本発明に係る燃料電池用セパレーターの実施形態について図1から図10を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号を付す。
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池の概略的な斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池1は、燃料ガスとしての水素ガスと酸化剤ガスとしての酸素(空気に含まれる酸素)とを反応させて発電する。燃料電池1は、積層された複数の燃料電池セル2を有する積層体5と、複数の燃料電池セル2の積層方向Hの外側から積層体5を挟み込む一対のエンドプレート6と、一対のエンドプレート6に架け渡されて積層体5と一対のエンドプレート6とを一体化する複数の締結部材8と、を備えている。
なお、燃料ガスおよび酸化剤ガスを、単に反応ガスと総称する。
燃料電池1は、積層される多数の燃料電池セル2を備えている。そのため、燃料電池1は燃料電池スタックとも呼ばれる。燃料電池1は、燃料電池セル2を最小単位とし、積層された数十から数百の燃料電池セル2を備えている。積層される燃料電池セル2の数量は、燃料電池1に要求される発電能力による。
一対のエンドプレート6は、燃料電池セル2より大きい長方形状を有している。一対のエンドプレート6は、その間に架け渡される締結部材8によって連結されている。
締結部材8は、一対のエンドプレート6を介して複数の燃料電池セル2に積層方向H内向きの荷重を付与する。この荷重は、一対のエンドプレート6が近づく方向へ作用し、積層体5を積層方向Hに圧縮している。
図2は、本発明の実施の形態に係る燃料電池セルの分解斜視図である。
本実施形態に係る燃料電池1の燃料電池セル2は、図2に示すように、膜電極接合体11(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極接合体11を挟む一対のガス拡散層12、13(GDL:Gas Diffusion Layer)と、一対のガス拡散層12、13を介して膜電極接合体11を表裏から挟む一対のセパレーター15、16と、を備えている。
また、燃料電池セル2は、積層方向に隣り合うセパレーター15、16の間に、燃料電池1を冷却する冷媒としての空気または水を流通させる冷媒流通路(図示省略)を有している。
図3は、図2の燃料電池セルに流れる反応ガスの流れ方向に沿う部分断面図である。
図4は、図2の燃料電池セルのセパレーター側から見たガス拡散層の模式図である。
図5は、図4のガス拡散層の要部を示す拡大図である。
図6は、図5のA-A視野を示す断面図である。
図7は、図5のB-B視野を示す断面図である。
図8は、図5のC-C視野を示す断面図である。
なお、図3は、後述する空気入口41近傍における燃料電池セル2の断面図である。空気出口42、水素ガス入口31、および水素ガス出口32も同様の構造を有している。そのため、ここでは空気出口42近傍における燃料電池セル2の断面図、水素ガス入口31近傍における燃料電池セル2の断面図、および水素ガス出口32近傍における燃料電池セル2の断面図を省略する。
また、図4は、空気極としてのカソード極19を臨むセパレーター16側から見たガス拡散層13の模式図であり、図5は、カソード極19を臨むセパレーター16側から見たガス拡散層13の要部拡大図である。さらに、図6~図8は、カソード極19を臨むセパレーター16およびガス拡散層13の部分断面図である。燃料極としてのアノード極18を臨むセパレーター15側から見たガス拡散層12も図4~図8と同様に構成されていても良い。
燃料電池1の膜電極接合体11は、図2に加えて図3に示すように、電解質としての固体高分子膜17と、アノード極18と、カソード極19と、を備えている。膜電極接合体11は、一体化された固体高分子膜17、アノード極18、およびカソード極19である。一対の電極18、19は、固体高分子膜17を表裏から挟んでいる。
一対のガス拡散層12、13は、多孔質状の膜である。一対のガス拡散層12、13は、水素ガスや空気を一対の電極18、19へ供給し、化学反応により生じた電子を集電し、固体高分子膜17の保湿および生成水の排出を行う。
一対のガス拡散層12、13の周囲には、一対のサブガスケット21が配置されている。一対のサブガスケット21は、ガス拡散層12、13よりもガス透過係数の小さい、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂の薄膜である。
また、それぞれの燃料電池セル2は、アノード極18に水素ガスを供給する水素ガス流路22(気体通路)と、カソード極19に空気を供給する気体通路23(気体通路)と、を有している。水素ガス流路22は、アノード極18を臨むガス拡散層12とセパレーター15との間に区画されている。気体通路23は、カソード極19を臨むガス拡散層13とセパレーター16との間に区画されている。
そして、図4~図7に示すように、ガス拡散層13は、カソード極19(図2、図3参照)へ供給される気体を流通させる複数の気体通路23を有している。複数の気体通路23は、ガス拡散層13のセパレーター16を臨む面13aに開放し、セパレーター16に閉じられる溝形状を有している。
複数の気体通路23は、ガス拡散層13の一方の縁に配置される開口23iから延びてガス拡散層13の内部で途切れる複数の上流側通路25と、ガス拡散層13の内部から延びてガス拡散層13の他方の縁に配置される開口23oに達する複数の下流側通路26と、を含んでいる。換言すると、上流側通路25および下流側通路26は、ガス拡散層13の一方の縁から他方の縁へと一続きに繋がることのない、断絶された通路であって、ガス拡散層13の一方の縁と他方の縁との間で貫通していない。なお、図4および図5に気体の流通方向Xを実線矢印で示す。
複数の上流側通路25および複数の下流側通路26は、互いに繋がることなく、平行に延びている。複数の上流側通路25および複数の下流側通路26は、図4に示すような直線状の通路であっても良いし、蛇行した通路であっても良い。
また、複数の上流側通路25および複数の下流側通路26は、図4に示すように互い違いに並んでいても良いし、一直線上に並んでいても良い。
また、複数の気体通路23は、上流側通路25および下流側通路26から離れた箇所に延びる、ガス拡散層13の縁に非開放の中間通路71を含んでいる。
中間通路71は、上流側通路25および下流側通路26と同じようにガス拡散層13のセパレーター16を臨む面13aに開放し、セパレーター16に閉じられる溝形状を有している。
そして、中間通路71は、ガス拡散層13のいずれの縁にも達しておらず、かつガス拡散層13内において上流側通路25および下流側通路26にも直接的には繋がっていない。ガス拡散層13において、上流側通路25と中間通路71との間、および中間通路71と下流側通路26との間は、これら気体通路23が形成されていない閉塞部13Aとして機能する。
図4中に実線矢印で示す気体の流通方向Xにおける閉塞部13Aの長さ寸法LXは、流通方向Xに直交する方向Yにおける閉塞部13Aの幅寸法Wよりも大きい。また、流通方向Xに直交する方向Yにおける上流側通路25、中間通路71、および中間通路71の間隔、つまり整列間隔は、閉塞部13Aの長さ寸法LXよりも小さい。換言すると、閉塞部13Aの長さ寸法LXは、閉塞部13Aの幅寸法Wより大きく、かつ上流側通路25、中間通路71、および中間通路71の整列間隔より大きい。そのため、流通方向Xに流れる気体は、上流側通路25の下流端および中間通路71の下流端で閉塞部13Aに流れ込む際に、流通方向Xへの移動を妨げられつつ流通方向Xに直交する方向Yへ広く拡散する。この気体の拡散によって、気体通路23および閉塞部13Aに溜まった水分が排水される。
つまり、ガス拡散層13は、閉塞部13Aを設けることで図4中に実線矢印で示す気体の流通方向Xに交差する方向Yへ積極的な流れを発生させ、閉塞部13Aに溜まった水を下流側通路26に押し流す。
そのため、上流側通路25と中間通路71または中間通路71と下流側通路26との気体の流通方向Xにおける間隔、すなわち閉塞部13Aの流通方向Xの大きさを小さくしてしまうと圧力損失が小さくなってしまい、流通方向Xへの水の流れも少なくなってしまう。よって、複数の気体通路23のうちの流通方向Xに隣り合う上流側通路25と中間通路71または中間通路71と下流側通路26との間は間隔を開けておくことが好ましい。つまり、閉塞部13Aの流通方向Xの寸法は広く確保することが好ましい。
中間通路71は、複数の上流側通路25および複数の下流側通路26に平行に延びている。中間通路71は、図4に示すような直線状の通路であっても良いし、蛇行した通路であっても良い。
また、中間通路71は、図4に示すように上流側通路25および下流側通路26の延長線上になく、上流側通路25および下流側通路26に平行であっても良いし、上流側通路25および下流側通路26のいずれか一方の延長線上に配置されていても良いし、上流側通路25および下流側通路26の延長線上に一直線に並んでいても良い。
さらに、図4に示すように、中間通路71は、気体の流れに交差する方向Yにおいて上流側通路25および下流側通路26の両方に重なりを有していても良いし、重なりを有していなくても良い。また、中間通路71は、気体の流れに交差する方向Yにおいて上流側通路25および下流側通路26のいずれか一方に重なりを有していても良いし、重なりを有していなくても良い。さらに、隣り合う中間通路71は、気体の流れに交差する方向Yにおいて重なりを有していても良いし、有していなくても良い。また、気体の流れに交差する方向Yにおいて重なりを有する中間通路71、上流側通路25、および下流側通路26と、重なりを有していない中間通路71、上流側通路25および下流側通路26と、が混在していても良い。なお、気体の流れに交差する方向Yは、中間通路71、上流側通路25、および下流側通路26の整列方向でもある。
これらのように並ぶ複数の上流側通路25、複数の下流側通路26、複数の中間通路71は、それぞれの上流側通路25の下流端および中間通路71の上流端の間と、それぞれの中間通路71の下流端および下流側通路26の上流端の間とに、ガス拡散層13によって隔てられる部位を有する。この部位は、ガス拡散層13内の多数の細孔(図示省略)を有している。換言すると、上流側通路25、複数の下流側通路26、および複数の中間通路71は、ガス拡散層13内の多数の細孔を介して繋がっている。この部位は、上流側通路25および下流側通路26に比べて、極めて圧力損失が高い。そこで、この部位を、便宜上、高圧力損失部27と呼ぶ。
つまり、カソード極19へ供給される気体は、上流側通路25から高圧力損失部27に流れ込み、高圧力損失部27を経て中間通路71へ流れ込み、さらに高圧力損失部27を経て下流側通路26へ流れ出る。そして、高圧力損失部27では、上流側通路25から流れ込む気体の流速、および中間通路71から流れ込む気体の流速が上昇する。この流速の上昇した気体は、高圧力損失部27の細孔に溜まった生成水を中間通路71および下流側通路26へ容易に排水する。
また、隣り合う上流側通路25の間も、ガス拡散層13内の多数の細孔を介して繋がっている。そのため、カソード極19へ供給される気体は、隣り合う上流側通路25の間の細孔に溜まった生成水も容易に排水する。中間通路71および下流側通路26も同様である。
図3に示すように、気体通路23は、セパレーター16に設けられる空気入口41および空気出口42(図2参照)に繋がっている。
空気入口41と気体通路23との間には、空気入口側マニホールド45が設けられている。空気入口側マニホールド45は、空気入口41から流れ込む空気を気体通路23へ導く。空気入口側マニホールド45は、空気入口41から流れ込む空気を、それぞれの上流側通路25へ分岐させる。空気出口42と気体通路23との間には、空気出口側マニホールド(図示省略)が設けられている。空気出口側マニホールドは、気体通路23から流れ出る空気を空気出口42へ導く。空気出口側マニホールドは、気体通路23から流れ出る空気を、それぞれの下流側通路26から空気出口42へ集約する。
ガス拡散層12は、アノード極18へ供給される気体を流通させる複数の水素ガス流路22を有している。水素ガス流路22についても、図4の気体通路23のように構成することで、カソード極19からの逆拡散で生成される水の排水性が向上し、アノード極18の有効反応面積の向上を見込むことができる。
水素ガス流路22は、セパレーター15に設けられる水素ガス入口31および水素ガス出口32に繋がっている。
水素ガス入口31と水素ガス流路22との間には、水素ガス入口側マニホールド35が設けられている。水素ガス入口側マニホールド35は、水素ガス入口31から流れ込む水素ガスを水素ガス流路22へ導く。水素ガス入口側マニホールド35は、水素ガス入口31から流れ込む水素ガスを、それぞれの上流側通路へ分岐させる。水素ガス出口32と水素ガス流路22との間には、水素ガス出口側マニホールド36が設けられている。水素ガス出口側マニホールド36は、水素ガス流路22から流れ出る水素ガスを水素ガス出口32へ導く。水素ガス出口側マニホールド36は、水素ガス流路22から流れ出る水素ガスを、それぞれの下流側通路から水素ガス出口32へ集約する。
セパレーター15、16は、例えば炭素繊維強化プラスチック製、導電性樹脂製、または金属製である。それぞれのセパレーター15、16は、対応するガス拡散層12、13を臨む平面15a、16aを有している。これら平面15a、16aは、対応するガス拡散層12、13の溝状の気体通路を閉じている。
アノード極18を臨むガス拡散層12に対面するセパレーター15は、カソード極19を臨むガス拡散層13に対面するセパレーター16へ空気を供給する空気導入口51と、セパレーター15から空気を排出させる空気導出口52と、を有している。
セパレーター15の面15aには、膜電極接合体11に向かって突出する水素ガス側シール59が設けられている。
カソード極19を臨むガス拡散層13に対面するセパレーター16は、アノード極18を臨むガス拡散層12に対面するセパレーター15へ水素ガスを供給する水素ガス導入口61と、セパレーター15からの水素ガスを排出させる水素ガス導出口62と、を有している。
セパレーター16の面16aには、膜電極接合体11に向かって突出する空気側シール69が設けられている。
本実施形態に係る燃料電池1のセパレーター16は、図5~図7に示すように、ガス拡散層13の閉塞部13Aに対向する部位に設けられてガス拡散層13を臨む面16aに開放し、カソード極19(図2、図3参照)へ供給される気体を流通させる複数のバイパス通路16bを有している。複数のバイパス通路16bは、ガス拡散層13のセパレーター16を臨む面13aに開放している。複数のバイパス通路16bは、上流側通路25または中間通路71と重ならない部位において、ガス拡散層13の閉塞部13Aに閉じられる溝形状を有している。そして、バイパス通路16bは、上流側通路25と中間通路71とを繋ぐ第一バイパス通路16ba、および中間通路71と下流側通路26とを繋ぐ第二バイパス通路16bbの少なくとも一方を含んでいる。よって、図8に示すように、バイパス通路16bは、上流側通路25と中間通路71とを閉塞部13Aを迂回して連結している。なお、ここでは、ガス拡散層13の要部として、上流側通路25と中間通路71との間の閉塞部13Aを中心とした部位を拡大して説明しているが、中間通路71と下流側通路26との間の閉塞部13Aを中心とした部位についても同様の構造を有している。また、バイパス通路16bは、プレス工法やエッチング工法等の手法によって形成される。
バイパス通路16bは、気体の流通方向Xに隣り合う気体通路23を連結していることが好ましい。具体的には、第一バイパス通路16baは、気体の流通方向Xに隣り合う上流側通路25と中間通路71とを繋ぎ、第二バイパス通路16bbは、気体の流通方向Xに隣り合う中間通路71と下流側通路26とを繋いでいる。複数の気体通路23(上流側通路25、下流側通路26および中間通路71を含む)は圧力損失が少ないため、そこを連結するようにバイパス通路16bを備えることで閉塞部13Aにおける圧力損失を下げることができる。また、気体の流通方向Xに隣接する上流側通路25と中間通路71とを、閉塞部13Aを迂回するようにバイパス通路16bで連結するため、複数の気体通路23(上流側通路25、下流側通路26および中間通路71を含む)が短くなり、ガス拡散層13側に触媒ガスが流れるようになり、当該触媒ガスの拡散性を向上できる。
なお、気体通路23とバイパス通路16bとは、ガス拡散層13の一方の縁に配置される開口23iとガス拡散層13の他方の縁に配置される開口23oとを、ガス拡散層13の閉塞部13Aを介することなく、一続きに連結しない。つまり、一方の縁に配置される開口23iから流れ込んだ気体は、他方の縁に配置される開口23oに到達するまでに、少なくとも1回はガス拡散層13の閉塞部13Aを通過する。また、一方の縁に配置される開口23iから流れ込んだ気体が他方の縁に配置される開口23oに到達するまでに少なくとも1回はガス拡散層13の閉塞部13Aを通過する範囲で、上流側通路25、下流側通路26および中間通路71とバイパス通路16bとの重なりは、大きくても良いし、小さくても良い。また、バイパス通路16bは、閉塞部13Aに対向する箇所で途切れていても良い。例えば、第一バイパス通路16baは、上流側通路25から中間通路71へ延び、かつ中間通路71を越えてガス拡散層13の他方の縁の近傍へ達していても良い。
また、図6に示すように、バイパス通路16bの断面積L2は、複数の気体通路23(上流側通路25、下流側通路26および中間通路71を含む)の断面積L1より小さいことが好ましい。バイパス通路16bの断面積L2が狭く、閉塞部13Aで触媒ガスを拡散させて排水性を向上させつつ、圧力損失の低下を図ることができる。
また、図7に示すように、バイパス通路16bは、閉塞部13Aの気体の流れに交差する方向Yの中央部に配置されることが好ましい。セパレーター16とガス拡散層13との接触部分で生成水は溜まり易いが、ガス拡散層13とセパレーター16の接触していない部分では流速も早く排水性も良い傾向になる。そのため、最も排水性の悪い傾向にある閉塞部13Aの気体の流れに交差する方向Yの中央部にバイパス通路16bを設けることで、排水性を高めることができる。
ここで、本実施の形態に係る変形例の燃料電池セル2について説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係る変形例の燃料電池セルのセパレーター側から見たガス拡散層の模式図である。
図10は、本発明の実施の形態に係る変形例の燃料電池セルのセパレーター側から見たガス拡散層の模式図である。
バイパス通路16bの気体の流通方向Xにおける両端部には、セパレーター16の厚み方向に傾斜する傾斜部16cが設けられることが好ましい。これにより、バイパス通路16bへの気体の流れ込みが円滑になる。
なお、バイパス通路16bには、気体の流通を攪拌する凹部や凸部等から構成される攪拌部16dが設けられていることが好ましい。これにより、バイパス通路16b内の気体の流れに乱流を発生させ、空気を攪拌させることで、よりガス拡散層13に反応ガスを拡散することができる。
以上のように、本実施形態に係る燃料電池1は、ガス拡散層13の一方の縁に配置される開口23iから延びてガス拡散層13の内部で途切れる上流側通路25と、ガス拡散層13の内部から延びてガス拡散層13の他方の縁に配置される開口23oに達する下流側通路26と、を含む複数の気体通路23を備えている。ガス拡散層13は、多孔質状であり、気体通路23の入口としての開口23iから気体通路23の出口としての開口23oに一続きに繋がる通路が無く、上流側通路25と下流側通路26とのように途切れた通路によって反応ガスとしての空気を流通させることができる。そのため、気体通路23には高圧力損失部27が含まれる。この高圧力損失部27では、上流側通路25から流れ込む反応ガスとしての空気によって、細孔に溜まった生成水が下流側通路26へ容易に排水される。しかも、セパレーター16において、ガス拡散層13の閉塞部13Aに対向する部位には、ガス拡散層13を臨む面16aに開放し、カソード極19(図2、図3参照)へ供給される気体を流通させる複数のバイパス通路16bを有している。複数のバイパス通路16bは、ガス拡散層13のセパレーター16を臨む面13aに開放し、上流側通路25または中間通路71と重ならない部位において、ガス拡散層13の閉塞部13Aに閉じられる溝形状を有している。そして、バイパス通路16bは、上流側通路25と中間通路71、または中間通路71と下流側通路26の少なくとも一方を、閉塞部13Aを迂回して連結している。そのため、燃料電池1は、反応ガスの供給性と生成水の排水性を両立できる。
セパレーター16にバイパス通路16bが形成されていない場合、ガス拡散層13の上流側通路25と下流側通路26とが閉塞部13Aの部分で分断されるが、当該閉塞部13Aに対向するセパレーター16にバイパス通路16bを設けることで、セパレーター16にバイパス通路16bが形成されていない場合に比べて圧力損失を下げることができる。図示省略するが、燃料電池1は、圧縮機を駆動して反応ガスを供給する。したがって、燃料電池1は、閉塞部13Aに対向するセパレーター16にバイパス通路16bを設けることで圧力損失が低下した分、反応ガスの供給圧力を低減することが可能であり、圧縮機の省エネルギー化や小型化を図ることができる。
また、本実施形態に係る燃料電池1の上流側通路25と下流側通路26とは、反応ガスの流れに交差する方向において重なりを有する。この重なり部分では、上流側通路25の下流端部と下流側通路26の上流端部との間の直線距離が最も近く、高圧力損失部27における圧力損失の影響が小さい。つまり、重なり部分では、反応ガスは、上流側通路25から下流側通路26へ容易に流れ込む。そのため、重なり部では、反応ガスがガス拡散層13へ拡散しすぎることによる減速が抑制され、高圧力損失部27に溜まった生成水をより高効率に排水することができる。そのため、燃料電池1は、反応ガスの供給性と生成水の排水性を両立できる。
ガス拡散層13は、閉塞部13Aを設けることで気体の流れに交差する方向Yに積極的な対流を発生させ、閉塞部13Aに溜まってしまう生成水を下流側通路26に押し流す効果が期待できる。そのため、上流側通路25と中間通路71または中間通路71と下流側通路26との流れ方向Xにおける間隔、すなわち閉塞部13Aの流れ方向Xの大きさを小さくしてしまうと圧力損失が小さくなってしまい、流れ方向Xへの水の流れも少なくなってしまう。よって、複数の気体通路23のうちの流れ方向Xに隣り合う上流側通路25と中間通路71または中間通路71と下流側通路26との間は間隔を開けておくことが好ましい。つまり、閉塞部13Aの流れ方向Xの寸法は広く確保することが好ましい。
また、本実施形態に係る燃料電池1は、複数の気体通路23、すなわち上流側通路25および下流側通路26から離れた箇所に延びる、ガス拡散層13の縁に非開放の中間通路71を有している。中間通路71は、上流側通路25および下流側通路26のいずれにも繋がらず、離れている。そして、バイパス通路16bは、上流側通路25と中間通路71、または中間通路71と下流側通路26の少なくとも一方を連結する。よって、上流側通路25および下流側通路26のみが設けられている場合に比べて中間通路71が設けられている分、ガス拡散層13のより広範囲に反応ガスを拡散させつつ、かつ反応ガスの流速の低下を抑制する。そのため、燃料電池1は、反応ガスの供給性と生成水の排水性を両立できる。
なお、水素ガス流路22についても、図3~図10の気体通路23のように構成することで、カソード極19からの逆拡散で生成される水の排水性が向上し、アノード極18の有効反応面積の向上を見込むことができる。
したがって、本発明に係る燃料電池1によれば、反応ガスの供給性と生成水の排水性を容易に両立することができる。