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JP7591782B2 - 温度負荷管理装置、温度負荷管理方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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JP7591782B2 - 温度負荷管理装置、温度負荷管理方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

温度負荷管理装置、温度負荷管理方法、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本開示は、温度負荷管理装置、温度負荷管理方法、及びコンピュータプログラムに関する。
人は暑熱環境や厳寒環境など極端な温度環境に長時間さらされると、暑さ・寒さによる不快感やいらだちなど心的負担に加え、大量の発汗、震え運動、体温上昇(下降)などに起因する内臓系へのダメージや自律神経系への生理的負担など身体的負担が発生する。
特許文献1には、暑い屋外などで作業者等が熱中症などの不調を感じた時などに、容易に避難して休憩をとることが可能なポータブルエアコンルームが提案されている。
特開2020-63864号公報
しかし、特許文献1に開示されたポータブルエアコンルームでは、狭いルーム内を低温にして利用者を一律に冷やすものであるため、利用者によっては、冷えすぎと感じたり、逆に、冷やし方が不十分であると感じたりすることがある。
本開示の目的は、暑熱環境や寒冷環境などで蓄積された温度負荷を除去するための環境を利用者が適切に利用できるようにすることにある。
本開示の第1の態様は、第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境に利用者をばく露させるときに用いる温度負荷管理装置(20)である。温度負荷管理装置(20)は、前記利用者の生理情報に基づいて、前記第2の環境を制御するか、又は前記ばく露を終了させるタイミングを通知する制御部(10)を備える。
第1の態様では、第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境の制御、又は当該第2の環境への利用者のばく露を終了させるタイミングの通知を、利用者の生理情報に基づいて行う。このため、第2の環境の温度や利用時間等を利用者に応じて設定できる。従って、第2の環境を利用者が適切に利用することができる。
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記制御部(10)は、前記利用者における前記第1の温度負荷に対抗する第1の神経系及び前記第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び前記第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、前記第2の環境を制御するか、又は前記タイミングを通知する。尚、本開示において、神経系に支配される部位とは、例えば、環境温度によって変動する血管などの体温調節に関わる部位などを意味する。
第2の態様では、例えば暑熱環境で暑熱負荷が蓄積された利用者において放熱促進系(発汗など)を支配する神経系や該当部位と逆の作用をする神経系(放熱抑制系(血管収縮など)を支配する神経系)や該当部位の活動の亢進に合わせて、第2の環境の制御等を行う。このため、利用者がより一層適切に第2の環境を利用することが可能となる。
本開示の第3の態様は、第2の態様において、前記制御部(10)は、前記第1の温度負荷の蓄積量と、前記第1の温度負荷と逆の第2の温度負荷によって前記第2の神経系を活動させるのに必要な当該第2の温度負荷の蓄積量とに基づいて、前記第2の環境の温度、又は前記タイミングを設定する。
第3の態様では、例えば、暑熱環境で利用者に蓄積された暑熱負荷の蓄積量と、利用者の放熱抑制系(血管収縮など)を支配する神経系を活動させるのに必要な寒冷負荷の蓄積量とを求めて、これらの負荷蓄積量から、利用者にとって適切な第2の環境の温度や利用時間を設定することができる。
本開示の第4の態様は、第1乃至第3のいずれか1つの態様において、前記生理情報を検知するセンサー(11)をさらに備える。
第4の態様では、センサー(11)により検知された利用者の生理情報を用いて、第2の環境の制御等を行うことができる。
本開示の第5の態様は、第4の態様において、前記センサー(11)は、前記利用者が着用するブレスレット型センサー、及び複数の位置の体温を計測するセンサーである。
第5の態様では、利用者の生理情報、例えば発汗量や心拍数等を容易に検知することができる。
本開示の第6の態様は、第1乃至第5のいずれか1つの態様において、前記生理情報は、代謝量、皮膚温度、深部温度、発汗量、血管径、血流量、心拍数、心拍ゆらぎ、呼吸数、筋肉のふるえ、及び褐色脂肪細胞の活性度の少なくとも1つである。
第6の態様では、利用者に蓄積された温度負荷と関連する生理情報を用いることができる。
本開示の第7の態様は、第1乃至第6のいずれか1つの態様において、前記第2の環境の制御対象は、温度、湿度、輻射温度、及び気流の少なくとも1つである。
第7の態様では、第2の環境の制御によって、利用者から温度負荷を除去することができる。
本開示の第8の態様は、第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境に利用者をばく露させるときに用いる温度負荷管理方法であって、前記利用者の生理情報に基づいて、前記第2の環境を制御するか、又は前記ばく露を終了させるタイミングを通知する。
第8の態様では、第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境の制御、又は当該第2の環境への利用者のばく露を終了させるタイミングの通知を、利用者の生理情報に基づいて行う。従って、第2の環境の温度や利用時間等を利用者に応じて設定できるので、第2の環境を利用者が適切に利用することができる。
本開示の第9の態様は、第8の態様の温度負荷管理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
第9の態様では、第8の態様と同様の効果を得ることができる。
図1は、温度負荷に関する人体メカニズムモデルを説明するための図である。 図2は、温度負荷時の人体エクセルギー蓄積のシミュレーション結果である。 図3は、温度負荷時の人体エクセルギー蓄積の総蓄積量のシミュレーション結果である。 図4は、温度負荷後の回復環境における人体エクセルギー蓄積の総蓄積量のシミュレーション結果である。 図5は、温度負荷後の回復環境における複数の温度での人体エクセルギー蓄積の総蓄積量のシミュレーション結果である。 図6は、実施形態に係る温度負荷管理装置を備える空調システムのブロック構成図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
〈温度負荷に関する人体メカニズムモデル〉
暑熱環境にばく露された人が、短時間でも常温以下の低温環境で熱負荷を取ると、心身への悪影響が抜けて集中力を回復できることが知られている。すなわち、体内の熱ストレスを早急に軽減することによって、心身のストレスが持続しにくくなり、リフレッシュしやすくなる。
従って、極端な温度環境にばく露されている最中、又は屋内に移動した際に、心身に負担を強いられた温度環境に対して、常温を挟んだ対極の温度環境、具体的には、暑熱環境による負荷であれば常温以下の温度環境、寒冷環境による負荷であれば常温以上の温度環境を一時的に提供する空調制御によって、温度負荷の影響を軽減することができる。
本願発明者らは、人に蓄積されている熱ストレスを入力とし、自律神経に関連する指標を正常な範囲に戻すために必要な環境温度を出力とする人体メカニズムモデルについて検討を行った。ここで、出力される環境温度は、蓄積されている熱ストレスがゼロ未満になるように、過剰に冷却して血管を収縮させる等の放熱抑制系の神経系が優位になる程度の冷ストレスを人に与えることが可能な温度として算出される。
交感神経の働きには様々な種類のものがあるが、一例として、図1に示すような、暑熱負荷(暑熱刺激)を人が受けたときの放熱促進系の働きと、寒冷負荷(寒冷刺激)を受けたときの放熱抑制系の働きに着目した人体メカニズムモデルを以下のように考えた。人が暑熱環境に居続けることによって、放熱促進系(発汗、血管拡張、心拍数増大、血流量増大など)ばかりが機能していると、放熱促進系を支配する神経系、及びその支配を受ける末梢の体温調節に関わる組織のエネルギー等が不足することで疲弊してしまい、暑熱環境においても例えば発汗しにくい状況に陥る。そこで、一時的に人を過剰に冷却して放熱促進系の働きを抑制させ、放熱抑制系(血管収縮、筋肉のふるえ、褐色脂肪細胞の活性化など)が働くようにする。これにより、放熱促進系を支配する神経系、及びその支配を受ける末梢の体温調節に関わる組織のエネルギー等が補給され、体温調節機能が正常な状態に戻ると考えられる。一方、人が寒冷環境に居続けることによって、放熱抑制系を支配する神経系、及びその支配を受ける末梢の体温調節に関わる組織のエネルギー等が不足した場合には、一時的に人を過剰に温めて放熱抑制系の働きを抑制させ、放熱促進系が働くようにすれば、放熱抑制系の交感神経、及びその支配を受ける末梢の体温調節に関わる組織の疲労を回復させることができると考えられる。
本願発明者らは、以上の仮説から、暑熱環境や寒冷環境で蓄積された温度負荷を除去するための環境(以下、回復環境ということもある)に人をばく露させるときに、例えば発汗量、血管径等の生理情報に基づいて、回復環境を制御したり、回復環境への人のばく露を終了させるタイミング(回復環境の利用時間)を通知するという発明に想到した。当該発明においては、例えば、人の生理情報を用いて、暑熱環境や寒冷環境で蓄積された温度負荷に対抗する第1の神経系及び当該第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び当該第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、回復環境の制御等を行ってもよい。また、環境情報から人の生理状態を推定して、当該第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、回復環境の制御等を行ってもよい。この場合、以下に詳述するように、人の生理情報着衣量[clo]、運動量[met]に加えて環境情報(室内温度[℃]、相対湿度[%]、壁面温度[℃]、風速[m/s]、、外気温度[℃]、外気湿度[%]など)を用いて人体エクセルギー蓄積を算出し、その算出結果を用いて回復環境の温度や利用時間を設定してもよい。尚、人体エクセルギー蓄積とは、人体エクセルギー収支に関する次の式に含まれる。
[人体エクセルギー入力]-[人体エクセルギー消費]=[人体エクセルギー蓄積]+[人体エクセルギー出力]
上記の式において、人体エクセルギー入力、人体エクセルギー消費、人体エクセルギー蓄積、及び人体エクセルギー出力は、それぞれ、人体の体表面1m2 当たりについて求めたエクセルギーの発生、消費、蓄積、及び放出の速さを表すパラメータである。各パラメータの単位は、W/m2 である。
人体エクセルギー入力とは、主として、体内で発生するエクセルギー、及び、体外から体内に取り込まれるエクセルギーであり、代謝によって発生する熱、吸気、着衣が吸収する放射熱に起因する。
人体エクセルギー消費とは、体内で消費されるエクセルギーであり、人体内部の温度差による熱拡散、人体と着衣との間の温度差による熱拡散、及び、人体と着衣との間の水蒸気圧力差による汗と空気との相互拡散に起因する。
人体エクセルギー蓄積とは、周囲の環境に応じて体内に蓄積されるエクセルギーであり、暑熱環境では人体エクセルギー蓄積は増加する傾向にあり、寒冷環境では人体エクセルギー蓄積は減少する傾向にある。
人体エクセルギー出力とは、体内から体外に放出されるエクセルギーであり、主として、呼気、汗の蒸発後に発生する湿り空気の拡散、着衣が放出する放射熱に起因する。
尚、人体エクセルギー収支に関する参考文献としては、例えば「エクセルギーと環境の理論-流れ・循環のデザインとは何か[改訂版](宿谷昌則編著)」が挙げられる。
<人体エクセルギー蓄積を用いたモデル化>
温度負荷とは、人の体温の維持を妨げる温冷刺激によって体温調節機能が働く熱ストレスを意味し、人に蓄積されている熱そのものとは区別される。例えば、温度30℃のときに発汗によって放熱して体温を保っている場合、それ以上の熱は蓄積されないが、熱ストレスはゼロではなく発汗などにより身体に負荷が生じている。そのため、放熱促進系を支配する神経系、及びその支配を受ける末梢の体温調節に関わる組織ではエネルギーが消費され続け、次第に疲弊していく。これを回復できる状態にするためには、これら放熱促進系の働きを抑制させることが必要だが、中立温度(体温調節が不要な温度)では放熱抑制系と拮抗状態にあり、放熱促進系と放熱抑制系の両方が活動していると考えられることから、放熱促進系の働きを抑制させるには、拮抗する放熱抑制系が優位になる必要がある。以上の前提において、例えば暑熱環境に対抗する回復環境の温度や利用時間は次のように算出される。
まず、環境から対象者が受けた熱ストレス(第1の温度負荷)を次のように算出する。環境情報を入力として、単位時間当たりの深部の人体エクセルギー蓄積は、その環境へのばく露時間tの関数として計算できることが、例えば前述の参考文献により知られている。この知見に基づいて得られたシミュレーション結果を基に、本開示では、利用者がばく露される温度TEごとの滞在時間tに対する深部の人体エクセルギー総蓄積量ST(t)の変化を以下のように近似式として求める。
例えば前述の参考文献に示されたモデル式を用いると、温度26℃の環境で熱的に平衡状態である対象者が温度36℃の暑熱環境に移動した場合、暑熱環境へのばく露時間Thを用いて、単位時間当たりの深部の人体エクセルギー蓄積ΔST(Th)は、図2のように変化することが示される(図2において、縦軸の単位はW/m2 で、横軸の単位は分)。また、深部の人体エクセルギーの総蓄積量STは、図3のように示される(図3において、縦軸の単位はJ/m2 で、横軸の単位は分)。
図3のシミュレーション結果を、暑熱環境へのばく露時間Thのシグモイド関数で近似すると、次式(1)で表される。
式(1)において、eは、自然対数の底となるネイピア数である。また、Thは0以上である。
同様に、温度26℃の環境で熱的に平衡状態である対象者が温度36℃の暑熱環境に移動し、さらに暑熱環境に20分間ばく露された後に21℃の回復環境に移動した場合、深部の人体エクセルギー蓄積の総蓄積量STは、図4のように変化する。図4のシミュレーション結果のうち、時刻0:20(20分)以降に該当するSTを、回復環境へのばく露時間Tcのシグモイド関数で近似すると、次式(2)で表される。
式(2)において、eは、自然対数の底となるネイピア数である。また、Tcは0以上である。
ここで、ST(=ST(Th)+ST(Tc))<0を満たすようなTcとすることで、暑熱環境における第1の温度負荷の蓄積量を、回復環境における第2の温度負荷の蓄積量によって解消することができるだけではなく、中立温度での平衡状態よりも冷却されることで、放熱促進系が抑制されて放熱抑制系が優位になり、放熱促進系が回復しやすい状態となる。
例えば図4に示す場合、式(2)を用いて、ST<0を満たす最小のTc(回復環境の利用時間)は11.6分と算出される。
このように、様々な温度、及びばく露時間に関する前述のような近似式を予め設定、記憶しておき、こられの近似式を用いて回復環境の利用時間を算出してもよい。尚、以上の説明では、第1の温度負荷に対して、回復環境の温度を選択することで、必要な利用時間を決めたが、他の近似モデルを用いることにより、より詳細で連続的な設定温度や利用時間を算出してもよい。
また、予め第1の温度負荷を与える温度及び時間に対して、回復環境での深部の人体エクセルギー蓄積の総蓄積量STを、予め回復環境の温度TEcを変えてシミュレーションしておくことで、適切なばく露時間(利用時間)を求めることができる。例えば、温度26℃の環境で熱的に平衡状態である対象者が温度36℃の暑熱環境に20分ばく露された場合において、回復環境での深部の人体エクセルギー蓄積の総蓄積量STを、予めTEcを変えてシミュレーションした結果を図5に示す(図5において、縦軸の単位はJ/m2 で、横軸の単位は分)。図5に示す結果から、TEcが22℃以下であれば、目標時間15分以内にST<0を満たすことが導き出せる。
尚、式(1)、式(2)において人体エクセルギーの算出方法は、特に限定されるものではない。例えば、入力された環境条件に含まれるパラメータ(気温、相対湿度等)を所定の公式に代入することによって、エクセルギーを直接算出してもよい。或いは、所定のアルゴリズムを用いて、入力された環境条件からエクセルギーを算出してもよい。或いは、環境条件とエクセルギーとを関連付けるテーブル又はデータベース等を予め作成しておき、入力された環境条件に基づいてエクセルギーを算出してもよい。
また、以上の計算例では、暑熱環境に対抗する回復環境(低温環境)の温度や利用時間の算出方法について説明したが、寒冷環境に対抗する回復環境(高温環境)の温度や利用時間についても、同様に温度負荷の温度及びばく露時間について予めシミュレーションしてモデル式を構築することで算出可能である。
〈温度負荷管理装置の構成〉
図6は、実施形態に係る温度負荷管理装置(20)を備える空調システム(100)のブロック構成図である。本実施形態の温度負荷管理装置(20)は、第1の環境(暑熱環境や寒冷環境など)で利用者に蓄積された温度負荷(第1の温度負荷)を軽減するための第2の環境(回復環境)に当該利用者をばく露させるときに用いられる。
図6に示すように、温度負荷管理装置(20)は、主に、制御部(10)を備える。制御部(10)は、利用者の生理情報に基づいて、後述する空調装置(30)を通じて回復環境を制御するか、又は回復環境への利用者のばく露を終了させるタイミング(利用時間)を通知する。
生理情報は、特に限定されるものではないが、例えば、代謝量、皮膚温度、深部温度、発汗量、血管径、血流量、心拍数、心拍ゆらぎ、呼吸数、筋肉のふるえ、及び、褐色脂肪細胞の活性度の少なくとも1つであってもよい。
回復環境の制御対象は、特に限定されるものではないが、例えば、温度、湿度、輻射温度、及び気流の少なくとも1つであってもよい。
温度負荷管理装置(20)は、マイクロコンピュータ等のコンピュータを備えており、当該コンピュータがプログラムを実行することによって、制御部(10)の機能、つまり、本実施形態の温度負荷管理方法が実施される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わないが、例えば半導体集積回路(IC)又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路により構成されていてもよい。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
温度負荷管理装置(20)は、利用者の生理情報を検知するセンサー(11)をさらに備えてもよい。センサー(11)は、例えば、利用者が着用するブレスレット型センサー、及び複数の位置の体温を計測するセンサーであってもよい。温度負荷管理装置(20)がセンサー(11)を備えることに代えて、温度負荷管理装置(20)と別体に構成された検知装置により利用者の生理情報を検知し、検知した生理情報を温度負荷管理装置(20)に送信してもよい。
温度負荷管理装置(20)は、利用者の生理情報などを記憶する記憶部をさらに備えてもよい。温度負荷管理装置(20)が記憶部を備える場合、当該記憶部しては、コンピュータが読み取り及び書き込みができる記録媒体、例えばRAM等を用いてもよい。
温度負荷管理装置(20)は、必要な情報を入力したり、回復環境の温度や利用時間などを出力するための入力部や表示部をさらに備えてもよい。温度負荷管理装置(20)が入力部を備える場合、当該入力部としては、例えばキーボード、マウス、タッチパッド等を用いてもよい。温度負荷管理装置(20)が表示部を備える場合、当該表示部としては、例えばCRTや液晶ディスプレイ等の画像表示可能なモニタを用いてもよい。
温度負荷管理装置(20)は、暑熱環境や寒冷環境などの温度となる外気温度を計測する計測部をさらに備えてもよい。温度負荷管理装置(20)が計測部を備える場合、当該計測部は、利用者が携帯する温度センサーであってもよいし、或いは、複数箇所(部屋、公共機関、屋外等)に設置された温度センサーであってもよい。後者の場合、利用者の周囲温度は、複数箇所に設置された温度センサーにより計測された温度履歴データと、利用者の移動履歴データとに基づいて算出される。利用者の移動履歴データは、予め記憶させておいてもよいし、利用者が適宜又は当日のスケジュールに基づき設定入力してもよい。温度負荷管理装置(20)は、外気温度として、アメダス等ネットから入手した外気温度情報を使用してもよい。
温度負荷管理装置(20)の実装形式は特に制限されないが、例えば、後述する空調装置(エアコン)(30)のリモコンに実装してもよい。この場合、リモコンに搭載されたマイクロコンピュータ、メモリ、タッチパネル等を利用して、温度負荷管理装置(20)を構成してもよい。
温度負荷管理装置(20)において、制御部(10)は、利用者における第1の温度負荷に対抗する第1の神経系及び当該第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び当該第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、回復環境を制御するか、又は回復環境の利用時間を通知してもよい。例えば、暑熱負荷に対抗する放熱促進系(発汗、血管拡張、心拍数増大、血流量増大など)を支配する第1の神経系と逆の作用をする第2の神経系(放熱抑制系(血管収縮、筋肉のふるえ、褐色脂肪細胞の活性化など)を支配する神経系)の活動の亢進に合わせて、回復環境の制御等を行ってもよい。
また、温度負荷管理装置(20)において、制御部(10)は、第1の温度負荷の蓄積量と、第1の温度負荷と逆の第2の温度負荷によって第2の神経系を活動させるのに必要な当該第2の温度負荷の蓄積量とに基づいて、回復環境の温度や利用時間を設定してもよい。この場合、式(1)、(2)に示すような人体に蓄積されるエクセルギーを用いたモデル式に基づき、回復環境の温度や利用時間を算出してもよい。
〈空調システムの構成〉
図6に示すように、温度負荷管理装置(20)と空調装置(30)とから空調システム(100)を構成してもよい。空調装置(30)は、温度負荷管理装置(20)の制御部(10)で設定された回復環境の温度や利用時間などに基づいて、回復環境の空調を行う。
空調システム(100)において、温度負荷管理装置(20)による空調制御は、主に、暑熱環境や寒冷環境から強い温度負荷を受ける気温(夏季であれば外気温が例えば31℃以上、冬季であれば外気温が例えば10℃以下)の場合に実施してもよい。一方、外気温が20℃~30℃程度の範囲では常温(夏季:25℃~28℃)を中心に緩やかな温度勾配での空調制御を行ってもよい。また、外気温が10℃~20℃程度の範囲では常温(冬季:18℃~22℃)を中心に緩やかな温度勾配での空調制御を行ってもよい。
空調システム(100)は、制御部(10)で設定された回復環境の温度や利用時間などを利用者が変更可能に構成された調整部(40)をさらに備えてもよい。言い換えると、回復環境の温度や利用時間などを利用者が空調装置(30)のリモコン等を通じて手動で特定の値に変更できるようにしてもよい。
空調システム(100)は、利用者の負荷の原因となる極端な環境温度(外気温)等の計測装置(センサー)をさらに備えていてもよい。例えば、センサーによって外気温及び室温(利用者周辺温度)を測定し、当該測定情報を用いて制御部(10)が回復環境の温度や利用時間などを設定し、当該設定値に基づき空調装置(30)が冷風や温風を回復環境に提供してもよい。
空調システム(100)は、例えばレストルームのように、室内全体の温度を制御する密閉型の室内空調システムとして構成されてもよい。このようなレストルーム(休憩室)によって、猛暑日(厳寒日)に屋外から来た人が温度負荷を軽減することが可能となる。
空調システム(100)は、例えばエントランスの壁から局所的に冷風や温風を提供するような、屋内の局所的な空間の温度を制御する開放型の空調システムとして構成されてもよい。
空調システム(100)は、屋外で利用でき且つ移動・仮設が可能に構成されてもよい。この場合、空調システム(100)は、例えば仮設レストルームのように、密閉型の空調室として構成されてもよいし、或いは、仮設冷風機又は仮設温風機のように、局所的に冷却又は暖房が可能な開放型の空調システムとして構成されてもよい。
空調システム(100)が屋内外で開放型の空調システムとして構成される場合、利用場所の空気の状態と大きく異なる空気を利用者に提供することが必要になる。この場合、利用者の周囲環境のみを回復環境として空調制御すれば良い。従って、局所的な空調効果を向上させるために、利用場所の上方に設けた送風口から利用者の頭上に向けて垂直下方に送風を行うか、或いは、利用場所の側方に設けた送風口から利用者の正面に向けて水平方向に送風を行ってもよい。
また、開放型の空調システム(100)では、外気温と大きく乖離した温度の空気を提供する必要がある。このため、開放型の空調システム(100)を常時稼働すると、コストが増大するので、利用者が空調装置(30)の送風口に近づいたことを対物センサー等が感知したら、空調システム(100)が自動的に稼働するようにしてもよい。この場合、空調システム(100)の非稼働時には、空調装置(30)内で一定量の冷風や温風を循環させておくことによって、温度制御にかかるコストを低減しながら、稼働時には即時に冷風や温風を提供できるようにしてもよい。
また、空調システム(100)による空調制御の目標温度(回復環境の温度)は、負荷温度(例えば外気温)との温度差が大きい一方、回復環境の利用時間は、例えば5分~15分程度と限定的である。このため、コスト削減のために必要最低限の短時間での温度調整が有効である。これを実現するために、例えば、ネットワークを通じて空調システム(100)を遠隔操作できる機能を持たせてもよい。具体的には、遠隔操作で設定された利用者の入室予定時刻に合わせて、短時間で急速に室内等の回復環境を目標温度に調整してもよい。
また、空調システム(100)は、利用者が室内等の回復環境に入ったことを感知する対物センサー等の感知部(50)をさらに備えてもよい。この場合、利用者が回復環境に入ったことを感知部(50)が感知したときだけ、空調システム(100)は、温度負荷管理装置(20)による空調制御を行ってもよい。また、空調装置(30)は、利用者が回復環境に入ったことを感知部(50)が感知してから、温度負荷管理装置(20)で設定された利用時間が経過した時点で、温度負荷管理装置(20)による空調を終了してもよい。例えば、前述の遠隔操作で設定された入室予定時刻近辺での人の入室を対物センサー等で感知してから、温度負荷管理装置(20)で設定された利用時間(例えば10分~15分)が過ぎたら、回復環境の温度を自動的に適温(例えば26℃~28℃近辺)に戻してもよい。
-実施形態の効果-
本実施形態の温度負荷管理装置(20)は、第1の環境(暑熱環境や寒冷環境など)で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境(つまり回復環境)に利用者をばく露させるときに用いられる。温度負荷管理装置(20)は、主に制御部(10)を備える。制御部(10)は、利用者の生理情報に基づいて、回復環境を制御するか、又は回復環境への利用者のばく露を終了させるタイミング(つまり利用時間)を通知する。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)によると、第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための回復環境の制御、又は当該回復環境の利用時間の通知を、利用者の生理情報に基づいて行う。このため、回復環境の温度や利用時間などを利用者に応じて設定できる。例えば、熱ストレス等の現状の温度負荷を利用者から除去し且つ利用者の自律神経系を正常な状態に戻すように、回復環境の温度設定を行うことができる。従って、第2の環境を利用者が適切に利用することができる。これにより、利用者の自律神経系を正常な状態に回復させて、例えば熱中症などの熱ストレスに起因する病気を予防することができる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、制御部(10)は、利用者における第1の温度負荷に対抗する第1の神経系及び当該第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び当該第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、回復環境を制御するか、又は回復環境の利用時間を通知してもよい。例えば暑熱環境で暑熱負荷が蓄積された利用者において放熱促進系(発汗など)を支配する神経系と逆の作用をする神経系(放熱抑制系(血管収縮など)を支配する神経系)の活動の亢進に合わせて、回復環境の制御等を行ってもよい。このようにすると、利用者がより一層適切に利用することが可能となる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、制御部(10)は、第1の温度負荷の蓄積量と、第1の温度負荷と逆の第2の温度負荷によって第2の神経系を活動させるのに必要な当該第2の温度負荷の蓄積量とに基づいて、回復環境の温度又は利用時間を設定してもよい。このようにすると、例えば、暑熱環境で利用者に蓄積された暑熱負荷の蓄積量と、利用者の放熱抑制系(血管収縮など)を支配する神経系を活動させるのに必要な寒冷負荷の蓄積量とを求めて、これらの負荷蓄積量から、利用者にとって適切な回復環境の温度や利用時間を設定することができる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、利用者の生理情報を検知するセンサー(11)をさらに備えてもよい。このようにすると、センサー(11)により検知された利用者の生理情報を用いて、回復環境の制御等を行うことができる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、センサー(11)は、利用者が着用するブレスレット型センサー、及び複数の位置の体温を計測するセンサーであってもよい。このようにすると、利用者の生理情報、例えば発汗量や心拍数等を容易に検知することができる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、生理情報は、代謝量、皮膚温度、深部温度、発汗量、血管径、血流量、心拍数、心拍ゆらぎ、呼吸数、筋肉のふるえ、褐色脂肪細胞の活性度、及び、視索前野から出力される体温調節に関する神経系の活性度の少なくとも1つであってもよい。このようにすると、利用者に蓄積された温度負荷と関連する生理情報を用いることができる。
本実施形態の温度負荷管理装置(20)において、回復環境の制御対象は、温度、湿度、輻射温度、及び気流の少なくとも1つであってもよい。このようにすると、回復環境の制御によって、利用者から温度負荷を除去することができる。
《その他の実施形態》
前記実施形態では、温度負荷管理装置(20)は、利用者の人体に蓄積されるエクセルギーに基づいて、回復環境の温度や利用時間を設定した。しかし、温度負荷管理装置(20)は、利用者の生理情報に基づく他の指標に基づいて、回復環境の温度や利用時間を設定してもよい。例えば、利用者の血管の拡張収縮の度合いと相関関係がある他のパラメータや、交感神経と副交感神経とのバランスを表すパラメータなどを用いてもよい。このようなパラメータの一例として、利用者の呼吸又は心拍の変動の低周波数(LF)成分と高周波数(HF)成分との比であるLF/HFを用いてもよい。比LF/HFは、血管の拡張収縮の度合いと相関関係がある。この場合、温度負荷管理装置(20)は、例えば、利用者の脈波を測定する機器を用いて、LF/HFの値を取得してもよい。
その他、例えば暑熱環境による温度負荷を受けた利用者を冷涼な回復環境にばく露させて温度負荷を除去する場合に、温度負荷管理装置(20)は、利用者の手などの末梢血管の血流量が所定値以下に低下したことを検知したら、回復環境への利用者のばく露を終了するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、温度負荷管理装置(20)と空調装置(30)とから空調システム(100)を構成し、温度負荷管理装置(20)は、空調装置(30)を通じて回復環境を制御した。しかし、これに代えて、温度負荷管理装置(20)自体に空調機能を具備させ、当該機能を用いて回復環境を制御してもよい。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。さらに、以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
本開示は、温度負荷管理装置、及び温度負荷管理方法について有用である。
10 制御部
20 温度負荷管理装置
30 空調装置
40 調整部
50 感知部
100 空調システム

Claims (7)

  1. 第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境に利用者をばく露させるときに用いる温度負荷管理装置(20)であって、
    前記利用者の生理情報に基づいて、前記第2の環境を制御するか、又は前記ばく露を終了させるタイミングを通知する制御部(10)を備え、
    前記制御部(10)は、前記利用者における前記第1の温度負荷に対抗する第1の神経系及び前記第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び前記第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、前記第1の環境での深部の人体エクセルギーの総蓄積量ST(Th)(但しThは前記第1の環境へのばく露時間)と、前記第2の環境での深部の人体エクセルギーの総蓄積量ST(Tc)(但しTcは前記第2の環境へのばく露時間)との合計が0よりも小さくなるように、前記第2の環境の温度、又は前記タイミングを設定する温度負荷管理装置。
  2. 請求項1の温度負荷管理装置において、
    前記生理情報を検知するセンサー(11)をさらに備える温度負荷管理装置。
  3. 請求項2の温度負荷管理装置において、
    前記センサー(11)は、前記利用者が着用するブレスレット型センサー、及び複数の位置の体温を計測するセンサーである温度負荷管理装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1つの温度負荷管理装置において、
    前記生理情報は、代謝量、皮膚温度、深部温度、発汗量、血管径、血流量、心拍数、心拍ゆらぎ、呼吸数、筋肉のふるえ、及び褐色脂肪細胞の活性度の少なくとも1つである温度負荷管理装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1つの温度負荷管理装置において、
    前記第2の環境の制御対象は、温度、湿度、輻射温度、及び気流の少なくとも1つである温度負荷管理装置。
  6. 第1の環境で蓄積された第1の温度負荷を除去するための第2の環境に利用者をばく露させるときに用いる温度負荷管理方法であって、
    前記利用者の生理情報に基づいて、前記第2の環境を制御するか、又は前記ばく露を終了させるタイミングを通知し、
    前記利用者における前記第1の温度負荷に対抗する第1の神経系及び前記第1の神経系に支配される部位と逆の作用をする第2の神経系及び前記第2の神経系に支配される部位の活動の亢進に合わせて、前記第1の環境での深部の人体エクセルギーの総蓄積量ST(Th)(但しThは前記第1の環境へのばく露時間)と、前記第2の環境での深部の人体エクセルギーの総蓄積量ST(Tc)(但しTcは前記第2の環境へのばく露時間)との合計が0よりも小さくなるように、前記第2の環境の温度、又は前記タイミングを設定する温度負荷管理方法。
  7. 請求項6に記載の温度負荷管理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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