以下、電源システムの実施形態を、回転電機を車両の駆動力源とする車両におけるシステムを例として説明する。しかし、当該電源システムが車両以外に用いられることを妨げるものではない。図1、図2、図5、図6は、電源システム100の構成を示す模式的回路ブロック図である。詳細は後述するが、図1のブロック図は、電源システム100の第1の構成例を示しており、他の構成例と区別する場合には、第1電源システム100Aと称する。同様に、第2の構成例を示す図2のブロック図における電源システム100は、第2電源システム100Bと称する。同様に、第3の構成例を示す図5のブロック図における電源システム100は、第3電源システム100Cと称し、第4の構成例を示す図6のブロック図における電源システム100は、第4電源システム100Dと称する。それぞれに共通する事項など、これらをそれぞれ区別する必要がない場合には、単に電源システム100と称して説明する。
回転電機80は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両において車輪の駆動力源となるものである。回転電機80は、互いに独立した複数相(本実施形態では3相)のステータコイル8(オープン巻線)を有するオープン巻線型の回転電機である。ステータコイル8の両端には、それぞれ独立して制御されて直流と複数相(ここでは3相)の交流との間で電力を変換するインバータ30が1つずつ接続されている。つまり、ステータコイル8の一端側には第1インバータ31が接続され、ステータコイル8の他端側には第2インバータ32が接続されている。以下、第1インバータ31と第2インバータ32とを区別する必要がない場合には単にインバータ30と称して説明する。
尚、本実施形態では、オープン巻線型の回転電機を例示しているが、回転電機80はこの形態に限らない。例えば、中性点で接続された複数相のステータコイルの組を2組備えたデュアル巻線型の回転電機が、それぞれのステータコイルに独立して接続された2つのインバータによって駆動制御される形態であってもよい。
インバータ30は、複数のスイッチング素子3を有して構成される。スイッチング素子3には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が用いられる。図1等には、スイッチング素子3としてIGBTが用いられる形態を例示している。本実施形態では、第1インバータ31と第2インバータ32とは、同じ種類のスイッチング素子3を用いた同じ回路構成のインバータ30である。
2つのインバータ30は、それぞれ交流1相分のアームが上段側スイッチング素子3Hと下段側スイッチング素子3Lとの直列回路により構成されている。各スイッチング素子3には、負極から正極へ向かう方向(下段側から上段側へ向かう方向)を順方向として、並列にフリーホイールダイオードが備えられている。尚、複数相のアームにおいて、上段側スイッチング素子3Hを含む側を上段側アームと称し、下段側スイッチング素子3Lを含む側を下段側アームと称する。
また、本実施形態では、2つのインバータ30はそれぞれ独立した高圧直流電源(蓄電装置E)に接続されている。また、インバータ30と蓄電装置Eとの間には、それぞれ直流電圧を平滑化する直流リンクコンデンサ4(平滑コンデンサ)が備えられている。具体的には、第1インバータ31は、直流側に第1直流リンクコンデンサ41が接続されると共に、直流側が第1蓄電装置E1に接続され、交流側が複数相のステータコイル8の一端側に接続されて、直流と複数相の交流との間で電力を変換する。第2インバータ32は、直流側に第2直流リンクコンデンサ42が接続されると共に、直流側が第2蓄電装置E2に接続され、交流側が複数相のステータコイル8の他端側に接続されて、直流と複数相の交流との間で電力を変換する。
図1等に示すように、第1インバータ31は、第1コンタクタMC1を介して第1蓄電装置E1に接続されており、第2インバータ32は、第2コンタクタMC2を介して第2蓄電装置E2に接続されている。第1コンタクタMC1は、閉状態(オン状態)で第1インバータ31と第1蓄電装置E1とを電気的に接続し、開状態(オフ状態)で第1インバータ31と第1蓄電装置E1との電気的接続を遮断する。同様に、第2コンタクタMC2は、閉状態(オン状態)で第2インバータ32と第2蓄電装置E2とを電気的に接続し、開状態(オフ状態)で第2インバータ32と第2蓄電装置E2との電気的接続を遮断する。第1コンタクタMC1及び第2コンタクタMC2は、例えばリレーによって構成されている。
例えば、第1蓄電装置E1及び第2蓄電装置E2は、電圧や蓄電容量などの定格が同等の直流電源である。また、第1直流リンクコンデンサ41及び第2直流リンクコンデンサも、容量などの定格が同等のコンデンサである。尚、後述するように、第3電源システム100C及び第4電源システム100Dでは、例えば蓄電装置Eの蓄電容量や直流リンクコンデンサ4の静電容量が異なる場合もある。蓄電装置Eの定格電圧は、200ボルトから400ボルト程度である。蓄電装置Eは、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(バッテリ)や、電気二重層キャパシタなどにより構成されている。例えば、不図示のオンボードチャージャー及び充電コネクタを介して商用電源に接続されることによって、蓄電装置Eを充電することができる。
また、回転電機80は、電動機としても発電機としても機能することができる。回転電機80は、インバータ30を介して蓄電装置Eからの電力を動力に変換する(力行)。或いは、回転電機80は、車輪等から伝達される回転駆動力を電力に変換し、インバータ30を介して蓄電装置Eを充電する(回生)。即ち、蓄電装置Eは、商用電源を介して充電されるだけでなく、回転電機80によっても充電される。
インバータ30は、不図示の回転電機制御装置により制御される。本実施形態では、自動運転システムを搭載した電気自動車を例示しており、回転電機制御装置は、電気自動車用の駆動制御装置として構成されている。回転電機制御装置は、第1インバータ31と第2インバータ32とのそれぞれを、互いに独立した制御方式で制御可能である(制御方式の詳細については後述する)。回転電機制御装置は、マイクロコンピュータ等の論理回路を中核部材として構築されている。例えば、回転電機制御装置は、不図示の車両制御装置等の他の制御装置等から提供される回転電機80の目標トルク(トルク指令)に基づいて、ベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行って、インバータ30を介して回転電機80を制御する。
回転電機80の各相のステータコイル8を流れる実電流は不図示の電流センサにより検出され、回転電機80のロータの各時点での磁極位置は、レゾルバなどの不図示の回転センサにより検出される。回転電機制御装置は、電流センサ及び回転センサの検出結果を用いて、電流フィードバック制御を実行する。回転電機制御装置は、電流フィードバック制御のために種々の機能部を有して構成されており、各機能部は、マイクロコンピュータ等のハードウエアとソフトウエア(プログラム)との協働により実現される。
回転電機制御装置は、第1インバータ31及び第2インバータ32を構成するスイッチング素子3のスイッチングパターンの形態として、例えば電気角の一周期においてパターンの異なる複数のパルスが出力されるパルス幅変調制御や、電気角の一周期において1つのパルスが出力される矩形波制御を実行することができる。尚、上述したように、回転電機制御装置は、第1インバータ31と第2インバータ32とのそれぞれを、互いに独立した制御方式で制御可能である。
また、回転電機制御装置は、インバータ30や回転電機80に異常が検出されたような場合のフェールセーフ制御として、シャットダウン制御やアクティブショートサーキット制御を実行することができる。シャットダウン制御は、インバータ30を構成する全てのスイッチング素子3へのスイッチング制御信号を非アクティブ状態にしてインバータ30をオフ状態にする制御である。アクティブショートサーキット制御は、複数相全てのアームの上段側スイッチング素子3H或いは複数相全てのアームの下段側スイッチング素子3Lの何れか一方側をオン状態とし、他方側をオフ状態とする制御である。尚、複数相全てのアームの上段側スイッチング素子3Hをオン状態とし、複数相全てのアームの下段側スイッチング素子3Lをオフ状態とする場合を上段側アクティブショートサーキット制御と称する。また、複数相全てのアームの下段側スイッチング素子3Lをオン状態とし、複数相全てのアームの上段側スイッチング素子3Hをオフ状態とする場合を下段側アクティブショートサーキット制御と称する。
本実施形態のように、ステータコイル8の両端にそれぞれインバータ30が接続されている場合、一方のインバータ30をアクティブショートサーキット制御によって短絡させると、複数相のステータコイル8が当該一方のインバータ30において短絡される。つまり、当該一方のインバータ30が中性点となって、ステータコイル8がY型結線されることになる。上述したように、回転電機制御装置は、第1インバータ31と第2インバータ32とのそれぞれを、互いに独立した制御方式で制御可能である。このため、回転電機制御装置は、2つのインバータ30を介してオープン巻線型の回転電機80を制御する形態と、1つのインバータ30(アクティブショートサーキット制御されていない側のインバータ30)を介してY型結線の回転電機80を制御する形態とを実現することができる。
車両は、種々のシステムを備えている。例えば、車両は、少なくとも、電動ステアリングシステム、自動ブレーキシステム、周辺監視システム、ナビゲーションシステム、エアコンディショナーシステム、デフロスターシステム、電動シートシステム、シートヒータシステムを備えている。それぞれのシステムの間は、CAN(Controller Area Network)などの車内ネットワークによって接続されており、情報の授受が可能に構成されている。
電動ステアリングシステムは、ドライバーによるステアリング操作の補助や、自動運転時における操舵を行うシステムである。自動ブレーキシステムは、ドライバーによる制動操作の補助や、自動運転時における制動、及び障害物等を検知した場合の制動を行うシステムである。周辺監視システムは、道路標識や道路標示の認識、走行経路への障害物の進入、駐車時における車両周辺の物体の監視等を行うシステムである。ナビゲーションシステムは、目的地までの経路の探索、及び目的までの案内を行うシステムである。エアコンディショナーシステムは、車室内の温度や湿度を整えるシステムである。デフロスターシステムは、車両の窓の曇りを抑制するシステムである。電動シートシステムは、車両のシート位置を調整するシステムである。シートヒータシステムは、寒冷期等においてシートを温めるシステムである。
ここで、車両制御装置、回転電機制御装置、自動ブレーキシステム、周辺監視システム、ナビゲーションシステム、電動シートシステムは、例えば12ボルト程度の低電圧が定格の負荷群であり、ここでは「低電圧負荷群」と称する。電動ステアリングシステム、エアコンディショナーシステム、デフロスターシステム、シートヒータシステムは、例えば42ボルト程度の中電圧が定格の負荷群であり、ここでは、「中電圧負荷群」と称する。尚、定格の電圧が200~400ボルトの蓄電装置Eに接続されたインバータ30(第1インバータ31及び第2インバータ32)は、200~400ボルトが定格の負荷群であり、ここでは「高電圧負荷群」と称する。以上は、定格電圧による電気的負荷の分類である。
一方、例えば車両に搭載される電気的負荷には、車両に何らかの異常が生じている場合でも、動作を継続することが好ましい負荷、つまり電力供給の重要度の高い負荷と、車両に何らかの異常が生じている場合には例えば節電のために動作を停止しても問題のない負荷、つまり電力供給の重要度の低い負荷とがある。ここでは、そのように重要度が高い負荷を、緊急時でも電源供給が必要な負荷である第1負荷群EL(Emergency Load)と称し、重要度が低い負荷を、緊急時には電源供給を中止してもよい第2負荷群NEL(Non-Emergency Load)と称する。第1負荷群EL及び第2負荷群NEL共に、インバータ30の直流側の定格電圧(蓄電装置E(第1蓄電装置E1及び第2蓄電装置E2)の定格電圧)よりも低電圧を定格電圧とする電気的負荷である。
例えば、上記のシステムの場合、「高電圧負荷群」に属するインバータ30、「中電圧負荷群」に属する電動ステアリングシステム、エアコンディショナーシステム、「低電圧負荷群」に属する車両制御装置、回転電機制御装置、自動ブレーキシステム、周辺監視システム、ナビゲーションシステムは、第1負荷群ELに属する。その他の負荷は、第2負荷群NELに属する。以上、本実施形態では、上記の各負荷は、下記の表1のように分類される。尚、下記の説明においては、インバータ30を除き、蓄電装置Eから付加的に電力を供給される負荷について、第1負荷群ELと第2負荷群NELとに分けて説明する。従って、インバータ30は、第1負荷群EL及び第2負荷群NELの何れにも属していない。
上述したように、電源システム100は、2つの直流電源(蓄電装置E)を備えている。これらは、インバータ30等の高電圧負荷群に電力を供給する高圧直流電源であるから、電源システム100は、低電圧負荷群や中電圧負荷群に適切な定格電圧を供給するための降圧コンバータ10を備えている。詳細は後述するが、図1及び図5に示す形態(第1電源システム100A及び第3電源システム100C)では、降圧コンバータ10として、蓄電装置Eからの200ボルト~400ボルト程度の高電圧の入力電圧Vinを、共に12ボルト程度の低電圧(第1電圧V1)に降圧する第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2を備えている。図2に示す形態(第2電源システム100B)では、入力電圧Vinを共に、12ボルト程度の低電圧(第1電圧V1)及び42ボルト程度の中電圧(第2電圧V2)に降圧する第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2を備えている。図6に示す形態(第4電源システム100D)では、入力電圧Vinを第1電圧V1に降圧する第1降圧コンバータ1と、入力電圧Vinを第1電圧V1及び第2電圧V2に降圧する第2降圧コンバータ2とを備えている。
尚、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2について、入力電圧Vinを第1電圧V1にのみ降圧する降圧コンバータ10と、入力電圧Vinを第1電圧V1及び第2電圧V2に降圧する降圧コンバータ10とを区別する場合、前者(第1電圧V1にのみ降圧)をシングル降圧コンバータ11と称し、後者(第1電圧V1及び第2電圧V2に降圧)をマルチ降圧コンバータ12と称する。また、第1電圧V1は、例えば定格が12ボルト(11~13ボルト程度)或いは24ボルト(22~26ボルト)であり、第2電圧V2は、例えば定格が36ボルト(32~40ボルト)、42ボルト(38~46ボルト)、或いは48ボルト(43~53ボルト)である。
図3は、シングル降圧コンバータ11の一例を模式的に示しており、図4は、マルチ降圧コンバータ12の一例を模式的に示している。本実施形態では、降圧コンバータ10は、トランスTを備えた絶縁型コンバータである。シングル降圧コンバータ11は、1組のトランスTを備え、マルチ降圧コンバータ12は、2組のトランスT(第1トランスT1及び第2トランスT2)を備えている。シングル降圧コンバータ11及びマルチ降圧コンバータ12共に、一次側コイルTPは蓄電装置Eにスイッチング素子を介して接続されている。スイッチング素子がスイッチングすることにより、入力電圧Vinが断続的に一次側コイルに印加され、電磁誘導によって二次側コイルTSに交流電圧が誘起される。二次側回路には、整流用ダイオードD及び平滑コンデンサCが備えられている。整流用ダイオードDによって交流電圧が直流に整流され、整流の際に生じる脈動が平滑コンデンサCによって平滑化される。
図1、図2、図5、図6に示すように、電源システム100は、第1蓄電装置E1と、第2蓄電装置E2と、第1蓄電装置E1に電気的に接続された第1インバータ31と、第2蓄電装置E2に電気的に接続された第2インバータ32と、第1蓄電装置E1から入力される入力電圧Vinを降圧して出力する第1降圧コンバータ1と、第2蓄電装置E2から入力される入力電圧Vinを降圧して出力する第2降圧コンバータ2と、第1負荷群ELと、第2負荷群NELとを備えている。そして、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2の何れか一方の降圧コンバータ10から第1負荷群ELに電力が供給され、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2の何れか他方の降圧コンバータ10から第2負荷群NELに電力が供給される。
電源システム100がこのように構成されることによって、蓄電装置Eからインバータ30に電力を供給すると共に、蓄電装置Eから降圧コンバータ10を介して第1負荷群EL及び第2負荷群NELにも電力を供給することができる。つまり、インバータ30に比べて低電圧で動作する電気的負荷に電力を供給するために、別の電源を備える必要がなく、電源システムを簡素化することができる。
尚、図1及び図5に示すように、第1電源システム100A及び第3電源システム100Cでは、第1降圧コンバータ1は、第1蓄電装置E1から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1を出力し、第2降圧コンバータ2も、第2蓄電装置E2から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1を出力する。第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2は、図3に示すシングル降圧コンバータ11として構成されている。
また、図2に示すように、第2電源システム100Bでは、第1降圧コンバータ1は、第1蓄電装置E1から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1及び第1電圧V1よりも高い第2電圧V2を出力し、第2降圧コンバータ2も、第2蓄電装置E2から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1及び第2電圧V2を出力する。第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2は、図4に示すマルチ降圧コンバータ12として構成されている。
また、図6に示すように、第4電源システム100Dでは、第1降圧コンバータ1は、第1蓄電装置E1から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1出力し、第2降圧コンバータ2は、第2蓄電装置E2から入力される入力電圧Vinを降圧して第1電圧V1及び第1電圧V1よりも高い第2電圧V2を出力する。第1降圧コンバータ1は、図3に示すシングル降圧コンバータ11として構成されており、第2降圧コンバータ2は、図4に示すマルチ降圧コンバータ12として構成されている。
図1、図5及び下記の表2に示すように、第1電源システム100A及び第3電源システム100Cでは、第1負荷群EL及び第2負荷群NELの双方に、第1電圧V1が供給されている。第1負荷群EL及び第2負荷群NEL共に、中電圧負荷が含まれているが、これらを本来の定格電圧よりも低電圧の第1電圧V1で動作させることによって、電源システム100を簡素化することができる。そして、これにより、電源システム100のコストの低減が図れる可能性がある。尚、それぞれの負荷において昇圧レギュレータなどを用いて、適宜、第1電圧V1よりも高い電圧に昇圧されることを妨げるものではない。
図2、図6及び下記の表3に示すように、第2電源システム100B及び第4電源システム100Dでは、第1負荷群ELに第1電圧V1が供給され、第2負荷群NELに第2電圧V2が供給されている。第2負荷群NELに含まれている中電圧負荷には、本来の定格電圧である第2電圧V2が供給されるが、第1負荷群ELに含まれている中電圧負荷には、本来の定格電圧よりも低電圧の第1電圧V1が供給されている。第1負荷群ELに含まれている中電圧負荷を本来の定格電圧よりも低電圧の第1電圧V1で動作させることによって、後述するように、異常が発生した場合も考慮した電源システム100を簡素化することができる。尚、第1負荷群ELに含まれている中電圧負荷のそれぞれにおいて昇圧レギュレータなどを用いて、適宜、第1電圧V1よりも高い電圧に昇圧されることを妨げるものではない。
図1及び図2に示すように、第1電源システム100A及び第2電源システム100Bでは、第1負荷群ELが、第1スイッチS1を介して第1降圧コンバータ1と電気的に接続されており、第2負荷群NELが、第2スイッチS2を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続されている。さらに、第1負荷群ELは、第3スイッチS3を介して第2降圧コンバータ2とも電気的に接続されており、第2負荷群NELは、第4スイッチS4を介して第1降圧コンバータ1とも電気的に接続されている。
尚、第2電源システム100Bの降圧コンバータ10は、共にマルチ降圧コンバータ12であるから、より具体的には、第1負荷群ELは、第1降圧コンバータ1から第1電圧V1を供給可能に、第1スイッチS1を介して第1降圧コンバータと電気的に接続され、第2負荷群NELは、第2降圧コンバータ2から第2電圧V2を供給可能に、第2スイッチS2を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続されている。さらに、第1負荷群ELは、第2降圧コンバータ2からも第1電圧V1を供給可能に、第3スイッチS3を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続され、第2負荷群NELは、第1降圧コンバータ1からも第2電圧V2を供給可能に、第4スイッチS4を介して第1降圧コンバータ1と電気的に接続されている。
また、図5及び図6に示すように、第3電源システム100C及び第4電源システム100Dでは、第1負荷群ELが、第1スイッチS1を介して第1降圧コンバータ1と電気的に接続されており、第2負荷群NELが、第2スイッチS2を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続されている。さらに、第1負荷群ELは、第3スイッチS3を介して第2降圧コンバータ2とも電気的に接続されている。第2負荷群NELは、第1降圧コンバータ1とは電気的に接続されていない。
尚、第4電源システム100Dの第2降圧コンバータ2はマルチ降圧コンバータ12であるから、より具体的には、第1負荷群ELは、第1降圧コンバータ1から第1電圧V1を供給可能に、第1スイッチS1を介して第1降圧コンバータと電気的に接続され、第2負荷群NELは、第2降圧コンバータ2から第2電圧V2を供給可能に、第2スイッチS2を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続されている。さらに、第1負荷群ELは、第2降圧コンバータ2からも第1電圧V1を供給可能に、第3スイッチS3を介して第2降圧コンバータ2と電気的に接続されている。第1降圧コンバータ1はシングル降圧コンバータ11であるから、第2負荷群NELは、第1降圧コンバータ1からは第2電圧V2を供給可能には接続されていない。
即ち、4つの形態の電源システム100に共通して、少なくとも第1負荷群ELは、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2の双方から選択的に電力が供給可能に、双方の降圧コンバータ10に電気的に接続されている。第2負荷群NELは、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2の少なくとも一方から電力が供給可能に、当該一方の降圧コンバータ10に電気的に接続されている。
上記のような構成により、4つの形態の電源システム100に共通して、降圧コンバータ10の何れか一方からの電力供給ができない場合、何れか他方の降圧コンバータ10から少なくとも第1負荷群ELに電力が供給可能である。従って、電源システム100に故障等が生じた場合でも、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給を継続することができる。例えば、2つの降圧コンバータ10の内の何れか一方が故障した場合、或いは、何れか一方の降圧コンバータ10への蓄電装置Eからの電力供給が途絶えた場合(蓄電装置Eの故障、第1コンタクタMC1或いは第2コンタクタMC2の開放等)であっても、第1負荷群ELへの電力の供給を継続することができる。
尚、上述したように、第1負荷群ELは、第2負荷群NELに比べて、電力供給の優先度の高い電気的負荷である。電力供給の優先度に応じて電気的負荷を分類することで、適切に電源システム100における電源供給の設計、管理、制御等を行うことができる。また、例えば、降圧コンバータ10の何れか一方からの電力供給ができない場合に、何れか他方の降圧コンバータ10から少なくとも第1負荷群に電力が供給されるように構成されている場合には、電力供給の優先度の高い第1負荷群ELに適切に電力を供給することができる。
例えば、図1に示す第1電源システム100Aでは、第1スイッチS1~第4スイッチS4を下記の表4に示すように制御することによって、電源システム100に故障等が生じた場合でも、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給を継続することができる。
また、例えば、図2に示す第2電源システム100Bでは、第1スイッチS1~第4スイッチS4を下記の表5に示すように制御することによって、電源システム100に故障等が生じた場合でも、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給を継続することができる。
ここで、表4及び表5に示すように、第1電源システム100A及び第2電源システム100Bでは、正常時に第1パターン及び第2パターンによる電力供給が可能である。つまり、第1電源システム100A及び第2電源システム100Bでは、正常時に第1負荷群ELに電力を供給する降圧コンバータ10と、第2負荷群NELに電力を供給する降圧コンバータ10とを切り替えることができる。これにより、第1蓄電装置E1及び第2蓄電装置E2の何れか一方の充電残量が低下するようなことを抑制して、第1蓄電装置E1及び第2蓄電装置E2のバランスを保つことが容易である。
即ち、電源システム100は、第1負荷群ELに電力を供給する降圧コンバータ10と、第2負荷群NELに電力を供給する降圧コンバータ10とが、予め規定された切り替え条件に従って入れ替えられると好適である。ここで、切り替え条件とは、所定の時間ごとでも良いし、第1蓄電装置E1の充電状態(SOC:state of charge)と第2蓄電装置E2の充電状態とに基づき、SOCの差が予め規定された値以上となった場合、等である。このように、切り替えることによって、2つの蓄電装置Eをバランス良く用いることができる。尚、切り替え条件の判定のため、回転電機制御装置には、蓄電装置EのSOCの情報がフィードバックされていると好適である。
尚、表4及び表5には記載していないが、第1蓄電装置E1と第2蓄電装置E2とのバランスを考慮しなければ、異常時において第2負荷群NELへの電力供給が行われることを妨げるものではない。例えば、第1降圧コンバータ1を介した電力供給ができなくなった場合、第3スイッチS3をON状態として第2降圧コンバータ2から第1負荷群ELに電力を供給すると共に、第2スイッチS2もON状態として第2降圧コンバータ2から第2負荷群NELに電力を供給してもよい。或いは、第2降圧コンバータ2を介した電力供給ができなくなった場合、第1スイッチS1をON状態として第1降圧コンバータ1から第1負荷群ELに電力を供給すると共に、第4スイッチS4もON状態として第1降圧コンバータ1から第2負荷群NELに電力を供給してもよい。
また、例えば、図5に示す第3電源システム100Cでは、第1スイッチS1~第3スイッチS3を下記の表6に示すように制御することによって、電源システム100に故障等が生じた場合でも、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給を継続することができる。
また、例えば、図6に示す第4電源システム100Dでは、第1スイッチS1~第3スイッチS3を下記の表7に示すように制御することによって、電源システム100に故障等が生じた場合でも、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給を継続することができる。
表6及び表7に示すように、第3電源システム100C及び第4電源システム100Dでは、第1降圧コンバータ1は、第1負荷群ELへ電力を供給可能であり、第2降圧コンバータ2は、第1負荷群EL及び第2負荷群NELに電力を供給可能である。第3電源システム100C及び第4電源システム100Dでは、第1電源システム100A及び第2電源システム100Bとは異なり、第1降圧コンバータ1は、第2負荷群NELへ電力を供給することができない。従って、上述したように、第1負荷群ELに電力を供給する降圧コンバータ10と、第2負荷群NELに電力を供給する降圧コンバータ10とを入れ替えることができない。尚、第1負荷群ELは、何れの降圧コンバータ10からも電力を供給可能であるから、少なくとも第1負荷群ELへの電力供給は、電源システム100に異常が生じても継続することができる。
第3電源システム100C及び第4電源システム100Dでは、正常時において第1負荷群ELに電力を供給する降圧コンバータ10が第1降圧コンバータ1に固定され、第2負荷群NELに電力を供給する降圧コンバータ10が第2降圧コンバータ2に固定される。従って、正常時において第1負荷群ELに電力を供給する蓄電装置Eも第1蓄電装置E1に固定され、第2負荷群NELに電力を供給する蓄電装置Eも第2蓄電装置E2に固定される。よって、第1蓄電装置E1の充電状態(SOC)と第2蓄電装置E2の充電状態との差が大きくなり、2つの蓄電装置Eをバランス良く用いることができない場合がある。
そこで、第1降圧コンバータ1の定格が、第1負荷群ELの最大負荷に基づいて設定され、第2降圧コンバータ2の定格が、第1負荷群ELの最大負荷及び第2負荷群NELの最大負荷の内の大きい方に基づいて設定されていると好適である。第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2が、それぞれの降圧コンバータ10を介した供給先の最大負荷に応じた定格を有するように構成されることで、不必要に回路規模が大きくなるようなことが抑制される。
尚、表6及び表7に示したように、正常時には第2降圧コンバータ2から第2負荷群NELに電力が供給され、異常時には第2降圧コンバータ2から第2負荷群NELへの電力の供給が遮断されると共に第1負荷群ELへ電力が供給される。一般的に、正常時の稼働時間の方が遙かに長いから、異常時における第1負荷群ELへの電力供給を可能とするために、第2降圧コンバータ2の定格を設定することは好ましくない。従って、第1負荷群ELと第2負荷群NELとは、第1負荷群ELの最大負荷よりも第2負荷群NELの最大負荷の方が大きくなるように分類されると好適である。
第2負荷群NELは、中電圧を定格とするような比較的消費電力の大きい負荷群である。従って、例えば、第1負荷群ELの最大負荷と、第2負荷群NELの最大負荷との比が、1:2となるように、負荷が分類されると好適である。当該最大負荷に応じて、第1降圧コンバータ1と第2降圧コンバータ2とを適切に構成することができる。何れか一方の降圧コンバータ10を小型化できる可能性があるため、電源システム100の簡素化、低コスト化を図ることができる。同様に、蓄電装置Eの容量についても、異ならせることができる可能性がある。
尚、表6及び表7には記載していないが、第2蓄電装置E2からの放電量を考慮しなければ(考慮する必要が無ければ)、異常時において第2負荷群NELへの電力供給が行われることを妨げるものではない。例えば、第1降圧コンバータ1を介した電力供給ができなくなった場合、第3スイッチS3をON状態として第2降圧コンバータ2から第1負荷群ELに電力を供給すると共に、第2スイッチS2もON状態として第2降圧コンバータ2から第2負荷群NELに電力を供給してもよい。
ところで、上記において、4つの形態の電源システム100に共通して、降圧コンバータ10の何れか一方からの電力供給ができない場合、何れか他方の降圧コンバータ10から少なくとも第1負荷群ELに電力が供給可能であることを説明した。また、「降圧コンバータ10の何れか一方からの電力供給ができない場合」について、2つの降圧コンバータ10の内の何れか一方が故障した場合、或いは、何れか一方の降圧コンバータ10への蓄電装置Eからの電力供給が途絶えた場合(蓄電装置Eの故障、第1コンタクタMC1或いは第2コンタクタMC2の開放等)を例示した。ここで、「何れか一方の降圧コンバータ10への蓄電装置Eからの電力供給が途絶えた場合」について、補足する。
通常動作時においては、第1コンタクタMC1及び第2コンタクタMC2が閉状態(オン状態)に制御されて、第1蓄電装置E1から第1降圧コンバータ1に電力が供給され、第2蓄電装置E2から第2降圧コンバータ2に電力が供給される。そして、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2を介して第1負荷群EL及び第2負荷群NELに電力が供給される。
ここで、第1コンタクタMC1或いは第2コンタクタMC2に何らかの異常(故障や衝撃による開放など)が生じると、蓄電装置Eと降圧コンバータ10との電気的接続も遮断される。その結果、降圧コンバータ10から負荷への電力供給も途絶することになる。また、蓄電装置E自体に異常が生じた場合には、第1コンタクタMC1及び第2コンタクタMC2が閉状態であっても、蓄電装置Eからの電力供給が途絶する。蓄電装置Eの異常とは、例えば蓄電装置Eを構成する複数のバッテリーセルの内の少なくとも一部の損傷や、蓄電装置Eの充放電を管理するバッテリーコントローラの故障等である。回転電機制御装置には、第1コンタクタMC1及び第2コンタクタMC2の状態を示す情報、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2それぞれから出力される第1電圧V1及び第2電圧V2の検出結果等がフィードバックされていると好適である。
また、インバータ30に異常が生じた場合には、上述したように、フェールセーフ制御として、第1コンタクタMC1或いは第2コンタクタMC2が開状態(オフ状態)に制御されて、当該インバータ30と蓄電装置Eとの電気的接続が遮断される。尚、当該インバータ30は、上述したようにアクティブショートサーキット制御されることによって短絡され、異常が生じていない側のインバータ30によって回転電機80が駆動される。
このようなフェールセーフ制御が実行される場合、回転電機80を駆動するために、一方の蓄電装置Eの放電量が多くなる可能性があるため、上述したように、少なくとも第1負荷群ELにのみ電力の供給が継続されると好適である。
第1蓄電装置E1、第2蓄電装置E2、第1インバータ31、第2インバータ32の何れかが故障した場合にこのような制御が実行されることによって、第1負荷群ELへの電力の供給を継続すると共に、異常を生じていない一方のインバータ30を用いて回転電機80の駆動制御を継続することができる。これにより、例えば、車両を修理工場や、安全な駐車場所まで適切に移動させることも可能となる。
また、上記においては、第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2としてトランスTを備えた絶縁型のコンバータを用いる形態を例示して説明した。絶縁型のコンバータの場合、インバータ30及び蓄電装置Eを含む高電圧回路の基準電位と、第1負荷群EL及び第2負荷群NELとを含む低電圧回路及び中電圧回路の基準電位が分離され、それぞれの回路が独立した構成を容易に構築することができる。これにより、それぞれの回路の干渉、相互作用を抑制し易くなる。しかし、別の方法で干渉や相互作用が抑制できる場合、或いは干渉や相互作用の影響が小さい場合などでは、絶縁型に限らず、チョッパ型などの他の構成のコンバータによって第1降圧コンバータ1及び第2降圧コンバータ2が構成されていてもよい。