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JP7609879B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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Description

本発明は、パターン形成方法に関する。
露光光源の波長を利用した微細化は限界を迎えつつあり、NANDメモリ(NOT ANDメモリ)においては、大容量化を目的としてメモリ層の三次元化が主流となりつつある。
メモリ層の三次元化には縦方向への加工段数の増加が必要となるため、レジスト膜には、従来のナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーへの厚膜化が求められている。
このような、レジスト膜を厚膜化する場合において、三次元的な微細加工を実現するために、矩形性に優れたパターンを得られることが求められている。
パターン形成方法として、アルカリ現像液を用いる方法だけではなく、有機系現像液を用いたパターン形成方法も開発されている。これは、半導体素子等の製造にあたってはライン、トレンチ(溝)、ホール等種々の形状を有するパターン形成の要請があり、その形成において、有機溶剤を現像液として用いるネガ型パターン形成方法を用いた方が、光学コントラストの点で有利になる場合があるためである。更には、表面張力の低い有機溶剤を現像液として用いることで、現像後の基板乾燥時のパターン倒れが抑制できる利点もある。
例えば、特許文献1には、所定のレジスト膜をi線露光し、有機溶剤を含む現像液で現像してパターンを形成するパターン形成方法が提案されている。
国際公開第2019/044469号
ところで、KrF光による露光でパターンを形成すると、g線又はi線を用いて露光する場合よりも高コントラストなパターンを形成しやすく、KrF光で露光してパターン形成する方法が多く実用されている。
また、メモリの大容量化等、種々の高性能化要求により、多段エッチングプロセスによる階段加工、高エネルギーイオンインプラントプロセス等が行われるようになり、例えば、特に微細な解像性能が要求される用途(例えばパターン幅及び/又はスペース幅が1μm以下の解像性能が要求される用途)においても、膜厚10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を用いてパターン形成をすることが求められてきている。しかしながら、膜厚が10μmを超えて微細なパターン形成しようとすると、パターン形状の劣化や欠陥の発生が顕著になる場合がある。
そこで、本発明は、膜厚が10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を、KrF光で露光してパターン形成する場合においても、良好なパターン形状を有し欠陥の発生が抑制された微細なパターンを形成できる、パターン形成方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
〔1〕
(i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜厚が10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程、及び、
(iii)上記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程、
を有するパターン形成方法であって、
上記現像液が、有機溶剤と、微量成分とを含み、
上記現像液が、上記微量成分として、水酸基を有する化合物を、上記現像液の全質量に対して、合計で100~3000質量ppm含む、パターン形成方法。
〔2〕
上記現像液が、上記水酸基を有する化合物を、上記現像液の全質量に対して、合計で200質量ppm以上含む、〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
上記有機溶剤が酢酸ブチルである、〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
上記水酸基を有する化合物が、炭素数1~5のカルボン酸、炭素数1~5のアルコール、及び、水からなる群から選択される1種以上の化合物である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
上記現像液中、上記炭素数1~5のカルボン酸の合計含有量、上記炭素数1~5のアルコールの合計含有量、及び、上記水の含有量が、それぞれ独立に、上記現像液の全質量に対して、50~2000質量ppmである、〔4〕に記載のパターン形成方法。
〔6〕
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、
(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(C)溶剤、及び、
(G)架橋剤、を含み、
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、上記樹脂の全繰り返し単位に対して15モル%以上であり、
上記架橋剤が、分子内に2個の架橋性基を有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕
上記現像液が、更に、上記微量成分として、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Ti、及び、Znからなる群より選択される1種以上の金属元素を含む金属成分を含み、
上記現像液中の金属成分の合計含有量が、10質量ppt~1質量ppbである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
本発明によれば、膜厚が10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜をKrF光で露光してパターン形成する場合においても、良好なパターン形状を有し欠陥の発生が抑制された微細なパターンを形成できる、パターン形成方法を提供できる。
現像液の帯電量の測定システムの概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
なお、本願明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び、分散度(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μl、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M(×4本)、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率(RI)検出器)によるポリスチレン換算値として定義される。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」というときの置換基の種類、置換基の位置、及び、置換基の数は特に限定されない。置換基の数は例えば、1つ、2つ、3つ、又は、それ以上であってもよい。置換基の例としては水素原子を除く1価の非金属原子団が挙げられ、例えば、以下の置換基群Tから選択できる。
(置換基群T)
置換基群Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、
(i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜厚が10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程、及び、
(iii)上記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程、
を有するパターン形成方法であって、
上記現像液が、有機溶剤と、微量成分とを含み、
上記現像液が、上記微量成分として、水酸基を有する化合物を、上記現像液の全質量に対して、合計で100~3000質量ppm含む、パターン形成方法である。
以下、本発明のパターン形成方法に用いられる現像液を、本発明の現像液ともいう。
以下、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を、単に、組成物ともいう。また、本発明のパターン形成方法に用いられる組成物を、本発明の組成物ともいう。
感活性光線性又は感放射線性膜を、レジスト膜ともいう。
上記のような構成によって本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
まず、上記水酸基を有する化合物は、有機溶剤中に一定量以上含まれることで、有機溶剤における帯電を抑制できる。そのため、上記現像液中の上記合計含有量が所定値以上であることで、上記現像液を送液等する際の上記現像液の帯電量が抑制され、パターン形成時における静電気の発生及びこれに伴う欠陥の発生を抑制できた、と考えられている。
また、上記現像液中の上記合計含有量が所定値以下であるため、上記水酸基を有する化合物自体が、パターン形成時におけるパターン形状の劣化又は欠陥発生の原因となることが回避されている、と考えられている。
〔現像液〕
まず、本発明のパターン形成方法に用いられる現像液について説明する。
本発明のパターン形成方法に用いられる現像液は、有機溶剤を含む現像液である。
以下、本発明のパターン形成方法に用いられる現像液を、本発明の現像液とも言う。
<現像液の特徴>
現像液の蒸気圧は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下が更に好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液のウエハ上及び/又は現像カップ内での蒸発が抑制され、ウエハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウエハ面内の寸法均一性が良化する。
(有機溶剤)
現像液は、有機溶剤を含む。
現像液に含まれる有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、及び、炭化水素系溶剤を用いることができ、より具体的には、例えば、特開2013-218223号公報の段落[0507]に記載された溶剤、酢酸イソアミル、ブタン酸ブチル、及び、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルが挙げられる。
上記有機溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤及び/又は水と混合し使用してもよい。
現像液中、有機溶剤の含有量は、現像液の全質量に対して、51質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましく、99質量%以上が好ましく、99.5質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限としては、例えば、99.7質量%以下、及び、99.99質量%以下が挙げられる。
中でも、現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含むことが好ましく、エステル系溶剤を含むことがより好ましく、酢酸エステル溶剤を含むことが更に好ましい。
上記酢酸エステルの炭素数は、3~10が好ましく、5~6がより好ましく、6が更に好ましい。上記炭素数が上記範囲内であれば、現像の対象となるレジスト膜に対する親和性が適切で、本発明の効果がより優れる。上記炭素数が所定値以下であれば、酢酸エステルの帯電が抑止され、静電気由来の欠陥が生じにくい。
中でも、酢酸エステルは、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、及び/又は、酢酸イソペンチルを含むことが特に好ましく、酢酸ブチルを含むことが最も好ましい。
現像液中、酢酸エステル(好ましくは酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、及び酢酸イソペンチルからなる群の1種以上、より好ましくは酢酸ブチル)の含有量が、現像液の全質量に対して、51質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましく、99質量%以上が好ましく、99.5質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限としては、例えば、99.7質量%以下、及び、99.99質量%以下が挙げられる。
(微量成分)
本明細書において、微量成分とは、上記現像液の全質量に対して、1成分あたり0質量ppm超10000質量ppm以下の含有量で含まれる成分を意図する。例えば、現像液中における含有量が10000質量ppm以下であれば、常温(例えば25℃)で液体の有機化合物であっても、その成分は上述の有機溶剤には含めない。
・水酸基を有する化合物
本発明の現像液は、上記微量成分として、水酸基を有する化合物を、現像液の全質量に対して、合計で、100~3000質量ppm含む。
水酸基を有する化合物の含有量は、現像液の全質量に対して、合計で、2500質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、1000質量ppm以下が更に好ましい。上記含有量は、120質量ppm以上が好ましく、150質量ppm以上がより好ましく、200質量ppm以上が更に好ましい。
以下、上記有機溶剤とは異なる化合物である水酸基を有する化合物を、単に、「水酸基を有する化合物」ともいう。
水酸基を有する化合物は、水酸基(-OH)を化合物中に1個以上(例えば1~10個)有していればよい。また、水酸基を有する化合物における水酸基は、他の基に含まれる形態で存在していてもよく、例えば、カルボン酸基(-COOH)中に含まれる-OHも水酸基とみなす。また、水(HO)に含まれる-OHも水酸基とみなす。
水酸基を有する化合物としては、例えば、有機酸、アルコール、及び、水が挙げられ、水酸基を有する化合物は、有機酸、アルコール、及び、水からなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましく、炭素数1~5のカルボン酸、炭素数1~5のアルコール、及び、水からなる群から選択される1種以上の化合物であることがより好ましい。
例えば、有機酸(好ましくは炭素数1~5のカルボン酸)、アルコール(好ましくは炭素数1~5のアルコール)、及び、水の合計含有量が、現像液の全質量に対して、100~3000質量ppmであることが好ましく、105~2500質量ppmであることがより好ましく、110~2000質量ppmであることが更に好ましく、115~1000質量ppmであることが特に好ましい。
上記有機酸は、例えば、芳香族性水酸基及び/又はカルボン酸基を1以上(例えば1~10)有する化合物が挙げられる。
中でも、上記有機酸は、炭素数1~5のカルボン酸(カルボン酸基を有する炭素数1~5の化合物)が好ましい。
上記有機酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
上記アルコールは、アルコール性水酸基を1以上(例えば1~10)有する化合物である。
アルコール性水酸基とは、芳香環を構成する炭素原子以外の炭化水素基における水素原子を-OHで置換した構造における、その-OH基である。
ただし、上記有機酸に該当する化合物は上記アルコールには含めない。つまり、例えば、カルボン酸基とアルコール性水酸基との両方を有する化合物は、有機酸として分類し、アルコールには含めない。
上記アルコールは、炭素数1~5のアルコールが好ましい。
上記アルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
上記水は、HOである。
有機酸(好ましくは炭素数1~5のカルボン酸)の合計含有量、アルコール(好ましくは素数1~5のアルコール)の合計含有量、及び、水の含有量は、それぞれ独立に、現像液の全質量に対して、10~2500質量ppmが好ましく、50~2000質量ppmがより好ましく、50~1500質量ppmが更に好ましい。
水酸基を有する化合物の含有量が上述の範囲の上限値以下であれば、現像時にレジスト膜が有する酸基(ヒドロキシスチレンに対応する繰り返し単位に含まれる水酸基等)と過剰に相互作用することが抑制され、現像欠陥及び/又はパターン倒れ等の発生を抑制できる。
水酸基を有する化合物の含有量が上述の範囲の下限値以上であると、現像液が流動した際の帯電量を抑制することが可能で、帯電によって引き起こされる静電気発生とそれに伴う欠陥の発生を抑制できる。特に、現像液は、金属不純物量をコントロールするためにフッ素樹脂製配管を通液させて移送することが多く、帯電しやすい条件下で使用される場合が多いので、現像液が帯電しにくい特性を有していることは大きな利点である。
(測定方法)
・水以外の水酸基を有する化合物の測定方法
有機酸、及び、アルコール等のような、水以外の水酸基を有する化合物(水酸基を有する化合物のうちの水を除いた化合物)の、現像液中における種類及び含有量の測定には、ガスクロマトグラフ質量分析計(例えば、製品名「GCMS-2020」、島津製作所社製)を使用できる。
・水の測定方法
現像液中の水の含有量は、カールフィッシャー水分測定法(電量滴定法)を測定原理とする装置を用いて測定できる。
(その他の成分)
現像液は、上述した以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分は、上記水酸基を有する化合物以外の微量成分であってもよい。
・金属成分
現像液は、微量成分として、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Ti及び、Znからなる群から選択される1種以上の金属元素を含む金属成分(特定金属成分ともいう)を含んでもよい。
特定金属成分は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。ここで、特定金属成分は、イオン、錯化合物、金属塩及び合金等、いずれの形態であってもよい。また、特定金属成分は、粒子(パーティクル)状態であってもよい。
特定金属成分は、現像液に含まれる各成分(原料)に不可避的に含まれている金属成分であってもよいし、現像液の製造時に不可避的に含まれる金属成分であってもよいし、意図的に添加したものであってもよい。
現像液中の特定金属成分の含有量は、現像液の全質量に対して、1質量ppt~1質量ppbが好ましく、10質量ppt~1質量ppbがより好ましい。特定金属成分の含有量が上記範囲内にあることで、半導体デバイスの欠陥の発生を抑制できる。なお、現像液中に2種以上の特定金属成分を含む場合において、上記特定金属成分の含有量は、2種以上の特定金属成分の含有量の合計を意味する。
現像液中の特定金属成分の含有量は、ICP-MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)によって測定される。ICP-MS法による特定金属成分の含有量の測定は、例えば、NexTON350(製品名、PerkinElmer社製)に準じた装置を用いて行うことができる。
また、現像液中の特定金属成分の含有量は、上記装置の他に、アジレントテクノロジー社製、Agilent_8800 トリプル四重極ICP-MS (inductively coupled plasma mass spectrometry、半導体分析用、オプション#200)を用いて測定できる。また、現像液中の特定金属成分の含有量は、アジレントテクノロジー社製のAgilent_8900も用いて測定できる。
ここで、ICP-MS法では、現像液中の特定金属成分の総質量、すなわち、イオン性金属(金属イオン)と非イオン性金属(粒子状の特定金属成分 。すなわち金属粒子。)との合計質量(「総メタル量」ともいう。)として定量される。したがって、本発明において、単に「現像液中の特定金属成分の含有量」という場合には、上述した特定金属成分の形態に関わらず、現像液中の上記特定金属成分の総含有量(総メタル量)を指す。
現像液中の特定金属成分は、粒子状の特定金属成分を含んでいてもよい。この場合、現像液中の粒子状の特定金属成分(金属粒子)の含有量は、1質量ppq~1質量ppbが好ましく、1質量ppq~30質量pptがより好ましく、1質量ppq~10質量pptが更に好ましく、2質量ppt~10質量pptが特に好ましい。粒子状の特定金属成分の含有量が上記範囲内にあることで、半導体デバイスの欠陥の発生がより低減する。
ここで、最近開発されたSP-ICP-MS法(単一粒子誘導結合プラズマ質量分析法、Single Particle-Inductively Coupled Plasma-Mass Spectro metry)による測定によれば、溶液中に存在する金属元素の量を、金属イオン(イオン性金属)と金属粒子(非イオン性金属)とに分けて測定することが可能である。金属粒子(非イオン性金属)とは、溶液(現像液)中で溶解せず固体として存在している成分である。
現像液中の粒子状の特定金属成分(金属粒子)の含有量は、上述したICP-MS法で挙げた装置を用いて、そのソフトウェアをSP-ICP-MS法によるものに変更することで測定される。すなわち、ICP-MS法とSP-ICP-MS法とでは、データ分析のみが異なり、同一の装置を用いて行われる。また、上記装置によれば、特定金属成分の総含有量のみならず、特定金属成分を構成する金属元素の種類毎の含有量も測定できる。
現像液中の特定金属成分の含有量を所定の範囲内にする方法については、後述する。
・界面活性剤
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加できる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性又は非イオン性のフッ素系、及び/又は、シリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62-036663号公報、特開昭61-226746号公報、特開昭61-226745号公報、特開昭62-170950号公報、特開昭63-34540号公報、特開平7-230165号公報、特開平8-062834号公報、特開平9-054432号公報、特開平9-005988号公報、米国特許第5405720号明細書、米国特許第5360692号明細書、米国特許第5529881号明細書、米国特許第5296330号明細書、米国特許第5436098号明細書、米国特許第5576143号明細書、米国特許第5294511号明細書、及び、米国特許第5824451号明細書記載の界面活性剤が挙げられる。
中でも、界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤が好ましい。
非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤が更に好ましい。
現像液が界面活性剤を含む場合、その含有量は、現像液の全質量に対して、50~2000質量ppmが好ましい。
・塩基成分
有機系現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。現像液が含みうる塩基性化合物としては、例えば、組成物が含み得る成分として後述する酸拡散制御剤(D)における塩基性化合物が同様に挙げられる。
現像液が塩基性化合物を含む場合、その含有量は、現像液の全質量に対して、50~2000質量ppmが好ましい。
・その他不純物成分
本発明の現像液は、微量成分として、有機不純物を含む場合があり、半導体デバイスの欠陥の発生をより抑制できる観点等から、現像液中の有機不純物の含有量は、10質量ppb~0.5質量%が好ましい。
ここで、有機不純物とは、有機溶剤及び水酸基を有する化合物等の上述した化合物のいずれにも該当しない有機物のことをいう。具体的には、有機不純物としては、有機溶剤の製造時に使用する安定化剤及び未反応の原料、有機溶剤の製造時に生じる構造異性体及び副生成物、ならびに、有機溶剤の製造時に使用する製造装置を構成する部材等からの溶出物(例えば、Oリング等のゴム部材から溶出した可塑剤)等が挙げられる。
なお、有機不純物の含有量の測定には、ガスクロマトグラフ質量分析計(例えば、製品名「GCMS-2020」、島津製作所社製)を用いることができる。
また、有機不純物が高分子量化合物の場合には、これに制限されないが、Py-QTOF/MS(パイロライザー四重極飛行時間型質量分析)、PyIT/MS(パイロライザーイオントラップ型質量分析)、Py-Sector/MS(パイロライザー磁場型質量分析)、Py-FTICR/MS(パイロライザーフーリエ変換イオンサイクロトロン型質量分析)、Py-Q/MS(パイロライザー四重極型質量分析)、及び、Py-IT-TOF/MS(パイロライザーイオントラップ飛行時間型質量分析)等の手法で、分解物から構造の同定及び濃度の定量をしてもよい。例えば、Py-QTOF/MSには、島津製作所社製等の装置を用いることができる。
<現像液の製造方法>
本発明の現像液は、例えば、上述の成分(特に水酸基を有する成分及び/又は金属成分等)の含有量を所望の範囲内にするために、以下の精製工程を実施して得られる。
精製処理を行っていない有機溶剤は、水酸基を有する成分及び/又は金属成分等の含有量が多すぎて、そのままでは本発明の現像液として使用することが困難な場合が多い。そのため、精製処理を行って水酸基を有する成分及び/又は金属成分等の含有量を所定の範囲に調整して、本発明の現像液を製造することが好ましい。
(精製工程)
精製工程とは、各成分の製造時及び各成分の混合時に混入する成分(例えば、上記した、水、有機酸、アルコール、及び/又は、金属成分等)が、上述した所望の含有量になるように精製する工程である。
精製工程は、いずれのタイミングで実施されてもよい。
精製工程としては例えば、以下の精製処理I~IVが挙げられる。
すなわち、精製処理Iは、現像液に使用する成分(例えば、有機溶剤等)の製造前において、原材料(例えば、有機溶剤の製造に使用される原材料)に対して精製を行う処理である。
また、精製処理IIは、現像液の製造に使用する成分(例えば、有機溶剤等)の製造時及び/又は製造後に、これの精製を行う処理である。
また、精製処理IIIは、現像液の製造時において、2種以上の成分(例えば、2種以上の有機溶剤)を混合する前に、成分毎に精製を行う処理である。
また、精製処理IVは、現像液の製造時において、2種以上の成分(例えば、2種以上の有機溶剤)を混合した後に、混合物の精製を行う処理である。
現像液の製造時に2種以上の成分を用いる場合には、上記精製処理I~IVのうち、少なくとも精製処理III及び精製処理IVの両方を行うことが好ましく、少なくとも精製処理I、精製処理III及び精製処理IVの全てを行うことがより好ましく、精製処理~精製処理IVの全てを行うことが更に好ましい。
精製処理I~IVは、それぞれ、1回のみ実施されてもよいし、2回以上(例えば2~10回)実施されてもよい。
現像液の製造時に使用する成分(例えば、有機溶剤)、及び、現像液の製造時に使用する成分(例えば、有機溶剤)の原材料として、高純度グレード品(特に、特定金属成分、水、アルケン類、及び、有機酸成分等の含有量が少ないもの)を購入し、更に、それらに対して上述した精製処理を行って使用できる。
以下において、精製工程の一例を示す。
以下の説明においては、精製工程における精製対象(すなわち、現像液に使用する有機溶剤等)を、単に「被精製液」と総称する。
精製工程の一例として、被精製液に含まれる水を除去するための脱水工程(脱水処理)、被精製液の粗蒸留のための蒸留工程(蒸留処理)、被精製液のイオン交換処理を行うイオン交換処理(イオン除去工程)、被精製液の精製処理のための蒸留工程(蒸留処理)、ろ過工程(ろ過処理、フィルタリング)、をこの順に実施する態様が挙げられる。
(脱水処理)
精製工程において、脱水処理を実施してもよい。
脱水処理によれば、被精製液中の水を除去できる。また、脱水処理において後述するゼオライト(特に、ユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ(商品名)等)を使用した場合には、オレフィン類も除去可能である。
脱水処理に使用される脱水手段としては、脱水膜、被精製液に不溶である水吸着材、乾燥した不活性ガスを用いたばっ気置換装置、及び、加熱又は真空加熱装置等が挙げられる。
脱水膜を用いる場合には、浸透気化(PV)あるいは蒸気透過(VP)による膜脱水を行う。脱水膜は、例えば、透水性膜モジュールとして構成されるものである。脱水膜としては、ポリイミド系、セルロース系、及びポリビニルアルコール系等の高分子系又はゼオライト等の無機系の素材からなる膜を用いることができる。
水吸着材は、被精製液に添加して用いられる。水吸着材としては、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸、及びソーダ石灰等が挙げられる。
現像液中の水の含有量を所望の範囲内にする方法の一つとしては、窒素ガスで置換されたデシケータ内に被精製液を載置し、デシケータ内を陽圧で保持しながら、被精製液をデシケータ内で加温する方法も挙げられる。
(蒸留処理)
蒸留処理によれば、後述するイオン交換処理では金属成分、微粒子(金属成分が微粒子である場合には、これも含む)、被精製液中の水、及び、その他の処理によって被精製液中に溶出した不純物(後述する脱水膜から溶出した不純物等)を除去できる。
蒸留処理は、例えば、単段又は多段(例えば理論段数5~30)の蒸留装置によって実施される。
また蒸留処理は、常圧蒸留を行う蒸留装置で実施してもよく、減圧蒸留を行う蒸留装置で実施してもよい。
蒸留処理によって蒸留装置内等で不純物が濃縮するが、この濃縮された不純物の一部が流出することを防ぐために、蒸留手段には、不純物が濃縮されている液の一部を定期的に、又は、定常的に外部に排出する手段を設けることが好ましい。
蒸留処理は、複数の形態の蒸留装置を組み合わせて実施してもよく、単独の蒸留装置のみを1以上用いて実施してもよい。
蒸留処理は、例えば、後述するイオン交換処理を実施する前の被精製液に対して行う粗蒸留として行う蒸留処理と、後述するイオン交換処理等の精製処理を実施した後の被精製液に対して更に精製を進めるために行う蒸留処理との、少なくとも一方を実施することが好ましく、両方を実施することがより好ましい。
(イオン交換処理)
イオン交換処理によれば、被精製液中のイオン成分(例えば、金属成分等)を除去できる。
イオン交換処理によれば、蒸留装置内で蓄積した不純物が流出した場合にこれを除去したり、送液ラインとして利用されるステンレス鋼(SUS)等の配管からの溶出物を除去したりもできる。
イオン交換処理では、例えば、イオン交換樹脂等のイオン交換手段が用いられる。
イオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂もしくはアニオン交換樹脂を単床で設けたもの、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを複床で設けたもの、又は、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混床で設けたものいずれであってもよい。
イオン交換樹脂は、塔状の容器内にイオン交換樹脂を充填して、充填されたイオン交換樹脂に被精製液を通液して使用してもよい。
イオン交換処理では、カチオン交換樹脂及び/又はアニオン交換樹脂に対して、被精製液を1回だけ通液してもよいし、2回以上(例えば2~10回)通液してもよい。
イオン交換処理で、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂の両方を使用する場合、被処理液を、カチオン交換樹脂に通液してからアニオン交換樹脂に通液してもよいし、アニオン交換樹脂に通液してからカチオン交換樹脂に通液してもよいし、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に交互に通液してもよいし、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂を混合した混合体に通液する等してカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との両者に同時に通液してもよい。
イオン交換樹脂としては、オルガノ社製のオルライト DS(商品名)シリーズ、及び、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商品名)シリーズ等が挙げられる。
また、イオン交換樹脂としては、イオン交換樹脂からの水分溶出を低減させるために、極力水分を含まない乾燥樹脂を使用することも好ましい。このような乾燥樹脂としては、市販品を用いることができ、オルガノ社製の15 JS-HG・DRY(商品名、乾燥カチオン交換樹脂、水分2%以下)、及び、MSPS2-1・DRY(商品名、混床樹脂、水分10%以下)等が挙げられる。
イオン交換手段として、イオン吸着膜を使用してもよい。イオン吸着膜を用いると、高流速での処理が可能である点で好ましい。イオン吸着膜としては、ネオセプタ(商品名、アストム社製)が挙げられる。
(ろ過処理)
ろ過処理は、少なくとも1つ(好ましくは2以上、より好ましくは2~6)のフィルタに被精製液を通液させる処理である。ろ過処理では、後述するフィルタを2種以上組み合わせて使用することも好ましい。
ろ過処理は、例えば、金属成分及び水の含有量を所望の範囲内にしたり、異物及び粗大粒子等を除去したりするために、実施できる。
ろ過処理に使用されるフィルタは、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。フィルタを構成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリアミド系樹脂、PTFE、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンを含む)、又は、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレン、超高分子量ポリプロピレンを含む)が好ましい。これらの素材により形成されたフィルタを使用することで、残渣欠陥及びパーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、特定金属成分の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタの臨界表面張力として、下限値としては70mN/m以上が好ましく、上限値としては95mN/m以下が好ましい。特に、フィルタの臨界表面張力は、75~85mN/mが好ましい。
なお、臨界表面張力の値は、製造メーカーの公称値である。臨界表面張力が上記範囲のフィルタを使用することで、残渣欠陥及びパーティクル欠陥の原因となり易い極性の高い異物をより効果的に除去できる他、本願発明の特定金属成分の量をより効率的に減らすことができる。
フィルタの孔径は、0.001~1.0μmが好ましく、0.02~0.5μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。フィルタの孔径を上記範囲とすることで、ろ過詰まりを抑えつつ、現像液に含まれる微細な異物を確実に除去することが可能となる。
更に、特定金属成分の量を調整する観点からは、フィルタの孔径を0.05μm以下とすることも好ましい。特定金属成分の量を調整する場合のフィルタの孔径としては、0.005~0.04μmがより好ましく、0.01~0.02μmが更に好ましい。上記の範囲内であると、ろ過に必要な圧力が低く維持ができ、効率良くろ過できる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上ろ過を行う場合には、各フィルタは、互いに同じ種類のものであってもよいし、互いに種類の異なるものであってもよいが、互いに種類の異なるものであることが好ましい。
例えば、第1のフィルタと第2のフィルタを使用してもよく、典型的には、第1のフィルタと第2フィルタとは、孔径及び構成素材のうちの少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
第1のフィルタ及び第2のフィルタには、それぞれ、上述の通りの孔径及び/又は材質のフィルタを使用できる。また、以後に述べるフィルタを、それぞれ、第1のフィルタ及び/又は第2のフィルタとしてもよい。
1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照できる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)、及び、株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択できる。
また、ポリアミド製の「P-ナイロンフィルター(孔径0.02μm、臨界表面張力77mN/m)」;(日本ポール株式会社製)、高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.02μm)」;(日本ポール株式会社製)、及び、高密度ポリエチレン製の「PE・クリーンフィルタ(孔径0.01μm)」;(日本ポール株式会社製)も使用できる。
第2のフィルタは第1のフィルタと同様の材料で形成されたフィルタを使用してもよく、異なる材料で形成されたフィルタを使用してもよい。第1のフィルタと同様の孔径でも異なる孔径でもよい。
第2のフィルタの孔径が第1のフィルタより小さいものを用いる場合には、第2のフィルタの孔径と第1のフィルタの孔径との比(第2のフィルタの孔径/第1のフィルタの孔径)が0.01~0.99が好ましく、0.1~0.9がより好ましく、0.3~0.9が更に好ましい。第2フィルタの孔径を上記範囲とすることにより被精製液に混入している微細な異物がより確実に除去される。
現像液が2種以上の成分を混合してなる現像液の場合、例えば、第1のフィルタでのろ過は、現像液の一部の成分が含まれる混合液(被精製液)で行い、これに残りの成分を混合した被精製液を調製した後で、第2のフィルタでのろ過を行ってもよい。
ろ過処理を行う場合の温度の上限値は、室温(25℃)以下が好ましく、23℃以下がより好ましく、20℃以下が更に好ましい。また、ろ過時の温度の下限値は、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。
ろ過処理では、上記温度で行われると、被処理液中に溶解している粒子性の異物や不純物の量が少なくなるため、ろ過がより効率的に行われる。
特に、微量の特定金属成分を含む現像液においては、上記の温度でろ過することが好ましい。メカニズムは定かではないが、特定金属成分の多くは粒子性のコロイド状態で存在していることが考えられる。上記の温度でろ過をすると、コロイド状に浮遊している特定金属成分の一部が凝集するため、この凝集しているものが、ろ過により効率的に除去されるので、特定金属成分の含有量を本願所望の量に調整しやすくなることが考えられる。
また、使用されるフィルタは、ろ過処理を実施する前に処理することが好ましい。この処理に使用される液体は、特に限定されないが、有機溶剤を精製して金属成分の含有量を本発明の現像液と同様の範囲内にした液体、本発明の現像液そのものである液体、本発明の現像液を希釈した液体、現像液に含まれる成分を含む液体、これらの液体を更に精製して、特定金属成分、不純物、及び、粗大粒子等を低減させた液体であることも好ましい。
使用されるフィルタの処理に使用される液体は、特に限定されないが、上述した特定金属成分の含有量が0.001質量ppt未満であることも好ましい。
・除粒子径20nm以下のフィルタ
フィルタとしては、除粒子径20nm以下のフィルタを使用することも好ましい。
除粒子径が20nm以下のフィルタは、被精製液から、直径20nm以上の粒子を効率的に除去する機能を有する。
なお、すでに上述したフィルタ及び/又は後述するフィルタが、「除粒子径が20nm以下のフィルタ」としての特性を有していてもよい。
なお、フィルタの除粒子径としては、1~15nmが好ましく、1~12nmがより好ましい。除粒子径が15nm以下だと、より微細な粒子を除去でき、除粒子径が1nm以上だと、ろ過効率が向上する。
ここで、除粒子径とは、フィルタが除去可能な粒子の最小サイズを意味する。例えば、フィルタの除粒子径が20nmである場合には、直径20nm以上の粒子を除去可能である。
このようなフィルタの材質としては、例えば、6-ナイロン、及び、6、6-ナイロン等のナイロン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、又は、超高分子量ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、並びに、フッ素樹脂等が挙げられる。ポリイミド、及び/又は、ポリアミドイミドは、カルボキシ基、塩型カルボキシ基及びNH-結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するものであってもよい。耐溶剤性については、フッ素樹脂、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドが優れる。また、金属イオンを吸着する観点からは、6-ナイロン、及び、6、6-ナイロン等のナイロンが特に好ましい。
ろ過処理では、除粒子径20nm以下のフィルタを複数使用してもよい。
ろ過処理では、除粒子径20nm以下のフィルタ以外のフィルタも使用してもよい。この場合、他方のフィルタ(除粒子径20nm以下のフィルタ以外のフィルタ)としては、特に制限されないが、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密ろ過膜)が好ましい。
被処理液中に、コロイド化した不純物、特に鉄又はアルミニウムのような金属原子を有するコロイド化した不純物以外にも微粒子が存在する場合には、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密ろ過膜)を用いてろ過する前に、除粒子径が50nm以上のフィルタ(例えば、孔径が50nm以上の微粒子除去用の精密ろ過膜)を用いて被処理液のろ過を実施することで、除粒子径が20nm以下であるフィルタ(例えば、孔径が20nm以下の精密ろ過膜)のろ過効率が向上し、粒子の除去性能がより向上する。
・金属イオン吸着フィルタ
フィルタとしては、金属イオン吸着フィルタを使用することも好ましい。
金属イオン吸着フィルタとしては、特に制限されず、公知の金属イオン吸着フィルタが挙げられる。
なかでも、金属イオン吸着フィルタとしては、イオン交換可能なフィルタが好ましい。ここで、吸着対象となる金属イオンは、半導体デバイスの欠陥の原因になりやすいという点から、上記特定金属成分が好ましい。
金属イオン吸着フィルタは、金属イオンの吸着性能が向上するという観点から、表面に酸基を有することが好ましい。酸基としては、スルホ基、及び、カルボキシ基等が挙げられる。
金属イオン吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、セルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、フッ素樹脂等が挙げられる。金属イオンを吸着する効率の観点からは、ナイロンが特に好ましい。
また、金属イオン吸着フィルタは、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドを含む材質で構成されていてもよい。上記金属イオン吸着フィルタとしては、例えば、特開2016-155121号公報に記載されているポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜が挙げられる。
上記ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜は、カルボキシ基、塩型カルボキシ基、及び、-NH-結合からなる群より選択される少なくとも1つを有するものであってもよい。金属イオン吸着フィルタが、フッ素樹脂、ポリイミド、及び/又は、ポリアミドイミドからなると、より優れた耐溶剤性を有する。
・有機不純物吸着フィルタ
フィルタとしては、有機不純物吸着フィルタを使用することも好ましい。
有機不純物吸着フィルタとしては特に制限されず、公知の有機不純物吸着フィルタが挙げられる。
なかでも、有機不純物吸着フィルタとしては、有機不純物の吸着性能が向上する点で、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有すること(言い換えれば、有機不純物と相互作用可能な有機物骨格によって表面が修飾されていること)が好ましい。有機不純物と相互作用可能な有機物骨格としては、例えば、有機不純物と反応して有機不純物を有機不純物吸着フィルタに捕捉できるような化学構造が挙げられる。より具体的には、有機不純物としてn-長鎖アルキルアルコール(有機溶剤として1-長鎖アルキルアルコールを用いた場合の構造異性体)を含む場合には、有機物骨格としては、アルキル基が挙げられる。また、有機不純物としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む場合には、有機物骨格としてはフェニル基が挙げられる。
有機不純物吸着フィルタを構成する基材(材質)としては、活性炭を担持したセルロース、ケイソウ土、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及び、フッ素樹脂等が挙げられる。
また、有機不純物吸着フィルタには、特開2002-273123号公報及び特開2013-150979号公報に記載の活性炭を不織布に固着したフィルタも使用できる。
有機不純物吸着フィルタとしては、上記で示した化学吸着(有機不純物と相互作用可能な有機物骨格を表面に有する有機不純物吸着フィルタを用いた吸着)以外に、物理的な吸着方法も適用できる。
例えば、有機不純物としてBHTを含む場合、BHTの構造は10オングストローム(=1nm)よりも大きい。そのため、孔径が1nmの有機不純物吸着フィルタを用いることで、BHTはフィルタの孔を通過できない。つまり、BHTは、フィルタによって物理的に捕捉されるので、被精製液中から除去される。このように、有機不純物の除去は、化学的な相互作用だけでなく物理的な除去方法を適用することでも可能である。
なお、上述した精製工程の一例として、各処理が全て行われる場合を示したが、これに限定されず、上記各処理を単独で行ってもよいし、上記処理を複数組み合わせて行ってもよい。また、上記各処理は、1回行われてもよいし、複数回行われてもよい。
また、後述する脱水処理のようなその他の処理を行ってもよい。
精製工程においては、上述の処理の他に、国際公開第2012/043496号に記載されている、炭化ケイ素を用いた金属成分の吸着精製処理等も実施してよい。
このような各処理を得て得られた被精製液を、本発明の現像液の製造に使用したり、本発明の現像液そのものとして使用できる。
上述した各処理は、密閉状態でかつ、被精製液に水の混入する可能性が低い不活性ガス雰囲気下で行われることも好ましい。
また、各処理は、所望に応じて、水分の混入を極力抑えるために、露点温度が-70℃以下の不活性ガス雰囲気下で行うことも好ましい。-70℃以下の不活性ガス雰囲気下では、気相中の水分濃度が2質量ppm以下であるため、現像液(被精製液)中に水分が混入する可能性が低くなるためである。
上記精製工程以外に、現像液に含まれる金属成分及び水の含有量を所望の範囲内にする方法としては、現像液の製造に使用する原料を収容する「容器」として、後述する本発明の現像液を収容する収容容器に関して説明するような、不純物の溶出が少ない容器を用いることが挙げられる。また、現像液の製造時の「配管」等からメタル分が溶出しないように、配管内壁にフッ素系樹脂のライニングを施す等の方法も挙げられる。
本発明の現像液を製造するのに用いられる製造装置(被精製液の精製工程を実施するために使用される装置等)の接液部の材料としては特に制限されないが、より優れた欠陥抑制性能を有する現像液が得られる点で、非金属材料、及び、電解研磨された金属材料からなる群から選択される少なくとも1種から形成されることが好ましい。
なお、本明細書において、「接液部」とは、流体(被処理液及び現像液等)が接する可能性がある部位(例えば、タンク内面、及び、管路内面等)で、かつ、その表面から厚み100nmの領域を意図する。
上記非金属材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、並びに、パーフルオロ樹脂等のフッ素含有樹脂材料であることが好ましく、金属原子の溶出が少ない観点からフッ素含有樹脂であることがより好ましい。
フッ素含有樹脂としては、パーフルオロ樹脂等が挙げられ、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂(ETFE)、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(PCTFE)、フッ化ビニル樹脂(PVF)等が挙げられる。
フッ素含有樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、又は、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂が好ましい。
上記金属材料としては、特に制限されず、公知の材料を用いることができ金属材料としては、例えば、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料が好ましく、30質量%以上である金属材料がより好ましい。金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、一般に90質量%以下が好ましい。
金属材料としては例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、合金鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼、及び、ニッケルークロム合金等が挙げられる。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼を使用できる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含む合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及び、SUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
ニッケルークロム合金としては、特に制限されず、公知のニッケルークロム合金を使用できる。なかでも、ニッケル含有量が40~75質量%、クロム含有量が1~30質量%のニッケル-クロム合金が好ましい。
ニッケルークロム合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及び、インコネル(商品名、以下同じ)等が挙げられる。より具体的には、ハステロイC-276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ-C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、ハステロイC-22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)等が挙げられる。
また、ニッケルークロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、及び、コバルト等を含んでいてもよい。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、特開2015-227501号公報の[0011]~[0014]、及び、特開2008-264929号公報の[0036]~[0042]段落等に記載された方法を使用できる。
金属材料は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっていると推測される。そのため、接液部が電解研磨された金属材料から形成された蒸留塔等からは、有機溶剤中に金属原子を含む金属不純物が流出しにくいため、不純物含有量が低減された蒸留済みの被処理液を得ることができると推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていてもよい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
より優れた欠陥抑制性能を有する現像液が得られる点で、接液部の金属材料は電解研磨されたステンレス鋼から形成されることが好ましい。特に、製造装置がタンクを備える場合、タンクの接液部が電解研磨されたステンレス鋼から形成されることがより好ましい。接液部におけるFeの含有量に対するCrの含有量の含有質量比(以下、「Cr/Fe」ともいう。)としては特に制限されないが、一般に、0.5~4が好ましく、なかでも、被処理液中に金属不純物、及び/又は、有機不純物がより溶出しにくい点で、0.5を超3.5未満がより好ましく、0.7~3.0がより好ましい。Cr/Feが0.5を超えると、タンク内からの金属溶出を抑えることができ、Cr/Feが3.5未満だとパーティクルの原因となる接液部のはがれ等が起きにくい。
上記金属材料中のCr/Feを調整する方法としては特に制限されず、金属材料中のCr原子の含有量を調整する方法、及び、電解研磨により、研磨表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くする方法等が挙げられる。
金属材料は皮膜技術が適用されていてもよい。
皮膜技術には、金属被覆(各種メッキ)、無機被覆(各種化成処理、ガラス、コンクリート、又は、セラミックス等)、及び、有機被覆(さび止め油、塗料、ゴム、又は、プラスチックス)の3種に大別されている。
皮膜技術としては、錆止め油、錆止め剤、腐食抑制剤、キレート化合物、可剥性プラスチック、及び、ライニング剤による表面処理等が好ましい。
中でも、各種のクロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、燐酸塩、オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸等のカルボン酸、カルボン酸金属石鹸、スルホン酸塩、アミン塩、及び、エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステルや燐酸エステル)等の腐食抑制剤、エチレンジアンテトラ酢酸、グルコン酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチルエチオレンジアミン三酢酸、及び、ジエチレントリアミン五酢酸等のキレート化合物、又は、フッ素樹脂ライニングが好ましく、燐酸塩処理又はフッ素樹脂ライニングがより好ましい。
本発明の現像液は、洗浄液を用いて製造装置を洗浄する工程を経て得られたものであってもよい。
言い換えると、精製工程に使用される製造装置は、事前に洗浄液を用いて洗浄された製造装置であることも好ましい。
洗浄は、洗浄液を製造装置の内部に供給することで実施される。洗浄液の供給量としては特に制限されないが、製造装置の接液部を十分に洗浄できる程度の量が好ましい。
洗浄は、洗浄装置に洗浄液を循環させる循環洗浄であってもよく、洗浄液を循環させずに製造装置外へと排出する方法(バッチ洗浄)であってもよい。バッチ洗浄の場合、洗浄液は、一定量を断続的に製造装置内に供給してもよいし、連続的に製造装置内に供給してもよい。
製造装置を洗浄する場合に用いられる洗浄液としては、特に制限されず、公知の洗浄液を使用できる。
洗浄液としては、例えば、水、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等が挙げられる。
また、洗浄液としては、例えば、特開2016-057614号公報、特開2014-219664号公報、特開2016-138219号公報、及び、特開2015-135379号公報に記載のものを用いてもよい。
洗浄液は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロペンタン(CyPe)、シクロペンタノン(CyPn)、酢酸ブチル(nBA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン(CyHe)、乳酸エチル(EL)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(HBM)、シクロペンタノンジメチルアセタール(DBCPN)、Y-ブチロラクトン(YBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)、酢酸イソアミル(iAA)、2-プロパノール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、及び、4メチル-2-ペンタノール(MIBC)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、PGMEA、NMP、PGME、nBA、PC、CyHe、YBL、MIBC、EL、DMSO、iAA、MEK、PC、及び、CyPeからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、PGMEA、NMP、PGME、nBA、PC、CyHe、YBL、MIBC、EL、DMSO、iAA、MEK、PC、及び、CyPeからなる群から選択される少なくとも1種からなることが更に好ましい。
なお、洗浄液は1種を単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
上記以外にも、洗浄液としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、及び、エトキシプロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、及び、エチルセロソルブアセテート等のエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、及び、キシレン等芳香族化合物;ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、及び、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素;等が挙げられる。
<キット>
本発明の現像液は、他の原料を別途添加するキットとしてもよい。この場合、使用の際に別途添加する他の原料として、ある1種の有機溶剤に対して更に混合されるべき別種の有機溶剤、及び、用途に応じて他の化合物を混合して使用できる。本発明の効果が顕著に得られる観点から、この際に使用され得る有機溶剤は、これに含まれる水酸基を有する化合物及び/又は金属成分の各含有量が、上述した本発明の現像液の所定の範囲であることが好ましい。
<容器(収容容器)>
本発明の現像液は、(キットであるか否かに関わらず)腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、及び/又は、使用できる。容器としては、半導体用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。
使用可能な容器としては、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられ、これらに限定されない。
容器の内壁(すなわち、現像液と接触する接液部)は、非金属材料(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン-ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂、ならびに、これとは異なる樹脂)、又は、ステンレス、ハステロイ、インコネル、及び、モネル等、防錆及び金属溶出防止処理が施された金属材料から形成されるのが好ましい。
上記の異なる樹脂としては、フッ素系樹脂(パーフルオロ樹脂)が好ましい。このように、内壁がフッ素系樹脂である容器を用いることで、内壁が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂である容器を用いる場合と比べて、エチレン又はプロピレンのオリゴマーの溶出という不具合の発生を抑制できる。
フッ素系樹脂の具体例としては、上述した製造装置の接液部で述べた「フッ素含有樹脂」が挙げられる。
このような内壁がフッ素系樹脂である容器の具体例としては、例えば、Entegris社製FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3-502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号の第3頁等、及び、国際公開第99/46309号の第9頁及び16頁等に記載の容器も使用できる。なお、非金属材料の内壁とする場合、現像液中への非金属材料の溶出が抑制されているのが好ましい。
また、容器の内壁には、上述したフッ素系樹脂の他に、石英及び電解研磨された金属材料(すなわち、電解研磨済みの金属材料)も好ましく用いられる。このような内壁の容器を用いた場合、特定金属成分及び/又は有機不純物が、容器内で保管される現像液中により溶出しにくい。
上記電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料は、クロム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料であることがより好ましい。使用可能な金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、及び、ニッケルークロム合金等が挙げられる。
金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計は、金属材料全質量に対して25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
なお、金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、一般的に90質量%以下が好ましい。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼を使用できる。なかでも、ニッケルを8質量%以上含む合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及び、SUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
ニッケル-クロム合金としては、特に制限されず、公知のニッケルークロム合金を使用できる。なかでも、ニッケル含有量が40~75質量%、クロム含有量が1~30質量%のニッケル-クロム合金が好ましい。
ニッケルークロム合金としては、例えば、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及び、インコネル(商品名、以下同じ)等が挙げられる。より具体的には、ハステロイC-276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ-C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、ハステロイC-22(Ni含有量61 質量%、Cr含有量22質量%)等が挙げられる。
また、ニッケルークロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、及び、コバルト等を含んでいてもよい。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、特開2015-227501号公報の[0011]~[0014]、及び、特開2008-264929号公報の[0036]~[0042]等に記載された方法を使用できる。
金属材料は、電解研磨されることにより表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっているものと推測される。そのため、電解研磨された金属材料で被覆された内壁からは、現像液中に金属成分が流出しにくいため、特定金属成分が低減された現像液を得ることができるものと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていることが好ましい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び、磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
本発明においては、上記容器と、この容器内に収容された上記現像液と、を有するものを、現像液収容体という場合がある。
これらの容器は、充填前に容器内部を洗浄することが好ましい。洗浄に使用される液体に含まれる金属成分の含有量は、上記現像液として好適な金属成分の含有量の範囲内であることが好ましい。液体は、用途に応じて適宜選択すればよいが、有機溶剤を精製して金属成分の含有量を上記現像液と同様の範囲内にしたもの、本発明の現像液そのもの、本発明の現像液を希釈したもの、又は、本発明の現像液に添加している成分の少なくとも1種を含む液体であると、本発明の効果が顕著に得られる。
また、容器を洗浄する前に各種容器のふたを酸や有機溶剤で洗浄する等して、ふたに付着している異物の除去をすれば、ふたからの異物混入を防げるので好ましい。
本発明の現像液は、製造後にガロン瓶やコート瓶等の容器にボトリングし、輸送、保管されてもよい。ガロン瓶はガラス材料を使用したものであってもそれ以外であってもよい。
保管における現像液中の成分の変化を防ぐ目的で、容器内を純度99.99995体積%以上の不活性ガス(チッソ、又は、アルゴン等)で置換しておいてもよい。特に、含水率が少ないガスが好ましい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、変質を防ぐため、-20℃から20℃の範囲に温度制御してもよい。
<クリーンルーム>
本発明の現像液の製造、収容容器の開封及び/又は洗浄、現像液の充填等を含めた取り扱い、処理分析、及び、測定は、全てクリーンルームで行うことが好ましい。クリーンルームは、14644-1クリーンルーム基準を満たすことが好ましい。ISO(国際標準化機構)クラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、ISOクラス4のいずれかを満たすことが好ましく、ISOクラス1、又は、ISOクラス2を満たすことがより好ましく、ISOクラス1を満たすことが更に好ましい。
〔感活性光線又は感放射線性樹脂組成物(組成物)〕
次に、本発明のパターン形成方法に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(「組成物」ともいう)について記載する。
本発明の組成物は、KrF露光用のレジスト組成物であることが好ましい。
本発明の組成物は、有機溶剤現像用のレジスト組成物である。また本発明に係る組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
中でも、本発明の組成物は、
(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂(樹脂(A)ともいう)、
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び、
(C)溶剤、を含むことが好ましい。
また、上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15モル%以上である。
また、組成物は、更に、(G)架橋剤、を含むことも好ましい。
上記架橋剤は、分子内に2個の架橋性基を有することが好ましい。
以下、本発明の組成物が含み得る成分について詳述する。
<(A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂>
本発明の組成物は、芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂(以下、樹脂(A)ともいう)を含むことが好ましい。
樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する繰り返し単位を有することから、樹脂(A)は、典型的には、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂であることが好ましい。
(芳香族基を有する繰り返し単位)
芳香族基を有する繰り返し単位を構成する芳香族基における芳香環としては、単環又は多環の芳香環であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、及び、フェナントレン環等の炭素数6~18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、並びに、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、及び、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香族ヘテロ環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
芳香族基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基等が挙げられる。
樹脂(A)は、芳香族基を有する繰り返し単位を有し、上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して15モル%以上である。これにより、KrFの光により露光する場合において、断面形状の矩形性と耐エッチング性能とに優れたパターンを形成できる。
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量の上限値は特に限定されないが、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、通常85モル%以下である。
上記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、15~70モル%が好ましく、15~60モル%がより好ましく、15~55モル%が更に好ましい。
芳香族基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(A)で表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、R01、R02、及び、R03は、それぞれ独立に、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。Arは、芳香環基を表す。R03がアルキレン基を表し、Arと結合して、-C-C-鎖と共に、5員又は6員環を形成していてもよい。
n個のYは、それぞれ独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1~4の整数を表し、1~2が好ましく、1がより好ましい。
01~R03としてのアルキル基は、例えば、炭素数20以下のアルキル基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。なお、上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01~R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3~8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
03がアルキレン基を表す場合、このアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、又は、オクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Arとしての芳香環基は、炭素数6~14の芳香環基が好ましく、例えば、ベンゼン環、トルエン環、及び、ナフタレン環が挙げられる。なお、これら芳香環基は、置換基を有していてもよい。
上記Yの少なくとも1つとしての酸の作用により脱離する基は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位において後述するものを好適に挙げることできる。
上記Yの少なくとも1つとしての酸の作用により脱離する基は、下記一般式(B)で表される構造であることがより好ましい。
式中、L及びLは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、環状脂肪族基、芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、又は、アルデヒド基を表す。環状脂肪族基及び芳香環基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
Q、M、及び、Lの少なくとも2つが互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
及びLとしてのアルキル基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、及び、オクチル基等が挙げられる。
及びLとしてのシクロアルキル基は、例えば、炭素数3~15のシクロアルキル基であり、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、及び、アダマンチル基等が挙げられる。
及びLとしてのアリール基は、例えば、炭素数6~15のアリール基であり、フェニル基、トリル基、ナフチル基、及び、アントリル基等が挙げられる。
及びLとしてのアラルキル基は、例えば、炭素数6~20のアラルキル基であり、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、又は、オクチレン基等)、シクロアルキレン基(シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基等)、アルケニレン基(エチレン基、プロペニレン基、又は、ブテニレン基等)、アリーレン基(フェニレン基、トリレン基、又は、ナフチレン基等)、-S-、-O-、-CO-、-SO-、-N(R)-、又は、これらの2以上の組み合わせが好ましい。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基である。Rとしてのアルキル基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、及び、オクチル基等が挙げられる。
Qとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、上述したL及びLとしての各基と同様である。
Qとしての環状脂肪族基又は芳香環基としては、例えば、上述したL及びLとしてのシクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。これらシクロアルキル基及びアリール基は、好ましくは、炭素数3~15の基である。
Qとしてのヘテロ原子を含んだ環状脂肪族基又は芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、及び、ピロリドン等の複素環構造を有した基が挙げられる。ただし、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
Q、M、及び、Lの少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、QとLと共同してがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環構造が挙げられる。なお、この5員又は6員環構造は、酸素原子を含んでいる。
一般式(B)におけるL、L、M、及び、Qで表される各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
-(M-Q)で表される基としては、炭素数1~20の基が好ましく、炭素数1~10の基がより好ましく、炭素数1~8が更に好ましい。
一般式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、5~60モル%が好ましく、20~60モル%がより好ましく、30~60モル%が更に好ましい。
また、芳香族基を有する繰り返し単位としては、例えば、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位を有することも好ましい。
フェノール性水酸基とは、芳香族基の水素原子を水酸基で置換してなる基である。芳香族基を構成する芳香環は上述の通りである。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(B-1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(BH-1)中、
B1、RB2、及び、RB3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。RB3はArB1と結合して環を形成していてもよく、その場合のRB3はアルキレン基を表す。
B3は、単結合又は2価の連結基を表す。
ArB1は、(n+1)価の芳香環基を表し、RB3と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
は、1~4の整数を表す。
一般式(BH-1)におけるRB1、RB2、及び、RB3で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(BH-1)におけるRB1、RB2及びRB3で表されるシクロアルキル基としては、単環でも、多環でもよい。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の炭素数3~8個で単環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(BH-1)におけるRB1、RB2、及び、RB3で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(BH-1)におけるRB1、RB2、及び、RB3で表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記RB1、RB2、及び、RB3におけるアルキル基と同様の基が好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
ArB1は、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及び、アントラセニレン基等の炭素数6~18のアリーレン基、並びに、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む芳香環基が挙げられる。
が2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げられる。
B3としての2価の連結基としては、-COO-又は-CONR64-が挙げられる。
64は、水素原子又はアルキル基を表す。R64のアルキル基は、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
B3は、単結合、-COO-、又は、-CONH-が好ましく、単結合又は-COO-がより好ましく、単結合が更に好ましい。
ArB1としては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、又は、ビフェニレン環基がより好ましく、ベンゼン環基が更に好ましい。
は1~4の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
上記一般式(BH-1)で表される繰り返し単位は、下記一般式(BH-2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(BH-2)中、RB1、RB2、及び、RB3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。
ArB1は、(n+1)価の芳香環基を表す。
は、1~4の整数を表す。
一般式(BH-2)中のRB1、RB2、RB3、ArB1、及び、nの具体例及び好ましい例は、上記一般式(BH-1)中のRB1、RB2、RB3、ArB1、及び、nの具体例及び好ましい例と同義である。但し、RB3はArB1と結合して環を形成しない。
以下に、一般式(BH-1)で表される繰り返し単位の具体例を示す。式中、aは1又は2を表す。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(一般式(B-1)で表される繰り返し単位、より好ましくは一般式(BH-2)で表される繰り返し単位)の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、30~60モル%が更に好ましい。
(酸の作用により分解して極性基を生じる基(酸分解性基)を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位(「酸分解性基を有する繰り返し単位」ともいう)を含む。酸分解性基を有する繰り返し単位は、芳香族基を有する繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であってもよいし、芳香族基を有する繰り返し単位としての要件を満たしていてもよい。
酸の作用により分解して極性基を生じる基(酸分解性基)は、酸の作用により分解し脱離する基で極性基が保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、及び、アルコール性水酸基が挙げられる。
極性基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基等)、又は、スルホン酸基が好ましい。
酸分解性基として好ましい基は、これらの極性基の水素原子を酸の作用により脱離する基で置換した基である。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、-C(R01)(R02)(OR39)、-C(R01)(R02)-C(=O)-O-C(R36)(R37)(R38)、又は、-CH(R36)(Ar)が挙げられる。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
36~R39、R01、及び、R02としてのアルキル基は、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、へキシル基、及び、オクチル基が挙げられる。
36~R39、R01、及び、R02としてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及び、シクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及び、アンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36~R39、R01、R02、及び、Arとしてのアリール基は、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及び、アントリル基が挙げられる。
36~R39、R01、及び、R02としてのアラルキル基は、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及び、ナフチルメチル基が好ましい。
36~R39、R01、及び、R02としてのアルケニル基は、炭素数2~8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及び、シクロへキセニル基が挙げられる。
36とR37とが互いに結合して形成し得る環は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。単環型としては、炭素数3~8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造及びシクロオクタン構造が挙げられる。多環型としては、炭素数6~20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造及びテトラシクロドデカン構造が挙げられる。なお、環構造中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
酸分解性基は、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、又は、第3級のアルキルエステル基が好ましく、第3級アルキルエステル基がより好ましい。
樹脂(A)が有し得る、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AI)中、
Xaは、水素原子、又は、アルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx~Rxは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx~Rxの2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Xaにより表されるアルキル基は、置換基を有しても有さなくてもよく、例えば、メチル基又は-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、ヒドロキシル基、又は、1価の有機基を表す。R11は、炭素数5以下のアルキル基、又は、炭素数5以下のアシル基が好ましく、炭素数3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
Xaは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、-COO-Rt-基、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、-(CH-基がより好ましい。
Rx~Rxのアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx~Rxのシクロアルキル基は、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx~Rxの2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
一般式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rxがメチル基又はエチル基であり、RxとRxとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様も好ましい。
上記各基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~6)が挙げられる。上記置換基は炭素数8以下であることが好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の好ましい具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xaは、水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合はそれぞれ独立である。pは0又は正の整数を表す。Zにより表される極性基を含む置換基としては、例えば、水酸基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基及び/又は、スルホンアミド基を有する、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、及び、シクロアルキル基が挙げられる。中でも、Zにより表される極性基を含む置換基は、水酸基を有するアルキル基が好ましい。分岐鎖状のアルキル基はイソプロピル基が好ましい。
上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位は、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有することが好ましい。脂環式炭化水素基としては、特に限定されないが、例えばシクロアルキル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数5~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及び、シクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6~20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α-ピナニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及び、アンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
炭素数5~20の脂環式炭化水素基における炭素数は、脂環式炭化水素環の骨格を構成する炭素数を表す。
上記脂環式炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。
樹脂(A)は、一般式(AI)で表される繰り返し単位として、一般式(3)で表される繰り返し単位を含むことも好ましい。
一般式(3)中、
31は、水素原子又はアルキル基を表す。
32は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、及び、シクロヘキシル基が挙げられる。
33は、R32が結合している炭素原子と共に単環の脂環炭化水素構造を形成するのに必要な原子団を表す。脂環炭化水素構造は、環を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子、又は、ヘテロ原子を有する基で置換されていてもよい。
31のアルキル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としてはフッ素原子、水酸基等が挙げられる。R31は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基を表す。
32は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基又は、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又は、tert-ブチル基がより好ましい。
33が炭素原子と共に形成する単環の脂環炭化水素構造は、3~8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
33が炭素原子と共に形成する単環の脂環炭化水素構造において、環を構成し得るヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、ヘテロ原子を有する基としては、カルボニル基等が挙げられる。ただし、ヘテロ原子を有する基は、エステル基(エステル結合)ではないことが好ましい。
33が炭素原子と共に形成する単環の脂環炭化水素構造は、炭素原子と水素原子とのみから形成されることが好ましい。
一般式(3)で表される繰り返し単位は、下記一般式(3’)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
一般式(3’)中、R31及びR32は、上記一般式(3)におけるそれぞれと同義である。
一般式(3)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
一般式(3)で表される構造を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して10~70モル%が好ましく、20~60モル%がより好ましく、30~50モル%が更に好ましい。
また、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(A)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
酸の作用により極性を発生しやすいことを鑑みて、上記酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位が酸の作用により発生する極性基を有する繰り返し単位が、(メタ)アクリル酸に対応する繰り返し単位であることが好ましい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の合計としての含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、20~90モル%が好ましく、25~85モル%であることがより好ましく、25~50モル%であることが更に好ましい。
樹脂(A)が、芳香族基を有する繰り返し単位であって同時に酸分解性基を有する繰り返し単位でもある繰り返し単位と、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない酸分解性基を有する繰り返し単位と、の両方を含む場合、両者の合計含有量が上記含有量の範囲を満たすことも好ましく、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位のみで上記含有量の範囲を満たすことも好ましい。
樹脂(A)は、芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有するが、芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位以外にも、その他の繰り返し単位を有していても良い。
(その他の繰り返し単位)
樹脂(A)は、一態様において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。この環状炭酸エステル構造は、環を構成する原子群として-O-C(=O)-O-で表される結合を含む環を有する構造である。環を構成する原子群として-O-C(=O)-O-で表される結合を含む環は、5~7員環であることが好ましく、5員環であることがより好ましい。このような環は、他の環と縮合し、縮合環を形成していてもよい。
また、樹脂(A)は、ラクトン構造又はスルトン(環状スルホン酸エステル)構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることも好ましい。
ラクトン基又はスルトン基としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも使用できるが、好ましくは5~7員環のラクトン構造又はスルトン構造であり、5~7員環のラクトン構造又はスルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1-1)~(LC1-17)、一般式(SL1-1)、及び、一般式(SL1-2)のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造又はスルトン構造としては一般式(LC1-1)、一般式(LC1-4)、一般式(LC1-5)、又は、一般式(LC1-8)で表されるラクトン構造であり、一般式(LC1-4)で表されるラクトン構造がより好ましい。特定のラクトン構造又はスルトン構造を用いることでラインウィズスラフネス(LWR)、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。置換基(Rb)としては、例えば、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び、酸分解性基が挙げられ、炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、又は、酸分解性基が好ましい。nは、0~4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン基又はスルトン基を有する繰り返し単位は、通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上となることが好ましく、95%以上となることがより好ましい。
樹脂(A)は、一般式(AI)以外の水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることも好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造における、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、又は、ノルボルナン基が好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)~(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)~(VIIc)中、
c~Rcは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は、シアノ基を表す。ただし、Rc~Rcの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。中でも、Rc~Rcの内の1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子であることが好ましく、Rc~Rcの内の2つが水酸基で、残りが水素原子であることがより好ましい。
一般式(VIIa)~(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)~(AIId)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(AIIa)~(AIId)中、
cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基を表す。
c~Rcは、一般式(VIIa)~(VIIc)における、Rc~Rcと同義である。
樹脂(A)が水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を含む場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、10~25モル%が更に好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有してもよい。
酸基を有する繰り返し単位は、上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることも好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、及び、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。
酸基を有する繰り返し単位を含むことによりコンタクトホール用途での解像性が増す。
酸基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位、及び、酸基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入され繰り返し単位、のいずれでもよい。
連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。
中でも、酸基を有する繰り返し単位は、アクリル酸又はメタクリル酸に基づく繰り返し単位である。
また、樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位として、上記のフェノール性水酸基を有する繰り返し単位も挙げられる。
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、30~90モル%が好ましく、35~85モル%がより好ましく、40~80モル%が更に好ましい。
樹脂(A)が、芳香族基を有する繰り返し単位であって同時に酸基を有する繰り返し単位でもある繰り返し単位と、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない酸基を有する繰り返し単位でもある繰り返し単位と、の両方を含む場合、両者の合計含有量が上記含有量の範囲を満たすことも好ましく、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない酸基を有する繰り返し単位のみで上記含有量の範囲を満たすことも好ましい。
酸基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH、CH、CHOH、又は、CFを表す。
樹脂(A)は、更に、極性基(酸基、水酸基、又は、シアノ基等)を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。
このような繰り返し単位は、上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることも好ましい。
このような繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記一般式(IV)中、Rは、少なくとも一つの環状構造を有し極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は-CH-O-Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、又は、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、及び、シクロオクチル基等の炭素数3~12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基等炭素数3~12のシクロアルケニル基、並びに、フェニル基が挙げられる。単環式炭化水素基としては、炭素数3~7の単環式炭化水素基が好ましく、シクロペンチル基、又は、シクロヘキシル基がより好ましい。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基としては、例えば、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、及び、4-シクロヘキシルフェニル基が挙げられる。架橋環式炭化水素環としては、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、及び、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)等の2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、及び、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環等の3環式炭化水素環、並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、及び、mパーヒドロ-1,4-メタノ-5,8-メタノナフタレン環等の4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環(例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、及び、パーヒドロフェナレン環等の5~8員シクロアルカン環)が複数個縮合した縮合環も含まれる。
架橋環式炭化水素環は、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、又は、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基が好ましく、ノルボニル基、又は、アダマンチル基がより好ましい。
これらの環状炭化水素構造は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、及び、水素原子が置換されたアミノ基が挙げられる。ハロゲン原子は、臭素原子、塩素原子、又は、フッ素原子が好ましい。アルキル基は、メチル、エチル、ブチル、又は、t-ブチル基が好ましい。上記アルキル基は更に置換基を有していてもよく、更に有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、及び、水素原子が置換されたアミノ基が挙げられる。
上記水素原子が置換された基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及び、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t-ブトキシメチル、及び、2-メトキシエトキシメチル基が挙げられる。置換エチル基としては、例えば、1-エトキシエチル、及び、1-メチル-1-メトキシエチルが挙げられる。アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、及び、ピバロイル基等の炭素数1~6の脂肪族アシル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
樹脂(A)が、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1~40モル%が好ましく、2~20モル%がより好ましい。
樹脂(A)が、芳香族基を有する繰り返し単位であって同時に極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位と、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位と、の両方を含む場合、両者の合計含有量が上記含有量の範囲を満たすことも好ましく、芳香族基を有する繰り返し単位には該当しない、極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位のみで上記含有量の範囲を満たすことも好ましい。
極性基を持たない環状炭化水素構造を有し酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又は、CFを表す。
樹脂(A)は、更に、極性基(酸基、水酸基、又は、シアノ基等)及び環状炭化水素構造を有さず、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。
このような繰り返し単位は、上述の繰り返し単位とは異なる繰り返し単位であることも好ましい。
このような繰り返し単位としては、上述の一般式(IV)で表される繰り返し単位において、Rが無置換のアルキル基に置き換わった繰り返し単位が挙げられる。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数は1~15が好ましく、2~10がより好ましい。
樹脂(A)が極性基(酸基、水酸基、又は、シアノ基等)及び環状炭化水素構造を有さず、酸分解性を示さない繰り返し単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1~40モル%が好ましく、2~20モル%がより好ましい。
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有してもよい。このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、酸基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、上述した繰り返し単位に対応するモノマー以外の、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、及び、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等が挙げられる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の組成物に用いられる樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明における樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1~10時間かけて滴下して加える滴下重合法等が挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、及び、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル溶媒、並びに、ジメチルホルムアミド、及び、ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤が挙げられる。他にも、後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒も挙げられる。反応溶媒は、本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いることも好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴン等不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤として市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイド等)を用いて、重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、建夫ば、エステル基、シアノ基、及び/又は、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が挙げられる。
開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、及び、ジメチル2,2‘-アゾビス(2-メチルプロピオネート)が挙げられる。所望により開始剤を追加、又は、分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体又は固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は、5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。反応温度は、通常10~150℃が好ましく、30~120℃がより好ましく、60~100℃が更に好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、5,000~200,000が好ましく、8,000~50,000がより好ましく、10,000~35,000が更に好ましい。重量平均分子量を、上記範囲とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の低下を防ぐことができ、かつ、現像性が劣化したり粘度が高くなって製膜性が劣化したりすることを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1.0~3.0であり、1.0~2.6が好ましく、1.0~2.0がより好ましく、1.1~2.0が更に好ましい。分子量分布が適度に小さいと、解像度及びレジスト形状が優れ、かつレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
樹脂(A)の含有量は、組成物の全固形分に対して、30~99質量%が好ましく、50~97質量%がより好ましい。
固形分とは、組成物における、溶剤を除く全成分を意図し、レジスト膜を形成する成分であれば、常温で液体であっても固形分とみなす。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
<(X)芳香族基を有する繰り返し単位の含有量が樹脂の全質量に対して0質量%以上15質量%未満である樹脂>
なお、本発明の組成物においては、芳香族基を有する繰り返し単位の含有量が樹脂の全質量に対して0質量%以上15質量%未満である樹脂(「樹脂(X)」ともいう)を使用してもよい。
樹脂(X)は、芳香族基を有する繰り返し単位を含まなくてもよいし、含む場合、その含有量は、樹脂(X)の全繰り返し単位に対して、0質量%超15質量%未満である。
樹脂(X)は、芳香族基を有する繰り返し単位の含有量が樹脂の全質量に対して0質量%以上15質量%未満であること以外は、樹脂(A)と同様であり、好ましい条件も同じである。
樹脂(X)は、樹脂(A)とは別途添加してもよいし、樹脂(A)の一部又は全部と置き換えて添加してもよい。
組成物が樹脂(X)を含む場合、その含有量は、30~99質量%が好ましく、50~97質量%がより好ましい。
組成物が、樹脂(A)及び樹脂(X)の両方を含む場合、その合計含有量は、30~99質量%が好ましく、50~97質量%がより好ましい。
<(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物>
本発明の組成物は、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「化合物(B)」、「光酸発生剤」ともいう)を含むことが好ましい。
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及び、o-ニトロベンジルスルホネート化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の[0125]~[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の[0086]~[0094]、及び、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の[0323]~[0402]に開示された公知の化合物を好適に使用できる。
光酸発生剤としては、例えば、下記一般式(ZI)、一般式(ZII)、又は、一般式(ZIII)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(ZI)において、
201、R202、及び、R203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
201、R202、及び、R203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30であり、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)及び-CH-CH-O-CH-CH-が挙げられる。
は、アニオン(非求核性アニオンが好ましい。)を表す。
一般式(ZI)におけるカチオンの好適な態様としては、後述する化合物(ZI-1)、化合物(ZI-2)、一般式(ZI-3)で表される化合物(化合物(ZI-3))、一般式(ZI-4)で表される化合物(化合物(ZI-4))における対応する基が挙げられる。
なお、光酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201~R203の少なくとも1つと、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201~R203の少なくとも一つとが、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
まず、化合物(ZI-1)について説明する。
化合物(ZI-1)は、上記一般式(ZI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201~R203の全てがアリール基でもよい。R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成して、残りの一つがアリール基であってもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、及び、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
アリールスルホニウム化合物に含まれるアリール基としては、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及び、ベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は、炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及び、シクロヘキシル基等が挙げられる。
201~R203のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基は、それぞれ独立に、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~14)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、又は、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。
次に、化合物(ZI-2)について説明する。
化合物(ZI-2)は、式(ZI)におけるR201~R203が、それぞれ独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
201~R203は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又は、ビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又は、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、更に好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、ペンチル基)、及び、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ノルボルニル基)が挙げられる。
201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又は、ニトロ基によって更に置換されていることも好ましい。
次に、化合物(ZI-3)について説明する。
一般式(ZI-3)中、Mは、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表し、環構造を有するとき、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素-炭素二重結合の少なくとも1種を含んでいてもよい。R1c及びR2cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アリール基を表す。R1cとR2cとが結合して環を形成してもよい。R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アルケニル基を表す。R及びRが結合して環を形成してもよい。また、M、R1c及びR2cから選ばれる少なくとも2つが結合して環構造を形成してもよく、上記環構造に炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。Zは、アニオンを表す。
一般式(ZI-3)中、Mで表されるアルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)の直鎖状アルキル基、炭素数3~15(好ましくは炭素数3~10)の分岐鎖状アルキル基、又は、炭素数3~15(好ましくは炭素数1~10)のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及び、シクロヘキシル基、及び、ノルボルニル基が挙げられる。
Mで表されるアリール基は、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子又は硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、及び、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。
上記Mは、更に置換基(例えば、置換基群T)を有していてもよく、例えば、Mはベンジル基であってもよい。
なお、Mが環構造を有する場合、上記環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び、炭素-炭素二重結合の少なくとも1種を含むことも好ましい。
1c及びR2cで表されるアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基としては、上述したMと同様のものが挙げられ、その好ましい態様も同じである。また、R1cとR2cは、結合して環を形成してもよい。
1c及びR2cで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
及びRで表されるアルキル基、及び、シクロアルキル基としては、上述したMと同様のものが挙げられ、その好ましい態様も同じである。
及びRで表されるアルケニル基は、アリル基又はビニル基が好ましい。
上記R及びRは、更に置換基(例えば、置換基群T)を有していてもよい。例えば、R及びRは、2-オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルアルキル基であってもよい。
及びRで表される2-オキソアルキル基は、炭素数1~15(好ましくは炭素数1~10)の基が好ましく、例えば、2-オキソプロピル基、及び、2-オキソブチル基等が挙げられる。
及びRで表されるアルコキシカルボニルアルキル基は、炭素数1~15の基が好ましく、炭素数1~10の基がより好ましい。
また、RとRは、結合して環を形成してもよい。
とRとが互いに連結して形成される環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び/又は、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
一般式(ZI-3)中、MとR1cとが結合して環構造を形成してもよく、形成される環構造は、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。
上記化合物(ZI-3)は、なかでも、化合物(ZI-3A)であることが好ましい。
化合物(ZI-3A)は、下記一般式(ZI-3A)で表され、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI-3A)中、
1c~R5cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又は、アリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、上述した一般式(ZI-3)中のR及びRと同義であり、その好ましい態様も同じである。
及びRは、上述した一般式(ZI-3)中のR及びRと同義であり、その好ましい態様も同じである。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、RとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。この環構造は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び/又は、炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。また、R5c及びR6c、R5c及びRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、それぞれ独立に炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。また、R6cとR7cは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
上記環構造としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族の複素環、及び、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環構造としては、例えば、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及び、RとRが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基、及び、ペンチレン基が挙げられる。
5cとR6c、及び、R5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、及び、エチレン基が挙げられる。
Zcは、アニオンを表す。
次に、化合物(ZI-4)について説明する。
化合物(ZI-4)は、下記一般式(ZI-4)で表される。
一般式(ZI-4)中、
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
14は、複数存在する場合はそれぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI-4)において、R13、R14、及び、R15のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状である。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、又は、t-ブチル基等がより好ましい。
上記化合物(B)は、上記一般式(ZI-3)又は一般式(ZI-4)で表される化合物であることが好ましい。
次に、一般式(ZII)、及び、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、及び、(ZIII)中、R204~R207は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204~R207のアリール基はフェニル基、又は、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204~R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及び、ベンゾチオフェン等が挙げられる。
204~R207のアルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及び、ペンチル基)、又は、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ノルボルニル基)が好ましい。
204~R207のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。R204~R207のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~15)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、及び、フェニルチオ基等が挙げられる。
は、アニオンを表す。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZ、一般式(ZI-3A)におけるZc、及び、一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記一般式(3)で表されるアニオンが好ましい。
一般式(3)中、
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfは、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが更に好ましい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1~4が好ましい。R及びRは、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例及び好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例及び好適な態様と同じである。
Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、-COO-(-C(=O)-O-)、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-SO-、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3~15)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~6)、及び、これらの複数を組み合わせた2価の連結基等が挙げられる。これらの中でも、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-、-O-、-SO-、-COO-アルキレン基-、-OCO-アルキレン基-、-CONH-アルキレン基-、又は、-NHCO-アルキレン基-が好ましく、-COO-、-OCO-、-CONH-、-SO-、-COO-アルキレン基-、又は、-OCO-アルキレン基-がより好ましい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。中でも、環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び、複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の炭素数7以上の嵩高い構造を有する脂環基が好ましい。
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、及び、アントリル基が挙げられる。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよいし、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及び、ピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環、及び、デカヒドロイソキノリン環が挙げられ。ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又は、デカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、及び、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及び、スルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
一般式(3)で表されるアニオンとしては、SO -CF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-CHF-CH-OCO-(L)q’-W、SO -CF-COO-(L)q’-W、SO -CF-CF-CH-CH-(L)q-W、又は、SO -CF-CH(CF)-OCO-(L)q’-Wが好ましい。ここで、L、q及びWは、一般式(3)と同様である。q’は、0~10の整数を表す。
一態様において、一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び、一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記の一般式(4)で表されるアニオンも好ましい。
一般式(4)中、
B1及びXB2は、それぞれ独立に、水素原子、又は、フッ素原子を有さない1価の有機基を表す。XB1及びXB2は、水素原子であることが好ましい。
B3及びXB4は、それぞれ独立に、水素原子、又は、1価の有機基を表す。XB3及びXB4の少なくとも一方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることが好ましく、XB3及びXB4の両方がフッ素原子又はフッ素原子を有する1価の有機基であることがより好ましい。XB3及びXB4の両方が、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが更に好ましい。
L、q及びWは、一般式(3)と同様である。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び、一般式(ZI-4)におけるZは、ベンゼンスルホン酸アニオンであってもよく、分岐鎖状アルキル基又はシクロアルキル基によって置換されたベンゼンスルホン酸アニオンであることが好ましい。
一般式(ZI)におけるZ、一般式(ZII)におけるZ、一般式(ZI-3)におけるZc、及び、一般式(ZI-4)におけるZとしては、下記の一般式(SA1)で表される芳香族スルホン酸アニオンも好ましい。
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、スルホン酸アニオン及び-(D-B)基以外の置換基を更に有していてもよい。更に有してもよい置換基としては、フッ素原子及び水酸基等が挙げられる。
nは、0以上の整数を表す。nとしては、1~4が好ましく、2~3がより好ましく、3が更に好ましい。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基、エステル基、及び、これらの2種以上の組み合わせからなる基等が挙げられる。
Bは、炭化水素基を表す。
Dは単結合であり、かつ、Bは脂肪族炭化水素構造であることも好ましい。
Bは、イソプロピル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
一般式(ZI)におけるスルホニウムカチオン、及び、一般式(ZII)におけるヨードニウムカチオンの好ましい例を以下に示す。
一般式(ZI)、一般式(ZII)におけるアニオンZ-、一般式(ZI-3)におけるZc、及び、一般式(ZI-4)におけるZ-の好ましい例を以下に示す。
上記のカチオン及びアニオンを任意に組みわせて光酸発生剤として使用できる。
光酸発生剤は、芳香環基を全く有さない又は一つしか有さないスルホニウム塩であることが、パターンの断面形状の矩形性の観点から好ましい。
光酸発生剤におけるフッ素原子の数が6以下であることが、パターンの断面形状及び耐イオンインプランテーション性能の観点から好ましい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)及び/又は樹脂(X)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)及び樹脂(X)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本発明の組成物中、光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分に対して、0.1~35質量%が好ましく、0.5~25質量%がより好ましく、0.5~20質量%が更に好ましく、0.5~10質量%が特に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI-3)又は(ZI-4)で表される化合物を含む場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分に対して、1~35質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
<(C)溶剤>
本発明の組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書[0441]~[0455]に記載の溶剤、酢酸イソアミル、ブタン酸ブチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、イソ酪酸イソブチル、及び、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤、水酸基を有さない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は、乳酸アルキルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1-メトキシ-2-プロパノール)、又は、乳酸エチルがより好ましい。
また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は、酢酸アルキルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノンが更に好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量比)(水酸基を有する溶剤/水酸基を有さない溶剤)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。
水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含む混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
本発明の組成物の固形分濃度は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上更に好ましい。
本発明の組成物の固形分濃度は、組成物の塗布性確保の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。
<(D)酸拡散制御剤>
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含むことも好ましい。
酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。
酸拡散制御剤としては、例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又は、カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用できる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の[0403]~[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の[0259]~[0328]に開示された公知の化合物を、酸拡散制御剤として使用できる。
塩基性化合物(DA)としては、下記式(A)~(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
一般式(A)及び(E)中、
200、R201、及び、R202は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202とは、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205、及び、R206は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基は、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物(DA)は、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又は、ピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造、若しくは、ピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及び、ピラジン構造等が挙げられる。
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認できる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<-1を満たすことが好ましく、-13<pKa<-1を満たすことがより好ましく、-13<pKa<-3を満たすことが更に好ましい。
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きいことを示す。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測できる。あるいは、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Develo
pment (ACD/Labs) Software V8.14 for Sola
ris (1994-2007 ACD/Labs)。
本発明の組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)を酸拡散制御剤として使用できる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突し、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1-1)~(d1-3)で表される化合物が好ましい。
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基(但し、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yは直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mはそれぞれ独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、又は、ヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンが挙げられる。
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
一般式(C-1)~(C-3)中、
、R、及び、Rは、それぞれ独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-Xは、-COO、-SO 、-SO 、及び、-N-Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-C(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)-)、及び、スルフィニル基(-S(=O)-)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及び、Lは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C-3)において、R~Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
~Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及び、アリールアミノカルボニル基等が挙げられる。中でも、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基が好ましい。
2価の連結基としてのLは、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及び、これらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又は、これらの2種以上を組み合わせてなる基が好ましい。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又は、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又は、ヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d-1)で表される。
一般式(d-1)において、
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又は、アルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に結合して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、それぞれ独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、シクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに限定されない。
化合物(DD)は、下記一般式(6)で表される構造を有することが好ましい。
一般式(6)において、
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アラルキル基を表す。lが2の場合、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、それぞれ独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
一態様として、一般式(6)において、lが2でmが1であり、かつ、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成することも好ましい。
化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられる。
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及び、ハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられる。
酸拡散制御剤の好ましい例を以下に示す。
本発明の組成物において、酸拡散制御剤(D)は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
酸拡散制御剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分に対して、0.05~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましい。
<(E)疎水性樹脂>
本発明の組成物は、疎水性樹脂を含んでいてもよい。なお、疎水性樹脂は、樹脂(A)及び樹脂(X)とは異なる樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含まれるCH部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂は、下記(x)~(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール等)、スルホンイミド基、又は、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(-COO-)、酸無水物基(-C(O)OC(O)-)、酸イミド基(-NHCONH-)、カルボン酸チオエステル基(-COS-)、炭酸エステル基(-OC(O)O-)、硫酸エステル基(-OSOO-)、及び、スルホン酸エステル基(-SOO-)等が挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(-COO-)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位としては、例えば、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。又は、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1~100モル%が好ましく、3~98モル%がより好ましく、5~95モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1~80モル%が好ましく、10~80モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子を含む繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、10~100モル%が好ましく、30~100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を含む繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、10~100モル%が好ましく、20~100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂(E)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含まない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(E)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂(E)の重量平均分子量は、1,000~100,000が好ましく、1,000~50,000がより好ましい。
疎水性樹脂(E)に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01~5質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
疎水性樹脂(E)としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用できる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の[0451]~[0704]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の[0340]~[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂(E)として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の[0177]~[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位として好ましい。
疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
疎水性樹脂(E)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(E)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂(E)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.05~8質量%がより好ましい。
<(G)架橋剤>
本発明の組成物は架橋剤を含むことも好ましい。
架橋剤は、酸の作用により樹脂を架橋する化合物(以下、架橋剤(G)ともいう)であることが好ましい。
架橋剤(G)としては、公知の化合物を適宜に使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0147154A1号明細書の[0379]~[0431]、及び、米国特許出願公開2016/0282720A1号明細書の[0064]~[0141]に開示された公知の化合物を架橋剤(G)として好適に使用できる。
架橋剤(G)は、樹脂を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基(メトキシメチル基等)、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環、及び、オキセタン環等が挙げられ、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、オキシラン環、又は、オキセタン環であることが好ましい。
架橋剤(G)は、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する、フェノール誘導体、ウレア系化合物(ウレア構造を有する化合物)、又は、メラミン系化合物(メラミン構造を有する化合物)であることが好ましく、エッチング耐性の観点からフェノール誘導体がより好ましい。中でも、上記ヒドロキシメチル基及びアルコキシメチル基は芳香環基に直接結合していることが好ましい。上記芳香環基が、更に、水酸基及び/又は炭素数1~6のアルキル基等と結合していることも好ましい。
架橋剤(G)を含むことで、露光部の分子量が上昇し、有機溶剤への溶解性が低下する。一方、未露光部は低分子量の架橋剤(G)によって、有機溶剤への溶解性が上昇し、露光部と未露光部の溶解速度差を大きくすることができる。その結果、パターンの膜減り抑制による形状品質の向上、未露光部の溶解速度不足による抜け不良の解消等の欠陥の低減が可能となる。
架橋剤(G)は、架橋性基(ヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基等)を2個以上(例えば2~10個)有する化合物(樹脂も含む)であることが好ましく、架橋性基を2個のみ有する化合物(樹脂も含む)であることがより好ましい。
架橋性基を2個のみ有する場合、架橋反応による重合体の高分子量化は穏やかに進み、ゲル化を伴った高分子量化に伴いゲル化が生じることを抑制でき、形成されるパターンにおける欠陥が低減される。
架橋剤(G)は、下記一般式(G1)~(G3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
一般式(G1)~(G3)中、L及びLは、それぞれ独立に、架橋性基を表し、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、又は、エトキシメチル基が好ましい。
上記架橋剤(G)は、市販品を使用してもよく、公知の方法で合成してもよい。
例えば、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記一般式(G1)~(G3)においてL及びLが水素原子である化合物等)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得られる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6-282067号、特開平7-064285号等に記載されている方法にて合成できる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、欧州特許出願公開第0632003号明細書等に記載されている方法にて合成できる。このようにして合成されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の点で好ましく、中でもアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体はより好ましい。
ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上(例えば2~10個)有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、又は、振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
また架橋剤(G)としては、以下のN-ヒドロキシメチル基、N-アルコキシメチル基、若しくはN-アシルオキシメチル基を有する化合物、及び、エポキシ化合物も挙げられる。
架橋剤(G)は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
架橋剤(G)の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、1~50質量%が好ましく、2~30質量%がより好ましく、2~20質量%が更に好ましい。
<(H)界面活性剤>
本発明の組成物は、界面活性剤を含むことも好ましい。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又は、フッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含むことにより、回転塗布性が良好となり、基板への回転塗布後の組成物膜厚の面内均一性が向上する。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm(parts per million)以上とすることにより、疎水性樹脂(E)の表面偏在性が上がる。それにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面をより疎水的にでき、液浸露光時の水追随性が向上する。
なかでも、本発明の組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
<その他添加剤>
本発明の組成物は、上述した以外のその他の添加愛を含んでもよい。
その他の添加剤としては、カルボン酸オニウム塩が挙げられる。カルボン酸オニウム塩としては、米国特許出願公開2008/0187860号明細書の[0605]~[0606]に記載の化合物が挙げられる。
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、又は、アンモニウムヒドロキシドと、カルボン酸とを、適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
本発明の組成物がカルボン酸オニウム塩を含む場合、その含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~7質量%が更に好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、及び/又は、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は、脂肪族化合物)等を含んでもよい。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4-122938号公報、特開平2-028531号公報、米国特許第4916210号明細書、又は、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして合成できる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は、脂肪族化合物としては、例えば、コール酸、デオキシコール酸、及び、リトコール酸等のステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤(好ましくは上述の混合溶剤)に溶解し、ろ過した後、所定の基板上に塗布して用いることが好ましい。
ろ過に用いるフィルタのポアサイズは1.0μm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製が好ましい。ろ過においては、例えば特開2002-62667号公報のように、循環的なろ過を行ったり、複数種類のフィルタを直列又は並列に接続してろ過を行ったりしてもよい。また、組成物を複数回ろ過してもよい。更に、ろ過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
本発明の組成物は、通常、膜厚が1μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜(レジスト膜)を形成するため組成物であり、膜厚が10μm以上のレジスト膜を形成するための組成物であることが好ましく、膜厚が15μm以上のレジスト膜を形成するための組成物であることがより好ましい。
また、上記膜厚の上限は、例えば、30μm以下が好ましく、30μm未満がより好ましく、25μm未満が更に好ましく、20μm未満が特に好ましい。
〔パターン形成方法〕
パターンを形成するための具体的な手順について説明する。
上述の通り、本発明のパターン形成方法は、
(i)組成物を用いて、膜厚が10μm以上のレジスト膜を形成する工程(製膜工程)、
(ii)上記レジスト膜にKrF光を照射する工程(露光工程)、及び、
(iii)上記KrF光が照射されたレジスト膜を、所定の現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程(現像工程)、
を有するパターン形成方法である。
上記パターン形成方法で使用される組成物、及び、現像液については、それぞれ上述の通りである。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
(ii)露光工程を、複数回含むものとして、多重露光が挙げられる。
多重露光とは、KrF光を用いてレジスト膜の複数の焦点深度部を露光し、これら焦点深度部が、それぞれレジスト膜内の異なる領域にわたることをさす。
多重露光は、膜厚方向に複数の焦点深度部を露光することが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後に、(iv)加熱工程を含むことも好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、本発明の組成物を用いてレジスト膜を基板上に形成する工程、露光工程、及び、現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
以下、各工程について説明する。
<(i)成膜工程>
本発明においてレジスト膜を形成する基板は特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、SiN、SiO2、及び、SiN等の無機基板、SOG(Spin On Glass)等の塗布系無機基板等、IC(Integrated Circuit、集積回路)等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、並びに、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を使用できる。更に、必要に応じて、レジスト膜と基板の間に反射防止膜を形成させてもよい。反射防止膜としては、公知の有機系、無機系の反射防止膜を適宜使用できる。
上記の通り、本発明のパターン形成方法において形成されるレジスト膜の膜厚は、10μm以上であり、15μm以上であることも好ましい。レジスト膜の膜厚の上限は、例えば、30μm以下が好ましく、30μm未満がより好ましく、25μm未満が更に好ましく、20μm未満が特に好ましい。なお、形成されるパターンの膜厚(高さ)の好適な範囲も同様である。
製膜後、露光工程の前に、前加熱工程(PB;Prebake)を含むことも好ましい。
前加熱工程における加熱温度は、70~160℃が好ましく、80~150℃がより好ましい。
前加熱工程における加熱時間は、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
<(ii)露光工程>
本発明における露光装置に用いられる光源波長は、200~300nmである。よって、光源としては、KrFエキシマレーザー(248nm)である。
また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱工程(PEB;Post Exposure Bake)を含むことも好ましい。
露光後加熱工程における加熱温度は、70~160℃が好ましく、80~150℃がより好ましい。
露光後加熱工程における加熱時間は、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光機及び/又は現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
加熱により露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
<(iii)現像工程>
本発明で用いる現像液を用いた現像方法について説明する。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等を適用できる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、2mL/sec/mm以下が好ましく、1.5mL/sec/mm以下がより好ましく、1mL/sec/mm以下が更に好ましい。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減できる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜及びレジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプ等で吐出圧を調整する方法、及び、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法が挙げられる。
また、現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
<リンス工程>
現像工程の後には、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を実施してもよい。
現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、パターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含むリンス液を使用できる。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤の具体例としては、現像液において使用できるものと同様の溶剤が挙げられる。
現像工程の後に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する工程を実施することが好ましく、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する工程を実施することがより好ましく、1価アルコールを含むリンス液を用いて洗浄する工程を実施することが更に好ましく、炭素数5以上の1価アルコールを含むリンス液を用いて洗浄する工程実施することが特に好ましい。
ここで、リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、例えば、直鎖状、分岐状、又は、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、1-ブタノール、2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、tert―ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、シクロペンタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール等を用いることができ、特に好ましい炭素数5以上の1価アルコールとしては、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール等を使用できる。
リンス工程で用いられる炭化水素系溶剤としては、炭素数6~30の炭化水素化合物が好ましく、炭素数8~30の炭化水素化合物がより好ましく、炭素数7~30の炭化水素化合物が更に好ましく、炭素数10~30の炭化水素化合物が特に好ましい。中でも、デカン及び/又はウンデカンを含むリンス液を用いることにより、パターン倒れが抑制される。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。リンス液中の含水率の下限は0質量%である。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃において0.05~5kPaが好ましく、0.1~5kPaがより好ましく、0.12~3kPaが更に好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05~5kPaにすることで、基板面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウエハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス工程においては、現像を行った基板を上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理することが好ましい。
洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、等を適用でき、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行うことが好ましい。
現像工程又はリンス工程の後に、基板を2000~4000rpmの回転数で回転させ、現像液及び/又はリンス液を基板上から除去することも好ましい。
また、現像工程又はリンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及び/又はリンス液が除去される。加熱工程は、通常40~160℃(好ましくは70~95℃)で、通常10秒~3分(好ましくは30~90秒)行う。
また、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
<その他プロセス>
本発明の方法により形成されるパターンに対して、パターンの表面荒れを改善する方法を適用しても良い。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、国際公開第2014/002808号に開示された水素を含むガスのプラズマによってレジストパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、特開2004-235468号公報、米国公開特許公報2010/0020297号明細書、特開2009-19969号公報、又は、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N-1”EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されているような公知の方法を適用してもよい。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも使用できる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3-270227号公報及び特開2013-164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(組成物)の調製]
試験に用いた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(組成物)を以下に示す方法で調製した。
下記表1に示す成分を混合したレジスト溶液を調製し、得られたレジスト溶液を1.0μmのポアサイズを有するUPE(ultra high molecular weight polyethylene)フィルタでろ過した。これにより、表1に記載の通りに各成分を含む組成物を調製した。
上記表1における各成分の詳細は、次の通りである。
・樹脂
組成物の調製に使用した樹脂の構造は以下のとおりである。
下記に示す構造における各繰り返し単位に付された数値は、樹脂の全繰り返し単位に対する各繰り返し単位の含有量(モル比)を示す。
組成物の調製に使用した樹脂の重量平均分子量(Mw)は22000であり、分散度(Mw/Mn)は1.65であった。
・光酸発生剤
組成物の調製に使用した光酸発生剤の構造は以下のとおりである。
・酸拡散制御剤
組成物の調製に使用した酸拡散制御剤の構造は以下のとおりである。
・架橋剤
組成物の調製に使用した架橋剤の構造は以下のとおりである。
・界面活性剤
組成物の調製に使用した界面活性剤の構造は下記のとおりである。
・溶剤
組成物の調製に使用した溶剤は以下のとおりである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
EL:乳酸エチル
[現像液の精製]
被精製液として、有機溶剤(酢酸ブチル、市販品)を準備した。
次に、後述の精製装置で精製する前に水吸着剤(モレキュラーシーブ3A、ユニオン昭和社製)を用いて上記有機溶剤の脱水処理を行った。
次に、「減圧機構を備えない第1棚段式蒸留塔を有する第1蒸留部(粗蒸留のための蒸留工程に使用)」、「陽イオン交換樹脂を充填した充填塔を3つ直列に接続した第1充填部(イオン除去工程に使用)」、「陰イオン交換樹脂を充填した充填塔を2つ直列に接続した第2充填部(イオン除去工程に使用)」、「減圧機構を備えない第2棚段式蒸留塔と減圧機構を備えた第3棚段式蒸留塔とをこの順に直列に接続した第2蒸留部(精留処理のための蒸留工程に使用)」、「第1フィルタと第2フィルタとをこの順に直列に接続したろ過部(ろ過工程に使用)」を、上流側からこの順に接続した精製装置を準備した。
そして、上記精製装置を用いて上記被精製液を精製して、現像液を製造した。なお、被精製液の精製は、精製装置を1回通液させるのを1回とカウントして、合計2回行った。
以下に、精製装置における各部材の詳細を上流側(一次側)から順に示す。
・第1棚段式蒸留塔(理論段数:10段)
・カチオン交換樹脂(ORLITE DS-4、オルガノ社製)
・アニオン交換樹脂(ORLITE DS-6、オルガノ社製)
・第2棚段式蒸留塔(理論段数:23段)
・第3棚段式蒸留塔(理論段数:23段、減圧蒸留)
・第1フィルタ(Purasol SP/SN溶剤用ピューリファイヤー、インテグリス社製、UPE(超高分子量ポリエチレン)フィルタ、孔径5nm)
・第2フィルタ(製品名「トレント」、インテグリス社製、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルタ、孔径5nm)
上記精製装置を用いて上記被精製液(酢酸ブチル)を精製して、実施例3~6で使用する現像液3を製造した。より具体的には、精製装置に被精製液を1回通液させるのを1回とカウントするものとし、合計2回被精製液を上記精製装置に通液させて、現像液を得た。
また、上記精製方法において、「被精製液である有機溶剤の種類を酢酸プロピル又は酢酸イソペンチルに変更すること」、「精製装置から第1充填部を割愛すること」、「精製装置から第2充填部を割愛すること」、「精製装置の第2棚段式蒸留塔及び/又は第3棚段式蒸留塔の理論段数を変更すること」、「精製後の被精製液に未精製の酢酸ブチル、水、酢酸、1-ブタノールを適当量混合すること」、「精製装置への通液回数を変更すること」、のいずれか1以上の変更を加えた精製方法を実施して、その他の実施例又は比較例において使用する現像液(酢酸ブチル)を得た。
例えば、比較例5で使用する現像液22は、現像液3の製造方法において、上記精製装置への通液回数を4回に変更し、それ以外は同様にして作製した。
各有機溶剤現像液の詳細を表2に記載する。
〔測定〕
以下に示す方法で、現像液が含む各成分の含有量等の測定を行った。
なお、以下の測定は、全てISO(国際標準化機構)クラス2以下を満たすレベルのクリーンルームで行った。結果はまとめて表2に示した。
また、現像液中の各成分の含有量の測定は、現像液の調製直後に行った。
<水以外の水酸基を有する成分の測定>
各現像液中の水以外の水酸基を有する化合物の種類及びそれらの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(製品名「GCMS-2020」、島津製作所社製、測定条件は以下のとおり)を用いて測定した。
ただし、ここでの測定対象としては水を除いた。
いずれの現像液においても、水酸基を有する化合物として検出されたのは、炭素数1~5のカルボン酸及び炭素数1~5のアルコールのみであった。
(測定条件)
・キャピラリーカラム:InertCap 5MS/NP 0.25mml.
・試料導入法:スプリット 75kPa 圧力一定
・気化室温度:230℃
・カラムオーブン温度:80℃(2min)-500℃(13min)昇温速度15℃/min
・キャリアガス:ヘリウム
・セプタムパージ流量:5mL/min
・スプリット比:25:1
・インターフェイス温度:250℃
・イオン源温度:200℃
・測定モード:Scan_m/z=85~500
試料導入量:1uL
<水分の測定>
各現像液中の水分量(水の含有量)の測定には、カールフィッシャー水分計(製品名「MKC-710M」、京都電子工業社製、カールフィッシャー電量滴定式)を用いた。
<金属成分の測定>
各現像液中の金属成分の含有量は、NexLION350C(商品名、PerkinElmer社製)を用いてICP-MS法により、実施例及び比較例の処理液中の金属成分の含有量を測定した。
ICP-MS法による具体的な測定条件は、次の通りである。なお、濃度既知の標準液に対するピーク強度にて検出量を測定して、金属成分の質量に換算し、測定に使用した現像液中の金属成分の含有量を算出した。
(標準物質)
清浄なガラス容器内へ超純水を計量投入し、メディアン径50nmの測定対象金属粒子を10000個/mlの濃度となる様に添加した後、超音波洗浄機で30分間処理した文実樹を標準物質として用いた。
(ICP-MSの測定条件)
ICP-MSはPFA製同軸ネブライザ、石英製サイクロン型スプレーチャンバ、石英製内径1mmトーチインジェクタを用い、測定対象液を約0.2ml/minで吸引した。酸素添加量は0.1L/min、プラズマ出力1600W、アンモニアガスによるセルパージを行った。時間分解能は50μsにて解析を行った。
(解析ソフトウエア)
金属成分の含有量は、メーカー付属の下記解析ソフトを用いて算出した。
Syngistix for ICP-MSソフトウエア
現像液1~22中、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Ti、及び、Znからなる群より選択される金属元素を含む金属成分の合計含有量は、10質量ppt~1質量ppbであった。
[試験]
〔パターン形成〕
東京エレクトロン製スピンコーター「ACT-8」を用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施した8インチのSi基板(Advanced Materials Technology社製(以下、「ウエハ」又は「基板」ともいう。))上に、反射防止層を設けることなく、上記で調製した組成物を基板が静止した状態で滴下した。
滴下した後、基板を回転し、その回転数を、3秒間500rpmで維持し、その後2秒間100rpmで維持し、更に3秒間500rpmで維持し、再び2秒間100rpmで維持した後、膜厚設定回転数(形成されるレジスト膜の膜厚が表2に記載の膜厚となるような回転数)に上げて60秒間維持した。その後、ホットプレート上で150℃で60秒間ベーク(PreBake;PB)を行い、表2に示す膜厚(μm)膜厚を有するレジスト膜を形成した。
レジスト膜が形成されたウエハを、KrFエキシマレーザースキャナー(ASML製、PAS5500/850C,波長248nm、NA0.8)を用い、露光マスクを介して、パターン露光を行った。その後、115℃で60秒間ベーク(Post Exposure Bake;PEB)した後、表2に記載の現像液で60秒間現像した後、スピン乾燥した。これにより、スペース幅400nm、ピッチ幅3000nmの孤立スペースパターンを得た。
<パターン解像状況の評価>
作製した孤立スペースパターンを有する基板を割断し、Ptコートした後、割断面を走査型電子顕微鏡(日立社製S4800)を用いて観察した。
パターンの矩形性、スペース部の溶解不良の有無を観察し、パターン解像状況として、下記A又はBに区分して評価した。
A:パターンの矩形性が良好で、かつ、スペース部の溶解不良が無い
B:パターンの矩形性が不良であるか、スペース部の溶解不良があるかの少なくとも一方の不良が生じている。
<ブリッジ欠陥抑制性の評価>
形成されたパターンにおけるブリッジ欠陥の数を、以下の方法で確認した。
すなわち、パターンを、ケー・エル・エー・テンコール社製の欠陥検査装置KLA2935(商品名)を用いて欠陥検査装置のピクセルサイズを0.05μmに、また閾値を50に設定して、ランダムモードで測定した。比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異を抽出して、各実施例又は比較例のウエハ中のパターン形成領域における欠陥を検出した。検出された欠陥をケー・エル・エー・テンコール社製 eDR7380(商品名)で観察し、ブリッジ欠陥の単位面積あたりの個数(個数/cm)を評価した。
ブリッジ欠陥の数が小さいほどブリッジ欠陥抑制性が良好であることを示す。
〔静電気発生量(帯電量)評価〕
PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブ302(ニチアス社製、外径:6.35mm、内径:4.35mm、長さ:10m)の片端を現像液の入った容量18Lのキャニスター缶304に接続した。もう片端の配管出口直前にコック306を取り付け、コック306の手前のPFAチューブ302表面に厚み0.05mmのアルミニウムテープ308を巻き、表面電位測定器310(春日電機(株)製、KSD-3000)のプローブ312をアルミニウムテープ表面から10mmとなるように配置した。PFAチューブ302出口の直下にステンレス製容器314を置いて、溶剤を受けるようにした。最後にキャニスター缶、PFAチューブ、ステンレス製容器を厚さ1cmのテフロン(登録商標)製シート316に置いた。ステンレス製容器にアース線318を取り付け、接地して現像液の帯電を除去できるようにした。
キャニスター缶304を、窒素流入管路320を介して流入させた窒素で0.05MPaに加圧し、反対側のコック306を開にして現像液を吐出し、その際のPFAチューブ302表面の電位を計測して現像液の帯電量を測定した。
帯電量の測定システムの概略図を図1に示す。
表2に結果を示す。
試験の結果を下記表に示す。
表中、「組成物」欄は、レジスト膜及びパターンの形成に使用した組成物の種類を示す。
「膜厚(μm)」欄は、形成したレジスト膜及びパターンの膜厚(高さ)を示す。
「現像液」欄は、実施例又は比較例で使用した現像液の種類を示す。
「溶剤種」欄は、現像液の得るための被精製液として使用した有機溶剤の種類を示す。
「カルボン酸(ppm)」欄は、使用した現像液中に含まれる炭素数1~5のカルボン酸の、現像液の全質量に対する合計含有量(質量ppm)を示す。
「アルコール(ppm)」欄は、使用した現像液中に含まれる炭素数1~5のアルコールの、現像液の全質量に対する合計含有量(質量ppm)を示す。
「水分(ppm)」欄は、使用した現像液中に含まれる水の、現像液の全質量に対する含有量(質量ppm)を示す。
「合計(ppm)」欄は、使用した現像液中に含まれる上記カルボン酸、上記アルコール、及び、上記水の、現像液の全質量に対する合計含有量(質量ppm)を示す。
「帯電量(mV)」欄は、上述の〔静電気発生量(帯電量)評価〕に示した方法で計測された現像液の帯電量を示す。
表2から、本発明のパターン形成方法でパターンを形成した場合、膜厚が10μm以上のレジスト膜をKrF光で露光してパターン形成した場合でも、良好なパターン形状を有し欠陥の発生が抑制された微細なパターンを形成できることが確認された。
また、炭素数1~5のカルボン酸の合計含有量、炭素数1~5のアルコールの合計含有量、及び、水の含有量が、それぞれ独立に、前記現像液の全質量に対して、2000質量ppm以下である場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例1、11、15、19と、実施例2~3、8~10、12~14、16~18の比較等参照)。
欠陥の発生がより抑制される点から、露光されるレジスト膜及び形成されるパターンの膜厚は、30μm未満が好ましく、25μm未満がより好ましく、20μm未満が更に好ましいことが確認された(実施例3~6等参照)。
欠陥の発生がより抑制される点から、水酸基を有する化合物の含有量は、現像液の全質量に対して、合計で、2500質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、1000質量ppm以下が更に好ましいことが確認された。また、水酸基を有する化合物の含有量は、現像液の全質量に対して、合計で、200質量ppm以上が好ましいことが確認された。(実施例1~3、8~19等参照)。
欠陥の発生がより抑制される点から、レジスト膜を形成するのに用いる感活性光線又は感放射線性樹脂組成物が架橋剤を含むのが好ましいことが確認された(実施例4と7との比較等参照)。
302 PFAチューブ
304 キャニスター缶
306 コック
308 アルミニウムテープ
310 表面電位測定器
312 プローブ
314 容器
316 テフロン(登録商標)製シート
318 アース線
320 窒素流入管路

Claims (6)

  1. (i)感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、膜厚が10μm以上の感活性光線性又は感放射線性膜を形成する工程、
    (ii)前記感活性光線性又は感放射線性膜にKrF光を照射する工程、及び、
    (iii)前記KrF光が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像してネガ型のパターンを形成する工程、
    を有するパターン形成方法であって、
    前記現像液が、有機溶剤と、微量成分とを含み、
    前記現像液が、前記微量成分として、水酸基を有する化合物を、前記現像液の全質量に対して、合計で150~3000質量ppm含み、
    前記有機溶剤が、酢酸エステル溶剤であり、
    前記水酸基を有する化合物が、炭素数1~5のカルボン酸、炭素数1~5のアルコール、及び、水でり、
    前記炭素数1~5のカルボン酸の合計含有量、前記炭素数1~5のアルコールの合計含有量、及び、前記水の含有量が、それぞれ独立に、前記現像液の全質量に対して、10~2500質量ppmである、パターン形成方法。
  2. 前記現像液が、前記水酸基を有する化合物を、前記現像液の全質量に対して、合計で200質量ppm以上含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記有機溶剤が酢酸ブチルである、請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記現像液中、前記炭素数1~5のカルボン酸の合計含有量、前記炭素数1~5のアルコールの合計含有量、及び、前記水の含有量が、それぞれ独立に、前記現像液の全質量に対して、50~2000質量ppmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物が、
    (A)芳香族基を有する繰り返し単位と、酸の作用により分解して極性基を生じる基を有する繰り返し単位とを有する樹脂、
    (B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
    (C)溶剤、及び、
    (G)架橋剤、を含み、
    前記芳香族基を有する繰り返し単位の含有量は、前記樹脂の全繰り返し単位に対して15モル%以上であり、
    前記架橋剤が、分子内に2個の架橋性基を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記現像液が、更に、前記微量成分として、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、Ti、及び、Znからなる群より選択される1種以上の金属元素を含む金属成分を含み、
    前記現像液中の金属成分の合計含有量が、10質量ppt~1質量ppbである、請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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