JP7614586B2 - 複合糸及びその使用 - Google Patents
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Description
詳細には、本発明は、複合糸の製造方法、複合糸、及び子宮頸部治療デバイスに関する。
。また、糸状アテロコラーゲンビトリゲルを組織内に挿入して留置した場合、生体内では徐々に消化されるため、留置部位を経時的に確認することは困難であった。
[1]板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの長手方向に、糸状芯材を固着させた後、乾燥させる工程1と、前記糸状芯材を固着させた板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を、水溶液で湿らせながら撚りをかけて糸状にして、糸状ビトリゲル複合体を得る工程2を有する、複合糸の製造方法。
[2]前記工程1において、前記板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの表裏交互に前記糸状芯材を貫通させて固着させる、[1]に記載の複合糸の製造方法。
[3]前記工程2の後、前記糸状ビトリゲル複合体を乾燥させ、乾燥糸状ビトリゲル複合体を得る工程3を有する、[1]又は[2]に記載の複合糸の製造方法。
[4]前記工程3の後、前記乾燥糸状ビトリゲル複合体に紫外線を照射した後、再水和し、更に乾燥する工程4を有する、[3]に記載の複合糸の製造方法。
[5]前記ハイドロゲルが、アテロコラーゲンゲル又はネイティブコラーゲンゲルである、[1]~[4]のいずれかに記載の複合糸の製造方法。
[6]前記水溶液が、アテロコラーゲンゾル又はネイティブコラーゲンゾルである、[1]~[5]のいずれかに記載の複合糸の製造方法。
[7]板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を撚ってなり、糸状芯材を有する、複合糸。
[8]前記板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体は、前記糸状芯材の縫部を有する、[7]に記載の複合糸。
[9]前記板状ビトリゲル乾燥体が、板状アテロコラーゲンビトリゲル乾燥体である、[7]又は[8]に記載の複合糸。
[10][7]~[9]のいずれかに記載の複合糸を含む、子宮頸部治療デバイス。
[11]子宮頸部円錐を切除する工程と、[10]に記載の子宮頸部治療デバイスを、子宮頸部円錐切除後の残存子宮内に挿入する工程を有する、子宮頸部の治療方法。
1実施形態において、本発明は、板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの長手方向に、糸状芯材を固着させた後、乾燥させる工程1と、糸状芯材を固着させた板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を、水溶液で湿らせながら撚りをかけて糸状にして、糸状ビトリゲル複合体を得る工程2を有する、複合糸の製造方法を提供する。
先ず、板状ハイドロゲルの製造方法について、説明する。
板状ハイドロゲルの製造方法は、鋳型にゾルを注入し、ゾルをゲル化させた後、鋳型を外して板状ハイドロゲルを得る工程Aを有する。
また、板状ハイドロゲルの幅は均一でなくともよく、ひょうたん型のように適宜幅の長さが異なっていてもよく、三角形型のように徐々に幅の長さが異なっていくものであってもよい。
工程Aは、鋳型にゾルを注入し、ゾルをゲル化させた後、鋳型を外して板状ハイドロゲルを得る工程である。
鋳型としては、所望の板状ハイドロゲルの形状がくりぬかれたものであれば、特に限定されず、例えばPETフィルムが挙げられる。
本明細書において、「ゾル」とは、液体を分散媒とする分散質のコロイド粒子(サイズ:約1~数百nm程度)が、特に高分子化合物で構成されるものを意味する。ゾルとしてより具体的には、天然物高分子化合物や合成高分子化合物の水溶液が挙げられる。これら高分子化合物が化学結合により、架橋が導入されて網目構造をとった場合は、その網目に多量の水を保有した半固形状態の物質である、「ハイドロゲル」に転移する。すなわち、「ハイドロゲル」とは、ゾルをゲル化させたものを意味する。
また、本明細書において、用語「ビトリゲル」を用いる際には、用語「(登録商標)」を省略して用いる場合がある。
板状ハイドロゲルの厚さとしては、0.1mm~20mmが好ましく、0.5mm~20mmがより好ましく、1mm~20mmが更に好ましい。
板状ハイドロゲルの長辺の長さとしては、用いる複合糸の長さに応じて適宜調整される。例えば、1cm~100cmが好ましく、2cm~50cmがより好ましく、3cm~10cmが更に好ましい。
板状ハイドロゲルの短辺の長さとしては、例えば、0.5mm~20mmが好ましく、1mm~10mmがより好ましく、2mm~5mmが更に好ましい。
糸状芯材としては、本実施形態の製造方法を用いて得られる複合糸に破断強度を付与するものであれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。糸状芯材としては、ナイロン製糸、ポリエステル製糸、レーヨン製糸、ポリグラクチン製糸等の化学繊維;絹糸、綿糸、麻糸、羊毛糸等の天然素材の糸が挙げられる。
板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体が生体内で消化されても、複合糸の留置部位を経時的に確認できるようにする観点から、糸状芯材は生体非吸収性のものが好ましい。
糸状芯材としては、単糸でもよく、同種又は2種の糸を撚り合わせた双糸でもよく、3本以上の糸を撚り合わせたものでもよい。
つまり、板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルを糸状芯材でなみ縫いするように糸状芯材を貫通させて固着させることが好ましい。係る操作により、板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルと糸状芯材を密着させることができる。
また、糸状芯材を固着させる位置としては、板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの短辺を二等分する中央軸上が好ましく、軸に沿って、等間隔で糸状芯材を貫通させて縫部を形成させることが好ましい。縫部間のピッチの長さとしては、0.5mm~10mmが好ましく、1mm~4mmがより好ましく、1mm~2mmが特に好ましい。
糸状芯材を貫通させる方法としては、針に糸状芯材を通して縫ってもよく、板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルに円筒形又は円錐形の刃物等を用いて一定間隔で貫通孔を開けた後に、糸状芯材を貫通させてもよい。貫通孔の直径としては、例えば、0.01mm~5mmが好ましく、0.1mm~3mmがより好ましく、0.5mm~1mmが特に好ましい。
円筒形の刃物としては、例えば、生検トレパン又は注射針等の医療器具が挙げられる。
工程2において、糸状芯材を固着させた板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲル乾燥体を、水溶液で湿らせながら撚りをかけて糸状にして、糸状ビトリゲル複合体を得る。
水溶液としては、特に限定されず、滅菌水、生理食塩水、PBS、アテロコラーゲンゾル、ネイティブコラーゲンゾル等が挙げられ、生体に移植する際には抗原性のテロペプチドを削除したアテロコラーゲンゾルが好ましい。アテロコラーゲンゾル又はネイティブコラーゲンゾルでコートすることにより、糸の強度を高めることができる。また、係る操作により、板状ビトリゲルと糸状芯材を密着させることができる。
工程2の後、前記糸状ビトリゲル複合体を乾燥させ、乾燥糸状ビトリゲル複合体を得ることが好ましい。好ましい乾燥方法は、工程1と同様である。
工程3の後、前記乾燥糸状ビトリゲル複合体に紫外線を照射した後、再水和し、更に乾燥することが好ましい。
紫外線を照射することで、ビトリゲルを構成するコラーゲンとコートしたコラーゲンの分子間および分子内に架橋構造を形成させ、複合糸の強度を上げることができる。また、係る操作により、板状ビトリゲルと糸状芯材を密着させることができる。
上記した紫外線の照射エネルギーは、板状ビトリゲル乾燥体の組成及び含有量に応じて適宜調整すればよい。紫外線の照射エネルギーは、例えば0.1mJ/cm2以上6000mJ/cm2以下であればよく、例えば10mJ/cm2以上4000mJ/cm2以下であればよく、例えば20mJ/cm2以上500mJ/cm2以下であればよい。
再水和に用いる水溶液としては、滅菌水、生理食塩水、PBS等が挙げられる。
再水和後、乾燥糸状ビトリゲル複合体を乾燥させ再ガラス化する。
また、得られた複合糸を組織内に挿入して留置した場合、板状ビトリゲル乾燥体は、生体内では徐々に消化されても、糸状芯材は消化されずに残る、あるいはアテロコラーゲンビトリゲルより消化の遅い糸状芯材であるため、複合糸の留置部位を経時的に確認することができる。
また、糸状芯材を用いることで、ハイドロゲル又はビトリゲルを糸状芯材の必要な領域のみに使用することができ、高価なハイドロゲル又はビトリゲルを節約できる。
1実施形態において、本発明は、板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を撚ってなり、糸状芯材を有する、複合糸を提供する。本実施形態の複合糸の製造方法としては、一例として、上述した≪複合糸の製造方法≫が挙げられるが、これに限定されない。
本実施形態の複合糸は、糸状芯材を有することで、破断強度を向上することができる。また、生体非吸収性の糸状芯材を用いることで、ハイドロゲル又はビトリゲルが生体内で消化されても複合糸の留置部位を経時的に確認することができる。糸状芯材としては、上述した≪複合糸の製造方法≫と同様のものが挙げられる。
本実施形態の複合糸の直径としては、用途に応じて適宜調整される。例えば、0.1mm~10mmが好ましく、0.2mm~4mmがより好ましく、0.5mm~2mmが特に好ましい。
板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体の原料となるゾルとしては、上述の≪複合糸の製造方法≫において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の複合糸を構成するビトリゲル乾燥体としては、生体適合性素材であることから、アテロコラーゲンビトリゲル乾燥体が好ましい。
本実施形態の複合糸は、十分な破断強度を有するため、結合組織の豊富な組織等、硬質な組織にも好適に用いることができる。
本実施形態の子宮頸部治療デバイスは、上記本実施形態の複合糸を含む。本実施形態の子宮頸部治療デバイスは、結合組織の豊富な子宮頸部にも好適に用いることができる。
本実施形態の子宮頸部の治療方法は、子宮頸部円錐を切除する工程と、本実施形態の子宮頸部治療デバイスを、子宮頸部円錐切除後の残存子宮内に挿入する工程を有する。本実施形態によれば、ビトリゲルが密着している領域を治療対象組織内へ留置することで、簡便に術後の頸部狭窄を予防できる。
長方形状のアテロコラーゲンビトリゲル膜(アテロコラーゲン量:10mg/cm2)を切り出し、40mm×3mmの板状アテロコラーゲンビトリゲル膜を得た(図1(A)参照。)。板状アテロコラーゲンビトリゲル膜の長手方向中央軸上に、27G注射針で直径約0.5mmの貫通孔を2mm間隔で開けた(図1(B)参照。)。貫通孔を有する板状アテロコラーゲンビトリゲル膜をPBSに浸した後、貫通孔にナイロン製縫合糸(ネスコスーチャー(登録商標)、号数:3-0、規格:GA03NA)をジグザグに通して、ナイロン製縫合糸を板状アテロコラーゲンビトリゲル膜に固着した(図2(A)参照。)。これを乾燥させ、ナイロン製縫合糸を固着させた板状アテロコラーゲンビトリゲル膜乾燥体を得た(図2(B)参照。)。
次いで、ナイロン製縫合糸を固着させた板状アテロコラーゲンビトリゲル膜乾燥体を0.5%アテロコラーゲンゾルで湿らせながらナイロン製縫合糸に纏わせた後に乾燥させて糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体を得た(図3(A)~(C)参照。)。
次いで、この乾燥させた糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体に紫外線を照射した後に再水和した(図4(A)~(B)参照。)。
次いで、再水和した糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体をぶら下げて乾かし、乾燥糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体を得た(図5参照。)。図6に、この乾燥糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体の位相差顕微鏡像を示す。この乾燥体の最短幅は、0.55mm(図6(A)参照。)、最長幅は、0.97mm(図6(B)参照。)であることが確認された
手術当日:ウサギ子宮頸部(双角子宮)左右に、それぞれ電気メスを用いて円錐切除を行った後(図7(A)参照。)、製造例1で製造された糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体を、子宮頸管内に挿入し固定した(図7(B)参照。)。
更に切片染色像によると、子宮頸部切除のみでは、子宮頸管部分は嚢胞状に拡張し、内腔では粗大な乳頭状構造が見られた(図8(C)参照。)。一方、糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体を頸管に留置した場合、子宮頸部の嚢胞状の拡張はみられず、正常と同様の微細な乳頭状構造が見られた(図8(D)参照。)。
以上、糸状アテロコラーゲンビトリゲル複合体による子宮円錐切除後の頸管狭窄・閉鎖を予防する効果が認められた。
Claims (7)
- 板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの長手方向に、糸状芯材を固着させた後、乾燥させる工程1と、
前記糸状芯材を固着させた板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を、水溶液で湿らせながら撚りをかけて糸状にして、糸状ビトリゲル複合体を得る工程2を有し、
前記板状ハイドロゲルおよび前記板状ビトリゲルが、アテロコラーゲンゲルである、複合糸の製造方法。 - 前記工程1において、前記板状ハイドロゲル又は板状ビトリゲルの表裏交互に前記糸状芯材を貫通させて固着させる、請求項1に記載の複合糸の製造方法。
- 前記工程2の後、前記糸状ビトリゲル複合体を乾燥させ、乾燥糸状ビトリゲル複合体を得る工程3を有する、請求項1又は2に記載の複合糸の製造方法。
- 前記工程3の後、前記乾燥糸状ビトリゲル複合体に紫外線を照射した後、再水和し、更に乾燥する工程4を有する、請求項3に記載の複合糸の製造方法。
- 前記水溶液が、アテロコラーゲンゾル又はネイティブコラーゲンゾルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合糸の製造方法。
- 板状ハイドロゲル乾燥体又は板状ビトリゲル乾燥体を撚ってなり、糸状芯材を有し、
前記板状ハイドロゲル乾燥体および前記板状ビトリゲル乾燥体は、板状アテロコラーゲンゲル乾燥体であり、前記糸状芯材の縫部を有する、複合糸。 - 請求項6に記載の複合糸を含む、子宮頸部治療デバイス。
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