出力に基づいて、前記運転者の乗車に関連付けられた動作が有りと判定された場合に、前記動力システムを電源オフ状態から電源オン状態に切替えるものである。この場合、運転者の乗車に関連付けられた動作が検知された場合に、動力システムが電源オフ状態から電源オン状態に切替る。このため、運転者の乗車時操作を簡易にすることができる。
第5の態様は、第4の態様に係る鞍乗型乗物であって、前記制御部は、前記運転者が所持する端末装置との間で無線通信を行って認証の成否を判定し、その認証が成立し、かつ、前記動作検知部からの検知出力に基づいて前記運転者の乗車に関連付けられた動作が有りと判定された場合に、前記動力システムを電源オフ状態から電源オン状態に切替えるものである。この場合、認証の成否判定によって、防犯性を担保しつつ、運転者の乗車時操作を簡易にすることができる。また、車両近くを通過しただけの者が所持する携帯端末を認証して誤って電源オン状態となることが防がれる。
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物であって、前記動力システムは、駆動源と、前記駆動源を制御する制御装置とを含むものである。この場合、認証及び運転者の乗車に関連付けられた動作の有無判定中は、駆動源及び制御装置を含む動力システムが電源オフ状態に保たれるため、省電力化が可能となる。
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る鞍乗型乗物であって、前記制御部は、前記動作検知部からの検知出力に基づいて、前記運転者の降車に関連付けられた動作が有りと判定された場合に、前記動力システムを電源オン状態から電源オフ状態に切替えるものである。この場合、運転者の降車に関連付けられた動作が検知された場合に、動力システムが電源オン状態から電源オフ状態に切替る。このため、運転者の降車時操作を簡易にすることができる。
第8の態様は、第1の態様に係る鞍乗型乗物であって、前記制御部は、前記運転者が所持する端末装置との間で無線通信を行って認証の成否を判定し、前記制御部は、認証距離基準値を設定変更可能に記憶しており、前記制御部は、前記鞍乗型乗物から前記端末装置までの距離に応じた物理量と前記認証距離基準値とを比較し、その比較結果に応じたタイミングで、認証の成否判定及び認証の破棄処理のうちの少なくとも一方の処理を行うものである。この場合、認証距離基準値を変更することによって、認証を開始したり、認証を破棄したりする、端末装置までの距離を変更することができる。このため、鞍乗型乗物の駐車環境等に応じた適切なタイミングで、認証開始或いは認証破棄がなされ得る。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。