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JP7615727B2 - 液状組成物及びその製造方法 - Google Patents
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JP7615727B2 - 液状組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーと、炭化水素系ポリマーと、特定の液状分散媒を含む液状組成物、かかる液状組成物の製造方法及びかかる液状組成物より形成されるシート材に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のテトラフルオロエチレン系ポリマーは、耐薬品性、撥水撥油性、耐熱性、電気特性等の物性に優れており、パウダー、分散液、フィルム等、種々の使用形態及び種々の用途が知られている。
近年、信号の高周波化が進んでおり、低誘電率、低誘電正接等の電気特性を有し、絶縁性能に優れた材料が要求されている。そこで、低誘電率、低誘電正接等の電気特性に優れ、高周帯域の周波数に対応するプリント基板の誘電体層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含む液状組成物が注目されている。
テトラフルオロエチレン系ポリマーの他の材料との接着性を改善し、かつ絶縁性能に優れた材料を得るべく、液状組成物に関して様々な提案がなされている。特許文献1には、誘電体層を形成した際の、基材密着性と誘電体層の厚さ均一性とを改善する観点から、上記パウダー、ゴム粒子、シリカフィラー、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む熱硬化性の液状組成物が開示されている。特許文献2には、液状組成物の粘性、保存安定性及び他の樹脂材料との混合性を改善する観点から、上記パウダー及び熱可塑性エラストマーを含む液状組成物が開示されている。
特開2019-35059号公報 特開2017-222762号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の液状組成物は、分散安定性の観点から、界面活性剤を構成成分として含有している。液状組成物が界面活性剤、特にフッ素系の界面活性剤を含む場合には、それから得られる成形物に界面活性剤が残留して、その表面物性(濡れ性、平滑性等)に影響を及ぼすという課題がある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、テトラフルオロエチレン系ポリマーと、炭化水素系ポリマーと、所定の異種の液状分散媒とを含有し、前記液状分散媒の含有比が特定の範囲にある液状組成物が分散安定性に優れ、表面物性に優れる成形物を形成できることを知見した。また、かかる成形物は接着性及び電気特性に特に優れることを知見した。
本発明の目的は、分散安定性に優れた液状組成物、かかる液状組成物の製造方法及びかかる液状組成物から形成される成形物の提供、典型的にはシート材の提供である。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、炭化水素系ポリマーと、非極性の液状分散媒と、極性の液状分散媒とを含み、前記非極性の液状分散媒の含有量に対する前記極性の液状分散媒の含有量の質量比が20以下である、液状組成物。
<2>前記非極性の液状分散媒が、芳香族炭化水素である、<1>の液状組成物。
<3>前記極性の液状分散媒が、アルコール、ケトン、エステル及びアミドから選択される少なくとも1種である、<1>又は<2>の液状組成物。
<4>前記炭化水素系ポリマーが、スチレン系ポリマー又はオレフィン系ポリマーである、<1>~<3>のいずれかの液状組成物。
<5>前記炭化水素系ポリマーが、スチレン-共役ジエンブロックコポリマーである、<1>~<4>のいずれかの液状組成物。
<6>前記炭化水素系ポリマーが極性基を有する、<1>~<5>のいずれかの液状組成物。
<7>前記炭化水素系ポリマーの含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量より多い、<1>~<6>のいずれかの液状組成物。
<8>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロペンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマー、若しくは数平均分子量が20万以下のポリテトラフルオロエチレンである、<1>~<7>のいずれかの液状組成物。
<9>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーの含有量が、前記液状組成物の全体質量に対して5質量%以上である、<1>~<8>のいずれかの液状組成物。
<10>前記テトラフルオロエチレン系ポリマー以外のフッ素含有化合物を含まない、<1>~<9>のいずれかの液状組成物。
<11>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、前記炭化水素系ポリマーと、前記非極性の液状分散媒又は前記極性の液状分散媒とを含有する組成物を混練して混練物を得て、前記混練物と前記非極性の液状分散媒又は前記極性の液状分散媒を混合して前記液状組成物を得る、<1>~<10>のいずれかの液状組成物の製造方法。
<12>前記混練物が、混練ペースト又は練粉である、<11>の製造方法。
<13><1>~<9>のいずれかの液状組成物から形成された、シート材。
<14>基板同士の接着層として使用する接着シートである、<13>のシート材。
<15>金属配線を覆うように、プリント配線板に接着するカバーレイフィルムである、<13>のシート材。
本発明によれば、分散安定性に優れた液状組成物、かかる液状組成物の製造方法及びかかる液状組成物から形成される成形物、典型的にはシート材が提供される。本発明の液状組成物から形成されるシート材は、濡れ性及び平滑性に代表される表面物性と電気特性とに優れ、例えば、基板同士の接着層として使用する接着シートや、プリント配線板に接着するカバーレイフィルムとして有用である。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「D50」は、レーザー回折・散乱法によって求められるパウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「D90」は、パウダーの累積体積粒径であり、「D50」と同様にして求められるパウダーの体積基準累積90%径である。
D50及びD90は、パウダーを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「比表面積」は、ガス吸着(定容法)BET多点法でパウダーを測定し算出される値であり、NOVA4200e(Quantachrome Instruments社製)を使用して求められる。
「ポリマーの溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ-8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「液状組成物の粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で測定される粘度である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、液状組成物の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度ηを、回転数が60rpmの条件で測定される粘度ηで除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
本発明の液状組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)のパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)と、炭化水素系ポリマーと、非極性の液状分散媒(以下、「分散媒A」とも記す。)と、極性の液状分散媒(以下、「分散媒B」とも記す。)を含み、分散媒Aの含有量に対する分散媒Bの含有量の質量比(以下、「B/A」とも記す。)が20以下である。本組成物は、Fパウダーが分散し、炭化水素系ポリマーが高度に溶解して分散した液状組成物である。
本組成物は、分散安定性に優れ、表面物性と電気特性に優れた成形物を形成できる。その作用機構は定かではないが、概ね以下のように推定している。本組成物は分散媒A及び分散媒Bを含んでおり、分散媒Aに炭化水素系ポリマーの少なくとも一部が溶解した状態を取り得る。一方、分散媒BにはFパウダーが良好に分散し得る。さらに、これらの分散媒が特定の質量比で存在する本組成物では、その性質がバランスし、溶解した状態の炭化水素系ポリマーが分散剤、増粘剤、チキソ性付与剤として作用して、Fパウダーの分散安定性を向上させ、液状組成物全体の液物性を向上させていると考えられる。また、炭化水素系ポリマーは液状組成物の表面張力を下げる作用を発現し、液状組成物から成形物を形成する際のレベリング性も向上させていると考えられる。さらに、炭化水素系ポリマー自体が、低誘電正接である電気特性を有するので、液状組成物から形成した成形物の電気特性向上にも寄与している。
その結果、本組成物から、濡れ性及び平滑性に代表される表面物性と電気特性とに優れた成形物を形成できたと考えられる。
本発明におけるFパウダーのD50は20μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましい。FパウダーのD50は0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、FパウダーのD90は10μm以下が好ましい。この範囲のD50及びD90において、Fパウダーの流動性と分散性とが良好となり、電気特性(低誘電率等)や耐熱性を最も発現し易い。
本組成物においては、分散安定性の観点から、Fパウダーの嵩密度は0.15g/m以上が好ましく、0.20g/m以上がより好ましい。Fパウダーの嵩密度は0.50g/m以下が好ましく、0.35g/m以下がより好ましい。
本発明におけるFパウダーは、Fポリマー以外の樹脂又は無機フィラーを含んでいてもよいが、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。FパウダーにおけるFポリマーの含有量は80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
上記樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、(熱可塑性)ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、マレイミド等の耐熱性樹脂が挙げられる。無機フィラーとしては、酸化ケイ素(シリカ)、金属酸化物(酸化ベリリウム、酸化セリウム、アルミナ、ソーダアルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)、窒化ホウ素、メタ珪酸マグネシウム(ステアタイト)が挙げられる。無機フィラーは、その表面の少なくとも一部が表面処理されていてもよい。
Fポリマー以外の樹脂又は無機フィラーを含むFパウダーは、Fポリマーをコアとし、Fポリマー以外の樹脂又は無機フィラーをシェルに有するコア-シェル構造を有するか、Fポリマーをシェルとし、Fポリマー以外の樹脂又は無機フィラーをコアに有するコア-シェル構造を有していてもよい。かかるFパウダーは、例えば、Fポリマーのパウダーと、Fポリマー以外の樹脂又は無機フィラーのパウダーとを合着(衝突、凝集等)させて得られる。
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含むポリマーである。Fポリマーは熱溶融性であるのが好ましい。Fポリマーの溶融温度は280~325℃が好ましく、300~325℃がより好ましい。かかる場合、本組成物から形成される成形物の耐熱性が優れやすい。Fポリマーのガラス転移点は、75~125℃が好ましく、80~100℃がより好ましい。
Fポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFE単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)に基づく単位(PAVE単位)を含むポリマー(PFA)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)に基づく単位を含むポリマー(FEP)が挙げられ、PFAであるのが好ましい。PAVEとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF及びCF=CFOCFCFCF(PPVE)が好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーは、極性官能基を有するのが好ましい。極性官能基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として極性官能基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる極性官能基を有するFポリマーが挙げられる。極性官能基は、水酸基含有基又はカルボニル基含有基が好ましく、本組成物の分散安定性の観点から、カルボニル基含有基がより好ましい。水酸基含有基は、アルコール性水酸基を含有する基が好ましく、-CFCHOH又は-C(CFOHがより好ましい。
カルボニル基含有基は、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(-OC(O)NH)、酸無水物残基(-C(O)OC(O)-)、イミド残基(-C(O)NHC(O)-等)又はカーボネート基(-OC(O)O-)が好ましく、酸無水物残基がより好ましい。
Fポリマーがカルボニル基含有基を有する場合、Fポリマーにおけるカルボニル基含有基の数は、主鎖の炭素数1×10個あたり、10~5000個が好ましく、100~3000個がより好ましく、800~1500個がさらに好ましい。なお、Fポリマーにおけるカルボニル基含有基の数は、ポリマーの組成又は国際公開第2020/145133号に記載の方法によって定量できる。
Fポリマーは、TFE単位及びPAVE単位を含む、極性官能基を有するポリマー(1)、又は、TFE単位及びPAVE単位を含み全単位に対してPAVE単位を2.0~5.0モル%含む、極性官能基を有さないポリマー(2)が好ましい。
これらのFポリマーは、そのパウダーが分散安定性に優れるだけでなく、本組成物から形成される成形物(ポリマー層等)中において、より緻密かつ均質に分布しやすい。さらに、成形物中において微小球晶を形成しやすく、他の成分との密着性が高まりやすい。その結果、表面平滑性、接着性と電気特性に優れた成形物を、より得られやすい。
ポリマー(1)は、TFE単位、PAVE単位及び極性官能基を有するモノマーに基づく単位を含むポリマーであるのが好ましく、全単位に対して、これらの単位をこの順に、90~99モル%、0.5~9.97モル%、0.01~3モル%、含むポリマーであるのがより好ましい。
また、極性官能基を有するモノマーは、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。
ポリマー(1)の具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
ポリマー(2)は、TFE単位及びPAVE単位のみからなり、全単位に対してTFE単位を95.0~98.0モル%、PAVE単位を2.0~5.0モル%含有するのが好ましい。ポリマー(2)におけるPAVE単位の含有量は、全単位に対して2.1モル%以上が好ましく、2.2モル%以上がより好ましい。
なお、ポリマー(2)が極性官能基を有さないとは、ポリマー主鎖を構成する炭素原子数の1×10個あたりに対して、ポリマーが有する極性官能基の数が500個未満であることを意味する。上記極性官能基の数は100個以下が好ましく、50個未満がより好ましい。上記極性官能基の数の下限は、通常、0個である。
ポリマー(2)は、ポリマー鎖の末端基として極性官能基を生じない、重合開始剤や連鎖移動剤等を使用して製造してもよく、極性官能基を有するFポリマー(重合開始剤に由来する極性官能基をポリマーの主鎖の末端基に有するFポリマー等)をフッ素化処理して製造してもよい。フッ素化処理の方法としては、フッ素ガスを使用する方法(特開2019-194314号公報等を参照)が挙げられる。
Fポリマーとしては、数平均分子量(Mn)が20万以下のPTFE(低分子量PTFE)がより好ましい。この場合、本成形物から形成する成形物が、低誘電正接等の電気特性に優れやすい。
なお、PTFEの数平均分子量(Mn)は、下式(1)に基づいて算出される。
Mn = 2.1×1010×ΔHc-5.16 ・・・ (1)
式(1)中、ΔHcは、示差走査熱量分析法により測定されるPTFEの結晶化熱量(cal/g)を示す。
低分子量PTFEのMnは10万以下が好ましく、5万以下がより好ましい。低分子量PTFEのMnは、1万以上が好ましい。
本発明における炭化水素系ポリマーは、スチレン系ポリマー又はオレフィン系ポリマーであるのが好ましい。
スチレン系ポリマーとしては、スチレンのホモポリマー、スチレンと共役ジエン又は(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマー(スチレン-ブタジエンゴム、スチレン系コアシェル型コポリマー、スチレン系ブロックコポリマー等)が挙げられる。
中でも、ゴムとプラスチックの両方の性質を備え、加熱により可塑化して柔軟性を示すスチレン系エラストマーが好ましい。
かかるスチレン系エラストマーとしては、例えば、ポリスチレンブロックをハードセグメントとして、ポリオレフィンブロックをソフトセグメントとしてそれぞれ有するブロックコポリマーが挙げられ、スチレン-共役ジエンブロックコポリマーが好ましく、ジブロック又はトリブロックコポリマーが好ましい。また、スチレン系-共役ジエンブロックコポリマーは、水素添加されているのが好ましい。この場合、上述した作用機構が亢進しやすい。
スチレン系ポリマーの具体例としては、SBS(ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロックコポリマー)、SEP(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー)、SEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロックコポリマー)、SEBS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリスチレンブロックコポリマー)、SEEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロックコポリマー)、SIS(ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロックコポリマー)が挙げられる。これらは誘電正接が低く耐熱性に優れ、本組成物中に分散又は溶解しやすい。
工業的に製造され入手可能なスチレン系エラストマーとしては、例えば旭化成株式会社のタフテック(登録商標)、JSR株式会社のSISシリーズ・TRシリーズやDYNARON(登録商標)、株式会社クラレのセプトン(登録商標)、クレイトンポリマー社のクレイトンGポリマーが挙げられる。
オレフィン系ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどの不飽和脂肪族炭化水素のポリマーが挙げられ、好適にはゴム弾性を有するポリマーが挙げられる。ゴム弾性を有するオレフィン系ポリマーとしては、例えばエチレン-プロピレンゴム(EPM)、ポリブタジエン、ブチルゴム(イソブチレン/イソプレン系ポリマー)、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、エチレン-1-オクテンコポリマーが挙げられる。中でも、ゴムとプラスチックの両方の性質を備え、加熱により可塑化して容易に成形加工可能なオレフィン系エラストマーが好ましい。
オレフィン系エラストマーは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、EPM、EPDMなどのゴム成分をソフトセグメントとする。また、ポリオレフィンとゴム成分のブレンドタイプ、それらの動的架橋タイプ、及び重合タイプの3つに大別できる。
工業的に製造され入手可能なオレフィン系エラストマーとしては、例えば三菱ケミカル株式会社のサーモラン(登録商標)やTREXPRENE(登録商標)、JSR株式会社のRBシリーズやEXCELINK(登録商標)、住友化学株式会社のエスポレックス(登録商標)TPEシリーズ、ダウ社のENGAGE(登録商標)が挙げられる。
本発明における炭化水素系ポリマー、好適にはスチレン系ポリマー又はオレフィン系ポリマーは、Fポリマーや後述する無機フィラーとの密着性を一層向上させる観点からは、極性基を有しているのが好ましい。かかる極性基としては、エポキシ基、カルボニル基含有基、水酸基含有基、イソシアネート基、アミノ基が挙げられる。かかる極性基を有する炭化水素系ポリマーは、工業的に製造されており、入手容易な市販品を使用できる。
炭化水素系ポリマーのガラス転移温度は10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が10℃以下であれば、ゴム弾性が向上し、本組成物から形成される成形物、典型的にはシート材の折り曲げ性がさらに改善する。また、炭化水素系ポリマーは、少なくとも一部が、分散媒Aに可溶性を有するのが好ましい。
炭化水素系ポリマーの数平均分子量は30000~400000の範囲が好ましい。
炭化水素系ポリマーの含有量は、上述した作用機構を亢進させる観点から、Fポリマーの含有質量より多いのが好ましく、Fポリマーの含有質量に対して2倍以上が好ましい。炭化水素系ポリマーの含有質量は、Fポリマーの含有質量に対して10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましい。
本組成物における分散媒Aは、大気圧下、非極性に分類される25℃にて液体の化合物であり、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素であるのが好ましく、芳香族炭化水素がより好ましい。なお、非極性の分散媒は、Rohrschneiderの極性パラメータが3.0以下の分散媒であるのが好ましい。分散媒Aの沸点は、30~200℃の範囲が好ましい。分散媒Aは、2種類以上を併用してもよい。
脂肪族炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、流動パラフィン、リモネン、ジペンテン、ミルセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、クメン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、シメン、ジエチルベンゼン、ナフタレン等が挙げられ、トルエン又はキシレンがより好ましい。
本発明における分散媒Bは、大気圧下、極性に分類される25℃にて液体の化合物であり、アルコール、ケトン、エステル及びアミドから選択される少なくとも1種の極性化合物であるのが好ましく、ケトンであるのがより好ましい。なお、極性の分散媒は、Rohrschneiderの極性パラメータが4.0以上の分散媒であるのが好ましい。分散媒Bの沸点は、30~200℃の範囲が好ましい。分散媒Bは、2種類以上を併用してもよい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等が挙げられる。
エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等が挙げられる。
アミドとしては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、又はN,N-ジメチルアセトアミドが好ましい。
本組成物においては、分散媒Aの含有質量に対する分散媒Bの含有量の質量比(B/A)が20以下である。B/Aは、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは1以下であり、一方、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上である。B/Aがかかる範囲であれば、上述した作用機構が亢進して、本組成物が分散安定性に優れ、形成される成形物、典型的にはシート材の電気特性や表面平滑性が一層優れる。
本組成物は、他の材料を含んでいてもよい。
本組成物は、それから形成されるシート材等の成形物の接着性や硬度を向上させる観点から、さらにエポキシ樹脂を含むのが好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を組合せて用いてもよい。
また、エポキシ樹脂は、20℃にて液状のエポキシ樹脂であっても、20℃にて固体状のエポキシ樹脂であってもよい。
本組成物がエポキシ樹脂をさらに含有する場合のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度及び絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、本組成物中の不揮発成分の質量に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、一方、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
本組成物がエポキシ樹脂をさらに含有する場合、本組成物は硬化剤を含むのが好ましい。硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させる剤であり、具体的には、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤が挙げられる。
本組成物は、それから得られる成形物の物性(低膨張性、UV吸収性、電気特性等)を向上させる観点から、さらに無機フィラーを含有していてもよい。本組成物が無機フィラーを含有する場合、その含有量は、上記観点から、本組成物中の不揮発成分の質量に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、一方、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
無機フィラーは、窒化物フィラー又は無機酸化物フィラーが好ましく、窒化ホウ素フィラー、ベリリアフィラー(ベリリウムの酸化物のフィラー)、ケイ酸塩フィラー(シリカフィラー、ウォラストナイトフィラー、タルクフィラー)、又は金属酸化物(酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)フィラーがより好ましい。かかる無機フィラーは、成分間の相互作用をバランスしやすく、本組成物の分散安定性をより向上させやすい。また、その成形物において、その物性が顕著に発現しやすい。中でも、無機フィラーは、シリカを含むのが好ましい。無機フィラーにおけるシリカの含有量は50質量%以上が好ましく、75質量%がより好ましい。シリカの含有量は、100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
無機フィラーは、表面処理されているのが好ましい。かかる表面処理に用いられる表面処理剤としては、多価アルコール(トリメチロールエタン、ペンタエリストール、プロピレングリコール等)、飽和脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸等)、そのエステル、アルカノールアミン、アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、パラフィンワックス、シランカップリング剤、シリコーン、ポリシロキサンが挙げられる。
シランカップリング剤は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン又は3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は1μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.01μm以上がさらに好ましい。
無機フィラーの具体例としては、シリカフィラー(アドマテックス社製の「アドマファイン」シリーズ等)、ジカプリン酸プロピレングリコール等のエステルで表面処理された酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製の「FINEX」シリーズ等)、球状溶融シリカ(デンカ社製の「SFP」シリーズ等)、多価アルコール及び無機物で被覆処理された(石原産業社製の「タイペーク」シリーズ等)、アルキルシランで表面処理されたルチル型酸化チタン(テイカ社製の「JMT」シリーズ等)が挙げられる。
無機フィラーの形状は、粒状、針状(繊維状)、板状のいずれであってもよい。無機フィラーの具体的な形状としては、球状、鱗片状、層状、葉片状、杏仁状、柱状、鶏冠状、等軸状、葉状、雲母状、ブロック状、平板状、楔状、ロゼット状、網目状、角柱状が挙げられる。
また、無機フィラーは中空状であるのが好ましい。中空状の無機フィラーの平均粒子径(D50)は0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。平均粒子径は、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。かかる場合、本組成物から成形される成形物において、無機フィラーが互いに接して充填されやすく、成形物が電気絶縁性に優れやすい。
無機フィラーの比表面積(BET法)は10~250m/gが好ましく、40~100m/gがより好ましい。
中空状の無機フィラーの空孔の平均孔径は10~1000nmが好ましく、50~100nmがより好ましい。上記平均孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)等による直接観測によって複数の空孔(100個)の孔径を求め、その平均値を平均孔径とする。なお、不定形の空孔の場合は空孔の最大径を孔径とする。
中空状の無機フィラーの見かけ比重は、気孔率を充分に高める点から100g/L以下が好ましく、30~60g/Lがより好ましい。中空状の無機フィラーの見かけ比重は、メスシリンダー(容量250mL)に無機フィラーを投入した際の、その質量と容積とから求められる。
中空状の無機フィラーの嵩密度は5g/cm以下が好ましく、1g/cm以下がより好ましい。上記嵩密度の下限は、0.1以上が好ましい。
中空状の無機フィラーとしては、中空シリカフィラーが好ましい。中空シリカフィラーの具体例としては、疎水性AEROSILシリーズ「RX200」(日本アエロジル社製)が挙げられる。
本組成物は、従来提案されているFポリマーのパウダーを含む液状分散液において、分散性を付与する観点で添加される各種の分散剤や界面活性剤、例えば、水酸基又はオキシアルキレン基を親水部位として有し、含フッ素有機基(ペルフルオロアルキル基等)を疎水部位として有するフッ素系界面活性剤をさらに含有していても構わない。
しかしながら、本組成物は、分散媒Aと分散媒Bを特定の質量比(B/A)で含むので、炭化水素系ポリマーが、上述した作用機構に記載した通り、分散剤、増粘剤、チキソ性付与剤として作用して、本組成物におけるFパウダーの分散安定性や液物性を向上させると考えられるため、分散剤や界面活性剤を必ずしも含有させなくともよい。特に、後述する、本組成物から形成されるシート材の粘着性の維持や、シート材の取り扱いの観点からは、本組成物は、Fポリマー以外のフッ素含有化合物を含まないのが好ましい。
本組成物におけるFパウダーの含有量は、本組成物の全体質量に対して、5~40質量%以下が好ましい。
本組成物における炭化水素系ポリマーの含有量は、本組成物の全体質量に対して、5~4質量%以上が好ましい。
本組成物におけるFパウダーの質量に対する、炭化水素系ポリマーの質量の比は、0.5~10が好ましく、1~5がより好ましい。
Fパウダーの含有量、炭化水素系ポリマーの含有量、又は前記比が、かかる範囲にあれば、上述の作用機構により、本組成物が分散安定性に優れやすい。
本組成物の粘度は75~1000mPa・sがより好ましく、100~500mPa・sがさらに好ましい。この場合、分散安定性に優れるほか、その塗工性や異種のポリマーのワニスとの混合性にも優れる。
本組成物のチキソ比は1.0~2.2が好ましく、1.5~2.0がより好ましい。この場合、本組成物の分散安定性に優れるほか塗工性も良好であり、形成される成形物の均質性が向上し易い。また、かかる本組成物は、異種のポリマーのワニスとの混合性がより高まる。
本組成物は、上述した作用機構により、分散安定性、特に長期貯蔵安定性に優れている。本組成物25℃にて30日間静置した場合における、本組成物のチキソ比の変動幅(絶対値)は、3以下が好ましく、1未満が好ましい。
本組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、チキソ性付与剤、消泡剤、シランカップリング剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤を含んでいてもよい。
また、本組成物は、Fポリマー、炭化水素系ポリマー、上述したエポキシ樹脂以外の樹脂材料をさらに含んでいてもよい。
かかる樹脂材料は熱硬化性であっても熱可塑性であってもよく、変性されていてもよく、本組成物に溶解しても溶解しなくてもよい。かかる樹脂材料としては、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、アクリル樹脂、フェノール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、上述した炭化水素系ポリマーとは異なるポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド-シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテルが挙げられる。
本組成物は、Fパウダーと、炭化水素系ポリマーと、分散媒Aと、分散媒Bとを混合して調製できる。混合方法としては、上述の成分を一括添加又は順次添加して混合する方法;Fパウダーと分散媒Aと分散媒Bを混合し、さらに炭化水素系ポリマーを添加する方法;炭化水素系ポリマーと分散媒Aと分散媒Bを混合し、さらにFパウダーを混合する方法;Fパウダーと分散媒A又は分散媒B、炭化水素系ポリマーと分散媒A又は分散媒Bをそれぞれ予め混合し、得られた二種の混合物を更に混合する方法等が挙げられる。
本組成物が、エポキシ樹脂、無機フィラー、界面活性剤等の他の材料を含む場合、他の材料は本組成物を製造するどの段階で添加されてもよいが、Fパウダーと、炭化水素系ポリマーと、分散媒Aと、分散媒Bとを含む混合物に添加されるのが好ましい。この場合、他の材料の混合時にFパウダーの凝集が起こり難く、本組成物が分散安定性に優れやすい。
本組成物を調製する際の混合方法としては、例えば、プロペラブレード、タービンブレード、パドルブレード、シェル状ブレード等のブレード(撹拌翼)を一軸あるいは多軸で備える撹拌装置や、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー又はプラネタリーミキサーによる撹拌;ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル(ガラスビーズ又は酸化ジルコニウムビーズなどの粉砕媒体を用いたビーズミル)、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル又はアジテーターミル等のメディアを使用する分散機による混合;マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザーなどの高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等の、メディアを使用しない分散機を用いた混合が挙げられる。
本組成物の製造方法の好適な態様としては、Fパウダーと、炭化水素系ポリマーと、分散媒A又は分散媒Bとを含有する混合物を混練して混練物を得て、混練物と分散媒A又は分散媒Bをさらに混合する態様が挙げられる。
この態様は、Fパウダーと、炭化水素系ポリマーを高い割合で含む混練物、すなわちマスターバッチを得て、マスターバッチを分散媒にて希釈して、本組成物を得る態様である。この場合、混合時のFパウダーの凝集が起こり難く、また、本組成物を上記の粘度に調整し易い。その結果、本分散液が分散安定性と塗工性に優れやすい。
混練は、上述の混合方法で行うことができ、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー又はプラネタリーミキサーを用いるのが好ましく、プラネタリーミキサーを用いるのがより好ましい。
プラネタリーミキサーは、互いに自転と公転を行う2軸の撹拌羽根を有し、撹拌槽中の混練物を撹拌、混練する構造を有している。そのため、撹拌槽中に撹拌羽根の到達しないデッドスペースが少なく、羽根の負荷を軽減して、高度に混合物を混練できる。つまり、Fパウダーの凝集を抑制しつつ、分散媒でFパウダーを濡らしながら、Fパウダーと炭化水素系ポリマーを高度に相互作用させながら混練できるため、その混合物をさらに分散媒と混合すると分散安定性に優れた本組成物が得られやすい。また、本組成物の粘度を調整し易く、本組成物から表面平滑性と均一性に優れた厚い成形物(ポリマー層等)を形成しやすい。
混合物におけるFパウダーの含有量は、混合物の全体質量に対して、5~60質量%が好ましい。混合物における炭化水素系ポリマーの含有量は、混合物の全体質量に対して、10~60質量%が好ましい。
混合物におけるFパウダーと炭化水素系ポリマーの合計含有量は、混合物の全体質量に対して、40~90質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましい。
混合物中のFパウダーの質量に対する、炭化水素系ポリマーの質量の比は、0.5~10が好ましく、1~5がより好ましい。
Fパウダーの含有量、炭化水素系ポリマーの含有量、又は前記比が、かかる範囲にあれば、混合物の混練において、Fパウダーと炭化水素系ポリマーを高度に相互作用させながら混合できるため、その混練物をさらに分散媒と混合すると分散安定性に優れた本組成物が得られやすい。
混練物は、半固体状あるいは固体状の固練品であり、混練ペースト又は練粉であるのが好ましい。なお、混練ペーストとは流動性と粘性を有する状態にある固練品であり、練粉とは塊状かつ粘土状の状態にある固練品を意味する。
混練ペーストの粘度は、800~100000mPa・sが好ましく、1000~10000mPa・s以上がより好ましい。
練粉は、分散媒Aおよび分散媒Bの含有量が40質量%以下であるのが好ましく、20質量%以下であるのがより好ましい。
また、この態様において、エポキシ樹脂、無機フィラーや界面活性剤等の他の材料を、本組成物にさらに含有させる場合は、これらを混合物に添加してもよく、混練物と分散媒との混合時に添加してもよい。
例えば、エポキシ樹脂、無機フィラーや界面活性剤等の他の材料を含む本組成物は、Fパウダーと、炭化水素系ポリマーと、分散媒Aと、分散媒Bを含有する混合物を混練して混練物を得、混練物と、他の材料と、分散媒Aとを混合して得てもよい。この場合、本組成物の分散安定性と長期保存安定性が向上しやすい。
本組成物は、各種基材の表面に付与すれば、その表面にFポリマー及び炭化水素系ポリマーを含有する樹脂層(以下、「F層」とも記す。)を形成可能なコーティング剤等としても使用できる。例えば、本組成物を用いれば、接着性に優れる接着シート、カバーレイフィルム等に使用されるシート材を容易に製造できる。すなわち、本発明のシート材の製造方法は、本組成物をシート基材の表面に付与して液状被膜を形成し、液状被膜を加熱して、液状被膜から液状分散媒を除去するとともにF層を形成する方法とも言える。
本発明におけるシート材を、F層を基板同士の接着層として使用する接着シートとする場合、上記シート基材を剥離シートで構成できる。
また、シート材を、金属配線を覆うようにF層をプリント配線板に接合するカバーレイフィルムとする場合、上記シート基材を耐熱性樹脂フィルムで構成できる。
耐熱性樹脂フィルムは、耐熱性樹脂の1種以上を含むフィルムであり、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステルが挙げられる。
F層の厚さは0.1~150μmが好ましい。具体的には、シート基材層が金属箔である場合、F層の厚さは1~30μmが好ましい。シート基材層が耐熱性樹脂フィルムである場合、F層の厚さは1~150μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。
本組成物は、シート基材層の一方の表面にのみ付与してもよく、シート基材層の両面に付与してもよい。前者ではシート材として、シート基材層と、シート基材層の片方の表面にF層を有する積層体が得られ、後者ではシート材として、シート基材層と、シート基材層の両方の表面にF層を有する積層体が得られる。後者の積層体は、より反りが発生しにくいため、その加工に際するハンドリング性に優れる。
かかる積層体の具体例としては、金属箔と、その金属箔の少なくとも一方の表面にポリマー層を有する金属張積層体、ポリイミドフィルムと、そのポリイミドフィルムの両方の表面にポリマー層を有する多層フィルムが挙げられる。
なお、金属箔には、2層以上の金属箔を含むキャリア付金属箔を使用してもよい。キャリア付金属箔としては、キャリア銅箔(厚さ:10~35μm)と、剥離層を介してキャリア銅箔上に積層された極薄銅箔(厚さ:2~5μm)とからなるキャリア付銅箔が挙げられる。かかるキャリア付銅箔を使用すれば、MSAP(モディファイドセミアディティブ)プロセスによるファインパターンの形成が可能である。上記剥離層としては、ニッケル又はクロムを含む金属層、又はこの金属層を積層した多層金属層が好ましい。
キャリア付金属箔の具体例としては、福田金属箔粉工業株式会社製の商品名「FUTF-5DAF-2」が挙げられる。
ここで、シート材の最表面(F層の基材層と反対側の表面)は、その低線膨張性や接着性を一層向上させるために、さらに表面処理されてもよい。
表面処理の方法としては、アニール処理、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、エキシマ処理、シランカップリング処理が挙げられる。
アニール処理における条件は、温度を120~180℃とし、圧力を0.005~0.015MPaとし、時間を30~120分間とするのが好ましい。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガス、酢酸ビニルが挙げられる。これらのガスは、1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
積層体の最表面には、さらに他の基板を積層してもよい。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体が挙げられる。
なお、プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、1種以上の耐熱性樹脂を含むフィルムであり、耐熱性樹脂としては上記した樹脂が挙げられる。
積層の方法としては、積層体と他の基板とを熱プレスする方法が挙げられる。
他の基板がプリプレグである場合の熱プレスの条件は、温度を120~400℃とし、雰囲気の圧力を20kPa以下の真空とし、プレス圧力を0.2~10MPaとするのが好ましい。かかる積層体は、電気特性に優れるF層を有するため、プリント基板材料として好適であり、具体的にはフレキシブル金属張積層板やリジッド金属張積層板としてプリント基板の製造に使用でき、特に、フレキシブル金属張積層板としてフレキシブルプリント基板の製造に好適に使用できる。
シート基材層が金属箔である積層体(F層付金属箔)の金属箔をエッチング加工し、伝送回路を形成してプリント基板が得られる。具体的には、金属箔をエッチング処理して所定の伝送回路に加工する方法や、金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、MSAP法等)によって所定の伝送回路に加工する方法によって、プリント基板を製造できる。
F層付金属箔から製造されたプリント基板は、金属箔から形成された伝送回路とF層とをこの順に有する。プリント基板の構成の具体例としては、伝送回路/F層/プリプレグ層、伝送回路/F層/プリプレグ層/F層/伝送回路が挙げられる。
かかるプリント基板の製造においては、伝送回路上に層間絶縁膜を形成してもよく、伝送回路上にソルダーレジストを積層してもよく、伝送回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。これらの層間絶縁膜、ソルダーレジスト及びカバーレイフィルムを、本組成物で形成してもよい。
本組成物をシート基材の表面に付与する方法としては、シート基材の表面に本組成物からなる安定した液状被膜(ウェット膜)が形成される方法であればよく、塗布法、液滴吐出法、浸漬法が挙げられ、塗布法が好ましい。塗布法を用いれば、簡単な設備で効率よく基材の表面に液状被膜を形成できる。
塗布法としては、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法が挙げられる。
加熱の際は、液状被膜を液状分散媒の揮発温度で保持して、液状被膜を乾燥させた後、乾燥被膜を液状分散媒の揮発温度を上回る温度で保持する。このようにして、F層をシート基材の表面に形成する。「液状分散媒の揮発温度」は、液状分散媒の沸点±50℃が好ましく、液状分散媒の沸点以上の温度がより好ましく、液状分散媒の沸点+50℃以下の温度がさらに好ましい。
なお、乾燥時の温度は、通常、乾燥雰囲気の温度を意味する。
乾燥時に、液状分散媒は、必ずしも完全に揮発させる必要はなく、保持後の層形状が安定し、自立膜を維持できる程度まで揮発させればよい。具体的には、揮発させるべき液状分散媒の量は、本組成物中に含まれる液状分散媒のうちの50質量%以上が好ましい。
乾燥は、一定温度にて1段階で行ってもよく、異なる温度にて2段階以上で行ってもよい。乾燥の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。乾燥は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってもよい。また、乾燥雰囲気は、酸化性ガス雰囲気(酸素ガス等)、還元性ガス雰囲気(水素ガス等)、不活性ガス雰囲気(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等)のいずれであってもよい。
乾燥温度は50~280℃が好ましく、120~260℃がより好ましい。乾燥時間は0.1~30分間が好ましく、0.5~20分間がより好ましい。
以上のような条件で液状被膜を乾燥すれば、高い生産性を維持しつつ、F層を好適に固形成できる。
硬化の方法は、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられ、赤外線加熱と熱風加熱とを組み合わせた方法でもよい。なお、形成されるF層の表面の平滑性を高めるために、加熱板、加熱ロール等で乾燥被膜を加圧してもよい。
硬化は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってよい。また、硬化雰囲気は、酸化性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気および不活性ガス雰囲気のいずれであってもよいが、シート基材、形成されるF層それぞれの酸化劣化を抑制する観点から、還元性ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気が好ましい。硬化温度は120℃~200℃が好ましく、140~180℃がより好ましく、140℃~160℃がさらに好ましい。硬化時間は30秒~30分間が好ましく、1~15分間がより好ましい。
かかる条件で乾燥被膜を加熱すれば、シート材の生産性を高めるとともに、Fポリマーの分解によるフッ化水素酸の発生を抑制し易い。
従来のFパウダーを含む液状組成物では、その分散安定性を保持するために分散剤や界面活性剤が通常添加されているため、かかる分散剤や界面活性剤が、F層中に少なからず残留していた。そのため、基板等に対する粘着性の維持や、シート材の取り扱いに問題が生じる場合があった。
本組成物では、分散媒Aと分散媒Bを特定の質量比(B/A)で含むことにより、構成成分である炭化水素系ポリマーが分散剤の役割を果たすので、硬化後にもF層中になお残存していた分散剤や界面活性剤に起因する接着性や電気特性への影響を改善できる。また、さらにF層と他の基材を積層させる際、より低温にて強固に接着させて積層できる。
本組成物を、織布に含浸させ、加熱により乾燥させれば、Fポリマーが織布に含浸された含浸織布が得られる。含浸織布は、織布がF層で被覆された(F層に埋設された)被覆織布とも言える。
織布は、ガラス繊維織布、カーボン繊維織布、アラミド繊維織布または金属繊維織布が好ましく、ガラス繊維織布またはカーボン繊維織布がより好ましい。織布は、F層との密着接着性を高める観点から、シランカップリング剤で処理されていてもよい。
含浸織布における、Fポリマーの総含有量は、30~80質量%が好ましい。本組成物を織布に含浸させる方法は、本組成物に織布を浸漬する方法、本組成物を織布に塗布する方法が挙げられる。
織布の乾燥に際しては、Fポリマーを焼成させてもよい。Fポリマーを焼成させる方法は、織布を300~400℃の雰囲気にある通風乾燥炉に通す方法が挙げられる。
なお、織布の乾燥とポリマーの焼成とは、一段階で実施してもよい。含浸織布は、F層と織布との密着性(接着性)が高い、表面の平滑性が高い、歪が少ない等の特性に優れている。
かかる含浸織布と金属箔とを熱圧着させれば、剥離強度が高く、反りにくい金属張積層体が得られ、プリント基板材料として好適に使用できる。
以上、本発明の液状組成物、液状組成物の製造方法及びシート材の製造方法について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明の液状組成物は、前述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
また、本発明の液状組成物の製造方法及びシート材の製造方法は、上記実施形態の構成において、他の任意の工程を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の工程と置換されていてよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。各成分の詳細を以下に示す。
[Fパウダー]
Fパウダー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含む、酸無水物基を有するポリマー(溶融温度300℃)からなるパウダー(平均粒子径2μm、嵩密度0.18g/m
Fパウダ-2:TFE単位及びNAH単位を、この順に97.5モル%、2.5モル%含む、官能基を有さないポリマー(溶融温度305℃)からなるパウダー(平均粒子径2μm、嵩密度0.19g/m
Fパウダー3:数平均分子量が2万のPTFEからなるパウダー(平均粒子径0.3μm、嵩密度0.2g/m
[炭化水素系ポリマー]
ポリマー1:タフテックMP-10(旭化成株式会社製、アミノ基変性SEBS)
ポリマー2:タフテックM1913(旭化成株式会社製、酸変性SEBS)
ポリマー3:タフテックH1041X(旭化成株式会社製、無変性SEBS)
[溶媒]
Tol:トルエン(Rohrschneiderの極性パラメータ2.4の非極性の液状分散媒)
MEK:メチルエチルケトン(Rohrschneiderの極性パラメータ4.7の極性の液状分散媒)
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂1:EPICLON HP-6000(DIC株式会社製、ナフタレン型エポキシ樹脂)
[フィラー]
フィラー1:シリカフィラー(平均粒子径0.4μm)
[界面活性剤]
界面活性剤1:CH=C(CH)C(O)OCHCH(CFFとCH=C(CH)C(O)(OCHCH23OHとのコポリマーであり、フッ素含有量が35質量%であるノニオン性ポリマー
[例1-1]液状組成物の製造及び評価
(1)まず、ポットに、Fパウダー1とTolとMEKを投入し、ジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットを転がし、組成物を調製した。さらに、ポットにポリマー1を投入し、150rpmにて2時間、ポットを転がし、組成物を調製した。さらに、ポットにエポキシ樹脂1をとフィラー1を投入し、ホモディスパーで20,000rpmの回転数で30秒撹拌し、Fパウダー1(5質量部)、ポリマー1(15質量部)、エポキシ樹脂1(1質量部)、フィラー1(2質量部)、Tol(58質量部)、MEK(19質量部)を含む液状組成物1(粘度:400mPa・s、非極性の液状分散媒の含有量に対する極性の液状分散媒の含有量の質量比:0.33)を得た。
(2)分散安定性として、得られた液状組成物1の調製直後の状態と、容器中に25℃で3時間保管後の状態とを目視にて確認し、下記基準に従って凝集性と沈降性を評価した。
<凝集性の評価基準>
〇:調製直後及び保管後、共に泡立ちが少なく凝集物は見られず、均一分散している
△:調製直後及び保管後、共に一部凝集物が観察される
×:凝集物が多くみられ均一に分散していない
<沈降性の評価基準>
〇:調製直後及び保管後、共に沈降物は生じていない
△:保管後に一部凝集物が生じ容器の壁面に付着しているが、軽く撹拌すると均一に分散する。
×:保管後には凝集物が多量に沈殿している。せん断をかけて撹拌すると均一に再分散する。
[例1-2~例1-9]
各成分の種類及び量、非極性の液状分散媒の含有量に対する極性の液状分散媒の含有量の質量比(極性の液状分散媒と非極性の液状分散媒の比)を表1に示す通りに変更した以外は、例1-1と同様にして液状組成物2~9を得た。
[例1-10]
まず、ポットに、Fパウダー1とポリマー1とTolとMEKを投入して混合し、混合物を調製した。この混合物をプラネタリーミキサー中で混練してから取り出し、Fパウダー1(5質量部)、ポリマー1(15質量部)、Tol(10質量部)、MEK(19質量部)を含む混練ペースト1を得た。混練ペースト1の粘度は、27000mPa・sであった。
混練ペースト1に、エポキシ樹脂1とフィラー1とTolを含む混合物を複数回に分けて添加しつつ、自転公転撹拌機にて2000rpmで脱泡しながら撹拌し、Fパウダー1(5質量部)、ポリマー1(15質量部)、エポキシ樹脂1(1質量部)、フィラー1(2質量部)、Tol(58質量部)、MEK(19質量部)を含む液状組成物10(粘度:300mPa・s、非極性の液状分散媒の含有量に対する極性の液状分散媒の含有量の質量比:0.33)を得た。
また、液状組成物1と液状組成物10を容器中に25℃にて30日間保管し、保管前後におけるチキソ比の変動幅を測定した結果、液状組成物1は、チキソ比の変動幅(絶対値)が1以上3以下であり、液状組成物10は、変動幅が1未満であった。
得られた液状組成物の凝集性と沈降性の評価結果を表1に示す。
Figure 0007615727000001
[例2-1]接着シートの製造及び評価
得られた液状組成物1を離型フィルムにダイコート法により塗工して、液状被膜を形成した。次いで、この液状被膜を120℃にて5分間乾燥炉に通し、加熱し乾燥して、乾燥被膜を得た。その後、乾燥被膜を遠赤外線炉で180℃にて10分間加熱し硬化して、離型フィルム1の表面に、厚さ50μmのF層が形成された積層体1を得、表面平滑性と誘電正接を以下のように評価した。結果を表2に示す。
<表面平滑性の評価と評価基準>
積層体1のF層の表面の平滑性を目視で確認し、下記基準に従って評価した。
〇:F層の表面全体が平滑である。
△:F層の縁が盛り上がっており、中央部が窪んでいる。
×:F層の縁が盛り上がっており、中央部が窪んでおり、ポリマー又は無機フィラーの欠落による凹凸も確認される。
<誘電正接>
得られた積層体1から、長さ10cm、幅5cmの試料を切り出し、離型フィルムを除去して、ポリマー層単体を得た。SPDR(スプリットポスト誘電体共振)法にて、上記ポリマー層の23℃±2℃、50±5%RHの環境下における誘電正接(測定周波数:10GHz)を測定した。
[例2-2~例2-10]
液状組成物2~10を各々用いた以外は例2-1と同様にして積層体2~10を得た。各積層体について表面平滑性の評価を行い、表面平滑性の高かった、積層体1~4、8、9及び10について、さらに誘電正接の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007615727000002
本発明の液状組成物は分散安定性に優れており、フィルム、繊維強化フィルム、プリプレグ、金属積層板(樹脂付金属箔)に容易に加工でき、得られる加工物品は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、すべり軸受け等の材料として使用できる。

Claims (11)

  1. 体積基準累積50%径が0.01μm以上20μm以下のテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、スチレン系ポリマーと、非極性の液状分散媒と、極性の液状分散媒とを含み、前記パウダーの含有量に対する前記スチレン系ポリマーの含有量の質量比が0.5~10であり、前記非極性の液状分散媒の含有量に対する前記極性の液状分散媒の含有量の質量比が0.1以上1以下であり、
    前記非極性の液状分散媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、クメン、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、シメン、ジエチルベンゼン又はナフタレンであり、
    前記極性の液状分散媒が、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はシクロヘプタノンである、
    液状組成物。
  2. 前記スチレン系ポリマーが、スチレン-共役ジエンブロックコポリマーである、請求項1に記載の液状組成物。
  3. 前記スチレン系ポリマーが極性基を有する、請求項1又は2に記載の液状組成物。
  4. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロペンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマー、若しくは数平均分子量が20万以下のポリテトラフルオロエチレンである、請求項1~のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーの含有量が、前記液状組成物の全体質量に対して5質量%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の液状組成物。
  6. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマー以外のフッ素含有化合物を含まない、請求項1~のいずれか1項に記載の液状組成物。
  7. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、前記スチレン系ポリマーと、前記非極性の液状分散媒又は前記極性の液状分散媒とを含有する組成物を混練して混練物を得て、前記混練物と前記非極性の液状分散媒又は前記極性の液状分散媒を混合して前記液状組成物を得る、請求項1~のいずれか1項に記載の液状組成物の製造方法。
  8. 前記混練物が、混練ペースト又は練粉である、請求項に記載の製造方法。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の液状組成物から形成された、シート材。
  10. 基板同士の接着層として使用する接着シートである、請求項に記載のシート材。
  11. 金属配線を覆うように、プリント配線板に接着するカバーレイフィルムである、請求項に記載のシート材。
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