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JP7615636B2 - 種結晶保持部材及びそれを備えた単結晶製造装置 - Google Patents
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種結晶保持部材及びそれを備えた単結晶製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、種結晶保持部材及びそれを備えた単結晶製造装置に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きい。また、SiCは、Siに比べて熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。そのため、SiCは、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。
SiC単結晶を製造する方法の一つとして、昇華法が広く知られている。この昇華法は、原料収容部に収容された昇華用原料を2000℃以上に加熱することで、原料を昇華させて昇華ガスを発生させ、その昇華ガスを原料収容部よりも数10~数100℃低温にした、SiC単結晶からなる種結晶へ供給することにより、この種結晶上でその昇華ガスを再結晶化させてSiC単結晶を成長させる方法である。
特開2014-5159号公報
SiC単結晶の成長を行う坩堝内では、SiC種結晶の表面に原料ガスを再結晶させるために、SiC種結晶が原料面よりも低温となるように温度制御される。結晶成長中のSiC単結晶において、結晶内の温度勾配が大きいと結晶内の熱応力が大きくなる。熱応力が大きいと、製造されたSiC単結晶の基底面転位密度が高くなるという問題が発生する。また、熱応力がある値以上になるとクラックが発生する場合がある。
結晶内の温度勾配としては結晶の成長方向の温度勾配と径方向の温度勾配とを分けて考えることができる。結晶の成長方向の温度勾配に関しては、種結晶側からの抜熱を小さくすることができれば、結晶の成長方向の温度勾配を小さくすることができる。種結晶が固定される部材を熱伝導率が小さい材料にすることができれば、種結晶側からの抜熱を小さくすることができる。しかしながら、種結晶の温度は2000℃以上になるため、従来より種結晶が固定される部材として黒鉛が用いられており、黒鉛以外の材料は通常用いられない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、黒鉛製部材よりも小さい熱伝導率を有する種結晶保持部材及びそれを備えた単結晶製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
本発明の第1態様に係る種結晶保持部材は、種結晶上に結晶成長させて単結晶インゴットを製造する単結晶製造装置において、炭素材料からなり、前記種結晶を保持する種結晶保持部材であって、前記種結晶が前記種結晶保持部材に保持されたときに前記種結晶と前記種結晶保持部材とが重畳する方向から見て、前記種結晶と重なる位置に熱伝導率調整層を有し、前記熱伝導率調整層が空洞層であるか、又は、前記炭素材料とは異なる熱伝導率の材料である熱伝導率調整材料からなり、結晶成長軸方向の熱伝導率が前記炭素材料よりも小さい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記熱伝導率調整層を複数備えてもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記炭素材料が黒鉛であってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記熱伝導率調整材料が粉末材料からなってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記粉末材料が黒鉛、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウムの群から選択されたものであってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記熱伝導率調整材料が黒鉛繊維からなってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、前記熱伝導率調整層が空洞層であり、結晶成長軸方向の前記空洞層の長さが15mm以下であってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、種結晶を固定する台座を備え、前記台座が前記種結晶に接触する部分であってもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、昇華法を用いてSiC単結晶インゴットを製造する単結晶製造装置で用いられる坩堝の蓋部であってもよい。
本発明の第2態様に係る単結晶製造装置は、上記態様に係る蓋部と坩堝本体とからなる坩堝を備える。
上記態様に係る種結晶保持部材は、溶液法を用いてSiC単結晶インゴットを製造するときに用いられてもよい。
上記態様に係る種結晶保持部材は、ガス法を用いてSiC単結晶インゴットを製造するときに用いられてもよい。
本発明の種結晶保持部材によれば、結晶成長中のSiC単結晶インゴットの成長軸方向の温度勾配を小さくすることができ、クラックの発生を防止し、基底面転位密度が低いSiC単結晶インゴットを得ることが可能になる。
本発明の第1実施形態に係る種結晶保持部材を示す断面模式図である。 台座に空洞層を有する種結晶保持部材の例であり、(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面模式図である。 台座に空洞層を有する種結晶保持部材の他の例であり、(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面模式図である。 台座に空洞層を有する種結晶保持部材の他の例であり、(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係る種結晶保持部材を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る単結晶製造装置を示す断面模式図である。 図6で示した単結晶製造装置の蓋部のみを取り出して拡大した断面模式図である。 台座を有さないタイプの蓋部の一例を示す断面模式図である。 温度分布のシミュレーションを行った結果(SiC単結晶の高さ方向の温度差tes、及び、台座の高さ方向の温度差te1)を示すものであり、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は比較例、の結果を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には図中、同一符号を付してある場合がある。また、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするため便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。一つの実施形態で示した構成を他の実施形態に適用することもできる。
(種結晶保持部材)
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る種結晶保持部材を示す断面模式図である。図1では、理解の助けになるように、種結晶Sを図示した。図において、種結晶Sと種結晶保持部材10とが重畳する方向をz方向として、z方向に直交する面をxy面とし、x方向とy方向とは互いに直交する。後の図においても同様である。
図1に示す種結晶保持部材10は、種結晶Sが固定される種結晶保持部として台座11を備え、台座11はz方向から平面視して種結晶Sと重なる位置に熱伝導率調整層として空洞層H(H1、H2、H3、H4)を有し、種結晶保持部材10の結晶成長方向(z方向)の熱伝導率が種結晶保持部材10を構成する炭素材料の熱伝導率よりも小さい。
種結晶保持部材10は、種結晶S上に結晶成長させて単結晶インゴットを製造する単結晶製造装置において、炭素材料からなり、種結晶Sを保持するための部材である。種結晶Sとして炭化珪素(SiC)からなる種結晶Sを用いることにより、種結晶保持部材10を備える単結晶製造装置を用いてSiC単結晶インゴットを製造することができる。
本明細書において「種結晶保持部材」は、台座を有する場合と、台座を有さない場合とがある。
本明細書において「台座」とは、種結晶が固定される部分あるいは部材であって、その固定面が円板上の種結晶と同程度の径を有する部分あるいは部材である。
一般に、「熱伝導率」とは、一つの物体の一端から他端へ熱が伝わるときの伝わりやすさを表すものであり、単位は、W/(m・K)である。
本明細書において、「種結晶保持部材の熱伝導率」とは、種結晶保持部材の結晶成長方向(z方向)における一端から他端への熱が伝わるときの伝わりやすさを表すものとし、単位は一般の「熱伝導率」の同様に、W/(m・K)とする。ここで、例えば、種結晶保持部材が坩堝の、台座を有する蓋部である場合、“一端”は、台座の、種結晶が固定される面(図6の符号20a)であり、他端は蓋部の台座を有さない側の面(図6の符号20b)である。「種結晶保持部材の熱伝導率」は、公知の「熱伝導率」の測定方法によって測定することができる。例えば、レーザーフラッシュ法等によって測定することができる。
種結晶保持部材10は、台座11の他に、台座11に接続され、台座11を支持する支持部材12をさらに備えている。台座11と支持部材12との接続は、例えば、カーボン接着剤で接続したり、ネジで接続したりすることができる。
種結晶保持部材10は、台座と支持部材とを備えているが、支持部材だけからなる構成であってもよい。種結晶保持部材10が支持部材だけからなる構成である場合(この場合、種結晶保持部材10は支持部材に一致する)は、種結晶は支持部材の所定の箇所に固定される。
種結晶保持部材10は、空洞層を4つ有する構成であるが、種結晶保持部材10の結晶成長方向の熱伝導率が種結晶保持部材10を構成する炭素材料の熱伝導率よりも小さくなる限り、空洞層の数やサイズには制限はない。
図2~図4に、熱伝導率調整層が空洞層である種結晶保持部材の例及びその作り方を示す。各図で示した種結晶保持部材の空洞層に熱伝導率調整材料を詰めることによって、熱伝導率調整層が熱伝導率調整材料からなる種結晶保持部材を作ることができる。
図2に示す種結晶保持部材は一例として、ザグリ111Aaを入れた台座本体111Aを準備し、ザグリ111Aa内の底面111Aaaに、円筒111Bと円板111Cを交互に積み重ねて空洞層を有する台座111を組み上げ、その台座111を支持部材12(図1参照)に接続することによって作ることができる。図2に示す例では、かさ部111Abによって台座111を支持部材12に安定的に接続可能となる。図2(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面図である。
図2では、円筒111B及び円板111Cがそれぞれ4個づつ(円筒111Ba、111Bb、111Bc、111Bd、及び、円板111Ca、111Cb、111Cc、111Cd)の例を示したが、それぞれが5個以上であっても、あるいは、それぞれが3個以下であってもよい。
円筒111B及び円板111Cはそれぞれ、ザグリ111Aaの内面に例えば、カーボン接着剤で接続したり、ネジで接続してもよい。また、円筒111B及び円板111Cが互いに例えば、カーボン接着剤で接続したり、ネジで接続してもよい。
なお、図2に示した種結晶保持部材において、円筒111Baを設置後、熱伝導率調整材料を詰め、次いで、円板111Caを設置し、その上に円筒111Bbを設置して、熱伝導率調整材料を詰め、次いで、円板111Cbを設置し、・・・ということを繰り返すことによって、熱伝導率調整層が熱伝導率調整材料からなる種結晶保持部材を作ることができる。
図3に示す種結晶保持部材は一例として、ザグリ211Aaを入れ、その内側面211Aaaに雌ネジを切った台座本体211Aを準備し、その雌ネジにねじ込み可能に、側面に雄ネジを有する円板211Bをねじ込んで、空洞層を有する台座211を組み上げ、その台座211を支持部材12(図1参照)に接続することによって作ることができる。図3に示す例では、かさ部211Abによって台座211を支持部材12に安定的に接続可能となる。(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面図である。
図3に示した台座の場合、位置調整が容易であり、シミュレーション等から計算した所望の熱伝導率を狙う調整を行なってもよい。
図3に示した例では、円板211Bが4個(円板211Ba、211Bb、211Bc、211Bd)の例を示したが、5個以上であっても、あるいは、3個以下であってもよい。
なお、図3に示した種結晶保持部材において、ザグリ211Aaの底面に熱伝導率調整材料を敷き、次いで、円板211Baを設置し、その上に熱伝導率調整材料を敷き、次いで、円板211Bbを設置し、・・・ということを繰り返すことによって、熱伝導率調整層が熱伝導率調整材料からなる種結晶保持部材を作ることができる。
図4に示す種結晶保持部材は一例として、ザグリ311Aaを入れた台座本体311Aを準備し、ザグリ311Aaの底面311Aaaに、下面に支持部が付いた円板311Bを積み重ねて空洞層を有する台座311を組み上げ、その台座311を支持部材12(図1参照)に接続することによって作ることができる。図4に示す例では、かさ部311Abによって台座311を支持部材12に安定的に接続可能となる。(a)は作製前の台座の分解断面模式図であり、(b)は作製後の台座の断面図である。
図4に示した例では、下面に支持部が付いた円板311Bが4個(円板311Ba、311Bb、311Bc、311Bd)の例を示したが、5個以上であっても、あるいは、3個であってもよい。
円板311Ba、311Bb、311Bc、311Bdはそれぞれ、ザグリ311Aaの内面に例えば、カーボン接着剤で接続したり、ネジで接続してもよい。また、円板311Ba、311Bb、311Bc、311Bdが互いに例えば、カーボン接着剤で接続したり、ネジで接続してもよい。
なお、図4に示した種結晶保持部材において、ザグリ311Aaの底面に熱伝導率調整材料を敷き、次いで、下面に支持部が付いた円板311Baを設置し、その上に熱伝導率調整材料を敷き、次いで、下面に支持部が付いた円板311Bbを設置し、・・・ということを繰り返すことによって、熱伝導率調整層が熱伝導率調整材料からなる種結晶保持部材を作ることができる。
熱の移動は、空洞層では輻射であり、空洞層でないところ(炭素材料からなる部分)では熱伝導となる。空洞層と炭素材料の層とが交互に繰り返される台座11では、輻射と熱伝導が交互に繰り返されて熱の移動が行われる。
熱伝導による熱の移動と輻射による熱の移動とを比べると、輻射は熱が輻射により移動するため、熱伝導よりも熱の移動が速くなると考えられる。しかし、一般的な黒鉛の輻射率は0.7~0.9であり、理想黒体の1より小さい。つまりこれは、空洞層を介して熱が移動する場合、空洞層内の高温側からの輻射量は理想黒体の10~30%程度小さくなり、さらに、低温側である対向部においても、吸収量が理想黒体の10~30%小さくなる、という事を意味する。台座部における熱移動は縦方向であるため、高さをある程度小さくした空洞層は、前述の影響により、熱移動の抵抗となり、結果として断熱作用を持つ。具体的には、輻射率0.8の黒鉛の場合、空洞層高さが15mm以下であれば空洞層内の熱移動は熱伝導による熱移動より遅くなる。
しかし、黒鉛の材質や表面状態によって輻射率は変化するため、空洞層を有さない場合の種結晶保持部材に比べて、種結晶保持部材の熱伝導率が大きくなるか、小さくなるかについて、種結晶保持部材を構成する炭素材料が決定されれば、多少の実験を行うことによって確認することができる。
種結晶保持部材10は、炭素材料からなるが、SiC単結晶インゴットの製造において用いることができる程度の純度であれば、不純物が含まれることも許容される。
種結晶保持部材10を構成する炭素材料は黒鉛であることが好ましい。SiC単結晶インゴットの製造で用いられる昇華法、溶液法、ガス法はいずれも、種結晶が2000℃以上の高温となる。黒鉛は昇華温度が3550℃と極めて高く、成長時の高温にも耐えることができるからである。
台座11は、台座11と種結晶Sとが重畳する方向であるz方向に対して直交するxy面に平行な方向に拡がりを有する空洞層を有する。
種結晶保持部材10が台座11を有さない構成の場合、支持部材12中のz方向から見て種結晶と重なる位置に空洞層を有する。
空洞層を有さない黒鉛製種結晶保持部の場合、その熱伝導率(すなわち、黒鉛の熱伝導率)は30~40W/m・K程度である。これに対して、黒鉛製の空洞層を有する台座11の場合、その熱伝導率は30~40W/m・Kよりも小さくすることができる。なお、SiC単結晶の成長温度近傍2000~2400℃では、SiC単結晶の熱伝導率は20~25〔W/(m・K)〕程度であり、坩堝に用いられる黒鉛の熱伝導率は30~40〔W/(m・K)〕程度である。
熱伝導率を小さくする程度は、空洞層の構成によって調整することができる。
台座11と種結晶Sとはそれぞれの接合面11a、接合面Saで接合される。この場合、接合面における接合は接着剤を介して固定される場合も含まれるものとする。
台座11は、種結晶Sの接合面にほぼ平行に拡がる平行部11A、11B1、11B2、11B3、11Cを種結晶Sの接合面Sa側から順に備え、さらに、種結晶Sの接合面にほぼ直交する方向に側壁部11AAを備える。空洞層H1は、平行部11A、平行部11B1及び側壁部11AAに囲まれて構成されており、空洞層H2は、平行部11B1、平行部11B2及び側壁部11AAに囲まれて構成されており、空洞層H3は、平行部11B2、平行部11B3及び側壁部11AAに囲まれて構成されており、空洞層H4は、平行部11B3、平行部11C及び側壁部11AAに囲まれて構成されている。
種結晶を台座11に固定する方法としては、例えば、種結晶の外周部を黒鉛製のツメで固定する方法や、カーボン接着剤を用いて種結晶を台座に貼り付ける方法を用いることができる。
後で詳述するが、本発明の種結晶保持部材を昇華法の坩堝蓋部(以下、単に「蓋部」という)として用いる場合、蓋部(あるいは、台座)は、従来の黒鉛製蓋部(あるいは黒鉛製台座)よりも抜熱が小さく、従来よりも結晶成長中の単結晶内の熱応力が低減される。
本発明の種結晶保持部材は、昇華法の他、溶液法やガス法を用いて単結晶インゴットを製造するときに、単結晶を保持する部材として用いることができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る種結晶保持部材を示す断面模式図である。
図5に示す種結晶保持部材10Aは、種結晶Sが固定される種結晶保持部として台座111を備え、台座111はz方向から平面視して種結晶Sと重なる位置に熱伝導率調整層13(13A、13B、13C、13D)を有し、種結晶保持部材10Aの結晶成長方向の熱伝導率が種結晶保持部材10Aを構成する炭素材料の熱伝導率よりも小さい。
第1実施形態に係る種結晶保持部材では熱伝導率調整層としての空洞層を備えていたが、第2実施形態に係る種結晶保持部材では、熱伝導率調整層が種結晶保持部材を構成する炭素材料とは異なる熱伝導率の材料である熱伝導率調整材料からなる点が第1実施形態に係る種結晶保持部材と異なる。
図5に示す種結晶保持部材10Aでは、空洞層に熱伝導率調整材料を充填するような構成としているが、炭素材料層と熱伝導率調整層とが順に積層される構成であってもよい。
熱伝導率調整材料としては、種結晶保持部材10Aの結晶成長方向の熱伝導率が種結晶保持部材10Aを構成する炭素材料の熱伝導率よりも小さくなる限り、種々の材料を用いることができる。
熱伝導率調整材料としては例えば、黒鉛繊維、高融点金属炭化物(炭化タンタル、炭化タングステン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム)などを例示することができる。
熱伝導率調整材料は、粉末材料からなるものでもよい。粉末からなる層と一様な連続体からなる層が同じ材料からなる場合、粉末からなる層は一様な連続体からなる層よりも熱を伝えにくい。そのため、種結晶保持部材10Aは、熱伝導率調整層を有さない従来の種結晶保持部材に比べて、熱伝導率が小さくなる。
粉末材料としては、黒鉛粉末、高融点金属炭化物(炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウム)の粉末、などを例示することができる。
種結晶保持部材10Aは、熱伝導率調整層を4つ有する構成であるが、種結晶保持部材10Aの結晶成長方向の熱伝導率が種結晶保持部材10Aを構成する炭素材料の熱伝導率よりも小さくなる限り、熱伝導率調整層の数やサイズには制限はない。
(単結晶製造装置)
図6は、本発明の一実施形態に係る単結晶製造装置を示す断面模式図である。図において、坩堝の蓋部と坩堝本体の底部とを結ぶ方向をz方向として、z方向に直交する面をxy面とし、x方向とy方向とは互いに直交する。図6に示す単結晶製造装置は昇華法で単結晶インゴットを製造するときに用いられる。図7は、図6で示した蓋部20のみを取り出して拡大した断面模式図である。
図6に示す単結晶製造装置1000は、本発明の種結晶保持部材の一例である蓋部20と、坩堝本体30とからなる坩堝100を備えている。坩堝本体30の外周に、坩堝100を保温する断熱材(不図示)と、加熱手段40とを備えている。図6では、理解の助けになるように、単結晶成長用原料M、種結晶Sを併せて図示した。単結晶成長用原料Mは、坩堝本体30の下部に収容される。
種結晶Sは、蓋部20が備える台座21に固定される。SiC種結晶を台座21に固定する方法としては、例えば、SiC種結晶の外周部を黒鉛製のツメで固定する方法や、カーボン接着剤を用いてSiC種結晶を台座に貼り付ける方法を用いることができる。
坩堝100は、SiC単結晶を昇華法により製造するための坩堝であり、例えば、黒鉛や炭化タンタルを被覆した黒鉛等からなるものを用いることができる。坩堝100は、成長時に高温となる。そのため、高温に耐えることのできる材料によって形成されている必要がある。上述の通り、黒鉛は昇華温度が3550℃と極めて高く、成長時の高温にも耐えることができる。
単結晶製造装置1000では、蓋部20の内側中央部には下方に突出した台座21が設けられており、蓋部20は、台座21と、プレート22とからなる。台座21は図1に示した台座11又は図5に示した台座1011に相当し、プレート22は図1又は図5に示した支持部材12に相当する。
台座21の一面(種結晶側表面)21aに種結晶Sが固定される。台座21は、蓋部20を用いて坩堝本体30に蓋をすることで、坩堝100内に収容された単結晶成長用原料Mと対向する。単結晶成長用原料Mと台座21に設置された種結晶Sが対向することで、種結晶Sへの効率的な原料ガスの供給を行うことができる。台座21とプレート22とは一体の部材で構成されてもよく、別個の部材であってもよい。
蓋部20(あるいは台座21)は、xy方向に拡がりを有する熱伝導率調整層33(33A、33B、33C、33D)を有するため、熱伝導率調整層を有さない、従来の黒鉛製蓋部(あるいは黒鉛製台座)に比べて、その熱伝導率は小さい。熱伝導率調整層33は、空洞層、又は、蓋部20を構成する炭素材料とは異なる熱伝導率の材料である熱伝導率調整材料からなる層である。
本発明の種結晶保持部材の一例である蓋部(あるいは、種結晶に接触する部分である台座)は、従来の黒鉛製蓋部(あるいは黒鉛製台座)よりも、抜熱が小さく、従来よりも成長する単結晶内の熱応力が低減される。
図7に示した蓋部20では、熱伝導率調整層33は断面視で矩形であるが、矩形に限定されない。また、4つある熱伝導率調整層33A、33B、33C、33Dは同じ形状を有するが、異なる形状であってもよい。
単結晶製造装置1000では、蓋部20は、台座21を備え、その台座21の上に種結晶を固定するタイプであったが、図8に示すように、蓋部20Aが台座を備えず、種結晶Sが蓋部20Aの一部に固定されるタイプの単結晶製造装置であってもよい。このタイプでは、図8のプレート22に相当する部分22Aが熱伝導率調整層33を有する。
(実施例1)
図9(a)に、図1に示したタイプ、すなわち台座が設けられた蓋部を備えた単結晶製造装置について、台座近傍の温度分布のシミュレーションを行った結果(SiC単結晶の高さ方向の温度差、及び、台座の高さ方向の温度差)を示す。なお、図9(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は比較例の結果を示すものである。図示した断面模式図には、各実施例、比較例の特徴は図示していない。
このシミュレーションは、STR-Group Ltd社製の気相結晶成長解析ソフト「Virtual Reactor」を用いて行った。このシミュレーションは、炉内の温度分布のシミュレーションに広く用いられているものであり、実際の実験結果と高い相関を有することが確認されている。シミュレーションは、計算負荷を低減するために、円筒状坩堝の中心軸を通る任意の断面の半分(径方向の半分)の構造のみで行った。
シミュレーションで用いた単結晶製造装置のモデルでは、熱伝導率調整層としては4つの空洞層とした。台座を黒鉛製とし、台座の高さ(z方向の長さ)を59mm、4つの空洞層の高さ(z方向の長さ)を2mm、SiC単結晶の高さ(z方向の長さ)を53mmとした。また、黒鉛の熱伝導率を40W/m・Kとした。
シミュレーションの結果、SiC単結晶の高さ方向の温度差tes(すなわち、SiC単結晶の成長面温度と台座との接合面温度との差)、及び、台座の高さ方向の温度差te1(すなわち、SiC単結晶との接合面温度とその反対側の面の温度との差)はそれぞれ、75℃、99℃であった(図9(a)参照)。
(実施例2)
熱伝導率調整層が熱伝導率調整材料からなるモデルを用いてシミュレーションを行った。実施例1との違いは、熱伝導率調整層が高さ2mmの4層の空洞層ではなく、高さ5mmの1層の熱伝導率調整材料からなる点である。熱伝導率調整材料の熱伝導率は2W/m・Kとした。
シミュレーションの結果、SiC単結晶の高さ方向の温度差tes(すなわち、SiC単結晶の成長面温度と台座との接合面温度との差)、及び、台座の高さ方向の温度差te1(すなわち、SiC単結晶との接合面温度とその反対側の面の温度との差)はそれぞれ、60℃、105℃であった(図9(b)参照)。
(比較例)
従来タイプの空洞層を有さない台座が設けられた蓋部を備えた単結晶製造装置について、台座近傍の温度分布のシミュレーションを行った結果を示す。図9(a)のモデルとの違いは、台座が空洞層を有さない点だけであり、材料や寸法などは同じであった。
シミュレーションの結果、SiC単結晶の高さ方向の温度差tes(すなわち、SiC単結晶の成長面温度と台座との接合面温度との差)、及び、台座の高さ方向の温度差te1(すなわち、SiC単結晶との接合面温度とその反対側の面の温度との差)はそれぞれ、86℃、69℃であった(図9(c)参照)。
比較例において、SiC単結晶の高さ方向の温度差tesが86℃であったのに対して、実施例1及び実施例2の、SiC単結晶の高さ方向の温度差tesは、それぞれ75℃及び60℃であった。実施例の方が比較例に比べて、SiC単結晶の高さ方向の温度差が小さいので、結晶成長中の熱応力を低減させ、基底面転位密度が低くクラックの無いSiC単結晶インゴットを得ることが可能になる。
10、10A 種結晶保持部材
11、21、111、211、311、1011 台座
12 支持部材
13、13A、13B、13C、13D、33、33A、33B、33C、33D 熱伝導率調整層
20、20A 蓋部
21 台座
22 プレート
30 坩堝本体
H、H1、H2、H3、H4 空洞層
100 坩堝
1000 単結晶製造装置

Claims (10)

  1. 種結晶上に結晶成長させて単結晶インゴットを製造する単結晶製造装置で用いられ、炭素材料からなり、前記種結晶を保持する種結晶保持部材であって、
    前記種結晶が前記種結晶保持部材に保持されたときに前記種結晶と前記種結晶保持部材とが重畳する方向から見て、前記種結晶と重なる位置に熱伝導率調整層を有し、
    前記熱伝導率調整層が複数の空洞層であるか、又は、前記炭素材料とは異なる熱伝導率の材料である熱伝導率調整材料の粉末材料からなり、
    結晶成長軸方向の熱伝導率が前記炭素材料よりも小さい、種結晶保持部材。
  2. 前記炭素材料が黒鉛である、請求項1に記載の種結晶保持部材。
  3. 前記粉末材料が黒鉛、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化ニオブ、炭化モリブデン、炭化ハフニウム、炭化ジルコニウムの群から選択されたものである、請求項に記載の種結晶保持部材。
  4. 前記熱伝導率調整材料が黒鉛繊維からなる、請求項1から又は2のいずれかに記載の種結晶保持部材。
  5. 前記熱伝導率調整層が空洞層であり、結晶成長軸方向の前記空洞層の長さが15mm以下である、請求項1又は2のいずれかに記載の種結晶保持部材。
  6. 種結晶を固定する台座を備え、前記台座が前記種結晶に接触する部分である、請求項1からのいずれか一項に記載の種結晶保持部材。
  7. 前記種結晶保持部材が、昇華法を用いてSiC単結晶インゴットを製造する単結晶製造装置で用いられる坩堝の蓋部である、請求項1からのいずれか一項に記載の種結晶保持部材。
  8. 請求項に記載の蓋部と坩堝本体とからなる坩堝を備える、単結晶製造装置。
  9. 溶液法を用いてSiC単結晶インゴットを製造するときに用いられる、請求項1からのいずれか一項に記載の種結晶保持部材。
  10. ガス法を用いてSiC単結晶インゴットを製造するときに用いられる、請求項1からのいずれか一項に記載の種結晶保持部材。
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