JP7609801B2 - 運動データ収集方法、運動データ解析システム、運動診断支援システム、及び、解析プログラム - Google Patents
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Description
また、四つ這い運動や寝返り運動の動きの測定や数値化は、特殊なセンサや高価な測定機器を使うことなく、身近なスマートフォンやビデオカメラ、カメラ、ICレコーダー、メジャーや定規等を用いて簡便に行うことができる。さらに、動きの測定の精度もミリメートルや1cmといった細かい単位を要求されない点においても、簡便に動きの測定が可能である。
四つ這い運動は一般的にはハイハイとも呼ばれ、乳幼児が無意識に獲得する運動の一つである。健常状態の四つ這い運動は、両手と両足背(膝から下。爪先は寝かせた状態)を交互に床面に接触させながらまっすぐに前進又は後進(後ずさり)する。
しかしながら、パーキンソン病、認知症や脱抑制等の非運動症状の運動者は、体幹異常を代償しようとするため、特に四つ這い運動においては足背、腰、手の動きに特徴が見られる。そこで、踵部、腰部、手のいずれか1か所以上の部位の動きを測定し、測定した動きを数値化し、運動データとして収集する。
また、写真には表れないが、正常状態の四つ這い運動に比べ、四つ這い運動自体の制御がうまくいかず、前進運動後に後進運動ができない、後進運動が緩慢になるといった特徴が観測されることがある。さらには、後進運動時に骨盤が上下に動揺する例もある。
骨盤動揺の度合い(骨盤の左右動揺の「フリ」、上下動揺の「オレ」)は、運動者の腰部の動きを測定し、頭から背骨を通る体の中心軸から腰部の中心までの左右の距離及び上下の距離を数値化することにより運動データとすることができる。
四つ這い運動の制御の度合い(正確性)は、運動者の手の動きを測定し、左右の手と床面が順次接触する床面の各位置、又は、運動開始から各接触までの時間を数値化することにより運動データとすることができる。左右の手と床面が順次接触する床面の各位置により、四つ這い運動ができているかを把握することができる。運動開始から各接触までの時間を測定することにより、運動速度、運動速度の変化、運動開始の困難性等を把握することができる。
なお、上記運動データの収集方法は例示にすぎず、数値化可能であれば、これらの方法に限定されない。
特定のリズム信号は、メトロノームのようなテンポのみを示す信号でも、音楽CDのような信号でもよい。また、掛け声との組み合わせでもよい。なかでも、左右の手が床面に接触するテンポに合わせた4拍子が好ましい。4拍子の中でも誰でも調子が取りやすいリズムがよく、337拍子がより好ましい。337拍子とは、/と/の間を1小節とすると、 /前進3歩(1拍休み)/後進3歩(1拍休み)/前進3歩(1拍停止)/後進3歩(1拍休み)/ で表されるリズムであり、幼少の頃より慣れ親しんでいるためノリやすく、四つ這い運動がより楽しくなると考えられる。さらに、3小節目の前進3歩後の1拍停止時に、止まれない、後進始動が遅れるといった動きの運動データも併せて取得することができるからである。
さらに、特定のリズム信号は、同様な四つ這い運動を行う他人から発せられる声や、該他人の運動のリズムに合わせた手拍子、声、打楽器音等であってもよい。同様な四つ這い運動を行う1人又は複数の他人のリズム信号は、四つ這い運動に対しより同調を促すものであり、心地よく楽しく四つ這い運動を行うことができる。1人又は複数の他人のリズム信号による四つ這い運動は、リハビリテーション施設やデイサービス等で実施しやすく、本発明の四つ這い運動の実施機会を増やしやすく、また、運動の効果も向上すると考えられる。
寝返り運動も、乳幼児が無意識に獲得する運動の一つである。健常状態の寝返り運動は、上肢が先行し、両肩のほうが頭部より先に回旋して行われ、膝が浮いたり屈曲したりすることはない。
しかしながら、パーキンソン病や遂行機能障害、脱抑制等の非運動症状の運動者は、体幹異常を代償しようとするため、寝返り運動で頭部のほうが両肩より先に回旋する動きや、膝が浮いたり屈曲したりする動きが見られる。そこで、頭部、両膝、両肩のいずれか1か所以上の部位の動きを測定し、測定した動きを数値化し、運動データとして収集する。
頭部が両肩より先に回旋する度合い(頭部の「クビ」)は、運動者の頭部の動きを測定し、上面視において体の中心点から頭部の中心点までの距離を数値化し、かつ、運動者の両肩の動きを測定し、床面から肩までの距離、又は、運動開始から各時点での床面から肩までの距離を数値化することにより運動データとすることができる。運動開始から各時点での床面から肩までの距離を数値化することにより、運動速度、運動速度の変化、運動開始の困難性等を把握することができる。
図9は下肢、特に右膝が床面から浮いて先行して回旋する例であり、図10は右膝が屈曲して回旋する例である。
膝が両肩より先に回旋する度合いは、運動者の両膝の動きを測定し、床面から膝までの高さを数値化することにより運動データとすることができる。
なお、上記運動データの収集方法は例示にすぎず、数値化可能であれば、これらの方法に限定されない。
特定のリズム信号は、メトロノームのようなテンポのみを示す信号でも、音楽CDのような信号でもよい。掛け声との組み合わせでもよい。なかでも、左右の手が床面に接触するテンポに合わせた4拍子が好ましい。4拍子の中でも誰でも調子が取りやすいリズムがよく、337拍子がより好ましい。337拍子とは、/と/の間を1小節とすると、 /2拍で右肩を床面から離す→1拍で右肩を床面に戻す(1拍休み)/2拍で左肩を床面から離す→1拍で左肩を床面に戻す(1拍休み)/2拍で右肩を床面から離す→1拍で右肩を床面に戻す(1拍停止)/2拍で左肩を床面から離す→1拍で左肩を床面に戻す(1拍休み)/ で表されるリズムであり、幼少の頃より慣れ親しんでいるためノリやすく、寝返り運動がより楽しくなると考えられる。
さらに、特定のリズム信号は、同様な寝返り運動を行う他人から発せられる声や、該他人の運動のリズムに合わせた手拍子、声、打楽器音等であってもよい。同様な寝返り運動を行う1人又は複数の他人のリズム信号は、寝返り運動に対しより同調を促すものであり、心地よく楽しく寝返り運動を行うことができる。1人又は複数の他人のリズム信号による寝返り運動は、リハビリテーション施設やデイサービス等で実施しやすく、本発明の寝返り運動の実施機会を増やしやすく、また、運動の効果も向上すると考えられる。
運動データ解析システムは、運動データ入力部、運動条件入力部、運動データ解析部、及び、解析結果報知部を含む。
ここで、所定の閾値とは、たとえば頭から背骨を通る体の中心軸から腰部の中心までの左右の距離を10cm等に設定することができる。なお、同じ運動条件での閾値を段階的に複数設定してもよい。
なお、運動指示部11、運動データ収集部12、運動データ入力部13、運動条件入力部14、運動データ解析部15、解析結果報知部は16、有体物であっても、ソフトウェア上のモジュールであってもよい。
図11に、運動データ解析システムの一例を示す。
運動診断支援システム2は、運動データ入力部21、運動条件入力部22、運動条件及び運動データ表示部23を含み、運動診断支援を行う。
AI解析部24は、運動条件及び運動データに基づき、教師有の条件で疾病や症状の種類を分類する。上述した運動データ収集方法で収集した、数値化された運動データは、1か所以上の部位の動きの運動データを含む。このため、運動データ1点の閾値で疾病や症状を判断するよりも、多観点から疾病や症状の種類を分類することが、診断の精度を向上することに繋がる。
しがたって、AI解析部24をさらに備えることにより、専門家の疾病や症状の診断を、より高度に支援することができる。
なお、運動データ入力部21、運動条件入力部22、運動条件及び運動データ表示部23、AI解析部24は、有体物であっても、ソフトウェア上のモジュールであってもよい。
図12に、運動診断支援システムの一例を示す。
本発明の運動データ解析システムの解析プログラムは、コンピュータに、上述した運動データ収集方法で収集した、四つ這い運動時又は寝返り運動時の動きを数値化した運動データを受信させ、前記運動データ収集時の運動条件を受信させ、前記運動条件それぞれに対応して設定された所定の閾値と、前記運動データを用い、運動データが所定の閾値内に含まれるか、あるいは、所定の閾値以上であるかを比較して解析させ、前記解析された運動データが、所定の閾値に含まれている場合に、又は、前記所定の閾値以上の場合に、報知させることを含む。
かかる解析プログラムは、上述した運動データ解析システム1に対応するプログラムである。
四つ這い運動において、第三者により踵部を押さえて後進運動させ、運動データを収集した。また、寝返り運動において、仰向けに腕組みさせ、運動データを収集した。
パーキンソン病ですくみの目立つ患者では、手の部位の動きを測定することにより、後進始動が遅れること、及び、後進動作が遅くなることが分かった。加えて、腰部の動きも測定することにより、骨盤の左右動揺が観察される例とされない例があることが分かった。寝返りも同様に困難であり、肩の床からの挙上が緩慢であることが分かった。膝の動きも測定することにより、肩の回旋始動に先行して膝が床より浮き、下肢の力を借りて寝返りを補っていることが分かった。
さらに、寝返り運動において、第三者により膝部を押さえて、運動データを収集した。両肩の部位の動きを測定することにより、両肩の回旋量がさらに不足することが分かった。この様な患者では、アパシー・意欲低下も目立った。
四つ這い運動において、前進3歩→後進3歩→前進3歩(1拍停止)→後進3歩を、337拍子のリズム信号を与えることにより運動データを収集した。
パーキンソン病の運動症状に加え、脱抑制および衝動的で不注意を呈するパーキンソン病認知症(レビー小体型認知症)を含めた患者では、手の部位の動きを測定することにより、後進始動が遅れること、及び、後進動作が遅くなることが分かったことに加え、前進は後進に比し素早く、前進から後進変更時に停止できないことが分かった。
これらの患者では、ハイハイの腰部の動きも測定することにより、骨盤の左右動揺が観察される例とされない例があることが分かった。骨盤の左右が動揺する幼若なハイハイを呈する場合、易怒性や情動の不安定さが目立った。
寝返り運動において、仰向けに腕組みさせ、2拍で右肩を床面から離す→1拍で右肩を床面に戻す(1拍休み)→2拍で左肩を床面から離す→1拍で左肩を床面に戻す(1拍休み)→2拍で右肩を床面から離す→1拍で右肩を床面に戻す(1拍停止)→2拍で左肩を床面から離す→1拍で左肩を床面に戻す(1拍休み)を、337拍子のリズム信号を与えることにより運動データを収集した。
遂行機能障害を有するパーキンソン病およびレビー小体型認知症の患者で、首が折れ下がり腰が曲がり歩行に支障が出る場合、頭部及び両肩の動きを測定することにより、両肩の動きがリズム信号より緩慢となるのに加え、頭部が両肩よりも先に回旋することが分かった。さらに、これらの注意の配分・情動処理が苦手な中に、幻視を呈する症例も含まれた。
四つ這い運動において、特定のリズム信号を与えることなく前進及び後進の運動データを収集した。
パーキンソン病で抑うつ及び自律神経系の身体症状を伴う不安の目立つ患者では、踵部の部位の動きを測定することにより、後進時に足背が床面から離れることが分かった。さらに、踵部、腰部、手の部位の動きを測定することにより、左右協調性が不正確であることが分かった。また、記銘力障害・物忘れに加え、易怒性・苛立ち(攻撃的行動)が目立つアルツハイマー型認知症の患者では、腰部の部位の動きを測定することにより、前進は素早く、かつ、骨盤の左右の動揺が見られることが分かった。
四つ這い運動において、前進運動および後進運動(後ずさり)を交互に行い、前進運動と後進運動の切り替え時の動きの運動データを収集した。さらに、四つ這い運動において、第三者により踵部を押さえて後進運動させ、運動データを収集した。
踵部を押さえても骨盤の左右動揺は観察されず、上下に動揺するパーキンソン病の中で、前進と後進の切り替えが困難な症例の中には、アイオワ・ギャンブリング課題で社会的行動障害を認める患者が存在した。
本発明は、四つ這い運動時又は寝返り運動時の運動データを収集することで、また、収集した運動データを解析するシステムや運動の診断を支援するシステム、解析プログラムを提供することで、各種疾病や非運動症状を含む各種症状の複雑な診断を支援することができる。
11 運動指示部
12 運動データ収集部
13 運動データ入力部
14 運動条件入力部
15 運動データ解析部
16 解析結果報知部
17 ネットワークサーバ
2 運動診断支援システム
21 運動データ入力部
22 運動条件入力部
23 運動条件及び運動データ表示部
24 AI解析部
25 ネットワークサーバ
Claims (15)
- 四つ這い運動時又は寝返り運動時の運動データ収集方法であって、
四つ這い運動時は踵部、腰部、手のいずれか1か所以上の部位、寝返り運動時は頭部、両膝、両肩のいずれか一か所以上の部位の動きを測定するステップと、
前記動きを測定するステップによって測定した動きを、数値化するステップと、
を含み、
前記寝返り運動は、仰向けで腕組みを行い、右肩を床面から離して戻し、左肩を床面から離して戻す運動を繰り返すことを含む、運動データ収集方法。 - 四つ這い運動時の前記数値化するステップにおいて、
踵部の動きを測定する場合は、床面から踵部までの高さを数値化し、
腰部の動きを測定する場合は、頭から背骨を通る体の中心軸から腰部の中心までの距離を数値化し、
手の動きを測定する場合は、左右の手と床面が順次接触する床面の各位置、又は、運動開始から各接触までの時間を数値化し、
寝返り運動時の前記数値化するステップにおいて、
頭部の動きは、上面視において体の中心点から頭部の中心点までの距離を数値化し、
両膝の動きは、床面から膝までの高さを数値化し、
両肩の動きは、床面から肩までの距離、又は、運動開始から各時点での前記床面から肩までの距離を数値化する、請求項1に記載の運動データ収集方法。 - 前記四つ這い運動は、前進運動及び後進運動を含む、請求項1又は2に記載の運動データ収集方法。
- 前記四つ這い運動は踵押さえをさらに含み、腰部又は手の部位の動きを測定する、請求項1~3いずれか一項に記載の運動データ収集方法。
- 前記寝返り運動は膝押さえをさらに含み、頭部又は両肩の部位の動きを測定する、請求項1又は2に記載の運動データ収集方法。
- 前記四つ這い運動時又は寝返り運動時に、外部から特定のリズム信号をさらに与える、請求項1~5いずれか一項に記載の運動データ収集方法。
- 前記特定のリズム信号は、前記四つ這い運動又は寝返り運動を同様に行う1人又は複数の他人から発せられる声や、該他人の運動のリズムに合わせた手拍子、声、打楽器音である、請求項6に記載の運動データ収集方法。
- 前記動きを測定するステップは、測定する部位にマークを付した計測による測定、体の揺れに反応して音が発生する部材を体に付した録音による測定、写真撮影による測定、動画撮影による測定、又は、それら2以上の組み合わせにより行われる、請求項1~7いずれか一項に記載の運動データ収集方法。
- 請求項1~8いずれか一項に記載の運動データ収集方法で収集した、数値化された運動データを入力する、運動データ入力部と、
前記運動データ入力部に入力された運動データ収集時の運動条件を入力する、運動条件入力部と、
前記入力された運動条件それぞれに対応して設定された所定の閾値と、前記入力された運動データを比較し、運動データが前記所定の閾値内に含まれるか、あるいは、前記所定の閾値以上であるかを解析する、運動データ解析部と、
前記解析された運動データが、前記所定の閾値に含まれている場合に、あるいは、前記所定の閾値以上の場合に、報知する、解析結果報知部と、
を含む、運動データ解析システム。 - 運動内容を指示する、運動指示部と、
前記運動データ収集方法で、運動データを収集する、運動データ収集部と、
を、さらに含む、請求項9に記載の運動データ解析システム。 - サーバをさらに含み、必要に応じ前記サーバを介してデータや指示や結果が送受信される、遠隔操作可能な、請求項9又は10に記載の運動データ解析システム。
- 請求項1~8いずれか一項に記載の運動データ収集方法で収集した、数値化された運動データを入力する、運動データ入力部と、
前記運動データ入力部に入力されたデータ収集時の運動条件を入力する、運動条件入力部と、
前記入力された運動データ及び前記入力された運動条件を、診断に適した方法で表示する、運動条件及び運動データ表示部と、
を含み、運動診断支援を行う、運動診断支援システム。 - 前記運動条件及び前記運動データに基づき疾病や症状の種類を分類する、AI解析部をさらに含み、運動診断支援を行う、請求項12に記載の運動診断支援システム。
- サーバをさらに含み、必要に応じ前記サーバを介してデータや結果が送受信される、遠隔操作可能な、請求項12又は13に記載の運動診断支援システム。
- 運動データ解析システムの解析プログラムであって、
コンピュータに、
請求項1~8いずれか一項に記載の運動データ収集方法で収集した、四つ這い運動時又は寝返り運動時の動きを数値化した運動データを受信させ、
前記運動データ収集時の運動条件を受信させ、
前記運動条件それぞれに対応して設定された所定の閾値と、前記運動データを用い、運動データが前記所定の閾値内に含まれるか、あるいは、前記所定の閾値以上であるかを比較して解析させ、
前記解析された運動データが、前記所定の閾値に含まれている場合に、又は、前記所定の閾値以上の場合に、報知させることを含む、解析プログラム。
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