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JP7616076B2 - プリプレグ、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
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プリプレグ、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プリプレグ、繊維強化複合材料、繊維強化複合材料の製造方法に関する。
本願は、2019年12月27日に、日本に出願された特願2019-237641号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
繊維強化複合材料は、軽量であり、高強度かつ高剛性であることから、スポーツ分野、レジャー分野、自動車分野、航空機分野、その他の一般産業分野等に幅広く用いられている。最近では、自動車分野、航空機分野等において、特に軽量であり、高強度かつ高剛性である繊維強化複合材料が用いられている。
繊維強化複合材料は、強化繊維及びマトリックス樹脂を構成要素とする材料である。繊維強化複合材料は、強化繊維における繊維軸方向に沿うようにして加えられる応力に対する強度及び弾性率が極めて高い一方で、繊維軸方向に対して垂直に加えられる応力に対する強度及び弾性率が低い、異方性材料である。
繊維強化複合材料は、例えば、強化繊維基材に、未硬化の熱硬化性樹脂組成物を含浸させたプリプレグを積層して成形し、熱硬化性樹脂組成物を加熱して硬化させることにより製造される。繊維強化複合材料の製造においては、強化繊維の織物を強化繊維基材としたプリプレグを用いたり、一方向に配列した強化繊維を強化繊維基材とした複数のプリプレグを繊維軸方向が異なる方向になるように配置して積層したりすることによって、繊維強化複合材料における各方向に対する物性の制御が行われる。
しかしながら、複数のプリプレグを積層して製造された繊維強化複合材料においては、積層されたプリプレグの表面近傍において、主にマトリックス樹脂を含む層間領域における強化繊維の割合が少なく、かつ層間領域の両側における強化繊維の配向が互いに異なる場合がある。このため、外部から衝撃が加わった際、繊維強化複合材料の層間領域に特に応力が集中する。この層間領域の破壊は、繊維強化複合材料の全体破壊の起点となり得る。
したがって、たとえ強化繊維の強度を向上させても層間領域の破壊を抑制しない限り、特に外部からの衝撃耐性のような動的な機械強度は抜本的に改良できない。かかる問題を解決するため、層間に熱可塑性樹脂をはじめとした各種の粒子を偏在化する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、プリプレグの表層にコア/シェルラバーの粒子を配置させたプリプレグが開示されている。コア/シェルラバーとして、コアに柔らかいゴムを用い、シェルに硬い樹脂を用いることでエポキシ樹脂への溶解を防止できる。このコア/シェルラバーの使用により、硬化条件の違いによる層間モルフォロジーの形成度合いの違い及びこれに起因する衝撃耐性度合いの振れを防止できる。
また、特許文献2には、プリプレグの表層に粒子単体のガラス転移温度が80℃以上の粒径の異なる2種の粒子を配置させたプリプレグが開示されている。
特開平9-25393号公報 特開2014-145003号公報
層間補強粒子用いた積層体について、特許文献1の実施例で使用されているような弾性率の高い樹脂をコア/シェル構造粒子のシェルとして用いる場合、及び特許文献2の実施例で使用されているようなガラス転移温度が高温である粒子を用いる場合には、点衝撃に対する耐性が充分でない場合がある。つまり、補強粒子が衝撃エネルギーを吸収せず、積層体中の特に脆弱なマトリックス樹脂と粒子との界面をクラックが繊維方向にも広く伝播し、粒子とマトリックスの界面が全て分断され、粒子が剥落してしまい、耐衝撃性は寧ろ悪化する場合がある。
本発明は、点衝撃時の層間の剥離が抑制された繊維強化複合材料が得られるプリプレグ;点衝撃時の耐性に優れる繊維強化複合材料;及びその製造方法を提供する。
本発明の一実施形態は、下記[1]~[20]に関する。
[1] プリプレグであって、前記プリプレグを下記硬化条件で硬化させて得られる硬化物の下記試験1により測定される損傷部の投影面積が、400mm以下であり、前記硬化物の下記試験2により測定されるtanδの最大値が、100℃以上で観測される、プリプレグ。
硬化条件:「+45/0/-45/90」4sの構成で前記プリプレグを積層し、オートクレーブを用いて0.6MPa、150℃にて30分硬化する。
試験1:前記硬化物からなるパネルを置き、半径8mmの半球が先端に設けられた鉄製インパクターを26Jの位置エネルギーで前記パネルの中央に落下させ、落下により形成される前記パネル上の損傷部を、透過型超音波探傷装置を用いて22dBの音圧で検知し、検知された損傷部面積を測定し、損傷部の投影面積とする。
試験2:動的粘弾性測定装置を用いて、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃の条件で貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定し、貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E’’の比(E’’/E’)をtanδとする。
[2] 下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C)を含む、[1]に記載のプリプレグ。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C):粒子
[3] 前記構成要素(C)が、プリプレグの最表面に存在する、[2]に記載のプリプレグ。
[4] 前記構成要素(C)が、熱可塑性樹脂粒子である、[2]又は[3]に記載のプリプレグ。
[5] 前記構成要素(C)が、ポリアクリル酸エステルを含む粒子である、[2]~[4]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[6] 前記構成要素(C)が、ポリアクリル酸エステルの架橋体粒子である、[2]~[5]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[7] 前記構成要素(C)の粒子の粒度分布の中央値(D50)が、12μm以上21μm以下である、[2]~[6]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[8] 前記構成要素(B)が、ジシアンジアミドを含む、[2]~[7]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[9] 前記構成要素(B)が、エポキシ樹脂を含み、前記エポキシ樹脂の硬化物のガラス転移温度が、-20℃以下である、[2]~[8]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[10] 前記構成要素(A)が炭素繊維基材である、[2]~[9]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[11] [1]~[10]のいずれか一項に記載のプリプレグを少なくとも1枚とプリプレグとを積層した繊維強化複合材料。
[12] 下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C2)を含み、前記構成要素(C2)が、プリプレグの最表面に存在する、プリプレグ。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C2):下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下の重合体
構成要素(C2)のガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
[13] 前記構成要素(C2)が、ポリアクリル酸エステルを含む、[12]に記載のプリプレグ。
[14] 前記構成要素(C2)が粒子であり、前記粒子が、プリプレグの最表面に偏在している、[12]又は[13]に記載のプリプレグ。
[15] 前記構成要素(C2)が、架橋体粒子である、[12]~[14]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[16] 前記構成要素(A)が、炭素繊維基材である、[12]~[15]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[17] 管状体用である、[12]~[16]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[18] [12]~[16]のいずれか一項に記載のプリプレグを硬化して得られた管状体。
[19] 下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C2)を含むプリプレグを100℃以上150℃以下で加熱成形することを含む、繊維強化複合材料の製造方法。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂
構成要素(C2):下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下の重合体
構成要素(C2)のガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
[20] 前記プリプレグの成形方法が、内圧成形、オートクレーブ成形、又はプレス成形である、[19]に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
本発明によれば、繊維強化複合材料として充分な耐熱性を有しつつ、衝撃時の耐久性にも優れた新規な繊維強化複合材料、当該繊維強化複合材料を製造するためのプリプレグ及び繊維強化複合材料を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係るプリプレグ、繊維強化複合材料、及びその製造方法についてより詳細に説明する。
以下の用語の定義は、本明細書及び請求の範囲にわたって適用される。
「繊維強化複合材料」は、プリプレグを積層したのち加熱等により樹脂成分を反応硬化又は固化させたものを意味する。
「エポキシ樹脂」とは、分子内にグリシジル基を有する化合物、グリシジル基を有する樹脂を意味する。
「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度以上又は融点以上において軟化する樹脂を意味する。
「ガラス転移温度」とは、ASTM D7028に準拠し、曲げモードDMAによって求めた貯蔵弾性率E’のonset値である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<プリプレグ>
一実施形態に係るプリプレグにおいて、プリプレグを下記硬化条件で硬化させた硬化物の下記試験1により測定される損傷部の投影面積は400mm以下であり、前記硬化物の下記試験2により測定したtanδの最大値が100℃以上で観測される。
硬化条件:「+45/0/-45/90」4sの構成で前記プリプレグを積層し、オートクレーブを用い0.6MPa、150℃にて30分硬化する。
試験1:前記硬化条件の下で得られた硬化物からなるパネルを置き、半径8mmの半球が先端に設けられた鉄製インパクターを26Jの位置エネルギーで前記パネルの中央に落下させ、落下により形成される前記パネル上の損傷部を、透過型超音波探傷装置を用いて22dBの音圧で検知し、検知された損傷部面積を測定し、損傷部の投影面積とする。
試験2:動的粘弾性測定装置を用いて、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃の条件で貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定する。貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比(E’’/E’=tanδ)が最大になる温度を観測する。
プリプレグは、点衝撃時の耐性の観点から、下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C)を含むことが好ましい。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C):粒子
一実施形態に係るプリプレグにおいて、プリプレグは下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C2)を含み、構成要素(C2)がプリプレグの最表面に存在する。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C2):下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下の重合体
ガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
試験1によって求められる損傷部位の投影面積Sは、400mm以下である。移動体の構造部材として使用可能な観点から、投影面積Sは350mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましい。移動体の構造部材に必要な剛性を保持する観点から、投影面積Sは20mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましい。
この投影面積Sの値は、構成要素(C)又は構成要素(C2)の衝撃耐性の指標であるとも言える。投影面積Sが小さい場合には、繊維強化複合材料に物体が衝突した際に、物体の運動エネルギーが繊維強化複合材料中で、粒子の変形エネルギーに変換され、再度復元エネルギーに戻りやすくなる。例えば、バット、ラケット等にプリプレグから得られる繊維強化複合材料を用いると、打球の飛距離の向上、軟らかい打感の実現に寄与すると考えられる。
構成要素(C)、構成要素(C2)としては、Tg(ガラス転移温度)が低くかつ弾性率が低い粒子、例えばポリアクリル酸エステルの架橋体、異種ポリアミドのブロック共重合体を用いることが好ましい。
また、クラックの界面伝播を抑制する観点で親水性表面処理したポリアミドを用いることもできる。構成要素(C)を用いる場合には、Tgが低くかつ弾性率が低い粒子、又は親水性表面処理したポリアミドとしつつ、構成要素(B)にゴム弾性を示す成分をもつエポキシ樹脂を添加することでSの値を小さくすることができる。
構成要素(A)に構成要素(B)、及び構成要素(C)又は構成要素(C2)を含浸させる際、(A)によって構成要素(C)又は構成要素(C2)が濾別され、構成要素(C)又は構成要素(C2)がプリプレグ表面に偏在化させることができる。複数枚のプリプレグを積層し硬化し、繊維方向に対して垂直な面を研磨した後、顕微鏡で観察し、プリプレグ同士の層間に粒子、粒子の融着物が確認できれば、構成要素(C)又は構成要素(C2)がプリプレグの表面に存在するということが言える。構成要素(C)又は構成要素(C2)が構成要素(A)の表面に偏在化され、構成要素(A)に構成要素(B)及び構成要素(C)又は構成要素(C2)の一部が含浸されたプリプレグ同士を積層した積層体を成形することによって、構成要素(C)又は構成要素(C2)がプリプレグ層と層の間に偏在化した繊維強化複合材料が得られる。
その結果、繊維強化複合材料に優れた点衝撃時の耐性を付与することができる。例えばスポーツ用途で用いられる道具の反発係数が向上するため、繊維強化複合材料を管状体として用いることが特に好ましい。
(硬化条件)
プリプレグを350mm×350mmに切り出し、「+45/0/-45/90」4sの構成で積層し、4~6mm厚のプリプレグ積層体を作製する。前記プリプレグ積層体にナイロンフィルムを被せて真空バッグ処理を行い、次いでオートクレーブを用いて室温から4℃/分の昇温速度で150℃まで加熱し、150℃の状態を20分間維持する。その後、プリプレグ積層体をオートクレーブ内で50℃以下となるまで徐冷することにより、プリプレグの硬化物からなる評価用成形板を作製する。加熱開始から加熱終了までの間、オートクレーブ内の圧力は0.6MPaとする。
(試験1)
評価用成形板から150mm×100mmの試験片を切り出し、試験片の面に対角線を引く。計装化インパクト試験機内、インパクター直下に試験片に引いた対角線の交点が来るよう静地する。半径8mmの半球が先端に設けられた鉄製インパクターを26Jの位置エネルギーとなるように設定して当該試験片中央に鉄製インパクターを落下させる。試験片を水槽内に静置し、試験面に音圧22dBの超音波を照射し、透過法により損傷した部位を探傷する。損傷部位を投影し、その面積を測定し、損傷部の投影面積Sとする。
(tanδ)
前記硬化条件で硬化したプリプレグの硬化物について、下記試験2により測定したtanδの最大値が100℃以上で観測される。移動体の構造部材として使用可能である観点から、tanδの最大値が観測される温度は、110℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。耐熱性と耐衝撃性との両立の観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。
(試験2)
動的粘弾性測定装置を用いて、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃の条件で貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定する。貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比(E’’/E’=tanδ)が最大になる温度を観測する。
硬化物のtanδを測定する際にtanδのピークが複数観測された場合、tanδの値が大きい方のピークの温度をtanδの最大値の観測温度として特定する。同じ値のピークが複数観測された場合、低温側のピークの温度をtanδの最大値の観測温度として特定する。
プリプレグの硬化物のガラス転移温度は、90℃以上であることが好ましい。移動体の構造部材として使用可能である観点からは、100℃以上がより好ましく、110℃以上がさらに好ましい。耐衝撃性との両立の観点から、190℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
プリプレグの硬化物のガラス転移温度は、ASTM D7028に準拠し、曲げモードDMAによって求めた貯蔵弾性率E’のonset値とすることができる。
(構成要素(A))
構成要素(A)は、強化繊維基材であり、強化繊維基材は、強化繊維が単一方向に配列したものであってもよく、ランダム方向に配列したものであってもよい。
構成要素(A)の形態としては強化繊維の織物、不織布、強化繊維の長繊維が一方向に引き揃えられたシート等が挙げられる。
構成要素(A)は、比強度、比弾性率が高い繊維強化複合材料を成形することができるという観点からは、長繊維が単一方向に引き揃えられた強化繊維の束からなるシートであることが好ましく、取り扱いが容易であるという観点からは、強化繊維の織物であることが好ましい。
強化繊維は、長繊維であってもよく、長繊維はストランド状であってもよい。また、強化繊維は、粉砕されていてもよく(ミルド強化繊維)、長繊維、又はそのストランドが切断されたものであってもよい(チョップド強化繊維)。
強化繊維の材質としては、ガラス繊維、炭素繊維(黒鉛繊維を包含する)、アラミド繊維、ボロン繊維等が挙げられる。強化繊維基材は、繊維強化複合材料の機械的物性及び軽量化の観点から、炭素繊維基材が好ましい。
炭素繊維のJIS(日本工業規格)R 7601に準拠した引張強度は、3500MPa以上であることが好ましく、4000MPa以上であることがより好ましく、4500MPa以上であることがさらに好ましい。
例えば、航空機の構造材としては、当該繊維強化複合材料に用いられる炭素繊維は、引張強度が高いものであることが好ましく、炭素繊維のJIS R 7601に準拠した引張強度は、4500MPa以上であることが好ましく、5000MPa以上であることがより好ましく、5500MPa以上であることがさらに好ましい。
炭素繊維の繊維径は、4μm以上であることが好ましく、5μm以上がより好ましい。また、炭素繊維の繊維径は、10μm以下であることが好ましく、8μm以下がより好ましい。炭素繊維の繊維径が4μm以上であれば、炭素繊維を加工するための、例えば、コーム、ロール等のプロセスにおいて、炭素繊維が横移動して炭素繊維同士が擦れたり、炭素繊維とロール表面等とが擦れたりするときに、炭素繊維が切断したり、毛羽だまりが生じたりしにくい。このため、安定した強度の繊維強化複合材料を好適に製造することができる。また、炭素繊維の繊維径が10μm以下であれば、通常の方法で炭素繊維を製造することができる。炭素繊維束における炭素繊維の本数は、1,000~60,000本であることが好ましい。
(構成要素(B))
構成要素(B)は、エポキシ樹脂組成物である。繊維強化複合材料におけるマトリックスを構成する樹脂及び硬化剤含むことが好ましい。前記エポキシ樹脂組成物は、マトリックスを構成する樹脂としてエポキシ樹脂を含み、硬化剤としてジシアンジアミド及び/又は尿素化合物を含むことが好ましい。構成要素(B)は、エポキシ樹脂及び硬化剤以外のその他の成分をさらに含んでいてもよい。
エポキシ樹脂としては、任意のエポキシ樹脂を使用可能である。例えば、エポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノキシエタノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が好ましい。液状及び固形のエポキシ樹脂を併用することもできる。構成要素(B)の硬化物の靱性を高める観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂とは、25℃で液状のエポキシ樹脂である。液状エポキシ樹脂は主に、熱可塑性樹脂の溶解性の向上、エポキシ樹脂組成物の硬化物の強度、弾性率、耐熱性の向上に寄与する。ここで「液状」とは、エポキシ樹脂が流動性を示すことを示す。
25℃で液状のエポキシ樹脂の粘度は、25℃において500Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以下であることがより好ましい。また、0.1Pa・s以上であることが好ましい。
25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱ケミカルのjER(登録商標)828、ダウケミカルのD.E.R.331、日鉄ケミカル&マテリアルのエポトートYD-128、DIC製のEPICLON 850等が挙げられる。
25℃で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱ケミカルのjER(登録商標)1001、jER(登録商標)1002、jER(登録商標)1003、jER(登録商標)1004、日鉄ケミカル&マテリアルのエポトートYD-903、DICのEPICLON 1050、EPICLON 2050、EPICLON 3050、EPICLON 4050等が挙げられる。
構成要素(B)は、衝撃耐性をさらに高める目的で、オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、ゴム弾性を示す骨格を主鎖に含むエポキシ樹脂を含むことが好ましい。ゴム弾性を示す骨格を主鎖に含むエポキシ樹脂としては、エーテル結合を有し、かつ、アルキレン構造を含有するエポキシ樹脂が好ましく、市販品としては、例えば三菱ケミカルのYX7400が挙げられる。オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、DICのEPICLON TSR-400、日鉄ケミカル&マテリアルのエポトートYD-952、ダウケミカルのD.E.R.858、旭化成イーマテリアルズのLSA3301等が挙げられる。オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂、またはゴム弾性を示す骨格を主鎖に含むエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して1質量%以上40質量%以下が好ましい。
構成要素(B)中のエポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。充分な耐衝撃性を付与する観点からは、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
硬化剤は特に限定されない。例えば、ジシアンジアミド、尿素化合物類、イミダゾール類、芳香族アミン類、その他アミン系硬化剤、酸無水物、塩化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。中でも、ジシアンジアミド、尿素化合物類、イミダゾール類及び芳香族アミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の硬化剤が好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は、ジシアンジアミド、尿素化合物類が好ましい。ジシアンジアミドと尿素化合物類とを併用することによって、150℃以下の低温でも構成要素(B)を硬化させることができる。
ジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して、3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。また、構成要素(B)中のジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。ジシアンジアミドの含有量が3質量%以上であれば、エポキシ樹脂を充分に硬化することができ、より高い耐熱性の硬化物を得ることができる。ジシアンジアミドの含有量が10質量%以下であれば、過剰なジシアンジアミドに起因する応力集中及び吸湿を抑制することができ、より靭性が高く、吸湿量が少ない硬化物を得ることができる。
ジシアンジアミドの市販品としては、三菱ケミカル社のDICY7、DICY15、アルツケム社のDyhard(登録商標)100s、エアープロダクツ社のDICYANEX1400F等が挙げられる。
尿素化合物類は、エポキシ樹脂とジシアンジアミドとの反応促進に寄与する。尿素化合物としては、エポキシ樹脂組成物の保存安定性の向上、硬化物の耐熱性の向上の観点から、芳香族尿素化合物が好ましい。芳香族尿素化合物としては、N,N-ジメチル-N’-(3,4-ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3-フェニル-1,1-ジメチルウレア等が挙げられる。
芳香族尿素化合物の市販品としては、保土谷化学工業株式会社のDCMU99、ピイ・ティ・アイ・ジャパン社のオミキュア(登録商標)24、オミキュア(登録商標)52、オミキュア(登録商標)94等が挙げられる。尿素化合物の含有量はエポキシ樹脂組成物100質量%に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、尿素化合物の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量%に対して7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
(その他の成分)
構成要素(B)がさらに含んでもよい他の成分としては、任意の各種添加剤が挙げられる。添加剤としては、粒子の場合は構成要素(C)又は構成要素(C2)とは異なるものであって、熱可塑性樹脂、エラストマー微粒子、コアシェル型エラストマー微粒子、希釈剤、無機粒子(シリカ等)、炭素質成分(カーボンナノチューブ等)、難燃剤(リン化合物等)、脱泡剤等が挙げられる。添加剤としては、構成要素(B)の硬化物の耐熱性を低下させることなく靱性を向上させるという観点、及びエポキシ樹脂組成物の粘度調整及び成形時のプリプレグからエポキシ樹脂組成物が多量に流れ出ることを抑制できるという観点から、熱可塑性樹脂、又はコアシェル型エラストマー微粒子の何れかであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂、アクリル系ブロック共重合体等が挙げられる。
ポリエーテルスルホンの市販品としては、例えば、BASFのULTRASON(登録商標)E2020 P SR MICRO、住友化学のスミカエクセル PES 5003P、SolvayのVirantage(登録商標)VW-10200RP、VW-10700RPが挙げられる。
ポリビニルホルマールの市販品としては、例えば、JNCのビニレックが挙げられる。
フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアルのフェノトート、InChemのPKHB、PKHC、PKHH等が挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体の市販品としては、例えば、アルケマのNANOSTRENGTH(登録商標)M52N、M22等のNANOSTRENGTH(登録商標)シリーズが挙げられる。
構成要素(C)はエポキシ樹脂組成物中で粒子として形状を有するのに対し、その他の成分としてのこれらの熱可塑性樹脂(構成要素(C)を除く。)は、エポキシ樹脂組成物中でエポキシ樹脂へ溶解され、均一な状態となることが好ましい。
(構成要素(B)の調製方法)
構成要素(B)は、様々な任意の方法で調製することができる。構成要素(B)の調製方法としては、例えば、エポキシ樹脂組成物の各成分をプラネタリミキサ、ニーダー等にて加熱、混練する方法が挙げられる。
硬化剤としてのジシアンジアミド、芳香族尿素化合物等は、粒子状の成分であり、凝集して分散不良となる可能性がある。このため、粒子状の成分を液状のエポキシ樹脂に予備混練してマスターバッチ化することが好ましい。予備混練には、三本ロールミル、ボールミル等の混練装置を用いることが好ましい。
例えば粒子状の硬化剤をあらかじめマスターバッチ化することによって、硬化剤の分散不良による構成要素(B)の硬化物における物性ムラ、硬化不良、構成要素(B)の構成要素(A)への含浸不良を抑えることができる。固形分の分散均一性に起因する破壊起点を減らす観点から、構成要素(C)又は構成要素(C2)の含有量に対する硬化剤の含有量の質量割合(硬化剤/構成要素(C)又は構成要素(C2))は、0.1以上が好ましく、0.25以上がより好ましい。また、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。
(構成要素(C)、構成要素(C2))
構成要素(C)は、粒子である。粒子としては、無機粒子、又は有機粒子を用いることができる。粒子の形状は特に限定されず、球形でもよく、回転楕円体でもよく、三角柱でもよく、直方体でもよく、円錐等でもよい。
無機粒子としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、金属酸化物、金属水酸化物が挙げられる。有機粒子としては、例えば、熱可塑樹脂粒子、熱硬化樹脂粒子を用いることができる。
構成要素(C2)は、上記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下の重合体である。靭性の観点から、構成要素(C2)は粒子であることが好ましい。構成要素(C)及び構成要素(C2)は熱可塑樹脂粒子であることが好ましい。繊維強化複合材料とした際の衝撃耐性の観点から、構成要素(C)又は構成要素(C2)の全量のうち、60質量%以上がプリプレグの表面に存在することが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。構成要素(C)又は構成要素(C2)の中には、構成要素(A)で構成されている層中に入っていくものもある。このため、プリプレグの表面に存在する構成要素(C)又は構成要素(C2)は、構成要素(C)又は構成要素(C2)の全量のうち100質量%以下である。
熱可塑樹脂粒子としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、アクリル系ブロック共重合体等が挙げられる。中でも、衝撃耐性に優れる観点から、ポリアクリル酸エステルが好ましい。
ポリアクリル酸エステルの種類としては、例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸ペンチル、ポリアクリル酸ヘキシル等が挙げられる。ポリアクリル酸エステルの市販品としては、例えば、ARX15、ARX30、ABX8、ABX20、AFX8、AFX15、AFX30(積水化成品工業社製)が挙げられる。中でも、点衝撃時の耐性、耐溶剤性の観点から、ポリアクリル酸エステルの架橋体が好ましい。架橋体とは、側鎖のエステル構造部位同士が化学的に結合しているものであり、加熱したときにガラス転移温度を超えてゴム状態を経た後に流動化が起こらないものである。
(構成要素(C)、構成要素(C2)のガラス転移温度)
構成要素(C)、構成要素(C2)のガラス転移温度は、0℃以下が好ましく、-10℃以下がより好ましく、-20℃以下がさらに好ましい。構成要素(C)又は構成要素(C2)は、繊維強化複合材料の使用温度領域(例えば、-15℃~40℃の範囲で用途に応じて決定される)においてゴム状態であることが好ましい。室温で固形の粒子として存在することが可能となるという観点から、-80℃以上が好ましい。ガラス転移温度が10℃以下であると、通常の使用環境内で弾性率の大幅な変化が生じず、使用環境によって衝撃耐性が変化することが少ない。また、ガラス転移温度が40℃以上となると、通常の使用環境内で粒子はガラス状態となる。
プリプレグ中の構成要素(C)又は構成要素(C2)を特定する場合には、100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンしJISK7121に準拠してガラス転移点を決定することが好ましい。
(粒子の粒径分布)
構成要素(C)又は構成要素(C2)の粒径分布は、D25が7~15μm、中央値(D50)が12~21μm、D75が15~23μmであることが好ましい。構成要素(C)又は構成要素(C2)のD25が7~15μmの範囲にあれば、プリプレグ、繊維強化複合材料を製造するときに、構成要素(C)が構成要素(A)に入り込みにくくすることができる。そのため、高い頻度で構成要素(A)の層間に構成要素(C)又は構成要素(C2)を存在させることができる。その結果として繊維強化複合材料に優れた衝撃耐性を付与できる。構成要素(C)又は構成要素(C2)のD75が15~23μmの範囲にあれば繊維強化複合材料の機械特性の低下を抑えることができる。さらに、プリプレグの製造において、構成要素(B)と構成要素(C)又は構成要素(C2)との混合物を離型紙の表面に均一な厚さで塗工するときに、ロールコーター、ダイコーター等の設備で目詰まりを起こすことを抑制することができる。中央値(D50)及び最頻値が12~21μmであれば、衝撃により発生するエネルギーを受け止め、粒子自身が破壊されることによるクラックの拡がり阻止効果を高くすることができる。
構成要素(C)又は構成要素(C2)の粒径分布は、例えば、レーザー回折/散乱法により取得できる。
プリプレグの繊維目付(1mあたりの強化繊維の含有量:FAW)は、プリプレグの用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、50~250g/mである。
プリプレグにおけるマトリックス樹脂の含有量は、構成要素(B)の含有量と、構成要素(C)又は構成要素(C2)の含有量との合計とする。プリプレグにおけるマトリックス樹脂の含有量は、プリプレグ100質量%に対して、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、また、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。プリプレグにおけるマトリックス樹脂の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、衝撃耐性を充分に付与できる。さらに繊維強化複合材料において構成要素(B)が不足することに起因する繊維強化複合材料の静的機械特性低下も抑制できる。プリプレグにおけるマトリックス樹脂の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、構成要素(B)及び構成要素(C)又は構成要素(C2)の比率が過剰に含まれることに起因してVf(繊維強化複合材料中における強化繊維基材の体積率)の低下に伴う繊維強化複合材料の静的機械特性の低下を防ぐことができる。
プリプレグにおける構成要素(C)又は構成要素(C2)の含有量は、構成要素(B)と構成要素(C)又は構成要素(C2)の合計100質量%に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、プリプレグにおける構成要素(C)又は構成要素(C2)の含有量は、構成要素(B)と構成要素(C)又は構成要素(C2)の合計100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。構成要素(C)又は構成要素(C2)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、層間領域に偏在する構成要素(C)又は構成要素(C2)の量が多くなり、衝撃耐性をより高めることができる。構成要素(C)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、プリプレグが含む構成要素(B)及び構成要素(C)又は構成要素(C2)からなるマトリックス樹脂中の構成要素(B)の占める割合が低くなりすぎることを抑制することができ、構成要素(B)が不足することに起因する繊維強化複合材料の静的機械強度低下を防ぐことができる。
(プリプレグの製造方法)
プリプレグの製造方法としては、構成要素(A)同士の間に形成される層間領域に構成要素(C)又は構成要素(C2)を偏在させやすいこと、一般的なプリプレグの製造方法と同一の方法を採ることができて製造コストの上昇がないことから、以下に説明する方法(α)が好ましい。
方法(α)は、構成要素(B)に予め構成要素(C)又は構成要素(C2)を練り込んだ混合物(BC)をフィルムコーターにて薄く延ばして作製した樹脂フィルム(D)を構成要素(A)の片面又は両面に貼り合わせ、構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させる方法である。方法(α)において、構成要素(C)は、構成要素(B)が構成要素(A)に含浸されるとき、構成要素(A)により濾され、プリプレグの表面近傍に偏在化する。
(加熱成形)
積層したプリプレグを加熱成形するときの温度は、加熱成形に用いる設備の性能、副資材の性質、得られる繊維強化複合材料の特性の観点から、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、また、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。加熱成形するときの温度が100℃以上であれば、構成要素(B)を充分に硬化させることができ、高い耐熱性を有する繊維強化複合材料を製造することができる。加熱成形するときの温度が150℃以下であれば、一般的な仕様のオーブンを用いることができ、熱媒として蒸気を用いることができる。また、得られる繊維強化複合材料の性能保持の観点からも、急激に硬化反応が進行することで短時間に過剰の反応発熱を生じ、これにより繊維強化複合材料の内部が焼けることを抑制することができる。成形方法としては、例えば、オートクレーブ成形、シートワインディング成形、プレス成形、内圧成形が挙げられる。前述の態様のプリプレグどうしを積層してもよいし、前述の態様のプリプレグに構成要素(C)又は構成要素(C2)を有さないプリプレグを積層してもよい。
<繊維強化複合材料>
本発明の一実施形態に係る繊維強化複合材料は、2枚以上のプリプレグを積層、加熱硬化して得られる繊維強化複合材料である。また、繊維強化複合材料の断面においては、繊維層と繊維層の間に粒子が偏在化した層が存在する。粒子が偏在化した層において、粒子の断面形状は、円形もしくは楕円形状であってもよいし、不定形であってもよい。繊維強化複合材料を用いた部材としては、平板、中空部材等が挙げられる。平板としては、湾曲、凹凸等の形状を付与した平板(自動車のルーフ、ハットチャンネル)等が挙げられる。中空部材としては、湾曲部を有する中空部材(ラケット、自転車ホイール)、円筒状の管状体(ゴルフシャフト、釣り竿、バット)、断面形状が多角形状の管状体(自転車フレーム)が挙げられる。
実施形態の他の一例として、以下の≪1≫~≪11≫を本明細書にさらに開示する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
≪1≫ 下記構成要素(A)、(B)、及び(C)を含むプリプレグであって、前記構成要素(C)がプリプレグの表層に存在し、前記プリプレグを下記硬化条件で硬化させた硬化物の下記試験1により測定される損傷部の投影面積が400mm以下であり、前記硬化物の下記試験2により測定したtanδの最大値が100℃以上で観測される、プリプレグ。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C):粒子
硬化条件:「+45/0/-45/90」4sの構成で前記プリプレグを積層し、オートクレーブを用い0.6MPa、150℃にて30分硬化する。
試験1:硬化して得られたパネルを静地し、先端が直径16mm、R=8mmの形状の鉄製インパクターを26Jの位置エネルギーをもって前記パネル中央に落下した際の損傷部を透過型超音波探傷装置を用いて22dBの音圧で探傷し、検知された損傷部面積を測定する。
試験2:動的粘弾性測定装置を用いて、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃の条件で貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定する。貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比(E’’/E’=tanδ)が最大になる温度を観測する。
≪2≫ 前記構成要素(C)が、熱可塑性樹脂粒子である、≪1≫に記載のプリプレグ。
≪3≫ 前記構成要素(C)が、ポリアクリル酸エステルを含む粒子である、≪1≫または≪2≫に記載のプリプレグ。
≪4≫ 前記構成要素(C)が、ポリアクリル酸エステルの架橋体粒子である、≪1≫~≪3≫のいずれか1項に記載のプリプレグ。
≪5≫ 前記構成要素(C)の粒子の粒度分布の中央値(D50)が12μm以上21μm以下である、≪1≫~≪4≫のいずれか1項に記載のプリプレグ。
≪6≫前記構成要素(B)が、ジシアンジアミドを含む、≪1≫~≪5≫のいずれか1項に記載のプリプレグ。
≪7≫ 前記構成要素(B)が、硬化物としてのガラス転移温度が-20℃以下のエポキシ樹脂を含む、≪1≫~≪6≫のいずれか1項に記載のプリプレグ。
≪8≫ 前記構成要素(A)が炭素繊維基材である、≪1≫~≪7≫のいずれか1項に記載のプリプレグ。
≪9≫ ≪1≫~≪8≫のいずれか1項に記載のプリプレグを少なくとも1枚とプリプレグとを積層した繊維強化複合材料。
≪10≫下記構成要素(A)、(B)、及び(C3)を含むプリプレグであって、構成要素(C3)がプリプレグの表層に存在する、プリプレグ。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C3):ポリアクリル酸エステル粒子
≪11≫下記構成要素(A)、(B)、及び(C4)を含むプリプレグであって、構成要素(C4)がプリプレグの表層に存在する、プリプレグ。
構成要素(A):強化繊維基材
構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
構成要素(C4):架橋体粒子
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<原料>
実施例1~3、比較例1~6に使用した原料は、以下に示す通りである。
(構成要素(A))
・TR50S:炭素繊維束(三菱ケミカル、PYROFIL(登録商標)TR50S 15L、ストランド強度:4900MPa、弾性率:240GPa、炭素繊維の繊維径:6.8μm、炭素繊維の本数:15000本)
(構成要素(B))
[エポキシ樹脂]
・YD-128:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル)
・jER1002:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱ケミカル)
YDPN-638:フェノールノボラック型半固形エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル)
・YD-952:オキサゾリドン環骨格を有するエポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル)
・YX7400:液状2官能エポキシ樹脂(三菱ケミカル)
[硬化剤]
・DICY15:ジシアンジアミド(三菱ケミカルjERキュア(登録商標)DICY15)
・DCMU99:3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(保土谷化学工業、DCMU99)
・オミキュア94:フェニルジメチルウレア(PTIジャパン)
・2MZA-PW:2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(四国化成工業)
(構成要素(C))
・ARX15:架橋ポリアクリル酸エステル(積水化成品工業 ガラス転移温度-26℃、粒径分布の中央値(D50):15μm)
・ARX30:架橋ポリアクリル酸エステル(積水化成品工業 ガラス転移温度-26℃、粒径分布の中央値(D50):30μm)
(構成要素(C)以外の粒子)
・BM30X-12:架橋ポリメタクリル酸ブチル(積水化成品工業 粒径分布の中央値(D50):12μm)
・MBX15:架橋ポリメタクリル酸メチル(積水化成品工業 ガラス転移温度75℃、粒径分布の中央値(D50):15μm)
・2A P0-35:共重合ポリアミド粒子(エムスケミー・ジャパン、ガラス転移温度:15℃、粒径分布の中央値(D50):27μm)
(その他の成分)
・ビニレックE:ポリビニルホルマール(JNC)
・PES5003P:ポリエーテルスルホン(住友化学)
<実施例1>
(構成要素(B)の調製)
構成要素(B)の原料組成物(マスターバッチともいう)1aとして、ガラスフラスコに、YD-128を49質量部、jER1002を24質量部、YD-952を25質量部、ビニレックEを2.5質量部加えた。温度を140~160℃に設定したオイルバスを使用して、原料組成物1aが均一となるまで加熱しながら混合した。一方、構成要素(B)の原料組成物1bとして、自転・公転ミキサーの容器にYD-128を12質量部、DICY15を6質量部、DCMU99を4質量部加え、原料組成物1bを攪拌して脱泡した。さらにロールミルによって、当該原料組成物1bにおけるDICY15、DCMU99をYD-128により均一に分散させた。プラネタリミキサの容器に、温度が60℃程度となるまで放冷したガラスフラスコ内の原料組成物1aを100.5質量部、及び上述の原料組成物1bを22質量部加え、ジャケット温度を60~65℃に設定し、それぞれが均一となるまで混合し、構成要素(B)を調製した。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.5質量部に対して、ARX15を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対するARX15の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
実施形態に開示した方法(α)によって、実施例1のプリプレグを作製した。
混合物(BC)を、フィルムコーターを用いて、離型紙の表面に均一な厚さで塗工し、32g/mの樹脂フィルム(F)を作製した。作製した樹脂フィルム(F)を、複数本のTR50Sを引き揃えてシート状にした構成要素(A)の両面に貼り合わせ、100℃で加熱しながら加圧することによって構成要素(B)を構成要素(A)に含浸させることで、プリプレグを作製した。このとき、プリプレグでは、構成要素(B)に含まれている構成要素(C)を構成要素(A)によって濾すことによりプリプレグの表面近傍に偏在化させた。
(繊維強化複合材料の製造)
得られたプリプレグを自動裁断装置にて350mm×350mmに切り出し、「+45/0/-45/90」4sの構成で積層し、プリプレグ積層体を作製した。前記プリプレグ積層体に真空バッグを被せて真空バッグ処理を行い、次いでオートクレーブを用いて4℃/分の昇温速度で150℃まで加熱し、150℃の状態を20分間維持した。その後、プリプレグ積層体をオートクレーブ内で50℃以下となるまで徐冷することにより評価用成形板を作製した。加熱開始から加熱終了までの間、オートクレーブ内の圧力は0.6MPaとした。
(ガラス転移温度の測定)
評価用成形板から長さ:55mm、幅:12.5mmの試験片を切り出した。動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント製、「DMA-Q800」)を用いて、ASTM D7028に従い、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃、の条件で曲げモードでの貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定した。貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比(E’’/E’=tanδ)の最大値をガラス転移温度とした。
(衝撃耐性試験)
評価用成形板から150mm×100mmの試験片を切り出し、計装化インパクト試験機に静地した。半径8mmの半球が先端に設けられた鉄製インパクターを用いて26Jの位置エネルギーとなるように設定し当該試験片中央に落下させた。試験片に22dBの超音波を照射し、損傷した部位を探傷する。損傷部位を投影し、投影面積Sを測定した。吸収エネルギーEは荷重―変位曲線で囲まれた面積とした。
<実施例2>
(構成要素(B)の調製)
構成要素(B)の原料組成物2aとして、ガラスフラスコに、YD-128を38質量部、YX7400を5質量部、jER1002を27質量部、YD-952を28質量部、ビニレックEを2.8質量部加えた。温度を140~160℃に設定したオイルバスを使用して、原料組成物2aが均一となるまで加熱しながら混合した。
構成要素(B)の原料組成物2bは、実施例1の1bと同様の手順、配合にて得た。プラネタリミキサの容器に、温度が60℃程度となるまで放冷したガラスフラスコ内の原料組成物2aを100.8質量部、及び上述の原料組成物2bを22質量部加え、ジャケット温度を60~65℃に設定し、それぞれが均一となるまで混合し、実施例2に使用する構成要素(B)を得た。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.8質量部に対して、ARX15を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対するARX15の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様の方法(α)にて、実施例2に使用するプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、実施例2の評価用成形板を作製した。実施例2の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
<実施例3>
(構成要素(B)の調製)
実施例3に用いる構成要素(B)は、実施例1と同様の手順、配合にて得た。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.5質量部に対して、ARX30を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対するARX30の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
混合物(BC)を変更した以外は実施例1と同様の方法(α)にて、実施例3に使用するプリプレグを作製した。プリプレグの組成、作製方法を表1に示す。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、実施例3の評価用成形板を作製した。実施例3の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
<比較例1>
(構成要素(B)の調製)
構成要素(B)の原料組成物3aとして、ガラスフラスコに、YD-128を49質量部、jER1002を24質量部、YD-952を25質量部、ビニレックEを2.5質量部加えた。温度を140~160℃に設定したオイルバスを使用して、原料が均一となるまで加熱しながら混合した。
一方、構成要素(B)の原料組成物3bとして、自転・公転ミキサーの容器へYD-128を12質量部、DICY15を6質量部、DCMU99を4質量部加え、原料組成物4bを攪拌して脱泡した。さらにロールミルによって、当該原料組成物3bにおけるDICY15、DCMU99をYD-128に均一に分散させた。プラネタリミキサの容器に、温度が60℃程度となるまで放冷したガラスフラスコ内の原料組成物3aを100.5質量部、及び上述の原料組成物3bを22質量部加え、ジャケット温度を60~65℃に設定し、それぞれが均一となるまで混合し、比較例1に使用する構成要素(B)を調製した。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.5質量部に対して、BM30X-12を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対するBM30X-12の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
得られた混合物(BC)を実施例1と同様の方法(α)にて、比較例1に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例1の評価用成形板を作製した。比較例1評価用成形板について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
(構成要素(B)の調製)
実施例2と同様にして構成要素(B)を調製した。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.5質量部に対して、MBX15を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対するMBX15の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
比較例1と同様の方法(α)にて、比較例2に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例2の評価用成形板を作製した。比較例2の評価用成形板について評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
(構成要素(B)の調製)
比較例1と同様の方法にて構成要素(B)を調製した。
(混合物(BC)の調製)
調製した構成要素(B)122.5質量部に対して、2A P0-35を35質量部加えた。そのため、構成要素(B)と構成要素(C)の合計100質量%に対する2A P0-35の含有量は22.2質量%である。プラネタリミキサのジャケット温度を60~70℃に設定し、均一になるまで混合することで、構成要素(B)と構成要素(C)との混合物(BC)を調製した。
(プリプレグの作製)
比較例1と同様の方法(α)にて、比較例3に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例3の評価用成形板を作製した。比較例3の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
<比較例4>
(構成要素(B)の調製)
構成要素(B)の原料組成物4aとして、ガラスフラスコに、YD-128を41質量部、jER1002を29質量部、YD-952を30質量部、ビニレックEを3質量部加えた。温度を140~160℃に設定したオイルバスを使用して、原料が均一となるまで加熱しながら混合した。
一方、構成要素(B)の原料組成物4bとして、自転・公転ミキサーの容器へYD-128を12質量部、DICY15を6質量部、DCMU99を4質量部加え、原料組成物44bを攪拌した。さらにロールミルによって、当該原料組成物4bにおけるDICY15、DCMU99をYD-128により均一に分散させた。プラネタリミキサの容器に、温度が60℃程度となるまで放冷したガラスフラスコ内の原料組成物4aを103質量部、及び上述の原料組成物4bを22質量部加え、ジャケット温度を60~65℃に設定し、それぞれが均一となるまで混合し、比較例1に使用する構成要素(B)を調製した。
(プリプレグの作製)
構成要素(B)のみを用いて比較例1と同様の方法(α)にて、比較例4に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例4の評価用成形板を作製した。比較例4の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
<比較例5>
原料及び配合比率を表1記載の通りに変更した以外は、比較例4と同様の方法で構成要素(B)を得た。
(プリプレグの作製)
構成要素(B)のみを用いて比較例1と同様の方法(α)にて、比較例5に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例5の評価用成形板を作製した。比較例5の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
<比較例6>
原料及び配合比率を表1記載の通りに変更した以外は、比較例4と同様の方法で構成要素(B)を得た。
(プリプレグの作製)
構成要素(B)のみを用いて比較例1と同様の方法(α)にて、比較例6に使用するプリプレグを作製した。
(繊維強化複合材料の製造)
実施例1と同様の方法で、比較例6の評価用成形板を作製した。比較例6の評価用成形板について評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0007616076000001
構成要素(C)を含み、かつ構成要素(C)の大半が構成要素(A)の層間に存在する実施例1~3の繊維強化複合材料は、いずれも100℃以上の耐熱性を有しつつ、かつ衝撃耐性に優れる結果となった。一方、構成要素(C)を含まない比較例1~6の繊維強化複合材料は、いずれも衝撃耐性に劣るか、耐熱性に劣るかの結果となった。
本発明のプリプレグによれば、点衝撃時の層間の剥離が抑制された繊維強化複合材料が得られる。
本発明の繊維強化複合材料は、点衝撃時の耐性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、点衝撃時の耐性に優れる繊維強化複合材料が得られる。

Claims (14)

  1. プリプレグであって、
    前記プリプレグは、下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C)を含み、
    前記プリプレグを下記硬化条件で硬化させて得られる硬化物の下記試験1により測定される損傷部の投影面積が、400mm以下であり、
    前記硬化物の下記試験2により測定されるtanδの最大値が、100℃以上で観測される、プリプレグ。
    構成要素(A):強化繊維基材
    構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
    構成要素(C):ポリアクリル酸エステルの架橋体粒子であり、かつ、下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下である、粒子
    硬化条件:「+45/0/-45/90」4sの構成で前記プリプレグを積層し、オートクレーブを用いて0.6MPa、150℃にて30分硬化する。
    試験1:前記硬化物からなるパネルを置き、半径8mmの半球が先端に設けられた鉄製インパクターを26Jの位置エネルギーで前記パネルの中央に落下させ、落下により形成される前記パネル上の損傷部を、透過型超音波探傷装置を用いて22dBの音圧で検知し、検知された損傷部面積を測定し、損傷部の投影面積とする。
    試験2:動的粘弾性測定装置を用いて、周波数:1Hz、昇温レート:5℃/分、測定温度範囲:30℃~250℃の条件で貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’を測定し、貯蔵弾性率E’に対する損失弾性率E’’の比(E’’/E’)をtanδとする。
    構成要素(C)のガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
  2. 前記構成要素(C)が、プリプレグの最表面に存在する、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記構成要素(C)の粒子の粒度分布の中央値(D50)が、12μm以上21μm以下である、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記構成要素(B)が、ジシアンジアミドを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  5. 前記構成要素(B)が、エポキシ樹脂を含み、前記エポキシ樹脂の硬化物のガラス転移温度が、-20℃以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  6. 前記構成要素(A)が炭素繊維基材である、請求項1~のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載のプリプレグを少なくとも1枚とプリプレグとを積層した繊維強化複合材料。
  8. 下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C2)を含み、
    前記構成要素(C2)が、プリプレグの最表面に存在する、プリプレグ。
    構成要素(A):強化繊維基材
    構成要素(B):エポキシ樹脂組成物
    構成要素(C2):ポリアクリル酸エステルの架橋体粒子であり、かつ、下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下である、粒子
    構成要素(C2)のガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
  9. 前記構成要素(C2)が、プリプレグの最表面に偏在している、請求項に記載のプリプレグ。
  10. 前記構成要素(A)が、炭素繊維基材である、請求項8または9に記載のプリプレグ。
  11. 管状体用である、請求項10のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  12. 請求項11のいずれか一項に記載のプリプレグを硬化して得られた管状体。
  13. 下記構成要素(A)、構成要素(B)、及び構成要素(C2)を含むプリプレグを100℃以上150℃以下で加熱成形することを含む、繊維強化複合材料の製造方法。
    構成要素(A):強化繊維基材
    構成要素(B):エポキシ樹脂
    構成要素(C2):ポリアクリル酸エステルの架橋体であり、かつ、下記測定条件で観測されるガラス転移温度が10℃以下の重合体
    構成要素(C2)のガラス転移温度の測定条件:プリプレグを100mm×100mmにカットし、50mlのNMP(Nメチルピロリドン)にて洗浄した後、洗浄液を濾紙で濾す。同じ濾紙でこの作業を5回繰り返した後、濾紙をアセトンで洗浄し、100℃のオーブンで30分間乾燥させる。濾紙から5~10mgの残渣を取り出し、示差走査熱量測定(DSC)にて-50℃から300℃まで10℃/分にてスキャンし、ベースラインの変化するonset値をガラス転移点とする。
  14. 前記プリプレグの成形方法が、内圧成形、オートクレーブ成形、又はプレス成形である、請求項13に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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