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JP7592846B2 - 分離膜モジュールの評価方法 - Google Patents
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Description

本発明は、分離膜モジュールの評価方法に関する。
[関連出願の参照]
本願は、2021年3月30日に出願された日本国特許出願JP2021-056936からの優先権の利益を主張し、当該出願の全ての開示は、本願に組み込まれる。
現在、ゼオライト膜等の分離膜による特定の分子の分離や吸着等について、様々な研究や開発が行われている。
例えば、国際公開第2018/180095号公報(文献1)では、多孔質基材上にゼオライト膜が設けられた分離膜構造体をケーシング内に組み付けた分離膜モジュールが開示されている。このような分離膜モジュールの特性は、ゼオライト膜の性能、および、分離膜構造体とケーシングとの間をシールするシール部やゼオライト膜に存在する欠陥からのリーク量等によって決定される。文献1では、当該分離膜モジュールについて、検査用ガスの動的分子径をゼオライト膜の細孔径の1.07倍よりも大きくすることにより、ゼオライト膜の透過性能の低下を抑制しつつリーク検査を行う技術が提案されている。
国際公開第2018/179959号公報(文献2)では、上述のような分離膜モジュールのリーク検査を行う際に、分子径がゼオライト膜の細孔径よりも大きいフロリナート(登録商標)等の検査用液体を用い、検査前後におけるゼオライト膜の透過速度の低下を抑制する技術が提案されている。
文献1,2のリーク検査では、検査用ガスまたは検査用液体がゼオライト膜を透過することが抑制されるため、シール部の欠陥を通過した(すなわち、リークした)検査用ガスまたは検査用液体の量を精度良く測定することができる。
一方、特開2021-023898号公報(文献3)では、管状分離膜のリーク検査を行う前に、管状分離膜を収容するハウジング内に液体を供給して排出することにより、管状分離膜を湿潤させる技術が提案されている。これにより、管状分離膜の細孔を透過するガス量を減少させ、リークの有無の判定精度向上が図られている。
ところで、文献1,2では、検査用ガスおよび検査用液体として分子径が比較的大きい物質(例えば、CFやフロリナート等)が利用されるため、分離膜モジュールのシール部等に当該分子径よりも小さい欠陥が存在する場合、当該欠陥を検出することは難しい。したがって、分離膜モジュールの特性評価の精度向上に限界がある。また、検査用ガスおよび検査用液体が、CFやフロリナート等の温暖化係数が高い物質に限られるため、検査用ガスおよび検査用液体の放出による環境面への負担、または、検査用ガスおよび検査用液体の回収によるコスト面の負担が懸念される。
また、文献3では、リーク検査前に管状分離膜を液体により湿潤させるため、リーク検査後に管状分離膜を使用する際に、当該液体を管状分離膜から除去する(すなわち、管状分離膜を再生する)必要がある。しかしながら、管状分離膜において細孔内に液体が吸着すると、当該液体の除去には比較的長時間の処理が必要となり、処理コストが増大するおそれがある。また、液体の除去処理の効率向上(すなわち、再生効率向上)に限界があるため、リーク検査後に管状分離膜の分離性能が低下するおそれもある。
本発明は、分離膜モジュールの評価方法に向けられており、分離膜モジュールの特性を高精度に評価することを目的としている。
本発明の好ましい一の形態に係る分離膜モジュールの評価方法は、a)分離膜の透過量を低下させる性質を有する性能低下ガスを前記分離膜の一次側に供給する工程と、b)前記a)工程よりも後に、評価用流体を前記分離膜の一次側に供給し、前記分離膜の二次側への流量を測定する工程と、を備える。
本発明によれば、分離膜モジュールの特性を高精度に評価することができる。
好ましくは、前記a)工程の前後における前記分離膜の透過量低下率は30%以上である。
好ましくは、前記評価用流体の分子径は0.40nm以下である。
好ましくは、前記評価用流体の分子径は、前記分離膜の細孔径の1.06倍以下である。
好ましくは、前記分離膜は無機膜である。
より好ましくは、前記分離膜はゼオライト膜である。
さらに好ましくは、前記分離膜を構成するゼオライトの最大員環数は8以下である。
好ましくは、前記評価用流体は前記性能低下ガスと構成成分が同一である。
好ましくは、前記性能低下ガスは、水および有機物のうち少なくとも一方を含む。
好ましくは、前記b)工程における前記分離膜の一次側の圧力と二次側の圧力との差は0.1MPa以上である。
好ましくは、分離膜モジュールの評価方法は、前記b)工程よりも後に、前記性能低下ガスにより低下した前記分離膜の透過量を回復させて前記分離膜を再生させる工程をさらに備える。
好ましくは、前記性能低下ガスは、大気圧下での沸点が-10℃以上である成分を合計0.05mol%以上含む。
上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。
一の実施の形態に係る分離膜複合体の断面図である。 分離膜複合体の一部を拡大して示す断面図である。 分離装置を示す図である。 混合ガスの分離の流れを示す図である。 分離膜モジュールの特性の評価の流れを示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る分離膜モジュールの一部である分離膜複合体1の断面図である。図2は、分離膜複合体1の一部を拡大して示す断面図である。分離膜複合体1は、支持体11と、分離膜12とを備える。図1では、分離膜12を太線にて描いている。図2では、分離膜12に平行斜線を付し、分離膜12の厚さを実際よりも厚く描いている。
支持体11はガスおよび液体を透過可能な多孔質部材である。図1に示す例では、支持体11は、一体成形された一繋がりの略柱状の部材である。支持体11には、長手方向にそれぞれ延びる複数の貫通孔111が設けられる。すなわち、支持体11は、いわゆるモノリス型の部材である。支持体11の外形は、例えば略円柱状である。各貫通孔111(すなわち、セル)の長手方向に垂直な断面は、例えば略円形である。図1では、貫通孔111の径を実際よりも大きく、貫通孔111の数を実際よりも少なく描いている。
支持体11の長さ(すなわち、図1中の左右方向の長さ)は、例えば10cm~200cmである。支持体11の外径は、例えば0.5cm~30cmである。隣接する貫通孔111の中心軸間の距離は、例えば0.3mm~10mmである。支持体11の表面粗さ(Ra)は、例えば0.1μm~5.0μmであり、好ましくは0.2μm~2.0μmである。なお、支持体11の形状は、例えば、ハニカム状、平板状、管状、円筒状、円柱状または多角柱状等であってもよい。支持体11の形状が管状または円筒状である場合、支持体11の厚さは、例えば0.1mm~10mmである。
支持体11の材料は、表面に分離膜12を形成する工程において化学的安定性を有するものであれば、様々な物質(例えば、セラミックまたは金属)が採用可能である。本実施の形態では、支持体11はセラミック焼結体により形成される。支持体11の材料として選択されるセラミック焼結体としては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が挙げられる。本実施の形態では、支持体11は、アルミナ、シリカおよびムライトのうち、少なくとも1種類を含む。
支持体11は、無機結合材を含んでいてもよい。無機結合材としては、チタニア、ムライト、易焼結性アルミナ、シリカ、ガラスフリット、粘土鉱物、易焼結性コージェライトのうち少なくとも1つを用いることができる。
支持体11の平均細孔径は、例えば0.01μm~70μmであり、好ましくは0.05μm~25μmである。分離膜12が形成される表面近傍における支持体11の平均細孔径は0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。平均細孔径は、例えば、水銀ポロシメータ、パームポロメータまたはナノパームポロメータにより測定することができる。支持体11の表面および内部を含めた全体における細孔径の分布について、D5は例えば0.01μm~50μmであり、D50は例えば0.05μm~70μmであり、D95は例えば0.1μm~2000μmである。分離膜12が形成される表面近傍における支持体11の気孔率は、例えば20%~60%である。
支持体11は、例えば、平均細孔径が異なる複数の層が厚さ方向に積層された多層構造を有する。分離膜12が形成される表面を含む表面層における平均細孔径および焼結粒径は、表面層以外の層における平均細孔径および焼結粒径よりも小さい。支持体11の表面層の平均細孔径は、例えば0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。支持体11が多層構造を有する場合、各層の材料は上記のものを用いることができる。多層構造を形成する複数の層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
分離膜12は、支持体11の貫通孔111の内側面上において、当該内側面の略全面に亘って設けられる略円筒状の薄膜である。分離膜12は、微細孔を有する緻密な多孔膜である。分離膜12は、複数種類の物質が混合した混合物質から、分子篩作用を利用して特定の物質を分離可能である。
分離膜12は、例えば無機膜であり、好ましくはゼオライト膜である。ゼオライト膜とは、少なくとも、支持体11の表面にゼオライトが膜状に形成されたものであって、有機膜中にゼオライト粒子を分散させただけのものは含まない。ゼオライト膜は、上述のように、混合物質から特定の物質を分離する分離膜として利用可能である。ゼオライト膜では、当該特定の物質に比べて他の物質が透過しにくい。換言すれば、ゼオライト膜の当該他の物質の透過量は、上記特定の物質の透過量に比べて小さい。なお、ゼオライト膜は、構造や組成が異なる2種類以上のゼオライトを含んでいてもよい。
分離膜12の厚さは、例えば0.05μm~30μmであり、好ましくは0.1μm~20μmであり、さらに好ましくは0.5μm~10μmである。分離膜12を厚くすると分離性能が向上する。分離膜12を薄くすると透過速度が増大する。分離膜12の表面粗さ(Ra)は、例えば5μm以下であり、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。
分離膜12に含まれるゼオライト結晶の細孔径(以下、単に「分離膜12の細孔径」とも呼ぶ。)は、0.2nm以上かつ0.8nm以下であり、より好ましくは、0.3nm以上かつ0.7nm以下であり、さらに好ましくは、0.3nm以上かつ0.45nm以下である。分離膜12の細孔径が0.2nm未満の場合、分離膜12を透過する物質の量が少なくなる場合があり、分離膜12の細孔径が0.8nmよりも大きい場合、分離膜12による物質の選択性が不十分となる場合がある。分離膜12の細孔径とは、分離膜12を構成するゼオライト結晶の細孔の最大直径(すなわち、酸素原子間距離の最大値である長径)と略垂直な方向における細孔の直径(すなわち、短径)である。分離膜12の細孔径は、分離膜12が配設される支持体11の表面における平均細孔径よりも小さい。
分離膜12を構成するゼオライトの最大員環数がnの場合、n員環細孔の短径を分離膜12の細孔径とする。また、ゼオライトが、nが等しい複数種のn員環細孔を有する場合には、最も大きい短径を有するn員環細孔の短径を分離膜12の細孔径とする。なお、n員環とは、細孔を形成する骨格を構成する酸素原子の数がn個であって、各酸素原子が後述のT原子と結合して環状構造をなす部分のことである。また、n員環とは、貫通孔(チャンネル)を形成しているものをいい、貫通孔を形成していないものは含まない。n員環細孔とは、n員環により形成される細孔である。選択性能向上の観点から、上述の分離膜12に含まれるゼオライトの最大員環数は、8以下(例えば、6または8)であることが好ましい。
ゼオライト膜である分離膜12の細孔径は当該ゼオライトの骨格構造によって一義的に決定され、国際ゼオライト学会の“Database of Zeolite Structures”[online]、インターネット<URL:http://www.iza-structure.org/databases/>に開示されている値から求めることができる。
分離膜12を構成するゼオライトの種類は、特に限定されないが、例えば、AEI型、AEN型、AFN型、AFV型、AFX型、BEA型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、FAU型(X型、Y型)、GIS型、IHW型、LEV型、LTA型、LTJ型、MEL型、MFI型、MOR型、PAU型、RHO型、SOD型、SAT型等のゼオライトである。当該ゼオライトが8員環ゼオライトである場合、例えば、AEI型、AFN型、AFV型、AFX型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、GIS型、IHW型、LEV型、LTA型、LTJ型、RHO型、SAT型等のゼオライトである。
分離膜12を構成するゼオライトは、T原子(すなわち、ゼオライトを構成する酸素四面体(TO)の中心に位置する原子)として、例えばアルミニウム(Al)を含む。分離膜12を構成するゼオライトとしては、T原子がケイ素(Si)のみ、もしくは、SiとAlとからなるゼオライト、T原子がAlとリン(P)とからなるAlPO型のゼオライト、T原子がSiとAlとPとからなるSAPO型のゼオライト、T原子がマグネシウム(Mg)とSiとAlとPとからなるMAPSO型のゼオライト、T原子が亜鉛(Zn)とSiとAlとPとからなるZnAPSO型のゼオライト等を用いることができる。T原子の一部は、他の元素に置換されていてもよい。
分離膜12は、例えば、Siを含む。分離膜12は、例えば、Si、AlおよびPのうちいずれか2つ以上を含んでいてもよい。分離膜12は、アルカリ金属を含んでいてもよい。当該アルカリ金属は、例えば、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)である。分離膜12がSi原子およびAl原子を含む場合、分離膜12におけるSi/Al比は、例えば1以上かつ10万以下である。Si/Al比は、分離膜12に含有されるAl元素に対するSi元素のモル比率である。当該Si/Al比は、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは100以上であり、高ければ高いほど好ましい。後述する原料溶液中のSi源とAl源との配合割合等を調整することにより、分離膜12におけるSi/Al比を調整することができる。
なお、分離膜複合体1では、分離膜12は、ゼオライト膜に加えて、ゼオライト膜以外の膜を備えていてもよい。あるいは、分離膜12は、ゼオライト膜以外の膜であってもよい。
次に、図3および図4を参照しつつ、分離膜複合体1を利用した混合物質の分離について説明する。図3は、分離装置2を示す図である。図4は、分離装置2による混合物質の分離の流れを示す図である。
分離装置2では、複数種類の流体(すなわち、ガスまたは液体)を含む混合物質を分離膜複合体1に供給し、混合物質中の透過性が高い物質を、分離膜複合体1を透過させることにより混合物質から分離させる。分離装置2における分離は、例えば、透過性が高い物質(以下、「高透過性物質」とも呼ぶ。)を混合物質から抽出する目的で行われてもよく、透過性が低い物質(以下、「低透過性物質」とも呼ぶ。)を濃縮する目的で行われてもよい。
当該混合物質(すなわち、混合流体)は、複数種類のガスを含む混合ガスであってもよく、複数種類の液体を含む混合液であってもよく、ガスおよび液体の双方を含む気液二相流体であってもよい。
混合物質は、例えば、水素(H)、ヘリウム(He)、窒素(N)、酸素(O)、水(HO)、水蒸気(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、窒素酸化物、アンモニア(NH)、硫黄酸化物、硫化水素(HS)、フッ化硫黄、水銀(Hg)、アルシン(AsH)、シアン化水素(HCN)、硫化カルボニル(COS)、C1~C8の炭化水素、有機酸、アルコール、メルカプタン類、エステル、エーテル、ケトンおよびアルデヒドのうち、1種類以上の物質を含む。上述の高透過性物質は、例えば、H、N、O、HO、COおよびHSのうち1種類以上の物質である。
窒素酸化物とは、窒素と酸素の化合物である。上述の窒素酸化物は、例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(一酸化二窒素ともいう。)(NO)、三酸化二窒素(N)、四酸化二窒素(N)、五酸化二窒素(N)等のNO(ノックス)と呼ばれるガスである。
硫黄酸化物とは、硫黄と酸素の化合物である。上述の硫黄酸化物は、例えば、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)等のSO(ソックス)と呼ばれるガスである。
フッ化硫黄とは、フッ素と硫黄の化合物である。上述のフッ化硫黄は、例えば、二フッ化二硫黄(F-S-S-F,S=SF)、二フッ化硫黄(SF)、四フッ化硫黄(SF)、六フッ化硫黄(SF)または十フッ化二硫黄(S10)等である。
C1~C8の炭化水素とは、炭素が1個以上かつ8個以下の炭化水素である。C3~C8の炭化水素は、直鎖化合物、側鎖化合物および環式化合物のうちいずれであってもよい。また、C2~C8の炭化水素は、飽和炭化水素(すなわち、2重結合および3重結合が分子中に存在しないもの)、不飽和炭化水素(すなわち、2重結合および/または3重結合が分子中に存在するもの)のどちらであってもよい。C1~C4の炭化水素は、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)、プロパン(C)、プロピレン(C)、ノルマルブタン(CH(CHCH)、イソブタン(CH(CH)、1-ブテン(CH=CHCHCH)、2-ブテン(CHCH=CHCH)またはイソブテン(CH=C(CH)である。
上述の有機酸は、カルボン酸またはスルホン酸等である。カルボン酸は、例えば、ギ酸(CH)、酢酸(C)、シュウ酸(C)、アクリル酸(C)または安息香酸(CCOOH)等である。スルホン酸は、例えばエタンスルホン酸(CS)等である。当該有機酸は、鎖式化合物であってもよく、環式化合物であってもよい。
上述のアルコールは、例えば、メタノール(CHOH)、エタノール(COH)、イソプロパノール(2-プロパノール)(CHCH(OH)CH)、エチレングリコール(CH(OH)CH(OH))またはブタノール(COH)等である。
メルカプタン類とは、水素化された硫黄(SH)を末端に持つ有機化合物であり、チオール、または、チオアルコールとも呼ばれる物質である。上述のメルカプタン類は、例えば、メチルメルカプタン(CHSH)、エチルメルカプタン(CSH)または1-プロパンチオール(CSH)等である。
上述のエステルは、例えば、ギ酸エステルまたは酢酸エステル等である。
上述のエーテルは、例えば、ジメチルエーテル((CHO)、メチルエチルエーテル(COCH)またはジエチルエーテル((CO)等である。
上述のケトンは、例えば、アセトン((CHCO)、メチルエチルケトン(CCOCH)またはジエチルケトン((CCO)等である。
上述のアルデヒドは、例えば、アセトアルデヒド(CHCHO)、プロピオンアルデヒド(CCHO)またはブタナール(ブチルアルデヒド)(CCHO)等である。
以下の説明では、分離装置2により分離される混合物質は、複数種類のガスを含む混合ガスであるものとして説明する。
分離装置2は、分離膜モジュール20と、供給部26と、第1回収部27と、第2回収部28とを備える。分離膜モジュール20は、分離膜複合体1と、封止部21と、ハウジング22と、2つのシール部23とを備える。分離膜複合体1、封止部21およびシール部23は、ハウジング22内に収容される。供給部26、第1回収部27および第2回収部28は、ハウジング22の外部に配置されてハウジング22に接続される。
封止部21は、支持体11の長手方向(すなわち、図3中の左右方向)の両端部に取り付けられ、支持体11の長手方向両端面、および、当該両端面近傍の外側面を被覆して封止する部材である。封止部21は、支持体11の当該両端面からのガスおよび液体の流入および流出を防止する。封止部21は、例えば、ガラスまたは樹脂により形成された板状または膜状の部材である。封止部21の材料および形状は、適宜変更されてよい。なお、封止部21には、支持体11の複数の貫通孔111と重なる複数の開口が設けられているため、支持体11の各貫通孔111の長手方向両端は、封止部21により被覆されていない。したがって、当該両端から貫通孔111へのガスおよび液体の流入および流出は可能である。
ハウジング22の形状は特に限定されないが、例えば、略円筒状の筒状部材である。ハウジング22は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。ハウジング22の長手方向は、分離膜複合体1の長手方向に略平行である。ハウジング22の長手方向の一方の端部(すなわち、図3中の左側の端部)には供給ポート221が設けられ、他方の端部には第1排出ポート222が設けられる。ハウジング22の側面には、第2排出ポート223が設けられる。供給ポート221には、供給部26が接続される。第1排出ポート222には、第1回収部27が接続される。第2排出ポート223には、第2回収部28が接続される。ハウジング22の内部空間は、ハウジング22の周囲の空間から隔離された密閉空間である。
2つのシール部23は、分離膜複合体1の長手方向両端部近傍において、分離膜複合体1の外側面とハウジング22の内側面との間に、全周に亘って配置される。各シール部23は、ガスおよび液体が透過不能な材料により形成された略円環状の部材である。シール部23は、例えば、可撓性を有する樹脂により形成されたOリングである。シール部23は、分離膜複合体1の外側面およびハウジング22の内側面に全周に亘って密着する。図3に示す例では、シール部23は、封止部21の外側面に密着し、封止部21を介して分離膜複合体1の外側面に間接的に密着する。シール部23と分離膜複合体1の外側面との間、および、シール部23とハウジング22の内側面との間は、シールされており、ガスおよび液体の通過はほとんど、または、全く不能である。
供給部26は、混合ガスを、供給ポート221を介してハウジング22の内部空間に供給する。供給部26は、例えば、ハウジング22に向けて混合ガスを圧送するブロワまたはポンプ等の圧送機構を備える。当該圧送機構は、例えば、ハウジング22に供給する混合ガスの温度および圧力をそれぞれ調節する温度調節部および圧力調節部を備える。第1回収部27および第2回収部28は、例えば、ハウジング22から導出されたガスを貯留する貯留容器、または、当該ガスを移送するブロワまたはポンプを備える。
混合ガスの分離が行われる際には、まず、分離膜複合体1が準備される(図4:ステップS11)。具体的には、分離膜複合体1がハウジング22の内部に取り付けられる。続いて、供給部26により、分離膜12に対する透過性が異なる複数種類のガスを含む混合ガスが、矢印251にて示すように、ハウジング22の内部に供給される。例えば、混合ガスの主成分は、COおよびCHである。混合ガスには、COおよびCH以外のガスが含まれていてもよい。供給部26からハウジング22の内部に供給される混合ガスの圧力(すなわち、分離膜12の一次側の圧力である供給側圧力)は、例えば、0.1MPaG~20.0MPaGである。供給部26から供給される混合ガスの温度は、例えば、10℃~250℃である。
供給部26からハウジング22に供給された混合ガスは、分離膜複合体1の図中の左端から、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の透過性が高いガスである高透過性物質は、各貫通孔111の内側面上に設けられた分離膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性物質(例えば、CO)が、混合ガス中の透過性が低いガスである低透過性物質(例えば、CH)から分離される(ステップS12)。
支持体11の外側面から導出されたガス(以下、「透過物質」と呼ぶ。)は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して第2回収部28へと導かれ、第2回収部28により回収される。第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、分離膜12の二次側の圧力である透過側圧力)は、例えば、0.0MPaGである。換言すれば、供給側圧力と透過側圧力との差は、例えば、0.1MPa~20.0MPaである。透過物質には、上述の高透過性物質以外に、分離膜12を透過した低透過性物質が含まれていてもよい。
また、混合ガスのうち、分離膜12および支持体11を透過した物質を除くガス(以下、「不透過物質」と呼ぶ。)は、支持体11の各貫通孔111を図中の左側から右側へと通過し、矢印252にて示すように、第1排出ポート222を介して第1回収部27により回収される。第1回収部27により回収されるガスの圧力は、例えば、導入圧と略同じ圧力である。不透過物質には、上述の低透過性物質以外に、分離膜12を透過しなかった高透過性物質が含まれていてもよい。第1回収部27により回収された不透過物質は、例えば、供給部26に循環されて、ハウジング22内へと再度供給されてもよい。
次に、分離膜モジュール20の特性を評価する評価方法について説明する。上述のように、分離膜モジュール20の特性は、分離膜12の性能(例えば、高透過性物質の透過量)、および、分離膜複合体1とハウジング22との間をシールするシール部23や分離膜12に存在する欠陥からのリーク量等によって決定される。当該リーク量とは、シール部23と分離膜複合体1および/またはハウジング22との間の微少な空隙等の欠陥、並びに、分離膜12における亀裂や剥離等の欠陥を通過して第2回収部28により回収された混合ガスの量である。これらの欠陥を通過した混合ガスは、分離膜12の細孔を通過することなく、分離膜12の二次側の空間(すなわち、透過側の空間)へと漏出しており、分離膜12により分離されていない状態である。第2回収部28では、分離膜12の細孔を通過した(すなわち、分離膜12により分離された)透過物質、および、分離膜モジュール20の欠陥から漏出した(すなわち、リークした)混合ガスの双方が回収される。
図5は、分離膜モジュール20の特性の評価の流れを示す図である。分離膜モジュール20の特性の評価は、図3に示す上述の分離装置2を用いて行われる。分離膜12の評価が行われる際には、まず、分離膜12の透過量を低下させる性質を有する性能低下ガスが、分離装置2の供給部26により、矢印251にて示すようにハウジング22の内部に供給される。供給部26からハウジング22に供給された性能低下ガスは、支持体11の各貫通孔111内(すなわち、分離膜12の一次側)に導入され、分離膜12の細孔(例えば、分離膜12の一次側の細孔入口近傍)に吸着する(ステップS21)。性能低下ガスは、分離膜12の細孔に吸着することにより、当該細孔を部分的にまたは全体的に閉塞する。これにより、後述する評価用流体等が分離膜12の細孔を通過することが阻害される。ステップS21では、性能低下ガスが、分離膜12の一次側に所定時間供給される。
性能低下ガスは、1種類の物質からなるガスであってもよく、2種類以上の物質を含む混合ガスであってもよい。性能低下ガスは、例えば、水および有機物のうち少なくとも一方を含む。性能低下ガスは、例えば、飽和水蒸気量未満の水蒸気(すなわち、不飽和水蒸気)を含むNガスであってもよく、不飽和水蒸気を含む空気であってもよい。また、性能低下ガスは、飽和蒸気量未満の揮発性有機化合物(以下、「不飽和VOC(Volatile Organic Compounds)」とも呼ぶ。)の蒸気を含む空気であってもよい。性能低下ガスは、CHとアルコール蒸気とを含む混合ガスであってもよい。性能低下ガスは、大気圧下での沸点が-10℃以上である成分を含むことが好ましい。これにより、分離膜12の細孔を効率良く閉塞することができる。性能低下ガスは、大気圧下での沸点が-10℃以上である成分の合計濃度が0.05mol%以上であることが好ましい。これにより、分離膜12の細孔をさらに効率良く閉塞することができる。性能低下ガスに含まれる大気圧下での沸点が-10℃以上である成分の合計濃度の上限は、不飽和である限り特に限定されないが、後述する分離膜12の再生処理の容易さを考慮すると通常90mol%以下であることが好ましい。
なお、分離膜モジュール20の特性の評価では、性能低下ガスとして、液滴を含むガスは利用されない。仮に、液滴を含むガスを性能低下ガスとして利用すると、後述する分離膜12の再生処理において、分離膜12の細孔に吸着した液体の除去に長時間を要し、処理コストが増大するとともに、再生処理後の分離膜12の分離性能が低下するおそれがある。また、後述する分離膜モジュール20の特性の評価において、液体がシール部23や分離膜12における欠陥を一時的に閉塞してしまい、評価精度が低下するおそれもある。同様の理由により、液体、および、飽和蒸気を含むガスも、当該性能低下ガスとして利用されない。
ステップS21が終了すると、性能低下ガスによる分離膜12の透過量低下率が確認される(ステップS22)。ステップS22では、例えば、分離膜12の透過量低下率を測定するための透過量測定流体が、供給部26によりハウジング22の内部に供給され、支持体11の各貫通孔111内(すなわち、分離膜12の一次側)に導入される。透過量測定流体の一部は、分離膜12および支持体11を透過して第2回収部28により回収される。そして、第2回収部28により回収された透過量測定流体の回収量(すなわち、分離膜12の二次側へと移動した透過量測定流体の量)が、ステップS21よりも前にステップS22と同様の測定を行って予め取得されている透過量測定流体の回収量(すなわち、性能低下ガスによる性能低下前の回収量)と比較され、ステップS22の前後における透過量低下率が確認される。透過量低下率は、性能低下ガスによる性能低下後の透過量測定流体の回収量を、性能低下前の透過量測定流体の回収量により除算し、除算して得た値を1から減算することにより求められる。透過量低下率は、例えば30%以上であり、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。
透過量測定流体は、1種類の物質からなる流体であってもよく、2種類以上の物質を含む混合流体であってもよい。透過量測定流体は、ガスであってもよく、液体であってもよく、気液二相流体であってもよい。透過量測定流体は、例えば、NガスやCOガス等の無機ガスである。あるいは、透過量測定流体は、性能低下ガスと同様に、水および有機物のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。透過量測定流体は、液状の水であってもよい。また、透過量測定流体は、飽和水蒸気を含むNガスであってもよく、飽和水蒸気を含む空気であってもよい。透過量測定流体は、CHと水蒸気とを含む混合ガスであってもよい。あるいは、透過量測定流体は、COガスまたは空気とHCの液滴とを含む気液二相流体であってもよく、COガスとアルコール蒸気とを含む混合ガスであってもよい。透過量測定流体は、性能低下ガスと構成成分が同一のガスであってもよい。
ステップS22が終了すると、分離膜モジュール20の特性を評価するための評価用流体が、供給部26によりハウジング22の内部に供給され、支持体11の各貫通孔111内(すなわち、分離膜12の一次側)に導入される。評価用流体の一部は、分離膜12および支持体11を透過して第2回収部28により回収される。また、評価用流体の他の一部は、シール部23や分離膜12における欠陥を通過して第2回収部28により回収される。そして、第2回収部28により回収された評価用流体の回収量(すなわち、分離膜12の二次側への評価用流体の流量)が測定される(ステップS23)。ステップS23における供給側圧力と透過側圧力との差である評価時差圧は、例えば0.1MPa以上である。評価時差圧は、好ましくは0.5MPa以上であり、より好ましくは1.0MPa以上である。
上述のように、分離膜12では、性能低下ガスにより評価用流体の透過が阻害されているため、第2回収部28により回収された評価用流体において、上記欠陥を通過した評価用流体が占める割合は、性能低下ガスによる透過量の低下が生じていない場合に比べて増大する。これにより、上記欠陥の有無による評価用流体の回収量の差が顕著になる。
評価用流体は、1種類の物質からなる流体であってもよく、2種類以上の物質を含む混合流体であってもよい。評価用流体は、ガスであってもよく、液体であってもよく、気液二相流体であってもよい。評価用流体は、例えば、NガスやCOガス等の無機ガスである。あるいは、評価用流体は、性能低下ガスを含んでいてもよい。
評価用流体の分子径は、例えば、透過量測定流体の分子径以上である。これにより、分離膜12における性能低下ガスによる評価用流体の透過量低下率は、ステップS22において測定された透過量測定流体の透過量低下率以上となるため、上述のように、欠陥の有無による評価用流体の回収量の差をさらに顕著とすることができる。
ここで、評価用流体の分子径とは、評価用流体に含まれる物質から、含有率が10体積%以下の物質を除いた残りの物質(以下、「分子径評価物質」とも呼ぶ。)のうち、分子径が最も小さい物質の分子径を意味する。評価用流体が気液二相流体の場合、分子径評価物質は、評価用流体に含まれる物質から、上述の含有率が10体積%以下の物質と、液状の物質とを除いた残りの物質である。例えば、評価用流体が2体積%の水蒸気および98体積%の空気を含む混合流体である場合、含有率が10体積%以下である水蒸気を除き、空気中のOとNとが分子径評価物質となる。そして、O(分子径0.35nm)とN(分子径0.36nm)のうち分子径が小さいOの分子径0.35nmが、評価用流体の分子径とされる。また、評価用流体が空気とHCの液滴とを含む気液二相流体である場合、液状であるHCを除き、空気中のOとNのうち分子径が小さいOの分子径0.35nmが、評価用流体の分子径とされる。透過量測定流体の分子径についても、評価用流体の分子径と同様である。
評価用流体の分子径は、例えば0.40nm以下である。これにより、シール部23や分離膜12に比較的小さい欠陥が存在する場合であっても、評価用流体は当該欠陥を通過して第2回収部28により回収されるため、当該欠陥の有無を判定しやすくなる。評価用流体が複数種類の分子径評価物質を含む混合流体である場合、全分子径評価物質中において、分子径が0.40nm以下である流体の含有率は80体積%以上であることが好ましい。
また、評価用流体の分子径は、例えば、分離膜12の細孔径の1.06倍以下である。これにより、分離膜12の細孔径と同程度またはそれ以下の比較的小さい欠陥がシール部23や分離膜12に存在する場合であっても、評価用流体は当該欠陥を通過して第2回収部28により回収されるため、当該欠陥の有無を判定しやすくなる。評価用流体が複数種類の分子径評価物質を含む混合流体である場合、全分子径評価物質中において、分子径が分離膜12の細孔径の1.06倍以下である流体の含有率は70体積%以上であることが好ましい。なお、本願では、分離膜12がゼオライト膜ではない場合、分離膜12の細孔径とは、分離膜12の平均細孔径を意味する。
ステップS23にて測定された評価用流体の回収量(以下、「測定回収量」とも呼ぶ。)は、基準回収量と比較され、これにより、分離膜モジュール20の特性が評価される(ステップS24)。基準回収量は、分離膜12の性能や分離膜モジュール20に求められるスペック等に応じて任意に設定可能である。例えば、基準回収量は、許容される評価用流体のリーク量(すなわち、分離膜12の細孔を通過しない評価用流体の漏出量)に一定の係数を乗算した値として設定できる。
ステップS24では、評価用流体の測定回収量が基準回収量以下である場合、分離膜モジュール20の上記欠陥からの評価用流体のリーク量(すなわち、分離膜12の細孔を通過しない評価用流体の漏出量)は少なく、分離膜モジュール20は良好な状態であると判断される。一方、評価用流体の測定回収量が基準回収量よりも大きい場合、分離膜モジュール20における評価用流体のリーク量が多く、分離膜モジュール20は不良状態と判断される。分離膜モジュール20が不良状態と判断された場合、例えば、分離膜モジュール20の補修(すなわち、シール部23の交換や分離膜12の亀裂の補修等)が行われる。
分離膜モジュール20の特性の評価が終了すると、性能低下ガスにより低下した分離膜12の透過量を回復させる分離膜12の再生が行われる(ステップS25)。具体的には、例えば、分離膜複合体1を加熱することにより、分離膜12の細孔に吸着している性能低下ガスを除去する。上述のように、性能低下ガスは、実質的に蒸気を含まないガス、または、不飽和蒸気(すなわち、飽和蒸気量未満の蒸気)を含むガスであるため、分離膜12の細孔から性能低下ガスを容易に除去することができる。分離膜複合体1の加熱は、例えば、高温の乾燥空気を供給部26からハウジング22内に供給することにより行われる。当該乾燥空気の水分含有率は、例えば300ppm以下である。その後、分離膜12が再生された分離膜モジュール20を用いて、上述の混合ガスの分離(ステップS12)等の処理が行われる。
なお、上述のステップS21~S25は、分離膜モジュール20による混合ガスの分離等の処理の途中で行われてもよい。これにより、分離膜モジュール20の経時変化による特性の低下等を検出することができる。
また、上述のステップS22では、透過量低下率の確認さえできれば、必ずしも、ステップS21の後に透過量測定流体を分離膜12に供給して第2回収部28による回収量を測定する必要はない。例えば、分離膜12に供給される性能低下ガスの種類と、分離膜12の透過量低下率との関係等が予め測定されて情報として保存されている場合、ステップS21で使用した性能低下ガスに対応する透過量低下率を、当該情報(以下、「性能低下ガス-低下率情報」とも呼ぶ。)から抽出することにより、ステップS22における透過量低下率の確認が行われてもよい。なお、性能低下ガス-低下率情報には、各性能低下ガスについて、分離膜12への供給時間を変更した場合や成分の含有率を変更した場合に対応する複数の透過量低下率が含まれていてもよい。
次に、表1を参照しつつ、分離膜モジュール20の特性評価の実施例および比較例について説明する。実施例1~7では、ステップS21において分離膜12に供給される性能低下ガスの種類、性能低下ガスによる透過量低下率、ステップS23において分離膜12に供給される評価用流体の種類、および、ステップS23における供給側圧力と透過側圧力との差である評価時差圧を変更している。なお、実施例1~7では、性能低下ガス中に含まれる大気圧下での沸点が-10℃以上である成分の合計濃度は0.05mol%~90mol%であった。比較例1では、ステップS21における性能低下ガスの供給を省略している。また、比較例2では、ステップS21において、性能低下ガスに代えて液体状の有機溶媒を供給した。実施例1~7および比較例1~2では、良好な状態であること(すなわち、欠陥からのリーク量が少ないこと)が予め判明している分離膜モジュール20に対して、上述のステップS21~S24を行った。そして、上述の性能低下ガスの種類、透過量低下率、評価用流体の種類および評価時差圧等の測定条件が、分離膜モジュール20の特性評価にどの程度適しているかを「評価」の欄で評価した。
Figure 0007592846000001
実施例1~7および比較例1~2では、分離膜12はDDR型のゼオライト膜である。分離膜12を構成するゼオライトの固有細孔径は、0.36nm×0.44nmであり、分離膜12の細孔径(すなわち、ゼオライトの短径)は0.36nmである。
実施例1~7および比較例1~2では、分離膜複合体1の製造は、下記のように行った。まず、種結晶を分散させた溶液に支持体11を浸漬し、種結晶を支持体11に付着させた。種結晶は、水熱合成にて生成されたDDR型のゼオライトの粉末、または、当該粉末を粉砕したものである。なお、支持体11への種結晶の付着は、上記以外の方法で行われてもよい。続いて、種結晶が付着した支持体11を原料溶液に浸漬させて水熱合成を行った。これにより、当該種結晶を核としてDDR型のゼオライトを成長させ、支持体11上にDDR型のゼオライト膜である分離12を形成した。原料溶液は、Si源および構造規定剤(Structure-Directing Agent、以下「SDA」とも呼ぶ。)等を、溶媒に溶解させることにより作製した。原料溶液の組成は、1.0SiO:0.015SDA:0.12(CH(NHである。原料溶液の溶媒は水であり、原料溶液に含まれるSDAは1-アダマンタンアミンである。水熱合成時の温度は、好ましくは120~200℃であり、例えば160℃である。水熱合成時間は、好ましくは10~100時間であり、例えば30時間である。水熱合成の終了後、支持体および分離膜12を洗浄し、加熱処理することにより分離膜12中のSDAを燃焼除去して微細孔を貫通させ、上述の分離膜複合体1を得た。
実施例1では、ステップS21の性能低下ガスとして不飽和VOC(すなわち、飽和蒸気量未満のVOC蒸気)を含む空気を用いた。VOCとしては、イソブタンおよび酢酸ビニルを用いた。また、透過量低下率は、ステップS22において透過量測定流体としてCOガスを用い、供給側圧力および透過側圧力をそれぞれ0.1MPaGおよび大気圧として、室温下において求めた。透過量低下率は、80%であった。ステップS23の評価用流体としては空気を用い、供給側圧力と透過側圧力との差である評価時差圧を1.0MPaとして、評価用流体の測定回収量を求めた。実施例1の測定条件の評価は「◎」であった。
表1中の評価の欄の「◎」印は、測定回収量が基準回収量の40%以下であり、当該測定条件が分離膜モジュール20の特性評価に非常に適していることを示す。また、評価の欄の「○」印は、測定回収量が基準回収量の40%よりも大きく、かつ、50%以下であり、測定条件が分離膜モジュール20の特性評価に適していることを示す。評価の欄の「△」印は、測定回収量が基準回収量の50%よりも大きく、かつ、100%未満であり、「◎」印および「○」印ほどではないものの、測定条件が分離膜モジュール20の特性評価にある程度適していることを示す。「×」印は、測定回収量が基準回収量の100%以上であり、分離膜12を透過する評価用流体の流量が大きいため分離膜モジュール20の特性評価を行うことができない状態を示す。また、ステップS25における分離膜12の再生によっても分離膜12の透過量が十分に回復しない場合も、「×」印に含める。
実施例2は、性能低下ガスおよび評価用流体として不飽和VOCを含むCOガスを用いた点を除き、実施例1と同様である。実施例2の透過量低下率は80%であった。実施例2の評価は「◎」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価に非常に適している。
実施例3は、評価時差圧を0.5MPaとした点を除き、実施例2と同様である。実施例3の透過量低下率は80%であった。実施例3の評価は「○」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価に適している。
実施例4は、評価時差圧を0.1MPaとした点を除き、実施例2と同様である。実施例4の透過量低下率は80%であった。実施例4の評価は「△」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価にある程度適している。
実施例5は、性能低下ガスおよび評価用流体として不飽和水蒸気を含むNガスを用い、評価時差圧を4.0MPaとした点を除き、実施例1と同様である。実施例5の透過量低下率は30%であった。実施例5の評価は「△」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価にある程度適している。
実施例6は、性能低下ガスの水蒸気含有率を変更した(具体的には、不飽和の範囲内で実施例5よりも水蒸気含有率を増大させた)点を除き、実施例5と同様である。実施例6の透過量低下率は50%であった。実施例6の評価は「○」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価に適している。
実施例7は、性能低下ガスおよび評価用流体として飽和蒸気量未満のアルコール蒸気(具体的には、エタノールの蒸気)を含むCHガスを用いた点を除き、実施例1と同様である。実施例7の透過量低下率は70%であった。実施例7の評価は「◎」であり、測定条件は、分離膜モジュール20の特性評価に非常に適している。
比較例1では、上述のように、分離膜12に性能低下ガスが供給されていないため、透過量低下率は0%であった。評価用流体としてNガスを用い、実施例1と同じ分離膜モジュール20(すなわち、良好な状態の分離膜モジュール20)について評価用流体の回収量を測定したが、分離膜12を透過する評価用流体の流量が大きいため、分離膜モジュール20の状態を良好であると判定することはできなかった。すなわち、比較例1の評価は「×」であった。
比較例2は、性能低下ガスに代えて液体状の有機溶媒を分離膜12に供給した点を除き、比較例1と同様である。透過量低下率は95%であった。比較例2では、ステップS25における分離膜12の再生によっても分離膜12の透過量が十分に回復しなかったため、比較例2の評価は、「×」であった。
実施例2~4を比較すると、評価時差圧を増大させると、測定条件の評価が良くなることがわかる。この場合、評価時差圧は、0.5MPa以上であることがより好ましく、1.0MPa以上であることがさらに好ましい。また、実施例1~2および実施例5~7を比較すると、透過量低下率は、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
以上に説明したように、分離膜モジュール20の評価方法は、分離膜12の透過量を低下させる性質を有する性能低下ガスを分離膜12の一次側に供給する工程(ステップS21)と、ステップS21よりも後に、評価用流体を分離膜12の一次側に供給し、分離膜12の二次側への流量を測定する工程(ステップS23)と、を備える。
これにより、ステップS23において、分離膜12を透過する(すなわち、分離膜12の細孔を通過する)評価用流体の流量が低減される。このため、第2回収部28により回収された評価用流体において、シール部23や分離膜12等における欠陥を通過した評価用流体が占める割合が増大する。その結果、上記欠陥の有無による評価用流体の回収量の差が顕著になるため、分離膜モジュール20の特性評価を精度良く行うことができる。
また、性能低下ガスにより評価用流体が分離膜12を透過することを抑制しているため、評価用流体として、必ずしも、分子径が分離膜12の細孔径よりも大きく分離膜12を透過しにくい流体を用いる必要がない。換言すれば、評価用流体の種類が分子径により限定される場合に比べて、評価用流体の選択の自由度を向上することができる。その結果、評価用流体に上述のフロリナート等を用いざるを得ない場合に比べて、評価用流体の放出や回収を容易とすることができる。
上述のように、ステップS21の前後における分離膜12の透過量低下率は30%以上であることが好ましい。これにより、ステップS23において分離膜12を透過する評価用流体の流量を好適に低減することができる。その結果、上記欠陥の有無による評価用流体の回収量の差が好適に顕著化されるため、分離膜モジュール20の特性評価をさらに精度良く行うことができる。
上述のように、評価用流体の分子径は0.40nm以下であることが好ましい。これにより、シール部23や分離膜12に比較的小さい欠陥(例えば、径が0.40nm程度の欠陥)が存在する場合であっても、評価用流体は当該欠陥を通過して第2回収部28により回収される。したがって、分離膜モジュール20の特性評価をさらに精度良く行うことができる。
上述のように、評価用流体の分子径は、分離膜12の細孔径の1.06倍以下であることが好ましい。これにより、分離膜12の細孔径と同程度またはそれ以下の比較的小さい欠陥がシール部23や分離膜12に存在する場合であっても、評価用流体は当該欠陥を通過して第2回収部28により回収される。したがって、分離膜モジュール20の特性評価をさらに精度良く行うことができる。
上述のように、分離膜12は無機膜であることが好ましい。これにより、分離膜モジュール20の耐熱性および/または耐有機溶媒性を向上することができる。
より好ましくは、分離膜12はゼオライト膜である。このように、細孔径が均一であるゼオライト結晶により分離膜12を構成することにより、透過対象物質の選択的透過を好適に実現することができる。その結果、当該透過対象物質を混合物質から効率良く分離することができる。
さらに好ましくは、分離膜12を構成するゼオライトの最大員環数は8以下である。これにより、分子径が小さいH、CO等の透過対象物質の選択的透過を好適に実現し、当該透過対象物質を混合物質から効率良く分離することができる。
上述のように、評価用流体は性能低下ガスと構成成分が同一であることが好ましい。これにより、ステップS21において分離膜12の細孔に吸着した性能低下ガスが、ステップS23における評価用流体の供給により、当該細孔から脱離することを抑制することができる。換言すれば、ステップS21において性能低下ガスにより閉塞された分離膜12の細孔が、ステップS23における評価用流体の供給により開放されることを抑制することができる。また、性能低下ガスおよび評価用流体の構成成分が互いに異なる場合に比べて、分離膜モジュール20の特性評価を簡素化することができる。
上述のように、性能低下ガスは、水および有機物のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、分離膜12の透過量を好適に低下させる(すなわち、透過量低下率を大きくする)ことができる。また、ステップS25において分離膜12を再生させる場合、分離膜12からの性能低下ガスの除去を容易に行うことができる。
上述のように、ステップS23における分離膜12の一次側の圧力と二次側の圧力との差(すなわち、評価時差圧)は0.1MPa以上であることが好ましい。分離膜モジュール20では、評価時差圧が大きくなると、分離膜12を透過する評価用流体の透過速度は低下するが、上記欠陥を通過する評価用流体の透過速度はほとんど変化しない。したがって、評価時差圧を0.1MPa以上とすることにより、上記欠陥の有無による評価用流体の回収量の差が好適に顕著化されるため、分離膜モジュール20の特性評価をさらに精度良く行うことができる。分離膜モジュール20の特性評価の精度向上の観点からは、評価時差圧は、0.5MPa以上であることがより好ましく、1.0MPa以上であることがさらに好ましい。
上述のように、分離膜モジュール20の評価方法は、ステップS23よりも後に、性能低下ガスにより低下した分離膜12の透過量を回復させて分離膜12を再生させる工程(ステップS25)をさらに備えることが好ましい。これにより、特性評価後の分離膜モジュール20を、混合物質の分離等に好適に使用することができる。
上述のように、性能低下ガスは、大気圧下での沸点が-10℃以上である成分を合計0.05mol%以上含むことが好ましい。これにより、分離膜12の細孔を効率良く閉塞することができる。
上述の分離膜モジュール20の評価方法では、様々な変更が可能である。
例えば、ステップS21で用いられる性能低下ガスは、必ずしも水または有機物を含む必要はなく、水および有機物の双方を含まない性能低下ガスがステップS21において用いられてもよい。
また、ステップS21の前後における分離膜12の透過量低下率は、30%未満であってもよい。
ステップS23で用いられる評価用流体の構成成分は、性能低下ガスと異なっていてもよく、同一であってもよい。ステップS22で用いられる透過量測定流体の構成成分も、性能低下ガスと異なっていてもよく、同一であってもよい。
評価用流体の分子径は、分離膜12の細孔径の1.06倍よりも大きくてもよい。また、評価用流体の分子径は、0.40nmよりも大きくてもよい。さらには、評価用流体の分子径は、透過量測定流体の分子径よりも小さくてもよい。
ステップS23における評価時差圧は、0.1MPa未満であってもよい。
分離膜モジュール20の特性評価後の分離装置2の使用態様や性能低下ガスの種類によっては、ステップS21~S24の終了後、ステップS25は必ずしも行われなくてもよい。
分離膜複合体1は、支持体11および分離膜12に加えて、分離膜12上に積層された機能膜や保護膜をさらに備えていてもよい。このような機能膜や保護膜は、ゼオライト膜、シリカ膜または炭素膜等の無機膜であってもよく、ポリイミド膜またはシリコーン膜等の有機膜であってもよい。
分離膜12を構成するゼオライトの最大員環数は、8よりも大きくてもよい。また、分離膜12は、ゼオライト膜以外の無機膜であってもよく、有機膜であってもよい。
分離装置2では、上記説明にて例示した物質以外の物質が、混合ガスから分離されてもよい。また、分離装置2の構造も、上記例には限定されず、様々に変更されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。
本発明は、例えば、様々な流体の分離や吸着に利用される分離膜モジュールの評価に利用可能である。
12 分離膜
20 分離膜モジュール
S11~S12,S21~S25 ステップ

Claims (12)

  1. 分離膜モジュールの評価方法であって、
    a)分離膜の透過量を低下させる性質を有する性能低下ガスを前記分離膜の一次側に供給する工程と、
    b)前記a)工程よりも後に、評価用流体を前記分離膜の一次側に供給し、前記分離膜の二次側への流量を測定する工程と、
    を備える。
  2. 請求項1に記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記a)工程の前後における前記分離膜の透過量低下率は30%以上であることを特徴とする。
  3. 請求項1または2に記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記評価用流体の分子径は0.40nm以下であることを特徴とする。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記評価用流体の分子径は、前記分離膜の細孔径の1.06倍以下であることを特徴とする。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記分離膜は無機膜であることを特徴とする。
  6. 請求項5に記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記分離膜はゼオライト膜であることを特徴とする。
  7. 請求項6に記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記分離膜を構成するゼオライトの最大員環数は8以下であることを特徴とする。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記評価用流体は前記性能低下ガスと構成成分が同一であることを特徴とする。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記性能低下ガスは、水および有機物のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記b)工程における前記分離膜の一次側の圧力と二次側の圧力との差は0.1MPa以上であることを特徴とする。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記b)工程よりも後に、前記性能低下ガスにより低下した前記分離膜の透過量を回復させて前記分離膜を再生させる工程をさらに備えることを特徴とする。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の分離膜モジュールの評価方法であって、
    前記性能低下ガスは、大気圧下での沸点が-10℃以上である成分を合計0.05mol%以上含むことを特徴とする。
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