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JP7618807B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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JP7618807B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のシートに装備されるエアバッグ装置に関する。特に、乗員の頭部を適切に保護可能なエアバッグ装置に関するものである。
車両の事故発生時に乗員を保護するために1つまたは複数のエアバッグ装置を車両に設けることは周知である。エアバッグ装置としては、例えば、ステアリングホイールの中心付近から展開して運転者を保護する、いわゆるドライバエアバッグ装置や、窓の内側で下方向に展開して車両横方向の衝撃や横転、転覆事故時に乗員を保護するカーテンエアバッグ装置や、車両横方向の衝撃時に乗員を保護すべく乗員の側部(シートの側部)で展開するサイドエアバッグ装置などの様々な形態がある。
サイドエアバッグ装置は、シートの側部から前方に向かって展開するエアバッグによって乗員の横方向への移動を拘束するものであるが、例えば、特許文献1に開示された発明のように、乗員の胴体のみならず、頭部を保護可能に構成されたものが提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載のエアバッグ装置では、展開したエアバッグによって乗員の頭部の片側(左右一方の側)を拘束することはできるが、頭部の前方や反対側の当側部を保護することは実質的に不可能である。
特開2019-137307号公報
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、乗員の頭部の一方の側部から、前方、更には他方の側部までを保護可能な画期的なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るエアバッグ装置は、車両用シートの左右一方の上部から展開することで乗員の頭部を保護する頭部保護クッションを有するエアバッグと:前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;を備える。前記頭部保護クッションが、乗員の一方の側頭部付近を保護する第1チャンバと;前記第1チャンバに繋がり、乗員の頭部前方を保護する第2チャンバと;前記第2チャンバに繋がり、乗員の頭部前方から他方の側部に渡って展開する第3チャンバと;前記第3チャンバと繋がり、乗員の他方の側頭部付近で展開する第4チャンバと;を備える。そして、前記頭部保護クッションの乗員側に架け渡され、乗員と頭部が接触する柔軟な素材からなる接触パネルを設ける。
ここで、接触パネルが「架け渡され」とは、基本的には、両端部の間が頭部保護クッションとは接触せずに、浮いた状態を意味する。
また、「柔軟な素材」としては、例えば、頭部保護クッションを形成する基布と同一の素材を採用することができる。
本発明によれば、頭部保護クッションが、乗員の一方の側頭部付近を保護する第1チャンバと;第1チャンバに繋がり、乗員の頭部前方を保護する第2チャンバと;第2チャンバに繋がり、乗員の頭部前方から他方の側部に渡って展開する第3チャンバと;第3チャンバと繋がり、乗員の他方の側頭部付近で展開する第4チャンバとを備えている。このように、頭部保護クッションによって乗員の頭部を一側方、前方、他側方というように巻き付くように包囲するため、シートの位置や、リクライニング角度等に関係なく、乗員の頭部を色々な方向から確実に拘束することが可能となる。また、エアバッグが展開する際に、ステアリングホイールやインストルメントパネル等を反力面とする必要が無く、シートの位置等に依存せずに独立して安定的な性能を発揮できる。
また、頭部保護クッションの乗員側に架け渡された接触パネルが設けられているため、乗員が当該パネルに接触したときに、接触パネルの両端部が固定されたチャンバ部分が内側に向かって引っ張られ、頭部保護クッションが乗員の頭部から離れる方向に広がるような挙動を規制することができる。その結果、乗員の頭部を全方位から適切に保護することが可能となる。
前記接触パネルは、前記乗員を米国衝突試験用AM95ダミーとしたときに、車両緊急時に当該ダミーの頭部が接触する領域を含む大きさに設定することが好ましい。
ここで、「AM95ダミー」は、米国の成人男性で体格の大きな上位5%に含まれる人を基準としたダミー人形であり、身長約183cm、座高約94cm、体重約101kgの大柄な成人男性を模したものである。
前記頭部保護クッションが展開した状態で、前記接触パネルに乗員の頭部が進入したときに、当該頭部保護クッションが乗員の頭部に巻き付くように、前記接触パネルが前記エアバッグクッションの展開方向を規制するように構成することができる。
前記接触パネルは、前記第3チャンバの乗員に面する内側面と前記第2チャンバの乗員に面する内側面とを連結するように延びる第1接触パネルを含むことができる。
前記接触パネルは、前記第1チャンバ、第2チャンバ、第3チャンバ、および第4チャンバの内から選ばれる2つのチャンバ間の乗員に面する内側面同士を連結するように延びる接触パネルを含む構成とすることができる。
前記接触パネルは、更に、前記第4チャンバの乗員に面する内側面と前記第2チャンバの乗員に面する内側面とを連結するように延びる第2接触パネルを含むことができる。
前記第1接触パネルには、前記第2接触パネルが貫通するスリットが形成され、 展開状態の前記頭部保護クッションを上方から見たときに、前記第1接パネルと前記第2接触パネルとは交差するように配置することができる。
前記頭部保護クッションが展開した状態で、前記第1及び第2接触パネルに乗員の頭部が接触したときに、前記第2接触パネルが屈曲し、前記第4チャンバが乗員の頭部側に近づく方向に引っ張られるように構成することができる。
前記第1チャンバと前記第2チャンバとは、2枚の基布を貼り合わせることにより一体に成形され、
前記第1チャンバと前記第2チャンバの乗員に面する内側表面に、展開方向に沿って延びるテザーと;
前記テザーを摺動可能な状態で、前記内側表面に沿うように保持する保持部と;を更に備え、
前記頭部保護クッションが展開した時に、前記テザーによって前記第2チャンバの前方への移動を規制することができる。
上記のようなテザーを用いることにより、接触パネルと相まって、頭部保護クッションをより確実に乗員の頭部に巻き付けるように展開させることが可能となる。
前記テザーは、前記第2チャンバの展開方向前方の内側表面に連結される第1の端部と、前記第2チャンバの展開方向後方に達する第2の端部とを有し、
前記テザーを前記第2の端部側に手繰り寄せて圧縮することで、少なくとも前記第2チャンバに皺領域が形成される構成とすることができる。
前記第3チャンバは、少なくとも2枚の基布を貼り合わせることにより成形されており、
前記第2チャンバを形成する基布のうち、乗員に面する内側パネルの端部と、前記第3チャンバを形成する基布の乗員に面する内側パネルの端部とを連結することができる。
前記第3チャンバと前記第4チャンバとは、第1のベントホールによって連通し、当該第1のベントホールの周囲を縫製することによって互いに連結される構造とすることができる。
各チャンバを構成する基布の内側パネル同士を連結することによって、頭部保護クッションが展開した時に、連結部分の外方向(乗員頭部から離れる方向)への広がりが制限され、乗員の頭部を囲むように湾曲した形状を作り易くなる。
前記エアバッグは、前記第1チャンバの下端付近に繋がり、乗員の体側部を保護する側部保護クッションを更に含むことができる。
前記エアバッグ装置が収容される側とは反対側に、乗員の側部を保護するサイドエアバッグ装置を設けることができる。
図1は、本発明に係るエアバッグ装置が適用可能な車両用シートの主に外観形状を示す斜視図である。 図2は、図1に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体(シートフレーム)を示す斜視図であり、エアバッグ装置の図示は省略する。 図3は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置が搭載された車両用シートの概略側面図であり、エアバッグ装置が収容された状態を車幅方向の外側から透視した様子を示す。 図4は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置においてエアバッグが展開した様子を模式的に示す上面図である。 図5は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置においてエアバッグが展開した様子を示す上面斜視図(俯瞰図)である。 図6は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置においてエアバッグが展開した様子を示す正面斜視図である。 図7は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用される接触パネルの構造を示す平面図であり、(A)が2枚のパネルを別々に示し、(B)が実際の使用状態を示す。 図8は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用されるエアバッグを構成するパネルの形状を示す平面図であり、第1及び第2チャンバを形成するものである。 図9は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用されるエアバッグを構成するパネルの形状を示す平面図であり、側部保護クッションを形成するものである。 図10は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用されるエアバッグを構成するパネルの形状を示す平面図であり、第3チャンバを形成するものである。 図11は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用されるエアバッグを構成するパネルの形状を示す平面図であり、第4チャンバを形成するものである。 図12は、図8乃至図11に示すパネルの連結を説明するための平面図である。 図13は、図8乃至図11に示すパネルを連結した状態を示す平面図である。 図14は、本発明の実施例に係るエアバッグの圧縮工程の一部を示す平面図であり、説明の便宜上、第1チャンバ及び第2チャンバのみを示し、他のチャンバ(図12)については、図示を省略する。 図15は、本発明の実施例に係るエアバッグの圧縮工程の一部を示す側面図である。 図16は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置の作用を示す上面図(俯瞰図)であり、(A)が頭部保護クッションの展開直後の様子、(B)が乗員の頭部が進入した様子を示す。
以下、 本発明に係るエアバッグ装置について、添付図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員が向いている方向を「前方」、その反対方向を「後方」と称し、座標の軸を示すときは「前後方向」と言う。また、乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員の右側を「右方向」、乗員の左側を「左方向」と称し、座標の軸を示すときは「左右方向」と言う。また、乗員が正規の姿勢で座席に着座した際に、乗員の頭部方向を「上方」、乗員の腰部方向を「下方」と称し、座標の軸を示すときは「上下方向」と言う。また、展開したエアバッグにおいて、乗員(頭部)に面する側を内側、その反対側を外側とする。
図1は、本発明に係る乗員保護装置に使用される車両用シートの主に外観形状を示す斜視図である。図2は、図1に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体(シートフレーム)を示す斜視図であり、ここでは、エアバッグ装置(20)の図示は省略する。
本発明が適用可能な車両シートは、部位として観たときには、図1及び図2に示すように、乗員が着座する部分のシートクッション2と;背もたれを形成するシートバック1と、シートバック1の上端に連結されるヘッドレスト3とによって構成される。
図1に示すように、本実施例に係るエアバッグ装置20は、主に車両用シートのサイドサポート部(ファーサイド側)に収容される。符号21は、エアバッグ装置20を構成するエアバッグの一部(頭部保護クッション31)を収容するハウジングであり、シートバック1の上部であり、ヘッドレスト3の側部に固定されている。ハウジング21は、エアバッグ装置20が作動してエアバッグ30が展開した時に、前方又は斜め前方が開裂するようになっている。
なお、頭部保護クッション31(図3参照)は、別体として構成されるハウジング21に収容する場合の他、シートバック1の上端付近の内部に収容することもできる。特に、ヘッドレスト3がシートバック1に一体化された形状の車両用シートの場合には、頭部保護クッション31の収容空間を柔軟に設定することが可能となる。
図2に示すように、シートバック1の内部にはシートの骨格を形成するシートバックフレーム1fが設けられ、その表面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮によって覆われている。シートクッション2の底側には着座フレーム2fが配置され、その上面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮によって覆われている。着座フレーム2fとシートバックフレーム1fとは、リクライニング機構4を介して連結されている。
シートバックフレーム1fは、図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するシートフレーム10と、このシートフレーム10の上端部を連結する上部フレームと、下端部を連結する下部フレームとにより枠状に構成されている。ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレスト3が構成される。
図3は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、車両用シートのドアに遠い側面(ファーサイド)にエアバッグ装置20が収容された状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。
図3に示すように、エアバッグ装置20は、車両シートのシートバック1の右側上端付近に収容される。エアバッグ30は、後述するように、乗員の頭部を保護する頭部保護クッション31と、乗員の胴体側部を保護する側部保護クッション40とを備えている。なお、本実施例においては、エアバッグ装置20を所謂ファーサイドに配置するが、ニアサイドに配置することも可能である。
図4は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置20においてエアバッグ30が展開した様子を模式的に示す上面図である。図5は、エアバッグ30が展開した様子を示す上面斜視図(俯瞰図)である。図6は、エアバッグ30が展開した様子を示す正面斜視図である。なお、図4及び図5において、破線は縫製ラインを示すものとする。
図4に示すように、本実施例に係るエアバッグ装置20は、膨張ガスを発生するインフレータ160(図6,9参照)と;インフレータ160から供給されるガスによって膨張・展開するエアバッグ30とを備えている。エアバッグ30は、車両用シートの右側上端付近から展開することで乗員Pの頭部周辺を保護する頭部保護クッション31(32,34,36,38)と、乗員の胴体側部を保護する側部保護クッション40とを含んでいる。
頭部保護クッション31は、乗員Pの頭部の右側部を保護する第1チャンバ32と;第1チャンバ32に繋がり、乗員Pの頭部前方を保護する第2チャンバ34と;第2チャンバ34に繋がり、乗員Pの頭部前方から左側部に渡って展開する第3チャンバ36と;第3チャンバ36と繋がり、乗員Pの頭部の左側部で展開する第4チャンバ38とを備えている。
エアバッグ装置20は、更に、エアバッグ30の展開方向(前方)に延び、当該エアバッグ30の展開形状を規制するテザー200と;当該テザー200を摺動可能な状態で、第1及び第2チャンバ32,34の表面に沿うように保持する保持部材202とを備えている。テザー200及び保持部材202の詳細については、後に図8を参照して説明する。
テザー200は、第2チャンバ34の内側表面に連結された第1の端部201aと、当該第1の端部201aと反対側の第2の端部201bとを有する。第2の端部201bは、シートフレームに連結される。なお、テザー200の第2の端部201b(後端)は、シートフレーム以外の構造部に連結することもでき、あるいは、第1チャンバ32の後端付近に直接連結することも可能である。
第1チャンバ32と第2チャンバ34とは、1つのチャンバとして一体に成形されている。第2チャンバ34の後方付近が乗員Pの頭部に近づく方向に屈曲しており、これによって、第2チャンバ34が確実に乗員頭部の前方で展開することが可能となる。
第1チャンバ32と第2チャンバ34とを渡すようにテザー200が連結されており、エアバッグ30の展開時にテザー200の張力によって第2チャンバ34を屈曲させることができる。
図4及び図5に示すように、本実施例においては、柔軟な素材からなる接触パネル50,60が頭部保護クッション31の乗員側に架け渡される。ここで、接触パネル50,60が「架け渡され」とは、基本的には、両端部の間が頭部保護クッションとは接触せずに、浮いた状態を意味する。また、「柔軟な素材」としては、例えば、頭部保護クッションを形成する基布と同一の素材を採用することができる。なお、接触パネルの構造50,60の詳細については、後述する。
図4~図6に示されているように、第1チャンバ32の下方には、側部保護クッション40が連結されている。側部保護クッション40は、乗員Pの少なくとも右側肩部付近を拘束するものであるが、腰部付近までを拘束するように構成されても良く、第1チャンバ32と同時か又は何れかのチャンバが先だって展開するように構成されている。図6,9に示すように、側部保護クッション40内に収容されたインフレータ160から、膨張ガスが放出され、当該ガスは、側部保護クッション40および/または第1チャンバ32に流れ、続いて第2チャンバ34、第3チャンバ36、第4チャンバ38の順番で流れるようになっている。
図4及び図5に示すように、4つのチャンバ(32,34,36,38)が、乗員Pの右側頭部付近から左側頭部付近までを囲むように展開する。第2チャンバ34は第1チャンバ32から乗員側の方向(内側)に屈曲すると同時に、図6に示すように、若干上向きに屈曲するように展開し、確実に乗員Pの頭部(顔面)の斜め前方を含む前方を保護するようになっている。エアバッグ30(少なくとも、第1チャンバ32と第4チャンバ38)が乗員Pの肩の上方に位置することから、乗員Pの肩が干渉して展開挙動を悪化させる事態を抑制可能となる。また、エアバッグ30が乗員Pの肩の上に載ることにより、エアバッグ30と乗員Pの頭部との距離を小さくすることができ、乗員頭部を速やかに拘束することが可能となる。
図4及び図5に示すように、エアバッグ30の膨張展開時の上面視において、第1チャンバ32の前後方向に長い長手方向に対して、第2チャンバ34の長手方向は、屈曲領域200aから角度を付けて乗員Pの前方に延びるように設けられる。また、第2チャンバ34の終端近傍である第3チャンバ36のガスの導入口から第4チャンバ38のガスの導入口に向かう、第3チャンバ36の膨張展開の方向は、第1チャンバ32の長手方向の膨張展開方向とは前後方向において概ね逆向きで、且つ、膨張展開した第2チャンバ34の長手方向に対して、第2チャンバ34の終端から乗員Pに近づく方向に角度を付けて設けられる。更に、第3チャンバ36の終端近傍である第4チャンバ38のガス導入口から第4チャンバ38の膨張展開する方向は、第1チャンバ32の長手方向の膨張展開方向とは前後方向において概ね逆向きで、且つ、第3チャンバ36の膨張展開方向に対して、第3チャンバ36の終端から乗員側Pに近づく方向に角度を付けて設けられる。このような構成により、エアバッグ30は、乗員Pの一方の肩口から当該乗員Pの頭部周囲に巻き付くように膨張展開する。
図7は、本発明の実施例に係るエアバッグ装置に使用される接触パネル50,60の構造を示す平面図であり、(A)が2枚のパネル50,60を別々に示し、(B)が実際の使用状態を示す。
接触パネル50,60は、乗員Pを米国衝突試験用AM95ダミーとしたときに、当該ダミーの頭部を十分に保護できる大きさ(幅、長さ)に設定される。第1接触パネル60は、一端が2箇所で縫製62rによって第2チャンバ34に連結される(図8)。また、第1接触パネル60の他端は、縫製62fによって第3チャンバ36に連結される(図10)。
一方、第2接触パネル50は、一端が縫製52rによって第2チャンバ34に連結される(図8)。また、第2接触パネル50の他端は、縫製52fによって第4チャンバ38に連結される(図11)。
図7(B)に示すように、第1接触パネル60には、第2接触パネル50が貫通するスリット64が形成され、展開状態の頭部保護クッション31を上方から見たときに、第1接パネル60と第2接触パネル50とは交差するように配置される(図4、図5)。
図8は、第1チャンバ32及び第2チャンバ34を形成するパネル(基布)を示す平面図である。図8に示すように、第1チャンバ32と第2チャンバ34とは、2枚の基布130a(内側パネル),130b(外側パネル)を貼り合わせることにより一体に成形される。図において、符号132は第1チャンバ32に対応する領域、134は第2チャンバに対応する領域を示している。第1チャンバ32及び第2チャンバ34が展開した時に、内側パネル130aが乗員P側を向くようになっている。
第1チャンバ32(領域132)は、サイドチャンバ40と連結される開口部154と、サイドチャンバ40のタブ164と連結されるタブ152を備えている。この開口部154を通じて、サイドチャンバ40の後端部近傍から膨張ガスが第1チャンバ32に流れ込むようになっている。第2チャンバ34の内側パネルの端部近傍で第2チャンバの下縁に沿う方向に延びるように、第3チャンバ36と流体連通するベント開口150aが形成されており、第3チャンバ36の内側パネル136a(図9参照)のベント開口150bと一緒に、周囲を縫製することによって連結される。そして、ベント開口150a,150bによって、ベントホール37が形成される。
図8において、ラインL1は第1チャンバ32の長手方向を示すものである。長手方向L1は、上部方向部132aにおいて膨張ガスが流れる方向であり、第1チャンバの主要な展開方向と言うことができる。
図9は、側部保護クッション40を形成するパネル(基布)を示す平面図である。図9に示すように、側部保護クッション40は、2枚の基布140a(内側パネル),140b(外側パネル)を貼り合わせることにより成形される。図において、符号166は第1チャンバ32の開口部154aと連結される開口部であり、符号162はインフレータ160を収容するインフレータ保持部である。また、符号164は、第1チャンバ32のタブ152と連結されるタブである。
側部保護クッション40と第1チャンバ32とは、各々の開口部154a、166において直接連結されるとともに、タブ152、164同士を連結することで、展開姿勢を制御可能となっている。なお、図9において、インフレータ160以外の破線は縫製ラインを示すものとする。この連結タブ164は側部保護クッション40の上縁部に設けられている。第1チャンバ32のタブ152は、第1チャンバの下縁部に設けられており、これらが接続されることにより、互いの膨張展開時に不用意な揺動が減り膨張展開の安定性が増す。またこれらが連結されていることにより、膨張展開時にそれぞれのエアバッグクッションの膨張展開方向がバラバラになることがなく、乗員をより一体的にかつ包括的に保護できるようになる。
図10は、第3チャンバ36を形成するパネル(基布)を示す平面図である。図10において、外周の破線と、開口150b,170aの周辺の破線は縫製ラインを示すものとする。
図10に示すように、第3チャンバ36は、2枚の基布136a(内側パネル),136b(外側パネル)を貼り合わせることにより成形される。内側パネル136aの一方の端部近傍には、第2チャンバ34のベント開口150aと連結されるベント開口150bが形成されている。内側パネル136aの他方端部近傍には、また、第4チャンバ38のベント開口170bと連結されるベント開口170aが形成されている。そして、ベント開口170a,170bによって、ベントホール39(図6,図13)が形成される。なお、ベントホール開口150bは、ベント開口170aよりも短手方向の長さが長く、開口面積も大きくなっている。
第3チャンバ36の内部には、中央付近に概ね膨張ガスが流れる方向(一方の端部から他方の端部に向かう方向)に平行に延びる2本の内部テザー137a、137bが設けられている。これらの内部テザー137a,137bは、内側パネル136aと外側パネル136bとを連結し、第3チャンバ36の展開厚さ(紙面に垂直な方向)を規制するものである。なお、テザーに替えて、単なる縫製によって内側パネル136aと外側パネル136bとを連結することで、第3チャンバ36の展開厚さを規制することもできる。
図11は、第4チャンバ38を形成するパネル(基布)138を示す平面図である。図11において、外縁部及びベント開口170bの周辺の破線は縫製ラインを示すものとする。
図11(B)に示すように、第4チャンバ38は、1枚のパネル138を中心部分から半分に折り畳むことによって袋状に成形される。パネル138の長手方向中心付近には、第3チャンバのベント開口170aと連結されるベントホール170bが形成され、このベント開口170bの長手方向に沿った中心線が当該パネル138の折り目となる。
図12は、図8乃至図11に示すパネルの連結を説明するための平面図である。また、図13は、図8乃至図11に示すパネルを連結した状態を示す平面図である。図12に示すように、第1チャンバ32と第2チャンバ34とを一体化したチャンバが最も大きく、次いで側部保護クッション40の容量が大きくなる。これに対して、第3チャンバ36の容量は小さく、第4チャンバ38の容量は更に小さく設計される。
第2チャンバ34と第3チャンバ36とは、ベント開口150aとベント開口150bの周辺のみで縫製によって連結される。また、第3チャンバ36と第4チャンバ38とは、ベント開口170aとベント開口170bの周辺のみで縫製によって連結される。
なお、第1及び第2接触パネル60,50については、図13においては、第3チャンバ36の裏側(紙面奥側)に位置するため、図示は省略する。
(エアバッグの圧縮)
図14は、本発明の実施例に係るエアバッグ30の圧縮工程の一部を示す平面図であり、説明の便宜上、第1チャンバ32及び第2チャンバ34のみを示し、他のチャンバ(第3チャンバ36、第4チャンバ38、側部保護クッション40)については、図示を省略する。実際には、図13に示すように全てのチャンバを縫製によって連結した後に、圧縮工程が行われる。
図14(A)に示す状態から、テザー200を後方に引っ張って(手繰り寄せて)、第1チャンバ32及び第2チャンバ34のテザー200の周辺にクシュクシュとした皺領域210を形成する(図14(B))。なお、皺領域210の「皺」は、無造作に縮める(シュリンクさせる)ような形態の他、蛇腹折りのようなある程度規則的な折畳みの形態を採用することも可能である。
その後、図15に示すように、頭部保護クッション31をロール、又は蛇腹折りによって圧縮し、主折畳み部分310を形成する。次に、側部保護クッション40を前後方向に、ロール又は蛇腹折り等の手法によって圧縮し、縦折畳み部分340を形成する。
(エアバッグの展開挙動)
本実施例に係るエアバッグ装置20においては、車両の衝突事象が発生すると、インフレータ160が作動し、膨張ガスが側部保護クッション40と第1チャンバ32に同時か又は何れかのチャンバに先行して流れ込む。続いて、第1チャンバ32から第2チャンバ34にガスが流れ込む。
このとき、主折畳み部分310が前方に向かってロールが解けるように延びることになり、主折畳み部分310の側部に位置する乗員側の頭部に頭部保護クッション31が干渉することなく、確実に乗員の肩より上で好ましい挙動で展開することになる。
また、テザー200(図4)によって第1チャンバ32と第2チャンバ34、あるいは、第2チャンバ34とシートフレームとが連結されているため、第2チャンバ34は前方への展開が規制され、テザー200の屈曲部200a、すなわち、保持部材202の屈曲領域202aを起点として屈曲し、乗員の前方に向かって展開する(図4、図5)。なお、第2チャンバ34は、図6に示すように先端側が上方を向くように屈曲し、ベントホール37が概ね縦長になるように展開する。
次に、ベントホール37を介して第2チャンバ34から第3チャンバ36に膨張ガスが流れ込み、第3チャンバ36が乗員Pの正面から左側頭部付近に展開する。第2チャンバ34の内側パネル134aと第3チャンバ36の内側パネル136a同士をベントホール37周辺で連結しているため、第3チャンバ36が外方向(乗員頭部から離れる方向)へ広がるように展開する挙動が制限され、乗員Pの頭部を囲むように湾曲した形状が作り出される。
次に、ベントホール39を介して第3チャンバ36から第4チャンバ38に膨張ガスが流れ込み、第4チャンバ38が乗員Pの左側頭部付近に展開する。第3チャンバ36の内側パネル136aと第4チャンバ36とがベントホール39周辺で連結されているため、第4チャンバ36が外方向(乗員頭部から離れる方向)へ広がるように展開する挙動が制限され、乗員Pの頭部を囲むように湾曲した形状が作り出される。
また、テザー200をエアバッグ30の表面に沿って摺動させる構造であるため、エアバッグ30の表面からテザー200がブリッジ状に張り出すことがなく、乗員Pとの不要な干渉を避けることができる。また、エアバッグ30の展開形状を確実、精密に制御することが可能となる。
図16(A)は、頭部保護クッション31の展開直後の様子、(B)が乗員Pの頭部が第1及び第2接触パネル60,50に進入した様子を示す。頭部保護クッション31がフル展開すると、第1接触パネル60によって第2チャンバ34と第3チャンバ36が内側(乗員側)に向かって引っ張られ、また、第2接触パネル50によって第2チャンバ34と第4チャンバ38が内側に向かって引っ張られる。このため、、頭部保護クッション31が乗員Pの頭部を囲むように展開する。
続いて、乗員Pの頭部が第1及び第2接触パネル60,50に接触(進入)すると、図16(B)図に示すように、第2接触パネル50がスリット64(図7)付近で屈曲し、第4チャンバ38が乗員Pの頭部に近づく方向に更に強く引っ張られることになる。このため、頭部保護クッション31が乗員Pの頭部に巻き付くような形態となり、当該頭部を全方位から適切に保護することが可能となる。
本発明を上記の例示的な実施形態と関連させて説明してきたが、当業者には本開示により多くの等価の変更および変形が自明であろう。したがって、本発明の上記の例示的な実施形態は、例示的であるが限定的なものではないと考えられる。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載した実施形態に様々な変化が加えられ得る。例えば、実施例では二つの接触パネルが交差するように設けられているが、必ずしも交差しない構成でも良い。例えば、隣り合う第2チャンバと第3チャンバにかけ渡される一つの接触パネルを設け、第3チャンバと第4チャンバにかけ渡されるもう一つの接触パネルを設けるような態様でも良い。

Claims (14)

  1. 車両用シートの左右一方の上部から展開することで乗員の頭部を保護する頭部保護クッションを有するエアバッグと:
    前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;を備え、
    前記頭部保護クッションが、乗員の一方の側頭部付近を保護する第1チャンバと;前記第1チャンバに繋がり、乗員の頭部前方を保護する第2チャンバと;前記第2チャンバに繋がり、乗員の頭部前方から他方の側部に渡って展開する第3チャンバと;前記第3チャンバと繋がり、乗員の他方の側頭部付近で展開する第4チャンバと;を備え、
    前記頭部保護クッションの乗員側に架け渡され、乗員と頭部が接触する柔軟な素材からなる接触パネルを備え、
    前記頭部保護クッションが展開した状態で、前記接触パネルに乗員の頭部が進入したときに、当該頭部保護クッションが乗員の頭部に巻き付くように、前記接触パネルが前記エアバッグの展開方向を規制することを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記接触パネルは、前記乗員を米国衝突試験用AM95ダミーとしたときに、車両緊急時に当該ダミーの頭部が接触する領域を含む大きさに設定されることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグは、前記第1チャンバの下端付近に繋がり、乗員の体側部を保護する側部保護クッションを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
  4. 車両用シートの左右一方の上部から展開することで乗員の頭部を保護する頭部保護クッションを有するエアバッグと:
    前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;を備え、
    前記頭部保護クッションが、乗員の一方の側頭部付近を保護する第1チャンバと;前記第1チャンバに繋がり、乗員の頭部前方を保護する第2チャンバと;前記第2チャンバに繋がり、乗員の頭部前方から他方の側部に渡って展開する第3チャンバと;前記第3チャンバと繋がり、乗員の他方の側頭部付近で展開する第4チャンバと;を備え、
    前記頭部保護クッションの乗員側に架け渡され、乗員と頭部が接触する柔軟な素材からなる接触パネルを備え、
    前記接触パネルは、前記第1チャンバ、第2チャンバ、第3チャンバ、および第4チャンバの内から選ばれる2つのチャンバ間の乗員に面する内側面同士を連結するように延びる接触パネルを含むことを特徴とするエアバッグ装置。
  5. 前記接触パネルは、前記第3チャンバの乗員に面する内側面と前記第2チャンバの乗員に面する内側面とを連結するように延びる第1接触パネルを含むことを特徴とする請求項に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記接触パネルは、更に、前記第4チャンバの乗員に面する内側面と前記第2チャンバの乗員に面する内側面とを連結するように延びる第2接触パネルを含むことを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ装置。
  7. 前記第1接触パネルには、前記第2接触パネルが貫通するスリットが形成され、
    展開状態の前記頭部保護クッションを上方から見たときに、前記第1接パネルと前記第2接触パネルとは交差するように配置されることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグ装置。
  8. 前記頭部保護クッションが展開した状態で、前記第1及び第2接触パネルに乗員の頭部が接触したときに、前記第2接触パネルが屈曲し、前記第4チャンバが乗員の頭部側に近づく方向に引っ張られるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ装置。
  9. 車両用シートの左右一方の上部から展開することで乗員の頭部を保護する頭部保護クッションを有するエアバッグと:
    前記エアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと;を備え、
    前記頭部保護クッションが、乗員の一方の側頭部付近を保護する第1チャンバと;前記第1チャンバに繋がり、乗員の頭部前方を保護する第2チャンバと;前記第2チャンバに繋がり、乗員の頭部前方から他方の側部に渡って展開する第3チャンバと;前記第3チャンバと繋がり、乗員の他方の側頭部付近で展開する第4チャンバと;を備え、
    前記頭部保護クッションの乗員側に架け渡され、乗員と頭部が接触する柔軟な素材からなる接触パネルを備え、
    前記第1チャンバと前記第2チャンバとは、2枚の基布を貼り合わせることにより一体に成形され、
    前記第1チャンバと前記第2チャンバの乗員に面する内側表面に、展開方向に沿って延びるテザーと;
    前記テザーを摺動可能な状態で、前記内側表面に沿うように保持する保持部と;を更に備え、
    前記頭部保護クッションが展開した時に、前記テザーによって前記第2チャンバの前方への移動が規制されることを特徴とするエアバッグ装置。
  10. 前記テザーは、前記第2チャンバの展開方向前方の内側表面に連結される第1の端部と、前記第2チャンバの展開方向後方に達する第2の端部とを有し、
    前記テザーを前記第2の端部側に手繰り寄せて圧縮することで、少なくとも前記第2チャンバに皺領域が形成されることを特徴とする請求項9に記載のエアバッグ装置。
  11. 前記第3チャンバは、少なくとも2枚の基布を貼り合わせることにより成形されており、
    前記第2チャンバを形成する基布のうち、乗員に面する内側パネルの端部と、前記第3チャンバを形成する基布の乗員に面する内側パネルの端部とが連結されることを特徴とする請求項10に記載のエアバッグ装置。
  12. 前記第3チャンバと前記第4チャンバとは、第1のベントホールによって連通し、当該第1のベントホールの周囲を縫製することによって互いに連結される構造であることを特徴とする請求項11に記載のエアバッグ装置。
  13. 請求項1又は2に記載のエアバッグ装置を備えた車両用シート。
  14. 前記エアバッグ装置が収容される側とは反対側に、乗員の側部を保護するサイドエアバッグ装置が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の車両用シート。
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