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JP7590135B2 - 発酵乳及び発酵乳の製造方法 - Google Patents
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JP7590135B2 - 発酵乳及び発酵乳の製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 令和2年3月5日、食品産業新聞にて公開
特許法第30条第2項適用 令和2年3月9日、食料醸界新聞にて公開
特許法第30条第2項適用 令和2年3月17日、ニュースリリースにて公開
特許法第30条第2項適用 令和2年3月30日、チチヤス株式会社のウェブサイトにて公開
特許法第30条第2項適用 令和2年4月9日、食品産業新聞にて公開
特許法第30条第2項適用 令和2年3月30日以降、販売により公開
本発明の実施形態は、発酵乳及び発酵乳の製造方法に関する。
近年、健康志向の高まりから、低糖質高タンパク質の食生活が好まれている。ヨーグルトの分野でも、タンパク質含有量を高めたギリシャヨーグルトが注目されている。例えば、特許文献1には、カード形成後、膜処理することによって製造されたソフトタイプの発酵乳が開示されている。
ギリシャヨーグルトは、一般的には乳清を含む水分を取り除き、濃縮して製造されるため、濃厚でねっとりとした独特の食感がある。例えば、特許文献2には、乳発酵物から水性画分を除去した水切原料と、乳蛋白質とを含む濃厚ヨーグルトが開示されている。
特開2005-318855号公報 特開2016-136915号公報
濃厚でねっとりした食感は、好みによっては日常的に摂取するには抵抗を感じる人もいる。そこで、タンパク質含有量が高くても食べやすく、毎日おいしく摂取できるヨーグルトが求められていた。
本発明の実施形態は、上記に鑑み、食感及び風味が良い発酵乳を提供することを課題とする。また、本発明の実施形態は、食感及び風味が良い発酵乳を製造する方法を提供することを課題とする。
実施形態の例を以下に挙げる。本発明は以下の実施形態に限定されない。
(1)5.0~14.0質量%のタンパク質と、0.150質量%以下のカルシウムとを含有し、硬さが1.0~9.0N/mである、発酵乳。
(2)変性乳清タンパク質を含む乳原料を含有する発酵用混合物を発酵させて得られる、上記(1)に記載の発酵乳。
(3)灰分の含有量が、0.8~1.2質量%である、上記(1)又は(2)に記載の発酵乳。
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の発酵乳を製造する方法であって、
乳原料を含有する原料混合物を準備すること、
前記原料混合物と、スターターと、タンパク質分解酵素とを含有する発酵用混合物を調製すること、及び、
前記発酵用混合物を発酵させること、
を含む、発酵乳の製造方法。
(5)前記原料混合物を準備することが、脱脂粉乳と、変性乳清タンパク質とを混合し、前記原料混合物を得ることを含む、上記(4)に記載の発酵乳の製造方法。
(6)前記発酵用混合物の調製に使用される前記タンパク質分解酵素の量が、乳原料の質量を基準として、0.05~1.0質量%である、上記(4)又は(5)に記載の発酵乳の製造方法。
本発明の実施形態によれば、食感及び風味が良い発酵乳を提供することができる。また、本発明の実施形態によれば、食感及び風味が良い発酵乳を製造する方法を提供することができる。
本発明の実施形態について説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
<発酵乳>
本発明の実施形態である発酵乳は、5.0~14.0質量%のタンパク質と、0.150質量%以下のカルシウムとを含有し、硬さが1.0~9.0N/mである。発酵乳は、更に、乳脂肪分、乳糖、ミネラル、水分等の他の成分を含有してよい。
[タンパク質]
発酵乳は、タンパク質を含有する。タンパク質は、乳タンパク質を含む。乳タンパク質として、例えば、α-カゼイン、β-カゼイン等のカゼイン;及び、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、免疫グロブリン、ウシ血清アルブミン、ラクトフェリン等の乳清タンパク質を挙げることができる。発酵乳に含まれるタンパク質は、熱変性、化学的変性、及び/又は、物理的変性されていてもよい。例えば、変性温度以上での加熱による殺菌工程を経て製造された発酵乳は、熱変性タンパク質を含む。
乳タンパク質は、乳原料に由来するタンパク質であってよい。乳原料として、例えば、生乳、牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳製品等が挙げられる。乳製品として、例えば、クリーム、バター、全粉乳(WMP)、脱脂粉乳(SMP)、全乳タンパク質濃縮物(TMP)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳清タンパク質分離物(WPI)等が挙げられる。
発酵乳中のタンパク質の含有量は、発酵乳の質量を基準として、5.0質量%以上であり、6.0質量%以上であることが好ましく、7.0質量%以上であることがより好ましい。タンパク質の含有量は、発酵乳の質量を基準として、14.0質量%以下であり、12.0質量%以下であることが好ましく、11.0質量%以下であることがより好ましい。タンパク質の含有量が5.0質量%以上である場合、濃厚な食感の発酵乳が得られる傾向がある。タンパク質の含有量が14.0質量%以下である場合、粘度が高くなりすぎることを防ぎ、さっくりとして、のど越しがよい発酵乳が得られる傾向がある。タンパク質の含有量は、窒素定量換算法(燃焼法、窒素-タンパク質換算係数6.48)により測定することができる。
タンパク質は、変性乳清タンパク質を含んでよい。変性乳清タンパク質として、熱変性乳清タンパク質、化学的変性乳清タンパク質、物理的変性乳清タンパク質等が挙げられる。タンパク質は、熱変性乳清タンパク質を少なくとも含むことが好ましい。熱変性乳清タンパク質は、更なる熱変性が生じない状態にまで、熱によって十分に変性させたタンパク質を含むことが好ましい。
変性乳清タンパク質は、乳原料に含まれる変性乳清タンパク質に由来する変性乳清タンパク質(以下、「原料由来の変性乳清タンパク質」という場合がある。)を含むことが好ましい。乳原料として好ましく使用される変性乳清タンパク質として、後述する微粒化変性乳清タンパク質が挙げられる。したがって、発酵乳は、好ましくは微粒化変性乳清タンパク質を含有する。発酵乳は、製造途中で加熱等によって生じる変性乳清タンパク質を更に含んでよい。
発酵乳中、原料由来の変性乳清タンパク質の含有量は、発酵乳の質量を基準として、0.5質量%以上であり、0.8質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量は、発酵乳の質量を基準として、9.0質量%以下であり、7.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましい。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量が0.5質量%以上である場合、なめらかな食感を有する発酵乳が得られやすい傾向がある。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量が9.0質量%以下である場合、タンパク質の凝集を防止しやすい傾向がある。
タンパク質中、原料由来の変性乳清タンパク質の含有量は、全てのタンパク質の合計の質量を基準とした場合、10.0質量%以上であり、15.0質量%以上であることが好ましく、17.0質量%以上であることがより好ましい。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量は、全てのタンパク質の合計の質量を基準として、62.0質量%以下であり、50.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量が10.0質量%以上である場合、滑らかな食感を有する発酵乳が得られやすい傾向がある。原料由来の変性乳清タンパク質の含有量が62.0質量%以下である場合、あっさりし過ぎることを防ぎ、濃厚感を有する発酵乳が得られる傾向がある。
[カルシウム]
発酵乳は、カルシウムを含有する。カルシウムの含有量は、発酵乳の質量を基準として、0.150質量%以下であり、0.140質量%以下であることが好ましく、0.130質量%以下であることがより好ましい。カルシウムの含有量は、発酵乳の質量を基準として、0.050質量%以上であることが好ましく、0.070質量%以上であることがより好ましく、0.100質量%以上であることが更に好ましい。カルシウムの含有量が0.150質量%以下である場合、風味の良い発酵乳が得られやすい傾向がある。カルシウムの含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)により測定することができる。
[他の成分等]
発酵乳は、更に、乳脂肪分(MF)、乳糖、ミネラル、ビタミン、香料、甘味料、着色料、ゲル化剤、安定剤、水分等を含有してよい。ミネラルとして、上述のカルシウム以外には、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄等が挙げられる。
無脂乳固形分(SNF)の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、8.0質量%以上、8.1質量%以上、又は、8.2質量%以上であってよい。無脂乳固形分の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、20.0質量%以下、11.0質量%以下、又は、10.0質量%以下であってよい。
発酵乳は、乳脂肪分を含有しない無脂肪の発酵乳であっても、乳脂肪分を含有する発酵乳であってもよい。乳脂肪分を含有する発酵乳は、低脂肪の発酵乳であってもよい。発酵乳が乳脂肪分を含有する場合、乳脂肪分の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、0質量%超、0.1質量%以上、又は、0.2質量%以上であってよい。乳脂肪分の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、10.0質量%以下、3.0質量%以下、又は、1.0質量%以下であってよい。
無脂乳固形分の含有量及び乳脂肪分の含有量は、フーリエ変換赤外分光法により測定することができる。測定には市販のフーリエ変換赤外分光光度計(例えば、FOSS社製のFT-IR乳成分測定装置「MilkoScanTM FT2」)を使用できる。測定は、発酵乳を用いて行うことも、又は、発酵させる前の原料混合物若しくは発酵用混合物を使用して行うこともできる。原料混合物若しくは発酵用混合物を使用する場合、得られた測定値を発酵乳中の含有量とすればよい。
発酵乳に含まれるミネラルの中でも、ナトリウムの含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、0.030質量%以上、0.040質量%以上、又は、0.050質量%以上であってよい。ナトリウムの含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、0.100質量%以下、0.090質量%以下、又は、0.080質量%以下であってよい。ナトリウムの含有量が0.100質量%以下である場合、風味の良い発酵乳が得られやすい傾向がある。ナトリウムの含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)又は原子吸光光度法により測定することができ、好ましくは誘導結合プラズマ発光分析法により測定する。
発酵乳に含まれる灰分には、上述のカルシウム、ナトリウム等のミネラルなどが含まれる。灰分の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、0.50質量%以上、0.60質量%以上、又は、0.80質量%以上であってよい。灰分の含有量は、発酵乳の質量を基準として、例えば、1.20質量%以下、1.00質量%以下、又は、0.90質量%以下であってよい。灰分の含有量が1.20質量%以下である場合、良好な風味と食感とが得られやすい傾向がある。灰分の含有量は、直接灰化法により測定することができる。
[硬さ]
発酵乳の硬さは、1.0N/m以上であり、2.0N/m以上であることが好ましく、3.0N/m以上であることがより好ましい。発酵乳の硬さは、9.0N/m以下であり、7.0N/m以下であることが好ましく、4.0N/m以下であることがより好ましい。発酵乳の硬さが1.0N/m以上である場合、濃厚な食感の発酵乳が得られる傾向がある。発酵乳の硬さが、9.0N/m以下である場合、さっくりとして、のど越しがよい発酵乳が得られる傾向がある。発酵乳の硬さは、食品物性試験機(例えば、株式会社山電社製「クリープメータRE-33005B」)を用いて測定することができる。
発酵乳の硬さを調整する方法として、例えば、以下が挙げられる。発酵乳中のタンパク質の含有量を高くする、発酵乳に寒天、ゼラチン等のゲル化剤、又は、澱粉等の増粘剤を加える、などにより発酵乳はより硬くなる傾向がある。発酵乳中のタンパク質の含有量が高い場合、結合水が増加するために発酵乳の硬さが増すと考えられる。タンパク質の含有量を高くする方法として、原料として濃縮した牛乳を使用する、乳タンパク質濃縮物等の乳製品を使用する、などが挙げられる。一方、発酵乳中のタンパク質の含有量を低くする、無脂乳固形分含有量を低くする、などにより発酵乳を柔らかくすることができる傾向がある。
[発酵乳の製造方法]
発酵乳の製造方法は特に限定されない。遠心分離法、水切り法、原料に乳タンパク質濃縮物等を添加する方法等の公知の方法を使用することができる。タンパク質の含有量が高く、かつ、さっくりとしてのど越しが良好な発酵乳が容易に得られるという観点から、下記の発酵乳の製造方法が好ましい。
<発酵乳の製造方法>
本発明の実施形態である発酵乳の製造方法は、上記実施形態の発酵乳を製造する方法であって、乳原料を含有する原料混合物を準備すること(以下、「準備工程」という場合がある。);前記原料混合物と、スターターと、タンパク質分解酵素とを含有する発酵用混合物を調製すること(以下、「調製工程」という場合がある。);及び、前記発酵用混合物を発酵させること(以下、「発酵工程」という場合がある。)、を含む。発酵乳の製造方法は、更に他の任意の工程を含んでよい。なお、「工程」には、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、当該「工程」において規定される操作が実施される限り、他の工程と明確に区別できない工程も含まれる。
発酵乳の製造方法は、前発酵であっても、又は、後発酵であってもよい。前発酵では、発酵タンク等で発酵用混合物を発酵させて発酵乳を得た後に、得られた発酵乳を容器に充填する。後発酵では、発酵用混合物を容器に充填した後に、発酵用混合物を発酵させて発酵乳を得る。任意の工程としては、原料混合物を均質化すること(均質化工程)、原料混合物を殺菌すること(殺菌工程)、原料混合物又は発酵乳を容器に充填すること(充填工程)、発酵乳を冷却すること(冷却工程)等が挙げられる。
前発酵の場合、発酵乳の製造方法は、例えば、準備工程、均質化工程、殺菌工程、調製工程、発酵工程、冷却工程、及び充填工程を含む。後発酵の場合、発酵乳の製造方法は、例えば、準備工程、均質化工程、殺菌工程、調製工程、充填工程、発酵工程、及び冷却工程を含む。
[準備工程]
準備工程では、乳原料を含有する原料混合物を準備する。乳原料の例は、上述のとおりである。原料混合物の組成は、上記実施形態の発酵乳が得られるように調整すればよい。
原料混合物中のタンパク質の含有量は、全原料の合計質量を基準として、5.0~14.0質量%であることが好ましく、6.0~12.0質量%であることがより好ましく、7.0~11.0質量%であることが更に好ましい。タンパク質は変性乳清タンパク質を含んでよい。原料混合物中の変性乳清タンパク質の含有量は、全原料の合計質量を基準として、0.5~9.0質量%であることが好ましく、0.8~7.0質量%であることがより好ましく、1.0~3.0質量%であることが更に好ましい。原料混合物は、カルシウムを含有してよい。カルシウムの含有量は、全原料の合計質量を基準として、0.010~0.150質量%であることが好ましく、0.050~0.140質量%であることがより好ましく、0.070~0.130質量%であることが更に好ましい。これらの含有量の測定方法は、上述のとおりである。原料混合物は、更に、乳脂肪分、乳糖、ミネラル、水分等の他の成分を含有してよい。
原料混合物の準備は、例えば、1種又は2種以上の乳原料と水とを少なくとも混合し、原料混合物を得ることを含む。原料混合物の準備は、好ましくは、少なくとも、脱脂粉乳と、変性乳清タンパク質とを混合し、原料混合物を得ることを含む。変性乳清タンパク質として、変性乳清タンパク質濃縮物を使用することができる。
変性乳清タンパク質は、好ましくは熱変性乳清タンパク質を含む。熱変性乳清タンパク質は、更なる熱変性が生じない状態にまで、熱によって十分に変性させたタンパク質を含むことが好ましい。熱変性乳清タンパク質は、例えば、微粒子の形状を有する。熱変性乳清タンパク質として、熱変性乳清タンパク質濃縮物を使用することができる。
熱変性乳清タンパク質濃縮物に含まれる熱変性タンパク質は、好ましくは微粒子状のタンパク質である。熱変性タンパク質微粒子を得る方法として、乳清タンパク質を加熱し、凝集物を得た後に、凝集物を粉砕する方法;冷却した乳清を濃縮した後に加熱殺菌し、次いで噴霧乾燥を行う方法、などが挙げられる。熱変性乳清タンパク質濃縮物として市販品を使用することができ、例えば、後者の方法により得られる市販品として、株式会社第一化成「変性微粒化ゲル乳清たんぱく濃縮物Dプロテイン95」が挙げられる。
脱脂粉乳として、低温加熱脱脂粉乳、中温加熱脱脂粉乳、高温加熱脱脂粉乳等を使用できる。未変性乳清タンパク質の含有量が高いことから、低温加熱脱脂粉乳を使用することが好ましい。脱脂粉乳に含まれる未変性乳清タンパク質の含有量は、脱脂粉乳の質量を基準として、0.15質量%以上であることが好ましく、0.60質量%以上であることがより好ましい。
脱脂粉乳及び変性乳清タンパク質濃縮物以外の乳原料として、例えば、上述の乳原料が挙げられる。原料混合物の準備は、少なくとも、脱脂粉乳と、乳清タンパク質濃縮物及び/又は全乳タンパク質濃縮物と、変性乳清タンパク質濃縮物とを混合し、原料混合物を得ることであってよい。乳清タンパク質濃縮物及び全乳タンパク質濃縮物としては、好ましくは、未変性のタンパク質の含有量が高いものを選択して使用する。
原料混合物を得るための乳原料に関し、脱脂粉乳の使用量は、例えば、全原料の合計質量を基準として7.0~10.0質量である。乳清タンパク質濃縮物及び/又は全乳タンパク質濃縮物の合計の使用量は、例えば、全原料の合計質量を基準として1.5~5.0質量%である。変性乳清タンパク質濃縮物の使用量は、例えば、全原料の合計質量を基準として1.0~14.0質量%である。
調製工程では、香料、甘味料、着色料、ゲル化剤、安定剤、水分等の任意の成分を混合してもよい。混合に用いる水の量は、全原料の合計質量を基準として、75.0~90.0質量%であることが好ましく、80.0~89.0質量%であることがより好ましく、85.0~88.0質量%であることが更に好ましい。水の量が75.0質量%以上である場合、なめらかな食感の発酵乳が得られる傾向がある。水の量が90.0質量%以下である場合、濃厚な発酵乳が得られる傾向がある。
[調製工程]
調製工程では、少なくとも原料混合物とスターターとタンパク質分解酵素とを混合し、発酵用混合物を調製する。スターターとして、発酵乳を得るために使用される一般的なスターターを使用することができる。スターターは、少なくとも乳酸菌を含む。乳酸菌としては、例えば、サーモフィルス菌、ラクチス菌、クレモリス菌等の乳酸球菌;ブルガリカス菌、アシドフィルス菌、ヘルベチカス菌、カゼイ菌等の乳酸桿菌が挙げられる。
スターターとして、バルクスターター、凍結乾燥スターター、凍結スターター等の乳酸菌スターターを使用できる。乳酸菌スターターの添加量としては、特に限定はされない。乳酸菌スターターに含まれる乳酸菌数、原料乳の量等を考慮して、一般的な量を添加することができる。例えば、クリスチャン・ハンセン社の凍結乾燥スターターを使用する場合、乳酸菌スターターの添加量は、原料乳の質量を基準として、0.001~0.02質量%である。ただし、乳酸菌の生育が可能な添加量であれば、添加量は特に限定されない。
タンパク質分解酵素として一般的にエキソ型のプロテアーゼとエンド型のプロテアーゼとが知られており、両者のなかでもエンド型のプロテアーゼを好ましく用いることができる。タンパク質分解酵素は、金属プロテアーゼ(メタロプロテアーゼ)であることが好ましい。タンパク質分解酵素は、動物由来のプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼ、又は微生物由来のプロテアーゼのいずれであってもよい。好ましくは微生物由来のプロテアーゼを使用し、発酵乳の苦みを抑える観点から、より好ましくはペニバチルス(Paenibacillus)属由来のプロテアーゼを使用する。具体的には、Bacillus polymyxa由来のプロテアーゼが挙げられる。Bacillus polymyxa由来のプロテアーゼを使用する場合、発酵乳の粉っぽさを抑え、滑らかさを向上させ、優れた舌ざわりを得ることが可能である。特にタンパク質の含有量が高い場合に、これらの大きな効果が得られる傾向がある。Bacillus polymyxa由来のプロテアーゼの市販品としては、例えば、合同酒精株式会社製「ADMIL」を使用することができる。
発酵用混合物に加えるタンパク質分解酵素の量は、乳原料の質量を基準として、0.05~1.0質量%であることが好ましく、0.07~0.7質量%であることがより好ましく、0.1~0.4質量%であることが更に好ましい。タンパク質分解酵素の含有量が0.05質量%以上である場合、ねっとりとした食感を抑え、さっくりとしたのど越しを得ることができる傾向がある。タンパク質の含有量が高い発酵乳を得る観点から、タンパク質分解酵素の含有量は1.0質量%以下であることが好ましい。
発酵を開始する前の発酵用混合物のpH(すなわち、発酵用混合物を発酵温度まで昇温する前の例えば20℃におけるpH)は、5.5~8.0であってよい。
[発酵工程]
発酵工程では、発酵用混合物を発酵させる。発酵用混合物を発酵させることによって、発酵乳が得られる。発酵は、発酵乳の製造における一般的な方法によって行うことができる。発酵温度は、使用するスターターの種類に応じて適切な温度に設定すればよい。発酵温度は、例えば、20~50℃とでき、好ましくは35~45℃である。発酵時間は、例えば、2~24時間とでき、好ましくは3~12時間である。発酵は、発酵用混合物の発酵温度におけるpHが4.8以下になった後に、混合物を冷却することによって終了させることが好ましい。混合物の冷却を開始する時点のpH(発酵温度におけるpH)は、4.5~4.8であってよい。
[任意の工程]
均質化工程、殺菌工程、充填工程、冷却工程等には、発酵乳の製造方法における一般的な方法を使用することができる。
殺菌工程では、例えば、発酵乳を加熱により殺菌する。加熱温度は、例えば、60~120℃とでき、好ましくは75~85℃である。加熱時間は、例えば、5~60分間とでき、好ましくは20~40分間である。
本発明の実施形態について実施例により具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例に限定されない。
<発酵乳の製造>
[実施例1]
乳原料(脱脂粉乳86.00g、乳清タンパク質濃縮物15.00g、全乳タンパク質濃縮物20.00g、変性乳清タンパク質濃縮物16.00g)と水862.78gとを混合して原料混合物を調製した後、50℃まで加熱し、30分間にわたり保持した。次いで、原料混合物を70℃まで加熱し、ホモジナイザーを使用して10~15MPaの条件にて均質化した。均質化した原料混合物を加熱殺菌(80℃、30分間)した。その後、原料混合物を40℃まで冷却し、乳酸菌0.02gとプロテアーゼ0.20gとを加え、発酵用混合物(pH=6.65)を調製した。培養装置中で発酵用混合物を40℃で5時間にわたり発酵させた。混合物のpHが4.60となったことを確認し、混合物を10℃以下まで冷却し、ヨーグルト(発酵乳)を得た。
得られたヨーグルトに含まれる成分の含有量と、ヨーグルトの硬さとを、以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
無脂乳固形分(SNF)、乳脂肪分(MF)、全タンパク質、カルシウム(Ca)、及び灰分の含有量は上述の方法により測定し、ナトリウム(Na)の含有量はICP発光分析法により測定した。また、ヨーグルト中の原料由来の変性乳清タンパク質の含有量は、使用した原料中の変性乳清タンパク質濃縮物の含有量と、変性乳清タンパク質濃縮物中の変性乳清タンパク質の含有量とから算出した(原料由来の変性乳清タンパク質の含有量(質量%)=原料中の変性乳清タンパク質濃縮物の含有量(質量%)×(変性乳清タンパク質濃縮物中の変性乳清タンパク質の含有量(質量%)/100)。また、原料由来の変性乳清タンパク質率は、原料由来の変性乳清タンパク質の含有量と、全タンパク質の含有量とから算出した(原料由来の変性乳清タンパク質率(%)=原料由来の変性乳清タンパク質の含有量(質量%)/全タンパク質の含有量(質量%)×100)。
発酵乳の硬さは、株式会社山電社製「クリープメータRE-33005B」を使用して求めた。カードを崩さずクリープメータによりプランジャーを押し下げ、カードが崩れる時点を破断点とし、破断点における荷重(N)(クリープメータにより自動計算される値)を測定した。測定は、プランジャーの圧入速度を1mm/sec、サンプル厚さを45mm、プランジャー形状を径30mmの丸型、測定歪率を30%、ロードセルの規格を2Nに設定して行った。荷重(N)と、プランジャーとカードとの接触面積とから、硬さ(N/m)を算出した。
[実施例2~4、比較例1~4、及び参考例]
表1に示す原料に変更した以外は実施例1と同様の方法により、実施例2~4、比較例1~4、及び参考例(コントロール)のヨーグルトを製造した。ヨーグルトに含まれる成分の含有量と、ヨーグルトの硬さを表1に示す。
表1中、各原料の含有量(質量%)は、全原料の合計質量を基準とする。ヨーグルトに含まれる各成分の含有量(質量%)は、ヨーグルトの質量を基準とする。カルシウム、ナトリウム、及び灰分の含有量(mg/100g又はg/100g)は、ヨーグルト100g中に含まれる各成分の質量(mg又はg)である。
Figure 0007590135000001
表1における略号は、以下を意味する。
SMPローヒート : よつ葉乳業株式会社、SMP(脱脂粉乳)
BMI P80+k : 日成共益株式会社製、WPC80(乳清タンパク質濃縮物、タンパク質含有量80質量%)
ミルクリエイトCC : 日本新薬株式会社、TMP80(乳タンパク質濃縮物、タンパク質含有量80質量%)
TMP1180 : フォンテラジャパン株式会社、TMP(全乳タンパク質濃縮物)
MPC80 : 日本新薬株式会社、MPC80(乳タンパク質濃縮物、タンパク質含有量80質量%)
Dプロテイン95 : 株式会社第一化成、変性微粒化ゲル乳清たんぱく濃縮物(熱変性乳清タンパク質濃縮物、タンパク質含有量80.4質量%)
ADMIL : 合同酒精株式会社、Bacillus polymyxa由来のプロテアーゼ
Express1.0 : クリスチャン・ハンセン・ジャパン株式会社、乳酸菌
<発酵乳の評価>
実施例1~4及び比較例1~4の発酵乳について、3人の熟練パネラーによる食感及び風味の官能試験を行った。評価基準は次のとおりである。評価結果の平均値を表1に示す。
(1)食感
1:参考例と比較し、かなり固い又はかなり柔らかい
2:参考例と比較し、固い又は柔らかい
3:参考例と比較し、やや固い又はやや柔らかい
4:参考例と比較し、同程度以上にさっくり
(2)風味
1:参考例と比較し、かなり悪い
2:参考例と比較し、悪い
3:参考例と比較し、やや良くない
4:参考例と比較し、同程度以上のおいしさ
(3)総合評価
×:食感と風味の評価結果の和が4.0未満
△:食感と風味の評価結果の和が4.0以上6.0未満
〇:食感と風味の評価結果の和が6.0以上7.0未満
◎:食感と風味の評価結果の和が7.0以上

Claims (4)

  1. 5.0~14.0質量%のタンパク質と、0.150質量%以下のカルシウムとを含有し、硬さが1.0~9.0N/mであり、
    変性乳清タンパク質を含む乳原料を含有する発酵用混合物を発酵させて得られる、発酵乳。
  2. 灰分の含有量が、0.8~1.2質量%である、請求項に記載の発酵乳。
  3. 請求項1又は2に記載の発酵乳を製造する方法であって、
    乳原料を含有する原料混合物を準備すること、
    前記原料混合物と、スターターと、タンパク質分解酵素とを含有する発酵用混合物を調製すること、及び、
    前記発酵用混合物を発酵させること、
    を含み、
    前記原料混合物を準備することが、脱脂粉乳と、変性乳清タンパク質とを混合し、前記原料混合物を得ることを含む、発酵乳の製造方法。
  4. 前記発酵用混合物の調製に使用される前記タンパク質分解酵素の量が、乳原料の質量を基準として、0.05~1.0質量%である、請求項に記載の発酵乳の製造方法。
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