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JP7615966B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description

本願はシリコン系負極活物質を用いた二次電池を開示する。
シリコン系負極活物質を用いた電池が知られている。例えば、特許文献1には、負極活物質として珪素酸化物を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。また、特許文献2には、負極活物質としてシリコンクラスレートIIを用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。
特開2020-113547号公報 特開2021-034279号公報
シリコン系負極活物質を用いた電池は、その耐久性について向上の余地がある。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
二次電池であって、負極と電解液と正極とを有し、
前記負極が負極活物質としてのSi粒子を含み、
前記Si粒子がクラスレート構造を有し、
前記Si粒子が0.7μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有する、
二次電池
を開示する。
本開示の二次電池において、前記クラスレート構造は、ラマン分光法で測定した325±10cm-1における最大ピーク強度I325と、205±10cm-1における最大ピーク強度I205との比I325/I205が1.03以上1.21の範囲内となるものであってもよい。
本開示の二次電池において、前記Si粒子が2.8μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有するものであってもよい。
本開示の二次電池は優れた耐久性を有する。
二次電池の構成を概略的に示している。
本開示の二次電池は、負極と電解液と正極とを有する。ここで、前記負極は負極活物質としてのSi粒子を含み、前記Si粒子はクラスレート構造を有し、前記Si粒子は0.7μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有する。図1に一実施形態に係る二次電池100の構成を概略的に示す。図1に示されるように、二次電池100は、負極10とセパレータ20と正極30とを有する。負極10、セパレータ20及び正極30の各々は、不図示の電解液に接触又は含浸された状態であってよい。
1.負極
負極10は負極活物質としてのSi粒子を含む。図1に示されるように、負極10は、負極活物質層11と負極集電体12とを備えるものであってよく、この場合、負極活物質層11が負極活物質としてのSi粒子を含み得る。
1.1 負極活物質層
負極活物質層11は、負極活物質としてのSi粒子を含み、さらに任意に、導電助剤やバインダー等を含んでいてもよい。負極活物質層11における各成分の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする電池の性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、負極活物質層11全体(固形分全体)を100質量%として、負極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。負極活物質層11の厚みも特に限定されるものではなく、例えば、1μm以上、10μm以上又は30μm以上であってもよく、1mm以下、500μm以下又は100μm以下であってもよい。
1.1.1 負極活物質
負極活物質としてのSi粒子は、クラスレート構造を有する。Si粒子がクラスレート構造を有することで、電池の充放電に伴うSi粒子の膨張・収縮が比較的小さくなり、電池の耐久性能が向上し易い。尚、Si粒子がクラスレート構造を有するか否かについては、ラマンスペクトルなどから容易に判断可能である。本願においては、ラマン分光法で測定した325±10cm-1における最大ピーク強度I325と、205±10cm-1における最大ピーク強度I205との比I325/I205が1.03以上1.21の範囲内である場合に、Si粒子がクラスレート構造を有するものとみなす。
負極活物質としてのSi粒子は、0.7μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有する。Si粒子の平均粒子径が大き過ぎると、電池の充放電後にクラスレート構造が維持され難くなる。これは以下のメカニズムによるものと推定される。すなわち、二次電池においては、電解液と接しているSi表面で反応が急速に進む。Si粒子が大き過ぎると、比表面積が小さくなり、反応の集中度が高まり、クラスレート構造が崩れ易くなるものと考えられる。本発明者の知見によれば、Si粒子の平均粒子径が8.9μm以下であることで、このような問題が回避され易い。Si粒子の平均粒子径の下限は0.7μm以上であり、2.8μm以上であってもよい。尚、Si粒子の平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(メジアン径)である。
負極活物質層11には、負極活物質として上記のSi粒子に加えて、その他の負極活物質が含まれていてもよい。例えば、負極活物質層11には、その他の負極活物質としてクラスレートシリコン以外のSi、Si合金、酸化ケイ素といったシリコン系活物質;グラファイトやハードカーボンなどの炭素系活物質;チタン酸リチウムなどの各種酸化物系活物質;金属リチウムやリチウム合金などから選ばれる少なくとも1種が含まれ得る。
1.1.2 導電助剤
導電助剤としては、気相法炭素繊維(VGCF)やアセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。導電助剤は、例えば、粒子状又は繊維状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。導電助剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
1.1.3 バインダー
バインダーとしては、例えば、ポリイミド(PI)系バインダー、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー等が挙げられる。特に負極活物質層11がバインダーとしてのポリイミドを含む場合に、Si粒子の膨張・収縮が一層抑制され易い。ポリイミドは、ポリアミック酸を加熱してイミド化反応(脱水・環化)を生じさせて得られたものであってよい。ポリアミック酸は芳香族でも脂肪族でもよいが、ポリイミドとなった場合において高強度のバインダーとなり得る観点から特に芳香環を有するものが好ましい。バインダーは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
1.2 負極集電体
負極集電体12は、二次電池の負極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、負極集電体12は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。負極集電体12は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体12は、複数枚の箔やシートからなっていてもよい。負極集電体12を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体12がCu、Ni及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。負極集電体12は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体12は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、負極集電体12が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。負極集電体12の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
2.セパレータ
図1に示されるように、負極10と正極30との間にはセパレータ20が配置されていてもよい。セパレータ20は、負極10と正極30との接触を防止し、後述の電解液を保持して電解質層を形成する機能を有する。セパレータは、二次電池で通常用いられるセパレータであればよく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、及びポリアミド等の樹脂からなるもの等が挙げられる。セパレータは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。複層構造のセパレータとしては、例えばPE/PPの2層構造のセパレータ、又は、PP/PE/PP若しくはPE/PP/PEの3層構造のセパレータ等を挙げることができる。セパレータは、セルロース不織布、樹脂不織布、ガラス繊維不織布といった不織布からなるものであってもよい。セパレータの厚みは特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上1mm以下であってもよい。
3.正極
正極30は正極活物質を含む。図1に示されるように、正極30は、正極活物質層31と正極集電体32とを備えるものであってよく、この場合、正極活物質層31が正極活物質を含み得る。
3.1 正極活物質層
正極活物質層31は、正極活物質を含み、さらに任意に、導電助剤やバインダー等を含んでいてもよい。正極活物質層31における各成分の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする電池の性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、正極活物質層31全体(固形分全体)を100質量%として、正極活物質の含有量が50質量%以上、60質量%以上又は70質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。正極活物質層31の厚みも特に限定されるものではなく、例えば、1μm以上、10μm以上又は30μm以上であってもよく、1mm以下、500μm以下又は100μm以下であってもよい。
3.1.1 正極活物質
正極活物質としては二次電池の正極活物質として公知のものを用いればよい。公知の活物質のうち、所定のイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)が、上記のSi系負極活物質よりも貴な電位を示す物質を正極活物質として用いることができる。例えば、リチウムイオン電池を構成する場合は、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、マンガン酸リチウム、スピネル系リチウム化合物等の各種のリチウム含有複合酸化物を用いてもよい。正極活物質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。正極活物質は、例えば、粒子状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。正極活物質の粒子は、中実の粒子であってもよく、中空の粒子であってもよい。正極活物質の粒子は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。正極活物質の粒子の平均粒子径は、例えば1nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってもよく、また500μm以下、100μm以下、50μm以下、又は30μm以下であってもよい。
3.1.2 導電助剤及びバインダー
導電助剤やバインダーは、負極活物質層11に含まれ得るものとして例示したものの中から適宜選択されたものであってもよい。導電助剤やバインダーは、各々、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
3.2 正極集電体
正極集電体32は、二次電池の正極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、正極集電体32は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。正極集電体32は、金属箔又は金属メッシュによって構成されていてもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体32は、複数枚の箔からなっていてもよい。正極集電体32を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点等から、正極集電体32がAlを含むものであってもよい。正極集電体32は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体32は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、正極集電体32が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体32の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
4.電解液
電解液は、例えば、キャリアイオンとしてリチウムイオンを含み得る。電解液は水系電解液であっても非水系電解液であってもよいが、特に非水系電解液の性能が高い。電解液の組成は二次電池の電解液の組成として公知のものと同様とすればよい。例えば、電解液として、カーボネート系溶媒にリチウム塩を所定濃度で溶解させたものを用いることができる。カーボネート系溶媒としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF等が挙げられる。
5.その他の構成
二次電池100は、上記の各構成が外装体の内部に収容されたものであってもよい。外装体は、電池の外装体として公知のものをいずれも採用可能である。また、複数の二次電池100が、任意に電気的に接続され、また、任意に重ね合わされて、組電池とされていてもよい。この場合、公知の電池ケースの内部に当該組電池が収容されてもよい。二次電池100は、このほか必要な端子等の自明な構成を備えていてよい。二次電池100の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。二次電池100は、上述したように、リチウムイオン二次電池であってもよく、それ以外の二次電池であってもよいが、特にリチウムイオン二次電池である場合に一層高い効果が期待できる。
二次電池100は、公知の方法を応用することで製造することができる。例えば以下のようにして製造することができる。ただし、二次電池100の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
(1)負極活物質層を構成する負極活物質等を溶媒に分散させて負極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。ドクターブレード等を用いて負極層用スラリーを、負極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、当該負極集電体の表面に負極活物質層を形成し、負極とする。
(2)正極活物質層を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。ドクターブレード等を用いて正極層用スラリーを正極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体の表面に正極活物質層を形成し、正極とする。
(3)負極と正極とでセパレータを挟み込み、負極集電体、負極活物質層、セパレータ、正極活物質層及び正極集電体をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。
(4)積層体を電池ケースに収容するとともに電池ケース内に電解液を充填し、積層体を電解液に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体及び電解液を密封することで、二次電池とする。尚、上記(3)の段階で負極活物質層、セパレータ及び正極活物質層に電解液を含ませてもよい。
以下、実施例を示しつつ、本開示の技術についてさらに詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
1.シリコン負極活物質の作製
シリコン負極活物質として、結晶シリコンとクラスレートシリコンとを各々作製した。
1.1 結晶シリコンの作製
Si粒子(高純度化学製、5μm)を、遊星ボールミル(フリッチュ社製クラシックライン)を用いて微粒化し、種々の平均粒子径を有する結晶シリコンの粉末を得た。当該結晶シリコンはクラスレート構造を有しないものであった。
1.2 クラスレートシリコンの作製
Si粒子とNa粒子とをmol比で1:1となるように混合し、700℃で加熱しNaSiを合成した。その後、340℃で加熱することで脱Na化を行った。さらに、430℃で加熱することでさらなる脱Na化を行った後に、遊星ボールミルを用いて微粒化を行い、種々の平均粒子径を有する粉末を得た。得られた粉末は、いずれもクラスレート構造を有するもの(クラスレートシリコン)であった。
2.正極の作製
PP製容器に、溶媒としてのNMPと、PVDF系バインダーの5wt%酪酸ブチル溶液と、正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(平均粒子径6μm)と、導電助剤としてのVGCFとを加え、あわとり練太郎(シンキー社製 ARE-310)で10分間攪拌して正極スラリーを得た。アプリケーターを使用してブレード法にて正極スラリーをAl箔(昭和電工社製)上に塗工した。塗工した電極は、80℃のホットプレート上で60分間乾燥させた。
3.負極の作製
PP製容器に、溶媒としてのNMPと、バインダーとしてのポリイミドとなるポリアミック酸(UワニスA、宇部興産社製)と、負極活物質としてのシリコン活物質と、導電助剤としてのVGCF及びKBとを加え、あわとり練太郎 (シンキー社製 ARE-310)で10分間攪拌して負極スラリーを得た。アプリケーターを使用してブレード法にてCu箔(古河電工社製)上に塗工した。塗工した電極は、80℃のホットプレート上で60分間乾燥させた。
4.電池の作製
作製した正極をφ14mmで打ち抜く一方、負極をφ16mmで打ち抜いた後、ロールプレス機にセットし、20kN/cmでプレスを行った。その後、負極についてはAr雰囲気下で350℃、2hで焼成を行い、上記ポリアミック酸のイミド化反応を生じさせた。各々の電極をグローブボックスに移動させて、負極の活物質層の上に電解液(1.2M LiPF溶液。溶媒はFEC:EC:EMC:DMC=1:2:4:3vol%)を1ml滴下し、セパレータ(PP製)を積層して、再度電解液を1ml滴下したのち、正極を積層して、自動コインセルカシメ機(宝泉社製)を用いてコインセルを作製した。
4.1 比較例1
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレート構造を有しない結晶シリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は2.6μmであった。
4.2 比較例2
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレート構造を有しない結晶シリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は0.7μmであった。
4.3 比較例3
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は25.0μmであった。
4.4 比較例4
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は11.9μmであった。
4.5 実施例1
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は2.8μmであった。
4.6 実施例2
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は4.6μmであった。
4.7 実施例3
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は0.7μmであった。
4.8 実施例4
コインセルにおいて、シリコン負極活物質としてクラスレートシリコンを用いた。シリコン負極活物質の平均粒子径は8.9μmであった。
5.充放電サイクル試験
作製したコインセルを、0.2mAで4.2Vまで定電流充電した後に、0.2mAで2.5Vまで放電した際の電池容量を初期容量として、2mAで4.2Vまで定電流充電した後に2mAで定電流放電を行う充放電試験を50回繰り返した。その後、0.2mAで4.2Vまで定電流充電した後に、0.2mAで2.5Vまで放電した際の電池容量を測定し、初期容量に対する比率を算出することで、50cyc後の耐久性能を確認した。比較例1の耐久性能を基準(100%)として、比較例2~4及び実施例1~4の耐久性能を相対化して評価した。
また、初回充放電後の負極を取り出して、ラマン分光法による測定(波長532nm)を実施した。得られたラマンスペクトルを解析し、325±10cm-1における最大ピーク強度I325と205±10cm-1における最大ピーク強度I205との比I325/I205を算出した。当該比I325/I205が1.03以上1.21の範囲内である場合に、Si粒子がクラスレート構造を有するものいえる。
6.評価結果
下記表1に評価結果を示す。
Figure 0007615966000001
表1に示される結果から以下のことが分かる。まず、比較例1、2と実施例1~4との比較から、負極活物質としてクラスレート構造を有しない結晶シリコンを用いる場合よりも、クラスレートシリコンを用いる場合のほうが、二次電池の耐久性が高くなることが分かる。これは、クラスレートシリコンが結晶シリコンに比べて電池の充放電に伴う膨張・収縮が小さいことに起因するものと考えられる。
また、比較例3、4と実施例1~4との比較から、負極活物質としてクラスレートシリコンを用いたとしても、その粒子径が大き過ぎると、二次電池の耐久性が低下することが分かる。これは以下のメカニズムによるものと推定される。すなわち、二次電池においては、電解液と接しているSi表面で反応が急速に進む。Si粒子が大き過ぎると、比表面積が小さくなり、反応の集中度が高まり、クラスレート構造が崩れ易くなるものと考えられる。すなわち、比較例3、4については、仮に初回充放電後にクラスレート構造を維持していたとしても、充放電を繰り返すことで、クラスレート構造が徐々に崩れ、最終的に負極の容量が大きく低下したものと考えられる。
尚、上記実施例では、特定の正極や電解液を用いた例を示したが、本開示の技術において正極や電解液の種類に特に制限はない。また、上記実施例では、負極において特定の集電体やバインダーや導電助剤を用いた形態を示したが、本開示の技術において、負極における負極活物質以外の構成に特に制限はない。上記の推定メカニズムからすれば、いかなる構成においても、特定の負極活物質が用いられることで、二次電池としての耐久性が向上するものと考えられる。
以上の結果から、以下の構成(1)~(4)を備える二次電池は、優れた耐久性を有するものといえる。
(1)負極と電解液と正極とを有する、いわゆる電解液系の電池であること。
(2)負極が負極活物質としてのSi粒子を含むこと。
(3)Si粒子がクラスレート構造を有すること。
(4)Si粒子が0.7μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有すること。
10 負極
11 負極活物質層
12 負極集電体
20 セパレータ
30 正極
31 正極活物質層
32 正極集電体
100 二次電池

Claims (2)

  1. 二次電池であって、負極と電解液と正極とを有し、
    前記負極が負極活物質としてのSi粒子を含み、
    前記Si粒子がクラスレート構造を有し、
    前記Si粒子が2.8μm以上8.9μm以下の平均粒子径を有する、
    二次電池。
  2. 前記クラスレート構造は、ラマン分光法で測定した325±10cm-1における最大ピーク強度I325と、205±10cm-1における最大ピーク強度I205との比I325/I205が1.03以上1.21の範囲内となるものである、
    請求項1に記載の二次電池。
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