JP7598236B2 - 建築物のひずみ計測方法 - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、既設の建築物の工事において建築物の健全性の管理品質を高めることにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、既設の建築物に対して計測対象領域を複数設定し、これら複数の計測対象領域に複数本の光ファイバを取り付ける。このとき、計測対象領域の各々で発生が想定されるひずみに応じて、1つの計測対象領域に対して1本或いは2本以上の光ファイバを取り付けてもよく、2つ以上の計測対象領域に跨って1本の光ファイバを取り付けてもよい。そして、複数本の光ファイバの各々の一端を計測装置に接続し、複数の計測対象領域で発生するひずみを、計測装置によって同時に計測するものである。これにより、建築物の様々な位置で工事によるひずみの発生が想定される場合でも、計測装置によってそれらが同時に計測されるものとなるため、建築物の健全性の管理品質がより高められるものである。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、既設の建築物の少なくとも一部分をジャッキアップして、免震装置を交換する工事、或いは、免震装置を新たに設置するレトロフィット工事などで適用されるものである。そして、この工事中の、少なくとも建築物がジャッキアップされているときに、ジャッキアップにより負荷がかかり易いと想定される箇所などに設定された計測対象領域において、ひずみを計測するものである。これにより、ジャッキアップ中に建築物に発生するひずみがリアルタイムで計測されるため、建築物の全体は勿論のこと建築物の一部分をジャッキアップする場合であっても、より安全性に配慮しながら工事が行われるものとなる。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、工事の内容に応じて設定されたひずみを計測する計測対象領域が、コンクリート製の部材で構成されており、その計測対象領域に対して光ファイバを取り付ける際に、接着剤を利用して取り付けるものである。これにより、光ファイバが計測対象領域のコンクリート表面に沿って密着して取り付けられ、計測対象領域で発生するひずみなどの変化が、より正確に光ファイバに伝わるものとなるため、ひずみの検出能力が向上されるものである。更に、光ファイバを広い計測対象領域や複数の計測対象領域に取り付ける場合であっても、接着剤により取り付け作業が容易になるものである。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、コンクリート製の部材で構成された計測対象領域に光ファイバを取り付ける際に、計測対象領域のコンクリート表面に接着剤によるプリコーティングを施した後で、そこへ同じ接着剤を利用して光ファイバを取り付けるものである。これにより、計測対象領域のコンクリート表面に対する光ファイバの密着度を高めると共に、万が一コンクリートにヒビ割れなどが発生した場合に、光ファイバの断線防止を図るものである。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、計測装置により、光ファイバの一端から光ファイバに波長可変レーザを入射し、それによって光ファイバ内で起きたレイリー散乱光を検出することで、光ファイバで発生した伸縮の位置や大きさを検出するものである。すなわち、光ファイバ内のレイリー散乱光の波長分布は、各光ファイバの製造時の密度ムラや不純物によって決まるため、それを予め計測することによって、光ファイバで伸縮が発生していない通常時のレイリー散乱光の波長分布を把握する。そして、光ファイバで伸縮が発生した箇所ではレイリー散乱光の波長分布が変化するため、それを利用して、予め把握した通常時のレイリー散乱光の波長分布から、計測中にレイリー散乱光の波長分布が変化した位置及び変化の度合いを検出し、光ファイバの伸縮を検出するものである。これにより、光ファイバで発生した伸縮の検出精度、換言すれば、光ファイバを取り付けた計測対象領域で発生したひずみの検出精度が高められるため、建築物の健全性の管理品質がより一層高められるものである。
本項に記載の建築物のひずみ計測方法は、計測対象領域を構成する材料に応じて、例えば異常が発生した場合の目安となるひずみの大きさの管理値を設定し、計測装置によって計測された計測対象領域のひずみの大きさが、設定した管理値を超えるか否かを監視するものである。これにより、計測装置の計測結果が管理値を超えた場合に、その計測対象領域で異常が発生したものとして、目視での確認やその結果に応じた対策が迅速に行われるものとなるため、工事中の建築物の管理体制が強化されるものである。
本発明の実施の形態に係る建築物のひずみ計測方法は、既設の様々な建築物を対象とした工事において、それらの建築物で発生するひずみを計測するものである。図1は、そのような建築物のひずみ計測方法の手順の一例を、コンクリート造の既設の建築物を対象とした免震装置の交換工事に適用した場合を例にして示したものであり、ここでは、図1のフロー図に沿って、本発明の実施の形態に係る建築物のひずみ計測方法を説明する。しかしながら、本発明の実施の形態に係る建築物のひずみ計測方法は、図1のフロー図に限定されるものではなく、例えば、建築物の種類や工事の内容などに応じて、図1に示した工程の一部が削除、変更、ないし適宜追加されたフローであってもよいものである。
S60(光ファイバ配線及び仮止め):図2(b)に示すように、上記S30で検討した光ファイバ40の配線ルートに従って配線しながら、上記S50で施したプリコーティング52の上から、計測対象領域30にマスキングテープなどを利用して光ファイバ40を仮止めする。
S100(ジャッキアップ開始):図2に示すように、免震装置22を交換するために、既設の建築物10の上部構造体12を、ジャッキ20により徐々に上昇させてジャッキアップする。なお、図2(a)及び(b)には、ジャッキ20が1台のみ図示されているが、ジャッキ20は、建築物10に設置されている複数の免震装置22の各々の周囲などを含む、様々な位置に設置されており、それらが同時に建築物10をジャッキアップすることで、建築物10の全体或いは一部をジャッキアップするようになっている。
ここまでの工程により、本発明の実施の形態に係る建築物のひずみ計測方法の一例の手順が終了となる。
Claims (7)
- 既設の建築物を対象とした工事において、前記建築物のひずみを計測する方法であって、
前記工事の内容に応じて、前記建築物にひずみの計測対象領域を設定し、
該計測対象領域で発生が想定されるひずみの方向と平行な配線ルートが含まれるように、前記計測対象領域の表面に沿って光ファイバを配線しながら、前記光ファイバを前記計測対象領域の表面へ密着させて取り付け、
前記光ファイバの一端を計測装置に接続し、
該計測装置により、前記光ファイバの前記計測対象領域に取り付けられた範囲の伸縮を全範囲で連続的に検出し、該検出結果に基づいて、ひずみの発生位置及び大きさを計測することを特徴とする建築物のひずみ計測方法。 - 前記計測対象領域を複数設定し、複数本の前記光ファイバを複数の前記計測対象領域に取り付けると共に前記計測装置に接続して、前記計測装置により複数の前記計測対象領域を同時に計測することを特徴とする請求項1記載の建築物のひずみ計測方法。
- 前記工事が、前記建築物の少なくとも一部分をジャッキアップして免震装置を交換或いは設置する工事であり、
少なくとも前記建築物のジャッキアップ時に、前記計測対象領域のひずみを計測することを特徴とする請求項1又は2記載の建築物のひずみ計測方法。 - 前記計測対象領域がコンクリート製の部材で構成され、
前記計測対象領域に対して前記光ファイバを取り付ける際に、接着剤を利用して取り付けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の建築物のひずみ計測方法。 - 前記計測対象領域のコンクリート表面に、前記接着剤によるプリコーティングを施した後、前記接着剤を利用して前記光ファイバを取り付けることを特徴とする請求項4記載の建築物のひずみ計測方法。
- 前記計測装置により、前記光ファイバに波長可変レーザを入射し、前記光ファイバ内で起きたレイリー散乱光を検出することで、前記光ファイバの伸縮を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の建築物のひずみ計測方法。
- 前記計測対象領域を構成する材料に応じてひずみの大きさの管理値を設定し、前記計測装置によるひずみの大きさの計測結果が前記管理値を超えるか否かを監視することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の建築物のひずみ計測方法。
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