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JP7601371B2 - プラズマ処理装置、プラズマ処理方法 - Google Patents
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JP7601371B2 - プラズマ処理装置、プラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置、プラズマ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂の表面に金属層を形成した樹脂製品の製造装置及び製造方法に関する。
各種の回路基板、例えば、ミリ波またはマイクロ波に対応可能な伝送損失が小さい回路基板、において、低誘電の樹脂が使われ始めている。この低誘電の樹脂としては、たとえば液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)などのフッ素樹脂があげられるが、LCPやPTFE等の樹脂材料は、樹脂材料同士の密着性や、配線材として使われる銅との密着性が悪いという問題がある。このため、回路基板の基材の表面を化学的に荒らしたり、基材に密着させる銅箔の表面に凹凸を形成したりして、樹脂製の基材と銅の物理的な密着度を向上させる技術が知られている。
しかし、樹脂製の基材の表面を化学的に荒らして基材の表面に銅等の金属を形成した場合、基材の表面の粗さが原因で、回路基板の伝送損失が大きくなってしまう。一方、接着剤を用いて基材の表面に銅を貼り付けた場合、接着層自体が回路基板の伝送損失の原因となってしまう。メッキによって基材表面に銅を形成した場合、基材と銅の密着度が十分に得られない。また、PTFE基材に大気プラズマを照射して表面を活性化させ、PTFE基材中のフッ素を、空気中の水分に由来するヒドロキシル基に置換し、PTFE基材の表面に銅を密着させて、PTFE基材と銅の積層体を得る方法も考えられる。
しかしながら、PTFE基材に大気プラズマを照射しても、PTFE基材の水との接触角は最大でも50°程度である。そして、PTFE基材の表面に銅を密着させたとき、PTFE基材と銅の密着度は0.2~0.4N/mm程度である。このため、PTFE基材上に銅の回路パターンを作製する過程で、銅がPTFE基材から剥離するおそれがある。また、回路パターン作製過程でPTFE基材に熱が加わると、PTFE基材と銅の密着度がさらに下がってしまう。さらに、PTFE基材の表面が改質されている時間は24時間程度であるため、PTFE基材の表面に銅を早く密着させる必要があり、回路基板の製造の制約となっていた。
そして、従来、真空中で基材の表面を高エネルギービームで洗浄し、その後、イオン化した水蒸気を基材の表面に照射して、基材の表面に水酸基を吸着させる技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平9-3220号公報
しかしながら、イオン化された水蒸気のエネルギーは強いため、いったん吸着した水酸基は、他の水蒸気のイオンが基材の表面に照射されると、基材の表面から再び脱離してしまう。このため、特許文献1に記載の発明において、基材の表面の水との接触角は40°程度となってしまう。そして、特許文献1に記載の発明においては、樹脂製の部材の表面に金属を強固に固着することが難しいという問題がある。
本願はこのような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂の疎水表面に高い親水性を長期間付与し、樹脂製の部材と、部材表面の金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させるプラズマ処理装置、及びプラズマ処理方法を提供することを課題としている。
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、チャンバ内に存在する樹脂の表面にプラズマを照射し、前記樹脂の表面の濡れ性を改善するプラズマ処理装置であって、前記プラズマを照射する対象となる前記樹脂を保持する保持部を有し、該保持された前記樹脂にDC電圧としての保持側電圧を印加する保持側回路と、ガスを前記チャンバ内に導入するガス導入部と、前記ガスをプラズマ化するプラズマ照射装置を備え、該プラズマ照射装置に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路とを備え、前記保持側回路が、前記保持側電圧を印加する時間と、前記プラズマ側回路が前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されており、前記プラズマ側回路は、前記保持側回路に前記保持側電圧を印可する時間よりも、前記プラズマ側回路が前記プラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定するための印加時間調整部を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記プラズマ側回路は、前記プラズマ側回路により前記樹脂にプラズマ照射されることにより樹脂を構成する原子の少なくとも一部が離脱した状態の樹脂に、ヒドロキシル基を付与する工程のために、前記保持側電圧を印可する時間と、前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記プラズマ側回路の前記印加時間調整部は、前記プラズマ照射装置に対する前記プラズマ側電圧の印加をオンオフ制御するためのスイッチであることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一つに記載の構成に加え、前記保持側回路は、前記ガスを前記チャンバ内に導入し前記ガスをプラズマ化して前記樹脂の表面に照射する工程で前記保持側電圧をプラズマ側回路と独立して印加させることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一つに記載の構成に加え、前記プラズマ側回路は、前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧としてのプラスの電圧を印加すると共に、前記保持側回路は、前記樹脂に前記保持側電圧としてのプラスの電圧を印加することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一つに記載の構成に加え、前記保持側回路は、前記樹脂が存在する位置に依存する前記保持部の少なくとも一部に前記保持側電圧を印加することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、プラズマを照射する樹脂が収容されるチャンバと、前記プラズマを照射する対象となる前記樹脂を保持する保持部を有し、該保持された前記樹脂にDC電圧としての保持側電圧を印加する保持側回路と、ガスを前記チャンバ内に導入するガス導入部と、前記ガスをプラズマ化するプラズマ照射装置を備え、該プラズマ照射装置に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路とを備え、前記チャンバ内に存在する樹脂の表面にプラズマを照射し、前記樹脂の表面の濡れ性を改善するプラズマ処理方法であって、前記保持側回路が、前記樹脂にヒドロキシル基を付与するために、前記保持側電圧を印加する時間と、前記プラズマ側回路が前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されており、前記プラズマ側回路は、前記保持側回路に前記保持側電圧を印可する時間よりも、前記プラズマ側回路が前記プラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定するための印加時間調整部を備えていることを特徴とする。
請求項1、請求項に記載の発明によれば、プラズマを照射する対象となる樹脂にDC電圧としての保持側電圧を印加する保持側回路の、保持部に保持されて、樹脂に、ヒドロキシル基を付与するために、保持側電圧を印加する時間と、ガス導入部によって導入されたガスをプラズマ化するプラズマ照射装置に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路の、プラズマ照射装置にプラズマ側電圧を印加する時間とが、別々になるように設定されていることにより、プラズマ照射装置がイオンやラジカルを発生させて保持部に保持された樹脂にイオンやラジカルを照射させるタイミングと、保持部や保持部に保持された樹脂の周囲の電位の状態とを自在に調整し、チャンバ内に樹脂が収容されている間の樹脂に対してイオンやラジカルが作用するタイミングや状態を自在に調整できる。これにより、樹脂の表面にラジカルを好適な状態で付与できて、樹脂製の部材と、部材表面の金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
請求項1、請求項7に記載の発明によれば、プラズマ側回路の印加時間調整部は、保持側回路が保持部に保持側電圧を印可する時間よりも、プラズマ側回路がプラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定されたことにより、プラズマ照射装置によるプラズマ照射の工程の前においても、保持部に保持された樹脂の周囲とチャンバ内の樹脂の周囲以外の部分とに電位差を発生させて、プラズマ照射装置のプラズマ発生がしやすい環境になるようにチャンバ内のイオンやラジカルの分布状態を容易に制御できる。また、プラズマ照射の工程の後においても、保持部には保持側電圧を印可により発生した放電によるラジカルが存在し、ヒドロキシル基の付与が着実に実行できる。これにより、樹脂の表面に各種のラジカルを好適な状態で付与することができて、樹脂製の部材と、部材表面の金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、プラズマ側回路により樹脂にプラズマ照射されることにより樹脂を構成する原子の少なくとも一部が離脱した状態の樹脂に、ヒドロキシル基を付与する工程において、樹脂に対してイオンやラジカルが作用するタイミングや状態を自在に調整できる。これにより、樹脂の表面にラジカルを好適な状態で付与できて、樹脂製の部材と、部材表面の金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
請求項に記載の発明によれば、プラズマ側電圧の印加をオンオフ制御するためのスイッチによって電圧の印加時間や印加タイミングを適切に調整し、樹脂表面の処理を簡易な操作で適切に行うことが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、保持側電圧は、水蒸気ガスをチャンバ内に導入しガスをプラズマ化して樹脂の表面に照射する工程でプラズマ側電圧と独立して印加させることにより、プラズマ照射装置が樹脂の表面にプラズマを照射するときに保持側電圧によって樹脂の電位の状態を調整し、樹脂の表面に対するイオンやラジカルの接近や離間の状態を制御して、工程ごとの樹脂の表面に対するイオンやラジカルの作用を適切に制御できる。
請求項に記載の発明によれば、プラズマ照射装置にプラズマ側電圧としてのプラスの電圧を印加することで発生したプラズマにより、プラスのイオンを樹脂の表面に照射させ、イオンの衝突により樹脂の表面を脱離させることができる。また、樹脂に保持側電圧としてのプラスの電圧を印加することにより、プラズマ照射装置と樹脂との電位差を小さくすると共にプラズマ照射装置と樹脂以外の部分との電位差を相対的に大きくし、プラスのイオンを樹脂以外の部分に引き寄せ、樹脂の表面へのイオンの衝突が継続すること抑止できる。これにより、プラズマによる樹脂表面の加工や表面改質のための制御を適切に行うことが可能になる。
請求項に記載の発明によれば、樹脂が存在する位置に依存する保持部の少なくとも一部に保持側電圧を印加することにより、樹脂の存在する位置で、プラズマ照射装置と樹脂との電位差を小さくし、樹脂の表面へのラジカルの付与を一層好適な状態でおこなうことが可能となる。
この実施の形態のプラズマ処理装置が用いられる基板製造システムを模式的に示す図であって、(a)側面から見た模式図、(b)上面から見た模式図である。 同上プラズマ処理装置を模式的に示す図である。 同上基板製造システムにおける処理工程のフローチャートである。 同上プラズマ処理装置における第二工程のプラズマ発生中の状態を模式的に示す図である。 同上プラズマ処理装置における第二工程のプラズマ発生終了後の状態を模式的に示す図である。
図1乃至図5に、この実施の形態を示す。
[基板製造システムの構成]
図1は、この実施の形態のプラズマ処理装置が用いられる基板製造システムを模式的に示す図であって、(a)側面から見た模式図、(b)上面から見た模式図である。
この基板製造システム100は、たとえばミリ波またはマイクロ波に対応可能な伝送損失が小さい回路基板を製造するための、複数の製造工程を行うための複数の装置からなる製造システムである。基板製造システム100において製造される基板21は、被処理部材である樹脂製の基板本体22の表面や裏面に金属膜23などの金属層が形成される。
図1に示す通り、基板製造システム100は、被処理部材がシート片状の樹脂からなる基板本体22である。この基板本体22は、基板製造システム100における製造工程において表面に金属膜23などの金属層が形成されて基板21を形成する。基板製造システム100は、真空予備室101,102と、第一工程S1及び第二工程S2(いずれも後述)を行う第一処理室103と、第三工程S3(後述)を行う第二処理室104と、ゲート弁24,24,25,26,27,28を備えている。第一処理室103は一対の真空チャンバ2,2を備えている。一方側(図1の左側)の真空チャンバ2は基板本体22の表面側に処理を行うための処理室を構成し、他方側(図1の右側)の真空チャンバ2は基板本体22の裏面側に処理を行うための処理室を構成する。この実施の形態では、基板本体22の表面側と裏面側に対して施される処理と、その処理を行うための工程は同じである。従って、一方側の真空チャンバ2と他方側の真空チャンバ2とは、同一の構成が上下対称に設けられている。
なお、第二処理室104も、一方側(図1の左側)の表面用処理室105と他方側(図1の右側)の裏面用処理室106は、基板本体22の表面側と裏面側に対して同一の処理を施すためのものであり、同一の構成が上下対称に設けられている。図1は、表面用処理室105と裏面用処理室106のそれぞれに、CVD法のためのヒータ29を上下対称に設けた状態を示す。なお、ヒータ29に替えて、PVD法(スパッタリング法)に用いるスパッタ装置(図示せず)等が設けられていてもよい。
図1に示すように、真空予備室101内には、基板本体22を端部で保持する可動部31と、可動部31を装着して搬送する軌道部32aが設けられている。同様に、第一処理室103、第二処理室104、真空予備室102内にも、基板本体22を保持する可動部31を搬送する軌道部32b、32c、32d、32e、32fが設けられている。図1に示す、可動部31、及び、軌道部32a,32b,32c,32d,32e,32f、による基板本体22の搬送方式は、例えばリニアガイド方式や、ラック・アンド・ピニオン方式などである。
第四工程S4(後述)は基板本体22を基板製造システム100から取り出し、オフライン(不図示)で基板本体22の表面に金属のメッキ加工や、メッキ厚みと同等の金属箔を圧着加工し、回路基板に必要な金属膜23などの金属層を形成する。
[プラズマ処理装置の構成]
図2は、この実施の形態のプラズマ処理装置を模式的に示す図である。なお、この図2には、後述する第一工程S1の状態を模式的に示してある。
図2に示すプラズマ処理装置1は、図1に示す第一処理室103を構成する。このプラズマ処理装置1は、樹脂の表面にプラズマを照射して、樹脂を構成する原子の少なくとも一部を脱離させ、その後、前記樹脂にヒドロキシル基を付与することで樹脂の表面の濡れ性を改善する。濡れ性が向上したことによって、樹脂の表面に金属膜23などの金属層を接合させる際の接合状態を強固にすることができる。
なお、図2においては、説明の簡略化のため、図1に示す第一処理室103のうちの一方側(図1の左側)の真空チャンバ2の構成のみを説明する。そして、以後の記載は、説明の簡略化のため、特に区別の必要がある場合を除き、図2に示す一方側の真空チャンバ2についてのみ説明し、基板本体22の裏面側を処理する他方側(図1の右側)の真空チャンバ2の説明は割愛する。
図2に示す、この実施の形態のプラズマ処理装置1は、真空チャンバ2と、ファインプラズマガン(Fine
Plasma Gun 以下「FPG」と称する。)3と、「保持部」としての保持台4と、カバー5と、保持側電源8と、プラズマ側電源9と、保持側スイッチ11、プラズマ側スイッチ12を備えている。
保持側電源8と保持台4と真空チャンバ2とは保持側回路13を形成している。また、プラズマ側電源9とプラズマ側スイッチ12とFPG3と真空チャンバ2とは、プラズマ側回路14を形成している。また、プラズマ処理装置1は、ガス導入部15と、排気ポンプ16を有する排気部17とを備えている。
なお、図2には、真空チャンバ2の内部におけるイオン7とラジカル6の飛散方向を模式的に示している。後述の図4も同様である。後述するとおり、この実施の形態におけるラジカル6はヒドロキシルラジカルである。ただし、ラジカル6はヒドロキシルラジカル以外のいかなるラジカルであってもよい。
真空チャンバ2は、アルミニウム合金やステンレスなどの剛性の高い金属により形成される。真空チャンバ2は、排気ポンプ16による真空引きで外部と内部に気圧差が生じても壊れない強度を有し、内部に箱状の処理用空間が形成されている。真空チャンバ2の処理用空間は、排気ポンプ16によって内部のガスが強制的に外部に排気されて真空状態が形成されるようになっている。また、真空チャンバ2はグランド10に接続されている。このグランド10は、保持側回路13とプラズマ側回路14の基準となる電位を設定する。
FPG3は、真空チャンバ2内の上部に配置されている。FPG3は、ガス導入部15から真空チャンバ2内に導入された処理ガスをプラズマ化する。FPG3は、例えば国際公開第2014/175702号に記載されているものが採用できる。
図1に示すとおり、FPG3は、第1のFPG3aと、第2のFPG3bとを有する。
第1のFPG3aは、回動軸(図示せず)を中心に回動して基板本体22の搬送方向(図1における左右方向)に沿ってプラズマの照射方向を変化させることのできるように構成されている。第1のFPG3aは後述する第一工程S1に用いられる。
第2のFPG3bは、回動軸を有さず、プラズマを一方向にのみ照射させる。第2のFPG3bは後述する第二工程S2に用いられる。
なお、第2のFPG3bが回動軸(図示せず)を有してプラズマの照射方向を基板本体22の搬送方向に変化させるように構成されていてもよいし、第1のFPG3aが回動軸(図示せず)を有さずにプラズマを一方向のみに照射させる構成であってもよい。
保持台4は、FPG3と対向するように、FPG3の下方に設置されている。保持台4は、金属製または電極であり、基板本体22を保持する。
この実施の形態の保持台4は、後述する後述する第二工程S2において、保持側電源8からの保持側電圧(後述)の印加を受ける。
保持台4は、後述する第一工程S1、後述する第二工程S2において、基板本体22が存在する位置に依存する少なくとも一部に、保持側電源8からの保持側電圧(後述)の印加を受ける。たとえば、第二工程S2では保持台4の第2のFPG3bの近傍側(図1の右側)に保持側電圧が印加されるように構成されることが考えられる。このように保持側電圧を印加するために、保持台4には、保持台4の一部分のみに保持側電圧を印加するための構成、たとえば、保持台4に、第1のFPG3aの近傍側の第1の導電範囲(図示せず)と、第2のFPG3bの近傍側の第2の導電範囲(図示せず)とを形成すると共に、保持側電源8からの電流を第1の導電範囲(図示せず)、第2の導電範囲(図示せず)に択一的に切り替える切り替えスイッチ(図示せず)が設けられた構成とすることが考えられる。ただし、他のどのような構成によって、保持側電圧が印加される保持台4の位置や範囲を切り替えたり変化させたりしてもよい。
なお、第一工程S1、第二工程S2における保持台4への保持側電圧の印加位置や印加範囲はどのようなものでもよく、また、第一工程S1、第二工程S2のいずれにおいても保持台4全域に保持側電圧が印加されるように構成されていてもよい。
カバー5は、保持台4の上面を覆っている。カバー5は、基板本体22と同じ材料からなる。FPG3から基板本体22にプラズマが均一に照射されるように構成されている。カバー5がないと、FPG3から出るプラズマが金属製の保持台4にも照射され、金属部分を加工し、除去加工されたパーティクルが基板本体22に付着し、汚染する。この汚染を防ぐために、カバー5が必要である。なお、パーティクルの影響が小さい時、カバー5を省略しても本発明に影響を及ぼすものではない。
保持側電源8は、直流電源である。保持側電源8は、プラスの電極が保持台4側に接続され、マイナスの電極が真空チャンバ2側に接続されて、保持側回路13に直流電圧である保持側電圧を印加する。
プラズマ側電源9は、直流電源である。プラズマ側電源9は、プラスの電極が保持台4側に、マイナスの電極が真空チャンバ2側に接続されて、プラズマ側回路14に直流電圧であるプラズマ側電圧を印加する。プラズマ側電源9は、FPG3からプラズマを発射させるために、保持側電源8よりも出力が大きく、保持側電源8よりも高い電圧をプラズマ側回路14に印加できることが望ましい。
保持側スイッチ11とプラズマ側スイッチ12は、回路の通電状態のON・OFFを切り替えるスイッチである。保持側スイッチ11は保持側回路13を流れる電流のON・OFFの切り替えを、プラズマ側スイッチ12はプラズマ側回路14を流れる電流のON・OFFの切り替えを、それぞれ行う。
保持側スイッチ11は、通電側導線18と非通電側導線19とに選択的に接続される。通電側導線18は保持側電源8に電気的に接続されており、保持側スイッチ11の接続により保持側回路13はONとなり、保持側電源8の電圧を保持台4に印加させる。非通電側導線19は保持側電源8を経ずに保持台4に電気的に接続されており、保持側スイッチ11の接続により保持側回路13はOFFとなり、保持台4の電位がグランド10の電位に等しくなる。
なお、保持側スイッチ11およびプラズマ側スイッチ12は、回路を流れる電流の流量を0から最大まで段階的あるいは無段階に調整するものであってもよい。また、保持側スイッチ11およびプラズマ側スイッチ12は、マイクロコンピュータ等の制御装置(図示せず)によってON・OFFの切り替えが行われるものでもよいし、操作者が手動でON・OFFの切り替えを行うものであってもよい。
ガス導入部15は金属製の配管であり、真空チャンバ2内に、後述する第一工程S1や第二工程S2で用いるガスを導入させる。
排気部17は、金属製の配管であり、途中に排気ポンプ16が設けられている。排気部17は、排気ポンプ16が作動されると真空チャンバ2内に存在する各種のガスやパーティクルや埃等を外部に排出させる。
[基板本体]
この実施の形態において、基板本体22を構成する樹脂は、疎水表面を有するものであれば特に制限がないが、例えば、PTFEやPFAやPCTFEなどのフッ素樹脂、ポリイミド、またはLCPが挙げられる。具体的には、フッ素樹脂の場合、基板本体22の素材としての樹脂は、フッ素と炭素を含んでおり、樹脂の疎水表面から脱離する原子は主にフッ素と炭素である。分子結合が切れ、活性化した表面にヒドロキシル基を付与すること付与することで、フッ素樹脂の疎水表面を大きく親水化することができる。また、この現象は樹脂表面のみでおきている現象であり、その下のフッ素を含む樹脂の母材は、絶縁性が高く、比誘電率や誘電正接が小さく、信号の伝送損失が小さく、電気基板として優れている。
また、基板本体22の素材として用いられる樹脂は、上記の材質以外にも、全芳香族ポリエステルを含んでおり、樹脂の疎水表面から脱離する原子が酸素であってもよい。
[プラズマ]
この実施の形態において、FPG3から発せられるプラズマは、窒素およびアルゴンの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。窒素およびアルゴンの混合気体であっても良い。窒素またはアルゴンのイオンによって、基板本体22の素材として用いられる樹脂の表面から樹脂を構成する原子が脱離しやすいからである。
[処理工程]
図3は、この実施の形態の基板製造システム100における処理工程のフローチャートである。以下、同フローチャートを用いてこの実施の形態における基板の製造工程を説明する。
[第一工程]
基板製造システム100においては、まず、第一工程(ステップS1。以下「第一工程S1」と称する。)として、被処理部材である基板本体22の表面に照射されるイオンによって、基板表面の分子結合が切れ、基板を構成する樹脂の原子の少なくとも一部が脱離させることが行われる。
第一工程S1に先立ち、図1に示すゲート弁24を開き、真空予備室101内の軌道部32aに、基板本体22の端部を保持した可動部31を装着する。ゲート弁24を閉じ、真空予備室101内を減圧する。真空予備室101内の圧力が10Pa以下になったらゲート弁25を開く。
ゲート弁25を開いたのち、可動部31を第一処理室103の真空チャンバ2内に移動させて、ゲート弁25を閉じる。このとき、保持側スイッチ11、プラズマ側スイッチ12はそれぞれOFFになっており、保持側回路13もプラズマ側回路14も通電されていない状態である。なお、前述のとおり、保持側スイッチ11がOFFのときは、保持側スイッチ11は非通電側導線19に接続されて、保持台4の電位がグランド10の電位に等しくなっている。
第一工程S1においては、基板本体22の疎水表面(図1aの上面側)に第1のFPG3aからのプラズマを照射して、基板本体22の表面から基板本体22を構成する樹脂の原子の少なくとも一部を脱離させる。すなわち、第一工程S1では、基板本体22の疎水表面をプラズマで、特にプラズマ中のイオンを用いることで、基板本体22を構成する樹脂の表面を活性化させる。
具体的には、真空チャンバ2内を排気ポンプ16で減圧しながら、ガス導入部15から真空チャンバ2内に窒素、アルゴンの処理ガスを導入し、真空チャンバ2内を所定の圧力、例えば0.1Pa以上0.4Pa以下の0.3Paに調整する。
この状態で、図2に示すように、プラズマ側スイッチ12をオンにし、プラズマ側回路14に通電させると、プラズマ側電源9から第1のFPG3aに第二DC電圧を印加し、第1のFPG3aで処理ガスのプラズマが生成する。第2のFPG3bは、後述の第二工程S2で用いるため、この工程では通電されず、プラズマも生成されていない。
このとき、真空チャンバ2内の圧力が高過ぎる場合(例えば0.4Paを超えた場合)、処理ガスがグロー放電状態になり、プラズマ中のイオン7およびラジカル6の進行方向が制御できない。これに対して、真空チャンバ2内の圧力が適切な範囲であれば、処理ガスの暗放電状態を維持し、イオン7およびラジカル6の進行方向が制御できる。そこで、真空チャンバ2内の圧力を、例えば0.1Pa以上0.4Pa以下に調整する。なお、真空チャンバ2内の圧力は0.3Pa程度が好適である。
第1のFPG3aにより、真空チャンバ2内に充填された処理ガスのプラズマが生成され、図2に示すように方向性があるイオンおよびラジカルとなって基板本体22に照射される。この時は発生するイオンはプラスの極性を持ち、ラジカルは無極性である。
そして、図2に示すように、発生したイオン7やラジカル6が基板本体22に衝突し、主にイオン7の衝突の衝撃によって、基板本体22の表面から基板本体22を構成する樹脂の原子が脱離する。脱離した原子のほとんどは、排気ポンプ16の排気によって、排気部17から真空チャンバ2外に排出される。脱離した原子の一部は、真空チャンバ2内で浮遊しているか、浮遊後に真空チャンバ2の内壁または真空チャンバ2内の部品に付着する。しかし、本実施形態では、一般的なグロー放電の条件より真空チャンバ2内の圧力が低いので、チャンバ2内に浮遊している不純物(パーティクルなど)がほとんどない。このため、基板本体22の表面に不純物が付着して汚染されるような事態を抑止できる。
[第一工程の終了]
第一工程S1を終了させる際は、プラズマ側スイッチ12をOFFにしてプラズマ側回路14の通電状態を解除する。これにより、第1のFPG3aによる処理ガスのプラズマ生成は終了される。
[第一工程の終了後の通電状態]
なお、第一工程S1の終了から後述する第二工程S2の開始までの間は、保持側スイッチ11を通電側導線18に接続してONにすることで、保持側回路13に通電させる。これにより、保持台4及び保持台4上の基板本体22には保持側電源8による保持側電圧が印加される。保持側電圧は、第1のFPG3aの近傍側の第1の導電範囲(図示せず)に印加される。このとき、保持側電源8は、プラズマ側電源9の電圧の40%以上で以上で、プラズマ側電源9の電圧より小さい電圧が保持側回路13に印加させることが望ましい。
保持側回路13を構成する保持台4及び保持台4上の基板本体22には、保持側電圧としてのプラスの電圧が印加される。一方、保持側回路13を構成する真空チャンバ2の壁面は保持台4及び基板本体22よりも電位の低い状態となる。第1のFPG3aはプラス側で、対向する保持台4もプラス側であり、双方の電圧が近いために第1のFPG3aのプラズマ発生が起こりにくくなる。第一工程S1の終了から後述する第二工程S2の開始までの間に保持側電源8による保持側電圧を印加することにより、第1のFPG3aのプラズマ発生がしやすい環境を作り出すことができるようになる。
[第二工程]
真空チャンバ2において第一工程S1ののちに第二工程(ステップS2、以下「第二工程S2」と称する。)を行う場合、以下の手順で行う。
なお、この実施の形態においては、第一工程S1と第二工程S2とを同じ真空チャンバ2の中で行うことで、処理工程の簡素化と装置の小型化を図るものとする。しかし、第一工程S1を行う真空チャンバ2と第二工程S2を行う真空チャンバ(図示せず)とを別々に設けてもよい。第一工程S1を行う真空チャンバ2と第二工程S2を行う真空チャンバ(図示せず)とを別々に設けると、第一工程S1で基板本体22の表面から脱離した脱離成分が真空チャンバ2内を浮遊していても、第二工程S2においてその脱離成分が基板本体22の表面に付着するような事態を容易に防止できる効果を奏する。
この実施の形態においては、第一工程S1の後に排気ポンプ16による真空チャンバ2内の脱離成分の除去を適切に行うことで、第一工程S1に由来する浮遊物が第二工程S2に影響を及ぼす事態を回避するものとしている。
第一工程S1の終了後、基板本体22は真空チャンバ2内において保持台4上に保持した状態を維持させる。
次に、排気ポンプ16は作動させ続け、真空チャンバ2内の減圧状態を維持する。真空チャンバ2内に存在する、第一工程S1で使用した窒素および/またはアルゴンは、供給を停止すれば、排気ポンプ16によって真空チャンバ2の外にすぐに排出させられる。 そして、ガス導入部15から真空チャンバ2内に処理ガスである水蒸気を導入しながら、第二工程S2では真空チャンバ2内の圧力が第一工程S1の圧力の30%以上50%以下となるように、排気ポンプ16を制御して、真空チャンバ2内の圧力を調整する。これは、第一工程S1の圧力の30%以上50%以下の圧力で後述する第二工程S2の処理を行うことで、処理ガスのプラズマ中にラジカル6(ヒドロキシルラジカル)を最適に表面に付着させることができるからである。
処理ガスを真空チャンバ2内に導入したのち、図4に示すように、保持側スイッチ11を非通電側導線19に接続された状態から通電側導線18に接続された状態に切り替えて保持側回路13をONとし、保持側電源8の電圧を保持台4に印加させる。保持側電圧は、第2のFPG3bの近傍側の第2の導電範囲(図示せず)に印加される。なお、保持側回路13をONしたのち、もしくは保持側回路13のONと同時に処理ガスを真空チャンバ2内に導入しても良い。次に、プラズマ側回路14をONとし、プラズマ側電源9からFPG3に通電させる。図1に示すように第2のFPG3bにプラズマ側電圧が印加されることによって第2のFPG3bが作動し、真空チャンバ2内に充填された処理ガスのプラズマが生成する。
このとき、保持側電源8から保持台4に印加される第一DC電圧は、プラズマ側電源9から第2のFPG3bに印加される第二DC電圧より小さいことが好ましい。具体的には、保持側電源8からの第一DC電圧は、プラズマ側電源9から第2のFPG3bに印加される第二DC電圧の40%以上で、かつ、第二DC電圧よりも小さいことがさらに好ましい。
保持側電源8は保持台4及び基板本体22にプラスの電圧を印加し、プラズマ側電源9は第2のFPG3bにプラスの電圧を印加している。そして、第2のFPG3bと保持台4との電位がそれぞれプラス方向に形成されると共に、第2のFPG3b及び保持台4に対する(プラズマ側回路14及び保持側回路13を形成する)真空チャンバ2の電位がマイナス方向に形成される。また、第2のFPG3bと保持台4との電位差が小さくなる一方、FPG3と真空チャンバ2、保持台4と真空チャンバ2の電位差が大きくなっている。
この状態において、第2のFPG3bにより真空チャンバ2内の処理ガスにプラズマが発生すると、図5に示すように、プラズマ中のプラスのイオン7のほとんどは、電位差が大きい真空チャンバ2の方向に移動する。一方、プラズマ中の極性がないラジカル6(ヒドロキシルラジカル)は、基板本体22に照射される。
ラジカル6(ヒドロキシルラジカル)を基板本体22に照射することによって、基板本体22の表面にヒドロキシル基が導入される。しかも、イオン7は真空チャンバ2の壁面方向に移動してしまい、基板本体22にはイオン7がほとんど照射されないので、イオンの衝撃によって基板本体22の表面に導入されたヒドロキシル基が再び脱離するのを抑えられる。このように、基板本体22の表面には安定した親水性が付与される。ヒドロキシル基の導入によって、ヒドロキシル基が基板本体22の表面と安定して化学結合する。結合する量は、反応基がなくなるまで照射時間とともに増大する。ヒドロキシル基の増大とともに、接触角は小さくなってゆく。
第二工程S2によって表面にヒドロキシル基が導入された基板本体22の表面は、水との接触角が10°以下、より望ましくは6°以下となっていることが望ましく、適切な照射時間が設定される。このようにすれば、後述する第三工程S3や第四工程S4において、基板本体22の表面と金属膜23とが強固に密着する。
[第一工程と第二工程の圧力と温度]
なお、第一工程も第二工程も、真空チャンバ2の内部を減圧した状態において行われることが好ましい。また、第一工程の後、減圧状態が維持されたまま第二工程が行われることが好ましい。第一工程で基板本体30を構成する樹脂の表面が活性化された状態を維持したまま、基板本体22を構成する樹脂の表面にヒドロキシル基が導入できるからである。なお、第二工程を経た樹脂の表面は、親水性が長期間、例えば1か月以上にわたって維持される。それゆえ、第二工程の後、ただちに基板本体22を大気圧中に開放してもよい。
第一工程S1は0.1Pa以上0.4Pa以下である第一圧力で行われ、第二工程S2は、第一圧力の30%以上50%以下である第二圧力で行われることが好ましい。これは、第一工程S1では、プラズマ中のイオンおよびラジカルの進行方法が制御しやすいからであり、第二工程では、基板本体22の表面にイオンがほとんど照射されなくなり、ヒドロキシルラジカルが基板本体22の表面に照射されやすくなるからである。
なお、第二工程S2は、基板本体22の温度を150℃以上300℃以下にして行われることが好ましい。ヒドロキシル基と基板本体22を構成する樹脂の表面の化学反応が促進され、ヒドロキシル基が基板本体22を構成する表面に強固に導入されるからである。
[第二工程後の通電状態]
第二工程S2において、プラズマ側電源9をOFFにして第2のFPG3bへの第二DC電圧の印加を止めた後も、図5に示すように、保持側スイッチ11は通電側導線18に接続し、保持側回路13はONのままとしておくことが望ましい。保持側回路13をONとし、保持側電源8から保持台4及び基板本体22にプラスの電圧が印加されて、保持側回路13の保持台4側がプラス、真空チャンバ2側がマイナスの電位となることで、真空チャンバ2内のプラスのイオンが、電位差の大きい真空チャンバ2の壁面側に引き寄せられる。これにより、プラズマ側電源9をOFFにした後も、イオンの衝撃によって基板本体22の表面に導入されたヒドロキシル基が再び脱離するのを抑えられる。また、保持側電源8から保持台4及び基板本体22にプラスの電圧が印加されることで、保持台4で発生しているわずかなグロー放電で、残存しているヒドロキシル基も付着させることができる。
なお、第二工程S2において、プラズマ側電源9をOFFにしたのち、保持側回路13をONのままとしておく時間の長さはどのようなものでもよい。具体的には、プラズマ側電源9が右側のFPG3にプラズマ側電圧を印加する時間よりも保持側電源8が保持台4や基板本体22に保持側電圧を印加する時間の方が長くなり、イオンによって基板本体22の表面の脱離が進行する事態を抑止できる時間であればよい。
本説明において、説明を分かりやすくするために、第一工程S1用に第1のFPG3a、第二工程S2用に右側のFPG3としたが、第一工程S1用に第2のFPG3bを用いても良い。その場合、第1のFPG3a、第2のFPG3bからそれぞれ発生するプラズマが干渉しないように互いが並行な向きになっていることが望ましい。また、第二工程S2用の第2のFPG3bに対向する保持台4において、保持台4全面に印可するのではなく、第2のFPG3bと対向する範囲にプラスの電圧を印可させる方が良い(すなわち、前述した第2の導電範囲(図示せず)を、第2のFPG3bに対向する範囲に略等しい範囲に形成するのが望ましい。)。このように構成することで、第2のFPG3bと対向していない部分で、保持台4による放電によるプロセス環境の変化を防ぐことができる。第2のFPG3bを基板本体22の位置によって、首振りする場合は、対応する保持台4の位置が変わるので、第2のFPG3bの照射位置に応じて、保持台4に印可する範囲(前述した第2の導電範囲(図示せず))を変更することが望ましい。同様に、第1のFPG3aを首振りする場合は、第1のFPG3aの照射位置に応じて、保持台4にに印加する範囲(前述した第1の導電範囲(図示せず)を変更することが望ましい。
[第三工程、第四工程]
第二工程S2ののち、ゲート弁26を開放し、基板本体22を第三工程を行う第二処理室104に収容する。なお、基板本体22を第二処理室104に収容したのち、保持側スイッチ11は非通電側導線19に接続して、保持側回路13はOFFとする。
第二処理室104では、基板本体22に対して第三工程(ステップS3、以下「第三工程S3」と称する。)による処理が行われる。
第三工程S3では、第一工程S1と第二工程S2を経た基板本体22の表面に金属膜23を蒸着する。金属膜23の蒸着は、例えばCVD法(化学気相成長法)やPVD法(スパッタリング法)等によって行う。金属膜23としては、銅膜、銀膜、または金膜などが挙げられる。図1には、第二処理室104にCVD法のためのヒータ29が設けられた状態を示す。
第三工程S3が終了したのち、ゲート弁27を開き、可動部31を真空予備室102内に移動させ、ゲート弁27を閉じる。真空予備室102内を大気圧にしてから、ゲート弁38を開けて、完成した基板21を取り出す。
第四工程(ステップS4、以下「第四工程S4」と称する。)では、基板製造システム100から取り出し、オフラインで基板本体22の表面に金属のメッキ加工や熱圧着加工を行う。第四工程S4でメッキ加工や熱圧着加工に用いる金属は、第三工程S3で用いる金属と同様の、銅、銀、または金などがあげられる。
また、第四工程S4は第三工程S3を行わずに独自に行ってもよいが、第三工程S3で基板本体22の表面に金属膜23を構成した後に行うことが望ましい。第三工程S3で金属膜の蒸着を行った場合、第四工程S4では、同じ金属のメッキ加工または熱圧着加工でさらに接合し、基板本体22の表面に金属膜23などの金属層を形成する。
なお、第二処理室104では、第三工程S3のあと、基板製造システム100から取り出しすることなく、真空中で第四工程S4を行ってもよい。この場合は、第三工程S3で基板本体22上に形成された金属膜23の上に、金属箔を形成する。一環して真空内で処理するので、大気によるCu膜の酸化による影響を受けずに金属箔と密着できる。このことにより高い密着度を得ることができる。
[基板本体やヒドロキシル基の変形例]
なお、この実施の形態においては、基板本体22を構成する樹脂がポリテトラフルオロエチレンであり、第二工程S2でヒドロキシル基に置換される原子がフッ素であってもよい。また、基板本体22を構成する樹脂が全芳香族ポリエステルを含む液晶ポリマーであってもよい。
[作用効果]
以上、この実施の形態においては、プラズマを照射する対象となる樹脂である基板本体22にDC電圧としての保持側電圧を印加する保持側回路13の、保持台4に保持されて、樹脂に保持側電圧を印加する時間と、ガス導入部15によって導入されたガスをプラズマ化するFPG3に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路14の、FPG3にプラズマ側電圧を印加する時間とが、別々になるように設定されていることにより、FPG3がイオンやラジカルを発生させて保持台4に保持された樹脂にイオンやラジカルを照射させるタイミングと、保持台4や保持台4に保持された基板本体22の周囲の電位の状態とを自在に調整し、真空チャンバ2内に基板本体22が収容されている間の基板本体22に対してイオンやラジカルが作用するタイミングや状態を自在に調整できる。これにより、基板本体22の表面にラジカルを好適な状態で付与できて、基板本体22と、基板本体22の表面の金属膜23などの金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
この実施の形態においては、プラズマ側回路14により基板本体22にプラズマ照射されることにより基板本体22を構成する原子の少なくとも一部が離脱した状態の基板本体22に、ヒドロキシル基を付与する工程において、基板本体22に対してイオンやラジカルが作用するタイミングや状態を自在に調整できる。これにより、基板本体22の表面にラジカルを好適な状態で付与できて、樹脂製の基板本体22と、基板本体22の表面の金属膜23などの金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
この実施の形態においては、プラズマ側回路14の印加時間調整部としてのプラズマ側スイッチ12のON,OFF制御により、保持側回路13が保持台4に保持側電圧を印可する時間よりも、プラズマ側回路14がプラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定されたことにより、FPG3によるプラズマ照射の工程の前後においても、保持台4に保持された基板本体22の周囲と真空チャンバ2内の基板本体22の周囲以外の部分とに電位差を発生させて、真空チャンバ2内のイオンやラジカルの分布状態を長時間にわたって容易に制御できる。これにより、基板本体22の表面に各種のラジカルを好適な状態で付与することができて、基板本体22と、基板本体22の表面の金属膜23などの金属層との間に高い密着力を与え、それらを強固に接合させることができる。
この実施の形態においては、プラズマ側電圧の印加をオンオフ制御するためのプラズマ側スイッチ12によって電圧の印加時間や印加タイミングを適切に調整し、基板本体22の表面の処理を簡易な操作で適切に行うことが可能となる。
この実施の形態においては、保持側電圧は、ガスを真空チャンバ2内に導入しガスをプラズマ化して基板本体22の表面に照射する工程で印加させることにより、FPG3が基板本体22の表面にプラズマを照射するときに保持側電圧によって基板本体22の電位の状態を調整し、基板本体22の表面に対するイオンやラジカルの接近や離間の状態を制御して、工程ごとの基板本体22の表面に対するイオンやラジカルの作用を適切に制御できる。
この実施の形態においては、FPG3にプラズマ側電圧としてのプラスの電圧を印加することで発生したプラズマにより、プラスのイオンを樹脂の表面に照射させ、イオンの衝突により樹脂の表面を脱離させることができる。また、樹脂に保持側電圧としてのプラスの電圧を印加することにより、FPG3と樹脂との電位差を小さくすると共にFPG3と基板本体22以外の部分との電位差を相対的に大きくし、プラスのイオンを基板本体22以外の部分に引き寄せ、基板本体22の表面へのイオンの衝突が継続すること抑止できる。これにより、プラズマによる基板本体22の表面の加工や表面改質のための制御を適切に行うことが可能になる。
この実施の形態においては、基板本体22が存在する位置に依存する保持台4の少なくとも一部に保持側電圧を印加することにより、基板本体22の存在する位置で、FPG3と基板本体22との電位差を小さくし、基板本体22の表面へのラジカルの付与を一層好適な状態でおこなうことが可能となる。
なお、上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、言うまでもない。すなわち、本発明の課題解決に適するものであれば、本実施の形態について、多様な変形例や応用例が考えられる。
本実施形態のプラズマ処理装置、およびプラズマ処理方法は、例えば、高速大容量の情報を通信する携帯電話に用いる回路基板の製造に用いられる。フッ素樹脂の比誘電率は空気の次に低いので、フッ素樹脂基板は、高周波基板の素材に特に適している。フッ素樹脂を用いた回路基板は、他の一般的な素材を用いた回路基板と比べて、高周波電流を流しても比誘電率および誘電正接が低く、誘電損失が小さい。
本実施形態のプラズマ処理装置、及びプラズマ処理方法をフッ素樹脂基板の製造に適用した場合、製造した基板の親水性が向上し、銅配線との密着性が向上でき、高周波数帯での使用に耐えうる回路基板が提供できる。この高周波数帯での使用に適用できる技術は、携帯電話本体にとどまらず、携帯電話の基地局に使われる基板、家庭内、工場内、もしくは地域専用の通信用の基板、または自動車もしくはドローンなどの自動運転に用いられるミリ波レーダー用の基板にも適用できる。また、本実施形態のプラズマ処理装置、及びプラズマ処理方法は、上記以外の多様な分野の基板の製造にも用いられる。
1・・・プラズマ処理装置
2・・・真空チャンバ(チャンバ)
3・・・FPG(プラズマ照射装置)
3a・・・第1のFPG(プラズマ照射装置)
3b・・・第2のFPG(プラズマ照射装置)
4・・・保持台(保持部)
13・・・保持側回路
14・・・プラズマ側回路
15・・・ガス導入部
22・・・基板本体(樹脂)

Claims (7)

  1. チャンバ内に存在する樹脂の表面にプラズマを照射し、前記樹脂の表面の濡れ性を改善するプラズマ処理装置であって、
    前記プラズマを照射する対象となる前記樹脂を保持する保持部を有し、該保持された前記樹脂にとしての保持側電圧を印加する保持側回路と、
    ガスを前記チャンバ内に導入するガス導入部と、
    前記ガスをプラズマ化するプラズマ照射装置を備え、該プラズマ照射装置に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路とを備え、
    前記保持側回路が、前記樹脂に前記保持側電圧を印加する時間と、前記プラズマ側回路が前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されており、
    前記プラズマ側回路は、前記保持側回路に前記保持側電圧を印可する時間よりも、前記プラズマ側回路が前記プラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定するための印加時間調整部を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記プラズマ側回路は、前記プラズマ側回路により前記樹脂にプラズマ照射されることにより樹脂を構成する原子の少なくとも一部が離脱した状態の樹脂に、ヒドロキシル基を付与する工程のために、前記保持側電圧を印可する時間と、前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記プラズマ側回路の前記印加時間調整部は、前記プラズマ照射装置に対する前記プラズマ側電圧の印加をオンオフ制御するためのスイッチであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記保持側回路は、前記ガスを前記チャンバ内に導入し前記ガスをプラズマ化して前記樹脂の表面に照射する工程で前記保持側電圧をプラズマ側回路と独立して印加させることを特徴とする請求項1乃至の何れか一つに記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記プラズマ側回路は、前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧のプラスの電圧を印加すると共に、前記保持側回路は、前記樹脂に前記保持側電圧のプラスの電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至の何れか一つに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記保持側回路は、前記樹脂が存在する位置に依存する前記保持部の少なくとも一部に前記保持側電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至の何れか一つに記載のプラズマ処理装置。
  7. プラズマを照射する樹脂が収容されるチャンバと、
    前記プラズマを照射する対象となる前記樹脂を保持する保持部を有し、該保持された前記樹脂にとしての保持側電圧を印加する保持側回路と、
    ガスを前記チャンバ内に導入するガス導入部と、
    前記ガスをプラズマ化するプラズマ照射装置を備え、該プラズマ照射装置に対し、DC電圧としてのプラズマ側電圧が印加されるように構成されたプラズマ側回路とを備え、
    前記チャンバ内に存在する樹脂の表面にプラズマを照射し、前記樹脂の表面の濡れ性を改善するプラズマ処理方法であって、
    前記保持側回路が、前記樹脂に前記保持側電圧を印加する時間と、前記プラズマ側回路が前記プラズマ照射装置に前記プラズマ側電圧を印加する時間とが別々になるように設定されており、
    前記プラズマ側回路は、前記保持側回路に前記保持側電圧を印可する時間よりも、前記プラズマ側回路が前記プラズマ側電圧を印加する時間が短くなるように設定するための印加時間調整部を備えていることを特徴とするプラズマ処理方法。
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