本開示がより容易に理解され得ることを保証するべく、特定の用語をまず定義する。追加の定義は、詳細な説明全体を通して記載される。
「PD-L1」という用語は、プログラム細胞死リガンド1を指す。「PD-L1」という用語は、バリアント、アイソフォーム、ホモログ、オルソログ、及びパラログを含む。例えば、ヒトPD-L1タンパク質に特異的な抗体は、場合により、サルなどのヒト以外の種由来のPD-L1タンパク質と交差反応し得る。他の実施形態において、ヒトPD-L1タンパク質に特異的な抗体は、ヒトPD-L1タンパク質に完全に特異的で、他の種に対する又は他のタイプの交差反応性を示し得ないか、又は、他のすべての種ではないが他の特定の種由来のPD-L1と交差反応し得る。
「ヒトPD-L1」という用語は、GenBankアクセッション番号AAI13735.1を有する(Strausberg R.L.et al.,(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26):16899-16903)か又は配列番号35に記載されるアミノ酸配列などの、ヒト由来のアミノ酸配列を有するPD-L1タンパク質を指す。「サルPD-L1」という用語は、NCBIアクセッション番号XP_005581836.1を有するか又は配列番号36に記載されるアミノ酸配列などの、サル由来のアミノ酸配列を有するPD-L1タンパク質を指す。「マウスPD-L1」という用語は、GenBankアクセッション番号AAH66841.1を有する(上記のStrausberg R.L.et al.,(2002))か又は配列番号37に記載されるアミノ酸配列などの、マウス由来のアミノ酸配列を有するPD-L1タンパク質を指す。
本明細書において言及される「抗体」という用語は、例えば、IgG、IgA、IgD、IgE及びIgMの全抗体、及びその任意の抗原結合断片(すなわち「抗原結合部分」)又は一本鎖を含む。全抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略記される)及び重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわち、CH1、CH2、及びCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記される)及び軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は1つのドメインCLで構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存的な領域の間に挿入されている、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に更に細分化することができる。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織又は因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介できる。
本明細書において使用される場合、抗体の「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えばPD-L1タンパク質)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1又は複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって発揮され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインから成る一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片;(iii)VH及びCH1ドメインから成るFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインから成るFv断片、(v)VHドメインから成るdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR);及び(viii)単一の可変ドメイン及び2つの定常ドメインを含有する重鎖可変領域であるナノボディが挙げられる。更に、Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え法を使用して、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成する単一タンパク質鎖(一本鎖Fv(single chain Fv:scFv)として知られる)としてこれらを作ることを可能にする合成リンカーによって結合することができる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい)。そのような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来の技法を使用して取得され、断片は、完全な抗体と同じ方式で、有用性に関してスクリーニングされる。
本明細書において使用される場合、「単離抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図される(例えば、PD-L1タンパク質と特異的に結合する単離抗体は、PD-L1タンパク質以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、ヒトPD-L1タンパク質と特異的に結合する単離抗体は、他の種由来のPD-L1タンパク質などの他の抗原に対する交差反応性を有してもよい。更に、単離抗体は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まないことがあり得る。
本明細書において使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る、天然に存在し得る変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向性がある。異なる決定基(エピトープ)に対して指向性がある異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対して指向性がある。
本明細書において使用される場合、「マウス抗体」という用語は、フレームワーク及びCDR領域の両方がマウス生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。更に、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域も、マウス生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のマウス抗体は、マウス生殖系列免疫グロブリン配列によってエンコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroのランダム又は部位特異的変異導入、又は、in vivoの体細胞変異によって導入される変異)を含み得る。しかしながら、本明細書において使用される場合、「マウス抗体」という用語は、別の哺乳類種の生殖系列に由来するCDR配列がマウスのフレームワーク配列に移植された抗体を含むことを意図していない。
「キメラ抗体」という用語は、非ヒト供給源からの遺伝物質をヒトの遺伝物質と組み合わせることによって作られる抗体を指す。又はより一般的には、キメラ抗体とは、特定の種の遺伝物質と別の種の遺伝物質とを有する抗体のことである。
本明細書において使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、ヒトにおいて天然に産生される抗体バリアントとの類似性を増加させるようにタンパク質配列が改変された、非ヒト種の抗体を指す。
「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」という語句は、本明細書において、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と交換可能に使用される。
本明細書において使用される場合、「ヒトPD-L1に特異的に結合する」抗体とは、ヒトPD-L1タンパク質(及び、場合によっては、1又は複数の非ヒト種由来のPD-L1タンパク質)に結合するが、非PD-L1タンパク質には実質的に結合しない抗体を指すことが意図される。好ましくは、抗体は、「高親和性」で、すなわち、5.0×10-8M又はそれ未満、より好ましくは1.0×10-9M又はそれ未満のKDでヒトPD-L1タンパク質に結合する。
本明細書において使用される場合、タンパク質又は細胞に「実質的に結合しない」という用語は、タンパク質又は細胞に結合しないか、又は高親和性で結合しない、すなわち、1.0×10-6M又はそれよりも大きい、より好ましくは1.0×10-5M又はそれよりも大きい、より好ましくは1.0×10-4M又はそれよりも大きい、より好ましくは1.0×10-3M又はそれよりも大きい、更により好ましくは1.0×10-2M又はそれよりも大きいKDでタンパク質又は細胞に結合することを意味する。
IgG抗体に対する「高親和性」という用語は、標的抗原に対して、1.0×10-6M又はそれ未満、より好ましくは5.0×10-8M又はそれ未満、更により好ましくは1.0×10-8M又はそれ未満、更により好ましくは5.0×10-9M又はそれ未満、更により好ましくは1.0×10-9M又はそれ未満のKDを有する抗体を指す。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプに対して変動し得る。例えば、IgMアイソタイプに対する「高親和性」結合は、10-6M又はそれ未満、より好ましくは10-7M又はそれ未満、更により好ましくは10-8M又はそれ未満のKDを有する抗体を指す。
本明細書において使用される場合、「Kassoc」又は「Ka」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すことが意図され、本明細書において使用される場合、「Kdis」又は「Kd」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことが意図される。本明細書において使用される場合、「KD」という用語は、Kaに対するKdの比(すなわち、Kd/Ka)から取得され、モル濃度(M)で表される解離定数を指すことが意図される。抗体のKD値は、本技術分野において十分に確立された方法を使用して決定され得る。抗体のKDを決定するための好ましい方法は、好ましくはBiacore(商標)システムなどのバイオセンサシステムを使用した表面プラズモン共鳴を使用することによるものである。
半数効果濃度としても知られる「EC50」という用語は、ベースライン及び指定された曝露時間後の最大値の中間の応答を誘導する抗体の濃度を指す。
「抗体依存性細胞傷害」、「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」、又は「ADCC」という用語は、抗体が結合した標的細胞を免疫系のエフェクター細胞が積極的に溶解する細胞介在性の免疫防御機構を指す。
「対象」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、及び爬虫類などの哺乳類及び非哺乳類を含むが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、及びウマなどの哺乳類が好ましい。
「アンタゴニストPD-L1抗体」又は「アンタゴニスト抗PD-L1抗体」という用語は、PD-L1に結合して、PD-L1とそのリガンド、例えばPD-1との相互作用によって誘導されるPD-L1シグナル伝達を遮断する抗PD-L1抗体を指す。アンタゴニスト抗PD-L1抗体は、T細胞活性化及びサイトカイン放出を促進して免疫を増強し得るため、例えば癌及び慢性感染症を処置するために使用することができる。
「治療有効量」という用語は、疾患又は状態(例えば癌)と関連する症状を予防又は改善する及び/又は疾患又は状態の重症度を軽減するのに十分な、本開示の抗体又はその抗原結合部分の量を意味する。治療有効量は、処置されている状態の状況に沿うものと理解され、実際の有効量は、当業者によって容易に認識される。
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションで更に詳細に説明される。
本開示の例示的な抗体又はその抗原結合部分は、アテゾリズマブなどの従来技術の抗PD-L1抗体のものと同様か又はそれよりも高い、高い結合能でヒト及びサルPD-L1タンパク質に特異的に結合する。本開示の抗体又はその抗原結合部分は、PD-L1-PD-1結合又は相互作用を遮断することができ、遮断活性は、アテゾリズマブなどの従来技術の抗PD-L1抗体のものと同等である。
より重要なことに、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、アテゾリズマブなどの従来技術の抗PD-L1抗体と比較してより高いわけではないが同等の、T細胞を活性化する能力及びin vivo抗腫瘍活性を有する。
本開示の好ましい抗体又はその抗原結合部分は、モノクローナルである。追加的に、抗体又はその抗原結合部分は、例えば、マウス、キメラ又はヒト化であり得る。
本開示の例示的な抗体又はその抗原結合部分は、以下で構造的及び化学的に特徴付けられる。それらの重鎖及び軽鎖可変領域及びCDRの配列番号を表1に要約し、一部の抗体又はその抗原結合部分は、同じ重鎖/軽鎖可変領域を共有する。
表1における重鎖可変領域CDR及び軽鎖可変領域CDRは、Kabatナンバリングシステムによって定義された。しかしながら、本技術分野において周知であるように、CDR領域は、重鎖/軽鎖可変領域配列に基づいて、Chothia、IMGT、AbM、又はContactナンバリングシステム/方法などの他のシステムによっても決定できる。
本開示の抗体は各々、重鎖定常領域、例えばIgG1定常領域、例えば配列番号33のアミノ酸配列を有するヒトIgG1定常領域、又はその機能的断片を備え得る。
本開示の抗体は各々、軽鎖定常領域、例えばカッパ軽鎖定常領域、例えば配列番号34のアミノ酸配列を有するヒトカッパ定常領域、又はその機能的断片を備え得る。
ヒトPD-L1に結合する他の抗PD-L1抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)は、本開示の抗PD-L1抗体のVH及びVL配列(又はCDR配列)と「混合及び対形成」することができる。好ましくは、VH及びVL鎖(又はそのような鎖の中のCDR)が混合及び対形成される場合、特定のVH/VLペアからのVH配列は、構造的に同様のVH配列で置き換えられる。同様に、好ましくは、特定のVH/VLペアからのVL配列は、構造的に同様のVL配列で置き換えられる。
したがって、一実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、
(a)表1における、上に列挙したアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;及び
(b)表1における、上に列挙したアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、又は別の抗PD-L1抗体のV
L
を備え、抗体はヒトPD-L1と特異的に結合する。
表1.重鎖/軽鎖可変領域及びCDRのアミノ酸配列番号
別の実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、
(a)表1における、上に列挙した重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3領域;及び
(b)表1における、上に列挙した軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3領域、又は別の抗PD-L1抗体のCDR
を備え、抗体はヒトPD-L1と特異的に結合する。
更に別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、ヒトPD-L1と結合する他の抗体のCDR、例えば、異なる抗PD-L1抗体の重鎖可変領域由来のCDR1及び/又はCDR3、及び/又は軽鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3と組み合わされた、抗PD-L1抗体の重鎖可変CDR2領域を備える。
加えて、CDR3ドメインが、CDR1及び/又はCDR2ドメインとは無関係に単独で、抗体の同種抗原に対する結合特異性を決定できること、及び、共通のCDR3配列に基づいて同じ結合特異性を有する複数の抗体を予測的に生成できることは本技術分野において周知である。例えば、Klimka et al.,British J.of Cancer 83(2):252-260(2000);Beiboer et al.,J.Mol.Biol.296:833-849(2000);Rader et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:8910-8915(1998);Barbas et al.,J.Am.Chem.Soc.116:2161-2162(1994);Barbas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:2529-2533(1995);Ditzel et al.,J.Immunol.157:739-749(1996);Berezov et al.,BIAjournal 8:Scientific Review 8(2001);Igarashi et al.,J.Biochem(Tokyo)117:452-7(1995);Bourgeois et al.,J.Virol 72:807-10(1998);Levi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:4374-8(1993);Polymenis and Stoller,J.Immunol.152:5218-5329(1994)及びXu and Davis,Immunity 13:37-45(2000)を参照されたい。米国特許第6,951,646号;同第6,914,128号;同第6,090,382号;同第6,818,216号;同第6,156,313号;同第6,827,925号;同第5,833,943号;同第5,762,905号及び同第5,760,185号もまた参照されたい。これらの参考文献の各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
したがって、別の実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、抗PD-L1抗体の重鎖可変領域のCDR2、及び抗PD-L1抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域の少なくともCDR3、又は別の抗PD-L1抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR3を備え、抗体又はその抗原結合部分は、ヒトPD-L1に特異的に結合することが可能である。これらの抗体又はその抗原結合部分は、好ましくは、(a)結合に関してPD-L1と競合する;(b)機能的特徴を保持する;(c)同じエピトープに結合する;及び/又は(d)本開示の抗PD-L1抗体と同様の結合親和性を有する。更に別の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、抗PD-L1抗体の軽鎖可変領域のCDR2、又は別の抗PD-L1抗体の軽鎖可変領域のCDR2を更に備えてもよく、抗体又はその抗原結合部分は、ヒトPD-L1に特異的に結合することが可能である。別の実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、抗PD-L1抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR1、又は別の抗PD-L1抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のCDR1を備えてもよく、抗体又はその抗原結合部分は、ヒトPD-L1に特異的に結合することが可能である。
別の実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、本開示の抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分のものと1又は複数の保存的改変の点で異なるCDR1、CDR2及びCDR3配列の重鎖及び/又は軽鎖可変領域配列を備える。本技術分野において、抗原結合を除去しない特定の保存的配列改変が行われ得ることが理解される。例えば、Brummell et al.,(1993)Biochem 32:1180-8;de Wildt et al.,(1997)Prot.Eng.10:835-41;Komissarov et al.,(1997)J.Biol.Chem.272:26864-26870;Hall et al.,(1992)J.Immunol.149:1605-12;Kelley and O'Connell(1993)Biochem.32:6862-35;Adib-Conquy et al.,(1998)Int.Immunol.10:341-6及びBeers et al.,(2000)Clin.Can.Res.6:2835-43を参照されたい。
したがって、一実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、CDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域、及び/又はCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域を備え、
(a)重鎖可変領域CDR1配列は、上の表1に列挙された配列、及び/又はその保存的改変を含む;及び/又は
(b)重鎖可変領域CDR2配列は、上の表1に列挙された配列、及び/又はその保存的改変を含む;及び/又は
(c)重鎖可変領域CDR3配列は、上の表1に列挙された配列、及びその保存的改変を含む;及び/又は
(d)軽鎖可変領域CDR1、及び/又はCDR2、及び/又はCDR3配列は、上の表1に列挙された配列;及び/又はその保存的改変を含む;及び
(e)抗体はヒトPD-L1と特異的に結合する。
本開示の抗体又はその抗原結合部分は、ヒトPD-L1に対する高親和性結合、及びPD-L1陽性細胞に対する抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力の低減又は除去などの、上に記載された機能特性のうちの1又は複数を有する。
様々な実施形態において、本開示の抗体又はその抗原結合部分は、例えば、マウス、キメラ、ヒト、又はヒト化であり得る。
本明細書において使用される場合、「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴に著しくは影響しないか、又は、それを変更しないアミノ酸改変を指すことが意図される。そのような保存的改変はアミノ酸置換、付加及び欠失を含む。部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発など、本技術分野において知られている標準的な技法によって、本開示の抗体に改変が導入され得る。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられることである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが本技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、極性無電荷側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、本開示の抗体のCDR領域における1又は複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置き換えられ得、変更された抗体は、本明細書において記載された機能的アッセイを使用して、保持された機能(すなわち、上に記載された機能)について試験され得る。
本開示の抗体は、本開示の抗PD-L1抗体のVH/VL配列のうちの1又は複数を有する抗体を、改変抗体を操作するための出発物質として使用して調製することができる。抗体は、一方又は両方の可変領域(すなわち、VH及び/又はVL)における、例えば、1又は複数のCDR領域における及び/又は1又は複数のフレームワーク領域における1又は複数の残基を改変することによって操作され得る。追加的又は代替的に、例えば抗体のエフェクター機能を変更するために、抗体は、定常領域内の残基を改変することによって操作され得る。
特定の実施形態において、抗体の可変領域を操作するために、CDR移植が使用され得る。抗体は、主に6の重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を通じて標的抗原と相互作用する。この理由から、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外部の配列より、個々の抗体間の多様性が高い。CDR配列は大半の抗体-抗原相互作用を担うため、異なる特性を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列に移植された特定の天然に存在する抗体由来のCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって、特定の天然に存在する抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmann et al.,(1998)Nature 332:323-327;Jones et al.,(1986)Nature 321:522-525;Queen et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.を参照されたい。U.S.A.86:10029-10033;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号及び同第6,180,370号もまた参照されたい。)
したがって、本開示の別の実施形態は、上に記載された本開示の配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する重鎖可変領域、及び/又は、上に記載された本開示の配列を含むCDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する軽鎖可変領域を備える単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分に関連する。これらの抗体は本開示のモノクローナル抗体のVH及びVL CDR配列を含有するが、異なるフレームワーク配列を含有し得る。
そのようなフレームワーク配列は、公共のDNAデータベース、又は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公開されている参考文献から取得できる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、「VBase」ヒト生殖系列配列データベース(インターネット上www.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseにおいて入手可能)、並びに前掲のKabat et al.,(1991);Tomlinson et al.,(1992)J.Mol.Biol.227:776-798;及びCox et al.,(1994)Eur.J.Immunol.24:827-836で見ることができ;それらの各々の内容は参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。別の例として、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列はGenbankデータベースで見ることができる。例えば、HCo7 HuMAbマウスにおいて見られる以下の重鎖生殖系列配列は、添付のGenbankアクセッション番号1-69(NG--0010109、NT--024637&BC070333)、3-33(NG--0010109&NT--024637)及び3-7(NG--0010109&NT--024637)において入手可能である。別の例として、HCo12 HuMAbマウスにおいて見られる以下の重鎖生殖系列配列は、添付のGenbankアクセッション番号1-69(NG--0010109、NT--024637&BC070333)、5-51(NG--0010109&NT--024637)、4-34(NG--0010109&NT--024637)、3-30.3(CAJ556644)&3-23(AJ406678)において入手可能である。
抗体タンパク質配列は、当業者に周知である、Gapped BLAST(上記のAltschul et al.,(1997))と呼ばれる配列類似性検索方法の1つを使用して、コンパイルされたタンパク質配列データベースと比較される。
本開示の抗体において使用される好ましいフレームワーク配列は、本開示の抗体によって使用されるフレームワーク配列と同様の構造である。VH CDR1、CDR2、及びCDR3配列は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子において見られるものと同一の配列を有するフレームワーク領域に移植され得るか(フレームワーク配列は生殖系列免疫グロブリン遺伝子に由来する)、又は、CDR配列は、生殖系列配列と比較して1又は複数の変異を含有するフレームワーク領域に移植され得る。例えば、特定の場合において、抗体の抗原結合能力を維持又は強化するために、フレームワーク領域内の残基を変異させることが有益であることが分かった(例えば、米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号及び同第6,180,370号を参照されたい)。
別のタイプの可変領域改変は、VH及び/又はVL CDR1、CDR2、及び/又はCDR3領域におけるアミノ酸残基を変異させ、これによって、目的の抗体の1又は複数の結合特性(例えば親和性)を改善することである。変異を導入するために、部位特異的変異誘発又はPCR媒介変異誘発が実行され得、抗体結合に対する影響、又は、他の目的の機能特性が、本技術分野において知られているように、in vitro又はin vivoアッセイで評価され得る。好ましくは、保存的改変(本技術分野において知られている)が導入される。変異は、アミノ酸置換、付加、又は欠失であり得るが、好ましくは置換である。更に、典型的には、CDR領域内の1、2、3、4又は5以下の残基が変更される。
したがって、別の実施形態において、本開示は、(a)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;(c)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域;(d)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(e)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;及び(f)本開示の配列、又は1、2、3、4又は5のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を有する重鎖可変領域を備える単離抗PD-L1モノクローナル抗体又はその抗原結合部分を提供する。
操作された本開示の抗体は、例えば、抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に改変が行われたものを含む。典型的には、そのようなフレームワーク改変は、抗体の免疫原性を減少させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1又は複数のフレームワーク残基を、対応する生殖系列配列に「復帰変異」させることである。より具体的には、体細胞変異を経験した抗体は、抗体の由来元である生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含有し得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体の由来元である生殖系列配列と比較することによって同定され得る。
別のタイプのフレームワーク改変は、T細胞エピトープを除去するために、フレームワーク領域内、又は、更には1又は複数のCDR領域内の1又は複数の残基を変異させ、これによって、抗体の潜在的な免疫原性を低減することを伴う。このアプローチは、「脱免疫化」とも呼ばれ、米国特許公開第20030153043号に更に詳細に記載されている。
フレームワーク又はCDR領域内で行われる改変に加えて、又は替えて、本開示の抗体は、典型的には、血中半減期、補体結合、Fc受容体結合、及び/又は、抗原依存性細胞傷害などの抗体の1又は複数の機能特性を変更するために、Fc領域内に改変を含むように操作され得る。更に、本開示の抗体は、化学的に改変され得る(例えば、1又は複数の化学的部分が抗体に結合し得る)か、又は、そのグリコシル化を変更するために改変され得、これにより、同様に抗体の1又は複数の機能特性が変更される。
一実施形態において、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数が変更されるように、例えば、増加又は減少するように改変される。このアプローチは、米国特許第5,677,425号に更に記載されている。CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の組み立てを容易にするために、又は、抗体の安定性を増加又は減少させるために変更される。
別の実施形態において、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるために、変異される。より具体的には、天然のFcヒンジドメインのスタフィロコッカスタンパク質A(SpA)結合と比べて弱いSpA結合を抗体が有するように、1又は複数のアミノ酸変異が、Fcヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン境界領域に導入される。このアプローチは、米国特許第6,165,745号に更に詳細に記載されている。
更に別の実施形態において、抗体のグリコシル化は改変される。例えば、グリコシル化された抗体が作られ得る(すなわち、抗体はグリコシル化を有しない)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるために変更され得る。そのような炭水化物改変は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1又は複数の部位を変更することによって達成され得る。例えば、1又は複数の可変領域フレームワークグリコシル化部位の除去をもたらす1又は複数のアミノ酸置換が行われ得、これによって、当該部位のグリコシル化を除去する。そのような非グリコシル化により、抗原に対する抗体の親和性が増加し得る。例えば、米国特許第5,714,350号及び同第6,350,861号を参照されたい。
追加的又は代替的に、フコシル残基の量が低減された低フコシル化抗体、又は、二分GlcNac構造を増加させた抗体など、グリコシル化のタイプが変更された抗体が作られ得る。そのような変更されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増加させることが実証された。そのような炭水化物改変は、例えば、グリコシル化機構を変更した宿主細胞において、抗体を発現させることによって達成され得る。グリコシル化機構を変更した細胞は本技術分野において記載されており、本開示の組換え抗体を発現させるための宿主細胞として使用され得、これによって、グリコシル化が変更された抗体が産生される。例えば、細胞株Ms704、Ms705、及びMs709は、Ms704、Ms705、及びMs709細胞株において発現する抗体がそれらの炭水化物にフコースを有しないように、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8(α(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ)を欠如している。Ms704、Ms705、及びMs709 FUT8-/-細胞株は、2つの置換ベクターを使用して、CHO/DG44細胞におけるFUT8遺伝子の標的化された破壊によって作製された(米国特許公開第20040110704号及びYamane-Ohnuki et al.,(2004)Biotechnol Bioeng 87:614-22を参照されたい)。別の例として、EP1,176,195は、フコシルトランスフェラーゼをエンコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞株を記載し、したがって、そのような細胞株において発現する抗体は、α-1,6結合関連酵素を低減又は除去することによって低フコシル化を示す。EP1,176,195はまた、抗体のFc領域に結合するN-アセチルグルコサミンにフコースを追加するための酵素活性が低いか又はその酵素活性を有しない細胞株、例えば、ラット骨髄腫細胞株YB2/0(ATCC CRL 1662)を記載している。PCT公開WO03/035835号は、フコースをAsn(297)連結炭水化物に結合する能力が低下したバリアントCHO細胞株のLec13細胞を記載しており、これもまた、その宿主細胞において発現する抗体の低フコシル化をもたらす(Shields et al.,(2002)J.Biol.Chem.277:26733-26740もまた参照されたい)。改変されたグリコシル化プロファイルを有する抗体はまた、PCT公開WO06/089231号に記載されているように、ニワトリの卵において産生され得る。代替的に、改変されたグリコシル化プロファイルを有する抗体は、アオウキクサなどの植物細胞において産生され得る。PCT公開WO99/54342号は、糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株を記載し、したがって、操作された細胞株において発現する抗体は、抗体のADCC活性の増加をもたらす二分GlcNac構造の増加を示す(Umana et al.,(1999)Nat.Biotech.17:176-180もまた参照されたい)。代替的に、抗体のフコース残基は、フコシダーゼ酵素を使用して切断することができ;例えば、フコシダーゼであるα-L-フコシダーゼは抗体からフコシル残基を除去する(Tarentino et al.,(1975)Biochem.14:5516-23)。
本開示によって想定される本明細書の抗体の別の改変はPEG化である。抗体は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血中)半減期を増加させるためにPEG化され得る。抗体をPEG化するために、抗体又はその断片は典型的には、1又は複数のポリエチレングリコール(PEG)基が抗体又は抗体断片に結合するようになる条件下において、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体などのPEGと反応される。好ましくは、PEG化は、反応性PEG分子(又は、類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実行される。本明細書において使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1-C10)アルコキシ又はアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドなどの、他のタンパク質を誘導体化するために使用されるPEGの任意の形態を包含することが意図される。特定の実施形態において、PEG化される抗体は、非グリコシル化抗体である。タンパク質をPEG化するための方法は本技術分野において知られ、本開示の抗体に適用され得る。例えば、EPO154316及びEP0401384を参照されたい。
本開示の抗体は、その異なるクラスを検出及び/又は区別するために様々な物理的特性によって特徴付けることができる。
例えば、抗体は、軽鎖又は重鎖可変領域のいずれかに1又は複数のグリコシル化部位を含有し得る。そのようなグリコシル化部位は、変更された抗原結合に起因して、抗体の免疫原性の増加、又は、抗体のpKの変更をもたらし得る(Marshall et al(1972)Annu Rev Biochem 41:673-702;Gala and Morrison(2004)J Immunol 172:5489-94;Wallick et al(1988)J Exp Med 168:1099-109;Spiro(2002)Glycobiology 12:43R-56R;Parekh et al(1985)Nature 316:452-7;Mimura et al.,(2000)Mol Immunol 37:697-706)。グリコシル化は、N-X-S/T配列を含有するモチーフにおいて発生することが知られている。いくつかの場合において、可変領域グリコシル化を含有しない抗PD-L1抗体を有することが好ましい。これは、可変領域においてグリコシル化モチーフを含有しない抗体を選択すること、又は、グリコシル化領域内の残基を変異させることのいずれかによって達成され得る。
好ましい実施形態において、抗体はアスパラギン異性部位を含有しない。アスパラギンの脱アミド化は、N-G又はD-G配列で発生し、ポリペプチド鎖にねじれを導入してその安定性を減少させる(イソアスパラギン酸作用)イソアスパラギン酸残基の生成をもたらし得る。
各抗体は、一般に6~9.5のpH範囲に収まる固有の等電点(pI)を有する。IgG1抗体のpIは典型的には、7~9.5のpH範囲に収まり、IgG4抗体のpIは、典型的には、6~8のpH範囲に収まる。正常範囲外のpIを有する抗体は、in vivo条件下において、いくらかのアンフォールディング及び不安定性を有し得ると考えられる。したがって、正常範囲に収まるpI値を含有する抗PD-L1抗体を有することが好ましい。これは、正常範囲におけるpIを有する抗体を選択すること、又は、荷電表面残基を変異させることのいずれかによって達成できる。
別の態様において、本開示は、本開示の抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域又はCDRをエンコードする核酸分子を提供する。核酸は、全細胞中に、細胞溶解液中に、又は、部分的に精製されたか又は実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、標準的な技法によって、他の細胞成分又は他の混入物質、例えば、他の細胞核酸又はタンパク質から精製される場合、「単離」されるか又は「実質的に純粋」になる。本開示の核酸は、例えば、DNA又はRNAであり得、イントロン配列を含有してもよく、又はしなくてもよい。好ましい実施形態において、核酸はcDNA分子である。
本開示の核酸は、標準的な分子生物学技法を使用して取得され得る。ハイブリドーマ(例えば、下で更に説明される、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから調製されたハイブリドーマ)によって発現される抗体については、ハイブリドーマによって作られる抗体の軽鎖及び重鎖をエンコードするcDNAは、標準的なPCR増幅又はcDNAクローニング技法によって取得され得る。免疫グロブリン遺伝子ライブラリから(例えば、ファージディスプレイ技法を使用して)取得される抗体については、そのような抗体をエンコードする核酸は、遺伝子ライブラリから回収され得る。
本開示の好ましい核酸分子は、PD-L1モノクローナル抗体のVH及びVL配列、又はCDRをエンコードするものを含む。VH及びVLセグメントをエンコードするDNA断片が取得されると、これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、又はscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技法によって更に処理され得る。これらの処理において、VL又はVHをエンコードするDNA断片は、抗体定常領域又はフレキシブルリンカーなどの、別のタンパク質をエンコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。この文脈において使用される場合、「作動可能に連結される」という用語は、2つのDNA断片によってエンコードされるアミノ酸配列がインフレームに留まるように、2つのDNA断片が結合されることを意味することが意図される。
VH領域をエンコードする単離DNAは、VHをエンコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、及びCH3)をエンコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長重鎖遺伝子に変換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、本技術分野において知られ、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって取得され得る。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、又はIgD定常領域であり得るが、最も好ましくは、IgG1又はIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子については、VHをエンコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをエンコードする別のDNA分子に作動可能に連結され得る。
VL領域をエンコードする単離DNAは、VLをエンコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをエンコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、完全長軽鎖遺伝子(並びにFab軽鎖遺伝子)に変換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、本技術分野において知られ、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって取得され得る。好ましい実施形態において、軽鎖定常領域は、カッパ又はラムダ定常領域であり得る。
scFv遺伝子を作製するために、VH及びVLをエンコードするDNA断片は、フレキシブルリンカーをエンコードする、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3をエンコードする別の断片に作動可能に連結され、その結果、VH及びVL配列は、VL及びVH領域がフレキシブルリンカーによって結合された連続的な一本鎖タンパク質として発現され得る(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;Huston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;McCafferty et al.,(1990)Nature 348:552-554を参照されたい)。
本開示のモノクローナル抗体(mAb)は、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495の周知の体細胞ハイブリダイゼーション(ハイブリドーマ)技法を使用して産生され得る。モノクローナル抗体を産生するための他の実施形態は、Bリンパ球のウイルス又は発癌性形質転換、及び、ファージディスプレイ技法を含む。キメラ又はヒト化抗体も本技術分野において周知である。例えば、その内容の全体が参照によって本明細書に具体的に組み込まれる、米国特許第4,816,567号;同第5,225,539号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号、及び同第6,180,370号を参照されたい。
本開示の抗体はまた、本技術分野において周知であるように、例えば、組換えDNA技法及び遺伝子トランスフェクション法の組み合わせを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマにおいて産生され得る(例えば、Morrison,S.(1985)Science 229:1202)。一実施形態において、標準的な分子生物学技法によって取得される部分的又は完全長軽鎖及び重鎖をエンコードするDNAは、1又は複数の発現ベクターに挿入される。その結果、遺伝子は、転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結される。この文脈において、「作動可能に連結される」という用語は、ベクター内の転写及び翻訳調節配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳を制御するという意図された機能を果たすように、抗体遺伝子がベクターにライゲーションされることを意味することが意図される。
「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び、抗体遺伝子の転写又は翻訳を調節する他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような制御配列は、例えば、Goeddelに記載されている(Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990))。哺乳類宿主細胞発現のための好ましい制御配列は、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルスに由来するプロモーター及び/又はエンハンサー、例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)及びポリオーマなど、哺乳類細胞において高レベルのタンパク質発現を指令するウイルスエレメントを含む。代替的に、ユビキチンプロモーター又はβグロビンプロモーターなど、非ウイルス性制御配列が使用され得る。更に、SV40初期プロモーター及びヒトT細胞白血病ウイルス1型の長鎖末端反復配列由来の配列を含有するSRαプロモーターシステム(Takebe et al.,(1988)Mol.Cell.Biol.8:466-472)などの、異なる供給源由来の配列から構成される制御エレメント。発現ベクター及び発現調節配列は、使用される発現宿主細胞に適合するように選択される。
抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子は、同じ、又は別個の発現ベクターに挿入され得る。好ましい実施形態において、可変領域を使用して、それらを、所望のアイソタイプの重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を既にエンコードしている発現ベクターに挿入することによって、任意の抗体アイソタイプの完全長抗体遺伝子を作製する。その結果、VHセグメントは、ベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、VLセグメントは、ベクター内のCLセグメントに作動可能に連結される。追加的又は代替的に、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをエンコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームに連結されるように、ベクターにクローニングされ得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド、又は、異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
抗体鎖遺伝子及び制御配列に加えて、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を制御する配列(例えば、複製起点)及び選択マーカー遺伝子など、追加の配列を保有し得る。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号;同第4,634,665号及び同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、選択マーカー遺伝子は典型的には、ベクターが導入された宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン、又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅と共に、dhfr宿主細胞において使用)及びneo遺伝子(G418選択用)が挙げられる。
軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をエンコードする発現ベクターが、標準的な技法によって宿主細胞にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な形態は、外来性DNAを原核生物又は真核生物の宿主細胞に導入するために一般に使用される幅広い様々な技法、例えば、電気穿孔法、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクションなどを包含することが意図される。本開示の抗体を原核生物又は真核生物のいずれの宿主細胞において発現させることも理論的に可能であるが、真核細胞(哺乳類宿主細胞が最も好ましい)における抗体の発現が最も好ましい。なぜなら、そのような真核細胞、特に哺乳類細胞は、原核生物の細胞よりも、適切に折り畳まれた、免疫活性抗体を組み立てて分泌する可能性が高いからである。
本開示の組換え抗体を発現させるための好ましい哺乳類宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary:CHO細胞)(例えばR.J.Kaufman and P.A.Sharp(1982)J.Mol.Biol.159:601-621に記載されているようなDHFR選択マーカーと共に使用される、Urlaub and Chasin,(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されるdhfr-CHO細胞を含む)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が挙げられる。特に、NSO骨髄腫細胞と共に使用する場合、別の好ましい発現系は、WO87/04462、WO89/01036及びEP338,841に開示されているGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をエンコードする組換え発現ベクターが哺乳類宿主細胞に導入される場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現、又は、より好ましくは、宿主細胞が成長する培養培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間にわたって宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培養培地から回収され得る。
本開示の抗体又はその抗原結合部分は、抗体薬物コンジュゲート(antibody-drug conjugate:ADC)などのイムノコンジュゲートを形成するために、治療剤にコンジュゲートされてもよい。好適な治療剤としては、細胞毒、アルキル化剤、DNA小溝結合剤、DNAインターカレーター、DNA架橋剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、核輸送阻害剤、プロテアソーム阻害薬、トポイソメラーゼI又はII阻害剤、熱ショックタンパク質阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗生物質及び有糸分裂阻害剤が挙げられる。ADCにおいて、抗体及び治療剤は、好ましくは、ペプチジルリンカー、ジスルフィドリンカー、又はヒドラゾンリンカーなどの切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされる。より好ましくは、リンカーは、Val-Cit、Ala-Val、Val-Ala-Val、Lys-Lys、Ala-Asn-Val、Val-Leu-Lys、Ala-Ala-Asn、Cit-Cit、Val-Lys、Lys、Cit、Ser、又はGluなどのペプチジルリンカーである。ADCは、米国特許第7,087,600号;同第6,989,452号;及び同第7,129,261号;PCT公開WO02/096910号;同第WO07/038,658号;同第WO07/051,081号;同第WO07/059,404号;同第WO08/083,312号;及び同第WO08/103,693号;米国特許公開第20060024317号;同第20060004081号;及び同第20060247295号に記載されているように調製することができ;これらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
別の態様において、本開示は、少なくとも2つの異なる結合部位又は標的分子に結合する二重特異性分子を生成する、少なくとも1つの他の機能分子、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えば、別の抗体又は受容体に対するリガンド)に連結されている本開示の抗体又はその抗原結合部分を備える二重特異性分子を特徴とする。したがって、本明細書において使用される場合、「二重特異性分子」は、3又はそれよりも多い特異性を有する分子を含む。
二重特異性分子には多くの異なるフォーマット及びサイズがあり得る。サイズの範囲の一端では、二重特異性分子は、同一の特異性の2つの結合アームを有する代わりに、異なる特異性を各々が有する2つの結合アームを有することを除いて、従来の抗体フォーマットを保持する。他端は、ペプチド鎖によって連結された2つの一本鎖抗体断片(scFv)から成る二重特異性分子、いわゆるBs(scFv)2コンストラクトである。中間サイズの二重特異性分子は、ペプチジルリンカーによって連結された2つの異なるF(ab)断片を含む。これらの及び他のフォーマットの二重特異性分子は、遺伝子操作、体細胞ハイブリダイゼーション、又は化学的方法によって調製され得る。例えば、前掲のKufer et al;Cao and Suresh,Bioconjugate Chemistry,9(6),635-644(1998);及びvan Spriel et al.,Immunology Today,21(8),391-397(2000)、及びそこに引用された参考文献を参照されたい。
本開示は、本開示の重鎖及び軽鎖可変領域及び/又はCDRを有する抗PD-L1一本鎖可変断片(scFv)を備えるキメラ抗原受容体を提供する。
キメラ抗原受容体は、(a)抗PD-L1 scFvを含有する細胞外抗原認識ドメイン、(b)膜貫通ドメイン、及び(c)細胞内シグナル伝達ドメインを備え得る。
腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞に優先的に感染し、それを死滅させる。本開示の抗体又はその抗原結合部分は、腫瘍溶解性ウイルスと併せて使用され得る。代替的に、本開示の抗体又はその抗原結合部分をエンコードする腫瘍溶解性ウイルスは、ヒトの体内に導入され得る。
別の態様において、本開示は、薬学的に許容される担体と共に製剤化された、本開示の抗体又はその抗原結合部分、イムノコンジュゲート、二重特異性分子、キメラ抗原受容体を保有する免疫細胞、腫瘍溶解性ウイルス、核酸分子、発現ベクター、及び/又は宿主細胞を備える医薬組成物を提供する。組成物は、任意選択で、抗腫瘍剤、抗感染症剤、又は免疫増強のための薬剤などの1又は複数の追加の薬学的に活性な成分を含有してもよい。本開示の医薬組成物は、併用療法において、例えば抗腫瘍剤、抗感染症剤、又は免疫増強のための薬剤と共に投与されてもよい。
医薬組成物は、任意の数の賦形剤を備えてもよい。使用できる賦形剤としては、担体、表面活性剤、増粘又は乳化剤、固体結合剤、分散又は懸濁助剤、可溶化剤、着色剤、着香剤、コーティング、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、保存剤、等張剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適な賦形剤の選択及び使用は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれるGennaro,ed.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.(Lippincott Williams&Wilkins 2003)に教示されている。
医薬組成物は、好ましくは(例えば注射又は注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与に好適である。投与経路に応じて、活性成分を材料でコーティングして、酸の作用及びそれを不活性化し得る他の天然の条件から保護することができる。本明細書において使用される場合、「非経口投与」という語句は、通常は注射による、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。代替的に、本開示の抗体は、局所、表皮又は粘膜の投与経路などの非経口ではない経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下又は局所により投与することができる。
医薬組成物は、滅菌水溶液又は分散剤の形態であり得る。医薬組成物は、マイクロエマルション、リポソーム、又は高い薬物濃度に好適な他の秩序構造に製剤化することもできる。
単回投与形態を生成するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される対象及び特定の投与様式に応じて変動し得、一般に、治療効果を生じさせる組成物の量であり得る。一般に、この量は、100パーセントのうち、約0.01%~約99%の、薬学的に許容される担体と組み合わされる活性成分の範囲であり得る。
最適な所望の反応(例えば治療反応)を提供するように投与計画が調整される。例えば、単回ボーラスを投与する場合も、いくつかの分割された用量を経時的に投与する場合も、又は、治療状況の緊急事態による指示に応じて用量を比例的に低減又は増加させる場合もある。投与を容易にするために、及び、投与量を統一するために、単位用量形態で非経口組成物を製剤化することは特に有利である。本明細書において使用される場合、単位用量形態とは、処置される対象のための単位投与量として好適な物理的に別々の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体と組み合わせて所望の治療効果を生じさせるために算出された活性成分の予め定められた量を含有する。抗体は代替的に、徐放性製剤として投与できる。この場合、必要な投与頻度は少なくなる。
抗体又はその抗原結合部分の投与に関して、投与量は、約0.0001~100mg/kg体重の範囲であり得る。例示的な治療計画は、週に1回の投与を伴う。本開示の抗PD-L1抗体に好ましい投与計画は、静脈内投与を含む。
本開示の抗PD-L1抗体の「治療有効投与量」は好ましくは、疾患症状の重症度の低下、疾患症状がない期間の頻度及び長さの増加、又は疾患の罹患に起因する機能障害又は能力障害の予防をもたらし得る。例えば、担癌の対象を処置する場合、「治療有効投与量」は好ましくは、未処置の対象と比べて、腫瘍成長を少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、更により好ましくは少なくとも約60%、なお更に好ましくは少なくとも約80%阻害する。治療抗体の治療有効量は、腫瘍サイズを低減できるか、又は、そうでなければ、典型的にはヒトであるか、又は別の哺乳類であり得る対象における症状を改善できる。
医薬組成物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達システムを含む、放出制御製剤であり得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性かつ生体適合性のポリマーを使用できる。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。
治療用組成物は、(1)無針皮下注射装置(例えば、米国特許第5,399,163号;同第5,383,851号;同第5,312,335号;同第5,064,413号;同第4,941,880号;同第4,790,824号;及び同第4,596,556号);(2)マイクロ注入ポンプ(米国特許第4,487,603号);(3)経皮装置(米国特許第4,486,194号);(4)注入機器(米国特許第4,447,233号及び同第4,447,224号);及び(5)浸透圧装置(米国特許第4,439,196号及び同第4,475,196号)などの医療装置を介して投与され得;これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、本開示のモノクローナル抗体は、in vivoにおける適切な分布を確実にするように製剤化され得る。例えば、本開示の治療抗体が血液脳関門を越えることを確実にするために、それらは、特定の細胞又は臓器への選択的輸送を強化する標的化部分を追加的に含み得るリポソームにおいて製剤化され得る。例えば、米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;同第5,416,016号;及び同第5,399,331号;V.V.Ranade(1989)J.Clin.Pharmacol.29:685;Umezawa et al.,(1988)Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038;Bloeman et al.,(1995)FEBS Lett.357:140;M.Owais et al.,(1995)Antimicrob.Agents Chemother.39:180;Briscoe et al.,(1995)Am.J.Physiol.1233:134;Schreier et al.,(1994)J.Biol.Chem.269:9090;Keinanen and Laukkanen(1994)FEBS Lett.346:123;及びKillion and Fidler(1994)Immunomethods 4:273を参照されたい。
本開示の医薬組成物は、例えば、癌及び感染性疾患の処置及び/又は予防を伴う、多数のin vitro及びin vivo有用性を有する。本開示の医薬組成物は、腫瘍成長を阻害するか又は病原体を減少又は除去するためにヒト対象に投与され得る。
本開示の抗PD-L1抗体の、癌細胞の増殖及び生存を阻害する能力を考慮すると、本開示は、対象における腫瘍細胞の成長を阻害するための方法であって、対象に、対象において腫瘍の成長を阻害するような本開示の医薬組成物を投与する段階を備える、方法を提供する。本開示の抗体によって処置され得る腫瘍の非限定的な例としては、原発性及び/又は転移性の黒色腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌腫、ホジキンリンパ腫、膀胱癌、頭頸部癌、神経内分泌腫瘍、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。追加的に、難治性又は再発性悪性腫瘍は、本開示の医薬組成物を使用して阻害され得る。
別の態様において、本開示の医薬組成物は病原体を減少又は除去し得るため、本開示は、感染性疾患の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、本開示の医薬組成物を投与する段階を備える、方法を提供する。感染性疾患は、ウイルス、細菌、真菌、又はマイコプラズマ感染症によって引き起こされ得る。前記感染性疾患は、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、又はサル免疫不全ウイルス(SIV)感染症であり得る。
別の態様において、本開示は、本開示の医薬組成物が、対象における腫瘍成長を阻害するのに効果的な1又は複数の追加の抗体又は非抗体剤と同時投与される併用療法の方法を提供する。一実施形態において、本開示は、対象における腫瘍成長を阻害するための方法であって、対象に、本開示の医薬組成物を、抗VISTA抗体、抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体及び/又は抗CTLA-4抗体などの1又は複数の追加の抗体と共に投与する段階を備える、方法を提供する。本開示の医薬組成物は、細胞に毒性である化学療法剤と組み合わせて使用されてもよい。抗PD-L1抗体と組み合わせることができる他の療法としては、インターロイキン-2(IL-2)投与、放射線照射、外科的処置、又はホルモン除去が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、対象はヒトである。
本開示の医薬組成物は、ウイルス、細菌、真菌、又はマイコプラズマなどの対象における病原体を効果的に減少又は除去するために、1又は複数の他の抗体又は非抗体剤と組み合わせて使用されてもよい。例えば、本開示の医薬組成物は、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、及び抗マイコプラズマ剤を含むがこれらに限定されない抗感染症剤と共に使用されてもよい。
本明細書において説明される治療剤の組み合わせは、薬学的に許容される担体における単一の組成物として同時に投与され得るか、又は、薬学的に許容される担体における各薬剤と共に別個の組成物として同時に投与され得る。別の実施形態において、治療剤の組み合わせは、順次に投与され得る。
更に、併用療法の1より多くの用量が順次に投与される場合、順次投与の順序は、投与の各時点において、逆になり得るか、又は、同じ順序に維持され得、順次投与は、同時投与、又は、それらの任意の組み合わせと組み合わされ得る。
本開示は以下の実施例において更に示されるが、これは、更なる限定として解釈されるべきでない。本出願全体において引用される、すべての図面及びすべての参考文献、Genbank配列、特許及び公開特許出願の内容は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
[実施例]
[実施例1.ヒト、サル又はマウスPD-L1を安定的に発現するHEK293A細胞株の構築]
ヒト、サル又はマウスPD-L1を安定的に過剰発現する細胞株を、HEK293A細胞(Cobioer、NJ、China)を使用して構築した。簡潔に説明すると、ヒト、サル及びマウスPD-L1タンパク質それぞれをエンコードするcDNA配列(それぞれ、配列番号35、36及び37に記載のアミノ酸配列)を合成し、次にpLV-EGFP(2A)-Puroベクターにサブクローニングした。Lipofectamine 3000キット(Thermo Fisher Scientific、US)における指示書に従ったpLV-EGFP(2A)-Puro-PD-L1、psPAX及びpMD2.Gプラスミドの共トランスフェクションによって、HEK-293T細胞(Cobioer、NJ、China)においてレンチウイルスを生成した。共トランスフェクションの3日後、レンチウイルスを細胞培養培地(10%FBS(カタログ番号:FND500、Excell)を含有するDMEM培地(カタログ番号:SH30022.01、Gibco))から回収した。最終的に、HEK293A細胞にレンチウイルスを感染させて、ヒト、サル及びマウスPD-L1それぞれを安定的に発現するHEK293A細胞株、すなわちHEK293A/ヒトPD-L1細胞、HEK293A/サルPD-L1細胞及びHEK293A/マウスPD-L1細胞を生成した。次に、トランスフェクトしたHEK293A細胞を、0.2μg/mlピューロマイシン(カタログ番号:A11138-03、Gibco)を含有する培地(DMEM+10%FBS)中で7日間培養した。ヒトPD-L1及びカニクイザルPD-L1の発現を、市販の抗PD-L1抗体(PE抗ヒトPD-L1抗体、カタログ番号:393607、Biolegend、US)を使用するFACSによって確認した。同様に、マウスPD-L1の発現を、市販の抗マウスPD-L1抗体(PE抗マウスPD-L1抗体、カタログ番号:124307、Biolegend、US)を使用するFACSによって確認した。
[実施例2.ヒトPD-L1に対するモノクローナルマウス抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の生成]
マウス抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体(mAb)を、以下のように、いくらかの変更を加えた従来のハイブリドーマ融合技術を使用して生成した。
[免疫化]
10匹のBALB/cマウス(Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd、Beijing、China)に組換えヒトPD-L1(ECD)-hFc(カタログ番号:10084-H02H、Sino Biological、CN)及び組換えカニクイザルPD-L1(ECD)-hFc(カタログ番号:90251-C02H、Sino Biological、CN)を、以下の表2のスキームに従って注射した。ヒトPD-L1(ECD)-hFc及びカニクイザルPD-L1(ECD)-hFcは、等容量の完全フロイントアジュバント(カタログ番号:F5881-10*10ML、SIGMA、US)、不完全フロイントアジュバント(カタログ番号:F5506-6*10ML、SIGMA、US)、又はPBSを用いて、超音波処理によって乳化した。
表2.免疫化スキーム
各追加免疫の1週間後、組換えヒトPD-L1(ECD)-his(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)及びカニクイザルPD-L1(ECD)-hFc(カタログ番号:90251-C02H、Sino Biological、CN)を使用するELISAによる力価測定のために、各マウスから50μlのマウス血清を採取した。力価測定は、実施例1において調製した、ヒトPD-L1、カニクイザルPD-L1及びマウスPD-L1それぞれを過剰発現するHEK293A細胞を使用するFACSによっても行った。
最終追加免疫後のELISA及びFACSの結果に基づいて、10匹のマウスすべてをハイブリドーマ細胞株生成のために使用した。
[ハイブリドーマ細胞株の生成]
ハイブリドーマ細胞株を、以下のように、わずかな変更を加えた従来のハイブリドーマ融合技術を使用して生成した。
最終追加免疫の4日後、マウスを屠殺し、脾臓を採取して、PBSにおいて単一細胞懸濁液として調製した。脾細胞をDMEM培地(カタログ番号:SH30243.01B、Hyclone、US)で3回洗浄した。対数期の生存骨髄腫細胞SP2/0(CRL-1581、ATCC、US)をマウス脾細胞と1:4の比で混合した。次に、細胞を2回洗浄し、その後PEG(カタログ番号:P7181、Sigma、US)を用いて細胞融合を実行した。融合後の細胞をDMEM培地で3回洗浄し、10%FBS及び1X HAT(カタログ番号:H0262、Sigma)を補充した細胞成長培地(RPMI培地1640(カタログ番号:C22400500CP、Gibco))に懸濁した。細胞懸濁液を96ウェル細胞培養プレートに、1ウェル当たり200μl(約5×104個の細胞を含有)でプレーティングし、37℃の湿潤5%CO2インキュベーターにおいて7日間インキュベートした。次に、成長培地を、10%FBS及び1X HATを補充した新鮮なものと交換した。2~3日後、ELISA及びFACSによるハイブリドーマ細胞スクリーニングのために細胞培養上清を採取した。
[ELISAによるハイブリドーマ細胞株のスクリーニング]
ヒトPD-L1に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンをスクリーニングするために、ヒトPD-L1(ECD)-his(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)を使用してハイスループットELISA結合アッセイを実行した。ヒトPD-L1に結合する抗体を産生したハイブリドーマクローンを、カニクイザルPD-L1(ECD)-hFc(カタログ番号:90251-C02H、Sino Biological、CN)を使用して、カニクイザルPD-L1と交差反応する能力について更に試験した。
ELISAアッセイにより、249のハイブリドーマクローンが、ヒトPD-L1及びサルPD-L1の両方に対して特異的結合を有すると同定された。
[FACSによるハイブリドーマ細胞株のスクリーニング]
249のハイブリドーマクローンを、実施例1において調製した、HEK293A/ヒトPD-L1細胞、HEK293A/サルPD-L1細胞及びHEK293A/マウスPD-L1細胞を使用して、HEK293A細胞に発現するヒト、カニクイザル及びマウスPD-L1に対する結合能について更に試験した。
FACSスクリーニングに基づいて、HEK293A/ヒトPD-L1細胞及びHEK293A/サルPD-L1細胞の両方に対して高い結合能を示した88の陽性クローンが取得された。
[抗PD-L1抗体を産生するハイブリドーマクローンのサブクローニング]
88のハイブリドーマクローンを2回のサブクローニングに供した。サブクローニング中、各親クローンからの複数のサブクローン(n>3)を選択し、上に記載のELISA及びFACSアッセイによって試験した。このプロセスを通じて選択されたサブクローンを、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞として定義した。最終的に、ヒトPD-L1及びサルPD-L1の両方に対して高い結合能を有する79のサブクローン(各親クローンから1つのサブクローン)が取得された。
[実施例3.マウス抗PD-L1モノクローナル抗体の精製]
実施例2において取得された79のクローンから、ヒト及びサルPD-L1に対して比較的高い結合能を有する10のクローンを更に特徴付けた。初めに、10のクローンからのモノクローナルマウス抗体を精製した。簡潔に説明すると、各サブクローンのハイブリドーマ細胞を、1%HT補充物質(カタログ番号:11067-030、Gibco)を含有する100mlの新鮮無血清培地(カタログ番号:12045-076、Gibco、US)を各々有するT175細胞培養フラスコにおいて成長させた。5%CO2、37℃のインキュベーターに細胞培養液を10日間置いた。細胞培養液を採取し、5分間3500rpmの遠心分離に供し、その後、0.22μmカプセルを使用して濾過して細胞残屑を除去した。次に、モノクローナル抗体を、予め平衡化したプロテインAアフィニティーカラム(カタログ番号:17040501、GE、US)を使用して精製し、溶出緩衝液(20mMクエン酸、pH3.0~pH3.5)で溶出した。次に、抗体をPBS緩衝液(pH7.0)で維持し、NanoDrop装置を使用して、その濃度を決定した。
各精製抗体のアイソタイプを、カッパ及びラムダ-マウスを有する迅速アイソタイピングキット(カタログ番号:26179、Thermal、US)及びマウスモノクローナル抗体アイソタイピング試薬(カタログ番号:IS02-1KT、Sigma、US)を製造元のマニュアルに従って使用することによって決定した。
3C2及び56E5を含む大半のクローンはIgG1/カッパ抗体を産生したが、残りのものはIgG2a/カッパ又はIgG2b/カッパ抗体を産生した。クローン3C2及び56E5の発現力価は、それぞれ6.3mg/L及び7.8mg/Lであった。
[実施例4.マウス抗PD-L1モノクローナル抗体はHEK293A細胞に発現するヒト及びサルPD-L1に結合した]
抗PD-L1抗体がHEK293A細胞に発現するヒト、サル又はマウスPD-L1に結合するか否かを決定するために、細胞ベースの結合アッセイを、実施例1において生成した、ヒト、サル及びマウスPD-L1それぞれを安定的に過剰発現するHEK293A細胞を使用するFACSによって実行した。簡潔に説明すると、100μlの培養培地中105個のHEK293A細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、そこに50μlの段階希釈した抗PD-L1抗体を添加した。4℃で1時間インキュベートした後に、プレートをPBSTで3回洗浄した。次に、500倍に希釈したAPC結合ヤギ抗マウスIgG(カタログ番号:405308、BioLegend、US)をプレートに添加した。4℃での1時間のインキュベーションの後に、プレートをPBSで3回洗浄し、次に、FACSマシン(BD)を使用して細胞蛍光をモニタリングした。
すべてのマウス抗PD-L1モノクローナル抗体は、ヒトPD-L1及びサルPD-L1の両方に対しては高い結合能を示したが、マウスPD-L1とは結合しなかった。代表的な抗体のEC
50値を以下の表3に要約した。
表3.マウス抗PD-L1抗体のヒト、サル及びマウスPD-L1に対する結合能
[実施例5.エピトープビニング]
エピトープビニングのために、競合ELISAアッセイを実行した。簡潔に説明すると、96ウェルプレートを、1ウェル当たり100μlの0.5μg/mlヒトPD-L1(ECD)-His(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)を用いて、4℃で一晩コーティングした。200μlのブロッキング緩衝液(1%BSA、1%ヤギ血清及び0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBS)を用いて、ウェルを室温で2時間ブロッキングした。WO2020226986に開示されているアミノ酸配列をヒトIgG1(N297A)/カッパ定常領域と共に使用して調製したアテゾリズマブ、WO2013079174A1に開示されているアミノ酸配列をヒトIgG1/カッパ定常領域と共に使用して調製したアベルマブ、US20190276543A1に開示されているアミノ酸配列をヒトIgG1(L234F、L235E、P331S)/カッパ定常領域と共に使用して調製したデュルバルマブ、及び抗Hel抗体(カタログ番号:LT12031、LifeTein、US)をそれぞれ5μg/mlに希釈し、1ウェル当たり100μlをプレートに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートし、PBSTで3回洗浄し、本開示の1μg/ml抗体100μlを添加し、室温で1時間インキュベートした。ELISAプレートをPBSTで3回洗浄し、1:20000に希釈した抗マウスFc-HRP(カタログ番号:A9309-1MC、Sigma、US)を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBSTによって3回洗浄し、新たに調製したUltra-TMB(カタログ番号:TMB-S-003、Huzhou Yingchuang、CN)を用いて、室温で5分間発色させた。450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Thermo Multiscan FC)において測定した。
クローン3C2からのものを含む9つのマウス抗体は、エピトープ結合に関してアテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブと競合せず、それらが参照抗体と比較して異なるエピトープに結合したことを示した。クローン56E5からの抗体は、エピトープ結合に関して3つの参照抗体すべてと競合し、56E5抗体が、参照が結合したのと同じか又は同様のエピトープに結合したことを示した。
[実施例6.マウス抗PD-L1抗体はPD-1-PD-L1相互作用を阻害した]
報告されているように、PD-1はPD-L1の受容体である。PD-1-PD-L1相互作用に対する抗体の遮断能を測定するために、細胞ベースの遮断アッセイを、実施例1において生成した、ヒトPD-L1を安定的に過剰発現するHEK293A細胞を使用するFACSによって実行した。簡潔に説明すると、100μlの培養培地中105個のHEK293A/ヒトPD-L1細胞を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、そこに50μlの段階希釈した抗PD-L1抗体を添加した。4℃で1時間インキュベートした後に、プレートをPBSTで3回洗浄した。次に、200μg/mlのPD1-hFcタンパク質(カタログ番号:10377-H02H、Sino Biological、CN)を1ウェル当たり100μlでプレートに添加した。4℃での1時間のインキュベーションの後に、プレートをPBSTで3回洗浄し、500倍に希釈したPE結合ヤギ抗ヒトIgG(カタログ番号:PAI-86078、Thermofisher、US)を添加した。4℃での1時間のインキュベーションの後に、プレートをPBSTで3回洗浄し、次に、FACSマシン(BD)を使用して細胞蛍光をモニタリングした。
データは、2つの抗体のみがPD-L1-PD-1相互作用を遮断できず、3C2及び56E5を含む残りの8つがPD-L1-PD-1相互作用を遮断したことを示した。代表的な抗体のEC
50値を以下の表4に要約した。
表4.PD-L1-PD-1相互作用に対するマウス抗PD-L1抗体の遮断能
[実施例7.マウス抗PDL1抗体はT細胞活性化を促進した]
マウス抗PDL1抗体のAPC媒介T細胞活性化に対する効果を、混合リンパ球反応(mixed lymphocyte reaction:MLR)アッセイにおいて研究した。
簡潔に説明すると、PBMCを1名の健康なヒトドナーの血液試料から密度勾配遠心分離によって採取し、次にRPMI1640培地に再懸濁した。PBMCを37℃のインキュベーターで2時間培養し、容器の壁に付着した細胞を単離単球として採取した。単球を、10%FBS、100ng/ml組換えヒトGM-CSF(カタログ番号:7954-GM、R&D、US)及び100ng/ml組換えヒトIL-4(カタログ番号:6507-IL、R&D、US)を補充したRPMI1640培地において培養した。3日後、培地の半分を新鮮なものと交換した。培養6日目に、培養培地を、100ng/ml組換えヒトGM-CSF、100ng/ml組換えヒトIL-4、10ng/ml rhTNF-α(カタログ番号:210-TA-100、R&D、US)、1000U/ml rhIL-6(カタログ番号:7270-IL-025、R&D、US)、1μg/ml PGE2(カタログ番号:363-24-6、TOCRIS、US)及び10ng/ml IL-1β(カタログ番号:210-LB-025、R&D、US)を含有する新鮮培地と交換した。細胞を更に2日間培養した。次に、別の健康なヒトドナーの血液試料からPBMCを密度勾配遠心分離によって採取し、次にRPMI1640培地に再懸濁した。Invitrogen Dynabeads UntouchedヒトCD4+T細胞単離キット(カタログ番号:11346D、Thermal Fisher Scientific、US)を製造元の指示に従って使用して、CD4+T細胞をPBMCから単離した。第1のドナーからの樹状細胞及び第2のドナーからのCD4+T細胞を、96ウェルU底プレートに、1ウェル当たり合計150μlの培養培地中、それぞれ2.5×104細胞/ウェル及び5×104細胞/ウェルで播種した。プレートに50μlの抗PD-L1抗体(0.1~10μg/ml)又は抗Hel対照(カタログ番号:LT12031、LifeTein、US)を添加し、更に72時間インキュベートした。IFN-γ濃度をELISAキット(カタログ番号:SIF50、R&D、US)によって、製造元のプロトコルに従って決定した。アッセイを3連で行った。
図1の(A)に示すように、最も高いIFN-γレベルは、3C2及び56E5抗体を用いて処理したウェルにおいて検出された。これらの抗体は、抗Helアイソタイプ対照と比較して、T細胞によるIFN-γ分泌を用量依存的に増加させた(図1の(B))。
[実施例8.キメラ抗PD-L1抗体の発現及び精製]
3C2及び56E5抗体を更に研究した。この2つの抗体の重鎖/軽鎖可変領域配列を、文献(Juste et al.,(2006),Anal Biochem.349(1):159-61)に記載されているように、1組のプライマーを用いる標準的なPCR法を使用してハイブリドーマ細胞からクローニングして、配列決定した。配列を表1及び表8に要約した。可変領域配列とヒトIgG1(N297A)/カッパ定常領域配列(それぞれ配列番号33及び34に記載の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域のアミノ酸配列)とをエンコードする配列をpCDNA3.1(Invitrogen、Carlsbad、US)のXhoI/BamHI制限部位に挿入することによって、発現ベクターを構築した。
発現ベクターをHEK-293F細胞(Cobioer、NJ、CN)にPEIトランスフェクトした。具体的には、HEK-293F細胞をFree Style(商標)293発現培地(カタログ番号:12338-018、Gibco)において培養し、1:3のDNA:PEI比のポリエチレンイミン(polyethyleneimine:PEI)、細胞培地1ミリリットル当たり1.5μgのDNAを使用して発現ベクターをトランスフェクトした。トランスフェクトしたHEK-293F細胞を、120RPMで振とうしながら、5%CO2下で、37℃でインキュベーターにおいて培養した。10~12日後、上清を回収し、モノクローナル抗体を実施例3に記載したように精製した。
[実施例9.キメラ抗PD-L1モノクローナル抗体はヒト及びサルPD-L1に結合した]
キメラ抗PD-L1抗体を、ヒトPD-L1、サルPD-L1、及びマウスPD-L1に結合する能力について更に特徴付けた。簡潔に説明すると、ELISAプレートを、1ウェル当たり100μlの500ng/mlヒトPD-L1(ECD)-his(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)を用いて、4℃で一晩コーティングした。200μlのブロッキング緩衝液(1%BSA、1%ヤギ血清及び0.05%Tween(登録商標)20を含有するPBS)を用いて、ウェルを室温で2時間ブロッキングし、100μlの段階希釈した抗PD-L1抗体(40μg/mlから出発)を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBST(PBS+0.05%Tween(登録商標)20)で3回洗浄し、5000倍に希釈したヤギ抗ヒトIgG-HRP(カタログ番号:31410、Thermal、US)を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを、新たに調製したUltra-TMB(カタログ番号:555214、BD、US)を用いて、室温で5分間発色させた。450nmの吸光度をSpectraMax(登録商標)i3Xリーダー(Molecular Devices、US)において読み取った。
抗PD-L1 mAbのサル又はマウスPD-L1に対する種交差反応性を、直接ELISAによって更に評価した。簡潔に説明すると、96ウェルELISAプレートを、1ウェル当たり100μlの500ng/mlサルPD-L1(ECD)-his(カタログ番号:90251-C08H、Sino Biological、CN)又はマウスPD-L1(ECD)-his(カタログ番号:50010-M08H、Sino Biological、CN)を用いてコーティングし、次に100μlの段階希釈した抗PD-L1抗体(40μg/mlから出発)を添加し、インキュベートした。次に、プレートにHRPとコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(カタログ番号:31410、Thermal、US)を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを、新たに調製したUltra-TMB(カタログ番号:555214、BD、US)を用いて、室温で5分間発色させ、450nmの吸光度をSpectraMax(登録商標)i3Xリーダー(Molecular Devices、US)において読み取った。アテゾリズマブを参照抗体として使用した。
結合能試験における代表的な抗体のEC
50値を表5に要約した。データは、すべてのキメラ抗体がヒト及びサルPD-L1に対しては高い結合能を有したが、マウスPD-L1とは結合しなかったことを示した。キメラ3C2及び56E5抗体の結合能は、それらの親抗体のものと同等であり、アテゾリズマブのものよりも高かった。
表5.キメラ抗PDL1 mAbのヒト、サル及びマウスPD-L1に対する結合能
抗体を、実施例4のプロトコルに従って、実施例1において生成した、HEK293A/ヒトPD-L1細胞、HEK293A/サルPD-L1細胞及びHEK293A/マウスPD-L1細胞に対する結合能についても試験した。試験結果を図2に示した。
図2に示すように、キメラ抗体は、ヒトPD-L1(図2の(A))及びサルPD-L1(図2の(B))の両方に対しては高い結合能を有したが、マウスPD-L1(図2の(C))には結合しなかった。
[実施例10.キメラ抗PD-L1モノクローナル抗体はPD-L1-PD-1相互作用を阻害した]
キメラ抗PD-L1抗体を、実施例6のプロトコルに従って、実施例1において生成したHEK293A/ヒトPD-L1細胞を使用して、PD-1-PD-L1相互作用に対する遮断能力について更に特徴付けた。試験結果を図3に示した。
図3に基づくと、キメラ抗体はPD1-PD-L1相互作用を明らかに遮断し、キメラ56E5が最も良好な遮断効果を示し、これはアテゾリズマブのものよりも良好であった。
[実施例11.キメラ抗PD-L1モノクローナル抗体はT細胞活性化を促進した]
これらのキメラ抗体を、実施例7のプロトコルに従って、T細胞機能アッセイにおいて、T細胞応答を刺激する能力について更に試験した。市販のキット(カタログ番号:STA00C、R&D、US)を製造元の指示に従って使用して、IFN-γレベルを決定した。
図4に示すように、試験したすべてのキメラ抗体はT細胞活性を促進し、IFN-γ分泌を増加させた。キメラ56E5抗体は、低用量、例えば0.01μg/mLにおいて、T細胞活性化に関してアテゾリズマブよりも強力であった。キメラ3C2抗体のT細胞活性化における能力は、すべての試験用量においてアテゾリズマブよりも高かった。
[実施例12.抗PD-L1抗体のヒト化]
上のアッセイに基づいて、3C2及び56E5をヒト化し、更に検討した。マウス抗体のヒト化は、以下に詳細に記載されるような、十分に確立されたCDR移植方法(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,225,539号)を使用して実行した。
マウス抗体3C2及び56E5のヒト化のためのアクセプターフレームワークを選択するために、3C2及び56E5の軽鎖及び重鎖可変領域配列を、NCBIウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)において、ヒト免疫グロブリン遺伝子データベースに対してBLAST検索した。3C2及び56E5に対する相同性が最も高いヒト生殖系列IGVH及びIGVKをヒト化のためのアクセプターとして選択した。3C2について、選択したヒト重鎖アクセプターはIGHV1-46*01であり、選択したヒト軽鎖アクセプターはIGKV1-33*01であった。56E5について、選択したヒト重鎖アクセプターはIGHV4-31*02であり、選択したヒト軽鎖アクセプターはIGKV4-1*01であった。
CDRループ構造の支持において重要な役割を果たし得る重要なフレームワーク残基を同定し、したがってヒト化抗体における復帰変異を設計するために、3C2及び56E5の可変ドメインについて3次元構造をシミュレートした。
上に記載した構造モデリングに基づいて、3C2の重鎖について10の潜在的な復帰変異(M48I、M70L、R72V、R87T、R38K、A40R、T28S、Y95F、R67K、V68A)、及び軽鎖について7の復帰変異(K45R、Y49S、F71Y、T22S、K42N、T85V、F73L)を同定した。56E5では、重鎖について10の潜在的な復帰変異(S30T、W47Y、I48M、S70T、R87T、K43N、G44K、V71R、V67I、T68S)を同定し、軽鎖について4の復帰変異(I21M、R18K、A19V、V89L)を同定した。
3C2について、5つのヒト化重鎖可変領域及び4つのヒト化軽鎖可変領域を設計し、合計で13のヒト化抗体を取得した。56E5について、4つのヒト化重鎖可変領域及び3つのヒト化軽鎖可変領域を設計し、合計で12のヒト化抗体を取得した。これらのヒト化抗体の配列を表1及び表8に要約した。
表6.復帰変異
重鎖可変領域とN297A変異を有するヒトIgG1定常領域とをエンコードする配列、及び軽鎖可変領域とヒトカッパ定常領域とをエンコードする配列(それぞれ配列番号33及び34に記載の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域のアミノ酸配列)を化学合成し、次に、EcoRI/XhoI及びClaI/HindIII制限部位をそれぞれ使用して、GS発現ベクター(Invitrogen、USA)にサブクローニングした。すべての発現コンストラクトをDNA配列決定によって確認した。実施例8に記載のプロトコルに従って、EXPiCHO発現系(Invitrogen、USA)に重鎖及び軽鎖発現ベクターをトランスフェクトし、25のヒト化抗PD-L1抗体を一過性に発現させた。ヒト化抗体を実施例3に記載したように精製した。
[実施例13.ヒト化抗PD-L1抗体の結合能/親和性]
ヒト化抗PD-L1抗体を、実施例4に記載のプロトコルに従って、HEK293A/ヒトPD-L1細胞、HEK293A/サルPD-L1細胞及びHEK293A/マウスPD-L1細胞に対する結合能力について特徴付けた。結果を図5及び図6に示した。
これらの抗体を、SPRアッセイにおいて、BIAcore(商標)8K装置(GE Life Sciences)を用いてヒト及びサルPD-L1に対する結合親和性についても試験した。簡潔に説明すると、100~200応答単位(response unit:RU)のヒトPD-L1(ECD)-hisタンパク質(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)又はサルPD-L1(ECD)-hisタンパク質(カタログ番号:90251-C08H、Sino Biological、CN)をCM5バイオセンサチップ(カタログ番号:BR-1005-30、GE Life Sciences、US)に結合し、未反応基を1Mエタノールアミンでブロッキングした。0.3μM~10μMの範囲の濃度の段階希釈した抗体を、SPR用緩衝液(HBS-EP緩衝液、pH7.4、カタログ番号:BR-1006-69、GE Life Sciences、US)に30μL/分で注入した。結合親和性を、ブランク対照のRUを減算して算出した。会合速度(ka)及び解離速度(kd)を、1対1ラングミュア結合モデル(BIA Evaluation Software、GE Life Sciences)を使用して算出し、平衡解離定数KDをkd/ka比として算出した。結果を表7に示した。
図5及び図6に示すように、ヒト化抗PDL1抗体は、ヒトPD-L1及びサルPD-L1の両方に対して高い結合能力を有し、これは、それらのそれぞれのキメラ抗体のものと同等であった。
表7に基づくと、ヒト化3C2及び56E5抗体は、ヒトPD-L1に対して、アテゾリズマブと比較して同等か又はより高い結合親和性を有した。
表7.ヒト化抗PDL1抗体のヒト/サルPD-L1に対する結合親和性
[実施例14.ヒト化抗PD-L1抗体はT細胞を活性化した]
これらの抗体を、実施例7のプロトコルに従って、MLRアッセイにおいて、T細胞応答を刺激する能力について更に試験した。市販のキット(カタログ番号:STA00C、R&D、US)を製造元の指示に従って使用して、IFN-γレベルを決定した。
図7に示すように、すべてのヒト化抗体はT細胞活性化を用量依存的に促進し、IFN-γ分泌を増加させた。抗体56E5VH5VL4及び3C2VH4VL4は、T細胞活性化における最も高い能力を示した。
[実施例15.エピトープビニング]
エピトープビニングのために、競合SPRアッセイを実行した。簡潔に説明すると、1μg/mlのヒトPD-L1(ECD)-hisタンパク質(カタログ番号:10084-H08H、Sino Biological、CN)をCM5バイオセンサチップ(カタログ番号:BR-1005-30、GE Life Sciences、US)に結合し、未反応基を1Mエタノールアミンでブロッキングした。次に、5μg/mlの56E5VH5VL4又は3C2VH4VL4抗体を、SPR用緩衝液(HBS-EP緩衝液、pH7.4、カタログ番号:BR-1006-69、GE Life Sciences、US)に30μL/分で注入し、その後、5μg/mlの第2の抗PDL1抗体(56E5VH5VL4、3C2VH4VL4、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブ)を30μL/分で注入した。結合親和性を、ブランク対照のRUを減算して算出した。次に、1:1相互作用モデルを使用してデータをフィッティングした。
図8及び図9に示すように、56E5VH5VL4及びアテゾリズマブは、同時にはPD-L1分子と結合せず、これらが同じか又は同様のエピトープに結合し得ることを示唆した。同様に、56E5VH5VL4は、エピトープ結合に関してアベルマブ及びデュルバルマブと競合した。56E5VH5VL4及び3C2VH4VL4はPD-L1分子に同時に結合したが、これは、これらが異なるエピトープに結合したことを意味する。抗体3C2VH4VL4は、56E5VH5VL4、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブと同時にPD-L1分子に結合し、3C2VH4VL4が、他の抗体が結合したものと異なる新規なエピトープに結合し得ることを示唆した。
[実施例16.ヒト化抗PDL1抗体はin vivo抗腫瘍効果を有した]
ヒトIgG1(N297A)/カッパ定常領域を有する抗PD-L1抗体56E5VH5VL4及び3C2VH6VL5のin vivo抗腫瘍活性を、ヒトPD-L1を有するトランスジェニックマウス(GemPharmatech Co.Ltd、China)にMC38マウス結腸腺癌腫を移植することによって確立された動物モデルにおいて研究した。0日目に、マウスに1×106個のMC38細胞を一方の側腹部において皮下注射し、1群当たり8匹で7つの群に無作為に割り付けた。次に、これらの動物に、56E5VH5VL4(10mg/kg)、3C2VH6VL5(10mg/kg)、アベルマブ(10mg/kg)及びPBSそれぞれを、0、4、7、11、14及び18日目に腹腔内投与した。
腫瘍サイズ及びマウス体重を経時的にモニタリングした。具体的には、腫瘍の長さ(最長径)及び幅(長さに対して垂直な直径)をノギスで測定し、腫瘍体積を0.5×D×d2として算出することによって腫瘍サイズを決定した。対照群の腫瘍サイズが3.5cm3に達する前に試験を終了した。一元配置ANOVAを使用して、群間の腫瘍サイズ差を同定した。
図10に示すように、すべての抗PD-L1抗体はマウスにおいて腫瘍成長を有意に阻害し、56E5VH5VL4及び3C2VH6VL5の抗腫瘍効果はアベルマブのものよりも良好であった。
本出願における配列を以下のように表8に要約する。
表8.配列
本開示の好ましい実施形態をこのように詳細に記載したが、上の段落によって定義された本開示は上の説明に記載の特定の詳細に制限されるべきではなく、その多くの明らかな変形形態が本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく可能であることが理解されるべきである。
[項目1]
VH-CDR1領域、VH-CDR2領域及びVH-CDR3領域を有する重鎖可変領域、及びVL-CDR1領域、VL-CDR2領域及びVL-CDR3領域を有する軽鎖可変領域を備え、前記VH-CDR1領域、前記VH-CDR2領域、前記VH-CDR3領域、前記VL-CDR1領域、前記VL-CDR2領域及び前記VL-CDR3領域が、(1)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5及び6;又は(2)それぞれ、配列番号7、8、9、10、11及び12のアミノ酸配列を含む、PD-L1に結合する単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目2]
前記重鎖可変領域が、配列番号13~23のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、項目1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目3]
前記軽鎖可変領域が、配列番号24~32のいずれか1つと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、項目1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目4]
前記重鎖可変領域及び前記軽鎖可変領域が、(1)それぞれ、配列番号13及び24;(2)それぞれ、配列番号14及び25;(3)それぞれ、配列番号14及び26;(4)それぞれ、配列番号14及び27;(5)それぞれ、配列番号15及び25;(6)それぞれ、配列番号15及び26;(7)それぞれ、配列番号15及び27;(8)それぞれ、配列番号16及び25;(9)それぞれ、配列番号16及び26;(10)それぞれ、配列番号16及び27;(11)それぞれ、配列番号17及び25;(12)それぞれ、配列番号17及び26;(13)それぞれ、配列番号17及び27;(14)それぞれ、配列番号18及び28;(15)それぞれ、配列番号19及び29;(16)それぞれ、配列番号20及び30;(17)それぞれ、配列番号20及び31;(18)それぞれ、配列番号20及び32;(19)それぞれ、配列番号21及び30;(20)それぞれ、配列番号21及び31;(21)それぞれ、配列番号21及び32;(22)それぞれ、配列番号22及び30;(23)それぞれ、配列番号22及び31;(24)それぞれ、配列番号22及び32;(25)それぞれ、配列番号23及び30;(26)それぞれ、配列番号23及び31;又は(27)それぞれ、配列番号23及び32と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、項目2に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目5]
前記重鎖可変領域に連結されている、配列番号33と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖定常領域、及び/又は前記軽鎖可変領域に連結されている、配列番号34と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を備える、項目1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目6]
(a)ヒトPD-L1と結合する;(b)サルPD-L1と結合する;(c)マウスPD-L1に結合しない;(d)PD-L1-PD-1相互作用を遮断する;(e)T細胞活性化を促進する;及び/又は(f)in vivo抗腫瘍活性を有する、項目1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目7]
マウス、キメラ又はヒト化である、項目1に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
[項目8]
項目1から7のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分をエンコードする核酸分子。
[項目9]
項目8に記載の核酸分子を備える発現ベクター。
[項目10]
項目9に記載の発現ベクターを備える宿主細胞。
[項目11]
項目1から7のいずれか一項に記載の単離モノクローナル抗体又はその抗原結合部分、及び薬学的に許容される担体を備える医薬組成物。
[項目12]
癌の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、項目11に記載の医薬組成物を投与する段階を備える、方法。
[項目13]
前記癌が、黒色腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌腫、ホジキンリンパ腫、膀胱癌、頭頸部癌、神経内分泌腫瘍、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫から成る群から選択される、項目12に記載の方法。
[項目14]
感染性疾患の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、項目11に記載の医薬組成物を投与する段階を備える、方法。
[項目15]
前記感染性疾患が、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、又はサル免疫不全ウイルス(SIV)感染症である、項目14に記載の方法。