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JP7608079B2 - 溶接方法および溶接装置 - Google Patents
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JP7608079B2 - 溶接方法および溶接装置 - Google Patents

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本発明は、溶接方法および溶接装に関する。
従来、レーザ光を照射することによりバスバーや端子のような金属導体同士を溶接する溶接方法が、知られている(例えば、特許文献1)。
特開2017-168340号公報
この種の溶接においては、いずれか一方の金属導体にめっき層が形成されている場合がある。溶接の際にめっき層を形成していた材料が溶融して溶接部に混入すると、接合強度が弱くなる虞がある。
その対策として、溶接の前に別途パルスレーザを照射するなどによりめっき層を除去する処理が行われる場合があった。しかしながら、その場合には、めっき層を除去する工程の分、加工時間が長くなってしまう上、加工の手間やコストが増大してしまうという問題があった。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、めっき層が形成された金属導体を含む複数の導体を溶接する場合にあっても当該溶接の前に別途めっき層を除去する処理を行う必要のない溶接方法、溶接装置、および金属導体の溶接構造を得ること、である。
本発明の溶接方法は、例えば、めっき層が形成された金属導体を少なくとも一つ含む複数の金属導体である加工対象の表面にレーザ光を照射して溶接する溶接方法であって、前記レーザ光は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長の第一レーザ光と、500[nm]以下の波長の第二レーザ光と、を含み、前記第二レーザ光の照射により前記めっき層を除去する。
前記溶接方法では、例えば、前記第二レーザ光の波長は、400[nm]以上かつ500[nm]以下である。
前記溶接方法では、例えば、前記めっき層は、錫めっき層である。
前記溶接方法では、例えば、前記複数の金属導体のうち少なくとも一つの金属導体は、銅系材料で作られている。
前記溶接方法では、例えば、前記レーザ光は、当該レーザ光の表面上で掃引方向に掃引され、前記表面上において、前記第二レーザ光によって前記表面上に形成される第二スポットの少なくとも一部は、前記第一レーザ光によって前記表面上に形成される第一スポットよりも前記掃引方向の前方に位置している。
前記溶接方法では、例えば、前記表面上において、前記第一スポットと前記第二スポットとは少なくとも部分的に重なっている。
前記溶接方法では、例えば、前記表面上において、前記第二スポットの第二外縁は、前記第一スポットの第一外縁を取り囲んでいる。
前記溶接方法では、例えば、前記表面上において、前記第二レーザ光のパワー密度が、0.16[MW/cm]以上かつ1.5[MW/cm]以下である。
前記溶接方法では、例えば、前記複数の金属導体のうち前記表面を有した金属導体の厚さは、0.5[mm]以上かつ1[mm]未満であり、前記第一レーザ光によって前記表面が前記レーザ光と垂直な平面である場合の当該平面上に形成される第一スポットのスポット径は、20[μm]以上かつ80[μm]以下であり、前記第一レーザ光のパワーは、0.3[kW]以上かつ6[kW]以下であり、前記第二レーザ光によって前記表面が前記レーザ光と垂直な平面である場合の当該平面上に形成される第一スポットのスポット径は、50[μm]以上かつ400[μm]以下であり、前記第二レーザ光のパワーは、0.05[kW]以上かつ1[kW]以下である。
前記溶接方法では、例えば、前記複数の金属導体の溶接部における前記レーザ光の照射方向の単位体積あたりの前記第一レーザ光のエネルギ密度は、200[J/mm]以上であり、前記溶接部における前記レーザ光の照射方向の単位体積あたりの前記第二レーザ光のエネルギ密度は、5[J/mm]以上かつ49[J/mm]以下である。
また、本発明の溶接装置は、例えば、レーザ発振器と、前記レーザ発振器からのレーザ光をめっき層が形成された金属導体を少なくとも一つ含む複数の金属導体に照射する光学ヘッドと、を備え、前記複数の金属導体を溶接する、溶接装置であって、前記レーザ光は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長の第一レーザ光と、500[nm]以下の波長の第二レーザ光と、を含み、前記第二レーザ光の照射により前記めっき層を除去する。
前記溶接装置は、例えば、前記レーザ光を複数のビームに分割するビームシェイパを備えている。
前記溶接装置は、例えば、前記レーザ光を前記表面上で掃引方向に掃引するよう、前記レーザ光の照射方向を変化させるガルバノスキャナを備えている。
前記溶接装置は、例えば、前記レーザ光によって前記表面上に形成されるスポットの所定位置に対するずれを検出する検出機構と、前記ずれを補正する補正機構と、を備えている。
前記溶接装置は、例えば、前記補正機構は、前記複数の金属導体と前記光学ヘッドとの相対位置を変更する。
前記溶接装置では、例えば、前記補正機構は、前記レーザ光を前記表面上で掃引方向に掃引するよう、前記レーザ光の照射方向を変化させるガルバノスキャナを含む。
また、本発明の金属導体の溶接構造は、例えば、めっき層が形成された第一金属導体を少なくとも一つ含む複数の金属導体と、前記複数の金属導体を溶接した溶接部と、を備えた、金属導体の溶接構造であって、前記溶接部は、前記金属導体の溶接構造の表面から当該表面と交差した方向に延びた溶接金属と、当該溶接金属の周囲に位置される熱影響部と、を有し、前記溶接金属は、第一部位と、前記表面と交差した方向に沿った断面における結晶粒の断面積の平均値が前記第一部位よりも大きい第二部位と、を有している。
前記金属導体の溶接構造では、例えば、前記溶接部は、前記表面に沿って延びている。
前記金属導体の溶接構造では、例えば、前記溶接部は、前記第一金属導体を貫通し、当該第一金属導体から別の金属導体にかけて延びている。
前記金属導体の溶接構造では、例えば、前記溶接部は、前記第一金属導体と当該第一金属導体と隣接した別の金属導体との間の境界に沿って延びている。
前記金属導体の溶接構造では、例えば、前記溶接部は、前記第一金属導体と当該第一金属導体と隣接した別の金属導体との間の境界を跨ぐように延びている。
本発明によれば、例えば、めっき層が形成された金属導体を含む複数の導体を溶接する場合にあっても当該溶接の前に別途めっき層を除去する処理を行う必要のない溶接方法、溶接装置、および金属導体の溶接構造を得ることができる。
図1は、第1実施形態のレーザ溶接装置の例示的な概略構成図である。 図2は、第1実施形態のレーザ溶接装置によって加工対象の表面上に形成されるレーザ光のビーム(スポット)を示す例示的な模式図である。 図3は、照射するレーザ光の波長に対する各金属材料の光の吸収率を示すグラフである。 図4は、実施形態の溶接部の例示的かつ模式的な断面図である。 図5は、実施形態の溶接部の一部を示す例示的かつ模式的な断面図である。 図6は、実施形態のレーザ溶接装置による第一レーザ光のパワー密度と第二レーザ光のパワー密度との組み合わせにおける溶接の実験結果を示すグラフである。 図7は、第1実施形態のレーザ溶接装置に含まれる回折光学素子の原理の概念を示す説明図である。 図8は、実施形態の金属導体の溶接構造の一例を示す模式的な平面図である。 図9は、図8のIX-IX断面図である。 図10は、実施形態の金属導体の溶接構造の一例を示す模式的な平面図である。 図11は、図10のXI-XI断面図である。 図12は、実施形態の金属導体の溶接構造の一例を示す模式的な平面図である。 図13は、図12のXIII-XIII断面図である。 図14は、実施形態の金属導体の溶接構造の一例を示す模式的な平面図である。 図15は、実施形態の金属導体の溶接構造の一例を示す図9と同等位置での模式的な断面図である。 図16は、第2実施形態のレーザ溶接装置の例示的な概略構成図である。 図17は、第3実施形態のレーザ溶接装置の例示的な概略構成図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。Z方向は、加工対象Wの表面Wa(加工面、溶接面)の法線方向である。また、各図では、便宜上、レーザ光Lの表面Waにおける掃引方向SDがX方向に沿っている例が図示されているが、掃引方向SDは、表面Waに沿うとともにZ方向と交差していればよく、X方向のみに沿うものではない。
また、本明細書において、序数は、部品や、部材、部位、レーザ光、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先度や順番を示すものではない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のレーザ溶接装置100の概略構成図である。図1に示されるように、レーザ溶接装置100は、レーザ装置111と、レーザ装置112と、光学ヘッド120と、光ファイバ130と、コントローラ141と、を備えている。レーザ溶接装置100は、溶接装置の一例である。
レーザ装置111,112は、それぞれ、レーザ発振器を有しており、例えば、数kWのパワーのレーザ光を出力できるよう構成されている。レーザ装置111,112は、380[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長のレーザ光を照射する。レーザ装置111,112は、内部に、例えば、ファイバレーザや、半導体レーザ(素子)、YAGレーザ、ディスクレーザのような、レーザ光源を有している。レーザ装置111,112は、複数の光源の出力の合計として、数kWのパワーのマルチモードのレーザ光を出力できるよう構成されてもよい。
レーザ装置111は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長の第一レーザ光を出力する。レーザ装置111は、第一レーザ装置の一例である。一例として、レーザ装置111は、レーザ光源として、ファイバレーザかあるいは半導体レーザ(素子)を有する。レーザ装置111が有するレーザ発振器は、第一レーザ発振器の一例である。
他方、レーザ装置112は、500[nm]以下の波長の第二レーザ光を出力する。レーザ装置112は、第二レーザ装置の一例である。一例として、レーザ装置112は、レーザ光源として、半導体レーザ(素子)を有する。レーザ装置112は、400[nm]以上かつ500[nm]以下の波長の第二レーザ光を出力するのが好適である。レーザ装置112が有するレーザ発振器は、第二レーザ発振器の一例である。
光ファイバ130は、それぞれ、レーザ装置111,112から出力されたレーザ光を光学ヘッド120に導く。
光学ヘッド120は、レーザ装置111,112から入力されたレーザ光を、加工対象Wに向かって照射するための光学装置である。光学ヘッド120は、コリメートレンズ121と、集光レンズ122と、ミラー123と、フィルタ124と、を備えている。コリメートレンズ121、集光レンズ122、ミラー123、およびフィルタ124は、光学部品とも称されうる。
光学ヘッド120は、加工対象Wの表面Wa上でレーザ光Lの照射を行いながらレーザ光Lを掃引するために、加工対象Wとの相対位置を変更可能に構成されている。光学ヘッド120と加工対象Wとの相対移動は、光学ヘッド120の移動、加工対象Wの移動、または光学ヘッド120および加工対象Wの双方の移動により、実現されうる。
なお、光学ヘッド120は、図示しないガルバノスキャナ等を有することにより、表面Wa上でレーザ光Lを掃引可能に構成されてもよい。
コリメートレンズ121(121-1,121-2)は、それぞれ、光ファイバ130を介して入力されたレーザ光をコリメートする。コリメートされたレーザ光は、平行光になる。
ミラー123は、コリメートレンズ121-1で平行光となった第一レーザ光を反射する。ミラー123で反射した第一レーザ光は、Z方向の反対方向に進み、フィルタ124へ向かう。なお、第一レーザ光が光学ヘッド120においてZ方向の反対方向へ進むように入力される構成にあっては、ミラー123は不要である。
フィルタ124は、第一レーザ光を透過し、かつ第二レーザ光を透過せずに反射するハイパスフィルタである。第一レーザ光は、フィルタ124を透過してZ方向の反対方向へ進み、集光レンズ122へ向かう。他方、フィルタ124は、コリメートレンズ121-2で平行光となった第二レーザ光を反射する。フィルタ124で反射した第二レーザ光は、Z方向の反対方向に進み、集光レンズ122へ向かう。
集光レンズ122は、平行光としての第一レーザ光および第二レーザ光を集光し、レーザ光L(出力光)として、加工対象Wへ照射する。
また、レーザ溶接装置100は、コントローラ141と、コントローラ141によって作動を制御される被制御機構とを備えている。本実施形態では、レーザ溶接装置100は、被制御機構として、例えば、駆動機構150を備えている。
駆動機構150は、加工対象Wに対する光学ヘッド120の相対的な位置を変更する。駆動機構150は、例えば、モータのような回転機構や、当該回転機構の回転出力を減速する減速機構、減速機構によって減速された回転を直動に変換する運動変換機構等を、有する。コントローラ141は、加工対象Wに対する光学ヘッド120のX方向、Y方向、およびZ方向における相対位置が変化するよう、駆動機構150を制御することができる。なお、コントローラ141は、レーザ装置111,112や、カメラ170の作動を制御してもよい。
また、レーザ溶接装置100は、カメラ170と、カメラ170へ光を導く光学部品としてのフィルタ127およびミラー128と、を有している。フィルタ127は、ミラー123とフィルタ124との間に設けられている。フィルタ127は、ミラー123からの第一レーザ光をフィルタ124へ向けて透過するとともに、表面Waからの光(例えば、可視光)をミラー128に向けて反射する。ミラー128で反射した光は、カメラ170に入力される。このような構成により、カメラ170は、表面Wa上の画像を撮影することができる。カメラ170による撮影画像には、例えば、表面Waの画像と、レーザ光Lによるビーム(スポット)の画像とが、含まれうる。よって、カメラ170による撮影画像は、表面Wa上に形成されるスポットの所定位置に対するずれの検出結果と言うことができ、カメラ170は、当該ずれを検出するセンサの一例であると言うことができる。なお、撮影画像の画角におけるスポットの位置が固定している場合にあっては、撮影画像には、レーザ光Lの照射目標が含まれていればよく、スポットの画像は含まれている必要は無い。カメラ170およびコントローラ141は、検出機構の一例である。
また、コントローラ141は、カメラ170による撮影画像から、スポットの所定位置に対するずれを検出し、当該ずれを補正するよう、駆動機構150を制御することができる。また、コントローラ141は、当該ずれが所定の閾値以内となるようフィードバック制御を実行してもよい。コントローラ141および駆動機構150は、補正機構の一例である。このような構成により、レーザ光の照射位置の精度を高めることができる。
加工対象Wは、複数の金属導体11,12を有した溶接構造10である。金属導体11,12は、溶接部14によって接合されている。
溶接構造10は、レーザ溶接装置100によって溶接されるに際し、不図示の固定具によって一体的に仮止めされ、例えば、表面Waの法線方向がZ方向と略平行となる姿勢で、セットされる。図1に示される構成では、一例として、表面Waは、溶接構造10の被溶接部分において、Z方向の端部でZ方向と交差するとともに直交して広がっている。表面Waは、レーザ光Lの被照射面とも称されうる。
光学ヘッド120は、レーザ光Lを、表面Waに向けて、Z方向の反対方向に照射する。表面Waは、レーザ光Lの照射面であり、光学ヘッド120と面した対向面とも称されうる。Z方向の反対方向は、レーザ光Lの照射方向と称されうる。
このようなレーザ光Lの照射により、溶接部14は、表面Waから、Z方向の反対方向に向けて延びることになる。Z方向の反対方向は、溶接部14の深さ方向とも称されうる。溶接部14の深さ方向は、レーザ光Lの照射方向でもある。
また、レーザ光Lが照射されている状態で、駆動機構150の作動によって光学ヘッド120が加工対象Wに対して掃引方向SDに相対的に移動することにより、表面Wa上でレーザ光Lが当該掃引方向SDに掃引される。これにより、溶接部14は、図1と略同様の断面形状で、表面Waに沿って、掃引方向SD(図1ではX方向)にも延びることになる。掃引方向SDは、溶接部14の長手方向や延び方向とも称されうる。また、Z方向および掃引方向SDと交差する方向(図1ではY方向)は、溶接部14の幅方向とも称されうる。
図2は、平面である表面Wa上に照射されたレーザ光Lのビーム(スポット)を示す模式図である。ビームB1およびビームB2のそれぞれは、そのビームの光軸方向と直交する断面の径方向において、たとえばガウシアン形状のパワー分布を有する。ただし、ビームB1およびビームB2のパワー分布はガウシアン形状に限定されない。また、図2のように各ビームB1,B2を円で表している各図において、当該ビームB1,B2を表す円の直径が、各ビームB1,B2のビーム径である。各ビームB1,B2のビーム径は、そのビームのピークを含み、ピーク強度の1/e以上の強度の領域の径として定義する。なお、図示されないが、円形でないビームの場合は、掃引方向SDと垂直方向(図では、Y方向)における、ピーク強度の1/e以上の強度となる領域の長さをビーム径と定義できる。また、表面Waにおけるビーム径は、スポット径と称する。
図2に示されるように、本実施形態では、一例として、レーザ光Lのビームは、表面Wa上において、第一レーザ光のビームB1と第二レーザ光のビームB2とが重なり、ビームB2がビームB1よりも大きく(広く)、かつ、ビームB2の外縁B2aがビームB1の外縁B1aを取り囲むよう、形成されている。この場合、ビームB2のスポット径D2は、ビームB1のスポット径D1よりも大きい。表面Wa上において、ビームB1は、第一スポットの一例であり、ビームB2は、第二スポットの一例である。
また、本実施形態では、図2に示されるように、表面Wa上において、レーザ光Lのビーム(スポット)は、中心点Cに対する点対称形状を有しているため、任意の掃引方向SDについて、スポットの形状は同じになる。よって、レーザ光Lの表面Wa上での掃引のために光学ヘッド120と加工対象Wとを相対的に動かす移動機構を備える場合、当該移動機構は、少なくとも相対的に並進可能な機構を有すればよく、相対的に回転可能な機構は省略できる場合がある。
[波長と光の吸収率]
ここで、金属材料の光の吸収率について説明する。図3は、照射するレーザ光Lの波長に対する各金属材料の光の吸収率を示すグラフである。図3のグラフの横軸は波長であり、縦軸は吸収率である。図3には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、およびチタン(Ti)について、波長と吸収率との関係が示されている。
材料によって特性が異なるものの、図3に示されている各金属に関しては、一般的な赤外線(IR)のレーザ光(第一レーザ光)を用いるよりも、青や緑のレーザ光(第二レーザ光)を用いた方が、エネルギの吸収率がより高いことが理解できよう。この特徴は、銅(Cu)や、金(Au)等においては顕著となる。
使用波長に対して吸収率が比較的低い加工対象Wにレーザ光が照射された場合、大部分の光エネルギは反射され、加工対象Wに熱としての影響を及ぼさない。そのため、十分な深さの溶融領域を得るには比較的高いパワーを与える必要がある。その場合、ビーム中心部は急激にエネルギが投入されることで、昇華が生じ、キーホールが形成される。
他方、使用波長に対して吸収率が比較的高い加工対象Wにレーザ光が照射された場合、投入されるエネルギの多くが加工対象Wに吸収され、熱エネルギへと変換される。すなわち、過度なパワーを与える必要はないため、キーホールの形成を伴わず、熱伝導型の溶融となる。
本実施形態では、加工対象Wの第二レーザ光に対する吸収率が、第一レーザ光に対する吸収率よりも高くなるよう、第一レーザ光の波長、第二レーザ光の波長、および加工対象Wの材質が、選択される。この場合、掃引方向が図2に示される掃引方向SDである場合、レーザ光Lのスポットの掃引により、加工対象Wの溶接される部位(以下、被溶接部位と称する)には、まずは、第二レーザ光のビームB2の、図2におけるSDの前方に位置する領域B2fによって、第二レーザ光が照射される。その後、被溶接部位には、第一レーザ光のビームB1が照射され、その後、第二レーザ光のビームB2の、掃引方向SDの後方に位置する領域B2bによって、再度第二レーザ光が照射される。
したがって、被溶接部位には、まずは、領域B2fにおける吸収率が高い第二レーザ光の照射により、熱伝導型の溶融領域が生じる。その後、被溶接部位には、第一レーザ光の照射によって、より深いキーホール型の溶融領域が生じる。この場合、被溶接部位には、予め熱伝導型の溶融領域が形成されているため、当該熱伝導型の溶融領域が形成されない場合に比べて、より低いパワーの第一レーザ光によって所要の深さの溶融領域を形成することができる。さらにその後、被溶接部位には、領域B2bにおける吸収率が高い第二レーザ光の照射により、溶融状態が変化する。
また、発明者らの実験的な研究により、図2のようなビームのレーザ光Lの照射による溶接にあっては、スパッタやブローホールのような溶接欠陥を低減できることが確認されている。これは、ビームB1が到来する前にビームB2の領域B2fによって加工対象Wを予め加熱しておくことにより、ビームB2およびビームB1によって形成される加工対象Wの溶融池がより安定化するためであると推定できる。
[溶接方法]
レーザ溶接装置100を用いた溶接にあっては、まず、不図示の保持具によって金属導体11と金属導体12とが一体的に仮止めされた溶接構造10が、レーザ光Lが表面Waに照射されるようにセットされる。そして、ビームB1およびビームB2を含むレーザ光Lが表面Waに照射されている状態で、レーザ光Lと溶接構造10とが相対的に動かされる。これにより、レーザ光Lが表面Wa上に照射されながら当該表面Wa上を掃引方向SDに移動する(掃引する)。レーザ光Lが照射された部分は、溶融し、その後、温度の低下に伴って凝固することにより、溶接部14を介して金属導体11と金属導体12とが接合され、溶接構造10が一体化される。
[溶接部の断面]
図4は、加工対象Wに形成された溶接部14の断面図である。図4は、掃引方向SD(図4ではX方向)と垂直であるとともに厚さ方向(Z方向)に沿う断面図である。溶接部14は、掃引方向SD、すなわち図4の紙面と垂直な方向に、延びている。なお、図4は、厚さ2[mm]の1枚の銅板である加工対象Wに形成された溶接部14の断面を示している。複数の金属導体11,12に渡り形成される溶接部14の形態は、図4に示される1枚の金属材料である加工対象Wに形成された溶接部14の形態と略同等であると推定できる。
図4に示されるように、溶接部14は、表面WaからZ方向の反対方向に延びた溶接金属14aと、当該溶接金属14aの周囲に位置される熱影響部14bと、を有している。溶接金属14aは、レーザ光Lの照射によって溶融し、その後凝固した部位である。溶接金属14aは、溶融凝固部とも称されうる。また、熱影響部14bは、加工対象Wの母材が熱影響を受けた部位であって、溶融はしていない部位である。
溶接金属14aのY方向に沿う幅は、表面Waから離れるほど狭くなっている。すなわち、溶接金属14aの断面は、Z方向の反対方向に向けて細くなるテーパ形状を有している。
また、発明者らによる当該断面の詳細な分析により、溶接金属14aは、表面Waから離れた第一部位14a1と、第一部位14a1と表面Waとの間の第二部位14a2と、を含むことが判明した。
第一部位14a1は、第一レーザ光の照射によるキーホール型の溶融によって得られた部位であり、第二部位14a2は、第二レーザ光のビームB2中の掃引方向SDの後方に位置する領域B2bの照射による溶融によって得られた部位である。EBSD法(electron back scattered diffraction pattern、電子線後方散乱回折)による解析により、第一部位14a1と第二部位14a2とでは、結晶粒のサイズが異なっており、具体的には、X方向(掃引方向SD)と直交する断面において、第二部位14a2の結晶粒の断面積の平均値は、第一部位14a1の結晶粒の断面積の平均値よりも大きいことが判明した。
発明者らは、加工対象Wに、第一レーザ光のビームB1のみが照射された場合、すなわちビームB2中の掃引方向SDの後方に位置する領域B2bの照射が無かった場合には、第二部位14a2が形成されず、第一部位14a1が表面WaからZ方向の反対方向に深く延びていることを確認した。すなわち、本実施形態にあっては、ビームB2中の掃引方向SDの後方に位置する領域B2bの照射によって、表面Waの近くに第二部位14a2が形成されるため、第一部位14a1は、当該第二部位14a2に対して表面Waとは反対側、言い換えると、表面WaからZ方向の反対方向に離れた位置に、形成されていると推定できる。
図5は、溶接部14の一部を示す断面図である。図5は、EBSD法によって得られた結晶粒の境界を示している。また、図5中、一例として結晶粒径が13[μm]以下の結晶粒Aは、黒色に塗られている。なお、13[μm]は、物理的特性の閾値ではなく、当該実験結果の分析のために設定した閾値である。また、図5から、結晶粒Aは、第一部位14a1には比較的多く存在し、第二部位14a2には比較的少なく存在していることが明らかである。すなわち、第二部位14a2内の結晶粒の断面積の平均値は、第一部位14a1内の結晶粒の断面積の平均値よりも大きい。発明者らは、実験的な分析により、第二部位14a2内の結晶粒の断面積の平均値は、第一部位14a1内の結晶粒の断面積の平均値の1.8倍以上であることを確認した。
図5中の領域I内に示されているように、このような比較的サイズが小さい結晶粒Aは、表面WaからZ方向に離れた位置で、Z方向に細長く延びた状態で密集している。また、X方向(掃引方向SD)の位置が異なる複数箇所での分析から、結晶粒Aが密集した領域は、掃引方向SDにも延びていることが確認されている。掃引しながらの溶接であるため、掃引方向SDには結晶が同様の形態に形成されることが推定できる。
断面における外観あるいは硬度分布等からは第一部位14a1と第二部位14a2とを判別し難い場合にあっては、図4,5のような、溶接金属14aの表面Waにおける位置および幅wbから幾何学的に定めた第一領域Z1および第二領域Z2を、それぞれ、第一部位14a1および第二部位14a2としてもよい。一例として、第一領域Z1および第二領域Z2は、掃引方向SDと直交する断面において、幅wm(Y方向における等幅)で、Z方向に延びた四角形状の領域であり、第二領域Z2は、表面WaからZ方向に深さdまでの領域とし、第一領域Z1は、深さdよりもさらに深い領域、言い換えると深さdの位置に対して表面Waとは反対側の領域とすることができる。幅wmは、例えば、溶接金属14aの表面Waでの幅wb(ビード幅の平均値)の1/3とし、第二領域Z2の深さd(高さ、厚さ)は、例えば、幅wbの1/2とすることができる。また、第一領域Z1の深さは、例えば、第二領域Z2の深さdの3倍とすることができる。発明者らは、複数サンプルに対する実験的な分析により、このような第一領域Z1および第二領域Z2の設定において、第二領域Z2における結晶粒の断面積の平均値は、第一領域Z1における結晶粒の断面積の平均値よりも大きく、かつ、1.8倍以上となっていたことを確認した。このような判別も、溶接により、溶接金属14aにおいて第一部位14a1と第二部位14a2とが形成されていることの証拠となりうる。
[レーザ光のパワー密度]
図6は、加工対象Wの表面Wa上における第一レーザ光のパワー密度Pd1と第二レーザ光のパワー密度Pd2との組み合わせにおける溶接の実験結果を示すグラフである。図6中、「○」は、ブローホールが非常に少なかった場合(優)、「△」は、ブローホール数が少なかった場合、また、「×」は、ブローホールが多かった場合(不可)を示す。ここでは、一例として、「優」は、線状の溶接部位の単位長さ(例えば、1[cm])あたりのブローホール数が1個以下であった場合を示し、「良」は、溶接部位の単位長さあたりのブローホール数が2個以上かつ5個未満である場合を示し、「不可」は、溶接部位の単位長さあたりのブローホール数が5個以上であった場合を示す。また、この実験において、第一レーザ光の波長は、1070[nm]、出力は、1.5[kW]であり、第二レーザ光の波長は、450[nm]、出力は、150[W]であった。
図6に示されるように、第二レーザ光のパワー密度Pd2が、0.16[MW/cm]以上かつ1.5[MW/cm]以下である場合に、ブローホール数を抑制できることが判明した。これは、第二レーザ光のパワー密度Pd2が0.16[MW/cm](下限値)未満である場合には、銅板表面に吸収される光エネルギ量が不足することにより予熱効果が充分得られないからであり、パワー密度Pd2が1.5[MW/cm](上限値)よりも大きい場合には、第二レーザにおいてもキーホール型の溶融となるからであると、考えられる。
[DOE]
また、図1に示されるように、光学ヘッド120は、コリメートレンズ121-1とミラー123との間に、DOE125を有している。
DOE125は、第一レーザ光のビームB1の形状(以下、ビーム形状と称する)を成形する。図7に概念的に例示されるよう、DOE125は、例えば、周期の異なる複数の回折格子125aが重ね合わせられた構成を備えている。DOE125は、平行光を、各回折格子125aの影響を受けた方向に曲げたり、重ね合わせたりすることにより、ビーム形状を成形することができる。DOE125は、ビームシェイパとも称されうる。
なお、光学ヘッド120は、コリメートレンズ121-2の後段に設けられ第二レーザ光のビーム形状を調整するビームシェイパや、フィルタ124の後段に設けられ第一レーザ光および第二レーザ光のビーム形状を調整するビームシェイパ等を有してもよい。ビームシェイパによってレーザ光Lのビーム形状を適宜に整えることにより、溶接において溶接欠陥の発生をより一層抑制することができる。また、DOE125により、第一レーザ光のビームを、複数のビームに分割することができる。
[金属導体の厚さ、各ビームのスポット径、各ビームのパワー]
また、発明者らは、実験的な解析により、レーザ光Lが照射される表面Waを有する金属導体(図1の例では金属導体11)の厚さ、各ビームB1,B2の表面Wa上におけるビーム径(スポット径)、および各ビームB1,B2のパワーについて、溶接構造10において好適な溶接状態が得られる条件を見いだした。ここで、好適な溶接状態とは、ブローホールの状態が上記の「優」または「良」であることを意味する。
発明者らの実験的な解析により、金属導体11の、Z方向における厚さT(図1参照)が、0.2[mm]以上かつ1[mm]以下である場合にあっては、
ビームB1によるスポット径(第一スポット径)が、20[μm]以上かつ80[μm]以下であり、かつ、
ビームB1のパワー(レーザ装置111の出力)が、0.3[kW]以上かつ6[kW]以下であり、かつ、
ビームB2によるスポット径(第一スポット径)が、50[μm]以上かつ400[μm]以下であり、かつ、
ビームB1のパワー(レーザ装置112の出力)が、0.05[kW]以上かつ1[kW]以下である場合に、好適な溶接状態が得られることが、判明した。
[エネルギ密度]
また、発明者らは、当該実験的な解析において、溶接構造10の単位体積あたりのレーザ光の照射のエネルギ密度という新規な指標を導入し、当該エネルギ密度について、好適な溶接状態が得られる条件を見いだした。当該エネルギ密度は、以下の式(1)で表すことができる。
=P/(V×D×Ta) ・・・ (1)
ここに、Eは、エネルギ密度[J/mm]、Pは、レーザ装置によるレーザ光のパワー[W]、Vは、掃引速度[mm/s]、Dは、表面Waにおけるスポット径[mm]、Taは、溶接構造10のZ方向の厚さ[mm]である(図1参照)。ここでは、下付のnにより、各パラメータを区別しており、n=1は、第一レーザ光のパラメータ、n=2は、第二レーザ光のパラメータを示す。
発明者らの実験的解析によれば、溶接構造10のZ方向の厚さTaが0.2[mm]以上かつ1[mm]以下である場合においては、ビームB1のエネルギ密度Eが、200[J/mm]以上であり、かつ、ビームB2のエネルギ密度Eが、5[J/mm]以上かつ49[J/mm]以下である場合に、好適な溶接状態が得られることが判明した。
[溶接構造の例]
図8~15は、レーザ溶接装置100によって形成された溶接構造10(10-1~10-5)の例を示す。図8~15の例では、いずれも、金属導体11は、ハーネスの端部に接続された端子であり、金属導体12は、当該端子である金属導体11と溶接部14を介して電気的かつ機械的に接続されるバスバーである。なお、図8~15の例では、レーザ光Lの照射方向は、各溶接部14の深さ方向(後述)であり、Z方向の反対方向には限定されない。
また、図8~15の例では、いずれも、金属導体11は、平板状かつ円環状に形成されたリングを有している。また、金属導体12は、平板状の形状を有するとともに、厚さ方向(Z方向)の端面12aからZ方向に突出した突起12bを有している。突起12bは、Z方向に延びた円柱状の形状を有しており、金属導体11のZ方向に延びた円筒状の貫通孔11a(内周面)内に挿入されている。また、金属導体11のリング部のZ方向の端面と、突起12bの端面とは、略面一であり、Z方向と交差して広がっている。金属導体11のリング部と突起12bとによって、金属導体11と金属導体12との位置ずれや離間が抑制されている。このような構成において、金属導体11と金属導体12との間には、貫通孔11aと突起12bとの間の円筒状の境界BL1と、金属導体11と端面12aとの間の平面状かつ円環状の境界BL2と、が設けられる。なお、図8~15の例は一例に過ぎず、溶接構造10の例は、これら構成には限定されない。
金属導体11および金属導体12のうち少なくとも一方は、例えば、純銅のような、銅系材料で作られている。また、金属導体11および金属導体12のうち少なくとも一方の表面には、錫めっきのようなめっき層が形成されている。言い換えると、金属導体11および金属導体12のうち少なくとも一方(第一金属導体)には、めっき処理が施されている。このような複数の金属導体11,12の溶接の際に、めっき層を形成している材料が溶接部14に混入すると、溶接部14の接合強度が弱くなる虞がある。そこで、本実施形態のレーザ溶接装置100は、第一レーザ光と第二レーザ光とを含むレーザ光Lの照射によって溶接部14が形成される前に、めっき層が蒸発するよう、レーザ光Lに含まれる第二レーザ光を照射して被溶接部位を加熱する。一例として、図2に示されるように、第一レーザ光のビームB1に対して掃引方向SDの前方に第二レーザ光のビームB2の領域B2fがある場合には、ビームB1とビームB2とを表面Waに対して掃引方向SDに掃引することにより、被溶接領域にビームB1が照射されるよりも前に、ビームB2の領域B2fを照射して加熱することができる。この場合、例えば、レーザ装置111,112のパワーや、パワー密度、ビームB1,B2のスポット径、ビームB1,B2の配置、レーザ光Lの加工対象Wに対する相対的な掃引速度等を適宜に設定することにより、表面Waにおけるめっき層の融点を超えた温度上昇、当該温度上昇に基づくめっき層の蒸発、ならびに、高品質な溶接を、実現できる。めっき層の融点は、複数の金属導体11,12の双方の融点よりも低い。一例として、錫めっきである場合、めっき層の主成分である錫の融点は232℃である。発明者らは、ビームB1とビームB2とを含むレーザ光Lの照射ならびに当該レーザ光Lの掃引方向SDへの掃引によって、当該融点(232℃)を超えた温度上昇を実現できるとともに、高品質な溶接を実現できることを確認した。また、本実施形態では、ビームB1とビームB2とがレーザ光Lとして同時に照射されるとともに、例えば、ビームB1とビームB2とが、例えば、接したり少なくとも部分的に重なったりするなど、所定距離を超えて離間しないように配置されている。これにより、ビームB2によって加工対象Wに与えられるエネルギに加えて、ビームB1によって加工対象Wに与えられるエネルギも、溶接部14が形成される前の表面Waの温度上昇ならびにめっき層の蒸発に寄与する。このような設定によれば、より容易にあるいはより確実にめっき層を除去することができる。なお、ビームB1とビームB2とは、微少距離をあけて離間していてもよい。
図8は、一例としての溶接構造10-1(10)の平面図であり、図9は、図8のIX-IX断面図である。溶接構造10-1では、境界BL1に沿って円環状に延びる溶接部14が形成されている。また、溶接部14は、境界BL1と境界BL2との間の隅部に沿って延びている。溶接部14の深さ方向は、Z方向の反対方向であり、溶接部14の延び方向は、突起12bの周方向である。
図10は、一例としての溶接構造10-2(10)の平面図であり、図11は、図10のXI-XI断面図である。溶接構造10-2では、境界BL2に沿って円弧状に延びる溶接部14が形成されている。また、溶接部14は、金属導体11の外周面と端面12aとの間の隅部に沿って、言い換えると境界BL2の径方向外縁に沿って延びている。溶接部14の深さ方向は、Z方向の反対方向と突起12bの径方向内方との間の方向であり、溶接部14の延び方向は、突起12bの周方向である。
図12は、一例としての溶接構造10-3(10)の平面図であり、図13は、図12のXIII-XIII断面図である。溶接構造10-3では、金属導体11を貫通し境界BL2をZ方向に跨ぐ溶接部14が形成されている。溶接部14は、金属導体11から金属導体12にかけて延びている。また、溶接部14は、金属導体11の円環状部分の幅方向中央において、円環状に延びている。溶接部14の深さ方向は、Z方向の反対方向であり、溶接部14の延び方向は、突起12bの周方向である。
図14は、一例としての溶接構造10-4(10)の平面図である。溶接構造10-4でも、図12と同様、金属導体11を貫通し境界BL2をZ方向に跨ぐ溶接部14が形成されている。また、また、溶接部14は、円環状の境界BL2を当該円環の周方向と交差する方向(図14ではY方向)に跨いでいる。溶接部14の深さ方向は、Z方向の反対方向であり、溶接部14の延び方向は、Y方向である。
図15は、一例としての溶接構造10-5(10)の図9と同等位置での断面図である。溶接構造10-5では、溶接部14は、境界BL1,BL2の双方に沿って円環状に延びている。また、溶接部14は、境界BL1と境界BL2との間の隅部に沿って延びている。溶接部14の深さ方向は、Z方向の反対方向と突起12bの径方向外方との間の方向であり、溶接部14の延び方向は、突起12bの周方向である。
また、図15の例では、溶接部14は、金属導体11のZ方向の端面を通っていない。このように、金属導体11の表面に溶接部14が形成されないまでも、当該端面に第二レーザ光が照射されるなどにより、当該端面においてめっき層の成分である金属の融点を超える加熱状態が得られれば、当該端面においてめっき層を除去できる場合がある。すなわち、溶接部14が形成された領域から離れた部位、言い換えると溶接金属14aの露出部位から離れた部位においても、めっき層が除去される場合がある。このような方法によれば、めっき層の成分である金属の溶接部14への混入をより確実に抑制することができる。
以上、説明したように、本実施形態では、例えば、めっき層が形成された金属導体を含む複数の金属導体11,12を接合する溶接部14を、レーザ光Lの照射によって形成し、当該レーザ光Lは、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長のビームB1と500[nm]以下の波長のビームB2とを含み、ビームB2を形成する第二レーザ光によって、複数の金属導体11,12のうち少なくとも一方に形成されためっき層を除去する。
また、本実施形態では、例えば、第二レーザ光の波長は、400[nm]以上かつ500[nm]以下である。
このような方法によれば、例えば、第二レーザ光によってめっき層を除去することができるため、溶接部14にめっき層の成分である金属が混入して溶接部14の接合強度が低下するのを、抑制することができる。また、溶接の前に別途パルスレーザを照射するなどによりめっき層を除去する必要が無くなる分、加工時間をより短くすることができる上、加工の手間やコストをより低減することができる。さらに、ビームB1,B2を形成するレーザ光Lの照射により、スパッタやブローホールの少ないより高品質な溶接を実行することができるという利点も得られる。
また、本実施形態では、例えば、第一レーザ光と第二レーザ光とを含むレーザ光Lが表面Wa上で掃引方向SDに掃引され、溶接部14は、表面Waに沿って当該X方向に沿って延びている。
また、本実施形態では、例えば、表面Wa上において、第二レーザ光のビームB2(第二スポット)の少なくとも一部は、第一レーザ光のビームB1(第一スポット)よりも掃引方向SDの前方に位置している。
また、本実施形態では、例えば、表面Wa上において、ビームB1とビームB2とは少なくとも部分的に重なっている。
また、本実施形態では、例えば、表面Wa上において、ビームB2は、ビームB1よりも広い。
また、本実施形態では、例えば、表面Wa上において、ビームB2の外縁B2a(第二外縁)は、ビームB1の外縁B1a(第一外縁)を取り囲んでいる。
上述したように、発明者らは、表面Wa上にこのようなビームB1,B2を形成するレーザ光Lの照射による溶接にあっては、溶接欠陥をより一層低減できることを確認した。これは、上述したように、ビームB1が到来する前にビームB2の領域B2fによって加工対象Wを予め加熱しておくことにより、ビームB2およびビームB1によって形成される加工対象Wの溶融池がより安定化するためであると推定できる。よって、このようなビームB1,B2を有したレーザ光Lによれば、例えば、より溶接欠陥の少ないより溶接品質の高い溶接を実行することができる。また、このようなビームB1,B2の設定によれば、例えば、第一レーザ光のパワーをより低くすることができるという利点も得られる。また、ビームB1とビームB2とが同軸で照射される場合にあっては、光学ヘッド120と加工対象Wとの相対的な回転が不要となるという利点も得られる。
また、本実施形態では、例えば、複数の金属導体11,12のうちの少なくとも一つの金属導体は、銅系材料で作られており、めっき層は、例えば、錫めっき層である。本実施形態による効果は、このような構成である場合に得られる。
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態のレーザ溶接装置100Aの概略構成図である。図16に示されるように、本実施形態では、駆動機構150は、加工対象Wを光学ヘッド120に対して相対的に移動することにより、光学ヘッド120から照射されるレーザ光Lを表面Wa上で掃引する。駆動機構150の作動は、コントローラ141によって制御される。この場合、レーザ光Lを表面Wa上で掃引方向SDに掃引するためには、駆動機構150は、加工対象Wを、光学ヘッド120に対して掃引方向SDとは反対方向に移動する。
また、本実施形態でも、コントローラ141は、カメラ170による撮影画像から、スポットの所定位置に対するずれを検出し、当該ずれを補正するよう、駆動機構150を制御することができる。また、コントローラ141は、当該ずれが所定の閾値以内となるようフィードバック制御を実行してもよい。コントローラ141および駆動機構150は、補正機構の一例である。このような構成により、レーザ光の照射位置の精度を高めることができる。
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
図17は、第3実施形態のレーザ溶接装置100Bの概略構成図である。図17に示されるように、本実施形態では、光学ヘッド120は、フィルタ124と集光レンズ122との間に、ガルバノスキャナ126を有している。この点を除き、レーザ溶接装置100Bは、第1実施形態のレーザ溶接装置100と同様の構成を備えている。
ガルバノスキャナ126は、2枚のミラー126a,126bを有しており、当該2枚のミラー126a,126bの角度を制御することで、光学ヘッド120を移動させることなく、レーザ光Lの照射位置を移動させ、レーザ光Lを掃引することができる装置である。ミラー126a,126bの角度は、それぞれ、例えばコントローラ141によって制御された不図示のモータによって変更される。このような構成によれば、光学ヘッド120と加工対象Wとを相対的に移動する機構が不要になり、例えば、装置構成を小型化できるという利点が得られる。
また、本実施形態でも、コントローラ141は、カメラ170による撮影画像から、スポットの所定位置に対するずれを検出し、当該ずれを補正するよう、ガルバノスキャナ126を制御することができる。また、コントローラ141は、当該ずれが所定の閾値以内となるようフィードバック制御を実行してもよい。コントローラ141およびガルバノスキャナ126は、補正機構の一例である。このような構成により、レーザ光の照射位置の精度を高めることができる。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
例えば、金属導体の数は、3以上であってもよいし、その場合に、めっき層が形成された金属導体の数は、1以上である。
また、加工対象に対してレーザ光を掃引する際に、公知のウォブリングやウィービングや出力変調等により掃引を行い、溶融池の表面積を調節するようにしてもよい。
10,10-1~10-5…溶接構造
11…金属導体(第一金属導体)
11a…貫通孔
12…金属導体(第一金属導体)
12a…端面
12b…突起
14…溶接部
14a…溶接金属
14a1…第一部位
14a2…第二部位
14b…熱影響部
100,100A,100B…レーザ溶接装置(溶接装置)
111…レーザ装置(レーザ発振器)
112…レーザ装置(レーザ発振器)
120…光学ヘッド
121,121-1,121-2…コリメートレンズ
122…集光レンズ
123…ミラー
124…フィルタ
125…DOE(回折光学素子)
125a…回折格子
126…ガルバノスキャナ
126a,126b…ミラー
127…フィルタ
128…ミラー
130…光ファイバ
141…コントローラ(検出機構、補正機構)
150…駆動機構(補正機構)
170…カメラ(検出機構)
A…結晶粒
B1…ビーム(第一スポット)
B1a…外縁
B2…ビーム(第二スポット)
B2a…外縁
B2b…領域
B2f…領域
BL1,BL2…境界
C…中心点
D1…スポット径(外径)
D2…スポット径(外径)
…スポット径
d…深さ
,E,E…エネルギ密度
I…領域
L…レーザ光
Pd1,Pd2…パワー密度
…パワー
SD…掃引方向
T…(レーザ光が照射される金属導体の)厚さ
Ta…(加工対象の)厚さ
V…掃引速度
W…加工対象
Wa…表面
wb…(溶接金属の表面での)幅
X…方向
Y…方向
Z…方向
Z1…第一領域
Z2…第二領域

Claims (12)

  1. めっき層が形成された金属導体を少なくとも一つ含む複数の金属導体である加工対象の表面にレーザ光を照射しながら掃引して溶接部を形成することにより前記複数の金属導体を溶接する溶接方法であって、
    前記レーザ光は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長の第一レーザ光と、500[nm]以下の波長の第二レーザ光と、を含み、
    前記表面上において、前記第一レーザ光によって形成される第一スポットの全域は前記第二レーザ光によって形成される第二スポットと重なるとともに、前記第二スポットの第二外縁は、前記第一スポットの第一外縁を離隔して取り囲み、
    前記第二レーザ光の照射により前記めっき層を除去し、
    前記溶接部は、前記第二レーザ光によって形成され前記表面と接する第二部位と、前記第一レーザ光によって形成され前記第二部位に対して前記表面とは反対側に位置し当該第二部位と接する位置から前記レーザ光の照射方向に延びた第一部位と、を有し、
    前記表面上において、前記第二レーザ光のパワー密度が、0.16[MW/cm ]以上かつ1.5[MW/cm ]以下である、溶接方法。
  2. 前記第二レーザ光の波長は、400[nm]以上かつ500[nm]以下である、請求項1に記載の溶接方法。
  3. 前記めっき層の融点は、前記複数の金属導体の融点よりも低い、請求項1または2に記載の溶接方法。
  4. 前記複数の金属導体のうち少なくとも一つの金属導体は、銅系材料で作られている、請求項1~のうちいずれか一つに記載の溶接方法。
  5. 前記複数の金属導体のうち前記表面を有した金属導体の厚さは、0.5[mm]以上かつ1[mm]未満であり、
    前記第一レーザ光によって前記表面が前記レーザ光と垂直な平面である場合の当該平面上に形成される第一スポットのスポット径は、20[μm]以上かつ80[μm]以下であり、
    前記第一レーザ光のパワーは、0.3[kW]以上かつ6[kW]以下であり、
    前記第二レーザ光によって前記表面が前記レーザ光と垂直な平面である場合の当該平面上に形成される第一スポットのスポット径は、50[μm]以上かつ400[μm]以下であり、
    前記第二レーザ光のパワーは、0.05[kW]以上かつ1[kW]以下である、請求項1~のうちいずれか一つに記載の溶接方法。
  6. 前記複数の金属導体の溶接部における前記レーザ光の照射方向の単位体積あたりの前記第一レーザ光のエネルギ密度は、200[J/mm]以上であり、
    前記溶接部における前記レーザ光の照射方向の単位体積あたりの前記第二レーザ光のエネルギ密度は、5[J/mm]以上かつ49[J/mm]以下である、請求項1~のうちいずれか一つに記載の溶接方法。
  7. レーザ発振器と、
    めっき層が形成された金属導体を少なくとも一つ含む複数の金属導体である加工対象の表面に前記レーザ発振器からのレーザ光を照射しながら掃引して溶接部を形成する光学ヘッドと、
    を備え、前記複数の金属導体を溶接する、溶接装置であって、
    前記レーザ光は、800[nm]以上かつ1200[nm]以下の波長の第一レーザ光と、500[nm]以下の波長の第二レーザ光と、を含み、
    前記表面上において、前記第一レーザ光によって形成される第一スポットの全域は前記第二レーザ光によって形成される第二スポットと重なるとともに、前記第二スポットの第二外縁は、前記第一スポットの第一外縁を離隔して取り囲み、
    前記第二レーザ光の照射により前記めっき層を除去し、
    前記溶接部は、前記第二レーザ光によって形成され前記表面と接する第二部位と、前記第一レーザ光によって形成され前記第二部位に対して前記表面とは反対側に位置し当該第二部位と接する位置から前記レーザ光の照射方向に延びた第一部位と、を有し、
    前記表面上において、前記第二レーザ光のパワー密度が、0.16[MW/cm ]以上かつ1.5[MW/cm ]以下である、溶接装置。
  8. 前記レーザ光を複数のビームに分割するビームシェイパを備えた、請求項に記載の溶接装置。
  9. 前記レーザ光を前記表面上で掃引方向に掃引するよう、前記レーザ光の照射方向を変化させるガルバノスキャナを備えた、請求項またはに記載の溶接装置。
  10. 前記レーザ光によって前記表面上に形成されるスポットの所定位置に対するずれを検出する検出機構と、
    前記ずれを補正する補正機構と、
    を備えた、請求項のうちいずれか一つに記載の溶接装置。
  11. 前記補正機構は、前記複数の金属導体と前記光学ヘッドとの相対位置を変更する、請求項10に記載の溶接装置。
  12. 前記補正機構は、前記レーザ光を前記表面上で掃引方向に掃引するよう、前記レーザ光の照射方向を変化させるガルバノスキャナを含む、請求項10に記載の溶接装置。
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