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JP7617174B2 - 曲げ金型の再生方法及び再生曲げ金型 - Google Patents
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JP7617174B2 - 曲げ金型の再生方法及び再生曲げ金型 - Google Patents

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Description

本発明は、曲げ金型の再生方法及び再生曲げ金型に関する。
特許文献1に、摩耗した金型を再生する方法(以下、金型の再生方法)が記載されている。特許文献1に記載された金型再生方法は、プレス用抜き金型において、使用によって摩耗又は欠落したエッジ部に対し肉盛り溶接をした後、肉盛り溶接した部分を機械研削して新たなエッジ部を再生する方法である。
特許文献1に記載された金型の再生方法は、プレス用抜き金型に限らず、他の金型の再生方法として一般的に行われており、曲げ金型のパンチ金型及びダイ金型もこの方法での再生対象となっている。
曲げ金型の従来の再生方法を、パンチ金型を具体例として図7A及び図7Bを参照して説明する。図7Aは、従来のパンチ金型101を示す右側面図である。図7Bは、従来の金型再生方法を説明するための図であり、図7B(a)~(c)はそれぞれ第1~第3工程に対応する側面図である。
図7Aに示されるように、従来のパンチ金型101は、パンチホルダに装着される本体部111と、本体部111の先端に形成されてワークに接触する刃先部112とを有する。
図7Bは、図7Aの刃先部112の先端範囲112Aを拡大した図であり、多数回の曲げ加工に供された刃先部112は、図7B(a)に二点鎖線で示される無使用時の基準刃先線LNaの外形線から摩耗した外形の摩耗面112cを有する。
摩耗が一定程度進行したら、図7B(b)に示されるように、金属を溶接して基準刃先線LNaを包含する大きさ及び断面形状の肉盛り部113を形成する。その後、基準刃先線LNaに対応した形状を有するパンチ成形砥石105によって肉盛り部113の外形を基準刃先線LNaに合致させるように研磨して、図7B(c)に示される再生パンチ頂部114とする。
特開平7-265972号公報
曲げ金型の仕上がり寸法には、仕様の性能を発揮する範囲内で製造時の加工のばらつきを考慮した公差が設定されている。具体的には、パンチ金型101は、その厚さ方向の寸法について、例えば「+0mm~ -0.05mm」の公差が設定される。一方、図7B(b)に示されるパンチ成形砥石105の研削面形状は、基準刃先線LNaに対応した±0mmの研削面が形成されるように作られている。
そのため、再生するパンチ金型の刃先部112の使用前寸法が、公差の上限付近で形成されていた場合、図7B(c)に示されるように、パンチ成形砥石105によって刃先部112と肉盛り部113が研削されて形成された再生パンチ頂部114とが、段差のない連続した面をもって形成される。
これに対し、刃先部112の使用前の厚さ寸法が、公差の下限付近で形成されていた場合、図8Aに示されるように、パンチ成形砥石105と刃先部112との間に公差に対応した隙間Δdが生じる。そして、肉盛り部113を研削して形成した再生パンチ頂部114には基準刃先線LNaに対応した研削面が形成されるが、図8Bに示されるように、肉盛り部113の端部に肉盛り部113側が凸となる急峻な段差115が形成される。この段差115は、パンチ金型101の長手方向(図1に示される左右方向)に沿って形成される。図8Aでは、図の左面側に隙間Δdが生じる場合を示しているが、図の右面側に生じる場合、或いは両側に生じる場合があり、それぞれ段差115が右面側或いは両面に形成される虞がある。
ダイ金型においても同様であり、V溝部の幅が公差の大きい方に偏っていた場合に、V溝部の一対の傾斜面の少なくとも一方に、肉盛り部が凸となる急峻な段差が形成される虞がある。
曲げ金型であるパンチ金型101の刃先部112及びダイ金型のV溝部に、このような段差115が形成されると、パンチ金型101及びダイ金型の外観品位が低下すると共に、曲げ加工がいわゆるコイニングの場合に、ワークの表面に段差115に対応した線が形成されワークの外観品位が低下する虞があり、改善が望まれている。
上記の課題を解決するために、本発明の曲げ金型の再生方法の一態様は次の構成を有する。すなわち、基準形状と異なる形状の再生対象面を有する曲げ金型の母材に対し、前記再生対象面の全体を覆う肉盛り部を形成する肉盛り工程と、前記肉盛り部を研削する研削部を有する砥石を回転させて前記肉盛り部を基準形状に成形して再生する成形工程と、を含み、前記砥石の前記研削部は、前記肉盛り部の、前記母材に接続する外観上の端部を含むように抉る周凸部を有し、前記成形工程は、前記曲げ金型に、前記周凸部によって、前記母材と前記肉盛り部との外観上の境界が含まれる凹部を形成する曲げ金型の再生方法である。
この一態様は、母材と肉盛り部との境界を含む凹部を形成することで、肉盛り部が凸となる急峻な段差が形成されず、曲げ加工がコイニングであってもワークの表面に段差に対応した線が形成されず外観品位が低下することはない。
また、上記の課題を解決するために、本発明の再生曲げ金型の一態様は、次の1)、2)の構成を有する。
1)第1素材で形成された略板状であって一縁部に、横断面形状が第1面と第2面とによるV字状の刃先部又はV溝部を有する第1部位と、
前記刃先部又はV溝部の先端側に設けられ、前記第1素材とは異なる第2素材で形成された第2部位と、を備え、
前記第1面及び第2面は、それぞれ前記第1部位と前記第2部位との外観上の境界を含む範囲に形成された凹部を有し
前記第1部位に前記刃先部を有するパンチ金型である再生曲げ金型である。
2)第1素材で形成された略板状であって一縁部に、横断面形状が第1面と第2面とによるV字状の刃先部又はV溝部を有する第1部位と、
前記刃先部又はV溝部の先端側に設けられ、前記第1素材とは異なる第2素材で形成された第2部位と、を備え、
前記第1面及び第2面は、それぞれ前記第1部位と前記第2部位との外観上の境界を含む範囲に形成された凹部を有し
前記第1部位と前記第2部位とはR付けによって滑らかに接続しており、
前記第2部位は積層された金属粉末で形成されており、
前記第1部位に前記V溝部を有するダイ金型である再生曲げ金型である。
この一態様は、第1部位と第2部位との境界が含まれる凹部を有しているので、第2部位が凸となる急峻な段差が形成されず、曲げ加工がコイニングであってもワークの表面に段差に対応した線が付かないので外観品位が低下することはない。
本発明の曲げ金型の再生方法の一態様及び再生曲げ金型の一態様によれば、パンチ金型の刃先部及びダイ金型のV溝部に段差が生じず外観品位が低下することがなく、また、曲げ加工がコイニングであってもワークの表面に線が付かず外観品位が低下することはない。
図1は、本発明の再生曲げ金型の第1の一態様であるパンチ金型1の外観を示す斜視図である。 図2は、パンチ金型1の刃先部12を成形する方法を説明するための断面図である。 図3Aは、本発明の曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第1工程を説明するための、その断面図である。 図3Bは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第2工程を説明するための、その断面図である。 図3Cは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第3工程を説明するための、その断面図である。 図3Dは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第4工程を説明するための、その断面図である。 図3Eは、本発明の曲げ金型の再生方法の第2の一態様における、刃先部12を成形する第1工程を説明するための、その断面図である。 図3Fは、曲げ金型の再生方法の第2の一態様における、刃先部12を成形する第2工程を説明するための、その断面図である。 図4は、本発明の再生曲げ金型の第2の一態様であるダイ金型2の外観を示す斜視図である。 図5Aは、本発明の曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、V溝部22を成形する第1工程を説明するための、その断面図である。 図5Bは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、V溝部22を成形する第2工程を説明するための、その断面図である。 図5Cは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、V溝部22を成形する第3工程を説明するための、その断面図である。 図5Dは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、V溝部22を成形する第4工程を説明するための、その断面図である。 図6Aは、曲げ金型の再生方法の第1及び第2の一態様で用いるパンチ成形砥石5を示す平面図である。 図6Bは、曲げ金型の再生方法の第1及び第2の一態様で用いるダイ成形砥石6を示す平面図である。 図7Aは、従来の再生曲げ金型のパンチ金型101を示す側面図である。 図7Bは、従来の曲げ金型の再生方法を説明するための図であって、図7B(a)~(c)はそれぞれ第1~第3工程に対応する断面図である。 図8Aは、従来の曲げ金型の再生方法における刃先部112の成形工程の例を示す断面図である。 図8Bは、従来の再生曲げ金型の刃先部112を示す斜視的断面図である。
本発明の再生曲げ金型について、第1の一態様のパンチ金型1と第2の一態様のダイ金型2を例として図1~図6Bを参照して説明する。パンチ金型1及びダイ金型2は、それぞれ再生曲げ金型Kに含まれる。
(パンチ金型1)
図1は、本発明の再生曲げ金型の第1の一態様であるパンチ金型1の外観を示す斜視図である。図2は、パンチ金型1の刃先部12を成形する方法を説明するための断面図である。図3Aは、本発明の曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第1工程を説明するための、その断面図である。図3Bは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第2工程を説明するための、その断面図である。図3Cは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第3工程を説明するための、その断面図である。図3Dは、曲げ金型の再生方法の第1の一態様における、刃先部12を成形する第4工程を説明するための、その断面図である。図3Eは、本発明の曲げ金型の再生方法の第2の一態様における、刃先部12を成形する第1工程を説明するための、その断面図である。図3Fは、曲げ金型の再生方法の第2の一態様における、刃先部12を成形する第2工程を説明するための、その断面図である。図6Aは、曲げ金型の再生方法の第1及び第2の一態様で用いるパンチ成形砥石5を示す平面図である。図6Bは、曲げ金型の再生方法の第1及び第2の一態様で用いるダイ成形砥石6を示す平面図である。説明の便宜のため、上下左右前後の各方向を、図1に矢印で示した方向に規定する。
再生曲げ金型Kのパンチ金型1は、図1に示されるように、上下左右に延在する略板状の母材Aとしてのパンチ本体部11と、パンチ本体部11の一縁部である下縁に形成された刃先部12とを有する。パンチ本体部11は、曲げ加工機のパンチホルダに取り付けられる。パンチ金型1は、取り付けられた曲げ加工機の動作によって上下動し、下降した際に、刃先部12が、後述するダイ金型2(図4参照)との間に配置されたワークW(図3D参照)の上面に接触してワークWを下方に押し下げることでワークWに対し曲げ加工を行う。
図1及び図2に示されるように、刃先部12は、側面視で、下方が先細りの一対の傾斜面を有するV字状に形成されている。刃先部12の前側の傾斜平面が第1外面としての第1傾斜面12aであり、後側の傾斜平面が第2外面としての第2傾斜面12bである。刃先部12において、第1傾斜面12aは、先端寄りの部位に左右方向に延びる第1凹部121を有し、第2傾斜面12bは、先端寄りの部位に左右方向に延びる第2凹部122を有する。第1凹部121及び第2凹部122は、総称としての凹部Eに含まれる。
図2に示されるように、第1傾斜面12a及び第2傾斜面12bは、パンチ成形砥石5によって研削されて形成される。パンチ成形砥石5は、円柱状又は円盤状の基体50を有する砥石であって、基体50の周面に所定の研削面を有する研削部5Gが形成されている。所定の研削面は、刃先部12の最終仕上げ形状に対応した形状を有する。パンチ成形砥石5は、総称としての砥石Cに含まれ、研削部5Gは、総称としての研削部Caに含まれる。
詳しくは、研削部5Gは、刃先部12の第1傾斜面12aを形成する第1凹傾斜砥石面5a及び刃先部12の第2傾斜面12bを形成する第2凹傾斜砥石面5bを有する。また、第1凹傾斜砥石面5aには、刃先部12の第1凹部121を形成する第1周凸部51を有し、第2凹傾斜砥石面5bには、刃先部12の第2凹部122を形成する第2周凸部52を有する。第1周凸部51及び第2周凸部52は、それぞれ第1凹部121及び第2凹部122の形状に対応した形状で全周にわたり形成された凸状部位である。第1周凸部51及び第2周凸部52は、総称としての周凸部Ca1に含まれる。
パンチ成形砥石5は、不図示の研削盤に取り付けられて軸線CL5まわりに回転すると共に、刃先部12に押し付けられる。これにより、刃先部12は研削部5Gに対応した形状に研削により成形される。
摩耗した刃先部12は再生対象面Aaであって、次に説明する第1態様の曲げ金型の再生方法で再生される。説明において、図3A~図3Dを参照する。
図3Aは、摩耗した状態の再生対象面Aaである先端摩耗面12cを有する刃先部12が示されている。最も外側の二点鎖線が、摩耗していない新品状態の仮想線の基準刃先線LN1aである。摩耗した状態の外形は、実線の摩耗刃先線LN1bで示される。二点鎖線の除去刃先線LN1cは、次の工程において除去される部位の除去位置を示している。除去刃先線LN1cは、摩耗刃先線LN1bよりも上方に、前後方向に延びる直線で設定される。
まず、図3Bに示されるように、摩耗した状態の刃先部12に対し、除去刃先線LN1cより下方(先端側)の部位を研磨加工などによって除去する。除去は、パンチ金型1の長手方向(左右方向)のすべての範囲で行う。これにより除去刃先線LN1cの位置に、前後左右方向に延在する平面である除去面12dが形成される。
次いで、図3Cに示されるように、刃先部12の先端部分に肉盛り部13を形成する。肉盛り部13は、除去面12dを完全に覆い、肉盛りの上端部である肉盛り端部位置P2a,P2bは、除去面12dと第1傾斜面12a及び第2傾斜面12bの連接位置である除去面端部位置P1a,P1bよりも刃先部12の根元側(上方側)に寄った位置にある。肉盛り部13は、総称としての肉盛り部Bに含まれる。また、肉盛り部Bの、母材Aに接続する外観上の端部を端部Baとすると、肉盛り端部位置P2a,P2bは、総称としての端部Baに含まれる。
肉盛り部13の形成する肉盛り方法は限定されない。例えば、レーザクラッディング,PTA(PlasmaTransferred ArcWelding)溶接,溶射などの方法を用いることができる。また、肉盛りする金属も限定されず母材Aのパンチ本体部11の材質と異なる材質でもよく、用途及び仕様に応じて適宜選択してよい。
除去面12dを得るための除去量及び肉盛り量は、刃先部12の摩耗量に応じて適宜調整設定してよい。除去量が多い場合は、除去面端部位置P1a,P1bの位置がより上方になるので、除去面12dを覆うために肉盛り端部位置P2a,P2bはさらに上方に位置させる必要があり、より多くの肉盛り量を要する。
次いで、図2を参照して説明したパンチ成形砥石5によって肉盛り部13を切削で成形し、基準刃先線LN1aに対応した再生パンチ頂部14を形成する。パンチ成形砥石5は、既述のように、第1周凸部51及び第2周凸部52を有する。そのため、再生パンチ頂部14の第1傾斜面12aには第1周凸部51に対応した第1凹部121が形成され、第2傾斜面12bには第2周凸部52に対応した第2凹部122が形成される。
図3Dに示されるように、第1凹部121は、第1傾斜面12aにおける肉盛り端部位置P2aを含む範囲を削り取って形成される。第2凹部122は、第2傾斜面12bにおける肉盛り端部位置P2bを含む範囲を削り取って形成される。
第1凹部121及び第2凹部122の深さDp1は、パンチ金型1の厚さ方向(前後方向)の寸法に設定された公差に応じて決められる。例えば、厚さ方向の寸法D1(図2参照)の公差が「+0mm~ -0.05mm」とされていた場合、深さDp1は、計算上0.05mmを越える値にすればよいが、ある程度の裕度を含めて例えば0.1mmとする。
第1凹部121及び第2凹部122の形状は、それぞれ第1傾斜面12a及び第2傾斜面12bから突出しないものであれば限定されない。第1凹部121及び第2凹部122の形状は、横断面形状が曲線となる凹曲面状であってもよいし、横断面形状の曲線の一部が直線となる3次元形状での平面を含むものであってもよい。例えば、第1凹部121について、その上端及び下端が第1傾斜面12aと明確に屈曲するように接続してもよい。また、第1凹部121は、その上端及び下端が、第1傾斜面12aに対しR付けによって滑らかに接続する形状であってもよく、コイニング加工でワークWに与える影響をより小さくする観点で望ましい。これは第2凹部122についても同様である。
以上説明した曲げ金型の再生方法の第1の一態様で、摩耗した刃先形状を再生して、未使用状態の刃先形状の再生パンチ頂部14を有するパンチ金型1が得られる。
上述の第1態様の再生方法において、刃先部12の先端側の部位を除去するか否かは、摩耗の程度に応じて決定してもよい。すなわち、摩耗の程度が少ない状態で再生する場合には、先端側の部位を除去せずに以下に説明する第2態様の再生方法を実行してもよい。
曲げ金型の再生方法の第2の一態様は、具体的には、図3Aに示される先端摩耗面12cを有する再生すべき刃先部12において、摩耗量が所定量よりも少ない場合には、図3Eに示されるように、先端を除去せずに肉盛り部13を形成する。肉盛り部13は、再生対象面Aaである先端摩耗面12cを完全に覆い、肉盛り部13の上端部である肉盛り端部位置P2a,P2bは、先端摩耗面12cと、第1傾斜面12a及び第2傾斜面12bとの連接位置である除去面端部位置P3a,P3bよりも刃先部12の根元側(上側)に寄った位置にある。
この第2態様においても、肉盛り部13を形成する肉盛り方法は限定されない。例えば、レーザクラッディング、PTA(PlasmaTransferred ArcWelding)溶接、溶射などの方法を用いることができる。また、肉盛りする金属も限定されるものではなく、用途及び仕様に応じて適宜選択してよい。
次いで、図2を参照して説明したパンチ成形砥石5を用い、図3Fに示されるように、肉盛り部13を切削して基準刃先線LN1aに対応した再生パンチ頂部14を形成する。パンチ成形砥石5は、既述のように第1周凸部51及び第2周凸部52を有する。そのため、再生パンチ頂部14の第1傾斜面12aには第1周凸部51に対応した第1凹部121が形成され、第2傾斜面12bには第2周凸部52に対応した第2凹部122が形成される。
この曲げ金型の再生方法の第2の一態様においても、第1凹部121及び第2凹部の深さDp1は、パンチ金型1の厚さ方向(図3Fにおける前後方向)の寸法に設定された公差に応じて第1の一態様と同様に決めることができる。
(ダイ金型2)
次に、本発明の再生曲げ金型Kの第2の一態様のダイ金型2を、本発明の曲げ金型の再生方法の第1の一態様で再生する手順を図4~図5Dを参照して説明する。
ダイ金型2は、図4に示されるように、上下左右に延在する略板状の母材Aとしてのダイ本体部21と、ダイ本体部21の一縁部である上縁に形成されたV溝部22とを有する。ダイ本体部21は、曲げ加工機のダイホルダに取り付けられる。曲げ加工機がダイ側固定でパンチ側を昇降させるタイプの場合、ダイ金型2は、上方で昇降するパンチ金型1との間に配置されたワークW(図5A参照)の下面に接触し、下降するパンチ金型1によって下方に押し下げられたワークをV溝部22で受けることでワークに対し曲げ加工を行う。図5Aでは、図面簡素化のため、ワークWをダイ金型2の上方に離隔した位置で示してある。
図4に示されるように、V溝部22は、下方が先細りの一対の傾斜面を有するV溝状に形成されている。V溝部22の前側の傾斜平面が第1内面としての第1溝面22aであり、後側の傾斜平面が第2内面としての第2溝面22bである。V溝部22において、第1溝面22aは左右方向に延びる第1凹部221を有し、第2溝面22bは左右方向に延びる第2凹部222を有する。第1凹部221及び第2凹部222は、総称としての凹部Eに含まれる。
第1溝面22a及び第2溝面22bは、ダイ成形砥石6(図5D参照)によって研削されて所定の面に成形される。ダイ成形砥石6については後述する。
使用により摩耗したV溝部22は、曲げ金型の再生方法の第1の一態様を適用し、次のようにして再生できる。図5Aは、摩耗した状態の再生対象面AaであるV溝部22が示されている。最外形の二点鎖線が、摩耗していない未使用状態の外形形状を示す基準溝形線LN2aである。摩耗した状態の外形は、実線の摩耗溝形線LN2bで示される。二点鎖線の除去溝形線LN2cは、次の工程で除去する位置を示している。前後一対の除去溝形線LN2cは、摩耗溝形線LN2bよりも下方に、第1溝面22a及び第2溝面22bそれぞれに近い傾斜角度の直線で設定される。
この摩耗した状態のV溝部22に対し、図5Bに示されるように、除去溝形線LN2cより先端側(上側)の部位を研磨加工などによって除去する。除去は、ダイ金型2の長手方向(左右方向)のすべての範囲で行う。これにより、第1溝面22a及び第2溝面22bそれぞれにおいて、除去溝形線LN2cの位置に前後左右に延在する平面である第1除去面22ad及び第2除去面22bdが形成される。
次いで、図5Cに示されるように、V溝部22の前後の両先端部分に肉盛り部23を形成する。前側の肉盛り部23を第1肉盛り部23a、後側の肉盛り部23を第2肉盛り部23bとする。前側の第1肉盛り部23aは、第1除去面22adを完全に覆うように形成する。すなわち、肉盛りの下端部である肉盛り端部位置P4aが除去面2adと第1溝面22aとの連接位置である除去面端部位置P3aよりもV溝部22の奥側に寄った位置にある。同様に、後側の第2肉盛り部23bは、第2除去面22bdを完全に覆うように形成する。すなわち、肉盛りの下端部である肉盛り端部位置P4bが第2除去面2bdと第2溝面22bの連接位置である除去面端部位置P3bよりもV溝部22の奥側に寄った位置にある。肉盛り部23は、総称としての肉盛り部Bに含まれる。また、肉盛り端部位置P4a,P4bは、総称としての端部Baに含まれる。
V溝部22における肉盛りの方法は限定されない。例えば、レーザクラッディング、PTA(PlasmaTransferred ArcWelding)溶接、溶射などの方法を用いることができる。また、肉盛りする金属も限定されず母材Aのダイ本体部21の材質と異なる材質でもよく、用途及び仕様に応じて適宜選択してよい。
第1除去面22ad及び第2除去面22bdを得るための除去量及び肉盛り量は、V溝部22の第1溝面22a及び第2溝面22bの摩耗量に応じて適宜調整設定してよい。除去量が多い場合は、除去面端部位置P3a,P3bの位置がより下方になるので、第1除去面22ad及び第2除去面22bdを覆うために、それぞれの肉盛り端部位置P4a,P4bはさらに下方に位置させる必要があり、より多くの肉盛り量を要する。
次いで、図5Dに示されるように、ダイ成形砥石6によって肉盛り部23を切削で成形し、基準溝形線LN2aに対応した再生ダイ溝部24を形成する。ダイ成形砥石6は、図5D及び図6Bに示されるように、円柱状又は円盤状の基体60を有する砥石であって、周面に所定の研削部6Gが形成されている。所定の研削部6Gは、V溝部22の最終仕上げ形状に対応した形状である。ダイ成形砥石6は、総称としての砥石Cに含まれ、研削部6Gは、総称としての研削部Caに含まれる。
研削部6Gは、V溝部22の第1溝面22aを形成する第1凸傾斜砥石面6a及びV溝部22の第2溝面22bを形成する第2凸傾斜砥石面6bを有する。また、第1凸傾斜砥石面6aには、V溝部22の第1凹部221を形成する第1周凸部61を有し、第2凸傾斜砥石面6bには、V溝部22の第2凹部222を形成する第2周凸部62を有する。第1周凸部61及び第2周凸部62は、それぞれ第1凹部221及び第2凹部222の形状に対応した形状で全周にわたり形成された凸状部位である。第1周凸部61及び第2周凸部62は、総称としての周凸部Ca1に含まれる。
ダイ成形砥石6は、不図示の研削盤に取り付けられて軸線CL6まわりに回転すると共に、V溝部22に押し付けられる。これにより、V溝部22は研削部6Gに対応した形状に研削により成形される。
このダイ成形砥石6によって、肉盛り部23を有するV溝部22を切削して成形することで、再生ダイ溝部24の第1溝面22aには第1周凸部61に対応した第1凹部221が形成され、第2溝面22bには第2周凸部62に対応した第2凹部222が形成される。
図5Dに示されるように、第1凹部221は、第1溝面22aにおける肉盛り端部位置P4aを含む範囲を削り取って形成される。第2凹部222は、第2溝面22bにおける肉盛り端部位置P4bを含む範囲を削り取って形成される。
第1凹部221及び第2凹部222の深さDp2は、ダイ金型2の厚さ方向(図5Dにおける前後方向)の寸法に設定された公差に応じて決められる。例えば、厚さ方向の寸法D2(図4参照)の公差が「+0mm~ -0.05mm」とされていた場合、深さDp2は、計算上0.05mmを越える値にすればよいが、ある程度の裕度を含めて例えば0.1mmとする。
第1凹部221及び第2凹部222の形状は、それぞれ第1溝面22a及び第2溝面22bから突出しないものであれば限定されない。第1凹部221及び第2凹部222の形状は、横断面形状が曲線となる凹曲面状であってもよいし、横断面形状の曲線の一部が直線となる3次元形状での平面を含むものであってもよい。例えば、第1凹部221について、その上端及び下端が第1溝面22aと明確に屈曲するように接続してもよい。また、第1凹部221は、その上端及び下端が、第1溝面22aに対しR付けによって滑らかに接続する形状であってもよく、コイニング加工でワークWに与える影響をより小さくする観点で望ましい。これは第2凹部222についても同様である。
以上のように、曲げ金型の再生方法の第1の態様によって摩耗したV溝形状を再生し、未使用状態の再生ダイ溝部24を有するダイ金型2が得られる。
V溝部22の先端側の部位を除去するか否かは、摩耗の程度に応じて決定してもよい。すなわち、摩耗の程度が少ない状態で再生する場合には、先端側の部位を除去せずに肉盛り部23を形成し、ダイ成形砥石6でV溝部22を研削して基準溝形に成形する、既述の曲げ金型の再生方法の第2の一態様を実行してもよい。
以上詳述した曲げ金型の再生方法の第1及び第2の一態様によれば、肉盛り部13,23の端部を含む範囲が抉られて第1凹部121,221及び第2凹部122,222とされるので、その端部に段差が形成されることはない。そのため、再生曲げ金型Kは高い外観品位を有し、また、曲げ加工がいわゆるコイニングの場合に、ワークWに段差に対応した線が形成される虞はなく、曲げ加工されたワークWは高い外観品位を有する。
本発明の各一態様は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
第1凹部121,221及び第2凹部122,222は、それぞれ肉盛り部13,23の端部となる部位を含んで抉り形成されていればよく、抉られた部分の深さ,形成範囲,断面形状などは、摩耗部分の範囲及び摩耗程度に応じて自由に設定することができる。
母材Aであるパンチ本体部11及びダイ本体部21は第1素材の金属で形成され、肉盛り部Bである肉盛り部13,23は第2素材の金属で形成される。第1素材と第2素材とは同じでなくてもよく、ワークWとの接触を担う第2素材を、耐摩耗性或いは耐欠損性がより良好な第1素材とは別の金属素材にしてもよい。
摩耗した部位を有する曲げ金型の再生について説明したが、本発明における再生は、摩耗からの再生に限定されず、腐食、過負荷などによって欠損した部位の補修の意味も含む。
以上、詳述したように、本発明の曲げ金型の再生方法の一態様は、基準形状と異なる形状の再生対象面Aaを有する再生曲げ金型Kの母材Aに対し、再生対象面Aaの全体を覆う肉盛り部Bを形成する肉盛り工程と、肉盛り部Bを研削する研削部Caを有する砥石Cを回転させて肉盛り部Bを基準形状に成形して再生する成形工程と、を含み、砥石Cの研削部Caは、肉盛り部Bの、母材Aに接続する外観上の端部Baを含むように抉る周凸部Ca1を有し、成形工程は、再生曲げ金型Kに、周凸部Ca1によって、母材Aと肉盛り部Bとの外観上の境界が含まれる凹部Eを形成するものである。
これにより、母材Aと肉盛り部Bとの境界を含む凹部Eが形成されて、再生曲げ金型Kの表面から肉盛り部Bが凸となる急峻な段差が形成されない。そのため、再生曲げ金型Kは高い外観品位を有し、また、再生曲げ加工がコイニングであってもワークWの表面に段差に対応した線が形成されずその外観品位が低下することはない。
また、この一態様において、再生曲げ金型Kはパンチ金型1であって、パンチ金型1の刃先部は、先端に向かうに従って接近する第1外面12a及び第2外面12bを有し、凹部Eを、第1外面12aの第1凹部121と、第2外面12bの第2凹部122としてそれぞれ同時に形成してもよい。
これにより、再生曲げ金型Kであるパンチ金型1の再生に要する時間が短縮される。
また、この一態様において、再生曲げ金型KはV溝部22を有するダイ金型2であって、V溝部22は、奥に向かうに従って接近する第1内面22a及び第2内面22bを有し、凹部Eを、第1内面22aの第1凹部221と第2内面22bの第2凹部222としてそれぞれ同時に形成してもよい。
これにより、再生曲げ金型Kであるダイ金型2の再生に要する時間が短縮される。
また、この一態様において、肉盛り部Bを、金属粉末を積層して形成してもよい。
これにより、薄肉の肉盛りが可能で、肉盛りの厚さも細かく制御できる。また、積層表面である溶接面が滑らかになる。
本発明の再生曲げ金型の一態様は、第1素材で形成された略板状であって一縁部に、横断面形状が第1面と第2面とによるV字状の刃先部12又はV溝部22を有する第1部位MAと、前記刃先部12又はV溝部22の先端側に設けられ、前記第1素材とは異なる第2素材で形成された第2部位MBと、を備え、前記第1面及び第2面は、それぞれ前記第1部位MAと前記第2部位MBとの外観上の境界を含む範囲に形成された凹部Eを有している再生曲げ金型である。
これにより、第1部位MAを母材Aとし第2部位MBを肉盛り部Bとしたときに、それらの境界を含む凹部Eを有しているので、再生曲げ金型Kの表面から肉盛り部Bが凸となる急峻な段差が形成されていない。そのため、再生曲げ金型Kの外観品位が低下することなく、また、曲げ加工がコイニングであってもワークWの表面に段差に対応した線が付かずその外観品位が低下することはない。
また、この一態様は、第1部位MAに刃先部12を有するパンチ金型1であってもよい。
これにより、再生されたパンチ金型1の表面から肉盛り部Bが凸となる急峻な段差が形成されることはなく、また、再生されたパンチ金型1によってワークWの表面に肉盛り部Bに起因する線が付くことはなく、ワークWの外観品位が低下しない。
また、この一態様は、第1部位MAにV溝部22を有するダイ金型2であってもよい。
これにより、再生されたダイ金型2の表面から肉盛り部Bが凸となる急峻な段差が形成されることはなく、また、再生されたダイ金型2によってワークWの表面に肉盛り部Bに起因する線が付くことはなく、ワークWの外観品位が低下しない。
1 パンチ金型
11 パンチ本体部
12 刃先部
12a 第1傾斜面(第1外面)
12b 第2傾斜面(第2外面)
12c 先端摩耗面(再生対象面)
12d 除去面
121 第1凹部
122 第2凹部
13 肉盛り部
14 再生パンチ頂部
2 ダイ金型
21 ダイ本体部
22 V溝部
22a 第1溝面
22ad 第1除去面
22b 第2溝面
22bd 第2除去面
221 第1凹部
222 第2凹部
23 肉盛り部
23a 第1肉盛り部
23b 第2肉盛り部
24 再生ダイ溝部
5 パンチ成形砥石
5a 第1凹傾斜砥石面
5b 第2凹傾斜砥石面
5G 研削部
50 基体
51 第1周凸部
52 第2周凸部
6 ダイ成形砥石
6a 第1凸傾斜砥石面
6b 第2凸傾斜砥石面
6G 研削部
60 基体
61 第1周凸部
62 第2周凸部
A 母材
Aa 再生対象面
B 肉盛り部
C 砥石
Ca 研削部
E 凹部
CL5,CL6 軸線
Dp1,Dp2 深さ
D1,D2 寸法
K 再生曲げ金型
MA 第1部位
MB 第2部位
LN1a 基準刃先線
LN1b 摩耗刃先線
LN1c 除去刃先線
LN2a 基準溝形線
LN2b 摩耗溝形線
LN2c 除去溝形線
P1a,P1b,P3a,P3b 除去面端部位置
P2a,P2b,P4a,P4b 肉盛り端部位置
W ワーク

Claims (6)

  1. 基準形状と異なる形状の再生対象面を有する曲げ金型の母材に対し、前記再生対象面の全体を覆う肉盛り部を形成する肉盛り工程と、
    前記肉盛り部を研削する研削部を有する砥石を回転させて前記肉盛り部を基準形状に成形して再生する成形工程と、
    を含み、
    前記砥石の前記研削部は、前記肉盛り部の、前記母材に接続する外観上の端部を含むように抉る周凸部を有し、
    前記成形工程は、前記曲げ金型に、前記周凸部によって、前記母材と前記肉盛り部との外観上の境界が含まれる凹部を形成する曲げ金型の再生方法。
  2. 前記曲げ金型はパンチ金型であって、前記パンチ金型の刃先部は、先端に向かうに従って接近する第1外面及び第2外面を有し、
    前記凹部を、前記第1外面の第1凹部と、前記第2外面の第2凹部としてそれぞれ同時に形成する請求項1記載の曲げ金型の再生方法。
  3. 前記曲げ金型はV溝部を有するダイ金型であって、前記V溝部は、奥に向かうに従って接近する第1内面及び第2内面を有し、
    前記凹部を、前記第1内面の第1凹部と前記第2内面の第2凹部としてそれぞれ同時に形成する請求項1記載の曲げ金型の再生方法。
  4. 前記肉盛り部を、金属粉末を積層して形成する請求項1~3のいずれか1項に記載の曲げ金型の再生方法。
  5. 第1素材で形成された略板状であって一縁部に、横断面形状が第1面と第2面とによるV字状の刃先部又はV溝部を有する第1部位と、
    前記刃先部又はV溝部の先端側に設けられ、前記第1素材とは異なる第2素材で形成された第2部位と、を備え、
    前記第1面及び第2面は、それぞれ前記第1部位と前記第2部位との外観上の境界を含む範囲に形成された凹部を有し
    前記第1部位に前記刃先部を有するパンチ金型である再生曲げ金型。
  6. 第1素材で形成された略板状であって一縁部に、横断面形状が第1面と第2面とによるV字状の刃先部又はV溝部を有する第1部位と、
    前記刃先部又はV溝部の先端側に設けられ、前記第1素材とは異なる第2素材で形成された第2部位と、を備え、
    前記第1面及び第2面は、それぞれ前記第1部位と前記第2部位との外観上の境界を含む範囲に形成された凹部を有し
    前記第1部位と前記第2部位とはR付けによって滑らかに接続しており、
    前記第2部位は積層された金属粉末で形成されており、
    前記第1部位に前記V溝部を有するダイ金型である再生曲げ金型。
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