JP7594467B2 - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材および熱交換器 - Google Patents
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さらに、自動車用熱交換器はろう付熱処理によって各部材と接合することが必要であることからろう付性も重要となる。
例えば、特許文献1では、芯材などにSiやCuを含有させて強度を向上させることが行われている。
本発明は上記事情を背景としてなされたものであり、強度、耐食性、ろう付性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材および熱交換器を提供することを目的とする。
ろう付前の前記芯材中に、円相当径が50~200nmの芯材中第2相粒子が分散しており、前記芯材中第2相粒子の数密度が1000000個/mm2以下であり、かつ、
ろう付前の前記犠牲材中に、円相当径が50~200nmの犠牲材中第2相粒子が分散しており、前記犠牲材中第2相粒子の数密度が320000~440000個/mm2である。
<芯材組成>
Mn:1.0~1.5%
Mnは、マトリックス中にAl-Mn-Si系、Al-Mn-Fe系、Al-Mn-Fe-Si系金属間化合物などを微細に形成し、芯材の材料強度を向上させる。しかし、その含有量が下限未満ではその効果が十分に得られない。一方、上限を超えると、鋳造時に巨大金属間化合物が発生し、鋳造性および圧延性が低下する。このため、Mnの含有量は1.0~1.5%とする。同様の理由により、下限を1.1%、上限を1.4%とするのが望ましい。
Siは、マトリックス中にAl-Mn-Si系、Al-Mn-Fe-Si系金属間化合物などを微細に形成し、材料強度を向上させる。しかし、その含有量が下限未満では所望の効果が十分に得られない。一方、上限を超えると材料の融点が低下してろう付性が低下する。このため、Siの含有量は0.5~0.9%とする。同様の理由により、下限を0.6%、上限を0.8%とするのが望ましい。
Feは、マトリックス中にAl-Mn-Fe系、Al-Mn-Fe-Si系金属間化合物を微細に形成し、芯材の材料強度を高める。しかし、その含有量が下限未満で所望の効果が十分に得られない。一方、上限を超えると、鋳造時に巨大金属間化合物が発生し、鋳造性および圧延性が低下し、さらに耐食性が低下する。このため、Feの含有量は0.3~0.6%とする。同様の理由により、下限を0.35%、上限を0.55%とするのが望ましい。
Cuは、マトリックス中に固溶し、材料強度を向上させるので所望により含有させる。しかし、その含有量が下限未満では所望の効果が十分に得られない。一方、上限を超えると、電位が貴化し、耐食性が低下する。また、融点が低下してろう付性が低下する。このため、Cuの含有量は0.1~0.6%とする。同様の理由により、下限を0.2、上限を0.5%とするのが望ましい。なお、Cuを積極的に含有しない場合、Cuを不純物として、0.1%以下含有するものであってもよい。
Zn:2.5~4.0%
Znは、電位を卑にし、犠牲材の耐食性を向上させる。しかし、その含有量が下限未満では含有量が少なくその効果が十分発揮されない。一方、上限を超えると腐食速度が増加しすぎて犠牲陽極効果が得られず、耐食性が低下する。このため、Znの含有量は2.5~4.0%とする。同様の理由で、下限を2.7%、上限を3.8%とするのが望ましい。
Mnは、犠牲材の強度を向上させ、耐食性を向上させる効果がある。また、Mnは、適正量を含有することによってAl-Mn系第2相粒子の分散粒子数およびサイズを制御して粒子分散による腐食箇所の分散化により耐食性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が下限未満であると所望の効果が得られない。一方、上限を超えると、電位貴化による犠牲陽極効果が得られず、さらに局部腐食が発生する。このため、Mn含有量を0.7~1.3%の範囲とする。同様の理由により、下限を0.8%、上限を1.2%とするのが望ましい。
Siは、耐食性を向上させる。また、Siは、Mnとともに適正量を含有することによって分散粒子サイズを制御して耐食性を向上させる効果がある。しかし、その含有量が下限未満であると局部腐食が発生する。一方、上限を超えると、電位貴化による犠牲陽極効果が得られず、局部腐食が発生する。
このため、Siの含有量を0.3~0.7%の範囲とする。同様の理由により、下限を0.4%、上限を0.6%とするのが望ましい。
Feは、マトリックス中にAl-Mn系第2相粒子を生成し、耐食性を向上させる。しかし、その含有量が下限未満では所望の効果が十分に得られない。一方、上限を超えると、粒子密度過大により均一分散ができなくなり、粒子の密な場所が局部的に腐食する局部腐食が発生し、耐食性が低下する。このため、Fe含有量を0.3~0.7%の範囲とする。同様の理由により、下限を0.35%、上限を0.65%とするのが望ましい。
ろう材は被接合体とのろう付のため、一般的にAl-Si系合金(Si:3~12%など)が使用される。また外面側の耐食性向上のためにAl-Si系合金にZnを適正量添加したろう材が用いられる場合もある。当該発明では特別にろう材の組成の規定はしないが上記ろう材のいずれも使用可能である。
ろう付前芯材中の第2相粒子は、ろう付時再結晶速度に影響する。上記サイズの第2相粒子が多いと再結晶が遅延し、エロージョンが増加する。このため、上記サイズの数密度を1000000個/mm2以下とするのが望ましい。
上記数密度の制御は、成分の適正化と均質化処理を高温・長時間行うことにより達成することができる。均質化処理の条件としては560℃~620℃×6~12時間が望ましく、温度が高すぎるとスラブの部分溶融や光熱費的にも経済的でない。
粒子分散による腐食箇所を分散化する。粒子数が少ないと充分な分散効果が得られず、局部腐食が発生する。一方、粒子密度が過大になると、第2相粒子が均一に分散せず、粒子の密な箇所が局部的に腐食する。このため、ろう付前犠牲材中の上記サイズの第2相粒子の数密度は、320000~440000個/mm2とするのが望ましい。
上記数密度の制御は、適正な成分、均質化処理および冷間圧延の圧下率とパス数の管理によって達成することができる。
強度が低いと、ろう付組立後熱交換器の耐久性が低下する。熱交換器としての耐久性を考慮すると、ろう付後の強度が140MPa以上あるのが望ましい。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
なお、この実施形態では、自動車用熱交換器用であるものとして説明しているが、本発明としては自動車用に限定されるものではない。
本発明の組成範囲内である犠牲材用アルミニウム合金および芯材用アルミニウム合金と、Al-Si系(Znを含有するものも含まれる)ろう材用合金とをそれぞれ用意する。これらの合金は、常法により溶製することができる。ろう材用アルミニウム合金については、Al-Si系であれば本発明では特に限定するものではなく、例えばJIS 4343合金、4045合金、あるいは4047合金を用いることもできる。また、Znを添加していないろう材やZn添加量を増量したろう材を用いることもできる。さらに、Mn、Fe、Zr、Ti、Cu、Li等を含有するAl-Si合金やAl-Si-Zn合金を用いることもできる。
芯材では、スラブ鋳造後に偏析など不均質な組織を除去する事を目的に均質化処理を実施する。本件発明では高温・長時間の均質化処理により、芯材の第2相粒子の再固溶を促進し、後のろう付において再結晶遅延の原因となる粒子分散密度を低減することにより、エロージョンを抑制することを目的としている。均質化条件の好ましい条件は560℃以上である。
ろう材用アルミニウム合金に対しても、所望により均質化処理を行うことができ、例えば、560℃~620℃×6~12時間の均質化処理を行うことができる。
これら板材は、芯材の片面に犠牲材を配置し、他の片面にろう材を配置し、重ね合わせた状態で適宜のクラッド率でクラッドされる。
各部材のクラッド率は特に限定されないが、例えば芯材で60%~90%、犠牲材で5%~30%、ろう材で5%~30%が示される。
クラッド材の製造では、一般に熱間圧延が行われ、その後、さらに冷間圧延を行うことで所望の厚さのアルミニウム合金ブレージングシートが得られる。
次に所定の厚みにするために冷間圧延を行うが、犠牲材の粗大金属間化合物を冷間圧延により砕くことで分散させ、第2相粒子の分散効果も目的としている。冷間圧延の好ましい条件は、圧下量が小さいと粗大金属間化合物を砕くことができず、また大きいと砕けすぎるため、10~35%の圧下を5パス以上行うのが望ましい。
上記工程により、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を得ることができる。
例えば、上記したクラッド材1は、犠牲材1bが内面側になるようにパイプとすることができる。さらにパイプを、平加工して平チューブとし、図2に示されているヘッダープレート11のような所望の形状に加工される。ヘッダープレート11は、多数のチューブ12、フィン13、サイドサポート14と組み付けられ、ろう付に供される。
ヘッダープレート11には、上記チューブ11の突出部を覆うように、図示しない樹脂が配置され、樹脂タンクとヘッダープレート11との間が図示しないゴムパッキン(Oリング)によってシールされている。
本発明としてはろう付の熱処理条件や方法(ろう付温度、雰囲気、フラックスの有無、ろう材の種類等)は特に限定されず、所望の方法によってろう付を行うことができる。
芯材は表2中に示す均質化処理を行った後、熱間圧延・冷間圧延にて所定の板厚にした後、ライナー(側材)と重ね合わせ、下記に示すクラッド圧延を行なった。
次に、熱間圧延を行い、さらに板厚0.5mmまで冷間圧延を行った。その後、360℃の温度条件で3時間焼鈍を実施して調質Oの板材を作製した。クラッド後の冷間圧延における各パスの圧下では、いずれも10~35%の圧下率で行った。
なお、本発明としては、犠牲材のクラッド率が14%、ろう材のクラッド率が10%となるように作製した。
さらに、クラッド材には、ろう付処理を想定して600℃×3分間の加熱処理を施した。
各供試材に対し、以下の特性について評価試験を行い、その結果を表2に示した。
調質後、ろう付熱処理前の供試材に対し、円相当径が50~200nmのAl-Mn系第2相粒子を対象に円相当径および数密度(個/mm2)を電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)にて観察した組成像を用いて、画像解析によって測定した。
測定方法は、ろう付熱処理前の供試材に機械研磨およびクロスセクションポリッシャー(CP)加工により板材断面(圧延方向平行断面)を露出させ試料を作製し、FE-SEMにて10000~50000倍で写真撮影した。
芯材および犠牲材に関し、10視野について写真撮影し、画像解析によって分散粒子の円相当径および数密度を計測した。
ろう付熱処理後の供試材に対し、OY水(Cl-:195ppm, SO4 2-:60ppm, Cu2+:1ppm, Fe3+:30ppm残部純水)を0.1%NaOH水溶液にてpH11に調整した試験液を用いて浸漬試験を実施した。試験条件は室温×16時間+88℃×8時間(撹拌なし)を1日のサイクルとし、12週間までを評価した。なお、pH調整は試験液を88℃の状態で行った。浸漬試験後、腐食深さの測定を実施した。
[評価基準]
・×腐食深さが芯材に到達・・・腐食速度速すぎ、かつ大きなピッティング発生
・△犠牲材内の腐食深さであるがピッティングが見られる
・〇犠牲材内の腐食でピッティングも見られない
600℃×数分の熱処理したJIS5号または13号Bの試験片で引張試験を実施した。
[評価基準]
・×引張強度 140MPa未満
・〇引張強度 140MPa~144MPa
・◎引張強度 144MPa超
ろう付性を評価するために、引張試験機にて0%~10%のひずみを付与した供試材を垂直に吊るし600℃×3分の熱処理した後、溶解し流動降下した材料の断面観察を行い、芯材へのエロージョン深さ(侵食)を求めた。評価結果は表2中のろう付性評価をもとにO~×で示した。
[評価基準]
・×芯材へのエロージョン深さ 100μm超
・△芯材へのエロージョン深さ 80~100μm
・〇芯材へのエロージョン深さ 80μm未満
1a 芯材
1b 犠牲材
1c ろう材
10 組み付け体
11 ヘッダープレート
12 チューブ
13 フィン
14 サイドサポート
Claims (4)
- Mn:1.0~1.5質量%、Si:0.5~0.9質量%、Fe:0.3~0.6質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる芯材と、Zn:2.5~4.0質量%、Mn:0.7~1.3質量%、Si:0.3~0.7質量%、Fe:0.3~0.7質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなる犠牲材と、Al-Si系合金からなるろう材を備え、
ろう付前の前記芯材中に、円相当径が50~200nmの芯材中第2相粒子が分散しており、前記芯材中第2相粒子の数密度が1000000個/mm2以下であり、かつ、
ろう付前の前記犠牲材中に、円相当径が50~200nmの犠牲材中第2相粒子が分散しており、前記犠牲材中第2相粒子の数密度が320000~440000個/mm2である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 前記芯材に、更にCu:0.1~0.6質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 600℃×3分のろう付相当熱処理後の引張強度が、140MPa以上である請求項1または2に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材における、芯材と犠牲材とからなる積層材が他の部材にろう付されている熱交換器。
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