JP7619052B2 - インクジェットインク用顔料分散体、インクジェットインク及び印刷物 - Google Patents
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Description
インクジェット印刷特有の課題であるインク吐出性に関連して、インクジェット印字時のインク吐出していない時間(オープンタイム)において、インクジェットヘッド吐出部分でインクが乾く事で生じるノズル詰まり不良が発生することが知られている。インクジェット用インクには、このノズル詰まりをの発生を低減可能とする優れたインク再溶解性も望まれている。
(1)分散剤(A)、バインダー樹脂(B)、顔料(C)、及び水(D)を含有し、
前記分散剤(A)は、少なくとも、酸基含有モノマーに由来する構成単位(a1)を有する樹脂(A1)を含有し、
前記樹脂(A1)において、構成単位(a1)中の前記酸基の一部又は全部がアンモニアで中和されており、
前記バインダー(B)は、架橋されたアクリル系樹脂(B1)を含有することを特徴とする、インクジェット用顔料分散体。
(2)前記分散剤(A)のガラス転移温度が50~120℃、酸価が100~300mgKOH/gである、(1)のインクジェット用顔料分散体。
(3)前記架橋されたアクリル系樹脂(B1)が、アクリル系エマルションであり、体積平均粒径が20~100nm、ガラス転移温度が0~70℃、酸価が5~80mgKOH/gである、(1)又は(2)のインクジェット用顔料分散体。
(4)さらに、沸点が100℃以上のアミン化合物(E)を含有する、(1)~(3)のいずれかのインクジェット用顔料分散体。
(5)プラスチック基材への印刷用である、(1)~(4)のいずれかのインクジェット用顔料分散体。
(6)(1)~(5)のいずれかのインクジェット用顔料分散体を用いたインクジェットインク。
(7)(6)のインクジェット用インクで印刷した印刷物。
本発明の「インクジェット用顔料分散体」(以下、単に「顔料分散体」又は「分散体」ということがある。)は、分散剤(A)、バインダー樹脂(B)、顔料(C)、及び水(D)を含有するものであって、インクジェットインクの調製のために用いられるものである。以下、「分散剤(A)」を「(A)成分」ということがあり、他の成分についても同様にいうことがある。
本発明の顔料分散体は、インクジェットインクのための中間製品として製造されるものであって、希釈した後に水性インクジェットインクとしてインクジェット印刷に使用される。
分散剤(A)は、樹脂(A1)を含有するものであって、樹脂(A1)は、少なくとも、酸基含有モノマーに由来する構成単位(a1)を有する。また、分散剤(A)において、構成単位(a1)中の構成単位(a1)中の前記酸基の一部又は全部がアンモニアで中和されている。
樹脂(A1)は、酸基含有モノマーに由来する構成単位(a1)と、(a1)以外の構成単位(a2)とを有するものであって、酸基含有モノマーと、それ以外のモノマーとをラジカル重合等の公知の方法を用いて重合させることにより得られる。樹脂(A1)が酸基を有することにより、樹脂(A1)に親水性が付与され、顔料を水中で安定に分散することが可能となる。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。
また、スルホン酸基を含有するエチレン性不飽和単量体の例としてはアクリル酸2-スルホエチル、メタクリル酸4-スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン-4-スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
なかでも、構成単位(a1)を誘導するモノマーとしては、原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、酸基としてカルボキシル基を有するモノマーが好ましく、不飽和カルボン酸類がより好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
以下、アクリル酸とメタクリル酸との双方を包含して「(メタ)アクリル酸」ということがあり、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を包含して「(メタ)アクリル酸エステル」ということがある。類似のアクリル酸系化合物についても同様である。
なかでも、構成単位(a2)を誘導するモノマーとしては、樹脂(A1)の顔料への吸着力を高める効果が得られる点で、スチレン類が好ましく、スチレン、又はα-メチルスチレンが好ましい。
樹脂(A1)のガラス転移点は、30~130℃が好ましく、50~120℃がより好ましく、80~110℃が特に好ましい。
上記範囲内とすることにより、分散剤の親水性と顔料吸着性のバランスがとれて顔料分散体の分散安定性が向上する。また印刷物の塗膜強度が増加して耐擦過性が向上する。
アンモニアによる中和の方法は特に限定されるものではないが、例えば、モノマーの合成により得られた有機溶剤中の樹脂(A1)に対して、アンモニア水と、必要に応じて水とを加えることにより中和することができる。
中和は、酸基の一部のみが中和されていても良く、酸基の全てが中和されていてもよい。具体的には、分散剤(A)の酸基を理論等量で中和した場合の中和率を100%として、中和率30~300%が好ましく、特に60~200%の範囲に設定されることが好ましい。
アンモニアで中和された分散剤(A)を用いたインクジェットインクは、印刷後の乾燥工程でアンモニアが揮発することで水に不溶化する。また、アンモニアが揮発すると分散剤(A)中の酸基は非解離状態に平衡移動するため、分散剤(A)の吸湿性が低下し、インクの速乾性が高まる。これらの結果、基材への密着性や耐擦過性が向上する。
本発明において、バインダー(B)は、架橋されたアクリル系樹脂(B1)を含有する。バインダー(B)はインクの基材密着性や耐擦過性を高める目的で添加される。バインダー(B)が顔料分散能を有すると、バインダー(B)が分散剤(A)を顔料から脱離させて顔料分散体の分散安定性を低下させる可能性があることから、バインダー(B)は顔料分散能を有さないことが好ましい。
バインダー樹脂として使用する架橋アクリル系樹脂(B1)としては、架橋されたアクリル系水性樹脂エマルションが好ましい。
アクリル系エマルションとしては、例えば、アクリルエマルション、スチレンアクリルエマルション、アクリルマレイン酸エマルション、スチレンアクリルマレイン酸エマルションが挙げられ、アクリルエマルションやスチレンアクリルエマルションが好ましいものとして挙げられる。エマルションはコアシェル型であってもよく、コアシェル型以外であってもよい。
エマルション樹脂中の構成単位としては、構成単位(a1)や構成単位(a2)で上述したものや、それらと共重合可能なものが挙げられる。
本発明者らが検討を重ねた結果、乾式の耐擦過性はアクリル系樹脂(B1)のTgが高いほど良好な結果が得られる一方で、アクリル系樹脂(B1)のTgが低くなると乾式の耐擦過性が低下してしまうことが見出された。
しかしながら、作用機序は不明であるが、アクリル系樹脂(B1)の架橋を行うことにより、低Tgであっても乾式耐擦過性が良好となることが見出された。また、湿式の耐擦過性については、Tgの高低に関わらず、架橋を行うことにより良好な結果が得られた。
よって、架橋されたアクリル系樹脂(B1)を用いることにより、低Tgのアクリル系樹脂(B1)を用いた場合にも、乾式・湿式共に良好な耐擦過性を有する顔料分散体が得られる。
上記範囲内とすることにより、印刷後の乾燥時間を短縮することができ、印刷速度の向上及び省エネの観点から好ましい。
・ローディングインデックス:5±1
・測定時間:180秒
・測定回数:5回
・透過性:透過
・粒子屈折率:1.80
・形状:真球
・密度:1.00
・溶媒屈折率:1.333
・高温時粘度:30℃、0.797
・低温時粘度:20℃、1.002
・フィルタ:Stand:Norm
・感度:Standard
・UPA互換モード
顔料(C)は、顔料分散体中に良好に分散し得るものであれば特に限定されるものではないが、平均粒子径50~400nmで分散しうるものを用いることが好ましい(詳細は後述)。例えば、一般のインク、塗料、および記録剤などに使用されている有機顔料、無機顔料や染料を使用することができる。
また、顔料が無機顔料の場合、25~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。
本発明の顔料分散体は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、上述の(A)~(C)成分、及び水(D)に加えて、その他の任意成分を含有していてもよい。
その他の成分として例えば、沸点が100℃以上のアミン化合物(E)、上記成分以外のその他樹脂、水以外の溶媒、界面活性剤、ワックス、低表面張力有機溶剤、湿潤剤、浸透剤、上記以外の分散剤、消泡剤、防腐剤、粘度調製剤、pH調製剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の顔料分散体は、沸点が100℃以上のアミン化合物(E)を含有することが好ましい。
本発明の顔料分散体では、分散剤(A)をアンモニアで中和することで基材密着性や耐擦過性を向上させているが、一方で、アンモニアが過度に揮発してインクの不溶化が進行しすぎることにより、ノズル詰まりが発生する場合がある。アミン化合物(E)は不溶化したインク中の酸基を適度に中和して水に再溶解させる効果がある。また、沸点が100℃以上のアミン化合物(E)は湿潤剤としての効果もある。
そのため、アミン化合物(E)を添加することで、インクの過度な乾燥が抑制されてインクがノズル詰まりを起こすことがなく、結果として吐出性が良好となり、吐出性と耐擦過性とを両立することができる。
これらの中でも、顔料分散性の観点から、アルカノールアミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンは、好ましくは炭素数が2以上5以下のアルキレン基を有するポリアルキレンイミンである。
ポリアルキレンイミンは、好ましくはアルキレン基の炭素数が2以上4以下のポリアルキレンイミン、より好ましくはポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン、更に好ましくはポリエチレンイミンである。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
該分子量の値は、実施例に記載の方法により求められる。
ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、ジメチルアリルアミン等のアリル化合物の単独重合体又は共重合体などのアミノ基を側鎖に有するポリマーが挙げられる。
ポリアリルアミンの重量平均分子量は、好ましくは800以上、より好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,500以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下である。
(ポリ)エチレンポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。これらの中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが好ましい。
アルカノールアミンとしては、好ましくは炭素数2以上9以下のアルカノールアミンである。アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン等の1級アルカノールアミン;N-メチルエタノールアミン、N-メチルプロパノールアミン等のモノアルカノール2級アミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノール2級アミンなどの2級アルカノールアミン;N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン等のモノアルカノール3級アミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン等のジアルカノール3級アミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノール3級アミンなどの3級アルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数2以上9以下の3級アルカノールアミンが好ましく、トリイソプロパノールアミンが特に好ましい。
アルキルアミンとしては、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキルアミンである。アルキルアミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン等の1級アミン;ジエチルアミン、ジプロピルアミン等の2級アミンが挙げられる。
その他樹脂としては、顔料分散体を調製するのに好適な水性樹脂がよく、好ましい例としては例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのスチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、及び該水性樹脂の塩のうち、上記成分に該当しないものが挙げられる。
湿潤剤のインク中の含有量は3~50質量%であることが好ましい。
本発明における顔料分散体の製造方法は何ら限定されるものではない。
(A)~(D)成分と、必要に応じて添加される(E)成分等の任意成分とを分散させて顔料分散体としてもよいし、予め、(B)成分を除いた、(A)、(C)成分及び(D)成分の一部や媒体等により顔料濃度の高い顔料分散ミルベース液を作製し、適宜(B)成分や任意成分を添加、(D)成分等の水性媒体で希釈して水性インクジェットインクの調製のための顔料分散体としてもよい。攪拌・分散装置を用いて顔料を分散させて顔料分散ミルベース液を予め作製した後に顔料分散体を作製することにより、所望の体積平均粒子径で顔料が分散された水性顔料分散体を容易に得ることができる。
以下、後者の顔料分散ミルベース液を作製した後、顔料分散体とする方法について述べる。
(1)必要に応じて顔料分散剤を含有する水性媒体に顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を該水性媒体中に分散させることにより、顔料分散ミルベース液を調製する方法。
(2)顔料、及び必要に応じて顔料分散剤を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を水性媒体中に添加し、攪拌・分散装置を用いて顔料分散ミルベース液を調製する方法。
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水と相溶性を有する有機溶剤中に顔料分散剤を溶解して得られた溶液に顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を有機溶液中に分散させ、次いで水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し顔料分散ミルベース液を調製する方法。
本発明の顔料分散体を用い、顔料の含有率が1~30質量%となる様に水性媒体で希釈し水性インクジェットインクとする。この水性媒体は、(D)成分と同様に水であってもよく、水と有機溶剤との混合物であってもよく、有機溶剤のみであってもよい。有機溶剤としては、水と混和するものであれば特に限定されないが、「水以外の溶媒」として任意成分中で上述したものが挙げられる。
本発明のインクジェットインクは、各種基材への密着性に優れることから、プラスチック基材とインクジェットインクによる印刷層とを有する印刷物を好適に製造することが可能である。
また、フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましい。また、印刷面にシリカ、アルミナ等が蒸着されていても構わない。
(合成例1:スチレンアクリル樹脂1の合成例)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL-2A S型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン600部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりスチレン160部、αメチルスチレン80部、アクリル酸124部、ブレンマーPME-100(日油(株)製)36部、および「パーブチルO」(有効成分ペルオキシ2 -エチルヘキサン酸t-ブチル、日本油脂(株)製)44部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、スチレンアクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
上記で得られたスチレンアクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液に、中和剤として28%アンモニア水83部とイオン交換水550部を徐々に加え、前記スチレンアクリル樹脂中のカルボキシル基を中和した後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、不揮発分40質量%のスチレンアクリル樹脂1を得た。このスチレンアクリル樹脂1の酸価は240mgKOH/g、ガラス転移温度は91℃であった。
合成例1のモノマー組成及び中和剤を表1に従って変更した以外は前記同様にして、スチレンアクリル樹脂2~5を得た。
下表中、ブレンマーPME-100は、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日油(株)社製)である。
(合成例6:水性ポリウレタン1の合成例)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、1,6-ヘキサンジオールベースのポリカーボネートジオール(重量平均分子量:2,000)964質量部、ジメチロールプロピオン酸43質量部及びメチルエチルケトンを558質量部加え、均一に混合した。次いで、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート295質量部を加えた後、ジオクチル酸錫0.05質量部を加え、70℃で約4時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー1のメチルエチルケトン溶液を得た。
上記で得られたウレタンプレポリマー1のメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン33質量部を加え、前記ウレタンプレポリマー1中のカルボキシル基を中和した後、イオン交換水2,516質量部を徐々に加えた。次いで、80%ヒドラジン水溶液11.0質量部を加えて反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、不揮発分40質量%の水性ポリウレタン1を得た。この水性ポリウレタン1は体積平均粒径98nm、酸価10mgKOH/g、ガラス転移温度-29℃であった。
混合槽に、分散樹脂としてスチレンアクリル樹脂1を250部、イソプロピルアルコール55部、イオン交換水710部、FASTOGEN BLUE SBG-SD(ピグメントブルー15:3、DIC(株)製)500部を仕込んでディスパー(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて混合した。得られた混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(ピコミル 型式:PCM-LR、淺田鉄工(株)製)で循環分散(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)した。分散工程中は、冷却用ジャケットに冷水を通して分散液温度を30℃以下に保つよう制御し、分散装置のローター周速を12m/秒に固定して2時間分散した。分散終了後、混合槽より抜き採った分散原液を減圧蒸留することでイソプロピルアルコールと水の一部を留去し、ミル分散体1(顔料濃度33%)を得た。
ミル分散体1の分散樹脂をそれぞれスチレンアクリル樹脂2~5に変更した以外は前記同様にして、ミル分散体2~5を得た。
ミル分散体1を45部、バインダーとしてME-2039(星光PMC(株)製、架橋系アクリルエマルション、体積平均粒径63nm、酸価42mgKOH/g、ガラス転移温度8℃、不揮発分49%)を24.5部、ワックスとしてULTRALUBE E-843N(keim additec surface GmbH社製、ポリエチレンワックス)を3.9部、防腐剤としてプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン(株)製)0.2部、イオン交換水を26.4部仕込み、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所、振幅数750/分)で30分間攪拌して、質量換算で顔料含有率15%の顔料分散体1を得た。
実施例1の配合を表2~3に従って変更した以外は前記同様にして、顔料分散体2~4(実施例2~4)及び比較分散体1~7(比較例1~7)を得た。
M-141:星光PMC(株)製、非架橋系アクリルエマルション、体積平均粒径71nm、酸価19KOHmg/g、ガラス転移温度15℃、不揮発分40%
QE-1042:星光PMC(株)製、非架橋系アクリルエマルション、体積平均粒径31nm、酸価33KOHmg/g、ガラス転移温度53℃、不揮発分40%
上記で得られた顔料分散体1~4及び比較分散体1~7をそれぞれ用いて、下記表4~5の通りの配合を行い、ペイントシェーカーで30分間攪拌することにより、インク組成物1~4(実施例5~8)及び比較インク組成物1~7(比較例8~14)を製造した。
得られた各例のインク組成物を用いて、評価用印刷物を作製し、耐ブロッキング性、基材密着性、耐擦過性及びノズル詰まりの評価を行った。評価結果を表4~5に併記する。なお、評価用印刷物の作製法及び評価法の詳細は後述する。
インク組成物をインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、MJ-510C)のインクカートリッジに充填し、コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製 エステルE5100 厚さ12μm)、または、コロナ処理ポリプロピレン(OPP)二軸延伸フィルム(東洋紡績(株)製 パイレンP2161 厚さ20μm)に、ベタ絵柄を印刷後、ドライヤーで乾燥したのち、更に90℃オーブンに入れ10分乾燥し印刷物を得た。
PETフィルム印刷物の印刷面と非印刷面が接触するようにフィルムを4cm×4cmサイズにカットしてから重ねあわせ、5Kgf/cm2の荷重をかけ、50℃の環境下に24時間放置した後、フィルムを剥離した際の非印刷面へのインクの転移(裏移り)の状態を、裏移りの部分の面積比率(%)を基準に目視で判定した。
◎:非印刷面への転移は全く見られない。
○:5%未満と僅かであるが、裏移りによる転移が見られる。
△:5%以上~20%未満の裏移りによる転移が見られる。
×:20%以上の裏移りによる転移が見られる。
JIS K5701-1:2000に従って、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業(株)製、AB-301)を用いてOPPフィルム印刷物の耐擦過性を評価した。印刷物を試験機にセットし、乾摩擦試験は摩擦用紙としてPPCペーパー、荷重200g、100往復の条件とし、湿摩擦試験は摩擦用紙としてイオン交換水で湿らせたカナキン3号、荷重200g、10往復の条件として試験を行った。試験後の印刷物におけるインクの剥がれ具合について、目視にて以下の評価基準に従って評価した。
◎:全く剥がれが生じなかった。
〇:1%未満の剥がれがあった。
△:1%以上5%未満の剥がれがあった。
×:5%以上10%未満の剥がれがあった。
印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、セロハンテープの一端を印刷面に対して直角方向に素早く引き剥がした時の印刷皮膜の残存率を、面積比率を基準に外観を目視判定した。
◎:印刷皮膜が全く剥がれない。
○:印刷皮膜の80%以上~90%未満がフィルムに残った。
△:印刷皮膜の50%以上~80%未満がフィルムに残った。
×:印刷皮膜の50%未満しかフィルムに残らなかった。
上記インクジェット印刷の手順でA4ベタ10枚相当の印刷を行った後、チェックパターンを印刷し、不吐出ノズルについて以下の基準で評価した。C以上を合格とする。
A:不吐出ノズル1%未満
B:不吐出ノズル1%以上3%未満 5%未満
C:不吐出ノズル3%以上5%未満
D:不吐出ノズル5%以上
一方、比較例1~7の比較分散体を用いた比較例8~14のインクジェットインクは、上記いずれかの特性に劣るものであった。
よって、本発明のインクジェット用顔料分散体及びインクジェットインクは、インクジェット印刷に好適に用いうるものであることが確認できた。加えて、本発明の顔料分散体及びインクは、プラスチック基材への基材密着性が高いことからパッケージ用プラスチックフィルムへの印刷に適したものであり、且つ、耐擦過性が高いことから表刷りにも適用し得ることが確認できた。
Claims (7)
- 分散剤(A)、バインダー樹脂(B)、顔料(C)、及び水(D)を含有し、
前記分散剤(A)は、少なくとも、酸基含有モノマーに由来する構成単位(a1)を有する樹脂(A1)を含有し、
前記樹脂(A1)において、構成単位(a1)中の前記酸基の一部又は全部がアンモニアで中和されており、
前記バインダー(B)は、架橋されたアクリル系樹脂(B1)を含有し、
前記架橋されたアクリル系樹脂(B1)の酸価が、5~50mgKOH/gであり、
前記バインダー(B)が、不揮発分換算で10~30質量%含有されることを特徴とする、インクジェット用顔料分散体。 - 前記分散剤(A)のガラス転移温度が50~120℃、酸価が100~300mgKOH/gである、請求項1に記載のインクジェット用顔料分散体。
- 前記架橋されたアクリル系樹脂(B1)が、アクリル系エマルションであり、体積平均粒径が20~100nm、ガラス転移温度が0~70℃である、請求項1又は2に記載のインクジェット用顔料分散体。
- さらに、沸点が100℃以上のアミン化合物(E)を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット用顔料分散体。
- プラスチック基材への印刷用である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット用顔料分散体。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット用顔料分散体を用いたインクジェットインク。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクで印刷した印刷物。
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