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JP7579564B2 - Rb1陽性癌の治療用医薬組成物及びキット - Google Patents
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JP7579564B2 - Rb1陽性癌の治療用医薬組成物及びキット - Google Patents

Rb1陽性癌の治療用医薬組成物及びキット Download PDF

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Description

本発明は、RB1陽性癌の治療用医薬組成物及びキットに関する。より詳細には、本発明は、RB1陽性癌の治療用医薬組成物、RB1陽性癌の治療用キット、癌患者への医薬の投与の有効性を試験する方法、癌患者への医薬の投与の有効性を試験するためのキットに関する。
現在、肝細胞癌を含む多種類の癌に対する、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6阻害剤の単剤投与の有効性が、第II相臨床試験で検討されている(非特許文献1)。
Schettini F., et al., CDK 4/6 Inhibitors as Single Agent in Advanced Solid Tumors, Front Oncol., 8, 608, 2018.
しかしながら、発明者らは、インビトロ及びインビボでの検討において、CDK4及び6阻害剤の癌細胞株への単剤投与は、効果を示すものの最適ではないことを明らかにした。本発明は、RB1陽性癌を効果的に治療する技術を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせ、を有効成分として含有する、RB Transcriptional Corepressor 1(RB1)陽性癌の治療用医薬組成物。
[2]前記CDK4及び6阻害剤が、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)、リボシクリブ(CAS番号:1211441-98-3)、アベマシクリブ(CAS番号:1231929-97-7)、トリラシクリブ(CAS番号:1374743-00-6)又はレロシクリブ(CAS番号:1628256-23-4)である、[1]に記載の医薬組成物。
[3]CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤の組み合わせを有効成分として含有し、前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が、IKKβ阻害剤又はNF-κB阻害剤である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤がIKKβ阻害剤であり、前記IKKβ阻害剤が、Bay11-7082(CAS番号:19542-67-7)、IMD-0354(CAS番号:978-62-1)、IMD-1041(CAS番号:1073666-73-5)、IMD-2560、TPCA1(CAS番号:507475-17-4)、BOT-64(CAS番号:113760-29-5)、BMS345541(CAS番号:445430-58-0)、SC-514(CAS番号:354812-17-2)、IKK-16(CAS番号:1186195-62-9)、エルチプロタフィブ(CAS番号:251303-04-5)及びBay65-1942(HCl salt)(CAS番号:600734-06-3)からなる群より選択される、[3]に記載の医薬組成物。
[5]前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤がNF-κB阻害剤であり、前記NF-κB阻害剤が、QNZ(CAS番号:545380-34-5)、JSH-23(CAS番号:749886-87-1)、GYY4137(CAS番号:106740-09-4)、p-XSC(CAS番号:85539-83-9)、CV3988(CAS番号:85703-73-7)、プロスタグランジンE2(CAS番号:363-24-6)、LY294002(CAS番号:154447-36-6)、Wortmannin (CAS番号:19545-26-7)、メサラミン(CAS番号:89-57-6)、ロリプラム(CAS番号:85416-75-7)、没食子酸(CAS番号:149-91-7)、アナカルジン酸(CAS番号:16611-84-0)、MG-115(CAS番号:133407-86-0)、MG-132(CAS番号:133407-82-6)、ラクタシスチン(CAS番号:133343-34-7)、エポキソミシン(CAS番号:134381-21-8)、パルテノリド(CAS番号:20554-84-1)、カルフィルゾミブ(CAS番号:868540-17-4)、ボルテゾミブ(CAS番号:179324-69-7)、MLN-4924(CAS番号:905579-51-3)、デランゾミブ(CAS番号:847499-27-8)、イキサゾミブ(CAS番号:1239908-20-3)、マリゾミブ(CAS番号:437742-34-2)及びオプロゾミブ(CAS番号:935888-69-0)からなる群より選択される、[3]に記載の医薬組成物。
[6]CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の組み合わせを有効成分として含有し、前記AKT阻害剤が、Akt Inhibitor X(CAS番号:925681-41-0)、イパタセルチブ(CAS番号:1001264-89-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、ミラセルチブ(CAS番号:1313881-70-7)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ユプロセルチブ(CAS番号:1047634-65-0)、リン酸トリシリビン(CAS番号:61966-08-3)及びMK2206(CAS番号:1032350-13-2)からなる群より選択される、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[7]前記RB1陽性癌が、肝細胞癌、乳癌、肺癌又は大腸癌である、[1]~[6]のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤、を含む、RB1陽性癌の治療用キット。
[9]癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かを検査する工程を含み、前記癌細胞がRB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験する方法。
[10]RB1遺伝子のゲノムDNA増幅用プライマーセット、RB1遺伝子のゲノムDNAに対するプローブ、RB1遺伝子のcDNA増幅用プライマーセット、RB1遺伝子のmRNAに対するプローブ、又は、RB1タンパク質に対する特異的結合物質、を含み、癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かの検査に用いられ、前記癌細胞が、RB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、前記癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験するためのキット。
本発明によれば、RB1陽性癌を効果的に治療する技術を提供することができる。
RB1へのCDK4及び6阻害剤の作用を説明する模式図である。 (a)は、QKOマウスの作製手順を説明する模式図である。(b)は、QKOマウスの肝臓に形成された腫瘍の代表的な写真である。 (a)は実験例2におけるフローサイトメトリーの結果を示すグラフである。(b)は、(a)の結果に基づいて作成したグラフである。 実験例3におけるスクリーニングの結果を示すグラフである。 実験例4におけるBay11-7082を用いた検討において、細胞の生存率を示すグラフである。 実験例4におけるBay11-7082を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例4におけるIMD-0354を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例4におけるIKKβに対するshRNAを用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例4における初代肝細胞癌細胞(QKO PHCC)を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるHuh7細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるLi-7細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるH1975細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるHCC1143細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるT47D細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるHCT-116細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5におけるDLD-1細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5のリボシクリブ及びBay11-7082を併用した検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例5のアベマシクリブ及びBay11-7082を併用した検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例6において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例7におけるHepG2細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例7におけるSW480細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例7におけるHCT-116細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例7におけるDLD-1細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例7におけるA549細胞を用いた検討において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例8において、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。 実験例9のHepG2細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討における、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 実験例9のLi-7細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討における、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 実験例9の、テトラサイクリン誘導性にマウスRb1を発現するQKO PHCC細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討における、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。
[遺伝子名及びタンパク質名の表記]
本明細書では、ヒト遺伝子及びヒトタンパク質は、大文字のアルファベットで表すものとする。また、マウス遺伝子は、先頭文字を大文字のアルファベットで、それ以降を小文字のアルファベットで表すものとする。また、マウスタンパク質は大文字のアルファベットで表すものとする。しかしながら、場合により、ヒト遺伝子、マウス遺伝子を厳密に区別せずに表す場合がある。また、ヒトタンパク質、マウスタンパク質を厳密に区別せずに表す場合がある。
[医薬組成物又はキット]
1実施形態において、本発明は、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせ、を有効成分として含有する、RB1陽性癌の治療用医薬組成物を提供する。
医薬組成物は、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が混合された医薬組成物であってもよい。あるいは、医薬組成物は、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤が混合された医薬組成物であってもよい。
また、1実施形態において、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤は、混合されておらず、それぞれ別々の容器に収容されており、治療用キットを構成していてもよい。治療用キットの場合、これらの薬物は混合されていないが、組み合わせて投与される。
治療用キットは、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤の組み合わせを含んでいてもよい。あるいは、治療用キットは、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の組み合わせを含んでいてもよい。
実施例において後述するように、発明者らは、インビトロ及びインビボにおいて、CDK4及び6阻害剤と、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤又はAKT阻害剤とを併用することにより、RB1陽性の癌細胞を効果的に殺傷することができることを明らかにした。
図1は、RB1へのCDK4及び6阻害剤の作用を説明する模式図である。RB1は、有糸分裂の直後には脱リン酸化されている。活性化したCDK4及び6は、RB1をモノリン酸化する。RB1がモノリン酸化されると、CDK2複合体がRB1の完全なリン酸化を達成する。CDK4及び6の活性の阻害は、RB1のモノリン酸化を阻害する。その結果、RB1はリン酸化されていない状態で長期間維持されることになる。その結果、細胞周期停止だけでなく、老化、アポトーシス、免疫原性の増強等が誘導される。
RB1陽性癌とは、腫瘍を構成する癌細胞がRB1を発現している癌を意味する。RB1陽性癌が発現するRB1は、変異を有していてもよいが、上述した野生型のRB1の機能を維持していることが好ましく、野生型のRB1であることが好ましい。具体的なRB1陽性癌としては、肝細胞癌、乳癌、肺癌、大腸癌等が挙げられる。
ヒトRB1のcDNAのアクセッション番号はNM_000321.3である。また、ヒトRB1タンパク質のアクセッション番号はNP_000312.2である。また、マウスRb1のcDNAのアクセッション番号はNM_009029.2である。また、マウスRB1タンパク質のアクセッション番号はNP_033055.2である。
本実施形態の医薬組成物において、CDK4及び6阻害剤としては、CDK4及び6とサイクリンDからなる複合体の活性を阻害する薬物を用いることができる。CDK4及び6阻害剤は、低分子化合物であってもよいし、CDK4、CDK6又はサイクリンDに対する阻害性核酸であってもよい。阻害性核酸としては、shRNA、siRNA等が挙げられる。
より具体的なCDK4及び6阻害剤としては、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)、リボシクリブ(CAS番号:1211441-98-3)、アベマシクリブ(CAS番号:1231929-97-7)、トリラシクリブ(CAS番号:1374743-00-6)、レロシクリブ(CAS番号:1628256-23-4)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤としては、NF-κBシグナル伝達経路を遮断する薬物を用いることができる。
NF-κBシグナル伝達経路とは、IKKα、IKKβ及びIKKγ(NEMO)からなるIκBキナーゼ(IKK)が、IκBに結合して不活性化しているNF-κBの、IκBをリン酸化してユビキチン化及び分解を導き、その結果、NF-κBが細胞質から核に移行して遺伝子転写を活性化する経路である。
NF-κBシグナル伝達経路阻害剤は、例えば、IKKβ阻害剤であってもよいし、NF-κB阻害剤であってもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
NF-κBシグナル伝達経路阻害剤は、低分子化合物であってもよいし、IKKα、IKKβ、IKKγ(NEMO)、IκB、NF-κB等に対する阻害性核酸であってもよい。阻害性核酸としては、shRNA、siRNA等が挙げられる。
具体的なIKKβ阻害剤としては、Bay11-7082(CAS番号:19542-67-7)、IMD-0354(CAS番号:978-62-1)、IMD-1041(CAS番号:1073666-73-5)、IMD-2560、TPCA1(CAS番号:507475-17-4)、BOT-64(CAS番号:113760-29-5)、BMS345541(CAS番号:445430-58-0)、SC-514(CAS番号:354812-17-2)、IKK-16(CAS番号:1186195-62-9)、エルチプロタフィブ(CAS番号:251303-04-5)、Bay65-1942(HCl salt)(CAS番号:600734-06-3)等が挙げられる。
また、具体的なNF-κB阻害剤としては、QNZ(CAS番号:545380-34-5)、JSH-23(CAS番号:749886-87-1)、GYY4137(CAS番号:106740-09-4)、p-XSC(CAS番号:85539-83-9)、CV3988(CAS番号:85703-73-7)、プロスタグランジンE2(CAS番号:363-24-6)、LY294002(CAS番号:154447-36-6)、Wortmannin (CAS番号:19545-26-7)、メサラミン(CAS番号:89-57-6)、ロリプラム(CAS番号:85416-75-7)、没食子酸(CAS番号:149-91-7)、アナカルジン酸(CAS番号:16611-84-0)、MG-115(CAS番号:133407-86-0)、MG-132(CAS番号:133407-82-6)、ラクタシスチン(CAS番号:133343-34-7)、エポキソミシン(CAS番号:134381-21-8)、パルテノリド(CAS番号:20554-84-1)、カルフィルゾミブ(CAS番号:868540-17-4)、ボルテゾミブ(CAS番号:179324-69-7)、MLN-4924(CAS番号:905579-51-3)、デランゾミブ(CAS番号:847499-27-8)、イキサゾミブ(CAS番号:1239908-20-3)、マリゾミブ(CAS番号:437742-34-2)及びオプロゾミブ(CAS番号:935888-69-0)等が挙げられる。
本実施形態の医薬組成物は、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の組み合わせ、を有効成分として含有するものであってもよい。CDK4及び6阻害剤については上述したものと同様である。AKT阻害剤は、低分子化合物であってもよいし、AKTに対する阻害性核酸であってもよい。阻害性核酸としては、shRNA、siRNA等が挙げられる。
AKT阻害剤としては、Akt Inhibitor X(CAS番号:925681-41-0)、イパタセルチブ(CAS番号:1001264-89-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、ミラセルチブ(CAS番号:1313881-70-7)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ユプロセルチブ(CAS番号:1047634-65-0)、リン酸トリシリビン(CAS番号:61966-08-3)、MK2206(CAS番号:1032350-13-2)等が挙げられる。
CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤は、薬学的に許容される担体と混合されて、医薬組成物として製剤化されていてもよい。
あるいは、CDK4及び6阻害剤、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤、AKT阻害剤は、薬学的に許容される担体と混合されて、それぞれ別々に医薬組成物として製剤化されて治療用キットを構成していてもよい。
医薬組成物は、経口的に使用される剤型又は非経口的に使用される剤型に製剤化されていることが好ましい。医薬組成物は、経口的に使用される剤型であってもよく、非経口的に使用される剤型であってもよい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては、例えば注射剤、吸入剤、坐剤、貼付剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水等の溶媒;ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤等が挙げられる。
医薬組成物は添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノールの安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
医薬組成物は、上記の担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射等のほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、症状、投与方法等により変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
CDK4及び6阻害剤の投与量は、患者の症状等により変動するが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約75~400mg、例えば約75~125mg、例えば約100~400mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。非経口的に投与する場合、その投与量は、患者の症状、対象臓器、投与方法等により変動するが、全身投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約30~200mg、例えば約30~60mg、例えば約50~200mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。局所投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約7.5~40mg、例えば約7.5~12.5mg、例えば約10~40mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。
NF-κBシグナル伝達経路阻害剤の投与量は、患者の症状等により変動するが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約50~900mg、例えば約300~900mg、例えば約2~5mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。非経口的に投与する場合、その投与量は、患者の症状、対象臓器、投与方法等により変動するが、全身投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約2~200mg、例えば約2~5mg、例えば約50~200mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。局所投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約2~100mg、例えば約2~50mg、例えば約10~100mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。
AKT阻害剤の投与量は、患者の症状等により変動するが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約200~600mg、例えば約200~400mg、例えば約300~600mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。非経口的に投与する場合、その投与量は、患者の症状、対象臓器、投与方法等により変動するが、全身投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約100~800mg、例えば約100~500mg、例えば約400~800mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。局所投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約10~100mg、例えば約10~25mg、例えば約30~100mg程度を、1~10日に1回程度投与することが適切であると考えられる。
[癌患者への投与の有効性を試験する方法]
1実施形態において、本発明は、癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かを検査する工程を含み、前記癌細胞がRB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験する方法を提供する。
実施例において後述するように、癌細胞がRB1陽性であると、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与により、癌細胞を効果的に殺傷することができることを明らかにした。
癌細胞がRB1陽性であるとは、癌細胞がRB1を発現していることを意味する。癌細胞が発現するRB1は、変異を有していてもよいが、上述した野生型のRB1の機能を維持していることが好ましく、野生型のRB1であることが好ましい。
癌細胞がRB1陽性であるか否かは、例えば、癌細胞のゲノムDNA上のRB1遺伝子座のPCR増幅、RB1遺伝子のcDNAのPCR増幅、RB1遺伝子のmRNAのマイクロアレイによる検出、RB1タンパク質のELISA、ウエスタンブロッティング、免疫化学染色等により行うことができる。上記のPCR増幅産物をシーケンスして、RB1遺伝子に変異が存在するか否かを解析してもよい。
[癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験するためのキット]
1実施形態において、本発明は、RB1遺伝子のゲノムDNA増幅用プライマーセット、RB1遺伝子のゲノムDNAに対するプローブ、RB1遺伝子のcDNA増幅用プライマーセット、RB1遺伝子のmRNAに対するプローブ、又は、RB1タンパク質に対する特異的結合物質、を含み、癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かの検査に用いられ、前記癌細胞が、RB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、前記癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験するためのキットを提供する。
本実施形態のキットは、上述した、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与の有効性を試験する方法の実施に好適に利用することができる。
(ゲノムDNA増幅用プライマーセット)
本実施形態のキットは、RB1遺伝子のゲノムDNA増幅用プライマーセットを含んでいてもよい。プライマーセットの塩基配列は、ゲノム上のRB1遺伝子を増幅することができれば特に限定されない。
癌患者由来の癌細胞のゲノムDNAを、RB1遺伝子のゲノムDNA増幅用プライマーセットで増幅すると、癌細胞がゲノムDNA上にRB1遺伝子を保持していた場合には、RB1遺伝子の増幅が認められる。
癌患者由来の癌細胞がRB1遺伝子を保持していた場合には、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であると判断することができる。
(ゲノムDNAに対するプローブ)
本実施形態のキットは、RB1遺伝子のゲノムDNAに対するプローブを含んでいてもよい。プローブの塩基配列は、ゲノム上のRB1遺伝子を検出することができれば特に限定されない。プローブは核酸アレイを構成していてもよい。
癌患者由来の癌細胞のゲノムDNAにRB1遺伝子のゲノムDNAに対するプローブをハイブリダイズさせると、癌細胞がゲノムDNA上にRB1遺伝子を保持していた場合には、プローブがハイブリダイズし、RB1遺伝子の存在を検出することができる。
癌患者由来の癌細胞がRB1遺伝子を保持していた場合には、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であると判断することができる。
(cDNA増幅用プライマーセット)
本実施形態のキットは、RB1遺伝子のcDNA増幅用プライマーセットを含んでいてもよい。プライマーセットの塩基配列は、RB1遺伝子のcDNAを増幅することができれば特に限定されない。
癌患者由来の癌細胞からRNAを抽出し、RB1遺伝子のcDNA増幅用プライマーセットを用いたRT-PCRにより増幅すると、癌細胞がRB1遺伝子のmRNAを発現していた場合には、RB1遺伝子のcDNAの増幅が認められる。
癌患者由来の癌細胞がRB1遺伝子のmRNAを発現していた場合には、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であると判断することができる。
(mRNAに対するプローブ)
本実施形態のキットは、RB1遺伝子のmRNAに対するプローブを含んでいてもよい。プローブの塩基配列は、RB1遺伝子のmRNAを検出することができれば特に限定されない。プローブは核酸アレイを構成していてもよい。
癌患者由来の癌細胞からRNAを抽出し、RB1遺伝子のmRNAに対するプローブをハイブリダイズさせると、癌細胞がRB1遺伝子のmRNAを発現していた場合には、プローブがハイブリダイズし、RB1遺伝子のmRNAの存在を検出することができる。
癌患者由来の癌細胞がRB1遺伝子のmRNAを発現していた場合には、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であると判断することができる。
(特異的結合物質)
本実施形態のキットは、RB1タンパク質に対する特異的結合物質を含んでいてもよい。特異的結合物質としては、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。抗体断片としては、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv等が挙げられる。特異的結合物質は、RB1タンパク質を検出することができれば特に限定されない。特異的結合物質は、固相に結合されて、例えば、フローストリップ、アレイ等を構成していてもよい。
癌患者由来の癌細胞からタンパク質を抽出し、RB1タンパク質に対する特異的結合物質を用いたELISA又はウエスタンブロッティングにより、RB1タンパク質の存在を検出することができる。あるいは、癌患者由来の癌組織の切片を、RB1タンパク質に対する特異的結合物質を用いた免疫化学染色に供することにより、RB1タンパク質の存在を検出することができる。
癌患者由来の癌細胞がRB1タンパク質を発現していた場合には、癌患者への、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であると判断することができる。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、患者由来の癌細胞がRB1陽性であるか否かを検査する工程と、前記癌細胞がRB1陽性であった場合に、前記患者にCDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせを投与する工程とを含む、癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、RB1陽性癌の治療のための、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの使用を提供する。
1実施形態において、本発明は、RB1陽性癌の治療用医薬組成物又は治療用キットの製造のための、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの使用を提供する。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、マウスを用いた実験は、金沢大学の動物実験委員会が承認したプロトコル(AP-153426)にしたがって行った。
[実験例1]
(RB経路の不活性化は肝細胞癌の発症を誘導した)
RBファミリーには、RB1、RB Transcriptional Corepressor Like 1(RBL1)、RB Transcriptional Corepressor Like 2(RBL2)が存在する。
本実験例では、RBL1遺伝子を欠失し、Rb1遺伝子及びRbl2遺伝子をコンディショナルにノックアウト可能なマウス(以下、「TKOマウス」という場合がある。)において、更にTumor Protein P53(Trp53)遺伝子を欠失したマウス(以下、「QKOマウス」という場合がある。)を使用した。
図2(a)に示すように、Rb1lox/lox;Rbl1-/-;Rbl2lox/lox;Trp53-/-(QKO)マウスに、Creリコンビナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ピューロマイシン耐性タンパク質(Puro)をコードする遺伝子をタンデムに有するPiggyBacトランスポゾンベクターコンストラクト(pCMV-Puro-Cre-IRES2-GFP)、及び、トランスポゼーゼをコードする発現ベクター(pCMV-hyPBase)を、流体力学的注入法により尾静脈注射した。
その結果、注射から3日後に、肝臓においてGFPの蛍光が観察された。そして、図2(b)に示すように、典型的には、注射から2.5か月後に、肝臓に腫瘍の形成が認められた。図2(b)において、矢印は腫瘍を示す。
腫瘍から採取した初代肝細胞癌細胞(以下、「QKO PHCC」という場合がある。)は、Ki67及びα-フェトプロテイン(AFP)の高発現を示した。これは、肝細胞癌の特徴である。以上の結果から、RB経路の不活性化は肝細胞癌の発症を誘導することが明らかとなった。
[実験例2]
(CDK4/6阻害剤の投与は最適ではない)
RB7LPは、RB1の変異体であり、リン酸化を受けない。RB7LPは、RB1のN末端ドメインを欠失しているが、ポケットA、B、Cの全てを保持しているためE2F及びLxCxEモチーフを有するタンパク質と結合することができる。しかしながら、リン酸化されることが知られている7つのセリン残基がリン酸化されないアミノ酸に置換されている。配列番号1にRB7LPのアミノ酸配列を示す。
したがって、RB7LPは、CDK4/6阻害剤のRB1依存的な作用を模倣することができる。そこで、肝細胞癌細胞でRB7LPを発現させて、アポトーシスの誘導を検討した。
具体的には、ヒト肝癌細胞株であるHepG2に、テトラサイクリン誘導性のRB7LPの発現ベクター(pTRE3G-puro-RB7LP-GFP)を導入した。この細胞(以下、「HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞」という場合がある。)は培地へのドキシサイクリンの添加によりRB7LPを発現する。
続いて、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞の培地に1μg/mLのドキシサイクリンを添加して3日間インキュベートした。また、比較のためにドキシサイクリンを添加せずに同様にインキュベートした細胞を使用した。
続いて、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、各細胞のアネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。
続いて、FACS Canto II(BDバイオサイエンス社)を用いて各細胞を解析した。アネキシンVの蛍光値が高く、PIの蛍光値が低い細胞は、アポトーシス初期の細胞であり、アネキシンVの蛍光値及びPIの蛍光値の双方が高い細胞は、アポトーシス後期の細胞である。
図3(a)はフローサイトメトリーの結果を示すグラフである。図3(a)中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、横軸はアネキシンVの蛍光強度を示し、縦軸はPIの蛍光強度を示す。
図3(b)は、図3(a)の結果に基づいて作成したグラフである。図3(b)では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。図3(b)中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「***」は、対応のない両側スチューデントのt検定の結果、P<0.001で有意差が存在することを示す。
その結果、RB7LPの発現誘導によるアポトーシスの誘導は不十分であることが明らかとなった。この結果は、癌細胞へのCDK4/6阻害剤の投与によるアポトーシスの誘導が不十分であることを示す。
[実験例3]
(RB7LPの効果を増強する化合物のスクリーニング)
ドキシサイクリン存在下のHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を特異的に殺傷する化合物を、化合物ライブラリからスクリーニングした。
化合物ライブラリとして、80種類のキナーゼ阻害剤を含む市販のライブラリ(製品名「SCREEN-WELL Kinase Inhibitor Library」、型番「BML-2832」、エンゾライフサイエンス社)を使用した。
1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を3日間培養した。続いて、各細胞を96ウェルプレートに20,000個/ウェルで播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で終濃度1μMの各化合物に暴露し、24時間インキュベートした。続いて、市販のキット(製品名「Cell count reagent SF」、ナカライテスク社)を用いて各細胞の生存率を測定した。
図4は、スクリーニングの結果を示すグラフである。グラフの縦軸は下記式(F1)で示される割合を示す。下記式(F1)中、「DOX(+)細胞」はドキシサイクリンの存在下で化合物に暴露した細胞を示し、「DOX(-)細胞」はドキシサイクリンの非存在下で化合物に暴露した細胞を示す。
割合=DOX(-)細胞の生存率/DOX(+)細胞の生存率 …(F1)
また、横軸は化合物番号を示す。縦軸の値が高いほど、DOX(+)細胞特異的な細胞傷害性を有することを示す。その結果、IKKβ阻害剤であるBay11-7082(CAS番号:19542-67-7)が、DOX(+)細胞特異的な細胞傷害性を有することが明らかとなった。すなわち、Bay11-7082が、RB7LPを発現誘導したHepG2細胞の細胞傷害性を増強することが明らかとなった。
[実験例4]
(RB7LPの発現及びIKKβ阻害剤の効果の検討)
HepG2細胞及び初代肝細胞癌細胞(QKO PHCC)において、RB7LPの発現誘導及びIKKβ阻害剤の添加による細胞傷害性を検討した。IKKβ阻害剤として、Bay11-7082、IMD-0354(CAS番号:978-62-1)及びIKKβに対するshRNAを使用した。
《Bay11-7082を用いた検討》
1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を3日間培養した。続いて、各細胞を6ウェルプレートに播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、終濃度0,5,10,15,20,25μMのBay11-7082に暴露し、24時間インキュベートした。続いて、市販のキット(製品名「Cell count reagent SF」、ナカライテスク社)を用いて各細胞の生存率を測定した。
図5は、各細胞の生存率を示すグラフである。その結果、10~20μMのBay11-7082が、RB7LPの発現誘導に対して最も相乗的な効果を示すことが明らかとなった。
続いて、15μMのBay11-7082に24時間暴露したHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞について、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。
続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。図6は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図6では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図6中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」は終濃度15μMのBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「Z-VAD -」は、カスパーゼ阻害剤であるZ-VAD-FMK(カタログ番号「3188-v」、株式会社ペプチド研究所)の非存在下における結果であることを示し、「Z-VAD +」は、終濃度20μMのZ-VAD-FMKの存在下における結果であることを示す。また、「*」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.05及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、ドキシサイクリンの存在下で15μMのBay11-7082に暴露したHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞の80%超がアポトーシスを生じたことが明らかとなった。また、このアポトーシスはZ-VAD-FMKの添加により有意に抑制された。
この結果は、Bay11-7082が、RB7LPを発現誘導したHepG2細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強することを更に支持するものである。
《IMD-0354を用いた検討》
続いて、Bay11-7082の代わりに、IKKβ阻害剤であるIMD-0354(CAS番号:978-62-1)を用いて同様の検討を行った。
1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を3日間培養した。続いて、各細胞を6ウェルプレートに播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、終濃度15μMのIMD-0354に暴露し、24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図7は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図7では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図7中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「IMD -」はIMD-0354の非存在下における結果であることを示し、「IMD +」は終濃度15μMのIMD-0354の存在下における結果であることを示す。また、「**」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.01及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、IMD-0354が、ドキシサイクリンの存在下でRB7LPの発現を誘導したHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強したことが明らかとなった。すなわち、IMD-0354もBay11-7082と同様の効果を示すことが明らかとなった。
《IKKβに対するshRNAを用いた検討》
続いて、IKKβ阻害剤の添加の代わりにIKKβのノックダウンを行い、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞のアポトーシスの誘導が増強されるか否かを検討した。
IKKβに対するshRNAとして、市販のshRNA発現ベクター(カタログ番号「#SHCLNG-NM_001556」、「TRCN0000018917」、「TRCN0000018915」、「TRCN0000018916」、「TRCN0000018918」)のピューロマイシン耐性遺伝子をブラスチジン耐性遺伝子に置き換えたものを使用した。
4種類のshRNAをHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞に導入し、ウエスタンブロッティングによりIKKβの発現を確認した結果、いずれのshRNAを用いてもIKKβのノックダウンができることが確認された。そこで、これらのshRNAのうちの1種を次の実験に用いた。
IKKβに対するshRNAの発現ベクターを導入した又は導入していない、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で3日間培養した。続いて、各細胞を6ウェルプレートに播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で更に24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図8は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図8では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図8中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「shRNA -」はIKKβに対するshRNAを導入していない細胞の結果であることを示し、「shRNA +」はIKKβに対するshRNAを導入した細胞の結果であることを示す。また、「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、P<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、IKKβのノックダウンが、ドキシサイクリンの存在下でRB7LPの発現を誘導したHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強したことが明らかとなった。この結果は、IKKβの機能阻害が、RB7LPを発現誘導したHepG2細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強することを更に支持するものである。
《初代肝細胞癌細胞(QKO PHCC)を用いた検討》
HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞の代わりに、実験例1で採取したQKO PHCCを用いた検討を行った。
QKO PHCCに、RB7LPの発現ベクター(plenti6.3-RB7LP)を導入した細胞(以下、「RB7LP(+)QKO PHCC細胞」という場合がある。)及びLacZの発現ベクター(plenti6.3/V5-LacZ)を導入した細胞(以下、「RB7LP(-)QKO PHCC細胞」という場合がある。)をそれぞれ作製した。
続いて、RB7LP(+)QKO PHCC細胞及びRB7LP(-)QKO PHCC細胞を、終濃度15μMのBay11-7082に暴露し、24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図9は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図9では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図9中、「RB7LP -」はRB7LP(-)QKO PHCC細胞の結果であることを示し、「RB7LP +」はRB7LP(+)QKO PHCC細胞の結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」は終濃度15μMのBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「*」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.05及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、Bay11-7082が、RB7LPを発現させたQKO PHCC細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強したことが明らかとなった。すなわち、QKO PHCC細胞においてもHepG2細胞と同様の結果が示された。
[実験例5]
(CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用効果の検討)
様々な癌細胞株を、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の存在下でインキュベートした後、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
癌細胞株としては、ヒト肝癌細胞株である、Huh7、Li-7及びHepG2、ヒト肺癌細胞株であるH1975、ヒト乳癌細胞株である、HCC1143及びT47D、ヒト結腸癌細胞株である、HCT-116及びDLD-1を使用した。これらの細胞は、全てRB1陽性であることが知られている。
CDK4及び6阻害剤としては、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)、リボシクリブ(CAS番号:1211441-98-3)又はアベマシクリブ(CAS番号:1231929-97-7)を使用した。また、IKKβ阻害剤としては、Bay11-7082を使用した。
《パルボシクリブ及びBay11-7082の併用》
Huh7細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度10μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。Li-7細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度15μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。H1975細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度10μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。HCC1143細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度10μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で4時間インキュベートした。T47D細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度10μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。HCT-116細胞は、終濃度8μMのパルボシクリブ及び終濃度15μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。DLD-1細胞は、終濃度8μMのパルボシクリブ及び終濃度15μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。
図10~16は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図10~16では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図10はHuh7細胞の結果であり、図11はLi-7細胞の結果であり、図12はH1975細胞の結果であり、図13はHCC1143細胞の結果であり、図14はT47D細胞の結果であり、図15はHCT-116細胞の結果であり、図16はDLD-1細胞の結果である。
図10~16中、「Palbo. -」はパルボシクリブの非存在下における結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブの存在下における結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「n.s.」、「*」、「**」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、有意差がないこと、P<0.05、P<0.01及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、いずれの癌細胞株においても、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用により、アポトーシスの誘導が有意に増強されることが明らかとなった。この結果は、肝細胞癌だけでなく、肺癌、乳癌、結腸癌においても、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用が有効であることを示す。
《リボシクリブ及びBay11-7082の併用》
CDK4及び6阻害剤として、リボシクリブを用いた検討を行った。HepG2細胞に、終濃度8μMのリボシクリブ及び終濃度15μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図17は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図17では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図17中、「Ribo. -」はリボシクリブの非存在下における結果であることを示し、「Ribo. +」はリボシクリブの存在下における結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「n.s.」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、有意差がないこと、P<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、CDK4及び6阻害剤としてリボシクリブを使用した場合においても、IKKβ阻害剤との併用により、アポトーシスの誘導が有意に増強されることが明らかとなった。
《アベマシクリブ及びBay11-7082の併用》
CDK4及び6阻害剤として、アベマシクリブを用いた検討を行った。HepG2細胞に、終濃度6μMのアベマシクリブ及び終濃度10μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図18は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図18では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図18中、「Abema. -」はアベマシクリブの非存在下における結果であることを示し、「Abema. +」はアベマシクリブの存在下における結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、P<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、CDK4及び6阻害剤としてアベマシクリブを使用した場合においても、IKKβ阻害剤との併用により、アポトーシスの誘導が有意に増強されることが明らかとなった。
[実験例6]
(RB7LPの発現及びNF-κB阻害剤の効果の検討)
IKKβ阻害剤の代わりにNF-κB阻害剤を使用して、RB7LPの発現誘導及びNF-κB阻害剤の添加によるアポトーシスの誘導を検討した。NF-κB阻害剤として、QNZ(CAS番号:545380-34-5)を使用した。
1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、HepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞を3日間培養した。続いて、各細胞を6ウェルプレートに播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、終濃度50nMのQNZに暴露し、24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図19は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図19では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図19中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「QNZ -」はQNZの非存在下における結果であることを示し、「QNZ +」はQNZの存在下における結果であることを示す。また、「**」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.01及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、QNZが、ドキシサイクリンの存在下でRB7LPの発現を誘導したHepG2-pTRE3G-puro-RB7LP-GFP細胞のアポトーシスの誘導を有意に増強したことが明らかとなった。すなわち、NF-κB阻害剤も、IKKβ阻害剤と同様の効果を示すことが明らかとなった。
[実験例7]
(CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の併用効果の検討)
IKKβ阻害剤の代わりにAKT阻害剤を使用した検討を行った。様々な癌細胞株を、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の存在下でインキュベートした後、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
癌細胞株としては、ヒト肝癌細胞株であるHepG2、ヒト結腸癌細胞株であるSW480、HCT-116及びDLD-1、ヒト肺癌細胞株であるA549を使用した。
CDK4及び6阻害剤としては、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)を使用した。また、AKT阻害剤としては、Akt Inhibitor X(CAS番号:925681-41-0)を使用した。
HepG2細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度25μMのAkt Inhibitor Xの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。SW480細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度20μMのAkt Inhibitor Xの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。HCT-116細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度20μMのAkt Inhibitor Xの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。DLD-1細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度20μMのAkt Inhibitor Xの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。A549細胞は、終濃度10μMのパルボシクリブ及び終濃度20μMのAkt Inhibitor Xの存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。
図20~24は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図20~24では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図20はHepG2細胞の結果であり、図21はSW480細胞の結果であり、図22はHCT-116細胞の結果であり、図23はDLD-1細胞の結果であり、図24はA549細胞の結果である。
図20~24中、「Palbo. -」はパルボシクリブの非存在下における結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブの存在下における結果であることを示す。また、「CAS -」はAkt Inhibitor Xの非存在下における結果であることを示し、「CAS +」はAkt Inhibitor Xの存在下における結果であることを示す。また、「*」、「***」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.05、P<0.001及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、いずれの癌細胞株においても、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の併用により、アポトーシスの誘導が有意に増強されることが明らかとなった。この結果は、肝細胞癌だけでなく、結腸癌、肺癌、においても、CDK4及び6阻害剤、及び、AKT阻害剤の併用が有効であることを示す。
[実験例8]
(RB1の発現が、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用効果に及ぼす影響の検討)
RB1の発現が、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用効果に及ぼす影響を検討した。
まず、QKO PHCC細胞に、テトラサイクリン誘導性のRb1の発現ベクターを導入した。この細胞(以下、「QKO-PHCC-pTRE3G-blast-mouse Rb1-mcherry細胞」という場合がある。)は、培地へのドキシサイクリンの添加によりRb1を発現する。
続いて、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下で、QKO-PHCC-pTRE3G-blast-mouse Rb1-mcherry細胞を3日間培養した。続いて、各細胞を6ウェルプレートに播種し、1μg/mLのドキシサイクリンの存在下又は非存在下、終濃度10μMのパルボシクリブの存在下又は非存在下、終濃度15μMのBay11-7082の存在下又は非存在下で24時間インキュベートした。
続いて、実験例2と同様にして、eBioscience Annexin V-FITC Apoptosis Detection Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて、アネキシンV陽性細胞を染色した。また、ヨウ化プロピジウム(PI)で死細胞を染色した。続いて、フローサイトメトリー解析を行い、アポトーシスを生じた細胞の割合を測定した。
図25は、フローサイトメトリーの結果に基づいて作成したグラフである。図25では、アポトーシス初期(アネキシンV陽性、PI陰性)の細胞の割合及びアポトーシス後期(アネキシンV陽性、PI陽性)の細胞の割合の合計をアポトーシスを生じた細胞の割合とした。
図25中、「DOX -」はドキシサイクリンの非存在下における結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを添加した結果であることを示す。また、「Palbo. -」はパルボシクリブの非存在下における結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブの存在下における結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082の非存在下における結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082の存在下における結果であることを示す。また、「**」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.01及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、Rb1の非存在下では、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用によるアポトーシス誘導効果はごくわずかしか認められなかった。これに対し、Rb1の存在下では、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用によるアポトーシスの誘導を有意に増強したことが明らかとなった。この結果は、癌細胞におけるRB1の存在の有無が、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用の有効性を示すマーカーであることを示す。
[実験例9]
(インビボでのCDK4/6阻害剤及びIKKβ阻害剤の併用効果の検討)
担癌マウスモデルにCDK4/6阻害剤及びIKKβ阻害剤を投与し、腫瘍体積の経時変化を測定した。
担癌マウスモデルとしては、HepG2細胞を移植した担癌マウスモデル、Li-7細胞を移植した担癌マウスモデル、テトラサイクリン誘導性にマウスRb1を発現するQKO PHCC細胞(QKO-PHCC-pTRE3G-blast-mouse Rb1-mcherry細胞)を移植した担癌マウスモデルを使用した。
CDK4及び6阻害剤としては、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)を使用した。また、IKKβ阻害剤としては、Bay11-7082を使用した。
《HepG2細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討》
HepG2細胞1×10個をKSN/slcマウス(6週齢、雄)の背部皮下にマトリゲル(カタログ番号「354234」、コーニング社)とともに移植し、担癌マウスモデルを作製した。約4週間後、腫瘍サイズが約200mmに到達した後、試験群のマウスへのパルボシクリブ及びBay11-7082の投与を開始した。パルボシクリブは、強制経口投与により80mg/Kgの投与量で毎日投与した。Bay11-7082は、コーン油に溶解し、皮下注射により20mg/Kgの投与量で2日ごとに投与した。また、対照群にはビヒクル(コーン油又はL-乳酸ナトリウム)を投与した。各群のマウスについて、2日ごとに腫瘍体積及び体重を測定した(n=5)。
図26は各群のマウスの腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。図26中、縦軸は腫瘍体積の増加率(%)を示し、横軸は薬物の投与開始後の日数を示す。
図26中、「Palbo. -」はパルボシクリブを投与しなかったマウスの結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブを投与したマウスの結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082を投与しなかったマウスの結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082を投与したマウスの結果であることを示す。また、「*」、「***」及び「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、それぞれ、P<0.05、P<0.01及びP<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、パルボシクリブ単独投与により、非投与群と比較して、わずかに腫瘍体積の増加が抑制された。また、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用投与がほぼ完全に腫瘍体積の増加を抑制したことが明らかとなった。また、各群のマウスの体重には有意な差は認められなかった。この結果は、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用がインビボでも有効であることを示す。
《Li-7細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討》
Li-7細胞1×10個をKSN/slcマウス(6週齢、雄)の背部皮下にマトリゲル(カタログ番号「354234」、コーニング社)とともに移植し、担癌マウスモデルを作製した。約5週間後、腫瘍サイズが約200mmに到達した後、試験群のマウスへのパルボシクリブ及びBay11-7082の投与を開始した。パルボシクリブは、強制経口投与により80mg/Kgの投与量で毎日投与した。Bay11-7082は、コーン油に溶解し、皮下注射により20mg/Kgの投与量で2日ごとに投与した。また、対照群にはビヒクル(コーン油又はL-乳酸ナトリウム)を投与した。各群のマウスについて、2日ごとに腫瘍体積及び体重を測定した(n=5)。
図27は各群のマウスの腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。図27中、縦軸は腫瘍体積の増加率(%)を示し、横軸は薬物の投与開始後の日数を示す。
図27中、「Palbo. -」はパルボシクリブを投与しなかったマウスの結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブを投与したマウスの結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082を投与しなかったマウスの結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082を投与したマウスの結果であることを示す。また、「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、P<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、パルボシクリブ単独投与により、非投与群と比較して、有意に腫瘍体積の増加が抑制された。また、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用投与が腫瘍体積を有意に減少させたことが明らかとなった。また、各群のマウスの体重には有意な差は認められなかった。この結果は、Li-7細胞由来の腫瘍においても、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用がインビボで有効であることを示す。
《テトラサイクリン誘導性にマウスRb1を発現するQKO PHCC細胞を移植した担癌マウスモデルによる検討》
QKO-PHCC-pTRE3G-blast-mouse Rb1-mcherry細胞5×10個をKSN/slcマウス(6週齢、雄)の背部皮下にマトリゲル(カタログ番号「354234」、コーニング社)とともに移植し、担癌マウスモデルを作製した。腫瘍サイズが約200mmに到達した後、試験群のマウスへのドキシサイクリン、パルボシクリブ及びBay11-7082の投与を行った。
ドキシサイクリン(50mg/Kg)及びパルボシクリブ(80mg/Kg)は、強制経口投与により毎日投与した。Bay11-7082は、コーン油に溶解し、皮下注射により20mg/Kgの投与量で2日ごとに投与した。また、対照群にはビヒクル(0.9%NaCl、コーン油又はL-乳酸ナトリウム)を投与した。各群のマウスについて、2日ごとに腫瘍体積及び体重を測定した(n=5)。
図28は各群のマウスの腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。図28中、縦軸は腫瘍体積の増加率(%)を示し、横軸は薬物の投与開始後の日数を示す。
図28中、「DOX -」はドキシサイクリンを投与しなかったマウスの結果であることを示し、「DOX +」はドキシサイクリンを投与したマウスの結果であることを示す。また、「Palbo. -」はパルボシクリブを投与しなかったマウスの結果であることを示し、「Palbo. +」はパルボシクリブを投与したマウスの結果であることを示す。また、「BAY -」はBay11-7082を投与しなかったマウスの結果であることを示し、「BAY +」はBay11-7082を投与したマウスの結果であることを示す。また、「****」は、双方向ANOVA及びそれに続くTukeyの事後検定の結果、P<0.0001で有意差が存在することを示す。
その結果、パルボシクリブ単独投与により、非投与群と比較して、有意に腫瘍体積の増加が抑制された。また、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用投与が腫瘍体積を有意に減少させたことが明らかとなった。また、各群のマウスの体重には有意な差は認められなかった。この結果は、Li-7細胞由来の腫瘍においても、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用がインビボで有効であることを示す。
その結果、Rb1の非存在下では、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用投与による腫瘍体積の増加の抑制効果はごくわずかしか認められなかった。これに対し、Rb1の存在下では、パルボシクリブ及びBay11-7082の併用投与により腫瘍体積の有意な減少が認められた。この結果は、癌細胞におけるRB1の存在の有無が、CDK4及び6阻害剤、及び、IKKβ阻害剤の併用の有効性を示すマーカーであることを更に支持するものである。
本発明によれば、RB1陽性癌を効果的に治療する技術を提供することができる。

Claims (4)

  1. サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせ、を有効成分として含有する、RB Transcriptional Corepressor 1(RB1)陽性癌の治療用医薬組成物であって、
    前記CDK4及び6阻害剤が、パルボシクリブ(CAS番号:571190-30-2)、リボシクリブ(CAS番号:1211441-98-3)又はアベマシクリブ(CAS番号:1231929-97-7)であり、
    前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が、IKKβ阻害剤又はNF-κB阻害剤であり、
    前記IKKβ阻害剤が、Bay11-7082(CAS番号:19542-67-7)、IMD-0354(CAS番号:978-62-1)又はIKKβに対する阻害性核酸であり、
    前記NF-κB阻害剤が、QNZ(CAS番号:545380-34-5)であり、
    前記AKT阻害剤が、Akt Inhibitor X(CAS番号:925681-41-0)であり、
    前記RB1陽性癌が、肝細胞癌又は肺癌である、医薬組成物
  2. サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤、を含む、RB1陽性癌の治療用キットであって、
    前記CDK4及び6阻害剤が、パルボシクリブ、リボシクリブ又はアベマシクリブであり、
    前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が、IKKβ阻害剤又はNF-κB阻害剤であり、
    前記IKKβ阻害剤が、Bay11-7082、IMD-0354又はIKKβに対する阻害性核酸であり、
    前記NF-κB阻害剤が、QNZであり、
    前記AKT阻害剤が、Akt Inhibitor Xであり
    前記RB1陽性癌が、肝細胞癌又は肺癌である、治療用キット
  3. 癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かを検査する工程を含み、
    前記癌細胞がRB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験する方法であって、
    前記CDK4及び6阻害剤が、パルボシクリブ、リボシクリブ又はアベマシクリブであり、
    前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が、IKKβ阻害剤又はNF-κB阻害剤であり、
    前記IKKβ阻害剤が、Bay11-7082、IMD-0354又はIKKβに対する阻害性核酸であり、
    前記NF-κB阻害剤が、QNZであり、
    前記AKT阻害剤が、Akt Inhibitor Xであり
    前記RB1陽性癌が、肝細胞癌又は肺癌である、方法
  4. RB1遺伝子のゲノムDNA増幅用プライマーセット、
    RB1遺伝子のゲノムDNAに対するプローブ、
    RB1遺伝子のcDNA増幅用プライマーセット、
    RB1遺伝子のmRNAに対するプローブ、又は
    RB1タンパク質に対する特異的結合物質、を含み、
    癌患者由来の癌細胞が、RB1陽性であるか否かの検査に用いられ、
    前記癌細胞が、RB1陽性であることが、前記癌患者の治療に、CDK4及び6阻害剤、及び、NF-κBシグナル伝達経路阻害剤若しくはAKT阻害剤の組み合わせの投与が有効であることを示す、前記癌患者への前記組み合わせの投与の有効性を試験するためのキットであって、
    前記CDK4及び6阻害剤が、パルボシクリブ、リボシクリブ又はアベマシクリブであり、
    前記NF-κBシグナル伝達経路阻害剤が、IKKβ阻害剤又はNF-κB阻害剤であり、
    前記IKKβ阻害剤が、Bay11-7082、IMD-0354又はIKKβに対する阻害性核酸であり、
    前記NF-κB阻害剤が、QNZであり、
    前記AKT阻害剤が、Akt Inhibitor Xであり
    前記RB1陽性癌が、肝細胞癌又は肺癌である、キット
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