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JP7588066B2 - 研磨用組成物 - Google Patents
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Description

本発明は、研磨用組成物に関する。
本出願は、2019年3月26日に出願された日本国特許出願2019-058620に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
金属や半金属、非金属、その酸化物等の材料表面に対して、研磨用組成物を用いた精密研磨が行われている。例えば、半導体装置の構成要素等として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般に、ラッピング工程(粗研磨工程)とポリシング工程(精密研磨工程)とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程(予備研磨工程)と仕上げポリシング工程(最終研磨工程)とを含む。シリコンウェーハ等の半導体基板を研磨する用途で主に使用される研磨用組成物に関する技術文献として、特許文献1~4が挙げられる。
日本国特許出願公開平11-140427号公報 日本国特許第5474400号公報 日本国特許第6029895号公報 日本国特許第6050125号公報
仕上げポリシング工程(特に、シリコンウェーハ等の半導体基板その他の基板の仕上げポリシング工程)に用いられる研磨用組成物には、研磨後において高品質の表面を実現する性能が求められる。かかる用途向けの研磨用組成物は、砥粒および水に加えて、研磨対象物表面の保護や濡れ性向上等の目的で水溶性高分子を含むものが多い。
水溶性高分子としてポリビニルアルコール系ポリマーを用いることにより、研磨後の表面の濡れ性を好適に向上させ得る。一方、近年では、研磨後の表面品質に対する要求がさらに高くなってきている。そこで本発明は、水溶性高分子としてポリビニルアルコール系ポリマーを含み、研磨後の研磨対象物の表面品質を向上させることのできる研磨用組成物を提供することを目的とする。
この明細書により提供される研磨用組成物は、砥粒と、水溶性高分子としてのポリビニルアルコール系ポリマーと、塩基性化合物と、水と、を含む。上記研磨用組成物は、さらに3価以上の多価有機酸(塩)を含む。多価有機酸(塩)の使用により、ポリビニルアルコール系ポリマーを含む研磨用組成物による研磨後の研磨対象物の表面品質を向上させることができる。例えばヘイズを改善することができる。
なお、本明細書において「酸(塩)」とは、酸および該酸の塩を包括的に指す用語であり、「酸および/またはその塩」とも表記し得る。例えば、ここに開示される研磨用組成物が3価以上の多価有機酸(塩)を含むとは、該組成物が、3価以上の多価有機酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを意味する。
好ましい一態様に係る研磨用組成物は、上記多価有機酸(塩)として、3価以上の多価カルボン酸(塩)を含む。かかる態様においてヘイズの改善効果が好適に発揮され得る。
好ましい他の一態様に係る研磨用組成物は、上記多価有機酸(塩)として、3価以上の多価有機酸のアンモニウム塩を含む。多価有機酸のアンモニウム塩によると、少量の使用によってもヘイズを効果的に改善し得る。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、該研磨用組成物は、次式:
分散性[nm]=(d84-d16)/2;
により算出される分散性が10.8nm未満であることが好ましい。ここで、上記式中のd84は、粒度分布の累積カーブが84%となる点の粒子径[nm]であり、d16は、粒度分布の累積カーブが16%となる点の粒子径[nm]である。かかる研磨用組成物によると、ポリビニルアルコール系ポリマーを含む構成において、研磨後の研磨対象物表面のヘイズを効果的に改善することができる。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、該研磨用組成物は、ポリビニルアルコール系ポリマー以外の水溶性高分子(以下、「その他の水溶性高分子」ともいう。)をさらに含む。上記研磨用組成物は、次式:
分散性[nm]=(d84-d16)/2;
により算出される分散性が14.2nm未満であることが好ましい。ここで、上記式中のd84およびd16は、上述のとおりである。かかる研磨用組成物によると、ポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子とを組み合わせて含む構成において、研磨後の研磨対象物表面のヘイズを効果的に改善することができる。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、該研磨用組成物は、上記有機酸(塩)を含むことによる電気伝導度の上昇比が3以下である。これにより、ヘイズを効果的に改善する研磨用組成物が実現され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様では、pHが8~12である。このようなpHを有する研磨用組成物を用いる研磨において、ヘイズをより好適に改善することができる。
上記ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、重量平均分子量(Mw)が10×10以下のものを好ましく採用し得る。かかるMwを有するポリビニルアルコール系ポリマーと多価有機酸(塩)とを組み合わせて用いることにより、ヘイズの改善効果がより好適に発揮され得る。
上記砥粒としては、シリカ粒子が好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系ポリマーと多価有機酸(塩)との組合せ使用によるヘイズの改善効果は、砥粒としてシリカ粒子を用いる研磨において好適に発揮される。
ここに開示される研磨用組成物は、シリコンウェーハの仕上げポリシング工程に好ましく用いられ得る。上記研磨用組成物を用いて仕上げポリシングを行うことにより、ヘイズを改善し、高品質のシリコンウェーハ表面を好適に実現することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒と、水溶性高分子としてのポリビニルアルコール系ポリマーと、多価有機酸(塩)と、塩基性化合物と、水とを含む。以下、ここに開示される研磨用組成物の含有物を説明する。
<砥粒>
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒を含む。砥粒は、研磨対象物の表面を機械的に研磨する働きをする。砥粒の材質や性状は特に制限されず、研磨用組成物の使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。後述するシリコンウェーハ等のようにシリコンからなる表面を有する研磨対象物の研磨(例えば仕上げポリシング)に用いられ得る研磨用組成物では、砥粒としてシリカ粒子を採用することが特に有意義である。ここに開示される技術は、例えば、上記砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。ここで「実質的に」とは、砥粒を構成する粒子の95重量%以上(好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上であり、100重量%であってもよい。)がシリカ粒子であることをいう。
シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。研磨後において表面品位に優れた研磨面が得られやすいことから、コロイダルシリカの使用が特に好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、イオン交換法により水ガラス(珪酸Na)を原料として作製されたコロイダルシリカや、アルコキシド法コロイダルシリカ(アルコキシシランの加水分解縮合反応により製造されたコロイダルシリカ)を好ましく採用することができる。コロイダルシリカは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
砥粒構成材料(例えば、シリカ粒子を構成するシリカ)の真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の上限は特に限定されないが、典型的には2.3以下、例えば2.2以下である。砥粒(例えばシリカ粒子)の真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。
砥粒(典型的にはシリカ粒子)のBET径(平均一次粒子径)は特に限定されないが、研磨効率等の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。より高い研磨効果(例えば、ヘイズの低減、欠陥の除去等の効果)を得る観点から、上記BET径は、15nm以上が好ましく、20nm以上(例えば20nm超)がより好ましい。また、スクラッチ防止等の観点から、砥粒のBET径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。より低ヘイズの表面を得やすくする観点から、いくつかの態様において、砥粒のBET径は、35nm以下でもよく、32nm未満でもよく、30nm未満でもよい。
なお、本明細書においてBET径とは、BET法により測定される比表面積(BET値)から、BET径(nm)=6000/(真密度(g/cm)×BET値(m/g))の式により算出される粒子径をいう。例えばシリカ粒子の場合、BET径(nm)=2727/BET値(m/g)によりBET径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす粒子の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。例えば、粒子の多くがピーナッツ形状または繭型形状をした砥粒を好ましく採用し得る。
特に限定するものではないが、砥粒の長径/短径比の平均値(平均アスペクト比)は、原理的に1.0以上であり、好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上である。平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨能率が実現され得る。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。
砥粒の形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。平均アスペクト比を把握する具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、独立した粒子の形状を認識できる所定個数(例えば200個)の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
<水溶性高分子>
ここに開示される研磨用組成物は、水溶性高分子を含む。水溶性高分子は、研磨対象物表面の保護や、研磨後の研磨対象物表面の濡れ性向上等に役立ち得る。
(ポリビニルアルコール系ポリマー)
ここに開示される研磨用組成物は、水溶性高分子としてポリビニルアルコール系ポリマーを含む。ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、その繰返し単位としてビニルアルコール単位を含む水溶性有機物(典型的には水溶性高分子)が用いられる。ここで、ビニルアルコール単位(以下「VA単位」ともいう。)とは、次の化学式:-CH-CH(OH)-;により表される構造部分である。ポリビニルアルコール系ポリマーは、繰返し単位としてVA単位のみを含んでいてもよく、VA単位に加えてVA単位以外の繰返し単位(以下「非VA単位」ともいう。)を含んでいてもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーは、VA単位と非VA単位とを含むランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体やグラフト共重合体であってもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーは、一種類の非VA単位のみを含んでもよく、二種類以上の非VA単位を含んでもよい。
ここに開示される研磨用組成物に使用されるポリビニルアルコール系ポリマーは、変性されていないポリビニルアルコール(非変性PVA)であってもよく、変性ポリビニルアルコール(変性PVA)であってもよい。ここで非変性PVAとは、ポリ酢酸ビニルを加水分解(けん化)することにより生成し、酢酸ビニルがビニル重合した構造の繰返し単位(-CH-CH(OCOCH)-)およびVA単位以外の繰返し単位を実質的に含まないポリビニルアルコール系ポリマーをいう。上記非変性PVAのけん化度は、例えば60%以上であってよく、水溶性の観点から70%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。いくつかの態様において、けん化度が95%以上または98%以上である非変性PVAを水溶性高分子化合物として好ましく採用し得る。
変性PVAに含まれ得る非VA単位としては、例えば後述するN-ビニル型のモノマーやN-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位、エチレンに由来する繰返し単位、アルキルビニルエーテルに由来する繰返し単位、炭素原子数3以上のモノカルボン酸のビニルエステルに由来する繰返し単位、等が挙げられるが、これらに限定されない。上記N-ビニル型のモノマーの一好適例として、N-ビニルピロリドンが挙げられる。上記N-(メタ)アクリロイル型のモノマーの一好適例として、N-(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。上記アルキルビニルエーテルは、例えばプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等の、炭素原子数1以上10以下のアルキル基を有するビニルエーテルであり得る。上記炭素原子数3以上のモノカルボン酸のビニルエステルは、例えばプロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル等の、炭素原子数3以上7以下のモノカルボン酸のビニルエステルであり得る。
ポリビニルアルコール系ポリマーは、VA単位と、オキシアルキレン基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エーテル基、エステル基、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を有する非VA単位とを含む変性PVAであってもよい。また、ポリビニルアルコール系ポリマーは、ポリビニルアルコール系ポリマーに含まれるVA単位の一部がアルデヒドでアセタール化された変性PVAであってもよい。上記アルデヒドとしては、例えばアルキルアルデヒドを好ましく用いることができ、炭素原子数1以上7以下のアルキル基を有するアルキルアルデヒドが好ましく、なかでもn-ブチルアルデヒドが好ましい。ポリビニルアルコール系ポリマーとして、第四級アンモニウム構造等のカチオン性基が導入されたカチオン変性ポリビニルアルコールを使用してもよい。上記カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、N-(メタ)アクリロイルアミノアルキル-N,N,N-トリアルキルアンモニウム塩等のカチオン性基を有するモノマーに由来するカチオン性基が導入されたものが挙げられる。
ポリビニルアルコール系ポリマーを構成する全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、例えば5%以上であってよく、10%以上でもよく、20%以上でもよく、30%以上でもよい。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、上記VA単位のモル数の割合は、50%以上であってよく、65%以上でもよく、75%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上(例えば95%以上、または98%以上)でもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーを構成する繰返し単位の実質的に100%がVA単位であってもよい。ここで「実質的に100%」とは、少なくとも意図的にはポリビニルアルコール系ポリマーに非VA単位を含有させないことをいい、典型的には全繰返し単位のモル数に占める非VA単位のモル数の割合が2%未満(例えば1%未満)であり、0%である場合を包含する。他のいくつかの態様において、ポリビニルアルコール系ポリマーを構成する全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、例えば95%以下であってよく、90%以下でもよく、80%以下でもよく、70%以下でもよい。
ポリビニルアルコール系ポリマーにおけるVA単位の含有量(重量基準の含有量)は、例えば5重量%以上であってよく、10重量%以上でもよく、20重量%以上でもよく、30重量%以上でもよい。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、上記VA単位の含有量は、50重量%以上(例えば50重量%超)であってよく、70重量%以上でもよく、80重量%以上(例えば90重量%以上、または95重量%以上、または98重量%以上)でもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーを構成する繰返し単位の実質的に100重量%がVA単位であってもよい。ここで「実質的に100重量%」とは、少なくとも意図的にはポリビニルアルコール系ポリマーを構成する繰返し単位として非VA単位を含有させないことをいい、典型的にはポリビニルアルコール系ポリマーにおける非VA単位の含有量が2重量%未満(例えば1重量%未満)であることをいう。他のいくつかの態様において、ポリビニルアルコール系ポリマーにおけるVA単位の含有量は、例えば95重量%以下であってよく、90重量%以下でもよく、80重量%以下でもよく、70重量%以下でもよい。
ポリビニルアルコール系ポリマーは、VA単位の含有量の異なる複数のポリマー鎖を同一分子内に含んでいてもよい。ここでポリマー鎖とは、一分子のポリマーの一部を構成する部分(セグメント)を指す。例えば、ポリビニルアルコール系ポリマーは、VA単位の含有量が50重量%より高いポリマー鎖Aと、VA単位の含有量が50重量%より低い(すなわち、非VA単位の含有量が50重量%より多い)ポリマー鎖Bとを、同一分子内に含んでいてもよい。
ポリマー鎖Aは、繰返し単位としてVA単位のみを含んでいてもよく、VA単位に加えて非VA単位を含んでいてもよい。ポリマー鎖AにおけるVA単位の含有量は、60重量%以上でもよく、70重量%以上でもよく、80重量%以上でもよく、90重量%以上でもよい。いくつかの態様において、ポリマー鎖AにおけるVA単位の含有量は、95重量%以上でもよく、98重量%以上でもよい。ポリマー鎖Aを構成する繰返し単位の実質的に100重量%がVA単位であってもよい。
ポリマー鎖Bは、繰返し単位として非VA単位のみを含んでいてもよく、非VA単位に加えてVA単位を含んでいてもよい。ポリマー鎖Bにおける非VA単位の含有量は、60重量%以上でもよく、70重量%以上でもよく、80重量%以上でもよく、90重量%以上でもよい。いくつかの態様において、ポリマー鎖Bにおける非VA単位の含有量は、95重量%以上でもよく、98重量%以上でもよい。ポリマー鎖Bを構成する繰返し単位の実質的に100重量%が非VA単位であってもよい。
ポリマー鎖Aとポリマー鎖Bとを同一分子中に含むポリビニルアルコール系ポリマーの例として、これらのポリマー鎖を含むブロック共重合体やグラフト共重合体が挙げられる。上記グラフト共重合体は、ポリマー鎖A(主鎖)にポリマー鎖B(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよく、ポリマー鎖B(主鎖)にポリマー鎖A(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよい。一態様において、ポリマー鎖Aにポリマー鎖Bがグラフトした構造のポリビニルアルコール系ポリマーを用いることができる。
ポリマー鎖Bの例としては、N-ビニル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、N-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、オキシアルキレン単位を主繰返し単位とするポリマー鎖等が挙げられる。なお、本明細書において主繰返し単位とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる繰返し単位をいう。
ポリマー鎖Bの一好適例として、N-ビニル型のモノマーを主繰返し単位とするポリマー鎖、すなわちN-ビニル系ポリマー鎖が挙げられる。N-ビニル系ポリマー鎖におけるN-ビニル型モノマーに由来する繰返し単位の含有量は、典型的には50重量%超であり、70重量%以上であってもよく、85重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよい。ポリマー鎖Bの実質的に全部がN-ビニル型モノマーに由来する繰返し単位であってもよい。
この明細書において、N-ビニル型のモノマーの例には、窒素を含有する複素環(例えばラクタム環)を有するモノマーおよびN-ビニル鎖状アミドが含まれる。N-ビニルラクタム型モノマーの具体例としては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルモルホリノン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が挙げられる。N-ビニル鎖状アミドの具体例としては、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルプロピオン酸アミド、N-ビニル酪酸アミド等が挙げられる。ポリマー鎖Bは、例えば、その繰返し単位の50重量%超(例えば70重量%以上、または85重量%以上、または95重量%以上)がN-ビニルピロリドン単位であるN-ビニル系ポリマー鎖であり得る。ポリマー鎖Bを構成する繰返し単位の実質的に全部がN-ビニルピロリドン単位であってもよい。
ポリマー鎖Bの他の例として、N-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、すなわち、N-(メタ)アクリロイル系ポリマー鎖が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル系ポリマー鎖におけるN-(メタ)アクリロイル型モノマーに由来する繰返し単位の含有量は、典型的には50重量%超であり、70重量%以上であってもよく、85重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよい。ポリマー鎖Bの実質的に全部がN-(メタ)アクリロイル型モノマーに由来する繰返し単位であってもよい。
この明細書において、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの例には、N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドおよびN-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドが含まれる。N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドの例としては、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドの例としては、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン等が挙げられる。
ポリマー鎖Bの他の例として、オキシアルキレン単位を主繰返し単位として含むポリマー鎖、すなわちオキシアルキレン系ポリマー鎖が挙げられる。オキシアルキレン系ポリマー鎖におけるオキシアルキレン単位の含有量は、典型的には50重量%超であり、70重量%以上であってもよく、85重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよい。ポリマー鎖Bに含まれる繰返し単位の実質的に全部がオキシアルキレン単位であってもよい。
オキシアルキレン単位の例としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位等が挙げられる。このようなオキシアルキレン単位は、それぞれ、対応するアルキレンオキサイドに由来する繰返し単位であり得る。オキシアルキレン系ポリマー鎖に含まれるオキシアルキレン単位は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを組み合わせて含むオキシアルキレン系ポリマー鎖であってもよい。二種類以上のオキシアルキレン単位を含むオキシアルキレン系ポリマー鎖において、それらのオキシアルキレン単位は、対応するアルキレンオキシドのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体やグラフト共重合体であってもよい。
ポリマー鎖Bのさらに他の例として、アルキルビニルエーテル(例えば、炭素原子数1以上10以下のアルキル基を有するビニルエーテル)に由来する繰返し単位を含むポリマー鎖、モノカルボン酸ビニルエステル(例えば、炭素原子数3以上のモノカルボン酸のビニルエステル)に由来する繰返し単位を含むポリマー鎖、VA単位の一部がアルデヒド(例えば、炭素原子数1以上7以下のアルキル基を有するアルキルアルデヒド)でアセタール化されたポリマー鎖、カチオン性基(例えば、第四級アンモニウム構造を有するカチオン性基)が導入されたポリマー鎖、等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物におけるポリビニルアルコール系ポリマーとしては、非変性PVAを用いてもよく、変性PVAを用いてもよく、非変性PVAと変性PVAとを組み合わせて用いてもよい。非変性PVAと変性PVAとを組み合わせて用いる態様において、研磨用組成物に含まれるポリビニルアルコール系ポリマー全量に対する変性PVAの使用量は、例えば95重量%未満であってよく、90重量%以下でもよく、75重量%以下でもよく、50重量%以下でもよく、30重量%以下でもよく、10重量%以下でもよく、5重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、ポリビニルアルコール系ポリマーとして一種または二種以上の非変性PVAのみを用いる態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される研磨用組成物に使用されるポリビニルアルコール系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。ポリビニルアルコール系ポリマーのMwは、通常、100×10以下が適当であり、30×10以下が好ましく、20×10以下でもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーのMwが小さくなると、ポリビニルアルコール系ポリマーの分散安定性は向上する傾向にある。かかる観点から、いくつかの態様において、ポリビニルアルコール系ポリマーのMwは、15×10以下でもよく、10×10以下でもよい。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのMwは、通常は2×10以上であることが適当であり、5×10以上であってもよく、1×10以上であってもよい。ポリビニルアルコール系ポリマーのMwの増大につれて、研磨対象物の保護や濡れ性向上の効果は高まる傾向にある。かかる観点から、ここに開示される研磨用組成物に使用されるポリビニルアルコール系ポリマーのMwは、5×10以上であることが好ましく、より好ましくは1×10以上であり、2×10以上でもよく、5×10以上でもよく、6×10以上でもよく、6.5×10以上でもよい。
なお、本明細書において、水溶性高分子および後述する界面活性剤の重量平均分子量(Mw)としては、水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく値(水系、ポリエチレンオキサイド換算)を採用することができる。GPC測定装置としては、東ソー株式会社製の機種名「HLC-8320GPC」を用いるとよい。測定は、例えば下記の条件で行うことができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。
[GPC測定条件]
サンプル濃度:0.1重量%
カラム:TSKgel GMPWXL
検出器:示差屈折計
溶離液:100mM 硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=10~8/0~2
流速:1mL/分
測定温度:40℃
サンプル注入量:200μL
研磨用組成物におけるポリビニルアルコール系ポリマーの含有量(二種以上のポリビニルアルコール系ポリマーを含む場合にはそれらの合計量)は、特に限定されない。研磨性能や表面品質向上等の観点から、いくつかの態様において、上記含有量は、例えば0.0001重量%以上であってよく、通常は0.00025重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.0004重量%以上、例えば0.0005重量%以上である。ポリビニルアルコール系ポリマーの含有量の上限は特に限定されず、例えば0.05重量%以下とすることができる。濃縮液段階での安定性や研磨レート、洗浄性等の観点から、いくつかの態様において、ポリビニルアルコール系ポリマーの含有量は、好ましくは0.035重量%以下、より好ましくは0.025重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.015重量%以下、例えば0.0125重量%以下、典型的には0.01重量%以下である。ここに開示される研磨用組成物は、例えばポリビニルアルコール系ポリマーの含有量が0.008重量%以下、0.006重量%以下または0.004重量%以下である態様でも好ましく実施され得る。
ポリビニルアルコール系ポリマーの含有量(二種以上のポリビニルアルコール系ポリマーを含む場合にはそれらの合計量)は、砥粒との相対的関係によっても特定され得る。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、砥粒100重量部に対するポリビニルアルコール系ポリマーの含有量は、例えば0.01重量部以上とすることができ、ヘイズ低減等の観点から0.1重量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは3重量部以上である。また、砥粒100重量部に対するポリビニルアルコール系ポリマーの含有量は、例えば50重量部以下であってもよく、30重量部以下でもよい。研磨用組成物の分散安定性等の観点から、いくつかの態様において、砥粒100重量部に対するポリビニルアルコール系ポリマーの含有量は、15重量部以下とすることが適当であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは8重量部以下であり、7重量部以下でもよい。ここに開示される研磨用組成物は、砥粒100重量部に対するポリビニルアルコール系ポリマーの含有量が5重量部未満、3重量部未満または2重量部未満である態様でも好ましく実施され得る。
(その他の水溶性高分子)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、その他の水溶性高分子、すなわちポリビニルアルコール系ポリマー以外の水溶性高分子を、必要に応じてさらに含有していてもよい。その他の水溶性高分子は、研磨用組成物の分野において公知の水溶性高分子から適宜選択することができる。その他の水溶性高分子の例としては、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー等の合成ポリマー;セルロース誘導体やデンプン誘導体等の天然物由来のポリマー;等が挙げられる。
オキシアルキレン単位を含むポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド(PEO)や、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOまたはBOとのランダム共重合体等が例示される。そのなかでも、EOとPOのブロック共重合体またはEOとPOのランダム共重合体が好ましい。EOとPOとのブロック共重合体は、PEOブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック体、トリブロック体等であり得る。上記トリブロック体の例には、PEO-PPO-PEO型トリブロック体およびPPO-PEO-PPO型トリブロック体が含まれる。なかでも、PEO-PPO-PEO型トリブロック体がより好ましい。
EOとPOとのブロック共重合体またはランダム共重合体において、該共重合体を構成するEOとPOとのモル比(EO/PO)は、水への溶解性や洗浄性等の観点から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上(例えば5以上)であることがさらに好ましい。
窒素原子を含有するポリマーの非限定的な例には、N-ビニル型のモノマー単位を含むポリマー;イミン誘導体;N-(メタ)アクリロイル型のモノマー単位を含むポリマー;等が含まれる。
N-ビニル型のモノマー単位を含むポリマーの例には、窒素を含有する複素環(例えばラクタム環)を有するモノマーに由来する繰返し単位を含むポリマーが含まれる。このようなポリマーの例には、N-ビニルラクタム型モノマーの単独重合体および共重合体(例えば、N-ビニルラクタム型モノマーの共重合割合が50重量%を超える共重合体)、N-ビニル鎖状アミドの単独重合体および共重合体(例えば、N-ビニル鎖状アミドの共重合割合が50重量%を超える共重合体)等が含まれる。
N-ビニルラクタム型モノマー(すなわち、一分子内にラクタム構造とN-ビニル基とを有する化合物)の具体例としては、N-ビニルピロリドン(VP)、N-ビニルピペリドン、N-ビニルモルホリノン、N-ビニルカプロラクタム(VC)、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が挙げられる。N-ビニルラクタム型のモノマー単位を含むポリマーの具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、VPとVCとのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方と他のビニルモノマー(例えば、アクリル系モノマー、ビニルエステル系モノマー等)とのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方を含むポリマー鎖を含むブロック共重合体やグラフト共重合体等が挙げられる。
N-ビニル鎖状アミドの具体例としては、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルプロピオン酸アミド、N-ビニル酪酸アミド等が挙げられる。
N-(メタ)アクリロイル型のモノマー単位を含むポリマーの例には、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの単独重合体および共重合体(典型的には、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの共重合割合が50重量%を超える共重合体)が含まれる。N-(メタ)アクリロイル型モノマーの例には、N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドおよびN-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドが含まれる。
N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドの例としては、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、N-イソプロピルアクリルアミドの単独重合体およびN-イソプロピルアクリルアミドの共重合体(例えば、N-イソプロピルアクリルアミドの共重合割合が50重量%を超える共重合体)が挙げられる。
N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドの例としては、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルチオモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン、N-メタクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピロリジン等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、アクリロイルモルホリン系ポリマー(PACMO)が挙げられる。アクリロイルモルホリン系ポリマーの典型例として、N-アクリロイルモルホリン(ACMO)の単独重合体およびACMOの共重合体(例えば、ACMOの共重合割合が50重量%を超える共重合体)が挙げられる。アクリロイルモルホリン系ポリマーにおいて、全繰返し単位のモル数に占めるACMO単位のモル数の割合は、通常は50%以上であり、80%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)であることが適当である。水溶性高分子の全繰返し単位が実質的にACMO単位から構成されていてもよい。
窒素原子を含有するポリマーの他の例として、N-アシルアルキレンイミン型モノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。N-アシルアルキレンイミン型モノマーの具体例としては、N-アセチルエチレンイミン、N-プロピオニルエチレンイミン等が挙げられる。
セルロース誘導体は、主繰返し単位としてβ-グルコース単位を含むポリマーであり、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース、等が挙げられる。また、デンプン誘導体は、主繰返し単位としてα-グルコース単位を含むポリマーであり、例えばアルファ化デンプン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、シクロデキストリン等が挙げられる。
ここに開示される技術において、その他の水溶性高分子の分子量は特に限定されない。その他の水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、例えば100×10以下であってよく、洗浄性等の観点から通常は60×10以下が適当であり、50×10以下であってもよく、40×10以下であってもよい。いくつかの態様において、その他の水溶性高分子のMwは、好ましくは20×10以下、例えば10×10以下または8×10以下であり得る。また、研磨対象物の保護性の観点から、その他の水溶性高分子のMwは、例えば2000以上であってもよく、通常は5000以上であることが好ましい。いくつかの態様において、Mwは1.0×10以上が適当であり、好ましくは1.5×10以上、より好ましくは2×10以上、さらに好ましくは3×10以上、例えば4×10以上、典型的には5×10以上であり、10×10以上でもよく、20×10以上でもよく、30×10以上でもよい。
その他の水溶性高分子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。特に限定するものではないが、ポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子との使用量の関係は、重量比で、例えば5:95~95:5であってよく、10:90~90:10でもよく、25:75~75:25でもよい。
いくつかの態様において、上記重量比(ポリビニルアルコール系ポリマー:その他の水溶性高分子)は、例えば50:50~100:0であってよく、80:20~100:0でもよく、90:10~100:0でもよい。
他のいくつかの態様において、ポリビニルアルコール系ポリマー:その他の水溶性高分子の重量比は、例えば5:95~70:30、15:85~50:50または20:80~40:60であり得る。
3価以上の多価有機酸(塩)の使用による上述の効果は、このようにポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子(例えば、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー等の合成ポリマー)とを組み合わせて含む態様においても好適に発揮され得る。
凝集物の低減や洗浄性向上等の観点から、その他の水溶性高分子としてはノニオン性のポリマーを好ましく採用し得る。また、化学構造や純度の制御容易性の観点から、その他の水溶性高分子として合成ポリマーを好ましく採用し得る。ここに開示される研磨用組成物は、その他の水溶性高分子として天然物由来のポリマーを実質的に使用しない態様で好ましく実施され得る。ここで、実質的に使用しないとは、ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対する使用量が、典型的には3重量部以下、好ましくは1重量部以下であることをいい、0重量部または検出限界以下であることを包含する。
(水溶性高分子の含有量)
研磨用組成物における水溶性高分子の含有量(二種以上を含む場合にはそれらの合計量)は、特に限定されない。研磨性能や表面品質向上等の観点から、いくつかの態様において、上記含有量は、例えば0.0005重量%以上であってよく、通常は0.0025重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.005重量%以上、例えば0.0075重量%以上である。水溶性高分子の含有量の上限は特に限定されず、例えば0.05重量%以下とすることができる。濃縮液段階での安定性や研磨レート、洗浄性等の観点から、いくつかの態様において、水溶性高分子の含有量は、好ましくは0.035重量%以下、より好ましくは0.025重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.015重量%以下、例えば0.0125重量%以下、典型的には0.01重量%以下である。
水溶性高分子の含有量(二種以上を含む場合にはそれらの合計量)は、砥粒との相対的関係によっても特定され得る。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、例えば0.01重量部以上とすることができ、ヘイズ低減等の観点から0.1重量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、さらに好ましくは3重量部以上である。また、砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、例えば50重量部以下であってもよく、30重量部以下でもよい。研磨用組成物の分散安定性等の観点から、いくつかの態様において、砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、20重量部以下とすることが適当であり、好ましくは15重量部以下、より好ましくは13重量部以下であり、12重量部以下でもよい。
<多価有機酸(塩)>
ここに開示される研磨用組成物は、3価以上の多価有機酸(塩)を含む。本発明者らは、水溶性高分子としてポリビニルアルコール系ポリマーを用いる研磨用組成物に、3価以上の多価有機酸(塩)をさらに含有させることにより、研磨後の研磨対象物のヘイズが改善することを見出した。このような効果が奏される理由は、特に限定的に解釈されるものではないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、砥粒を含む研磨用組成物にポリビニルアルコール系ポリマーを含有させることは、研磨対象物の保護や研磨後の研磨対象物表面の濡れ性向上等に役立ち得る一方で、上記砥粒の部分的な凝集を招く要因ともなり得る。砥粒が凝集すると、微小な研磨ムラが発生しやすくなり、ヘイズの低減が困難となる。3価以上の多価有機酸(塩)は、砥粒およびポリビニルアルコール系ポリマーを含む研磨用組成物において上記砥粒の凝集を抑制して分散性を向上させる効果を発揮し、このことがヘイズの改善に寄与するものと考えられる。
上記多価有機酸(塩)としては、典型的には、酸基およびその塩からなる群から選択される官能基を一分子中に3以上有する多価有機酸(塩)が用いられる。上記酸基は、例えばカルボキシ基、スルホ基、ホスホ基等であり得る。上記官能基は、それぞれ独立に、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホ基およびスルホ基の塩、ホスホ基およびホスホ基の塩からなる群から選択され得る。多価有機酸(塩)の一好適例として、3価以上の多価カルボン酸(塩)が挙げられる。多価有機酸(塩)一分子当たりの酸基の数(多価カルボン酸の場合、カルボキシ基数)は、3以上であり、例えば3、4または5であってよく、好ましくは3または4である。いくつかの態様において、上記多価有機酸(塩)は、一分子中に1以上の水酸基を有するヒドロキシ多価有機酸(塩)であり得る。ヒドロキシ多価有機酸(塩)の一好適例として、一分子中に1以上の水酸基と3以上のカルボキシ基とを有するヒドロキシ多価カルボン酸(塩)が挙げられる。多価有機酸(塩)としてヒドロキシ多価カルボン酸(塩)を用いることにより、良好な砥粒分散性が安定して発揮される傾向にある。このことによって表面品質の向上(例えばヘイズの改善)がより好適に実現され得る。
多価有機酸(塩)を構成する多価有機酸は、例えばアコニット酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ピロメリット酸、メリト酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)等であり得る。なかでも好ましい例として、クエン酸(塩)およびブタンテトラカルボン酸(塩)等が挙げられる。多価有機酸の塩は、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩や、アンモニウム塩等であり得る。なかでもアンモニウム塩が好ましい。多価有機酸(塩)は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
多価有機酸(塩)の含有量は、特に限定されず、その使用効果が適切に発揮されるように設定することができる。いくつかの態様において、多価有機酸(塩)の含有量は、研磨用組成物の全重量に対して、例えば0.0005重量%以上であってよく、0.001重量%以上でもよく、0.005重量%以上でもよく、0.01重量%以上でもよい。多価有機酸(塩)の含有量の増大により、砥粒の分散性が向上し、ヘイズ改善の効果がよりよく発揮され得る。なお、ここで多価有機酸(塩)の含有量とは、二種以上の多価有機酸(塩)を含む態様ではそれらの合計含有量のことをいう。また、多価有機酸(塩)の含有量が過度に多くなるとヘイズ改善の効果が低下し得ることから、いくつかの態様において、多価有機酸(塩)の含有量は、例えば5重量%以下であってよく、1重量%以下でもよく、0.3重量%以下でもよく、0.1重量%以下でもよく、0.05重量%以下でもよく、0.02重量%以下でもよい。これらの含有量は、例えば、研磨対象物に供給される研磨液(ワーキングスラリー)における含有量に好ましく適用され得る。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、多価有機酸(塩)の好ましい含有量は、該研磨用組成物に含まれる砥粒との相対的関係によって特定され得る。具体的には、研磨用組成物における多価有機酸(塩)の含有量は、該研磨用組成物に含まれる砥粒100重量部に対して、例えば凡そ0.01重量部以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ0.1重量部以上、より好ましくは凡そ0.5重量部以上であり、凡そ0.7重量部以上でもよい。砥粒の含有量に対する多価有機酸(塩)の含有量の増大により、砥粒の分散性が向上し、ヘイズ改善の効果がよりよく発揮され得る。砥粒の含有量に対する多価有機酸(塩)の含有量が過度に多くなるとヘイズ改善の効果が低下し得ることから、いくつかの態様において、砥粒100重量部に対する多価有機酸(塩)の含有量は、通常、凡そ50重量部以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ20重量部以下、より好ましくは凡そ10重量部以下であり、凡そ6重量部以下であってもよい。砥粒100重量部に対する多価有機酸(塩)の含有量は、例えば、5重量部以下とすることができ、3重量部以下とすることもできる。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、多価有機酸(塩)の好ましい含有量は、該研磨用組成物に含まれるポリビニルアルコール系ポリマーとの相対的関係によって特定され得る。具体的には、研磨用組成物におけるポリビニルアルコール系ポリマーの含有量(AHM)に対する多価有機酸(塩)の含有量(AOA)の比(AOA/AHM)は、重量基準で、例えば凡そ0.01以上とすることが適当であり、より良好な分散性を得る観点から、好ましくは凡そ0.05以上、より好ましくは凡そ0.1以上である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーの含有量に対する多価有機酸(塩)の含有量が過度に多くなるとヘイズ改善の効果が低下し得ることから、上記比(AOA/AHM)は、通常、凡そ10以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ3以下、より好ましくは凡そ2以下であり、凡そ1以下でもよい。上記比(AOA/AHM)は、例えば、0.7以下とすることができる。
多価有機酸(塩)の好ましい含有量は、研磨用組成物に含まれる水溶性高分子(ポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子とを組み合わせて含む態様では、それらの合計量)の相対的関係からも特定され得る。研磨用組成物における水溶性高分子の含有量(AHT)に対する多価有機酸(塩)の含有量(AOA)の比(AOA/AHT)は、重量基準で、例えば凡そ0.01以上とすることが適当であり、より良好な分散性を得る観点から、好ましくは凡そ0.05以上、より好ましくは凡そ0.1以上である。ここに開示される研磨用組成物は、例えばポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子とを組み合わせて使用し、該その他の水溶性高分子を適切に選択することにより、比(AOA/AHT)が凡そ0.2以上、凡そ0.3以上、凡そ0.4以上または凡そ0.5以上である態様で好適に実施され得る。また、水溶性高分子の含有量に対する多価有機酸(塩)の含有量が過度に多くなるとヘイズ改善の効果が低下し得ることから、上記比(AOA/AHT)は、通常、凡そ10以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ7以下、より好ましくは凡そ5以下であり、凡そ3以下でもよい。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、多価有機酸(塩)の好ましい含有量は、該多価有機酸(塩)を含有することによる電気伝導度の上昇比によって特定され得る。上記電気伝導度の上昇比は、ここに開示される研磨用組成物の電気伝導度EC1[mS/cm]と、該研磨用組成物から上記多価有機酸(塩)を除いた組成物の電気伝導度EC0[mS/cm]とから、次式:電気伝導度上昇比=EC1/EC0;により表される。上記電気伝導度上昇比は、通常は1以上であり、典型的には1超である。多価有機酸(塩)の使用効果をよりよく発揮する観点から、いくつかの態様において、上記電気伝導度上昇比は、例えば1.3以上であってよく、1.4以上でもよく、1.5以上でもよく、1.7以上でもよい。また、研磨用組成物の分散安定性等の観点から、上記電気伝導度上昇比は、例えば10未満であってよく、通常は5未満であることが適当である。いくつかの態様において、上記電気伝導度上昇比は、3以下であることが好ましく、例えば3未満でもよく、2.5未満でもよく、2未満でもよい。他のいくつかの態様において、上記電気伝導度上昇比は、例えば1を超えて10未満であってよく、1.3以上7未満でもよく、1.5以上5未満でもよく、2以上4未満でもよい。
このような電気伝導度比となるように多価有機酸(塩)の含有量を設定することにより、ヘイズを効果的に改善する研磨用組成物が実現され得る。なお、電気伝導度の測定は、液温25℃の条件で、常法により行うことができる。測定機器としては、例えば、堀場製作所製の導電率計、型式「DS-12」を使用することができる。後述の実施例では、上記導電率計を用いて電気伝導度を測定した。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、該研磨用組成物の電気伝導度EC1[mS/cm]は、砥粒の分散性の観点から、例えば0.03mS/cm以上であってよく、0.05mS/cm以上でもよく、0.08mS/cm以上でもよく、0.1mS/cm以上でもよく、0.11mS/cm以上でもよく、0.12mS/cmでもよい。また、研磨用組成物の分散安定性等の観点から、上記電気伝導度EC1[mS/cm]は、例えば0.30mS/cm以下であってよく、0.20mS/cm以下でもよく、0.15mS/cm以下でもよい。上述したいずれかの上限および/または下限を満たす電気伝導度を有する研磨用組成物によると、研磨後の研磨対象物表面のヘイズを効果的に改善し得る。
ここに開示される研磨用組成物は、該研磨用組成物の電気伝導度EC1[mS/cm]が0.12mS/cm未満、0.11mS/cm未満、0.10mS/cm未満、さらには0.08mS/cm未満である態様でも好ましく実施され得る。このように電気伝導度EC1が比較的低い態様では、水溶性高分子としてポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子とを組み合わせて使用することが好ましい。かかる態様において、電気伝導度EC1[mS/cm]は、例えば0.01mS/cm超であってよく、研磨用組成物の分散安定性等の観点から0.02mS/cm超であることが有利であり、0.03mS/cm超でもよく、0.04mS/cm超でもよい。上述したいずれかの上限および/または下限を満たす電気伝導度を有する研磨用組成物によると、研磨後の研磨対象物表面のヘイズを効果的に改善し得る。
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、上述のような多価有機酸(塩)に加えて、無機酸(塩)、1価の有機酸(塩)および2価の有機酸(塩)からなる群から選択される一種または二種以上の酸(塩)(以下、その他の酸(塩)ともいう。)を、必要に応じてさらに含有していてもよい。上記その他の酸(塩)は、例えば、研磨用組成物のpHの調整、電気伝導度の調整等の目的で用いられ得る。ここに開示される研磨用組成物は、組成の単純化や性能安定性等の観点から、多価有機酸(塩)以外の酸(塩)を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。ここで、多価有機酸(塩)以外の酸(塩)を実質的に含まないとは、多価有機酸(塩)の含有量と上記その他の酸(塩)の含有量との合計量のうち95重量%~100重量%(典型的には98重量%~100重量%)が多価有機酸(塩)であることをいう。
<塩基性化合物>
ここに開示される研磨用組成物は、塩基性化合物を含有する。本明細書において塩基性化合物とは、水に溶解して水溶液のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、リンを含む塩基性化合物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。窒素を含む塩基性化合物の例としては、第四級アンモニウム化合物、アンモニア、アミン(好ましくは水溶性アミン)等が挙げられる。リンを含む塩基性化合物の例としては、第四級ホスホニウム化合物が挙げられる。このような塩基性化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。第四級ホスホニウム化合物の具体例としては、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム等の水酸化第四級ホスホニウムが挙げられる。
第四級アンモニウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウム塩、ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩(典型的には強塩基)を好ましく用いることができる。かかる第四級アンモニウム塩におけるアニオン成分は、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO 、BH 等であり得る。なかでも好ましい例として、アニオンがOHである第四級アンモニウム塩、すなわち水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。水酸化第四級アンモニウムの具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウムおよび水酸化テトラヘキシルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム;水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム(コリンともいう。)等の水酸化ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム;等が挙げられる。
これらの塩基性化合物のうち、例えば、アルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウムおよびアンモニアから選択される少なくとも一種の塩基性化合物を好ましく使用し得る。なかでも水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム)およびアンモニアがより好ましく、アンモニアが特に好ましい。
<界面活性剤>
ここに開示される研磨用組成物には、必要に応じて、界面活性剤を含有させることができる。研磨用組成物に界面活性剤を含有させることにより、研磨後の研磨対象物表面のヘイズをよりよく低減し得る。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性のいずれのものも使用可能である。通常は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤を好ましく採用し得る。低起泡性やpH調整の容易性の観点から、ノニオン性の界面活性剤がより好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン重合体;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン誘導体(例えば、ポリオキシアルキレン付加物);複数種のオキシアルキレンの共重合体(例えば、ジブロック型共重合体、トリブロック型共重合体、ランダム型共重合体、交互共重合体);等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合体(ジブロック型共重合体、PEO(ポリエチレンオキサイド)-PPO(ポリプロピレンオキサイド)-PEO型トリブロック体、PPO-PEO-PPO型のトリブロック共重合体等)、EOとPOとのランダム共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルチミン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。なかでも好ましい界面活性剤として、EOとPOとのブロック共重合体(特に、PEO-PPO-PEO型のトリブロック共重合体)、EOとPOとのランダム共重合体およびポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンデシルエーテル)が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、EO付加モル数が1~10程度(例えば3~8程度)のものを好ましく採用することができる。
界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、典型的には2000未満であり、濾過性や洗浄性等の観点から1900以下(例えば1800未満)であることが好ましい。また、界面活性剤のMwは、界面活性能等の観点から、通常、200以上であることが適当であり、ヘイズ低減効果等の観点から250以上(例えば300以上)であることが好ましい。界面活性剤のMwのより好ましい範囲は、該界面活性剤の種類によっても異なり得る。例えば、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる場合、そのMwは、1500以下であることが好ましく、1000以下(例えば500以下)であってもよい。また、例えば界面活性剤としてPEO-PPO-PEO型のトリブロック共重合体を用いる場合、そのMwは、例えば500以上であってよく、1000以上であってもよく、さらには1200以上であってもよい。
ここに開示される研磨用組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲であれば特に制限はない。通常は、洗浄性等の観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤の含有量を20重量部以下とすることが適当であり、15重量部以下が好ましく、10重量部以下(例えば6重量部以下)がより好ましい。界面活性剤の使用効果をよりよく発揮させる観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤含有量は、0.001重量部以上が適当であり、0.005重量部以上が好ましく、0.01重量部以上でもよく0.05重量部以上でもよい。
ここに開示される研磨用組成物が界面活性剤を含む場合、水溶性高分子の含有量w1と界面活性剤の含有量w2との重量比(w1/w2)は特に制限されず、例えば0.01~200の範囲とすることができ、通常は0.05~100の範囲が好ましく、0.1~70の範囲がより好ましい。
あるいは、組成の単純化等の観点から、ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
<水>
ここに開示される研磨用組成物に含まれる水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。使用する水は、研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。
<その他の成分>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、例えば防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物(典型的には、シリコンウェーハの仕上げポリシング工程に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。防腐剤および防カビ剤の例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。研磨用組成物中に酸化剤が含まれていると、例えばシリコンウェーハの研磨において、該シリコンウェーハの表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより所要研磨時間が長くなってしまうためである。ここでいう酸化剤の具体例としては、過酸化水素(H)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。なお、研磨用組成物が酸化剤を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には酸化剤を含有させないことをいう。したがって、原料や製法等に由来して微量(例えば、研磨用組成物中における酸化剤のモル濃度が0.0005モル/L以下、好ましくは0.0001モル/L以下、より好ましくは0.00001モル/L以下、特に好ましくは0.000001モル/L以下)の酸化剤が不可避的に含まれている研磨用組成物は、ここでいう酸化剤を実質的に含有しない研磨用組成物の概念に包含され得る。
<pH>
ここに開示される研磨用組成物のpHは、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上である。研磨用組成物のpHが高くなると、研磨能率が向上する傾向にある。一方、砥粒(例えばシリカ粒子)の溶解を防いで機械的な研磨作用の低下を抑制する観点から、研磨用組成物のpHは、通常、12.0以下であることが適当であり、11.0以下であることが好ましく、10.8以下であることがより好ましく、10.5以下であることがさらに好ましい。
pHは、pHメーター(例えば、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F-23))を使用し、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を測定対象の組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより把握することができる。
<分散性>
ここに開示される技術において、研磨用組成物に含まれる砥粒の分散性の程度は、例えば次式:
分散性[nm]=(d84-d16)/2;
により算出される分散性の数値を目安として把握することができる。ここで、上記式中のd84は、粒度分布の累積カーブが84%となる点の粒子径[nm]であり、d16は、粒度分布の累積カーブが16%となる点の粒子径[nm]である。d84およびd16は、動的光散乱法に基づく測定により求めることができる。測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル社製の動的光散乱式粒度分布測定装置、商品名「ナノトラックUPA-UT151」またはその相当品を用いることができる。上記分散性の値がより小さいことは、粒度分布幅がより狭いことを表している。一般に、砥粒の凝集が発生すると、該砥粒の粒度分布幅はより広くなる傾向にある。このことから、上記分散性の値がより小さい研磨用組成物は、砥粒の凝集がよりよく抑制されているといえる。
ここに開示される研磨用組成物のいくつかの態様において、上記分散性の値は、50nm未満であることが適当であり、好ましくは20nm未満であり、より好ましくは15nm未満であり、さらに好ましくは10.8nm未満である。好ましい一態様において、上記分散性の値は、例えば、10.5nm以下である。上記分散性は、原理上0nmであり、実用上の観点から1nm以上でもよく、3nm以上でもよく、5nm以上でもよく、8nm以上でもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、例えばその他の水溶性高分子をさらに含む態様において、上記分散性の値が14.2nm未満であることにより良好なヘイズ改善効果を発揮し得る。かかる態様において、上記分散性の値は、例えば1nm以上でもよく、3nm以上でもよく、5nm以上でもよく、8nm以上でもよく、10nm以上でもよく、さらには12nm以上でもよい。
上記分散性の値は、例えば、BET径が10nm以上35nm以下、より好ましくは15nm以上32nm未満の砥粒(例えばコロイダルシリカ)を用いた研磨用組成物に好ましく適用され得る。
<研磨液>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物の表面上に供給され、その研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、該研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液(研磨液の原液)との双方が包含される。
<濃縮液>
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態(すなわち、研磨液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は特に限定されず、例えば、体積換算で2倍~100倍程度とすることができ、通常は5倍~50倍程度(例えば10倍~40倍程度)が適当である。
このような濃縮液は、所望のタイミングで希釈して研磨液(ワーキングスラリー)を調製し、該研磨液を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、例えば、上記濃縮液に水を加えて混合することにより行うことができる。
上記濃縮液における砥粒の含有量は、例えば25重量%以下とすることができる。研磨用組成物の分散安定性や濾過性等の観点から、通常、上記含有量は、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下である。好ましい一態様において、砥粒の含有量を10重量%以下としてもよく、5重量%以下としてもよい。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、濃縮液における砥粒の含有量は、例えば0.1重量%以上とすることができ、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上である。
<研磨用組成物の調製>
ここに開示される技術において使用される研磨用組成物は、一剤型であってもよく、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、研磨用組成物の構成成分のうち少なくとも砥粒を含むパートAと、残りの成分の少なくとも一部を含むパートBとを混合し、これらを必要に応じて適切なタイミングで混合および希釈することにより研磨液が調製されるように構成されていてもよい。
研磨用組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物を構成する各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
<用途>
ここに開示される研磨用組成物は、種々の材質および形状を有する研磨対象物の研磨に適用され得る。研磨対象物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属、またはこれらの合金;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。これらのうち複数の材質により構成された研磨対象物であってもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、シリコンからなる表面の研磨(典型的にはシリコンウェーハの研磨)に特に好ましく使用され得る。ここでいうシリコンウェーハの典型例はシリコン単結晶ウェーハであり、例えば、シリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコン単結晶ウェーハである。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物(例えばシリコンウェーハ)のポリシング工程に好ましく適用することができる。研磨対象物には、ここに開示される研磨用組成物によるポリシング工程の前に、ラッピングやエッチング等の、ポリシング工程より上流の工程において研磨対象物に適用され得る一般的な処理が施されていてもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物(例えばシリコンウェーハ)の仕上げ工程またはその直前のポリシング工程に用いることが効果的であり、仕上げポリシング工程における使用が特に好ましい。ここで、仕上げポリシング工程とは、目的物の製造プロセスにおける最後のポリシング工程(すなわち、その工程の後にはさらなるポリシングを行わない工程)を指す。
<研磨>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物の研磨に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物(例えばシリコンウェーハ)を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)、pH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、シリコンウェーハの仕上げ研磨を行う場合、典型的には、ラッピング工程を経たシリコンウェーハを一般的な研磨装置にセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記シリコンウェーハの研磨対象面に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの研磨対象面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
上記研磨工程に使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。各研磨パッドは、砥粒を含んでもよく、砥粒を含まなくてもよい。通常は、砥粒を含まない研磨パッドが好ましく用いられる。
ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨された研磨対象物は、典型的には洗浄される。洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、例えば、半導体等の分野において一般的なSC-1洗浄液(水酸化アンモニウム(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)との混合液)、SC-2洗浄液(塩酸(HCl)とHとHOとの混合液)等を用いることができる。洗浄液の温度は、例えば室温(典型的には約15℃~25℃)以上、約90℃程度までの範囲とすることができる。洗浄効果を向上させる観点から、50℃~85℃程度の洗浄液を好ましく使用し得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
≪実験例1≫
<研磨用組成物の調製>
(実施例1~3)
砥粒、水溶性高分子、酸(塩)、塩基性化合物、界面活性剤および脱イオン水を混合して、各例に係る研磨用組成物を調製した。砥粒としてはコロイダルシリカ(平均一次粒子径:25nm)を使用し、その含有量を0.175%とした。水溶性高分子としては、重量平均分子量(Mw)が約70000、けん化度が98%以上のポリビニルアルコール(非変性PVA)を使用し、その含有量を0.00875%とした。塩基性化合物としてはアンモニアを使用し、その含有量を0.005%とした。界面活性剤としては、エチレンオキサイド付加モル数5のポリオキシエチレンデシルエーテル(C10EO5)を使用し、その含有量を0.00015%とした。酸(塩)としては、表1に示す量のクエン酸三アンモニウムを使用した。
(実施例4)
本例では、クエン酸三アンモニウムに代えて、表1に示す量のクエン酸を使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(実施例5)
本例では、クエン酸三アンモニウムに代えて、表1に示す量のブタンテトラカルボン酸を使用した。その他の点は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(比較例1)
実施例1の組成からクエン酸三アンモニウムを除いた他は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(比較例2~5)
クエン酸三アンモニウムに代えて表1に示す種類および量の酸(塩)を使用した他は実施例1と同様にして、比較例2~5に係る研磨用組成物を調製した。
<分散性測定>
調製した研磨用組成物につき、マイクロトラック・ベル社製の動的光散乱式粒度分布測定装置、商品名「ナノトラックUPA-UT151」を用いて、粒度分布を測定した。累積カーブが84%となる点の粒子径(nm)をd84、累積カーブが16%となる点の粒子径(nm)をd16とし、次式:
分散性[nm]=(d84-d16)/2;
により分散性の数値を算出した。得られた結果を表1に示した。この表1には、上述の方法で測定した電気伝導度の値を併せて示している。
なお、比較例1の研磨用組成物のpHは10.0であり、他の例に係る研磨用組成物のpHはいずれも9.0~9.9の範囲にあった。
<シリコンウェーハの研磨>
研磨対象物として、ラッピングおよびエッチングを終えた直径200mmの市販シリコン単結晶ウェーハ(伝導型:P型、結晶方位:<100>、COP(Crystal Originated Particle:結晶欠陥)フリー)を下記の研磨条件1により予備ポリシングしたシリコンウェーハを用意した。予備ポリシングは、脱イオン水中に砥粒(BET径が35nmのコロイダルシリカ)1.0%および水酸化カリウム0.068%を含む研磨液を使用して行った。
[研磨条件1]
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨装置 型式「PNX-322」
研磨荷重:15kPa
定盤の回転速度:30rpm
ヘッド(キャリア)の回転速度:30rpm
研磨パッド:フジボウ愛媛株式会社製 製品名「FP55」
予備研磨液の供給レート:550mL/min
予備研磨液の温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:3min
上記で調製した各例に係る研磨用組成物を研磨液として使用し、上記予備ポリシング後のシリコンウェーハを下記の研磨条件2により研磨した。
[研磨条件2]
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨装置 型式「PNX-322」
研磨荷重:15kPa
定盤の回転速度:30rpm
ヘッド(キャリア)の回転速度:30rpm
研磨パッド:フジボウ愛媛株式会社製 製品名「POLYPAS27NX」
研磨液の供給レート:400mL/min
研磨液の温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:4min
研磨後のシリコンウェーハを研磨装置から取り外し、NHOH(29%):H(31%):脱イオン水(DIW)=1:1:12(体積比)の洗浄液を用いて洗浄した(SC-1洗浄)。具体的には、第1および第2の2つの洗浄槽を用意し、それらの洗浄槽の各々に上記洗浄液を収容して60℃に保持した。研磨後のシリコンウェーハを第1の洗浄槽に5分浸漬し、超純水に浸漬して超音波を付与するリンス槽を経て、第2の洗浄槽に5分浸漬した後、超純水に浸漬して超音波を付与するリンス槽を経てスピンドライヤーを用いて乾燥させた。
<ヘイズ測定>
洗浄後のシリコンウェーハ表面につき、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置、商品名「Surfscan SP2XP」を用いて、DWOモードでヘイズ(ppm)を測定した。得られた結果を、比較例1についてのヘイズ値を100%とする相対値(ヘイズ比)に換算して表1に示した。ヘイズ比が100%未満であれば、へイズ改善効果が有意に確認できるといえる。
Figure 0007588066000001
表1に示されるように、多価有機酸(塩)を用いた実施例1~5では、比較例1に対して有意なヘイズ改善効果が確認された。これらの実施例では比較例1に比べて研磨組成物の分散性(nm)の値が明らかに低下しており、このことがヘイズの改善に貢献したものと考えられる。一方、1価または2価の酸(塩)を用いた比較例2~5では、比較例1に対してヘイズを改善する効果は認められなかった。
なお、ポリビニルアルコールをヒドロキシエチルセルロース(HEC)に変更した他は実施例1と同様にして調製した参考例1の研磨用組成物の分散性は51.2nmであり、クエン酸三アンモニウムを使用しない他は参考例1と同様にして調製した参考例2の研磨用組成物の分散性は23.3nmであった。すなわち、水溶性高分子としてHECを単独で使用した研磨用組成物では、表1に示される結果とは異なり、多価有機酸(塩)による分散性の向上は認められなかった。
≪実験例2≫
<研磨用組成物の調製>
(実施例6)
水溶性高分子として、重量平均分子量(Mw)が約70000、けん化度が98%以上のポリビニルアルコール(非変性PVA)と、重量平均分子量(Mw)が約350,000のポリアクリロイルモルホリン(PACMO)とを使用した。上記ポリビニルアルコールの含有量は0.00263%とし、上記ポリアクリロイルモルホリンの含有量は0.00560%とした。また、C10EO5の含有量を0.00007%とし、クエン酸三アンモニウムの含有量を0.0042%とした。その他は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
(比較例6)
実施例6の組成からクエン酸三アンモニウムを除いた他は実施例6と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。
<評価>
調製した研磨用組成物につき、上述した実験例1と同様に分散性測定、シリコンウェーハの研磨およびヘイズ測定を行った。結果を表2に示した。実施例6について得られたヘイズ値は、比較例6についてのヘイズ値を100%とする相対値(ヘイズ比)に換算した。結果を表2に示した。
Figure 0007588066000002
表2に示されるように、ポリビニルアルコール系ポリマーとその他の水溶性高分子とを組み合わせて含む研磨用組成物である実施例6、比較例6の対比において、比較例6の組成に多価有機酸(塩)を加えることによる明らかなヘイズ改善効果が確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (10)

  1. シリコンウェーハの仕上げポリシング工程で用いられる研磨用組成物であって、
    砥粒と、水溶性高分子としてのポリビニルアルコール系ポリマーと、塩基性化合物と、水と、を含み、
    3価以上の多価有機酸(塩)をさらに含み、
    前記ポリビニルアルコール系ポリマーの含有量(A HM )に対する前記多価有機酸(塩)の含有量(A OA )の比(A OA /A HM )は、重量基準で、0.01以上10以下である、研磨用組成物。
  2. 前記多価有機酸(塩)として、3価以上の多価カルボン酸(塩)を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記多価有機酸(塩)として、3価以上の多価有機酸のアンモニウム塩を含む、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 以下の式:
    分散性[nm]=(d84-d16)/2
    (ここで、前記式中のd84は、粒度分布の累積カーブが84%となる点の粒子径[nm]を表し、d16は、粒度分布の累積カーブが16%となる点の粒子径[nm]を表す。);
    により表される分散性が10.8nm未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  5. 前記水溶性高分子として前記ポリビニルアルコール系ポリマー以外の水溶性高分子をさらに含み、
    以下の式:
    分散性[nm]=(d84-d16)/2
    (ここで、前記式中のd84は、粒度分布の累積カーブが84%となる点の粒子径[nm]を表し、d16は、粒度分布の累積カーブが16%となる点の粒子径[nm]を表す。);
    により表される分散性が14.2nm未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記多価有機酸(塩)を含むことによる電気伝導度の上昇比が3以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. pHが8~12である、請求項1から6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記ポリビニルアルコール系ポリマーの重量平均分子量が10×10以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  9. さらに界面活性剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  10. 前記砥粒はシリカ粒子である、請求項1から9のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
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