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JP7608765B2 - 離型剤スラリーの散布方法及びこれを用いたアノード鋳造方法 - Google Patents
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離型剤スラリーの散布方法及びこれを用いたアノード鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅製錬等の非鉄金属製錬プロセスにおいて、中間製品として取り扱われるアノードの鋳造時に使用するアノード鋳型への離型剤スラリーの散布方法及びこれを用いたアノード鋳造方法に関する。
非鉄金属製錬プロセスにおいては、乾式処理により段階的に品位が高められた熔融状態の非鉄金属に対して、最終的に電解精製を行うことで高純度の非鉄金属を製造することが行なわれている。例えば銅の電解精製では、前段の精製炉において粗銅を酸化、還元処理することで生成した純度約99.5%の熔融状態の精製粗銅を略矩形板状に鋳造し、得られた複数の銅板からなる陽極(以下「アノード」という)と、別途用意した複数の陰極(以下「カソード」という)とを1枚ずつ交互に並べて電解槽内の電解液内に浸漬し、それらに電圧を印加することで電気銅を製造することが行なわれている。
上記の銅の電解精製は、使用するカソードの種類によってパーマネントカソード法(Permanent Cathode法、以下「PC法」という)とコンベンショナル法(以下「種板法」という)とに分類することができる。前者のPC法の場合は、カソードにステンレス製の薄板を使用し、該薄板上に電着した電気銅は後段の剥離工程で該薄板から剥ぎ取ることにより製品として出荷され、該薄板は再利用する。一方、後者の種板法の場合はカソードに高純度の銅からなる薄板状の種板を使用し、該種板上に電着した電気銅は該種板と共にそのまま製品として出荷される。
上記の銅の電解精製では、生産性を高めるべく電解槽内においてアノードとカソードとを隣同士できるだけ近接させるため、アノードの胴体部の表面に凹凸が存在していると、アノードとカソードとが互いに接触してショートする問題が生ずることがあった。電解槽内でショートが生じると電解効率が低下するので、上記の精製粗銅の鋳造においては、表面に凹凸のない平滑なアノードを成型することが望ましい。
このアノードの表面の凹凸は、該鋳造の際にアノードが鋳型に焼き付くことが原因の一つとして考えられる。この対策として、特許文献1には熔融金属を注湯する前のアノード鋳型の内表面に、粘土粉及び水ガラスからなる離型剤の層を形成する技術が開示されている。これにより、鋳造時のアノードの焼き付きを防いで表面に凹凸のない平滑なアノードを成型できると記載されている。
特許第2896764号明細書
上記特許文献1に示すように、アノード鋳型の内表面に離型剤の層(以下、「離型層」という)を形成することで、鋳造時の焼き付きやそれに起因するアノード表面の凹凸の問題を防ぐことができる。しかしながら、該離型層は、剥離剤に水を加えて調製した離型剤スラリーをアノード鋳型に散布することで形成するため、鋳造時に水分が蒸発して内部が空洞の薄膜で形成される水膨れのような凸部(以下、「膨れ」という)がアノードの表面部に生じることがあった。このような膨れがアノードの表面部に生じると、電解中にこの膨れにおいて優先的に通電が消費され、その結果、一部の膨れが裂断したり剥がれたりして、上記のショートの問題が生じることが懸念される。この膨れの発生を抑制するには、各アノード鋳型に最適な量の離型剤スラリーを散布することが望ましい。
上記の離型剤スラリーの最適な散布量は、鋳型からのアノードの剥離性などの判断基準により定めることができる。この判断基準には、例えば鋳型の内表面の摩耗具合、離型剤スラリーの散布時の鋳型温度などの鋳型の状態を挙げることができ、これらに応じて最適な散布量を調整する。しかしながら、一旦設計した散布量を柔軟に変更することは一般的に困難であった。
そのため、鋳型への離型剤スラリーの散布量には過不足が生じやすかった。例えば鋳型に過剰の離型剤スラリーが散布されると、鋳型の内表面からの水分の蒸発に時間がかかりすぎて一部が残存し、そこに流し込まれた熔融粗銅の鋳造時に沸騰してアノードに空隙や上記の膨れを生じることがあった。逆に、鋳型への離型剤スラリーの散布量が不足すると、鋳型からアノードを良好に剥離できなくなり、無理に剥ぎ取るとアノードが変形することがあった。本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、離型剤スラリーの散布量を任意に変更することが可能な離型剤スラリーの散布方法を提供することを目的とする。
鋳型に散布する離型剤スラリーは、通常は撹拌機を備えた調製槽において粘土粉からなる離型剤に水を加えて固形分濃度(すなわち離型剤スラリーの単位体積当たりの離型剤の質量)が30~60g/L程度となるように調製される。このように比較的濃厚な固形分濃度を有する離型剤スラリーを、できるだけ均一に鋳型に散布するには、攪拌により懸濁状態が維持されている上記調製槽の底部から抜き出した離型剤スラリーをスラリーポンプ等の昇圧手段で所定の圧力まで昇圧し、これをノズル等の散布手段を介して広範囲に噴射するのが好ましい。この場合、上記の昇圧手段による昇圧が停止すると、該昇圧手段から散布手段までの供給配管内を流れていた離型剤スラリーは、その一部は慣性によってそのまま該散布手段から噴射されるが、残部は該供給配管の内壁との摩擦等による圧力低下や該内壁面への付着により該供給配管内に残存する。
本発明者らは、上記の昇圧手段の停止後に散布手段から噴射される離型剤スラリーの散布量は一定ではなく、ばらつくことに着目した。このような昇圧手段の停止後の離型剤スラリーの散布量のばらつきの要因(外乱)としては、調製槽内の離型剤スラリーの液位の変動、工場内の各種機器の作動等に用いる雑用エアーの圧力の変動、供給配管内での離型剤の付着等に起因する離型剤スラリーの圧力の低下が考えられる。そこで、これら外乱の悪影響を抑制する方法について検討を重ねたところ、離型剤スラリーの散布方法を工夫することで各アノード鋳型への離型剤スラリーの散布量を安定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の離型剤スラリーの散布方法は、離型剤スラリーの貯留槽の底部から抜き出した離型剤スラリーを昇圧して該貯留槽に戻す外部循環系によって該離型剤スラリーを循環させる工程と、前記外部循環系から分岐する供給配管に抜き出した離型剤スラリーを、該供給配管の先端部に設けた散布手段から鋳型に散布する工程とを有する離型剤スラリーの散布方法であって、前記供給配管に設けた自動弁の開状態の時間により該離型剤スラリーの散布量を調整すると共に、該自動弁を閉じた後にその下流側にパージ用ガスを導入することによって該供給配管内の離型剤スラリーを該散布手段から散布し、前記供給配管に前記パージ用ガスを導入することで前記離型剤スラリーが前記鋳型に散布されることを特徴としている。
本発明によれば、離型剤スラリーの散布量を任意に変更することができる。
本発明の実施形態に係る離型剤スラリーの散布方法が好適に適用される離型剤スラリー供給設備の概略フロー図である。 図1の離型剤スラリーの散布用ノズルを走査させる機構の一具体例の模式図である。 本発明の実施形態に係る離型剤スラリーの散布方法に沿って行った離型剤スラリー供給設備の各種弁の開閉操作及びこれに対応して行なわれる運転モードを示すタイミングチャートである。 本発明の他の実施形態に係る離型剤スラリーの散布方法に沿って行った離型剤スラリー供給設備の各種弁の開閉操作及びこれに対応して行なわれる運転モードを示すタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る離型剤スラリーの散布方法について説明する。先ず、図1を参照しながら本発明の実施形態の離型剤スラリーの散布方法が好適に適用される離型剤スラリー供給設備について説明する。この図1に示す離型剤スラリー供給設備は、例えば粘土粉などの離型剤を工業用水と共に受け入れて固形分濃度を好ましくは20~120g/L、より好ましくは40~60g/Lとなるように調製して貯留する撹拌機10aを備えた貯留槽10と、該貯留槽10の底部の抜出配管11から抜き出した離型剤スラリーを昇圧する好ましくはエアー駆動のダイヤフラムポンプからなるスラリーポンプ12と、該スラリーポンプ12で昇圧した離型剤スラリーを貯留槽10に戻す戻り配管13と、上記スラリーポンプ12で昇圧した離型剤スラリーの抜き出しのために上記戻り配管13の分岐点Pから分岐させた供給配管14と、図示しないアノード鋳造装置が有するターンテーブル上の鋳型Cの内表面への離型剤スラリーの散布のために該供給配管14の先端部に設けたノズル15とから構成される。なお。離型剤スラリーの調製は、上記貯留槽10とは別の調製槽で行ってもよく、この場合は該調製槽で調製した離型剤スラリーを、スラリーポンプ、ガスによる圧送、ヘッド差等を利用して貯留槽10に移送することになる。
上記のノズル15には、離型剤スラリーと分散用ガスとを混合した状態で噴射する2流体ノズルを用いるのが好ましい。これにより、通常のノズルに比べて固形分濃度の高い離型剤スラリーを鋳型の内表面にほぼ均一に散布することができるので、膨れの少ない高品質のアノードを成型することが可能になる。この2流体ノズルは、略円筒形状の混合部と、その先端部に設けられた略切頭円錐形状の噴射部とからなり、該混合部では、その側部入口から導入される離型剤スラリーと、端部入口から導入される分散用ガスとが混合される。この分散用ガスには、エアーヘッダー16から分岐する噴射ガス供給配管17を介して供給される例えば雑用エアーが用いられる。
なお、上記のノズル15は、鋳型Cの凹部の底面に沿って一方的に走査させるのが好ましい。これは、例えば図2に示す機構により実現できる。具体的には、サーボモータ20の作動でシリンダー21から出没するピストン22の先端にシャフト部23の一端部を揺動自在に支持し、該シャフト部23の他端部にノズル15を設けると共に、該シャフト部23の長手方向の中央部を固定軸に軸支させる。これにより、上記ピストン22をサーボモータ20で往復動させることによって、鋳型Cの内表面にほぼ全面に亘って離型剤スラリーを散布することが可能になる。
上記のように、離型剤スラリー供給設備では、貯留槽10の底部から抜き出した離型剤スラリーを、抜出配管11、スラリーポンプ12、及び戻り配管13で構成される外部循環系を用いて循環させるので、撹拌機10aとの協働により離型剤スラリーに含まれる離型剤が重力により沈降分離して貯留槽10の底部に堆積するのを防ぐことができ、貯留槽10内の離型剤スラリーの固形分濃度を均一に保つことができる。これにより、この外部循環系の分岐点Pから分岐する供給配管14及びその先端部に設けたノズル15を介してアノード鋳型に散布する離型剤スラリーの固形分濃度を均一に保つことが可能になる。
ところで、上記のアノード鋳型装置を構成する円盤状のターンテーブル上には、複数の鋳型Cが周方向に均等な間隔をあけて配設されており、該ターンテーブルの間欠的な回転により、これら複数の鋳型Cの各々では、熔融粗銅の注湯、該注湯された熔融粗銅の冷却による固化、該固化により成型されたアノードの剥ぎ取り、及び該剥ぎ取り後の鋳型Cへの離型剤スラリー散布からなるサイクルが繰り返される。
従って、上記の離型剤スラリーを複数の鋳型Cに順次断続的に散布する必要があり、そのため、上記供給配管14には自動的に開閉する散布弁14aが設けられている。これにより、上記のターンテーブルの間欠的な回転のタイミングに合わせて離型剤スラリーを散布することができる。また、この散布弁14aの開閉により上記外部循環系から抜き出される離型剤スラリーの量を調整できるので、散布弁14aが開状態となる時間の長さに応じて供給配管14を介してノズル15に導入される離型剤スラリーの量を調整することができる。なお、外部循環系からの離型剤スラリーの抜き出しを安定化させるため、図1に示すように、外部循環系を構成する戻り配管13において、分岐点Pよりも下流側に循環遮断弁13aが設けられている。
ところで、上記のノズル15から安定的に離型剤スラリーを噴射するため、スラリーポンプ12の吐出圧を適切な圧力に設定することで該ノズル15の入口圧力を所定の下限値よりも高く維持することがある。この場合は、散布弁14aを開から閉にしても直ちにノズル15からの離型剤スラリーの噴射が停止することはない。しかしながら、供給配管14内を流れる離型剤スラリーは、散布弁14aを開から閉にした後は供給配管14の内壁面との摩擦等により圧力及び運動エネルギーが徐々に減少するので、やがて圧力が低下すると共に流速が減速してノズル15から噴射されなくなる。その結果、一部の離型剤スラリーは、供給配管14内に残留する。換言すれば、1回のサイクルにおいて、散布弁14aの閉止直後に供給配管14内に存在する離型剤スラリーの量に比べて、散布弁14aの閉止後にノズル15から噴射される離型剤スラリーの量は少なくなる構造になっている。
上記の散布弁14aの閉止後に供給配管14内に残留する一部の離型剤スラリーは、排出しておかないと、上記のターンテーブル上で隣接する後段の鋳型Cへの散布にもち越されることになる。すなわち、当該後段の鋳型Cに散布される離型剤スラリーの量は、該後段の鋳型Cへの散布時に散布弁14aが開状態になることで外部循環系から供給配管14に供給される離型剤スラリーの量に上記の前段の鋳型Cの散布時からもち越される離型剤スラリーを加えた量から、該散布弁14aの閉止後に上記と同様に供給配管14内に残留する量を差し引いた量になる。
上記の散布弁14aの閉止後に供給配管14内に残存する離型剤スラリーの量は、前述したように該散布弁14aを開から閉にした直後に供給配管14内を流れる離型剤スラリーの運動エネルギーや圧力が、供給配管14内における圧力損失等によって低下する度合いに大きく左右される。そのため、複数の鋳型Cに散布される離型剤スラリーの量は、鋳型Cごとにばらつくことがあった。このばらつきを抑えるため、本発明の実施形態の離型剤スラリーの散布方法は、供給配管14にパージ用ガスを導入することで、外部循環系から供給配管14に抜き出した離型剤スラリーを、ノズル15を介して鋳型Cに散布するようにしている。
具体的には、供給配管14において散布弁14aの2次側(下流側)の直近部分に、パージ用ガスを導入するためのパージガス供給配管18を接続している。これにより、例えば散布弁14aが開から閉になるタイミングに合わせて、該パージガス供給配管18に設けた自動的に開閉するパージガス弁18aを閉から開にして供給配管14内にパージ用ガスを導入する。これにより、該散布弁14aの閉止後に供給配管14内に滞留している離型剤スラリーのほとんどをノズル15から鋳型Cに噴射させることができる。
上記のように、供給配管14内にパージ用ガスを導入することによって、各鋳型Cの1サイクルにおいて、外部循環系から供給配管14に導入される離型剤スラリーの量と、該供給配管14からノズル15を介して鋳型Cに噴射される離型剤スラリーの量とをほぼ同量にすることができるので、鋳型Cごとに離型剤スラリーの散布量がばらつくのを抑えることができる。また、散布弁14aの開状態の時間と各鋳型Cへの離型剤スラリーの散布量とを正比例の関係にすることができるので、該散布弁14aの開状態の時間を増減するだけで、精度よく離型剤スラリーの散布量(噴射量)を調整することができる。
前述した各鋳型Cに対する注湯、冷却固化、剥ぎ取り、及び散布の1サイクルにおいて、該散布後に供給配管14に導入するパージ用ガスの量及び圧力は、該供給配管14内の離型剤スラリーをほぼ全てノズル15から押し出せる程度であればよい。また、供給配管14内の離型剤スラリーをパージするために供給配管14にパージ用ガスを導入するタイミングは、上記の外部循環系から供給配管14への離型剤スラリーの抜き出しが妨げられたり逆流が生じたりすることのないタイミングが好ましく、散布弁14aが閉状態にあるときに上記のパージガス弁18aを開状態にするのが望ましい。
具体的には、各鋳型Cにおける離型剤スラリーの散布に際して行なわれる一連の工程を示す図3のタイミングチャートのように、先ず散布弁14aを閉から開にして離型剤スラリーを外部循環系から供給配管14に抜き出す(工程No.1~3)。このとき、より安定的に抜き出しを行うため、外部循環系の外部循環弁13aを一時的に開から閉にするのが好ましい(工程No.2)。また、ある程度離型剤スラリーを抜き出した時点で噴射ガス弁17aを閉から開にする(工程No.3)。
次に、散布弁14aを開から閉にすると同時にパージガス弁18aを閉から開にする。これにより、ノズル15から離型剤スラリーが噴射される(工程No.4~5)。なお、パージガス弁18aを閉から開にしてから少し時間が経過した後にノズル15用のシリンダー21を稼働するのが好ましい(工程No.5)。また、供給配管14内のほぼ全ての離型剤スラリーがノズル15から噴射された後もしばらく噴射ガス弁17a及びパージガス弁18aを開にしておくことで、該供給配管14内及びノズル15内の清掃を行うのが好ましい(工程No.6)。最後に、噴射ガス弁17a及びパージガス弁18aを開から閉にすることで、1つの鋳型Cへの離型剤スラリーの散布が完了する(工程No.7)。
上記のパージ用ガスに用いるガスの組成は、供給配管14等の接液部の素材及び離型剤スラリーに対して実質的に化学反応を生じさせるものでなければ特段の制約はなく、例えば圧縮空気や圧縮窒素などを用いることができ、コストが低い点から圧縮空気がより適している。なお、図1には、前述した分散用ガスと同様に、雑用ガスのエアーヘッダー16からパージガス供給配管18を分岐させた場合が示されている。
上記の図3に示すように、各鋳型Cにおける離型剤スラリーの散布の1サイクルごとに、離型剤スラリーの散布後の供給配管14内の清掃を行うため、該供給配管14内において離型剤による詰まりの問題を生じにくくすることができる。なお、上記したように、分散用ガスやパージ用ガスに雑用エアーを用いる場合は、各鋳型Cにおける離型剤スラリーの散布の1サイクルごとの離型剤スラリーの散布量をより安定化させるため、図1に示すように、噴射ガス供給配管17やパージガス供給配管18の各々にフィルター付き圧力レギュレーターを設けるのが好ましい。同様に、スラリーポンプ12がエアー駆動式のダイヤフラムポンプの場合は、駆動エアー配管19にもフィルター付き圧力レギュレーターを設けるのが好ましい。
上記の離型剤スラリー供給設備は、供給配管14が外部循環系から分岐する構造であったが、供給配管を貯留槽10に直接接続すると共に該外部循環系のスラリーポンプ12とは異なる供給用スラリーポンプを該供給配管に設け、これにより昇圧した離型剤スラリーをノズル15に導入してもよい。また、該供給配管14への離型剤スラリーの導入は断続的に行なわれるので、供給配管14内で離型剤スラリー中の離型剤が沈降分離して管内を閉塞させることのないように、供給配管14に設ける散布弁14aの位置はできるだけ分岐点Pに近いのが好ましい。
なお、上記のように供給配管14及び戻り配管13にそれぞれ散布弁14a及び循環遮断弁13aを設ける代わりに、これらを兼ねる三方弁を戻り配管13と供給配管14との分岐点Pに設けてもよい。上記の循環遮断弁13a、散布弁14a、噴射ガス弁17a、及びパージガス弁18aの開閉は、一般的にCPU(中央処理装置)、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)等の制御手段30で制御される。
離型剤スラリーの原料となる離型剤に硫酸バリウムなどの比較的重い粒子を用いる場合や、離型剤スラリーの固形分濃度が高い場合、すなわち、水などの分散媒に対する離型剤の比率が高い場合は、離型剤スラリーの流動性が低くなって配管内に残存しやすくなるが、このような場合でも適切なポンプヘッド(水頭)及び能力を有するスラリーポンプを選定したり、パージ用ガスの供給圧力を適切に設定したりすることで、上記の流動性低下に起因する問題を生じにくくすることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態の離型剤スラリーの散布方法は、貯留槽10からスラリーポンプ12によって供給配管14に導入される離型剤スラリーを該スラリーポンプ12の吐出圧ではなくパージ用ガスの圧力を用いてノズル15から噴射させるため、各鋳型Cにおける離型剤スラリーの散布の1サイクルにおける離型剤スラリーの散布量を極めて正確に制御することが可能になる。
更に、多様な離型剤を様々な固形分濃度で使用することができ、例えば時間の経過に従って配管の内壁に付着する性質を有する離型剤を用いたり、固形分濃度が比較的高い離型剤スラリーを用いたりすることができる。具体的には、離型剤スラリーの固形分濃度の範囲を従来の30~60g/L程度から、20~160g/L程度まで大幅に広げることが可能になる。また、離型剤スラリーの散布量の範囲を従来の1500~2200mL程度から、500~3600mL程度に大幅に広げることができる。
上記のように、固形分濃度範囲の広い離型剤スラリーを利用できるので、散布方法に自由度が増し、様々な鋳造装置に対して離型剤スラリーの散布条件を最適化でき、鋳造に要する操業コストの低減やアノードの品質の向上を実現することが可能になる。例えば、上記した分散用ガスと共に離型剤スラリーを噴射する2流体ノズルに代えて、分散用ガスなしで離型剤スラリーのみを散布する一般的なノズルを用いることが可能になる。
更に、離型剤スラリーの散布量を精度よく調整できるため、アノードの鋳造時の様々な状況に応じてこれら離型剤スラリーの散布条件を最適化することができ、その結果、膨れ等の凹凸部がほとんどない高品質のアノードを製造することができる。例えば鋳型Cの温度が通常よりも低く、注湯時までに水分が蒸発しにくい場合などでは、固形分濃度の高い離型剤スラリーを用いて対応することが可能になる。
なお、一般的な工場において利用可能な圧縮空気(プラントエアー)は、工場の他の設備での断続的な使用等により圧力が変動することがある。従来は、この圧力変動により離型剤スラリーの散布量が変わることがあった。これに対して上記の図1に示す離型剤スラリー供給設備では、例えばエアーヘッダーに設けた圧力計の測定値を制御手段30に入力することで、圧縮空気の圧力変動に応じて各種自動弁の開閉時間を制御することができるので、上記散布量をほぼ一定に保つことが可能になる。これにより、従来はこの散布量の変動を考慮して必要な散布量よりも過剰に散布することで対応していたが、その必要がなくなるので、アノード品質の向上と離型剤の消費量の削減とが可能になる。
以上、本発明の実施形態のスラリーの散布方法について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更例や代替例を含むことができる。例えば、上記の実施形態のスラリーの散布方法では、散布弁14aが開の状態では離型剤スラリーはノズル15から散布されることなく全て供給配管14内に一旦滞留し、散布弁14aを開から閉にした後に該供給配管14にパージ用ガスを導入することによって離型剤スラリーがノズル15から散布されるものであったが、これに限定されるものではなく、図4に示すように、散布弁14aを閉から開にすることによって離型剤スラリーがノズル15から散布され、散布弁14aを開から閉にした後に該供給配管14にパージ用ガスを導入することによって該供給配管14内に残存する離型剤スラリーをノズル15から排出してもよい。
(実施例)
間欠的に回転するターンテーブルの上に周方向に均等な間隔をあけて設けられた複数の鋳型に対して、熔融粗銅の注湯、該熔融粗銅の冷却固化、該冷却により固化したアノードの鋳型からの剥ぎ取り、及び剥ぎ取り後の鋳型への離型剤スラリー散布のサイクルを繰り返し行う銅電解アノードの鋳造装置において、該離型剤スラリーの散布に図1に示すような離型剤スラリー供給設備を用いた。そして、離型剤スラリーの固形分濃度を20~160g/Lの範囲内で様々に変えながら剥ぎ取られたアノードの品質を目視にて確認した。
なお、スラリーポンプ12にはエアー駆動式のダイヤフラムポンプを用い、ノズル15には2流体ノズルを用い、該ダイヤフラムのポンプの駆動用エアー、ノズル15に導入する分散用ガス、及び供給配管14に導入するパージ用ガスには、エアーヘッダーにおける圧力を常時約500kPa以上に保った雑用エアーを用いた。また、循環遮断弁13a、散布弁14a、噴射ガス弁17a、及びパージガス弁18aは、図3のタイミングチャートに基づいて開閉させた。その結果、離型剤スラリーの固形分濃度を20~160g/Lの範囲内で変化させても散布弁14a及び噴射ガス弁17aの開放時間を適宜調整することで表面に膨れのない高品質のアノードを成型できることが分かった。
(比較例)
離型剤スラリーの調製槽のヘッド圧のみで離型剤スラリーを吸込みカップに充填した後、エアーで圧送することで上記実施例と同様の電解用アノードの鋳造装置の鋳型に離型剤スラリーを散布した。その結果、離型剤タンクの水位の変動により散布量が変動した。また、散布量は吸込みカップの体積によって定まるため、散布量を吸込みカップの体積以上に増加させることは不可能であった。更に、エアーで圧送したため、エアー圧力が低下したときに吸込みカップ内の離型剤を全て鋳型に圧送することができず、離型剤の散布量にばらつきが生じた。
10 貯留槽
11 抜出配管
12 スラリーポンプ
13 戻り配管
13a 循環遮断弁
14 供給配管
14a 散布弁
15 ノズル
16 エアーヘッダー
17 噴射ガス供給配管
17a 噴射ガス弁
18 パージガス供給配管
18a パージガス弁
19 駆動エアー配管
20 サーボモータ
21 シリンダー
22 ピストン
23 シャフト部
30 制御手段
C 鋳型
P 分岐点

Claims (4)

  1. 離型剤スラリーの貯留槽の底部から抜き出した離型剤スラリーを昇圧して該貯留槽に戻す外部循環系によって該離型剤スラリーを循環させる工程と、前記外部循環系から分岐する供給配管に抜き出した離型剤スラリーを、該供給配管の先端部に設けた散布手段から鋳型に散布する工程とを有する離型剤スラリーの散布方法であって、前記供給配管に設けた自動弁の開状態の時間により該離型剤スラリーの散布量を調整すると共に、該自動弁を閉じた後にその下流側にパージ用ガスを導入することによって該供給配管内の離型剤スラリーを該散布手段から散布し、前記供給配管に前記パージ用ガスを導入することで前記離型剤スラリーが前記鋳型に散布されることを特徴とする離型剤スラリーの散布方法。
  2. 前記自動弁が開状態の間は前記外部循環を停止させることを特徴とする、請求項1に記載の離型剤スラリーの散布方法。
  3. 前記パージ用ガスの圧力により前記離型剤スラリーの散布流量を制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の離型剤スラリーの散布方法。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の離型剤スラリーの散布方法で前記鋳型に離型剤スラリーを散布する工程と、前記鋳型に熔融粗銅を注湯する工程と、前記鋳型内の熔融粗銅を冷却して固化する工程と、前記固化により成型されたアノードを剥ぎ取る工程とを有することを特徴とするアノードの鋳造方法。
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