JP7583644B2 - 二酸化炭素の固定化方法 - Google Patents
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Description
これに関して、セメント製造工場で発生する排ガスから回収された二酸化炭素を、コンクリート等に固定化する技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、粉体成分として、γ-C2S(記号γ)、製鋼スラグ粉末(記号B)の1種または2種と、ポルトランドセメント(記号C)を含有し、上記γ、B、Cの合計含有量に占めるγ、Bの合計が25~95質量%であり、水セメント比W/Cが80~250%である配合のコンクリート混練物を型枠に打設し、脱型後に当該コンクリートの固化体に通気可能な1または2以上の孔を穿ち、そのコンクリート固化体をCO2濃度5~95%の雰囲気中で炭酸化養生することにより表面(前記孔内部の表面を除く)から深さ20mm以上の部位(ただし肉厚が20mm未満の部分は肉厚全体)に炭酸化領域を形成させるとともに、前記孔内部の表面からも炭酸化領域を形成させる、CO2吸収プレキャストコンクリートの製造方法が記載されている。該方法では、炭酸化養生に使用する二酸化炭素の供給源として、工場や施設から排出される燃焼排ガスを利用することができる。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供するものである。
[1] 加圧して液化した炭酸ガスが収容された液化炭酸ガス収容手段から、上記液化した炭酸ガスを、ドライアイスを生成させるのに十分な大きさの圧力低下速度で圧力を低下させる条件下で、噴出させて、粉末状のドライアイスを得る炭酸ガス固体化工程と、上記粉末状のドライアイスを、成形用容器内に圧縮して収容し、かさ密度が0.30~1.00g/cm3であり、上記成形用容器の内部空間と同じ形状を有するブロック状のドライアイスを得るドライアイス成形工程と、上記成形用容器から、上記ブロック状のドライアイスを取り出し、次いで、少なくとも、上記ブロック状のドライアイスまたはその破砕物と、セメントと、水を混合して、上記ブロック状のドライアイスに由来する二酸化炭素が固定されてなるセメント組成物を得るドライアイス利用工程とを含むことを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。
[2] 上記ブロック状のドライアイスまたはその破砕物の体積が100~1,000cm3である前記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法。
[3] 上記水が、炭酸含有水である前記[1]又は[2]に記載の二酸化炭素の固定化方法。
以下、工程ごとに詳しく説明する。
本工程は、加圧して液化した炭酸ガスが収容された液化炭酸ガス収容手段から、液化した炭酸ガスを、ドライアイスを生成させるのに十分な大きさの圧力低下速度で圧力を低下させる条件下で噴出させて、粉末状のドライアイスを得る工程である。
加圧によって液化した炭酸ガスを、ノズル等を通して急速に圧力を低下させると、ジュールトムソン効果により、炭酸ガスの温度が低下し、ドライアイスが生成される。
例えば、液化炭酸ガス収容手段から、液化炭酸ガス収容手段に接続したノズル等を通して、その内部に収容された液化炭酸ガスを大気圧下に噴出させることによって、粉末状のドライアイスを得ることができる。なお、液化炭酸ガスを、大気圧下で噴出させる際の気温は、特に限定されないが、通常、常温(例えば、20℃)である。
液化炭酸ガス収容手段としては、液化炭酸ガスを、液化した状態を維持したまま収容することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、液化炭酸ガスボンベ、液化炭酸ガス貯蔵タンク等が挙げられる。
本工程は、前工程で得られた粉末状のドライアイスを、成形用容器内に圧縮して収容し、かさ密度が0.30~1.00g/cm3であり、成形用容器の内部空間と同じ形状を有するブロック状のドライアイスを得る工程である。
成形用容器は、その内部空間に、粉末状のドライアイスを収容することができるものであればよく、材質や形状は特に限定されるものではない。成形用容器の形状は、成形されたドライアイスを容易に取り出せる観点から、成形用容器の内部空間が、円柱状または角柱状であるものが好ましく、円柱状であるものがより好ましい。
また、粉末状のドライアイスを成形用容器に投入した後、プレス機等を用いて、成形用容器内の粉末状のドライアイスを圧縮してもよい。
本工程は、成形用容器から、ブロック状のドライアイスを取り出し、次いで、少なくとも、ブロック状のドライアイスまたはその破砕物と、セメントと、水を混合して、上記ブロック状のドライアイスに由来する二酸化炭素が固定されてなるセメント組成物を得る工程である。
混合されるブロック状のドライアイスまたはその破砕物は、該ドライアイスのかさ密度や体積、混合するセメントの量等によっても異なるが、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
また、ミキサ等の混合手段の形状、大きさに応じて、成形用容器から取り出されたブロック状のドライアイスを破砕し、得られた破砕物をセメント等と混合してもよい。また、上記破砕物の体積は、ドライアイスが容易に解砕されることを防ぐ観点から、100cm3以上、好ましくは200cm3以上である。
ブロック状のドライアイスまたはその破砕物の量(ただし、ブロック状のドライアイスまたはその破砕物は、2個以上用いてもよく、その場合には、その合計量)は、セメント1トンに対して、好ましくは100~250kg、より好ましくは120~230kg、さらに好ましくは140~200kg、特に好ましくは150~180kgである。上記量が100kg以上であれば、セメント組成物に固定化される二酸化炭素の量をより多くすることができる。上記量が250kg以下であれば、セメント組成物の強度発現性の低下を防ぐことができる。
水の量は、特に限定されるものではなく、ペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物における一般的な量であればよい。
また、セメント組成物により多くの量の二酸化炭素を固定化する観点から、上記水として、炭酸含有水を用いてもよい。
ここで、本明細書中、炭酸含有水とは、炭酸ガス(気体の二酸化炭素)を含む水を意味する。具体的には、炭酸水、二酸化炭素無気泡溶解水、ドライアイスを水に投入し飽和させてなる水、炭酸ガスを含む気泡を有する二酸化炭素ファインバブル水(例えば、二酸化炭素マイクロバブル水、二酸化炭素ウルトラファインバブル水等)等が挙げられる。
ここで、炭酸水は、例えば、高圧下で水に炭酸ガスを吹き込む方法によって得ることができる。
また、二酸化炭素無気泡溶解水は、例えば、常圧下で水に炭酸ガスを吹き込む方法によって得ることができる。
また、上記炭酸ガスや、上記ドライアイスの原料として用いられる炭酸ガスとして、セメント製造等において発生した排ガスから二酸化炭素を分離回収したガス等を用いてもよい。該ガスを用いることで、セメント製造等における二酸化炭素の排出量を低減することができる。
炭酸ガスを含む気泡を有する二酸化炭素ファインバブル水としては、気泡の全体積(100体積%)中、1μm未満の粒径を有する気泡の割合が50体積%以上である二酸化炭素ウルトラファインバブル水や、気泡の全体積(100体積%)中、1μm以上、100μm未満の粒径を有する気泡の割合が50体積%以上である二酸化炭素マイクロバブル水等が挙げられる。
上記気泡を構成する気体は炭酸ガスを含むものである。上記気泡を構成する気体中の炭酸ガスの含有率は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは20体積%以上、特に好ましくは40体積%以上である。該含有率が5体積%以上であれば、セメント組成物に固定化される二酸化炭素の量をより多くすることができる。上記気泡を構成する気体として、セメント製造等において発生した排ガスや、該排ガスから二酸化炭素を分離回収したガス等を用いてもよい。上記排ガスや、上記排ガスから二酸化炭素を分離回収したガス等を用いることで、セメント製造等における二酸化炭素の排出量を低減することができる。
[使用材料]
(1) セメント;太平洋セメント社製、普通ポルトランドセメント
(2) 水;炭酸水(炭酸ガスの量:6,000mg/リットル)
(3)細骨材;山砂
(4)AE減水剤;ポゾリス社製、商品名「マスターポリヒード 15S」
20℃の大気圧下で、直径12cm、高さ7cmの円柱状である内部空間を有する成形用容器内に、液化炭酸ガスボンベに接続したノズルから粉末状のドライアイスを噴出させて、収容した。その際、ノズルからの噴出の圧力によって、ドライアイスを圧縮した。
成形用容器から、直径12cm、高さ7cmである円柱状のドライアイス(体積:791cm3)を取り出した。この円柱状(ブロック状)のドライアイスのかさ密度は0.87g/cm3であった。上記円柱状のドライアイスを破砕して、ドライアイスの破砕物3個(1個の体積:200~300cm3程度)を得た。
セメントと予めAE減水剤を混合してなる炭酸水をミキサ内に投入し、30秒間混合した後、細骨材をミキサ内に投入して30秒間混合した。その後、ミキサの内壁に付着した混練物を掻き落とした後、60秒間混合し、次いで、ドライアイスの破砕物をミキサ内に投入し、120秒間混合して、モルタルを得た。
各材料の配合量は、炭酸水とセメントの質量比(炭酸水/セメント)が0.5となり、細骨材とセメントの質量比(細骨材/セメント)が2.55となるように定めた。また、ドライアイスの量は、セメント1トン当たり167kgとなる量に定めた。AE減水剤の量は、セメント100質量部に対して0.7質量部に定めた。
また、モルタルに固定化されている二酸化炭素の量を、モルタルに含まれるセメント1トン当たりの質量として、熱重量-示差熱分析(TG-DTA)を用いて求めた。具体的には、熱重量-示差熱分析(TG-DTA)の測定結果から、550~800℃付近の吸熱ピーク範囲における質量の減少を、上記モルタルに含まれている炭酸カルシウムの脱炭酸によるものと判断し、上記減少の量から上記二酸化炭素の量を算出した。
ノズルからの噴出の圧力を変えた以外は実施例1と同様にして、表1に示すかさ密度のドライアイスを得た。得られたドライアイスを用いて、実施例1と同様にして、モルタルを製造し、該モルタルの圧縮強さ及びモルタルに固定化されている二酸化炭素の量を測定した。
[比較例1]
セメントと、予めAE減水剤を混合してなる水をミキサ内に投入し、30秒間混合した後、細骨材をミキサ内に投入して30秒間混合した。次いで、ミキサの内壁に付着した混練物を掻き落とした後、180秒間混合して、モルタルを得た。
各材料の配合量は、水とセメントの質量比(炭酸水/セメント)が0.5となり、細骨材とセメントの質量比(細骨材/セメント)が2.55となるように定めた。また、AE減水剤の量は、セメント100質量部に対して0.7質量部に定めた。
得られたモルタルの圧縮強さ及びモルタルに固定化されている二酸化炭素の量を、実施例1と同様にして測定した。
ドライアイスの破砕物の代わりに、該破砕物と同質量の粉末状のドライアイスを用いた以外は、実施例1と同様にして、モルタルを得た。
該モルタルの材齢1日、7日、28日におけるモルタル圧縮強さ、及び、モルタルに固定化されている二酸化炭素の量を、実施例1と同様にして測定した。
実施例1~3及び比較例1~2の各々について、材齢1日、7日、28日におけるモルタル圧縮強さ、並びに、ドライアイス及び炭酸水から取り込まれてモルタルに固定化された二酸化炭素の量を表1に示す。
なお、実施例1~3及び比較例1~2において、TG-DTAの測定から算出した二酸化炭素の量には、モルタルの原料であるセメントに含まれている石灰石の炭酸カルシウム由来のものも含まれている。
実施例1~3及び比較例1~2で用いられているセメントの種類及び量は同じであるため、比較例1の二酸化炭素の量(全て、セメントに含まれている石灰石由来のものであって、セメント1トン当たりの二酸化炭素の質量は、32.8kgである。)を、実施例1~3及び比較例2~3の各々の二酸化炭素の量から減ずることで、ドライアイス及び炭酸水から取り込まれてモルタルに固定化された二酸化炭素の量を算出することができる。
さらに、実施例1~3の材齢7日、及び28日のモルタルの圧縮強さ(7日:36.3~37.2N/mm2、28日:57.2~61.2N/mm2)は、比較例1~2の材齢7日、及び28日のモルタルの圧縮強さ(7日:32.1~35.0N/mm2、28日:50.2~51.2N/mm2)よりも大きいことがわかる。
Claims (2)
- 加圧して液化した炭酸ガスが収容された液化炭酸ガス収容手段から、上記液化した炭酸ガスを、ドライアイスを生成させるのに十分な大きさの圧力低下速度で圧力を低下させる条件下で噴出させて、粉末状のドライアイスを得る炭酸ガス固体化工程と、
上記粉末状のドライアイスを、成形用容器内に圧縮して収容し、かさ密度が0.45~0.90g/cm3であり、上記成形用容器の内部空間と同じ形状を有し、かつ、体積が100~1,000cm 3 であるブロック状のドライアイスを得るドライアイス成形工程と、
上記成形用容器から、上記ブロック状のドライアイスを取り出し、次いで、少なくとも、上記ブロック状のドライアイスまたは該ドライアイスを破砕して得られた、体積が100cm 3 以上である破砕物と、セメントと、水を混合して、上記ブロック状のドライアイスに由来する二酸化炭素が固定されてなるセメント組成物を得るドライアイス利用工程とを含み、
上記ドライアイス利用工程において、上記ブロック状のドライアイスまたは上記破砕物の量が、セメント1トンに対して100~250kgであることを特徴とする二酸化炭素の固定化方法。 - 上記水が、炭酸含有水である請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
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